JP2004250828A - 使い捨て衛生材料用不織布およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1) 熱可塑性合成繊維からなる不織布に、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与した使い捨て衛生材料用不織布。(2) 前記シルクプロテインがセシリンであり、またその付与量が500ppm以下である。(3) 前記耐久性親水化剤がポリエーテル変性シリコン系活性剤、ポリエーテル系活性剤、ポリグリセリンエステル系活性剤およびアルキノールアミド系活性剤から選ばれた少なくとも1つを含む。(4) 熱可塑性合成繊維からなる不織布にコロナ放電処理を施した後、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与する使い捨て衛生材料用不織布の製造法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は使い捨て衛生材料用不織布およびその製造法に関し、さらに詳しくは耐久親水性および濡れ戻り性に優れると共に、柔軟で、肌に優しい使い捨て衛生材料用不織布およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オムツや生理ナプキン等の使い捨て衛生材料は、通常、尿や排出物を透液させるトップシートとこれらを保持する吸収体と防水性を有するバックシートとから構成される。これらのうち特に肌に直接接するトップシートには、ソフトな触感と共に、尿等を瞬時に透過させ、かつその濡れ戻りを少なくし、しかも、数回の排尿を繰り返してもこれらを瞬時に透過させる耐久親水性が要求される。
従来よりトップシートには、複合系短繊維等を用いた嵩高な繊維を熱風または部分熱圧着して接合したもの、またはスパンボンド法によるウェブを部分的熱圧着したものなどに親水化処理を施し、それぞれの特徴を活かして用いられているが、まだ充分な耐久親水性が得られていないというのが現状である。
このため、親水化剤自体を改良して親水化性能の向上を図る提案がなされているが、親水化剤の親水化度を高くすると、親水性能の耐久性や濡れ戻り性が低下し、一方、親水化剤の耐久性を向上させるために親水化度を低くすると、初期の透液性が低下するという相反する特性上の問題があった。また短繊維不織布の使用では短繊維の端部による皮膚の刺激性が高く、肌に優しい触感のみならず、皮膚の保護作用を得ることはできない。
【0003】
近年、マンサク、アロエ等の各種の植物エキス抽出物や人肌の保湿成分(NMF)に類似する遊離アミノ酸を多く含む水溶性物質等を付与した衛生材料が提案されている。しかし、これらの成分による保湿効果により親水性は向上するが、濡れ戻り性が低下するという問題があった。このため、保湿成分を不溶化して耐久親水性を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、この場合でも、素材が硬くなり、初期の瞬間透液性が低下するため、尿漏れ等が発生し易くなるという問題があった。また上記保湿成分を親水化剤と併用して使用することが提案されている(例えば、特許文献2)が、耐久親水性を得るために保湿成分を多量に付与する必要がある等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−322911号公報
【特許文献2】
特開2001−271272号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題を解決し、トップシートに要求される透液性、耐久親水性および濡れ戻り性という相反する特性をバランスよく保持し、かつ柔軟で肌に優しい使い捨て衛生材料用不織布およびその製造法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、種々検討した結果、親水性能の耐久性および濡れ戻り性については耐久性親水化剤の付与により、初期の瞬間透液性については特定の処理剤の付与により、上記耐久性を低下させることなく上記課題を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
【0007】
(1)熱可塑性合成繊維からなる不織布に、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与したことを特徴とする使い捨て衛生材料用不織布。
(2)前記シルクプロテインを主体とする処理剤の付与量が、500ppm以下であることを特徴とする(1)に記載の使い捨て衛生材料用不織布。
(3)前記シルクプロテインを主体とする処理剤が、セリシンを主体とすることを特徴とする(1)または(2)に記載の使い捨て衛生材料用不織布。
(4)前記耐久性親水化剤が、ポリエーテル変性シリコン系活性剤、ポリエーテル系活性剤、ポリグリセリンエステル系活性剤およびアルキノールアミド系活性剤から選ばれた少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の使い捨て衛生材料用不織布。
(5)前記熱可塑性合成繊維からなる不織布が、スパンボンド法により得られた長繊維不織布であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の使い捨て衛生材料用不織布。
(6)熱可塑性合成繊維からなる不織布に、コロナ放電処理を施した後、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与することを特徴とする使い捨て衛生材料用不織布の製造法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳述する。
本発明に用いられる熱可塑性合成繊維には特に制限はなく、例えば、保水性が低く、濡れ戻り性に優れたポロプロピレンやポリエチレンまたはこれらの共重合体等のポリオレフィン系繊維、腰およびサラサラ感に優れたポリエチレンテレフタレートまたは共重合体等のポリエステル系繊維、しっとりした柔軟性が得られるナイロン6、ナイロン66またはこれらの共重合体等のポリアミド繊維が挙げられる。これらは併用して、または必要に応じてこれらの複合繊維、混合繊維、その他特殊機能を持つ繊維、セルロース系繊維と混合して使用してもよい。特にポロプロピレン、ポリエチレンまたはこれらの共重合体等のポリオレフィン系繊維が好ましく、またこれらの繊維と上記他の繊維を混合して使用してもよい。
【0009】
本発明に用いられる不織布には特に制限はなく、公知の抄紙法、カード機などによる短繊維不織布、スパンボンド方式等による長繊維不織布等が用いられるが、短繊維の端部による皮膚への刺激性および適性強力の点からは長繊維不織布が好ましい。例えば、スパンボンド法により溶融紡糸された連続長繊維をウェブとし、これを接合することにより得ることができる。ウェブの接合は、接着剤を用いて接合する、低融点繊維や複合繊維により接合する、バインダーをウェブ形成中に散布して溶融接合する、ニードルパンチ、水流等で繊維を交絡する等の方法で行うことができるが、不織布の強度および柔軟性を高める点から部分熱圧着による接合が好ましい。部分熱圧着における熱圧着面積率は、強度保持の点から5〜35%とするのが好ましい。部分熱圧着は超音波法により、または加熱エンボスロール間にウェブを通して行うことができ、これにより、例えば、ピンポイント状、矩形状等の浮沈模様が不織布全面に散点する。
【0010】
スパンボンド法による不織布は、繊維長が長いために実用上の強度を有し、通気性に優れ、短繊維の端部による皮膚への刺激性も少なく、かつ湿式法または乾式法による場合と異なり、油剤処理等を行うことなく繊維がそのままシート化されるので繊維特有の触感が活かされると共に適正な親水化処理を施し易い。いわゆるカーディング、抄紙法等による短繊維不織布のウェブも同様に接合されて用いられるが、極力不要な処理剤付与のない不織布であるのが好ましい。
本発明において、不織布を構成する単繊維の繊維断面は、丸断面のほか、楕円や角型等の実質的に非円形な異形でもよく、丸断面糸を潰したものでもよい。また柔軟性の点から捲縮糸を用いてもよい。また繊度は強度、柔軟性等の点から0.5〜5.5dtexが好ましく、0.5〜3.5dtexがより好ましい。
【0011】
本発明において、耐久性親水化剤とは、熱可塑性繊維、例えばポリオレフィン繊維等からなる不織布に親水性(いわゆる透液性)についての耐久性を付与することができる親水化剤をいい、具体的には、後述する耐久液透過試験で少なくとも液透過1回目は液透過率が100%であり、2回目以後も液透過率が0%を超えるもの、好ましくは液透過2回目までの液透過率が100%であり、3回目以後が0%を超える特性を有する親水化剤を耐久親水化剤といい、液透過2回目の液透過性が0%である一時性親水化剤とは区別される。
【0012】
本発明に用いられる耐久親水化剤としては、例えば、特開平1−148879号公報等に示されるポリオキシエチレン変性シリコン、ポリオキシプロピレン変性シリコン等のポリエーテル変性シリコン系活性剤、特開平4−240266号公報等に示されるポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロック共重合物等のポリエーテル系活性剤、特開2001−89969号公報等に示されるポリグリセリンオレイン酸エステル等のポリグリセリンエステル系活性剤、特開昭64−6176号公報等に示されるステアリン酸ジエタノールアミド等のアルキノールアミド系活性剤などが挙げられる。これらは2以上を混合して使用してもよく、また必要に応じて他の活性剤を混合してもよい。
耐久性親水化剤の付与量は、必要な親水化程度によって適宜設定されるが、 透液性、耐久性および濡れ戻り性の点からは繊維重量に対して0.1〜1.0重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜0.7重量%である。
【0013】
本発明に用いられるシルクプロテインを主体とする処理剤としてはセリシンを主体とする処理剤が好ましいが、絹の繭から抽出した液、精製した紛体の溶解液、生糸を加水分解して得られた抽出液、絹の主成分であるフィブロインが混合されたものなどであってもよい。またその他のコラーゲン、アロエ成分等の保湿成分、キトサン等他の機能成分を混合したものでもよい。さらに液状で使用するに際しては状況に応じて腐敗防止のための少量のパラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤を、液安定性のための少量のアルコール類、グリコール類等を添加してもよい。
シルクプロテインを主体とする処理剤は、吸湿効果の影響を少なくする点から、できるだけ微量を付与するのが好ましく、透液性能、特に濡れ戻り性への影響の点からは500ppm以下が好ましく、30〜400ppmの範囲がより好ましい。
【0014】
シクロプロテインを主体とする処理剤は、吸湿効果を有するため、これを多量に付与すると、該処理剤が保水成分として働き、濡れ戻り性等が低下しやすくなるが、この処理剤を微量付与すると、耐久性親水化剤の持つ親水耐久性および濡れ戻り性の特性を阻害することなく、初期の瞬間透液性能を向上させることができ、これにより尿漏れ等を防止することが可能になる。また、特にセリシン等は高価な薬剤であり、付与量を少なくすることで、より安価な加工が可能となり、経済的な効果が向上する。
このように、耐久性親水化剤とともにシルクプロテインを主体とする処理剤、特にセリシンを主体とする処理剤を同時に付与することにより、耐水性親水化剤による親水化性能の耐久性と同時に初期の瞬間透液性を大幅に向上させることができ、親水性能の耐久性と濡れ戻り性の特性に優れた、柔軟で肌に優しい使い捨て衛生材料用不織布を得ることが可能になる。
【0015】
本発明の使い捨て衛生材料用不織布は、例えば、シルクプロテインを主体とする処理剤を添加した耐久性親水化剤を希釈液で希釈し、これを浸漬法、噴霧法、コーティング(ロールコーター、グラビアコーター、ダイ等)法等の既知の方法により不織布に均一に付与した後、熱風、熱ロールなどの乾燥手段により乾燥することにより得ることができる。
不織布に処理剤を付与するに当たっては、付与前の不織布にコロナ処理、プラズマ処理等を施しておくことが親水性能を向上させる点で好ましい。コロナ処理等は、印刷の前処理や濡れ特性の改良等に一般的に行われている処理であり、例えば、高周波発生発振器等によって、放電電極と処理ロール間に高周波電力を供給して放電させ、 この間を通過させて処理することができる。放電条件は、繊維の種類、必要な濡れ性および処理条件によって異なるが、例えば、ポリプロピレン系繊維では処理面の表面張力が37〜40mN/mになるように設定するのが好ましい。またコロナ放電処理を施した場合は不織布自体の濡れ性は異なるため、必要性能を得るための親水化剤の付与量を調整することが好ましい。コロナ処理により、親水化の安定性を改良でき、また親水化剤の付与量をさらに低減できる効果が得られる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の特性の測定、評価は下記の方法で行った。
(1) 不織布の目付
10cm角の不織布を数枚採取し、その重量を1m2 当たりの重量で示す。
(2) 不織布の厚み
中山電気産業社製、圧縮弾性試験機E−2型を用い、測定面積4cm2 にて10g/cm2 の荷重下で測定した。
(3) 不織布の強力および5%伸長時応力
幅3cm、長さ20cmの試験片を島津製作所製テンシロンを用い、つかみ幅100mm、試験速度300m/分で引張試験を行い、縦方向、横方向の強力および5%伸長時応力を測定した。
【0017】
(4) 不織布の曲げ柔軟度
柔軟性を示す指標として下記方法で測定した曲げ柔軟度をもって表す。
試料片の測定方向の一方の端部1cmを残して試料片に直角方向で全幅に渡りスケールで押え、試料片の他端部を折り目をつけず、ループを形成させた状態で、スケールで押えた端部上にのせる。スケールで押えた側の端部を手で押えたまま、試料片の上をスケールを滑らせながらループ内に移動させる。
試料の反発力でループが伸びた点を終点とし、この点からループ側端部までの長さを臨界長(mm)とし、表裏の平均値で表す。短いものほど柔軟であることを示す。
(5) 瞬間透液速度
吸収体としてトイレットペーパー10枚を重ねた上に測定器(約800g、10cm角で中央に直径25mmの穴を設け、その中央に向け2本の電極を設けてタイマーに接続したもの)を置き、測定は試験布(10cm角以上)を吸収体と測定器の間に置き、布の上方15mmのスポイトから生理食塩水を1滴(0.1cc/滴)滴下する。液滴が滴下されてから、布表面通過終了までの時間を電極を用いて計測し、瞬間透液速度(秒)とした。
【0018】
(6) 5cc透水速度(秒/5cc)および濡れ戻り量(g)
吸収体として、吸収体の特性を一定化するため、特定ろ紙(EatonDikeman社製「939」10cm角×3枚重ね)を測定器((5) 瞬間透液速度測定器と同じ)の下に置く。この吸収体の上に試験布(10cm角)を置く。まず、この上部25mmから5ccの人口尿を滴下する。人口尿は生理食塩水に非イオン活性剤を添加して表面張力を45±3mN/mに調整したもので、滴下速度は3.3秒/25ccとした。滴下から布表面通過終了までに時間を電極で計測し、5cc透水速度(秒/5cc)とした。次いで、このまま人口尿を追加し、吸収体に含まれる液量が一定化するように、全液量が吸収体重量の約4倍にする。この状態で試験布上から800g/10cm角の荷重を3分間かけ、吸収体中の液の分布を一定化させる。次いで、試験布上に、予め秤量したろ紙(EatonDikeman社製「631」12.5cm角×2枚)を重ね、速やかに3600g/10cm角(乳幼児のオムツに加わる荷重相当)を2分間かけ、ろ紙の重量増加を測定し、濡れ戻り量(g)とした。
【0019】
(7) 液流れ
45°の傾斜台上に吸収体としてトイレットペーパー10枚を置き、その上に試験布を密着させ、布の上方15mmのスポイトから生理食塩水を1滴(0.1cc/滴)滴下する。布表面の滴下部から通過終了までに流れた長さを測定し、液流れ(mm)とした。
(8) 耐久液透過率(透過率)(%)
平面に吸収体としてトイレットペーパー10枚を置き、その上に試験布を密着させる。布の上方15mmのスポイトから生理食塩水を1滴(0.1cc/滴)滴下する。滴下液が2秒以内に吸収されたものを透過とする。吸収した3分後(表面が乾いた後)、同じ位置に再度1滴滴下し、2 回目の試験とする。繰り返し3回測定する。同じ試料の10〜40か所について試験し、滴下した数に対する通過数の割合を耐久液透過率(%)とした。
【0020】
〔実施例1および2〕
酸化チタンを含有したポリプロピレン(JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR=40)を原料とし、丸断面のノズルから溶融押出した長繊維を紡口の近傍にて側方から冷却しながら、エアーサッカー等の牽引引取装置で引き取った。牽引引取装置を出た糸条は、帯電装置を通過させて開繊させた後、移動する金網コンベアー上にウェブとして捕集した。このウェブを加熱したエンボスロール間に通し、部分熱圧着面積率7%で部分熱圧着してピンポイント状の散点模様を有する不織布を得た。得られた不織布の構成繊維は、2.8dtexの丸断面糸で、目付20g/m2 (実施例1)および2.0dtexの丸断面糸で、目付および18g/m2 (実施例2)であった。
【0021】
得られた各不織布に、グラビア方式で、ポリエーテル変性シリコーン(Si:24、EO:40付加、但し、24、40は繰返し単位数を示す)およびポリエチレングリコールプロピレングリコールのブロック共重合ポリエーテル(EO:25、PO:85)を主体に配合した活性剤(A)からなる耐水性親水化剤を不織布重量に対して0.40重量%およびセリシンを40ppm付与し、110〜120℃で乾燥して、使い捨て衛生材料用不織布とした。得られた不織布の性能評価結果を表1に示した。
得られた各不織布をトップシートとして作製した使い捨てオムツは、初期の瞬間透液性が速く、液流れが少なく、液の吸収性が良好であり、親水耐久性や濡れ戻り性を損なうことがなく、柔軟な触感を持ち、肌に優しいものであった。特に実施例2で得られた不織布は繊度が細いためにさらに滑らかでソフト性に優れたものであった。
【0022】
〔比較例1および2〕
実施例1または2において、セリシンを添加せずに耐久親水化剤だけを付与した以外は、実施例1または2とそれぞれ同様にして使い捨て衛生材料用不織布を作製し、それらの特性を表1に示した。比較例1および比較例2で得られた不織布は、ともに実施例1および実施例2のそれぞれの不織布と比較して初期の瞬間透液性が遅く、液流れの多いものであった。
【0023】
〔実施例3および4〕
実施例1において、セリシンの付与量を400ppm(実施例3)および800ppm(実施例4)にした以外は実施例1と同様にして、2.8dtex、目付20g/m2 の本発明の不織布を得た。得られた不織布の性能評価結果を表1に示したが、耐久親水性を損なうことなく、初期の瞬間透液性が速く、液流れが少なく、液の吸収性が良好であった。
また各不織布をそれぞれトップシートとした使い捨てオムツを製作したが、得られたオムツは、特にソフト性に優れ、柔軟で肌に優しく、かつ耐久透水性能も良好であった。
【0024】
〔実施例5〕
実施例1において、原料のポリプロピレンをMFR=24のエチレン・プロピレンランダム共重合ポリマー(エチレン比率4.3%、融点135℃)に代え、120℃で部分熱圧着した以外は実施例1と同様にして、2.8dtex、目付20g/m2 の本発明の不織布を得た。得られた不織布の性能評価結果を表1に示した。この不織布をトップシートとした使い捨てオムツを製作したが、初期の瞬間透液性が速く、液流れが少なく、ソフト性に優れ、濡れ戻り性能も良好であった。
【0025】
〔実施例6〕
耐久性親水化剤をポリエーテル変性シリコーン(Si:25、EO:23付加)処理剤(B)に代えて0.4重量%付与した以外は実施例1と同様にして、2.8dtex、目付20g/m2 の本発明の不織布を得た。不織布の性能評価結果を表1に示した。得られた不織布は、初期の瞬間透液性が速く、液流れが少なく、ソフト性に優れ、濡れ戻り性能も良好であった。
【0026】
〔比較例3〕
実施例5において、セリシンを使用しなかった以外は実施例5と同様にして親水化不織布を得た。その不織布の特性を表1に特性を示したが、実施例5に比較して初期の瞬間透液性が遅く、液流れが大きくなるというものであった。
〔比較例4〕
実施例1において、耐久性親水化剤に代えて一時性親水化剤であるポリオキシエチレンアルキルフォスフェートカリウムの処理剤(C)を0.4重量%付与した以外は実施例1と同様にして、2.8dtex、目付20g/m2 の親水化不織布を得た。不織布の性能評価結果を表1に示したが、初期の透液性、濡れ戻り性はほぼ良好だが、2回目の液透過率が0%と耐久透液性は全くなく、耐久親水性において劣るものであった。
【0027】
〔比較例5〕
実施例3において、耐久性親水化剤を使用しなかった以外は実施例3と同様にして不織布を得た。得られた不織布の性能評価結果を表1に示したが、保湿成分であるセリシンのみの付与であるため、初期での浸透性がなく、液流れが非常に多くなり、透水性に非常に劣るものであり、使い捨てオムツに必要とする透水性は得られず、使い捨て衛生材料用不織布には適しないものであった。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明の使い捨て衛生材料用不織布は、耐久性親水化剤とシルクプロテインを主体とした処理剤が付与されているため、初期の瞬間透液性が速く、液流れが少なく、液の吸収性が良好であり、親水耐久性や濡れ戻り性を損なうことなく、柔軟な触感のある肌に優しい特性を有する。従って、本発明の使い捨て衛生材料用不織布は、特に使い捨てオムツのトップシートとして好適に用いることができる。
Claims (6)
- 熱可塑性合成繊維からなる不織布に、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与したことを特徴とする使い捨て衛生材料用不織布。
- 前記シルクプロテインを主体とする処理剤の付与量が、500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨て衛生材料用不織布。
- 前記シルクプロテインを主体とする処理剤が、セリシンを主体とすることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨て衛生材料用不織布。
- 前記耐久性親水化剤が、ポリエーテル変性シリコン系活性剤、ポリエーテル系活性剤、ポリグリセリンエステル系活性剤およびアルキノールアミド系活性剤から選ばれた少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の使い捨て衛生材料用不織布。
- 前記熱可塑性合成繊維からなる不織布が、スパンボンド法により得られた長繊維不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て衛生材料用不織布。
- 熱可塑性合成繊維からなる不織布に、コロナ放電処理を施した後、耐久性親水化剤およびシルクプロテインを主体とする処理剤を付与することを特徴とする使い捨て衛生材料用不織布の製造法。
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