JP2007021411A - 電気集塵機および空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気集塵機Dは、送風路15の上流側に配置され、放電電極21および、この放電電極と対向して設けられる対向電極23を備え、塵埃に荷電するイオン化部40と、このイオン化部の送風路下流側に配置され、高圧電極26および、この高圧電極と対向して設けられる集塵側アース電極24を備え、荷電された塵埃を集塵する集塵部50とから構成され、集塵部を構成する高圧電極および集塵側アース電極の少なくとも、いずれか一方の電極表面に、ゼオライト等の吸着成分および、酸化チタン(TiO2)、銀(Ag)などの触媒成分を有する脱臭剤Zを被着した。
【選択図】 図3
Description
従来の空気調和機においては、たとえば本出願人が出願した[特許文献1]に記載してあるように、室内熱交換器の前面側に空気清浄装置を配置する構成が一般的に採用されている。上記空気清浄装置は、集塵ユニット(電気集塵機)と脱臭ユニットが左右に並べられている。これら集塵ユニットと脱臭ユニットは互いに独立した部品であり、別個に機能する。
しかしながら、[特許文献1]の技術によれば、集塵機能を有するユニットと、脱臭機能を有するユニットとを別個に用意して、同一高さ位置に左右に並べて取付けなければならない。当然、熱交換器の面積が設定されているため、自ずと各ユニットの面積も限定されてしまい、それぞれの能力を増大するために面積を拡大できない。
そこで、たとえば[特許文献2]および[引用文献3]で開示されるような電気式集塵機が提案されるに至った。
上記[特許文献3]は、集塵機能とともに、長期に亘る脱臭機能を合せ持つことを特徴とする電気集塵装置である。具体的には、イオン化部以降の空気通過路中に酸化触媒を配置し、イオン化部で生じた活性酸素と臭気物質との反応による無臭化に加えて、活性酸素で励起される酸化触媒によって臭気物質の無臭化をなす。
このように、いずれの電気集塵機においても、本来の集塵機能に加えて、脱臭機能を備えていることを特徴とする。
[特許文献3]では、酸化触媒は集塵部を構成する複数枚の電極板相互間に配設される。しかるに、空気調和機では各電極板相互間に熱交換空気を流通させているので、ここに酸化触媒を配設すると、酸化触媒が通風抵抗となってしまい熱交換効率の低下を招く。充分な通風量を確保すべく電極板相互の間隙を大きくすると、電気集塵機が大型化して空気調和機に搭載することができなくなる。
さらに、上記目的を達成するため本発明の空気調和機は、筐体からなるユニット本体内に室内熱交換器と送風機を対向して配置し、送風機の送風作用にともなってユニット本体内に送風路を形成し、送風路の室内熱交換器上流側に上述した電気集塵機を配置する。
はじめに、空気調和機について説明する。図1は空気調和機を構成する室内ユニットSの概略断面図である。
空気調和機は、上記室内ユニットSと図示しない室外ユニットとから構成されていて、これら室内ユニットSと室外ユニットは冷媒管および電気配線によって接続される。室外ユニットには、圧縮機や室外熱交換器などの冷凍サイクル構成部品の他に、室外送風機や弁類、配管類等が収容される。
ユニット本体1の上面部に上面吸込み口2が設けられ、前面部に前面吸込み口3が設けられる。前面吸込み口3の下部に沿って吹出し口4が設けられる。上面吸込み口2にはグリル5が嵌め込まれていて、常時、開口状態にある。前面吸込み口3には前面パネル6がリンク式の開閉機構(図示しない)を介して開閉自在に取付けられる。
上記吹出し口4には、上下部2枚の水平ルーバ7A,7Bが上下に並行して設けられる。下部水平ルーバ7Bの水平長手方向とは直交する前後方向寸法が、上部水平ルーバ7Aの水平長手方向とは直交する前後方向寸法よりも大に形成される。
これら上下部水平ルーバ7A,7Bは、それぞれ別個の駆動機構(図示しない)に連結されていて、別個に回動制御される。すなわち、上下部水平ルーバ7A,7Bは吹出し口4から吹出される熱交換空気の上下方向の風向を設定する、もしくは吹出し口4を閉成する。
上記室内熱交換器9を構成する前側熱交換器部9Aの前面側には、後述する電気集塵機Dが取付けられている。この電気集塵機Dは、本来の集塵動作をなすとともにオゾン発生装置として動作させることも可能である。
上記熱交換器9の前後側熱交換器部9A,9Bの相互間で、かつ上記吹出し口4と対向して室内送風機12が配置される。この室内送風機12は、室内熱交換器9の幅方向寸法と略同一の軸方向寸法を備え、室内熱交換器9と対向して配置される横流ファンと、この横流ファンを回転駆動するファンモータとから構成される。
前後ドレンパン13a,13bと近接した位置には、室内送風機12のファンに対するノーズを構成し、かつ吹出し口7に亘って隔壁部材14が設けられる。この隔壁部材14と上記後板1Bとで囲まれる空間が、ノーズと吹出し口4とを連通する送風路15の一部となる。
一方、上面吸込み口2および前面吸込み口3と、前部熱交換器部9Aおよび上部熱交換器部9Bとの間にフィルタFが取付けられる。このフィルタFは、前面パネル6を開放した状態で、吹出し口4上端から挿着され、必要に応じて同部位から取外し自在である。
つぎに、上記電気集塵機Dについて詳述する。図2は、電気集塵機Dを分解して示す斜視図である。
ケース本体30は、上記ワイヤーガード20と、アッパーフレーム22およびロアーフレーム28の組立て体である。このケース本体30内に上記放電電極21および他の構成部品を収容することで電気集塵機Dが組立てられる。電気集塵機Dは、ワイヤーガード20を手前側にして立て、ロアーフレーム28を背面側にして、上記室内熱交換器9の前面部に取付けられる。
上記ケース本体30を構成するワイヤーガード20と、アッパーフレーム22およびロアーフレーム28は、それぞれ難燃合成樹脂材であるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PC樹脂(ポリカーボネート)、PET樹脂(強化ポリエチレンテレフタレート)等のいずれかから選択される。
上記ロアーフレーム28も同様に矩形の枠状をなしていて、長手方向の中間部に中間部材33が幅方向に亘って架設され、開口部はケース本体30における気流の流出口34を形成している。ロアーフレーム28は、上記給電部材27を取付けた高圧電極26と、対向電極23および集塵側アース電極24を一体化したマイナス電極部25を支持する。
上記対向電極23は、たとえば体積抵抗率が10 1〜 2ΩcmのPP導電性難燃樹脂等の合成樹脂材からなっていて、電極面が互いに対向するように所定間隔で並べられる複数の電極板から構成される。上記電極板は幅方向に所定の間隔を存して、長手方向に沿って設けられる。
上記対向電極23と互いに背中合わせにして一体化される上記集塵側アース電極24は、対向電極23と同一の素材から形成される。この集塵側アース電極24は、電極面が互いに対向するよう複数の電極板を備えていて、これら電極板は集塵側アース電極24の長手方向に所定の間隔を存し、幅方向に亘って設けられる。
ここでは、上記集塵部50を構成する高圧電極26および集塵側アース電極24の少なくとも、いずれか一方の電極表面に、ゼオライト等の吸着成分および、酸化チタン(TiO2)、銀(Ag)などの触媒成分を有する脱臭剤Zが被着されることを特徴とする。
各図は、放電電極21と対向電極23とから構成されるイオン化部40に隣接して、高圧電極26と集塵側アース電極24とから構成される集塵部50を配置した電気集塵機Dの概略構成を示している。後述する送風機12の作用によって形成される通風路15の上流側にイオン化部40が配置され、下流側に集塵部50が配置される。
電気集塵機Dの組立てにあたって、アッパーフレーム22に放電電極21が取付け支持され、対向電極23とアース電極24を連結化したマイナス電極部25および給電部材27が嵌め込まれた高圧電極26はロアーフレーム28に取付け支持される。そして、アッパーフレーム22とロアーフレーム28とを組合せたうえに、上記ワイヤーガード20をアッパーフレーム22に取付けることで完成する。
冷凍サイクル運転と同時に駆動される送風機12の送風作用により室内空気がユニット本体1内に導入されると、一部の室内空気は上記熱交換器9に到達する以前に電気集塵機Dに導かれる。電気集塵機Dにおいて室内空気は、ワイヤーガード20に形成される流入口31からイオン化部40へ導かれる。
上記集塵部50を構成する集塵側アース電極24は、上記対向電極23と一体に連結されてマイナス電極部25を構成するところから、アース電位が与えられる。その一方で、集塵部50を構成する高圧電極26には正の電位が与えられる。集塵側アース電極24と高圧電極26との間には電位差に起因する電界が発生しており、プラスに荷電された浮遊塵埃の粒子は電界の作用にともなう静電力によって高圧電極26に吸引され捕捉される。
なお、イオン化部40におけるコロナ放電によって活性酸素(オゾンを含む)が発生し、この活性酸素が臭気物質と反応して無臭化が図れる。たとえば、アンモニアNH3は、活性酸素との反応でN2+H2Oとなる。さらに活性酸素は、脱臭剤Zに含まれる触媒成分を励起して、脱臭剤Z表面での臭気物質の酸化を促進し、臭気物質の無臭化が促進される。
ここでは、液体脱臭剤塗料Zを高圧電極26および集塵側アース電極26のいずれか一方の電極表面もしくは、両方の電極表面に塗装しているので、イオン化部40を通過した浮遊塵埃と臭気物質をともに捕捉して通過させない。
すなわち、集塵機能とともにイオン化部40で生じるオゾンを含む活性酸素で空気中の臭気成分の無臭化を図るとともに、オゾンを分解して不必要なオゾン濃度を低下させる。脱臭剤Z中に銀が含まれると、銀と酸化チタンとの相乗効果により、脱臭剤Zの表面に付着した汚れを効率よく分解する。
その点、上述したように集塵部50を構成する高圧電極26と集塵側アース電極24の電極表面に脱臭剤Zを塗布しても、放電などにより塗膜の破壊が生じ難いために、長期間に亘り塗膜面を新品状態に維持でき、防臭効果を持続できる。
以下、脱臭剤Zの仕様と性能を具体的に挙げて説明する。
[表1]に示すように、A〜Cの3種類の異なる組成の脱臭剤を用意する。それぞれの脱臭剤をもって集塵部50を構成する高圧電極26と集塵側アース電極24の少なくともいずれか一方の電極表面に塗布する。
図から明らかなように、特に臭気対象がアンモニアの場合に、互いの変化M、Nにおける除去率は大きな差がある。臭気対象がアセトアルデヒトの場合に、互いの変化M、Nにおける除去率はわずかの差でしかない。臭気対象が酢酸の場合は、アンモニアよりも差が少ないがアセトアルデヒトよりも差が大である。脱臭性能TOTALとしては、3種類の脱臭剤A〜Cの平均値が現行光再生脱臭フィルタよりも10%以上優れていることが分かった。
[表3]は、電気集塵機Dの運転開始から、45分経過後の脱臭剤が高圧電極から発生するオゾンを分解吸収する能力を具体的な数値をもって示している。すなわち、脱臭剤Zを塗布することで、オゾン濃度を約1/10に低減できることが分かった。
なお、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
Claims (3)
- 送風路の上流側に配置され、放電電極および、この放電電極と対向して設けられる対向電極を備え、送風路に導かれる塵埃を荷電するイオン化部と、このイオン化部の送風路下流側に配置され、高圧電極および、この高圧電極と対向して設けられる集塵側アース電極を備え、荷電された塵埃を集塵する集塵部とから構成される電気集塵機において、
上記集塵部を構成する高圧電極および集塵側アース電極の、少なくともいずれか一方の電極表面に、ゼオライト等の吸着成分および、酸化チタン(TiO2)、銀(Ag)などの触媒成分を有する脱臭剤を被着したことを特徴とする電気集塵機。 - 上記脱臭剤は塗料で構成され、この液体脱臭剤塗料を上記集塵部の高圧電極に塗装したことを特徴とする請求項1記載の電気集塵機。
- 筐体からなるユニット本体内に、室内熱交換器と送風機を対向して配置し、上記送風機の送風作用にともなってユニット本体内に送風路を形成し、この送風路の上記室内熱交換器上流側に電気集塵機を配置した空気調和機において、
上記電気集塵機は、送風路の上流側に配置され、放電電極および、この放電電極と対向して設けられる対向電極を備え、送風路に導かれる塵埃を荷電するイオン化部と、このイオン化部の送風路下流側に配置され、高圧電極および、この高圧電極と対向して設けられる集塵側アース電極を備え、荷電された塵埃を集塵する集塵部とから構成され、
上記集塵部を構成する高圧電極および集塵側アース電極の、少なくともいずれか一方の電極表面に、ゼオライト等の吸着成分および、酸化チタン(TiO2)、銀(Ag)などの触媒成分を有する脱臭剤を被着したことを特徴とする空気調和機。
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