JP2004251497A - 空気調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを効果的に失活させることが可能な空気調節装置を提供する。
【解決手段】空気清浄機101は、吸込口150と吹出口160との間を連通する通風路170と、この通風路170内を通過する空気に正負両方のイオンを放出するイオン発生装置140とを備える。イオン発生装置140から吹出口160に至る部分の通風路L1内における正負それぞれのイオン濃度が、平均1×10個/cm以上であり、かつイオン発生装置140から吹出口160に至る部分の通風路L1を1秒以上かけて空気が通過するように空気清浄機101が構成されている。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、花粉などの抗原に起因するアレルギー疾患の発症を防止するための空気調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体の呼吸器系や皮膚等に障害が生じるアレルギー疾患が増加傾向にあるといわれている。このアレルギー疾患は、スギ、ヒノキ、ブタクサ、オオアワガエリ、ヨモギ等の花粉や、ダニ等の生物などに含まれるアレルゲンに起因する。アレルゲンは、抗原性物質の一種であり、生体に作用することにより抗原抗体反応を生ぜしめ、アレルギー疾患を誘発する。このアレルギー疾患による症状は、人体にとっては非常に不快なものである場合が多く、重大な問題となっている。
【0003】
このため、アレルギー疾患の治療や抑制のために様々な医薬品が開発されている。しかしながら、これら医薬品が有効に働くかどうかには個人差があり、完全な解決には至っていない。
【0004】
また、アレルギー疾患の発症を防止する他の手立てとして、空気中に含まれる花粉等の微細な浮遊物質を取り除く方法がある。この方法は、室内空間に浮遊するアレルギー疾患の原因物質をフィルタ等を用いて除去することにより、アレルギー疾患の発症を未然に防止するものである。このため、各種高性能のフィルタを備えた空気調節装置が開発されている。この高性能フィルタを備えた空気調節装置に関する文献として、たとえば、特開平6−154298号公報(特許文献1)や特開平8−173843号公報(特許文献2)、特開2000−111106号公報(特許文献3)などがある。
【0005】
高性能のフィルタを備えた空気調節装置においては、吸引した空気中に含まれる浮遊物質をフィルタにて濾過または吸着することにより、空気を清浄化する。しかしながら、近年開発された高い集塵能力を有するHEPA(High−efficiency Particulate Air)フィルタであっても、花粉等から脱離したアレルゲンを確実に捕獲することは困難であり、満足のいく効果を得るには至っていない。
【0006】
これに対し、特開平7−807号公報(特許文献4)には、花粉症の原因となる抗原性物質を失活させる方法として、花粉の抗原蛋白質に変成または化学反応を生じせしめ、花粉の活性度を低下させる方法が提案されている。この花粉の抗原蛋白質に変成または化学反応を生じせしめる具体的な方法としては、熱処理を施す方法、電磁波を利用する方法、コロナ放電を利用する方法、酸またはアルカリ処理などを施す方法などが提案されている。なお、コロナ放電を利用する方法は、直接、花粉にコロナ放電等を照射することにより行なわれるものである。
【0007】
しかしながら、これらの方法を用いた場合にどの程度の効果が得られるかは不明である。また、加熱処理を施した場合には、空気自体を加熱してしまい、室温の上昇をもたらしてしまう。このため、たとえば冷房装置に使用するには適さない。また、電磁波やコロナ放電を用いた場合には、室内の他の電気機器(特に、テレビやラジオ等)に障害を与える可能性があり、あまり好ましいものではない。さらには、酸またはアルカリ処理を用いた場合にも、人体にそれらの液体が付着すると炎症を起こす可能性があり、安全性を確保する点で問題が残る。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−154298号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平8−173843号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2000−111106号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平7−807号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを効果的に失活させることが可能な空気調節装置を提供することにより、アレルギー疾患の発症を効果的に防止することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく空気調節装置は、通風路と、イオン発生装置とを備える。通風路は、吸込口と吹出口との間を連通する。イオン発生装置は、通風路内を通過する空気に正負両方のイオンを放出する。この空気調節装置においては、イオン発生装置から吹出口に至る部分の通風路内における正負それぞれのイオン濃度が、平均1×10個/cm以上となるように構成されている。なお、本明細書において「イオン濃度」とは、臨界移動度が1cm/V・秒以上の小イオンの濃度を意味し、この小イオン濃度の測定には、空気イオンカウンタ(たとえば、ダン科学製空気イオンカウンタ(品番83−1001B))を用いて行なう。
【0014】
このように構成することにより、通風路内において正負イオンによって効果的にアレルゲンを失活させることが可能になるため、アレルギー疾患の発症を未然に防止することが可能になると思われる。また、アレルゲンを失活させるために供される正負イオンは人体に対して無害であり、この点で安全性にも優れている。なお、ここでイオン濃度が平均1×10個/cm以上とは、イオン発生装置を動作させた状態において、イオン発生装置から吹出口に至る部分の通風路内の空間内に含まれる正負それぞれのイオン濃度が、単位立方センチメートルあたり平均1×10個以上であることを指すものであり、局所的にイオン濃度が1×10個/cm未満であっても構わない。
【0015】
上記本発明に基づく空気調節装置にあっては、たとえば、イオン発生装置から吹出口に至る部分の通風路内における正負それぞれのイオン濃度が、平均3×10個/cm以上となるように構成されていることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、さらに効果的にアレルゲンを失活されることが可能になる。なお、ここでイオン濃度が平均3×10個/cm以上とは、イオン発生装置を動作させた状態において、イオン発生装置から吹出口に至る部分の通風路内の空間内に含まれる正負それぞれのイオン濃度が、単位立方センチメートルあたり平均3×10個以上であることを指すものであり、局所的にイオン濃度が3×10個/cm未満であっても構わない。
【0017】
上記本発明に基づく空気調節装置にあっては、たとえば、イオン発生装置から吹出口に至る部分の通風路を1秒以上かけて空気が通過するように構成されていることが好ましい。
【0018】
このように、装置内に吸引した空気が、正負それぞれのイオン濃度が平均1×10個/cm以上、より好ましくは平均3×10個/cm以上である通風路内を1秒以上かけて移動するように構成することにより、装置内部においてアレルゲンを効果的に失活させることが可能になる。このため、吹出口から吹き出されるアレルゲンはもはや高い活性度を有しておらず、室内空間をより確実に清浄化することが可能である。この結果、アレルギー疾患の発症を大幅に低減することが可能になると思われる。
【0019】
上記本発明に基づく空気調節装置にあっては、たとえば、通風路内に空気流を発生させる送風手段を備えていることが好ましい。
【0020】
このように、送風手段を用いて通風路内に空気流を発生させる構成とすることにより、短時間で確実に室内空間の清浄化を図ることができるようになる。また、送風手段の出力を調整することにより、簡便にイオン濃度および通過時間を調整することが可能になる。
【0021】
上記本発明に基づく空気調整装置にあっては、たとえば、イオン発生装置が放電装置であることが好ましい。
【0022】
このように、放電装置を用いたイオン発生装置を利用することにより、通風路内を通過する空気に簡便に正負両方のイオンを放出することが可能になるとともに、印加電圧を調節することによって簡便にイオン濃度を調整することが可能になる。
【0023】
上記本発明に基づく空気調節装置にあっては、たとえば、吸込口からイオン発生装置に至る部分の通風路内に塵埃を集塵する集塵手段を備えていることが好ましい。
【0024】
このように、イオン発生装置の上流側に集塵手段を配置することにより、イオン処理前に比較的粒径の大きい塵埃(花粉等)を効果的に除去することが可能になるため、イオン処理を施す空気中に含まれる塵埃が粒径の小さいアレルゲン等のみとなる。このため、イオン発生装置から放出されたイオンが効果的にアレルゲンに作用するようになり、アレルゲンを失活させ易い空気調節装置とすることが可能になる。なお、集塵手段としては、たとえば、フィルタや電気集塵装置が利用可能である。
【0025】
上記本発明に基づく空気調節装置においては、たとえば、堆積した塵埃を通風路内に舞い上がらせる舞い上げ手段を備えていることが好ましい。
【0026】
このように、堆積した塵埃を強制的に舞い上がらせる構成とすることにより、活性度の高いアレルゲンを残留させることなく、より多くのアレルゲンを効果的に失活させることが可能になる。
【0027】
また、上記本発明に基づく空気調整装置においては、正イオンをH(HO)(nは0または自然数)とし、負イオンをO (HO)m(mは0または自然数)とすることが可能である。
【0028】
なお、ここで、正イオンとして記載したH(HO)(nは0または自然数)は、表記方法を変更するとH(HO)(nは自然数)と記述することが可能であり、これらは同等のイオンを示すものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
(アレルゲン)
本発明において「アレルゲン」とは、スギ、ヒノキ、ブタクサ、オオアワガエリ、ヨモギ等の花粉や、ダニ等の生物に含まれる物質であって、生体に作用することにより抗原抗体反応の一種であるアレルギー反応を生ぜしめる物質をいうものとする。なお一般には、アレルゲンは、タンパク質もしくは糖タンパク質からなるものであるが、本明細書においてはその形状または大きさは特に限定されず、それらのタンパク質や糖タンパク質自体の分子状のもの、あるいはそれらが集合して粒子状になったもの、またあるいはその分子状のものの一部である抗原決定基等が含まれるものとする。
【0030】
(アレルゲンの失活)
また、本発明において「失活」とは、アレルゲンを変成ないし分解することにより、活性なアレルゲンを消滅させることのみならず、活性なアレルゲンの数を減少させること、および個々のアレルゲンの活性度を低下させることをも含むものとする。
【0031】
(参考とした試験)
発明者は、アレルギー疾患の発生を効果的に防止することが可能な空気調節装置を開発するに際して、以下に示す試験の結果を参考とした。
【0032】
試験は、花粉から抽出したアレルゲンを高濃度の正負両方のイオンを含む雰囲気中にさらすことにより、アレルゲンが失活するかどうか、またアレルゲンが失活した場合にどの程度失活するかを検証したものである。以下においては、この試験の試験方法および試験結果について説明する。
【0033】
(A.試験方法)
まず、ニホンスギ(学名:Cryptomeria Japonica)から採取したスギ花粉を化学処理し、スギ抗原性物質(略称:CJP)を得た。このアレルゲンであるスギ抗原性物質には、主要なアレルゲン蛋白質としてのCry j1およびCry j2が含まれている。
【0034】
つづいて、フォーリン−ローリー(Folin−Lowry)法により、CJPの蛋白量を定量した。
【0035】
次に、CJPを含んだ溶液を密閉空間内にて噴霧器を用いて噴霧し、回収した。このとき、密閉空間内に正負両方のイオンを放出するイオン発生装置を取付けた。そして、イオン発生装置を動作させて密閉空間内の正負両方のイオン濃度を平均1×10個/cmに維持した雰囲気中で噴霧されたサンプルと、イオン発生装置を動作させることなく通常の雰囲気中で噴霧されたサンプルとを得た。
【0036】
この2つのサンプルを比較することにより、イオン処理によってアレルゲンが失活したかどうか、またアレルゲンの失活がどの程度生じたかを評価した。評価方法としては、以下の4つの評価方法が実施された。
【0037】
第1の評価方法は、イライザ(ELISA:Enzyme−linked Immunosorbent Assay)法による評価である。イライザ法は、サンプルを花粉症患者から抽出した血清IgE(免疫グロブリンE)抗体と反応させ、その蛍光強度を測定することによりアレルゲンの活性度を評価するものである。また、サンプルのCJPをCry j1とCry j2とに遠心分離し、モノクローナル抗体と反応させることによってアレルゲン蛋白質ごとにどの程度反応性が低下しているかを評価する。
【0038】
第2の評価方法は、イライザ・インヒビション(ELISA inhibition:Enzyme−linked Immunosorbent Assay inhibition)法による評価である。イライザ・インヒビション法は、上述のイライザ法を用いて血清IgE抗体とアレルゲンの反応性を定量的に比較評価するものである。
【0039】
第3の評価方法は、皮内反応試験と呼ばれる評価方法である。皮内反応試験は、花粉症患者の前腕屈側皮内にCJPを含む溶液を注射し、その後に現れる炎症の大きさによりアレルゲンの失活状況を評価するものである。
【0040】
第4の評価方法は、結膜反応試験と呼ばれる評価方法である。結膜反応試験は、花粉症患者の眼にCJPを含む溶液を滴下し、その後に現れる充血の程度によりアレルゲンの失活状況を評価するものである。
【0041】
(B.試験結果)
図1から図4は、上述の第1の評価方法による試験結果を示す図である。図1から図4に示すように、CJPにイオン処理を施すことにより、患者19から60までの合計42人の花粉症患者のうち、患者40、患者49、患者54および患者57を除く38人の花粉症患者の血清IgE抗体との間で、CJPの抗原抗体反応の反応性が低下していることが確認された(蛍光強度が小さいほど、反応性が低下していることを示している)。また、抗原抗体反応の反応性の低下が確認された38人の花粉症患者のうち、33人の花粉症患者においては、著しい抗原抗体反応の反応性の低下が確認された。
【0042】
図5は、上述の第1の評価方法による他の試験結果を示す図である。図5に示すように、イオン発生装置を作動させない場合に得られるサンプル(すなわち、未処理Cry j1および未処理Cry j2)と、イオン発生装置を作動させ、正負両イオン濃度がそれぞれ平均1×10個/cmとなる雰囲気で作用させた場合に得られるサンプル(すなわち、イオン処理Cry j1およびイオン処理Cry j2)とを比較した場合に、イオン処理を施した場合のサンプルに含まれる抗原性物質であるCry j1およびCry j2とそのモノクローナル抗体との反応性(結合性)が有意に低下していることが確認された。すなわち、Cry j1とモノクローナル抗体との反応性は、未処理のものとイオン処理のものとの間で約5分の1に低下しており、Cry j2においても2分の1以下に低下していることが分かった。
【0043】
図6は、上述の第2の評価方法による試験結果を示す図である。図6に示すように、イオン処理を施していないCJPにおいては、50%阻害(CJPの血清IgE抗体に対する反応率を50%に低下させること)に必要なスギ抗原性物質量は約2.53×10pg/wellであるのに対し、イオン処理を施したCJPでは、50%阻害に必要なスギ抗原性物質量が1.34×10pg/wellにまで低下していることが分かった。すなわち、50%阻害に必要なイオン処理CJPの量は、50%阻害に必要な未処理CJPに対して、約5.3倍もの量が必要であることが確認された。すなわち、これはイオン濃度が平均1×10個/cmの場合に約81%のCJPが失活していることを示している。
【0044】
表1に、上述の第3の評価方法による試験結果を示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004251497
【0046】
ここで、表1においては、注射によって生じる炎症のうち、紅斑が10mm未満の場合を「−」、紅斑が10mm以上20mm未満の場合を「±」、紅斑が20mm以上30mm未満であるか、または膨疹が10mm未満の場合を「+」、紅斑が30mm以上40mm未満であるか、または膨疹が10mm以上15mm未満の場合を「++」、紅斑が40mm以上か、または膨疹が15mm以上の場合を「+++」とした。
【0047】
表1に示すように、花粉症患者AからFの6人全員に対して皮内反応性の低下が確認された。
【0048】
表2に、上述の第4の評価方法による試験結果を示す。なお、患者AからFは、上述の皮内反応試験における患者と同一人である。
【0049】
【表2】
Figure 2004251497
【0050】
ここで、表2においては、滴下によって生じる結膜反応のうち、充血が認められない場合を「−」、僅かに充血が認められ痒み感のある場合を「±」、球結膜上部または下部のいずれかに充血の認められる場合を「+」、球結膜上部または下部のいずれにも充血が認められる場合を「++」、球結膜全体に充血が認められる場合を「+++」、眼瞼の浮腫等が認められる場合を「++++」とした。
【0051】
表2に示すように、花粉症患者AからFの6人のうち、患者Aを除く5人に対して、結膜反応性の低下が確認された。
【0052】
以上の試験結果より、アレルゲンを失活させる方法として、アレルゲンを高濃度の正負両イオンを含む雰囲気中にさらすことが非常に効果的であることがわかる。これは、以下のメカニズムによって生ずるものと解される。
【0053】
まず、空間に正負イオン、すなわち、正イオンは、H(HO)(nは0または自然数)、負イオンは、O (HO)(mは0または自然数)が放出され、放出された正負両イオンが空気中に浮遊しているアレルゲンを取り囲み、アレルゲンの表面で正負両イオンが以下のような化学反応(1)および(2)を起こす。そして、この反応によって生じる活性種である過酸化水素H、二酸化水素HOまたはヒドロキシラジカル・OHが、アレルゲンの抗体反応部位を変成または分解する。これにより、アレルゲンの失活が生じるものと考えられる。
【0054】
【化1】
Figure 2004251497
【0055】
なお、上記の説明においては、正イオンとしてH(HO)(nは0または自然数)を、負イオンとしてO (HO)m(mは0または自然数)をそれぞれ中心に述べてきたが、本発明における正負イオンはこれらのみに限定されるものではない。上記2種の正負イオンを主体としつつ、たとえば、正イオンとしてはN 、O 等を、負イオンとしてはNO 、CO 等をそれぞれ例示することができ、これらを含んでいたとしても同様の効果が期待できる。
【0056】
以下においては、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0057】
(実施の形態1)
図7は、本発明の実施の形態1における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。また、図8は、本発明の実施の形態1における空気調節装置に組付けられるイオン発生装置の構造を示す模式側方断面図である。本実施の形態における空気調節装置は、家庭用の空気清浄機である。
【0058】
(全体構造)
図7に示すように、空気清浄機101は、筐体110と、フィルタ120と、送風手段130と、イオン発生装置140とを備えている。筐体110は、その前面に空気を吸込むための吸込口150を備えており、上面に空気を吹出すための吹出口160を備えている。筐体110の内部には、吸込口150と吹出口160とを連通する通風路170が構成されている。
【0059】
フィルタ120は、筐体110の前面近傍の通風路170内に配置されている。フィルタ120は、その用途に応じて種々のフィルタが適用される。たとえば、上流側から順に、綿埃などの大きい埃を除去するプレフィルタ、脱臭機能を有する脱臭フィルタ、制菌機能を有する制菌フィルタ、および細かい粒径の微粒子を捕獲する集塵フィルタの4つのフィルタを組合わせて配置することにより、高い空気浄化作用を有するフィルタ組品を構成することが可能である。ここで、脱臭フィルタとしては、たとえば活性炭フィルタが利用され、また集塵フィルタとしては、たとえばHEPAフィルタや電気集塵装置等が利用されるのが一般的である。
【0060】
送風手段130は、フィルタ120の下流側の通風路170内に配置されている。通常、送風手段130は、駆動モータと、駆動モータの回転軸に固着されたファンとから構成される。また、ファンとしてはプロペラファンやシロッコファンが利用される。
【0061】
イオン発生装置140は、送風手段130の下流側の通風路170内に配置される。イオン発生装置140は、通風路170内に正負両方のイオンを放出する装置である。
【0062】
(イオン発生装置の構造)
図8に示すように、イオン発生装置140は、第1電極142および第2電極144からなる一対の電極と、これらの間に介在された誘電体146と、第1電極142に電気的に接続された電源148とから構成される。
【0063】
第1電極142は板状の電極であり、板状の誘電体146の下面の一部を覆うように形成されている。また、第2電極144はメッシュ状の電極であり、誘電体146の上面の一部を覆うように形成されている。電源148は交流電源であり、第1電極142に正極と負極の高電圧を交互に印加する。
【0064】
上記構成のイオン発生装置140においては、電源148の作用により、メッシュ形状の第2電極144の端面において電界集中が生じる。このため、この部分(領域149)において沿面放電(プラズマ放電)が発生する。このプラズマ放電が生じる領域149に空気を送り込むことにより、イオンを次々と発生させることが可能になる。なお、上述のイオン発生装置140においては、第1電極142と第2電極144との間で交互に正極と負極が入れ変わるため、正負両方のイオンが発生することになる。
【0065】
また、このイオン発生装置140は、高濃度の正負イオンを放出することが可能なように構成されている。イオン発生装置140から放出可能なイオンの量は電極の構造等により異なるが、たとえば印加電圧をPeak to Peakで3kVから7kV程度とすることにより、多量の正負イオンを供給することが可能である。また、現在の技術では、このときに同時に生成されるオゾンの発生量を比較的少量に抑えることが可能となっており、上述の量のイオンを発生させた場合にも人体に影響がでるおそれはない。また、必要に応じてイオン発生素子を複数個設けることにより、正負イオンの発生量を多くしつつオゾンの発生量を少なくすることが可能である。
【0066】
(通風路の構成)
図7に示すように、本実施の形態における空気清浄機101は、イオン発生装置140が設置された位置から吹出口160が形成された位置に至るまでの通風路(図中、矢印L1で示す部分の通風路)内における正負それぞれのイオン濃度が、平均1×10個/cmとなるように構成されている。また、イオン発生装置140を通過した空気が、吹出口160に至るまでの時間が少なくとも1秒以上となるように調整されている。これらイオン濃度や通過時間の調整は、送風手段130の出力や、図7中に矢印L1で示される部分の通風路の容積、さらにはイオン発生装置140の出力等を調整することにより実現可能である。
【0067】
上記条件は、前述の参考試験結果より算出したものである。本実施の形態における空気清浄機は、吹出口から吹き出される空気中に含まれる高活性アレルゲンの総量を、何らアレルゲンを失活させるための処理を施していない場合に比べて2割以下に減少させることを目的として設計されたものである。このため、上記条件を満足する空気清浄機とすることが必要となる。以下に上記条件の算出方法を明示する。
【0068】
(算出方法)
上述の参考試験においては、密閉空間内にアレルゲンを含む溶液を噴霧し、噴霧されて浮遊するアレルゲンにイオン処理を施している。このときの条件は、以下に示す如くである。
密閉空間の容積:7.7リットル
密閉空間内における平均正イオン濃度:1×10個/cm
密閉空間内における平均負イオン濃度:1×10個/cm
噴霧されるアレルゲンの総量:160ng
アレルゲンの平均落下時間:90秒
アレルゲンの噴霧を継続した時間:90分
このとき、イライザ・インヒビション法によれば、約81%のCJPの失活が得られることがわかっている。
【0069】
上記条件より、7.7リットル×(90分/90秒)=462リットルの仮想の密閉空間を想定した場合に、この密閉空間内のアレルゲン濃度は、160ng/462リットルとなる。また、160ngのアレルゲンを採取するのに必要なスギ花粉の重量は約10mgであるため、上記アレルゲン濃度を花粉濃度に換算すると10mg/462リットル≒21.6mg/mとなる。
【0070】
これに対し、生活環境下におけるスギ花粉の濃度は200〜400個/mであると考えられており、また花粉1個当たりの重量は〜1μg程度であることから、上記密閉空間内における花粉濃度は生活環境下における花粉濃度の約100倍程度であると推定できる。
【0071】
以上より、一般的な生活環境下では参考試験の試験条件よりも短時間でアレルゲンの失活が可能であると予想され、その関係が線形であるとすれば、正負両イオン濃度が平均1×10個/cmの空間に0.9秒以上さらすことにより、高活性アレルゲンの総量を2割以下に低減することが可能であることが推定される。このため、本実施の形態における空気清浄機においては、誤差を考慮し、通過時間を1秒以上に設定することとしている。
【0072】
なお、従来の空気清浄機においては、通常、吹出口における風速が10m/秒〜15m/秒程度に設定されている場合が多く、また、イオン発生装置から吹出口までの距離は最大でも50cm程度となっている。したがって、通過時間は概ね〜0.05秒程度であり、本実施の形態における空気清浄機との差は歴然としている。
【0073】
(作用・効果)
以上の構成とすることにより、吸込口150から吸い込まれた空気中に含まれる花粉は、フィルタ120によって捕獲され、このフィルタ120を通過した微細なアレルゲンもイオン発生装置140から放出される正負両イオンによって失活される。すなわち、通風路170内において正負両イオンがアレルゲンに作用することにより、アレルゲンの抗体結合部位に変成または分解を生じるため、アレルゲンを効果的に失活させることが可能になる。特に、上述の条件にてアレルゲンをイオン処理することにより、吹出口160から吹き出される空気中には、吸込口150にて吸い込まれた高活性アレルゲンの総量に対して2割以下にまでその量を低減することが可能になる。
【0074】
以上の作用により、室内空間を浮遊する高活性のアレルゲンを大幅に減少させることが可能となり、居住者がアレルギー疾患に煩わされることを大幅に抑制することが可能になる。
【0075】
なお、上述の空気清浄機101においては、イオン発生装置140から吹出口160に至る部分の通風路内の正負それぞれのイオン濃度を平均1×10個/cmとなるように構成した場合を例示して説明を行なったが、正負それぞれのイオン濃度を平均3×10個/cmとなるように構成すれば、さらに効果的にアレルゲンを失活させることが可能になる。
【0076】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。本実施の形態における空気調節装置は、上述の実施の形態1と同様に家庭用の空気清浄機である。なお、上述の実施の形態1と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0077】
図9に示すように、本実施の形態における空気清浄機102は、通風路170の底面に舞い上げ手段である振動部180を有している。振動部180は、通風路170の底面に振動を生じさせることにより、通風路170内に堆積した塵埃を巻き上げる機能を有する。この塵埃の中にはアレルゲンが含まれている場合があり、振動部180を用いて塵埃を巻き上げることによってより効果的にアレルゲンを失活させることが可能になる。
【0078】
特に、送風手段130の動作のOFF時には、フィルタ120の近傍の通風路上に塵埃が落下する場合がある。このため、送風手段130をONするタイミングと同期させて振動部180を動作させることにより、通風路170内に堆積した塵埃を通風路170中に巻き上げることが可能となる。この結果、効果的にアレルゲンを失活させることが可能になる。
【0079】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。本実施の形態における空気調節装置は、車載用の空気調和機である。
【0080】
(全体構造)
図10に示すように、車体210は、その前部に車載用の空気調和機201を有している。車載用の空気調和機201は、外気を取り込む外気吸込口250aと車内の空気を取り込む内気吸込口250bと、車内に空気を吹き出す吹出口260と、これら通気口に通風路270を介して接続された空気調和ユニット290とを備えている。空気調和ユニット290は、たとえば取り込んだ空気の温度調節や清浄化を行なうための装置である。
【0081】
(通風路の構成)
本実施の形態における車載用の空気調和機201は、通風路270の所定位置にイオン発生装置240を備えている。イオン発生装置240は、たとえば上述の実施の形態1と同様のものが利用される。この車載用の空気調和機201においては、イオン発生装置240から吹出口260に至る部分の通風路(図中、矢印L2およびL3で示す部分の通風路)内のイオン濃度が正負それぞれ平均1×10個/cmとなるように構成されている。また、イオン発生装置240を通過した空気が、吹出口260に至るまでの時間が少なくとも1秒以上となるように調整されている。
【0082】
これらイオン濃度や通過時間の調整は、図10中の矢印L2およびL3で示す部分の通風路の容積や、イオン発生装置240の出力等を調整することにより実現可能である。また、通風路270内に空気流を発生させる送風手段を別途備えている場合には、この送風手段の出力によっても調整可能である。なお、外気を取り込む場合には、車輌が走行することによって自動的に外気が取り込まれるように構成することが可能である。
【0083】
(作用・効果)
以上の構成とすることにより、吸込口250aまたは250bから吸い込まれた空気中に含まれるアレルゲンは、イオン発生装置240から放出される正負両イオンによって失活される。すなわち、通風路270内において正負両イオンがアレルゲンに作用することにより、アレルゲンの抗体結合部位に変成または分解を生じるため、アレルゲンを効果的に失活させることが可能になる。特に、上述の条件にてアレルゲンをイオン処理することにより、吹出口260から吹き出される空気中には、吸込口250aまたは250bにて吸い込まれた高活性アレルゲンの総量に対して2割以下にまでその量を低減することが可能になる。
【0084】
以上の作用により、車内空間を浮遊する高活性のアレルゲンを大幅に減少させることが可能となり、運転者および同乗者に対して、供給される活性な抗原性物質を大幅に抑制することが可能になる。
【0085】
なお、上述の車載用空気調和機201においては、イオン発生装置240から吹出口260に至る部分の通風路内の正負それぞれのイオン濃度を平均1×10個/cmとなるように構成した場合を例示して説明を行なったが、正負それぞれのイオン濃度を平均3×10個/cmとなるように構成すれば、さらに効果的にアレルゲンを失活させることが可能になる。
【0086】
また、自動車においては、内気循環を続けていると車内の二酸化炭素濃度が高くなるため、内気循環モードが選択されている場合であっても一部外気を導入し、二酸化炭素の高濃度化を防止する構成としている場合がある。花粉症アレルギーを有する人が運転者または同乗者である場合には、なるべく外気を導入しない方が好都合であるが、上記構成を採用している車輌においては、内気導入モードを選択しても一部外気が導入されることになり、不都合が生じる。
【0087】
そこで、内気循環モード選択時に導入される外気に対して、イオン発生装置240から発生される正負イオンを供給する構成とすることにより、外気に含まれるアレルゲンを有意に失活させることができるようになり、二酸化炭素の高濃度化の防止と高活性のアレルゲンの導入の防止が両立されるようになる。
【0088】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における空気調和機の構成を示す模式側方断面図である。本実施の形態における空気調節装置は、電気掃除機である。
【0089】
(全体構造)
図11に示すように、電気掃除機301は、筐体310と、延長管312と、ノズル体314とを備える。筐体310内には、電動送風機などの送風手段330やフィルタや集塵袋などの集塵手段(図示せず)が配置されている。また、筐体310の後面には、吹出口360が設けられている。ノズル体314は、その下面に吸込口350を有しており、この吸込口350は延長管312の内部に形成された通風路370に連通している。通風路370の所定位置には、イオン発生装置340が設けられている。イオン発生装置340は、たとえば上述の実施の形態1と同様のものが利用される。
【0090】
(通風路の構成)
本実施の形態における電気掃除機301においては、イオン発生装置340から吹出口360に至る部分の通風路(図中、矢印L4、L5、L6およびL7で示す部分の通風路)内のイオン濃度が正負それぞれ平均1×10個/cmとなるように構成されている。また、イオン発生装置340を通過した空気が、吹出口360に至るまでに要する時間が少なくとも1秒以上となるように調整されている。
【0091】
これらイオン濃度や通過時間の調整は、送風手段330の出力や、図11中に矢印L4、L5、L6およびL7で示す部分の通風路の容積、さらにはイオン発生装置340の出力等を調整することにより実現可能である。
【0092】
また、集塵手段としていわゆるサイクロン型の集塵装置を採用し、イオン発生装置340から発生された正負両イオンを集塵装置内に導いてアレルゲンと一緒に旋回させるようにすれば、アレルゲンを長時間イオンにさらす条件を容易に実現することが可能である。
【0093】
(作用・効果)
以上の構成とすることにより、吸込口350から吸い込まれた空気中に含まれるアレルゲンは、イオン発生装置340から放出される正負両イオンによって失活される。すなわち、通風路370内において正負両イオンがアレルゲンに作用することにより、アレルゲンの抗体結合部位に変成または分解を生じるため、アレルゲンを効果的に失活させることが可能になる。特に、上述の条件にてアレルゲンをイオン処理することにより、吹出口360から吹き出される排気中には、吸込口350にて吸い込まれた高活性アレルゲンの総量に対して2割以下にまでその量を低減することが可能になる。
【0094】
以上の作用により、室内空間を浮遊する高活性のアレルゲンを大幅に減少させることが可能となり、居住者が高活性の抗原性物質を含む雰囲気にさらされることを大幅に抑制することが可能になる。また、集塵手段として花粉を捕集することができるものを使用すれば、床面に堆積した花粉を他のゴミと一緒に集塵しつつアレルゲンを失活させることが可能になるため、床面からアレルゲンが再飛散することを効果的に防止することが可能になる。
【0095】
なお、上述の電気掃除機301においては、イオン発生装置340から吹出口360に至る部分の通風路内の正負それぞれのイオン濃度を平均1×10個/cmとなるように構成した場合を例示して説明を行なったが、正負それぞれのイオン濃度を平均3×10個/cmとなるように構成すれば、さらに効果的にアレルゲンを失活させることが可能になる。
【0096】
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。本実施の形態における空気調節装置は、上述の実施の形態4と同様に電気掃除機である。なお、上述の実施の形態と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
【0097】
図12に示すように、本実施の形態における電気掃除機302は、ノズル体314の内部に舞い上げ手段である回転ブラシ(パワーブラシ)380を備えている。回転ブラシ380は、たとえば筒状の回転軸と、この回転軸の周面に螺旋状に取り付けられたブラシとから構成され、ノズル体314の下面に設けられた吸込口350近傍に回転自在に支持されている。回転ブラシ380は、図示しないモータ等によって回転駆動され、床面に堆積した塵埃を強制的に掻き揚げ、通風路370内に舞い上げさせる機能を有している。
【0098】
このように構成することにより、回転ブラシ380によって微細なアレルゲンを舞い上がらせて通風路370内に導くことが可能になるため、床面をより清潔に保つことが可能となり、アレルゲンが床面から再飛散することを防止することが可能になる。また、特に絨毯等に埋もれたアレルゲンを吸引する場合大きな効果を発揮する。
【0099】
(他の構成例)
上述の実施の形態1から5においては、いずれもイオン発生装置から吹出口までを1秒以上かけて空気が移動するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。少なくとも通風路内における正負それぞれのイオン濃度を上述の濃度とすることにより、少なからずアレルゲンを失活させる効果は得られるものと考えられる。
【0100】
このアレルゲン失活率は、正負イオン濃度と処理時間に依存する関数であると仮定することが可能である。たとえば、アレルゲン活性度Aの関数を、
A=EXP(−B×時間×正負イオン濃度/アレルゲン濃度)
と仮定し(ここでBは定数)、上述の参考試験の結果をもとに各イオン濃度におけるアレルゲンの失活率を予測すると、たとえば正負それぞれのイオン濃度を平均1×10個/cmとし、イオン発生装置から吹出口までを0.1秒以上かけて空気が移動するように構成した場合には、約15%のアレルゲンの失活が期待できる。また、正負イオン濃度を上昇させた場合には、イオン発生装置から吹出口までの空気の通過時間を短縮しても同等の効果が得られるようになる。すなわち、たとえば正負それぞれのイオン濃度を平均3×10個/cmとし、空気の通過時間を0.33秒とした場合には、80%のアレルゲンの失活が期待される。また、さらに、正負それぞれのイオン濃度を平均3×10個/cmとし、空気の通過時間を0.033秒とした場合には、約15%のアレルゲン失活が期待される。
【0101】
また、上述の実施の形態1から5においては、アレルゲンとして花粉アレルゲンを例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではなく、ダニアレルゲンや糞アレルゲン、さらには有機物に由来するアレルゲン全般に効果があるものと考えられる。
【0102】
また、上述の実施の形態1から5においては、空気調節装置として、空気清浄機、車載用空気調和機および電気掃除機を例示して説明を行なったが、特にこれらに限定されるものではない。本発明において空気調節装置とは、装置外部から空気を装置内部へと導入し、導入した空気に何らかの処理を施した上で装置外部へと送出する装置全般を指すものであり、たとえば、上述の空気清浄機、車載用空気調和機、電気掃除機以外にも、空気調和機、除湿機、加湿器、電気ヒータ、石油ストーブ、石油ファンヒータ、ガスヒータ、冷蔵庫、クーラーボックス、建築物用の空調ダクト、車載用の空調ダクト等を含むものである。
【0103】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0104】
【発明の効果】
本発明により、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを効果的に失活させることが可能な空気調節装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第1の評価方法による試験結果を示す図である。
【図2】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第1の評価方法による試験結果を示す図である。
【図3】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第1の評価方法による試験結果を示す図である。
【図4】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第1の評価方法による試験結果を示す図である。
【図5】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第1の評価方法による他の試験結果を示す図である。
【図6】本発明を完成させるに際して発明者が参考とした試験のうち、第2の評価方法による試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における空気調整装置に取付けられるイオン発生装置の構造を示す模式側方断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。
【図12】本発明の実施の形態5における空気調節装置の構造を示す模式側方断面図である。
【符号の説明】
10 アレルゲン、12 堆積したアレルゲン、20 失活したアレルゲン、101,102 空気清浄機、110 筐体、120 フィルタ、130 送風手段、140 イオン発生装置、142 第1電極、144 第2電極、146誘電体、148 電源、149 (プラズマ放電が生じる)領域、150 吸込口、160 吹出口、170 通風路、180 振動部、201 車載用空気調和機、210 車体、240 イオン発生装置、250a 外気吸込口、250b 内気吸込口、260 吹出口、270 通風路、290 空気調和ユニット、301,302 電気掃除機、310 筐体、312 延長管、314 ノズル体、330 送風手段、340 イオン発生装置、350 吸込口、360吹出口、370 通風路、380 回転ブラシ。

Claims (8)

  1. 吸込口と吹出口との間を連通する通風路と、
    前記通風路内を通過する空気に正負両方のイオンを放出するイオン発生装置とを備え、
    前記イオン発生装置から前記吹出口に至る部分の通風路内における正負それぞれのイオン濃度が、平均1×10個/cm以上となるように構成された、空気調節装置。
  2. 前記イオン発生装置から前記吹出口に至る部分の通風路内における正負それぞれのイオン濃度が、平均3×10個/cm以上となるように構成された、請求項1に記載の空気調節装置。
  3. 前記イオン発生装置から前記吹出口に至る部分の通風路を1秒以上かけて空気が通過するように構成された、請求項1または2に記載の空気調節装置。
  4. 前記通風路内に空気流を発生させる送風手段を備えた、請求項1から3のいずれかに記載の空気調節装置。
  5. 前記イオン発生装置は、放電装置である、請求項1から4のいずれかに記載の空気調節装置。
  6. 前記吸込口から前記イオン発生装置に至る部分の通風路内に、塵埃を集塵するための集塵手段を備えた、請求項1から5のいずれかに記載の空気調節装置。
  7. 堆積した塵埃を前記通風路内に舞い上がらせるための舞い上げ手段を備えた、請求項1から6のいずれかに記載の空気調節装置。
  8. 正イオンがH(HO)(nは0または自然数)であり、負イオンがO (HO)m(mは0または自然数)である、請求項1から7のいずれかに記載の空気調節装置。
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