JP2004251169A - リザーブタンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹溝23が容器本体12の全体剛性確保の面で最も重要となる離間領域Rを分断しないため、凹溝23を形成したことによる剛性低下を最小限に抑えることができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ラジエータ内の冷却水を循環するリザーブタンクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の前方には、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータが設置されている。ラジエータはリザーブタンクとホースを介して接続され、冷却水をリザーブタンクに循環させることで、ラジエータ内における冷却水の変化を吸収するようになっている。
【0003】
リザーブタンクは、ラジエータコアパネル(車体)や、ファンシュラウド(車体装備品)等に設定された被取付面に取付けられる。リザーブタンクを取付けるための被取付面は、一般にラジエータファンの上方部位に設定され、ファン開口との干渉回避のために、どうしても横方向に長くなる。従って、そこに取付けられるリザーブタンクも、横長の容器形状となる。
【0004】
横長容器形状のリザーブタンクを確実に取付けるため、リザーブタンクの取付面には、横方向で離間した一対の取付点が設定される。例えば、取付点として横方向で離間した一対の爪部を形成し、それを被取付面に形成した取付孔に係合させている。
【0005】
また、リザーブタンクとラジエータとを接続するホースは、リザーブタンクの最も低い下部から取り出されて上部に延びて、ラジエータの上部に接続される。ホースは、振動でばたついたりしないように、リザーブタンクの取付面に形成された凹溝内に収納されている。収納されたホースは、凹溝の入口側が被取付面で塞がれるため、凹溝内に収納された状態が保持される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−174122号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、リザーブタンクの取付面に凹溝を形成する構造のため、どうしても凹溝を形成した部分の断面積が減少して括れた状態となり、リザーブタンクの全体剛性が低下する。特に、リザーブタンク内に液体が入れられて重くなると、エンジン振動等により、横方向に長いリザーブタンクが凹溝を中心に折れるような変形をするおそれがある。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、全体剛性がなるべく低下しないように凹溝の形成経路を工夫したリザーブタンクを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、横方向に長い容器本体の取付面に、車体又は車体装備品の被取付面に対する少なくとも一対の取付点が、横方向に離間した状態で形成されていると共に、容器本体の下部から上部へ延びるホースを収納するための凹溝が形成されているリザーブタンクであって、前記凹溝が、容器本体の取付面における一対の取付点間の離間領域を、横方向で完全に分断しない状態で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、凹溝が容器本体における最小断面積部分を避けて形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、容器本体の一部に下端部が最も低くなる縦長部分を形成し、縦長部分の下端部からホースを取り出し、該縦長部分の取付面に縦方向で一対をなす取付点を設定すると共に、取付面に形成される凹溝の下端は、少なくとも離間領域の外側に位置していることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、横方向に長いリザーブタンクの場合、リザーブタンクの全体剛性確保の面で最も重要なのは、容器本体の取付面に設定された一対の取付点間の離間領域であるため、凹溝の形成経路がこの離間領域を横方向で完全に分断しないようにした。すなわち、凹溝が離間領域の下端から入って上端へ抜けないようにした。そうすることにより、容器本体内に液体が入れられて重くなっても、容器本体が凹溝を中心に折れるような変形をするおそれはない。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、凹溝が容器本体の最も弱い部分である最小断面積部分を避けて形成されているため、凹溝が最小断面積部分を更に弱くするような影響を与えることはない。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、横方向に長い容器本体であっても、内部の液体を一番低い位置に集めてホースにより取り出し易くすべく、容器本体の一部には、底面部を部分的に下げた縦長部分が形成されている。そして、その縦長部分に縦方向で一対となる取付点を追加し、容器本体の被取付面に対する取付強度を高めている。また、下部から上部へ延びるホースは、一般的に容器本体の上部における横方向中央付近から取り出した方がラジエータとの接続経路を短くできるが、そのために凹溝の上端を離間領域内へ入り込ませた状態にしても、少なくとも凹溝の下端を離間領域の外側へ位置させているため、凹溝により離間領域が分断されることはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。フロントエンドパネル1は、図示しない周知のエンジンルームの前方に配置されるもので、合成樹脂材による一体成型品である。フロントエンドパネル1は、長方形で平板状のセンタパネル2を有している。センタパネル2の左右両端には、断面コ字状の締結部3が形成され、そこにサイドメンバ4の前端が固定されている。
【0016】
センタパネル2の上端からは、前方へ突出したラジエータコアサポートアッパ5が横方向に沿って形成されている。また、ラジエータコアサポートアッパ5の上方には、センタパネル2の前後に突出した断面T形で、ラジエータコアサポートアッパ5よりも左右両側に長いカバーパネル6が形成されている。更に、カバーパネル6の上部には、開閉フード7が位置している。
【0017】
このセンタパネル2の前方には、エンジン冷却水を循環して空気により冷却するラジエータ8が組み付けられている。そのため、センタパネル2には、空気を通過させるためのファン開口9が左右に2つ並んで形成されている。ファン開口9には、空気を強制的に吸引するための電動ファン(図示省略)が取付けられる。
【0018】
この実施形態では、センタパネル2の右上角部領域が被取付面10であり、ここに後側からリザーブタンク11が取付けられる。リザーブタンク11は、図1中左側のファン開口9の上部に沿って左方向へ延びた横方向に長い容器本体12を備えている。容器本体12の左端はファン開口9の側部に沿って下方に延長された縦長部分13になって概略上下逆L字状を呈している。容器本体12の右端は、反対に上側に延びてカバーパネル6の開口14より露出する給水部15が形成され、その上端には給水口16が設けられている。容器本体12の底面部は、ファン開口9の円弧形状に沿って湾曲しており、給水部15の付け根が最も細い最小断面積部分Mになっている。この形状により、センタパネル2におけるファン開口9のデッドスペースを有効に利用して内部容量を確保してリザーブタンク11は取付けられる。
【0019】
そして、容器本体12の取付面17である前面には、横方向で且つ水平方向斜めに離間した一対の「取付点」としての爪部20、19が突起状態で形成されている。この一対の爪部20、19間が横方向での離間領域Rとなっている。また、縦長部分13の上方には、前記図3中左側の爪部20と縦方向で一対をなす別の爪部18が形成されている。各爪部18、19、20を、センタパネル2における被取付面10の対応位置に形成された取付孔21(図4参照)に係合されることにより、リザーブタンク11が取付状態となる。特に、縦長部分13の上方に爪部18を追加して3点での取付けとなるため、リザーブタンク11のセンタパネル2に対する取付強度が高くなる。尚、爪部18と爪部19とは、水平方向略同一高さ位置となっている。
【0020】
縦長部分13の下端部は、容器本体12で最も位置が低い部分であり、この部分からラジエータ8につながるホース22が出ている。また、このホース22に沿って上端がリザーブタンク11の吸水口16近傍に突設された接続パイプ30に接続され、リザーブタンク11からオーバーフローした冷却水を開放された状態の下端まで導くドレンホース32が配されている。容器本体12の取付面17には、このホース22、32の通路となる凹溝23が形成されている。凹溝23は、縦長部分13の下端部から、下側の爪部20の図3中左側(離間領域Rの外側)を通過した後、上下の爪部18、20の間を通り、上側の爪部18の右側で、離間領域Rの一部を斜めに通過してから上端へ抜けている。上側へ抜けたホース22、32は更に右方向へ向かい、ラジエータ8の横方向中央部に接続される。この凹溝23は、可能な限り最短径路を通るように形成されている。
【0021】
このように、この実施形態に係るリザーブタンク11によれば、凹溝23が、容器本体12の全体剛性を確保する上で最も重要となる離間領域Rを分断しないため、凹溝23を形成したことによる剛性低下を最小限に抑えることができる。従って、容器本体12内に液体が入れられて重くなっても、容器本体12が凹溝23を中心に折れるような変形をするおそれはない。
【0022】
凹溝23が離間領域Rを「横方向で完全に分断しない」とは、凹溝23が離間領域Rの下端から入って、上端側に抜けないことである。この実施形態では、凹溝23の下端部が離間領域Rの外側に位置し、凹溝23が離間領域Rの左上角部を斜めにかすめるだけなので、離間領域Rを横方向で完全に分断することにならない。即ち、爪部19と爪部20との間の取付面17には、凹溝23のように、変形の起点となるような形状の急変が存在しない。
【0023】
例えば、悪い例として、図3に点線で図示したような上下に抜ける仮想の凹溝24を形成したとすると、この凹溝24に相当する部分の断面積が部分的に減少して括れた状態になるため、全体剛性が低下して、凹溝24を中心に折れるような変形を起こすおそれがある。
【0024】
更に、この実施形態では、凹溝23の離間領域Rを通過する部分が、容器本体12の最も弱い部分である最小断面積部分Mを避けた遠い位置にあるため、凹溝23が最小断面積部分Mを更に弱くするような影響を与えることはない。
【0025】
尚、以上の実施形態では、リザーブタンク11を、樹脂製のフロントエンドパネル1のセンタパネル2に取付ける例を示したが、金属製の車体パネル(ラジエータコアサポートパネル等)に取付けても、車体装備品(ファンシュラウド等)に取付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るフロントエンドパネルにリザーブタンクを取付けた状態を示す斜視図。
【図2】図1のフロントエンドパネルにリザーブタンクを取付けた状態を示す断面図。
【図3】図1のリザーブタンクを示す斜視図。
【図4】図3中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 フロントエンドパネル
8 ラジエータ
10 被取付面
11 リザーブタンク
12 容器本体
13 縦長部分
17 取付面
18、19、20 爪部(取付点)
22 ホース
23 凹溝
24 凹溝(悪い例)
R 離間領域
M 最小断面積部分
Claims (3)
- 横方向に長い容器本体(12)の取付面(17)に、車体又は車体装備品の被取付面(10)に対する少なくとも一対の取付点(20、19)が、横方向に離間した状態で形成されていると共に、容器本体(12)の下部から上部へ延びるホース(22)を収納するための凹溝(23)が形成されているリザーブタンク(11)であって、
前記凹溝(23)が、容器本体(12)の取付面(17)における一対の取付点(20、19)間の離間領域(R)を、横方向で完全に分断しない状態で形成されていることを特徴とするリザーブタンク。 - 請求項1に記載のリザーブタンクであって、
前記凹溝(23)が、前記容器本体(12)における最小断面積部分(M)を避けて形成されていることを特徴とするリザーブタンク。 - 請求項1又は請求項2に記載のリザーブタンクであって、
前記容器本体(12)の一部に、下端部が最も低くなる縦長部分(13)を形成し、
該縦長部分(13)の下端部からホース(22)を取り出し、
該縦長部分(13)の取付面(17)に、縦方向で一対をなす取付点(18、20)を設定すると共に、取付面(17)に形成される凹溝(23)の下端は、少なくとも離間領域(R)の外側に位置していることを特徴とするリザーブタンク。
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