JP2004251422A - パイロット式自閉弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作ストロークが短く、操作力が軽く、コンパクトで組み立て性がよく、使用者が使用中に吐水時間を容易に調整することができるパイロット式自閉弁を提供することを目的とする。
【解決手段】主弁と、この主弁の開閉を司るパイロット弁とを備え、パイロット弁の開操作で、圧力室の一次圧を開放して主弁を開き、パイロット弁の閉止で、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より圧力室に一次圧を満たすことにより、主弁を自閉するパイロット式自閉弁であって、
パイロット式自閉弁の本体内部の一端にはパイロット弁、他端には主弁、この両弁と本体内壁によって圧力室形成している。パイロット弁は本体外部と内部を連結する押し棒に配置され、主弁は流入口に配置され、本体の外部と圧力室とが連通する圧力解放孔を本体の側方に形成し、流入口と連通する流出口を本体の側方に形成したことを特徴とするパイロット式自閉弁。
【選択図】 図7
【解決手段】主弁と、この主弁の開閉を司るパイロット弁とを備え、パイロット弁の開操作で、圧力室の一次圧を開放して主弁を開き、パイロット弁の閉止で、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より圧力室に一次圧を満たすことにより、主弁を自閉するパイロット式自閉弁であって、
パイロット式自閉弁の本体内部の一端にはパイロット弁、他端には主弁、この両弁と本体内壁によって圧力室形成している。パイロット弁は本体外部と内部を連結する押し棒に配置され、主弁は流入口に配置され、本体の外部と圧力室とが連通する圧力解放孔を本体の側方に形成し、流入口と連通する流出口を本体の側方に形成したことを特徴とするパイロット式自閉弁。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイロット式自閉弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパイロット式自閉弁は、節水の観点から浴室や洗面所の水栓の吐水および自動水止め機構として採用されていることが多く、そのほとんどは主弁とこの主弁の開閉を司るパイロット弁とから構成される。
まず、このパイロット式自閉弁における吐水・止水の作動の概要を説明する。
従来のパイロット式自閉弁は、操作釦などの操作手段に連動して、パイロット弁を開くことで、主弁背面の圧力室の一次圧を開放することができる。これにより、圧力差を生じて主弁を自動的に開かせて、吐水を開始することができる。
また、操作釦などの操作手段を開放することにより、パイロット弁が閉じると、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より緩やかに圧力室に一次圧が満たされて、主弁を緩やかに閉じて、吐水が終了する。
このようにパイロット式自閉弁は、パイロット弁を操作する僅かな仕事量で主弁の操作を行うことができ、使用者にとっては操作が容易という特徴がある。
【0003】
上記従来のパイロット式自閉弁の第1例を図10に示す。
このタイプのパイロット式自閉弁は、
(1)外部の操作部6およびこの操作部6に連結された押し棒15と、
(2)主弁9と、
(3)パイロット弁10と、
(4)主弁9背部に形成された圧力室11と、
(5)圧力室11と一次側通路12を連通して圧力室11下方壁に設けられた小孔13と、
から構成されている。
このパイロット式自閉弁においては、主弁9内部に貫通穴51とパイロット弁10の弁座31とが形成されている。その貫通穴51にはパイロット弁10の弁軸52が挿入されている。
このように上記(1)から(5)が同軸上に配置され、パイロット弁10を主弁9が包含する構成となっているのが、このタイプの特徴である。
(例えば、非特許文献1を参照のこと。)
【0004】
さらに作動状況を詳しく図10によって説明する。
外部の操作部6を押圧することで、この操作部6に連結された押し棒15が軸方向に移動する。
主弁9の貫通穴51の一端より僅かにパイロット弁10の弁軸52の端部が突出しているため、操作部6を押圧すると、押し棒15先端が弁軸52端部に当接し、パイロット弁10を弁座31から若干離座させる。さらに操作部6を押し込むと、押し棒15がパイロット弁10と主弁9とを軸方向に移動させ、パイロット弁10が弁座31から完全に離座し、パイロット弁10は開弁する。
【0005】
パイロット弁10の開弁により主弁9背部に形成された圧力室11に満たされていた一次圧は主弁9の貫通穴51と弁軸52の隙間より二次側通路29へ解放され、圧力が低下する。
そして、この圧力室11の圧力低下により、主弁9に加わる付勢力が着座する方向の付勢力よりも離座する方向の付勢力が勝って、主弁9は主弁座19から遠ざかり、十分な吐水が行われるのである。
【0006】
次に、使用者が操作部6から手を離し、外部の操作部6の押圧が無くなると、この操作部6は戻りばね53の作用で当初の位置まで直ちに戻る。これに応じパイロット弁10を押していた押し棒15も当初の位置まで直ちに戻る。そして、パイロット弁10が当初の位置まで直ちに戻り、パイロット弁10は着座しパイロット弁10を閉弁する。
この時、主弁9はまだ開の状態であり、吐水は続けられるが、圧力室11の下方に設けた小孔13を通して一次側通路12の一次圧が徐々に圧力室11内に流入し、圧力室11の圧力は徐々に上昇する。この圧力の上昇により主弁9は緩やかに主弁座19の方向に移動し、ついには着座して吐水は終了する。
【0007】
図11には、第2例として別の従来のパイロット式自閉弁を示した。
このタイプのパイロット式自閉弁は、
(1)操作部6およびこの操作部6に連結された押し棒15と、
(2)主弁9と、
(3)前記押し棒15先端に一体的に設けられたパイロット弁10と、
(4)主弁9背部に形成された圧力室11と、
(5)圧力室11と一次側通路12を連通して圧力室11側壁に設けらた小孔13と、
(6)パイロット弁座31を介して圧力室11と二次側通水路29を連通する圧力解放孔30と、
から構成されている。
このように第1例のものとは違い、上記(1)から(6)は同軸上に配置されず、押し棒15先端に一体的にパイロット弁10が設けられており、またパイロット弁10と主弁9も別体に分離して配置されている。さらにパイロット弁座31と主弁座19とが圧力室11内に対向して配置されているのが、このタイプの特徴である。
(たとえば、特許文献1を参照のこと。)
【0008】
上記の構造における作動状況を詳しく図11によって説明する。
外部の操作部6を押圧することで、この操作部6に連結された押し棒15およびパイロット弁10は軸方向に移動する。パイロット弁10の移動により、パイロット弁10はパイロット弁座31から離座し、パイロット弁10は開弁する。パイロット弁10の開弁により主弁9背部の圧力室11に満たされていた一次圧は圧力解放孔30から解放され、圧力が低下する。
この圧力室11の圧力低下により、主弁9は主弁座19から離座し、吐水が開始する。
【0009】
次に、使用者が操作部6から手を離し、外部の操作部6の押圧が無くなると、この操作部6は戻りばね34の作用で当初の位置まで直ちに戻る。これに応じ押し棒15およびパイロット弁10も当初の位置まで直ちに戻る。これによりパイロット弁10はパイロット弁座31に着座しパイロット弁10は閉弁する。
この時、主弁9はまだ開の状態であり、吐水は続けられるが、圧力室11の側方に設けた小孔13を通して一次側通水路12の一次圧が徐々に圧力室11内に流入し、圧力室11の圧力は徐々に上昇する。この圧力の上昇により主弁9は緩やかに主弁座19の方向に移動し、ついには着座して吐水は終了する。
以上のとおり、図11に示した第2例の作動原理は、基本的に図10の第1例と同様である。
【0010】
【非特許文献1】
TOTO総合カタログ2001−2002、2001年6月1日、P.668−669
【特許文献1】
特開平10−132120号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した図10および図11に代表される従来のパイロット式自閉弁においては、以下の課題があった。
図10に代表されるパイロット式自閉弁においては、外部からの押圧操作時に操作ストロークが大きくなる傾向があり、使用者の感じる操作感が良好ではなかった。
なぜならば、このパイロット式自閉弁においては、パイロット弁10を主弁9が包含して構成されており、主弁9の開弁方向とパイロット弁10の開弁方向は同一方向となっている。このため、長い吐水時間を確保しようとすると、主弁9を主弁座19から十分な距離を空けて離座させる必要があり、押し棒15によって、パイロット弁10のみならず、主弁9も押し込む必要があり、その分押し込むストロークを大きくしなければならなかった。
したがって、使用者の操作時のストロークも大きくなる。
さらに、パイロット弁10のストロークと同時に主弁9も押し込むため、操作に要する荷重も高くなる傾向があった。
【0012】
また、図10に代表されるパイロット式自閉弁においては、吐水時間を長くするためには、小孔13の径を小さくする必要があった。
しかしながら、小孔の加工精度にも限界があり、これによる吐水時間の調整は現実的には困難である。
【0013】
一方、図11に代表される従来のパイロット式自閉弁においては、主弁9とパイロット弁10を別体に分離して構成したことで、僅かなパイロット弁10のストロークで圧力室11の水圧を解放し、主弁9を開弁させて吐水を行うことができる。よって、図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁のストロークを小さくでき、図10のパイロット式自閉弁の操作性を改善することができたと言える。
【0014】
しかしながら、図11のパイロット式自閉弁においては、以下の課題を有している。
図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁の本体(外径)の大きさをコンパクトにすることが困難であった。
なぜならば、このようなパイロット式自閉弁においては、圧力解放孔30と二次側通水路29とを連通させる必要がある。二次側通水路29は、主弁9の下方向の軸上に形成した流出口に連通させて設けられているため、圧力解放孔30はパイロット弁10側の本体の側方から下方向まで通水路を形成して、二次側通水路29に連通させなければならない。そのため、この圧力解放孔30を本体の側面方向に配置するためのスペースを確保するだけで、本体の側面方向の寸法(外径)が大きくなってしまうのである。
また、主弁9への流入口14を本体の側方に形成し、この流入口14に連通して小孔13が本体側方に形成されている。この流入口14ならびに小孔13を本体の側方に配置するスペースを確保するため、さらに本体の側面方向の寸法(外径)が大きくなってしまうのである。
【0015】
ここで通水経路について見てみると、図10のパイロット式自閉弁において、一次側通水路12からの流入路は、パイロット式自閉弁本体の上部右側面から直角に流入し、パイロット式自閉弁本体の上部左側面から二次側通水路29へ流出していて、一次側通水路の流入路と流出路は同軸上にある。次に圧力室11の通水経路においては、流入経路としてパイロット式自閉弁本体の底面の小孔13から流入して、パイロット式自閉弁本体上部側面から二次側通水路29へ流出している。パイロット式自閉弁本体の幅は大きくならないが、圧力室を主通水路とは別に一次側通水路12の流入路の下側に配置するため、パイロット式自閉弁本体の長さは長くなる。そして、一次側通水路12からの流入路とパイロット式自閉弁本体の底面の小孔13には、常に一次側通水路12に接していなければならない。つまり、2方向の流入路を確保するために、図10のように自閉水栓本体の形状がいびつになってしまう。
【0016】
次に、図11のパイロット式自閉弁において、一次側通水路12からの流入路は、パイロット式自閉弁本体の下側から流入して、パイロット式自閉弁本体で方向をユーターンさせられてパイロット式自閉弁本体下部から流出される。圧力室11への通水経路としては、パイロット式自閉弁本体上部左側面にある小孔13に流入して、パイロット式自閉弁本体上部から右側面にある圧力開放孔30へ流出される。また、一次側通水路12からの流入路とパイロット式自閉弁本体上部左側面にある小孔13には、常に一次側通水路12に接していなければならないので、パイロット式自閉弁本体左側面には、パイロット式自閉弁本体の全長に渡って一次側通水路が形成される。
従って、図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁本体の全長に渡ってかつ、同一平面視上に通水路を3本形成する必要があり、3本の通水路がパイロット式自閉弁本体の幅を大きくしているので、図11のパイロット式自閉弁を搭載した図12の自閉水栓の外径も大きくなってしまう。
【0017】
さらに、図11のパイロット式自閉弁においては、小孔13にクリーニングピンを設ることが困難であった。
一般に自閉弁における圧力室11と一次側通水路12を連通する小孔13は非常に小径であり、流体中のごみの詰まりやスケールの付着が生じることがある。そのため、小孔13より僅かに小径のピンを小孔13に貫通して配置し、自閉弁の作動の度にピンと小孔内壁の摺動でごみの詰まりやスケールの付着を防止することが好ましい。
しかしながら、図11のパイロット式自閉弁においては、この小孔13が主弁9やパイロット弁10と同軸に配置できず、またクリーニングピンの進退方向が主弁9やパイロット弁10と同方向でもないため、通常は主弁9やパイロット弁10と連結して設けられるクリーニングピンを設けることが困難なのである。
【0018】
また、図10と図11に示した第1例と第2例ともに、給水圧が低水圧の場合、主弁にかかる圧力差が十分に確保できず、パイロット式自閉弁が確実に自閉動作を行われないおそれがある。
【0019】
そして、図11のパイロット式自閉弁においては、プラグ55により主弁9の遮断する時間を調整することができる。
しかしながら、プラグ55を本体の側方に配置しているため、水栓などにこのパイロット式自閉弁を組み込む前に調整する必要があり、組込んだ後では調整することができなかった。
【0020】
以上の課題点を鑑み、本発明では、操作ストロークが短く、操作に要する力が軽く、また組み立て性がよいコンパクトなパイロット式自閉弁を提供することを目的とする。
さらに、使用者が使用中に吐水時間を容易に調整することができ、低水圧時にも確実に自閉動作が行えるパイロット式自閉弁を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、第1の発明では、主弁と、この主弁の開閉を司るパイロット弁とを備え、このパイロット弁の開操作により、主弁背面に形成した圧力室の一次圧を開放することで主弁を開き、また、パイロット弁の閉止により、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より緩やかに圧力室に一次圧を満たすことにより、主弁を自閉するパイロット式自閉弁であって、パイロット式自閉弁の本体の一端には、この本体の内部と外部を連結する押し棒が備えられ、外部に配置する押し棒の端部には操作部が設けられ、内部に配置する押し棒の端部にはパイロット弁が配置され、このパイロット弁が着座・離座するパイロット弁座が本体に形成され、かつパイロット弁が着座する方向に付勢力が加わるように戻りばねが配置しており、さらに、パイロット式自閉弁の本体の他端に流入口を形成し、この流入口の近傍に主弁座を形成し、この主弁座に着座・離座する主弁を本体内部に配置し、かつ、主弁とパイロット弁と本体内壁によって圧力室を形成するとともに、さらに、操作部を操作して押し棒にてパイロット弁を操作してパイロット弁がパイロット弁座から離座したときに、本体の外部と圧力室とが連通する圧力解放孔を本体に形成し、主弁が主弁座から離座したときに流入口と連通する流出口を本体に形成し、かつ、この主弁に、流入口から圧力室に貫通するように小孔を設けたことを特徴とするパイロット式自閉弁とした。
【0022】
これにより、操作部を押すこで、主弁に関係なく、操作部と連動した押し棒によってパイロット弁のみを開き、圧力室の圧力を圧力解放孔から逃がすことができる。そして、圧力室の圧力を低下させると主弁の流入口側と圧力室側との圧力差を生じて圧力室側に主弁が押しやられて、主弁が主弁座から離座することができる。
そのため、パイロット弁のみを操作させて開けば、主弁が自動的に開くので、パイロット弁がパイロット弁座から離座する程度に操作部を押せばよく、操作するストローク長さを短くすることができるのである。
また、パイロット弁座を開くのみであるので操作に要する力が軽くて済む。
さらに、流入口を主弁の軸方向に配置し、また小孔を本体ではなく主弁でかつ主弁の軸方向に形成したため、本体側方の寸法を小さく抑えることができる。
また、圧力解放孔と流出口とをいずれも本体側方から取り出している。そのため、パイロット式自閉弁を組み付ける部材を利用して圧力解放孔と流出口とを連通するように圧力解放孔と流出口を連通する通水路を容易に形成することができる。そのため、通水路をパイロット式自閉弁本体に設ける必要がなく、その分、コンパクト化を実現することができる。
【0023】
第2の発明では、前記主弁、パイロット弁、押し棒、および主弁に貫通して設けた小孔、を略同軸に設けるとともに、小孔に貫通し、かつパイロット弁の軸方向進退に連動して進退するクリーニングピンを設けたことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式自閉弁とした。
【0024】
これにより、パイロット弁の開閉動作と主弁の開閉動作とのそれぞれの開閉動作に伴って、クリーニングピンが小孔に対して動くことができる。そのため、開閉動作時に自動的にクリーニングピンによって小孔のごみ詰まりやスケール付着を防止することができる。
【0025】
第3の発明では、前記主弁を主弁座の方向に押圧する補助ばねを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のパイロット式自閉弁とした。
【0026】
これにより、給水圧力が低水圧の現場でも確実に自閉動作が行える。つまり、低水圧の場合、圧力室から受ける水圧が低くなってしまい、主弁にかかる圧力差を十分に確保することができなくなるおそれがあるが、補助ばねの付勢力を利用することで、主弁にかかる圧力差を確保して、主弁を主弁座に着座させて自閉動作を確実にする。
【0027】
第4の発明では、前記パイロット式自閉弁の本体を本体Aと本体Bより構成し、かつ、これらの本体Aと本体Bは螺旋結合し、本体Aには、主弁座、流入口、流出口、本体Bの軸中心回転の規制手段を有し、本体Bには、操作部、押し棒、パイロット弁座、圧力解放孔を有し、かつ、本体AとBとの間に主弁を配置し、本体Aと本体Bとの螺旋結合の進退させることで、本体Aと本体Bの相対的位置の変更および主弁の移動ストロークを変更させることで吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイロット式自閉弁とした。
【0028】
これにより、部品を追加することなく、本体Aと本体Bとの螺旋結合の結合代を調整することで圧力室の大きさを変えて、吐水時間調整の機能を付加することができる。
また、吐水時間調整の操作の結果、操作部の突出位置や押し操作のストロークに変化が生じることがない。つまり、本体Bを周方向に回転するだけで進退はせず、本体Aが進退するように構成しているため、吐水時間を調整しても、パイロット弁と操作部との位置関係ならびに相互関係は変わらず、使用者は常に同じ押し操作をすればよい。
【0029】
第5の発明では、前記操作部を操作する操作釦を備え、この操作面の裏面に突起部を設けて、かつ、本体Bにこの突起部と嵌合する切り欠き部を設け、この操作釦を回転することで、本体Bを本体Aに対して回転させて吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項4に記載のパイロット式自閉弁とした。
【0030】
これにより、操作釦を回転するだけで吐水時間を調整して操作釦を押すことで、使用者が使用するときに吐水量を調整して吐水することができ、使用勝手を向上することができる。
【0031】
【発明の実施形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の斜視図である。
図2は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の断面図である。
図3は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の分解斜視図である。
図4は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する他の形態の自閉水栓例の断面図である。
図5は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の斜視図である。
図6は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、通水状態である。
図7は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、止水状態である
図8は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の分解斜視図である。
図9は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の開閉時における主弁に掛かる圧力の概略図である。
【0032】
図1から図3に、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の一実施例を示す。
図1から図3に示すように、本発明のパイロット式自閉弁4を一次側通水路12と同軸上に配置した自閉水栓本体1においては、一次側通水経路12からの流入路と圧力室11の流入路が同軸上にあり、一次側通水経路12からの流出口38はパイロット式自閉弁4本体側面にあり、圧力室11からの流出口32もパイロット式自閉弁4本体側面にある。つまり、通水流路は、図1の図面上右側からパイロット式自閉弁4本体に流入して、パイロット式自閉弁4本体側面でほほ直角に曲げられ形成される。そのため、自閉水栓本体1の流入路方向が1つになるので、通水路を複雑な形状とせず、ほほ直角に曲げられた通水路を形成すればよい。
【0033】
このように、パイロット式自閉弁4がコンパクトであるため、自閉水栓本体1そのものの大きさをコンパクトにでき、デザイン性が向上する。また、水栓本体1が水栓設置面である壁面2から突出して配置しても、威圧感がなくすっきりと配置することができる。
【0034】
図2、3に示すように、水栓本体1の胴体部3には本発明のパイロット式自閉弁4を搭載し、ナット5で本体1に固定されるとともにパイロット式自閉弁4の操作部6には、操作釦7が固定される。また、胴体部3の一部より吐水口8が分岐し設けられる。
そして、操作釦7を押すことにより、パイロット式自閉弁4が作動して吐水が開始され、一定時間後に自動的に吐水が終了する。
また、このパイロット式自閉弁4を搭載した自閉水栓は、特に洗面所やトイレでの手洗い用水栓としての用途が好適である。
【0035】
次に、図4には、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の他の一実施例を示す。
水栓本体1は、洗面カウンターなどの水平面に設置される。この場合も、パイロット式自閉弁4がコンパクトであるため、自閉水栓本体1そのものの大きさをコンパクトにすることができる。
ほぼ垂直に立ち上がる水栓本体1にパイロット式自閉弁4を同軸上に挿入し、操作釦7を本体上部に取り付けている。
そして、胴体部3の一部より吐水口8が使用者側に向かって分岐されており、この吐水口8から吐水される。
図1から図3に示す自閉水栓と同様に洗面所やトイレでの手洗い用水栓としての用途が好適である。
【0036】
次にパイロット式自閉弁4の内部構造について説明する。
本発明のパイロット式自閉弁4は従来のパイロット式自閉弁と同様に、ピストン状の主弁9と、この主弁9の開閉を司るパイロット弁10とから構成されている。
パイロット弁10の操作により、主弁9の受ける圧力状態が変動することで、吐水開始、吐水終了の動作が行われる。
より具体的な動作は、以下のとおりである。
(1)パイロット弁10の開操作により、主弁9の背面に形成した圧力室11の一次圧を開放することで主弁9を開く。
(2)パイロット弁10の閉弁により、一次側通水路12と圧力室11を連通する小孔13より緩やかに圧力室11に一次圧を満たすことにより、主弁9を徐々に自閉する。
【0037】
本発明のパイロット式自閉弁4においては、図5から図8に示すとおり、流入口14、主弁9、圧力室11、パイロット弁10、押し棒15、操作部6がこの順序で同一軸上に配置される。
より具体的には、パイロット式自閉弁4の本体の一端には、この本体の内部と外部を連結する押し棒15が備えられ、外部に配置する押し棒15の端部には操作部6が設けられ、内部に配置する押し棒15の端部にはパイロット弁10が配置されている。
【0038】
そして、このパイロット弁10が着座・離座するパイロット弁座31が本体B23に形成され、パイロット弁10が着座する方向に付勢力が加わるように戻りばね34が配置している。
また、パイロット式自閉弁4の本体18の他端に流入口14を形成し、この流入口14の近傍に主弁座19を形成し、この主弁座19に着座・離座する主弁9が本体A18,本体B23の内部に配置されている。
【0039】
図7に示すように主弁9とパイロット弁10と本体B23内壁によって圧力室11を形成している。
そして、操作部6を操作することにより押し棒15にてパイロット弁10がパイロット弁座31から離座したときに、本体B23の外部と圧力室11とを連通するための圧力解放孔30を本体B23の側方に形成し、主弁9が主弁座19から離座したときに流入口14と連通するための流出口38を本体A18の側方に形成している。
【0040】
なお、この主弁9に、流入口14から圧力室11に貫通するように小孔を設けおり、さらに、この小孔13には、貫通させてパイロット弁10の軸方向進退に連動して進退するクリーニングピン35を設けている。
また、主弁9を主弁座19の方向に押圧する補助ばね43も設けている。
【0041】
次に、上記の各要素とその付随する部品についてさらに詳しく説明する。
流入口14は、パイロット式自閉弁4の外壁を構成する本体A18の下面に形成した円形の貫通穴により構成される。
流入口14の内側下端には、主弁9が着座・離座するための弁座(主弁座)19を形成するために、ゴム製のシートパッキン20が設けられる。
このシートパッキン20は、貫通穴内周面上の凸部21とシートパッキン20に設けられた凹部22とを嵌合することで固定されている。
【0042】
主弁9は、図1乃至図4に示した本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の一実施例の吐水口8からの吐水の開始・閉止を実際に行う弁体である。
この主弁9は、ピストン状の形状をしており、パイロット式自閉弁4の本体の外壁を構成する本体A18、本体B23の内部に形成されるシリンダ状の空間を、その受ける水圧の状態により軸方向に摺動するように挿入される。
図6および図7において、主弁9はその下面に主弁座19に着座可能なシート部24を有し、主弁9上面側には圧力室11が形成されている。
そして、主弁9の下面は常に一次側通水路12に面している。
また、主弁9の中心軸上には一次側通水路12と圧力室11を連通するために小孔13が設けられている。
また、ピストン状の主弁9は、小径部25と大径部26とを有している。そして、小径部25の一端面が主弁座19に着座・離座するように配置され、大径部26の側面が圧力室11の内側面に接するように配置される。
なお、大径部26には本体B23内側面との隙間27を水密に保つためにシール部材であるUパッキン28が設けられる。このUパッキン28は、主弁9の大径部26の側面円周上に設けられた溝に挿入され、隙間27から圧力室11への流入を防止している。
【0043】
圧力室11は、主弁9の上面側に位置し、主弁9と本体B23とパイロット弁10とによって形成されている。
小孔13から水が流入して圧力室11が水で満たされて圧力室11の圧力が一次圧に等しい場合は、主弁9は主弁座19方向に押される。
一方、パイロット弁10が開いて圧力室11の圧力が二次圧に等しい場合は、主弁9は流入口14側からより圧力を受けて、主弁座19から離座する。
なお、パイロット弁10は、この圧力室11の圧力を、圧力解放孔30を経由して二次側通水路29へ解放するための弁である。
【0044】
この圧力解放孔30は、圧力室11の内壁に形成したパイロット弁座31の開口から本体B23の側方に形成した出口32までを通水路として形成され、本体B23及び本体A18の外部の側方である二次側通水路29へ連通している。
【0045】
パイロット弁10の弁座31に着座する部分にはゴム材料のシール材33を一体的に形成されている。
また、パイロット弁10は押し棒15を介し、本体外部からの操作を可能としており、押し棒の一端には操作手段である操作釦7が取り付けられる。
なお、パイロット弁10は戻りばね34でパイロット弁座31へ着座する方向に付勢されており、押し操作をした時のみパイロット弁10は開弁し、手を離すとパイロット弁10は閉じられるようになっている。
【0046】
また、パイロット弁10の主弁9側の一端にはクリーニングピン35が中心軸上に取り付けられている。そして、このクリーニングピン35は主弁9の小孔13を貫通し、パイロット弁10の操作時における軸方向の進退に伴い、主弁9の小孔13の内周を摺動する。
なお、クリーニングピン35の連結部36は、フック形状として、パイロット弁10との結合を剛体的な固定でなく緩やかに係止させて自由度を持たせている。これにより、主弁9の小孔13位置が成型によって芯ズレを起こしたとしても、緩やかにパイロット弁10に係止しているクリーニングピン35が小孔13の芯ズレを吸収することができるので、主弁9の摺動抵抗の増加に伴う主弁の開閉不良によって十分な吐水量が得られなかったり止水が確実に行われないような不具合を防止することができる。
【0047】
次に、パイロット式自閉弁4の外郭を構成する本体A18、本体B23について説明する。
本体A18と本体B23は、螺旋結合37によりその軸方向の相対的な位置を可変にし、主弁9のストローク(圧力室11の容積)を可変とすることで吐水時間調整を可能としている。
これを表しているのが図2であり、図2の(A)が圧力室11の容積を最大にした図で、図2の(B)が圧力室11の容積を調整した図である。
そして、流入口14は、本体A18の下面に位置し、流出口38は本体A18の側面の開口によって形成されている。従って、吐水時間の調整を行うと、本体A18が上下に移動するが、流入口14と流出口38との相対位置関係は、変わらない。
一方、本体B23には、圧力室11と、圧力解放孔30と、パイロット弁座31と、パイロット弁10の押し棒15が貫通される貫通穴とが形成されている。
【0048】
以上の構成によりパイロット式自閉弁4の作動説明を行う。
(通水の経路の説明)図6を参照のこと。
吐水のための主通水路は、主弁9が主弁座19から離座して開状態にある場合、流入口14から主弁9の小径部25と本体A18の隙間39を経由して流出口38へと連通する経路を取る。
このとき、主弁9の小径部25と本体A18の隙間39の部分が通水路中で最も通水断面積が狭いため、経路中で最も圧力損失が大きい場所である。
【0049】
(閉状態の説明)図7及び図9の(A)を参照のこと。
パイロット弁10は、パイロット弁座31に着座して閉状態となっている。
つまり、圧力室11が主弁9の小孔13より水が流入して一次圧に満たされているので、主弁9が主弁座19に着座した閉状態である。そして、主弁9が着座しているため通水はされない。
主弁9は、流入口14に面する部分と圧力室11に面する部分に相反する方向に一次圧を受ける。しかし、圧力室11に面する部分は主弁9の大径部26によって受圧面積が決まり、また、流入口14に面する部分は主弁9の小径部25によって受圧面積が決まる。そのため、トータルとしては、主弁9は着座方向に力を受けることになる。よって、この閉止の状態は維持される。
【0050】
(開操作の説明)図6及び図9を参照のこと。
押し操作を行い、押し棒15を介し,パイロット弁10が開状態になると、圧力室11に満たされていた一次圧は圧力解放孔30を通じて二次通水路側に急速に解放される。(図9(B))
よって、圧力室11の圧力はほぼ二次側通水路の圧力(二次圧)に等しくなる。
これにより、主弁9の受ける圧力は流入口14に面する部分(小径部25)にかかる一次圧と圧力室11側に面する部分(大径部26)にかかる2次圧との差となり、流入口14に面する部分に受ける圧力が勝って、主弁9は急速に離座し、流入口14から流出口38に沿って水が流れて吐水が開始する。(図9(C))
【0051】
(自閉動作の説明)
操作部6の押し操作を終えると、パイロット弁10は戻りばね34の作用で再び着座して、閉状態となる。
そして、圧力室11は主弁9の小孔13を通じて一次圧が満たされ、主弁9が着座方向に移動する。(図9(D))
なお、小孔13が十分に小さいため流れ込む時間が掛かるため、主弁9が閉止するための移動速度は遅く、数秒から数十秒後に吐水は終了する。
このとき、通水経路中で最も圧力損失が大きい場所は、主弁9の小径部25と本体A18との隙間39である。
【0052】
実際に圧力損失が発生する場所は、流入口から隙間39に流入するときと、隙間39と流出口までの経路を通過するときであり、この隙間39と流出口までの経路長は圧力室11に一次圧が満たされる度に長くなるが、隙間39と流出口までの経路長が最大になっても、流入口から隙間39に流入するときの圧力損失に比べれば、隙間39と流出口までの経路を通過するときの圧力損失は比較にならない程小さいので、流入口から隙間39に流入するときの圧力損失が全体の圧力損失を支配する。
【0053】
すなわち、この隙間39の圧力損失は、主弁のストローク全域に亘ってほぼ一定である。
そのため、最も圧力損失が大きく吐水量(瞬間流量)に影響を及ぼす隙間39の通水面積に変化がないため、吐水開始時から止水時までの吐水量(瞬間流量)をほぼ一定とすることができ、使用者が不便を被ることはない。
【0054】
(吐水時間調整の方法)図2及び図3を参照のこと。
また、本体A18は、下面に突起40を有し、水栓本体側に設けた凹部41と嵌合する。これにより、本体A18は水栓本体1に対して軸方向回転が規制される。
また、本体B23は、鍔部42を有する。そして、その鍔部42がクリアランスをもって挟み込まれて、本体B23が固定される。そのため、その軸方向移動を規制しながら、軸を中心として回転可能に水栓本体1に固定することができる。
一方、本体A18と本体B23は螺旋結合37されているため、本体B23を軸方向回転させることにより、本体A18と本体B23との相対的位置の変更ができる。つまり、本体B23を回転させることで本体A18を軸方向に進退させることができる。そのため、主弁9の移動ストローク(圧力室11の容積)を変更させて、吐水時間調整が可能となるのである。
【0055】
これを表しているのが図2であり、図2の(A)が圧力室11の容積を最大にした図で、図2の(B)が圧力室11の容積を調整した図である。
ここで、隙間39の圧力損失が、主弁のストローク全域に亘ってほぼ一定であるため、圧力室の容積が大きくなる程、圧力室11に一次圧が満たされるまでに要する時間がかかり、この間吐水状態が維持される。従って、圧力室11の容積が大きくすることにより、吐水量を増加させ、圧力室11の容積を小さくすることにより、吐水量を減少させることができる。
【0056】
なお、本実施例においては、操作釦7を回転することで、本体B23の回転を行える。
具体的な構成は、図3に示すとおり、操作釦7の操作面の裏面に2箇所の突起部44を設け、また、本体B23には突起部と嵌合する2箇所の切り欠き部45を設ける。
これにより、操作釦7の軸を中心とする回転は、本体B23に伝えられ、本体B23の軸を中心とした回転を行うことで、本体Aを軸方向に対して進退させて、吐水時間の調整が行うことができる。なお、本体A18は、軸中心回転の規制手段である突起40と凹部41が嵌合されて水栓本体1に固定されているので、本体B23の軸方向の回転に伴って回転することはない。
【0057】
以上のように、使用者が、使用時に工具等を必要とせずに操作釦7を回転することにより、容易に吐水時間の調整が行えるため使用勝手が良好である。また、吐水時間調整を行うための部品を追加することなく、吐水時間調整の機能を付加することができる。
【0058】
また、本体B23に位置する操作部6と押し棒15とパイロット弁10との位置関係は吐水時間調整を行っても変化しない。よって、吐水時間(吐水量)調整の操作の結果、押し操作のストロークに変化が生じることがなく、操作感に影響を与えることがない。
また、本体B23は、回転しても軸方向に進退しないため、使用者が操作する操作釦7の突出位置を変えずに済む。
このように本発明のパイロット式自閉弁では、容易に吐水時間(吐水量)を調整することができるとともに、吐水時間(吐水量)を調整した後でも、使用者にとって、操作性を低下するおそれはない。
【0059】
(低圧時の作動)
主弁9を主弁座19に付勢する方向に補助ばね43が圧力室11内に設けられている。この補助ばね43は低圧時の自閉動作を確実に行うためのものである。
自閉操作においては、主弁9は主弁9が受ける水圧の状態に応じて作動する。この動作が起こるためには、主弁9の小径部25と本体A18との隙間39の部分で十分に圧力損失が発生することが条件となる。この部分での圧力損失が小さいと自閉動作時に主弁9の受ける上面と下面の圧力がほぼ等しくなるため、主弁9を主弁座19方向に移動させる力が生じなくなってしまうからである。
つまり、極めて水圧が低い現場においては、この圧力損失が十分に得られないため、水圧差だけでは自閉動作が正常に行われないおそれがある。
本実施例では、補助ばね43が主弁9を主弁座19に付勢するため、水圧が低い現場や断水等で水圧が極端に落ちた場合でも正常に自閉動作を行わせることが可能である。
【0060】
以上に説明したように、本発明のパイロット式自閉弁においては、パイロット弁10が主弁9と一体的に構成されていないため、僅かなパイロット弁10のストロークで吐水開始がおこり、また、操作時にパイロット弁10のみを押すため操作に要する力も軽くてよい。
また、以上の構成においては、パイロット式自閉弁4の本体(外径)の大きさをコンパクトにすることができる。
すなわち、圧力解放孔30は二次側通水路29と連通させる必要があるが、本発明のパイロット式自閉弁4においては、主弁座19部分を流入口14とし、本体A18側面を流出口38とする流れの構成であるため、流出後の二次側通水路29と本体B23側面に出口を有する圧力解放孔30が近接しており、上記連結が容易であり結果的にパイロット式自閉弁の本体の外径を小径にできるのである。
【0061】
【発明の効果】
以上により、本発明のパイロット式自閉弁の効果をまとめると以下のとおりである。
・操作時のストロークが短く、操作に要する力が軽く、さらにコンパクトであるパイロット式自閉弁を実現することができる。
・押し操作のストロークを極めて小さくし、かつ、ごみ詰まりやスケール付着による不具合の可能性を低く押えることができる。
・低圧の現場でも確実に自閉動作が行える。
・吐水時間調整を行うための部品を追加することなく、吐水時間調整の機能を付加することができる。また、吐水時間調整の操作の結果、操作部の突出位置や押し操作のストロークに変化が生じることがなく、操作感に影響を与えることがなく好ましい。
・操作釦を回転するだけで吐水時間を調整して操作釦を押すことで、使用者が使用するときに吐水量を調整して吐水することができ、使用勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の斜視図である。
【図2】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の断面図である。
【図3】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の分解斜視図である。
【図4】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する他の形態の自閉水栓例の断面図である。
【図5】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の斜視図である。
【図6】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、通水状態である。
【図7】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、止水状態である
【図8】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の分解斜視図である。
【図9】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の開閉時における主弁に掛かる圧力の概略図である。
【図10】従来のパイロット式自閉弁の構造例である。
【図11】他の従来のパイロット式自閉弁の構造例である。
【図12】図11のパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓例の断面図である。
【符号の説明】
1:水栓本体
2:壁面
3:胴体部
4:パイロット式自閉弁(本体)
5:ナット
6:操作部
7:操作釦
8:吐水口
9:主弁
10:パイロット弁
11:圧力室
12:一次側通水路
13:小孔
14:流入口
15:押し棒
18:本体A
19:弁座(主弁座)
20:シートパッキン
21:凸部
22:凹部
23:本体B
24:シート部
25:小径部
26:大径部
27:(大径部周囲の)隙間
28:Uパッキン
29:二次側通水路
30:圧力解放孔
31:弁座(パイロット弁座)
32:(圧力解放孔の自閉弁本体からの)出口
33:(パイロット弁の)シール材
34:(パイロット弁の)戻りばね
35:クリーニングピン
36:フック状の連結
37:螺旋結合
38:流出口
39:(小径部と本体の)隙間
40:(本体Aの)突起
41:(水栓本体の)凹部
42:鍔部
43:補助ばね
44:突起部
45:切り欠き部
51:貫通穴
52:弁軸
53:戻りばね
54:貫通穴
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイロット式自閉弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパイロット式自閉弁は、節水の観点から浴室や洗面所の水栓の吐水および自動水止め機構として採用されていることが多く、そのほとんどは主弁とこの主弁の開閉を司るパイロット弁とから構成される。
まず、このパイロット式自閉弁における吐水・止水の作動の概要を説明する。
従来のパイロット式自閉弁は、操作釦などの操作手段に連動して、パイロット弁を開くことで、主弁背面の圧力室の一次圧を開放することができる。これにより、圧力差を生じて主弁を自動的に開かせて、吐水を開始することができる。
また、操作釦などの操作手段を開放することにより、パイロット弁が閉じると、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より緩やかに圧力室に一次圧が満たされて、主弁を緩やかに閉じて、吐水が終了する。
このようにパイロット式自閉弁は、パイロット弁を操作する僅かな仕事量で主弁の操作を行うことができ、使用者にとっては操作が容易という特徴がある。
【0003】
上記従来のパイロット式自閉弁の第1例を図10に示す。
このタイプのパイロット式自閉弁は、
(1)外部の操作部6およびこの操作部6に連結された押し棒15と、
(2)主弁9と、
(3)パイロット弁10と、
(4)主弁9背部に形成された圧力室11と、
(5)圧力室11と一次側通路12を連通して圧力室11下方壁に設けられた小孔13と、
から構成されている。
このパイロット式自閉弁においては、主弁9内部に貫通穴51とパイロット弁10の弁座31とが形成されている。その貫通穴51にはパイロット弁10の弁軸52が挿入されている。
このように上記(1)から(5)が同軸上に配置され、パイロット弁10を主弁9が包含する構成となっているのが、このタイプの特徴である。
(例えば、非特許文献1を参照のこと。)
【0004】
さらに作動状況を詳しく図10によって説明する。
外部の操作部6を押圧することで、この操作部6に連結された押し棒15が軸方向に移動する。
主弁9の貫通穴51の一端より僅かにパイロット弁10の弁軸52の端部が突出しているため、操作部6を押圧すると、押し棒15先端が弁軸52端部に当接し、パイロット弁10を弁座31から若干離座させる。さらに操作部6を押し込むと、押し棒15がパイロット弁10と主弁9とを軸方向に移動させ、パイロット弁10が弁座31から完全に離座し、パイロット弁10は開弁する。
【0005】
パイロット弁10の開弁により主弁9背部に形成された圧力室11に満たされていた一次圧は主弁9の貫通穴51と弁軸52の隙間より二次側通路29へ解放され、圧力が低下する。
そして、この圧力室11の圧力低下により、主弁9に加わる付勢力が着座する方向の付勢力よりも離座する方向の付勢力が勝って、主弁9は主弁座19から遠ざかり、十分な吐水が行われるのである。
【0006】
次に、使用者が操作部6から手を離し、外部の操作部6の押圧が無くなると、この操作部6は戻りばね53の作用で当初の位置まで直ちに戻る。これに応じパイロット弁10を押していた押し棒15も当初の位置まで直ちに戻る。そして、パイロット弁10が当初の位置まで直ちに戻り、パイロット弁10は着座しパイロット弁10を閉弁する。
この時、主弁9はまだ開の状態であり、吐水は続けられるが、圧力室11の下方に設けた小孔13を通して一次側通路12の一次圧が徐々に圧力室11内に流入し、圧力室11の圧力は徐々に上昇する。この圧力の上昇により主弁9は緩やかに主弁座19の方向に移動し、ついには着座して吐水は終了する。
【0007】
図11には、第2例として別の従来のパイロット式自閉弁を示した。
このタイプのパイロット式自閉弁は、
(1)操作部6およびこの操作部6に連結された押し棒15と、
(2)主弁9と、
(3)前記押し棒15先端に一体的に設けられたパイロット弁10と、
(4)主弁9背部に形成された圧力室11と、
(5)圧力室11と一次側通路12を連通して圧力室11側壁に設けらた小孔13と、
(6)パイロット弁座31を介して圧力室11と二次側通水路29を連通する圧力解放孔30と、
から構成されている。
このように第1例のものとは違い、上記(1)から(6)は同軸上に配置されず、押し棒15先端に一体的にパイロット弁10が設けられており、またパイロット弁10と主弁9も別体に分離して配置されている。さらにパイロット弁座31と主弁座19とが圧力室11内に対向して配置されているのが、このタイプの特徴である。
(たとえば、特許文献1を参照のこと。)
【0008】
上記の構造における作動状況を詳しく図11によって説明する。
外部の操作部6を押圧することで、この操作部6に連結された押し棒15およびパイロット弁10は軸方向に移動する。パイロット弁10の移動により、パイロット弁10はパイロット弁座31から離座し、パイロット弁10は開弁する。パイロット弁10の開弁により主弁9背部の圧力室11に満たされていた一次圧は圧力解放孔30から解放され、圧力が低下する。
この圧力室11の圧力低下により、主弁9は主弁座19から離座し、吐水が開始する。
【0009】
次に、使用者が操作部6から手を離し、外部の操作部6の押圧が無くなると、この操作部6は戻りばね34の作用で当初の位置まで直ちに戻る。これに応じ押し棒15およびパイロット弁10も当初の位置まで直ちに戻る。これによりパイロット弁10はパイロット弁座31に着座しパイロット弁10は閉弁する。
この時、主弁9はまだ開の状態であり、吐水は続けられるが、圧力室11の側方に設けた小孔13を通して一次側通水路12の一次圧が徐々に圧力室11内に流入し、圧力室11の圧力は徐々に上昇する。この圧力の上昇により主弁9は緩やかに主弁座19の方向に移動し、ついには着座して吐水は終了する。
以上のとおり、図11に示した第2例の作動原理は、基本的に図10の第1例と同様である。
【0010】
【非特許文献1】
TOTO総合カタログ2001−2002、2001年6月1日、P.668−669
【特許文献1】
特開平10−132120号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した図10および図11に代表される従来のパイロット式自閉弁においては、以下の課題があった。
図10に代表されるパイロット式自閉弁においては、外部からの押圧操作時に操作ストロークが大きくなる傾向があり、使用者の感じる操作感が良好ではなかった。
なぜならば、このパイロット式自閉弁においては、パイロット弁10を主弁9が包含して構成されており、主弁9の開弁方向とパイロット弁10の開弁方向は同一方向となっている。このため、長い吐水時間を確保しようとすると、主弁9を主弁座19から十分な距離を空けて離座させる必要があり、押し棒15によって、パイロット弁10のみならず、主弁9も押し込む必要があり、その分押し込むストロークを大きくしなければならなかった。
したがって、使用者の操作時のストロークも大きくなる。
さらに、パイロット弁10のストロークと同時に主弁9も押し込むため、操作に要する荷重も高くなる傾向があった。
【0012】
また、図10に代表されるパイロット式自閉弁においては、吐水時間を長くするためには、小孔13の径を小さくする必要があった。
しかしながら、小孔の加工精度にも限界があり、これによる吐水時間の調整は現実的には困難である。
【0013】
一方、図11に代表される従来のパイロット式自閉弁においては、主弁9とパイロット弁10を別体に分離して構成したことで、僅かなパイロット弁10のストロークで圧力室11の水圧を解放し、主弁9を開弁させて吐水を行うことができる。よって、図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁のストロークを小さくでき、図10のパイロット式自閉弁の操作性を改善することができたと言える。
【0014】
しかしながら、図11のパイロット式自閉弁においては、以下の課題を有している。
図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁の本体(外径)の大きさをコンパクトにすることが困難であった。
なぜならば、このようなパイロット式自閉弁においては、圧力解放孔30と二次側通水路29とを連通させる必要がある。二次側通水路29は、主弁9の下方向の軸上に形成した流出口に連通させて設けられているため、圧力解放孔30はパイロット弁10側の本体の側方から下方向まで通水路を形成して、二次側通水路29に連通させなければならない。そのため、この圧力解放孔30を本体の側面方向に配置するためのスペースを確保するだけで、本体の側面方向の寸法(外径)が大きくなってしまうのである。
また、主弁9への流入口14を本体の側方に形成し、この流入口14に連通して小孔13が本体側方に形成されている。この流入口14ならびに小孔13を本体の側方に配置するスペースを確保するため、さらに本体の側面方向の寸法(外径)が大きくなってしまうのである。
【0015】
ここで通水経路について見てみると、図10のパイロット式自閉弁において、一次側通水路12からの流入路は、パイロット式自閉弁本体の上部右側面から直角に流入し、パイロット式自閉弁本体の上部左側面から二次側通水路29へ流出していて、一次側通水路の流入路と流出路は同軸上にある。次に圧力室11の通水経路においては、流入経路としてパイロット式自閉弁本体の底面の小孔13から流入して、パイロット式自閉弁本体上部側面から二次側通水路29へ流出している。パイロット式自閉弁本体の幅は大きくならないが、圧力室を主通水路とは別に一次側通水路12の流入路の下側に配置するため、パイロット式自閉弁本体の長さは長くなる。そして、一次側通水路12からの流入路とパイロット式自閉弁本体の底面の小孔13には、常に一次側通水路12に接していなければならない。つまり、2方向の流入路を確保するために、図10のように自閉水栓本体の形状がいびつになってしまう。
【0016】
次に、図11のパイロット式自閉弁において、一次側通水路12からの流入路は、パイロット式自閉弁本体の下側から流入して、パイロット式自閉弁本体で方向をユーターンさせられてパイロット式自閉弁本体下部から流出される。圧力室11への通水経路としては、パイロット式自閉弁本体上部左側面にある小孔13に流入して、パイロット式自閉弁本体上部から右側面にある圧力開放孔30へ流出される。また、一次側通水路12からの流入路とパイロット式自閉弁本体上部左側面にある小孔13には、常に一次側通水路12に接していなければならないので、パイロット式自閉弁本体左側面には、パイロット式自閉弁本体の全長に渡って一次側通水路が形成される。
従って、図11のパイロット式自閉弁においては、パイロット式自閉弁本体の全長に渡ってかつ、同一平面視上に通水路を3本形成する必要があり、3本の通水路がパイロット式自閉弁本体の幅を大きくしているので、図11のパイロット式自閉弁を搭載した図12の自閉水栓の外径も大きくなってしまう。
【0017】
さらに、図11のパイロット式自閉弁においては、小孔13にクリーニングピンを設ることが困難であった。
一般に自閉弁における圧力室11と一次側通水路12を連通する小孔13は非常に小径であり、流体中のごみの詰まりやスケールの付着が生じることがある。そのため、小孔13より僅かに小径のピンを小孔13に貫通して配置し、自閉弁の作動の度にピンと小孔内壁の摺動でごみの詰まりやスケールの付着を防止することが好ましい。
しかしながら、図11のパイロット式自閉弁においては、この小孔13が主弁9やパイロット弁10と同軸に配置できず、またクリーニングピンの進退方向が主弁9やパイロット弁10と同方向でもないため、通常は主弁9やパイロット弁10と連結して設けられるクリーニングピンを設けることが困難なのである。
【0018】
また、図10と図11に示した第1例と第2例ともに、給水圧が低水圧の場合、主弁にかかる圧力差が十分に確保できず、パイロット式自閉弁が確実に自閉動作を行われないおそれがある。
【0019】
そして、図11のパイロット式自閉弁においては、プラグ55により主弁9の遮断する時間を調整することができる。
しかしながら、プラグ55を本体の側方に配置しているため、水栓などにこのパイロット式自閉弁を組み込む前に調整する必要があり、組込んだ後では調整することができなかった。
【0020】
以上の課題点を鑑み、本発明では、操作ストロークが短く、操作に要する力が軽く、また組み立て性がよいコンパクトなパイロット式自閉弁を提供することを目的とする。
さらに、使用者が使用中に吐水時間を容易に調整することができ、低水圧時にも確実に自閉動作が行えるパイロット式自閉弁を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、第1の発明では、主弁と、この主弁の開閉を司るパイロット弁とを備え、このパイロット弁の開操作により、主弁背面に形成した圧力室の一次圧を開放することで主弁を開き、また、パイロット弁の閉止により、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より緩やかに圧力室に一次圧を満たすことにより、主弁を自閉するパイロット式自閉弁であって、パイロット式自閉弁の本体の一端には、この本体の内部と外部を連結する押し棒が備えられ、外部に配置する押し棒の端部には操作部が設けられ、内部に配置する押し棒の端部にはパイロット弁が配置され、このパイロット弁が着座・離座するパイロット弁座が本体に形成され、かつパイロット弁が着座する方向に付勢力が加わるように戻りばねが配置しており、さらに、パイロット式自閉弁の本体の他端に流入口を形成し、この流入口の近傍に主弁座を形成し、この主弁座に着座・離座する主弁を本体内部に配置し、かつ、主弁とパイロット弁と本体内壁によって圧力室を形成するとともに、さらに、操作部を操作して押し棒にてパイロット弁を操作してパイロット弁がパイロット弁座から離座したときに、本体の外部と圧力室とが連通する圧力解放孔を本体に形成し、主弁が主弁座から離座したときに流入口と連通する流出口を本体に形成し、かつ、この主弁に、流入口から圧力室に貫通するように小孔を設けたことを特徴とするパイロット式自閉弁とした。
【0022】
これにより、操作部を押すこで、主弁に関係なく、操作部と連動した押し棒によってパイロット弁のみを開き、圧力室の圧力を圧力解放孔から逃がすことができる。そして、圧力室の圧力を低下させると主弁の流入口側と圧力室側との圧力差を生じて圧力室側に主弁が押しやられて、主弁が主弁座から離座することができる。
そのため、パイロット弁のみを操作させて開けば、主弁が自動的に開くので、パイロット弁がパイロット弁座から離座する程度に操作部を押せばよく、操作するストローク長さを短くすることができるのである。
また、パイロット弁座を開くのみであるので操作に要する力が軽くて済む。
さらに、流入口を主弁の軸方向に配置し、また小孔を本体ではなく主弁でかつ主弁の軸方向に形成したため、本体側方の寸法を小さく抑えることができる。
また、圧力解放孔と流出口とをいずれも本体側方から取り出している。そのため、パイロット式自閉弁を組み付ける部材を利用して圧力解放孔と流出口とを連通するように圧力解放孔と流出口を連通する通水路を容易に形成することができる。そのため、通水路をパイロット式自閉弁本体に設ける必要がなく、その分、コンパクト化を実現することができる。
【0023】
第2の発明では、前記主弁、パイロット弁、押し棒、および主弁に貫通して設けた小孔、を略同軸に設けるとともに、小孔に貫通し、かつパイロット弁の軸方向進退に連動して進退するクリーニングピンを設けたことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式自閉弁とした。
【0024】
これにより、パイロット弁の開閉動作と主弁の開閉動作とのそれぞれの開閉動作に伴って、クリーニングピンが小孔に対して動くことができる。そのため、開閉動作時に自動的にクリーニングピンによって小孔のごみ詰まりやスケール付着を防止することができる。
【0025】
第3の発明では、前記主弁を主弁座の方向に押圧する補助ばねを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のパイロット式自閉弁とした。
【0026】
これにより、給水圧力が低水圧の現場でも確実に自閉動作が行える。つまり、低水圧の場合、圧力室から受ける水圧が低くなってしまい、主弁にかかる圧力差を十分に確保することができなくなるおそれがあるが、補助ばねの付勢力を利用することで、主弁にかかる圧力差を確保して、主弁を主弁座に着座させて自閉動作を確実にする。
【0027】
第4の発明では、前記パイロット式自閉弁の本体を本体Aと本体Bより構成し、かつ、これらの本体Aと本体Bは螺旋結合し、本体Aには、主弁座、流入口、流出口、本体Bの軸中心回転の規制手段を有し、本体Bには、操作部、押し棒、パイロット弁座、圧力解放孔を有し、かつ、本体AとBとの間に主弁を配置し、本体Aと本体Bとの螺旋結合の進退させることで、本体Aと本体Bの相対的位置の変更および主弁の移動ストロークを変更させることで吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイロット式自閉弁とした。
【0028】
これにより、部品を追加することなく、本体Aと本体Bとの螺旋結合の結合代を調整することで圧力室の大きさを変えて、吐水時間調整の機能を付加することができる。
また、吐水時間調整の操作の結果、操作部の突出位置や押し操作のストロークに変化が生じることがない。つまり、本体Bを周方向に回転するだけで進退はせず、本体Aが進退するように構成しているため、吐水時間を調整しても、パイロット弁と操作部との位置関係ならびに相互関係は変わらず、使用者は常に同じ押し操作をすればよい。
【0029】
第5の発明では、前記操作部を操作する操作釦を備え、この操作面の裏面に突起部を設けて、かつ、本体Bにこの突起部と嵌合する切り欠き部を設け、この操作釦を回転することで、本体Bを本体Aに対して回転させて吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項4に記載のパイロット式自閉弁とした。
【0030】
これにより、操作釦を回転するだけで吐水時間を調整して操作釦を押すことで、使用者が使用するときに吐水量を調整して吐水することができ、使用勝手を向上することができる。
【0031】
【発明の実施形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の斜視図である。
図2は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の断面図である。
図3は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の分解斜視図である。
図4は、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する他の形態の自閉水栓例の断面図である。
図5は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の斜視図である。
図6は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、通水状態である。
図7は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、止水状態である
図8は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の分解斜視図である。
図9は、本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の開閉時における主弁に掛かる圧力の概略図である。
【0032】
図1から図3に、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の一実施例を示す。
図1から図3に示すように、本発明のパイロット式自閉弁4を一次側通水路12と同軸上に配置した自閉水栓本体1においては、一次側通水経路12からの流入路と圧力室11の流入路が同軸上にあり、一次側通水経路12からの流出口38はパイロット式自閉弁4本体側面にあり、圧力室11からの流出口32もパイロット式自閉弁4本体側面にある。つまり、通水流路は、図1の図面上右側からパイロット式自閉弁4本体に流入して、パイロット式自閉弁4本体側面でほほ直角に曲げられ形成される。そのため、自閉水栓本体1の流入路方向が1つになるので、通水路を複雑な形状とせず、ほほ直角に曲げられた通水路を形成すればよい。
【0033】
このように、パイロット式自閉弁4がコンパクトであるため、自閉水栓本体1そのものの大きさをコンパクトにでき、デザイン性が向上する。また、水栓本体1が水栓設置面である壁面2から突出して配置しても、威圧感がなくすっきりと配置することができる。
【0034】
図2、3に示すように、水栓本体1の胴体部3には本発明のパイロット式自閉弁4を搭載し、ナット5で本体1に固定されるとともにパイロット式自閉弁4の操作部6には、操作釦7が固定される。また、胴体部3の一部より吐水口8が分岐し設けられる。
そして、操作釦7を押すことにより、パイロット式自閉弁4が作動して吐水が開始され、一定時間後に自動的に吐水が終了する。
また、このパイロット式自閉弁4を搭載した自閉水栓は、特に洗面所やトイレでの手洗い用水栓としての用途が好適である。
【0035】
次に、図4には、本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の他の一実施例を示す。
水栓本体1は、洗面カウンターなどの水平面に設置される。この場合も、パイロット式自閉弁4がコンパクトであるため、自閉水栓本体1そのものの大きさをコンパクトにすることができる。
ほぼ垂直に立ち上がる水栓本体1にパイロット式自閉弁4を同軸上に挿入し、操作釦7を本体上部に取り付けている。
そして、胴体部3の一部より吐水口8が使用者側に向かって分岐されており、この吐水口8から吐水される。
図1から図3に示す自閉水栓と同様に洗面所やトイレでの手洗い用水栓としての用途が好適である。
【0036】
次にパイロット式自閉弁4の内部構造について説明する。
本発明のパイロット式自閉弁4は従来のパイロット式自閉弁と同様に、ピストン状の主弁9と、この主弁9の開閉を司るパイロット弁10とから構成されている。
パイロット弁10の操作により、主弁9の受ける圧力状態が変動することで、吐水開始、吐水終了の動作が行われる。
より具体的な動作は、以下のとおりである。
(1)パイロット弁10の開操作により、主弁9の背面に形成した圧力室11の一次圧を開放することで主弁9を開く。
(2)パイロット弁10の閉弁により、一次側通水路12と圧力室11を連通する小孔13より緩やかに圧力室11に一次圧を満たすことにより、主弁9を徐々に自閉する。
【0037】
本発明のパイロット式自閉弁4においては、図5から図8に示すとおり、流入口14、主弁9、圧力室11、パイロット弁10、押し棒15、操作部6がこの順序で同一軸上に配置される。
より具体的には、パイロット式自閉弁4の本体の一端には、この本体の内部と外部を連結する押し棒15が備えられ、外部に配置する押し棒15の端部には操作部6が設けられ、内部に配置する押し棒15の端部にはパイロット弁10が配置されている。
【0038】
そして、このパイロット弁10が着座・離座するパイロット弁座31が本体B23に形成され、パイロット弁10が着座する方向に付勢力が加わるように戻りばね34が配置している。
また、パイロット式自閉弁4の本体18の他端に流入口14を形成し、この流入口14の近傍に主弁座19を形成し、この主弁座19に着座・離座する主弁9が本体A18,本体B23の内部に配置されている。
【0039】
図7に示すように主弁9とパイロット弁10と本体B23内壁によって圧力室11を形成している。
そして、操作部6を操作することにより押し棒15にてパイロット弁10がパイロット弁座31から離座したときに、本体B23の外部と圧力室11とを連通するための圧力解放孔30を本体B23の側方に形成し、主弁9が主弁座19から離座したときに流入口14と連通するための流出口38を本体A18の側方に形成している。
【0040】
なお、この主弁9に、流入口14から圧力室11に貫通するように小孔を設けおり、さらに、この小孔13には、貫通させてパイロット弁10の軸方向進退に連動して進退するクリーニングピン35を設けている。
また、主弁9を主弁座19の方向に押圧する補助ばね43も設けている。
【0041】
次に、上記の各要素とその付随する部品についてさらに詳しく説明する。
流入口14は、パイロット式自閉弁4の外壁を構成する本体A18の下面に形成した円形の貫通穴により構成される。
流入口14の内側下端には、主弁9が着座・離座するための弁座(主弁座)19を形成するために、ゴム製のシートパッキン20が設けられる。
このシートパッキン20は、貫通穴内周面上の凸部21とシートパッキン20に設けられた凹部22とを嵌合することで固定されている。
【0042】
主弁9は、図1乃至図4に示した本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓の一実施例の吐水口8からの吐水の開始・閉止を実際に行う弁体である。
この主弁9は、ピストン状の形状をしており、パイロット式自閉弁4の本体の外壁を構成する本体A18、本体B23の内部に形成されるシリンダ状の空間を、その受ける水圧の状態により軸方向に摺動するように挿入される。
図6および図7において、主弁9はその下面に主弁座19に着座可能なシート部24を有し、主弁9上面側には圧力室11が形成されている。
そして、主弁9の下面は常に一次側通水路12に面している。
また、主弁9の中心軸上には一次側通水路12と圧力室11を連通するために小孔13が設けられている。
また、ピストン状の主弁9は、小径部25と大径部26とを有している。そして、小径部25の一端面が主弁座19に着座・離座するように配置され、大径部26の側面が圧力室11の内側面に接するように配置される。
なお、大径部26には本体B23内側面との隙間27を水密に保つためにシール部材であるUパッキン28が設けられる。このUパッキン28は、主弁9の大径部26の側面円周上に設けられた溝に挿入され、隙間27から圧力室11への流入を防止している。
【0043】
圧力室11は、主弁9の上面側に位置し、主弁9と本体B23とパイロット弁10とによって形成されている。
小孔13から水が流入して圧力室11が水で満たされて圧力室11の圧力が一次圧に等しい場合は、主弁9は主弁座19方向に押される。
一方、パイロット弁10が開いて圧力室11の圧力が二次圧に等しい場合は、主弁9は流入口14側からより圧力を受けて、主弁座19から離座する。
なお、パイロット弁10は、この圧力室11の圧力を、圧力解放孔30を経由して二次側通水路29へ解放するための弁である。
【0044】
この圧力解放孔30は、圧力室11の内壁に形成したパイロット弁座31の開口から本体B23の側方に形成した出口32までを通水路として形成され、本体B23及び本体A18の外部の側方である二次側通水路29へ連通している。
【0045】
パイロット弁10の弁座31に着座する部分にはゴム材料のシール材33を一体的に形成されている。
また、パイロット弁10は押し棒15を介し、本体外部からの操作を可能としており、押し棒の一端には操作手段である操作釦7が取り付けられる。
なお、パイロット弁10は戻りばね34でパイロット弁座31へ着座する方向に付勢されており、押し操作をした時のみパイロット弁10は開弁し、手を離すとパイロット弁10は閉じられるようになっている。
【0046】
また、パイロット弁10の主弁9側の一端にはクリーニングピン35が中心軸上に取り付けられている。そして、このクリーニングピン35は主弁9の小孔13を貫通し、パイロット弁10の操作時における軸方向の進退に伴い、主弁9の小孔13の内周を摺動する。
なお、クリーニングピン35の連結部36は、フック形状として、パイロット弁10との結合を剛体的な固定でなく緩やかに係止させて自由度を持たせている。これにより、主弁9の小孔13位置が成型によって芯ズレを起こしたとしても、緩やかにパイロット弁10に係止しているクリーニングピン35が小孔13の芯ズレを吸収することができるので、主弁9の摺動抵抗の増加に伴う主弁の開閉不良によって十分な吐水量が得られなかったり止水が確実に行われないような不具合を防止することができる。
【0047】
次に、パイロット式自閉弁4の外郭を構成する本体A18、本体B23について説明する。
本体A18と本体B23は、螺旋結合37によりその軸方向の相対的な位置を可変にし、主弁9のストローク(圧力室11の容積)を可変とすることで吐水時間調整を可能としている。
これを表しているのが図2であり、図2の(A)が圧力室11の容積を最大にした図で、図2の(B)が圧力室11の容積を調整した図である。
そして、流入口14は、本体A18の下面に位置し、流出口38は本体A18の側面の開口によって形成されている。従って、吐水時間の調整を行うと、本体A18が上下に移動するが、流入口14と流出口38との相対位置関係は、変わらない。
一方、本体B23には、圧力室11と、圧力解放孔30と、パイロット弁座31と、パイロット弁10の押し棒15が貫通される貫通穴とが形成されている。
【0048】
以上の構成によりパイロット式自閉弁4の作動説明を行う。
(通水の経路の説明)図6を参照のこと。
吐水のための主通水路は、主弁9が主弁座19から離座して開状態にある場合、流入口14から主弁9の小径部25と本体A18の隙間39を経由して流出口38へと連通する経路を取る。
このとき、主弁9の小径部25と本体A18の隙間39の部分が通水路中で最も通水断面積が狭いため、経路中で最も圧力損失が大きい場所である。
【0049】
(閉状態の説明)図7及び図9の(A)を参照のこと。
パイロット弁10は、パイロット弁座31に着座して閉状態となっている。
つまり、圧力室11が主弁9の小孔13より水が流入して一次圧に満たされているので、主弁9が主弁座19に着座した閉状態である。そして、主弁9が着座しているため通水はされない。
主弁9は、流入口14に面する部分と圧力室11に面する部分に相反する方向に一次圧を受ける。しかし、圧力室11に面する部分は主弁9の大径部26によって受圧面積が決まり、また、流入口14に面する部分は主弁9の小径部25によって受圧面積が決まる。そのため、トータルとしては、主弁9は着座方向に力を受けることになる。よって、この閉止の状態は維持される。
【0050】
(開操作の説明)図6及び図9を参照のこと。
押し操作を行い、押し棒15を介し,パイロット弁10が開状態になると、圧力室11に満たされていた一次圧は圧力解放孔30を通じて二次通水路側に急速に解放される。(図9(B))
よって、圧力室11の圧力はほぼ二次側通水路の圧力(二次圧)に等しくなる。
これにより、主弁9の受ける圧力は流入口14に面する部分(小径部25)にかかる一次圧と圧力室11側に面する部分(大径部26)にかかる2次圧との差となり、流入口14に面する部分に受ける圧力が勝って、主弁9は急速に離座し、流入口14から流出口38に沿って水が流れて吐水が開始する。(図9(C))
【0051】
(自閉動作の説明)
操作部6の押し操作を終えると、パイロット弁10は戻りばね34の作用で再び着座して、閉状態となる。
そして、圧力室11は主弁9の小孔13を通じて一次圧が満たされ、主弁9が着座方向に移動する。(図9(D))
なお、小孔13が十分に小さいため流れ込む時間が掛かるため、主弁9が閉止するための移動速度は遅く、数秒から数十秒後に吐水は終了する。
このとき、通水経路中で最も圧力損失が大きい場所は、主弁9の小径部25と本体A18との隙間39である。
【0052】
実際に圧力損失が発生する場所は、流入口から隙間39に流入するときと、隙間39と流出口までの経路を通過するときであり、この隙間39と流出口までの経路長は圧力室11に一次圧が満たされる度に長くなるが、隙間39と流出口までの経路長が最大になっても、流入口から隙間39に流入するときの圧力損失に比べれば、隙間39と流出口までの経路を通過するときの圧力損失は比較にならない程小さいので、流入口から隙間39に流入するときの圧力損失が全体の圧力損失を支配する。
【0053】
すなわち、この隙間39の圧力損失は、主弁のストローク全域に亘ってほぼ一定である。
そのため、最も圧力損失が大きく吐水量(瞬間流量)に影響を及ぼす隙間39の通水面積に変化がないため、吐水開始時から止水時までの吐水量(瞬間流量)をほぼ一定とすることができ、使用者が不便を被ることはない。
【0054】
(吐水時間調整の方法)図2及び図3を参照のこと。
また、本体A18は、下面に突起40を有し、水栓本体側に設けた凹部41と嵌合する。これにより、本体A18は水栓本体1に対して軸方向回転が規制される。
また、本体B23は、鍔部42を有する。そして、その鍔部42がクリアランスをもって挟み込まれて、本体B23が固定される。そのため、その軸方向移動を規制しながら、軸を中心として回転可能に水栓本体1に固定することができる。
一方、本体A18と本体B23は螺旋結合37されているため、本体B23を軸方向回転させることにより、本体A18と本体B23との相対的位置の変更ができる。つまり、本体B23を回転させることで本体A18を軸方向に進退させることができる。そのため、主弁9の移動ストローク(圧力室11の容積)を変更させて、吐水時間調整が可能となるのである。
【0055】
これを表しているのが図2であり、図2の(A)が圧力室11の容積を最大にした図で、図2の(B)が圧力室11の容積を調整した図である。
ここで、隙間39の圧力損失が、主弁のストローク全域に亘ってほぼ一定であるため、圧力室の容積が大きくなる程、圧力室11に一次圧が満たされるまでに要する時間がかかり、この間吐水状態が維持される。従って、圧力室11の容積が大きくすることにより、吐水量を増加させ、圧力室11の容積を小さくすることにより、吐水量を減少させることができる。
【0056】
なお、本実施例においては、操作釦7を回転することで、本体B23の回転を行える。
具体的な構成は、図3に示すとおり、操作釦7の操作面の裏面に2箇所の突起部44を設け、また、本体B23には突起部と嵌合する2箇所の切り欠き部45を設ける。
これにより、操作釦7の軸を中心とする回転は、本体B23に伝えられ、本体B23の軸を中心とした回転を行うことで、本体Aを軸方向に対して進退させて、吐水時間の調整が行うことができる。なお、本体A18は、軸中心回転の規制手段である突起40と凹部41が嵌合されて水栓本体1に固定されているので、本体B23の軸方向の回転に伴って回転することはない。
【0057】
以上のように、使用者が、使用時に工具等を必要とせずに操作釦7を回転することにより、容易に吐水時間の調整が行えるため使用勝手が良好である。また、吐水時間調整を行うための部品を追加することなく、吐水時間調整の機能を付加することができる。
【0058】
また、本体B23に位置する操作部6と押し棒15とパイロット弁10との位置関係は吐水時間調整を行っても変化しない。よって、吐水時間(吐水量)調整の操作の結果、押し操作のストロークに変化が生じることがなく、操作感に影響を与えることがない。
また、本体B23は、回転しても軸方向に進退しないため、使用者が操作する操作釦7の突出位置を変えずに済む。
このように本発明のパイロット式自閉弁では、容易に吐水時間(吐水量)を調整することができるとともに、吐水時間(吐水量)を調整した後でも、使用者にとって、操作性を低下するおそれはない。
【0059】
(低圧時の作動)
主弁9を主弁座19に付勢する方向に補助ばね43が圧力室11内に設けられている。この補助ばね43は低圧時の自閉動作を確実に行うためのものである。
自閉操作においては、主弁9は主弁9が受ける水圧の状態に応じて作動する。この動作が起こるためには、主弁9の小径部25と本体A18との隙間39の部分で十分に圧力損失が発生することが条件となる。この部分での圧力損失が小さいと自閉動作時に主弁9の受ける上面と下面の圧力がほぼ等しくなるため、主弁9を主弁座19方向に移動させる力が生じなくなってしまうからである。
つまり、極めて水圧が低い現場においては、この圧力損失が十分に得られないため、水圧差だけでは自閉動作が正常に行われないおそれがある。
本実施例では、補助ばね43が主弁9を主弁座19に付勢するため、水圧が低い現場や断水等で水圧が極端に落ちた場合でも正常に自閉動作を行わせることが可能である。
【0060】
以上に説明したように、本発明のパイロット式自閉弁においては、パイロット弁10が主弁9と一体的に構成されていないため、僅かなパイロット弁10のストロークで吐水開始がおこり、また、操作時にパイロット弁10のみを押すため操作に要する力も軽くてよい。
また、以上の構成においては、パイロット式自閉弁4の本体(外径)の大きさをコンパクトにすることができる。
すなわち、圧力解放孔30は二次側通水路29と連通させる必要があるが、本発明のパイロット式自閉弁4においては、主弁座19部分を流入口14とし、本体A18側面を流出口38とする流れの構成であるため、流出後の二次側通水路29と本体B23側面に出口を有する圧力解放孔30が近接しており、上記連結が容易であり結果的にパイロット式自閉弁の本体の外径を小径にできるのである。
【0061】
【発明の効果】
以上により、本発明のパイロット式自閉弁の効果をまとめると以下のとおりである。
・操作時のストロークが短く、操作に要する力が軽く、さらにコンパクトであるパイロット式自閉弁を実現することができる。
・押し操作のストロークを極めて小さくし、かつ、ごみ詰まりやスケール付着による不具合の可能性を低く押えることができる。
・低圧の現場でも確実に自閉動作が行える。
・吐水時間調整を行うための部品を追加することなく、吐水時間調整の機能を付加することができる。また、吐水時間調整の操作の結果、操作部の突出位置や押し操作のストロークに変化が生じることがなく、操作感に影響を与えることがなく好ましい。
・操作釦を回転するだけで吐水時間を調整して操作釦を押すことで、使用者が使用するときに吐水量を調整して吐水することができ、使用勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の斜視図である。
【図2】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の断面図である。
【図3】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する自閉水栓例の分解斜視図である。
【図4】本発明に係るパイロット式自閉弁を搭載する他の形態の自閉水栓例の断面図である。
【図5】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の斜視図である。
【図6】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、通水状態である。
【図7】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の断面斜視図で、止水状態である
【図8】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の分解斜視図である。
【図9】本発明に係るパイロット式自閉弁の実施例の開閉時における主弁に掛かる圧力の概略図である。
【図10】従来のパイロット式自閉弁の構造例である。
【図11】他の従来のパイロット式自閉弁の構造例である。
【図12】図11のパイロット式自閉弁を搭載した自閉水栓例の断面図である。
【符号の説明】
1:水栓本体
2:壁面
3:胴体部
4:パイロット式自閉弁(本体)
5:ナット
6:操作部
7:操作釦
8:吐水口
9:主弁
10:パイロット弁
11:圧力室
12:一次側通水路
13:小孔
14:流入口
15:押し棒
18:本体A
19:弁座(主弁座)
20:シートパッキン
21:凸部
22:凹部
23:本体B
24:シート部
25:小径部
26:大径部
27:(大径部周囲の)隙間
28:Uパッキン
29:二次側通水路
30:圧力解放孔
31:弁座(パイロット弁座)
32:(圧力解放孔の自閉弁本体からの)出口
33:(パイロット弁の)シール材
34:(パイロット弁の)戻りばね
35:クリーニングピン
36:フック状の連結
37:螺旋結合
38:流出口
39:(小径部と本体の)隙間
40:(本体Aの)突起
41:(水栓本体の)凹部
42:鍔部
43:補助ばね
44:突起部
45:切り欠き部
51:貫通穴
52:弁軸
53:戻りばね
54:貫通穴
Claims (5)
- 主弁と、この主弁の開閉を司るパイロット弁とを備え、このパイロット弁の開操作により、主弁背面に形成した圧力室の一次圧を開放することで主弁を開き、また、パイロット弁の閉止により、一次側通水路と圧力室を連通する小孔より緩やかに圧力室に一次圧を満たすことにより、主弁を自閉するパイロット式自閉弁であって、
パイロット式自閉弁の本体の一端には、この本体の内部と外部を連結する押し棒が備えられ、外部に配置する押し棒の端部には操作部が設けられ、内部に配置する押し棒の端部にはパイロット弁が配置され、
このパイロット弁が着座・離座するパイロット弁座が本体に形成され、
かつパイロット弁が着座する方向に付勢力が加わるように戻りばねが配置しており、
さらに、パイロット式自閉弁の本体の他端に流入口を形成し、
この流入口の近傍に主弁座を形成し、
この主弁座に着座・離座する主弁を本体内部に配置し、
かつ、主弁とパイロット弁と本体内壁によって圧力室を形成するとともに、
さらに、操作部を操作して押し棒にてパイロット弁を操作してパイロット弁がパイロット弁座から離座したときに、本体の外部と圧力室とが連通する圧力解放孔を本体の側方に形成し、
主弁が主弁座から離座したときに流入口と連通する流出口を本体の側方に形成し、
かつ、この主弁に、流入口から圧力室に貫通するように小孔を設けたことを特徴とするパイロット式自閉弁。 - 前記主弁、パイロット弁、押し棒、および主弁に貫通して設けた小孔、を略同軸に設けるとともに、
小孔に貫通し、かつパイロット弁の軸方向進退に連動して進退するクリーニングピンを設けたことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式自閉弁。 - 前記主弁を主弁座の方向に押圧する補助ばねを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパイロット式自閉弁。
- 前記パイロット式自閉弁の本体を本体Aと本体Bより構成し、かつ、これらの本体Aと本体Bは螺旋結合し、
本体Aには、主弁座、流入口、流出口、本体Bの軸中心回転の規制手段を有し、
本体Bには、操作部、押し棒、パイロット弁座、圧力解放孔を有し、
かつ、本体AとBとの間に主弁を配置し、
本体Aと本体Bとの螺旋結合の進退させることで、本体Aと本体Bの相対的位置の変更および主弁の移動ストロークを変更させることで吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパイロット式自閉弁。 - 前記操作部を操作する操作釦を備え、この操作面の裏面に突起部を設けて、かつ、本体Bにこの突起部と嵌合する切り欠き部を設け、この操作釦を回転することで、本体Bを本体Aに対して回転させて吐水時間調整を行うことを特徴とする請求項4に記載のパイロット式自閉弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003044899A JP2004251422A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | パイロット式自閉弁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003044899A JP2004251422A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | パイロット式自閉弁 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004251422A true JP2004251422A (ja) | 2004-09-09 |
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ID=33027469
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003044899A Pending JP2004251422A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | パイロット式自閉弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004251422A (ja) |
-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003044899A patent/JP2004251422A/ja active Pending
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