JP2004250822A - 複合染色物の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】デジタルプリント方式でのプリント部位と周囲の地色を有する衣服等の繊維製品を工業的に容易な方法でなしうる方法を提供する。
【解決手段】布帛に可抜染性染料を付与して捺染柄もしくは全面地色を形成し、次いでこの捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、この抜染特定部位にインクジェット方式等デジタル方式による着色を施す複合染色物の製法であり、デジタル方式によるプリント(着色)が、インクジェット方式によって昇華性染料が転写紙へプリントされて形成された画像を抜染特定部位に転写着色する方式の前記複合染色物の製法。
【解決手段】布帛に可抜染性染料を付与して捺染柄もしくは全面地色を形成し、次いでこの捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、この抜染特定部位にインクジェット方式等デジタル方式による着色を施す複合染色物の製法であり、デジタル方式によるプリント(着色)が、インクジェット方式によって昇華性染料が転写紙へプリントされて形成された画像を抜染特定部位に転写着色する方式の前記複合染色物の製法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式等のデジタルプリント方式による細密画像がプリントされた着色部位と可抜染性染料による捺染柄もしくは地色を有する複合染色物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−6365号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−206092号公報
従来、布帛に図柄を印捺する場合、スクリーン捺染法,ローラ捺染法,ロータリースクリーン捺染法等が用いられてきたが、図柄の変更毎にスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙等を用意する必要があり、これらスクリーン枠,彫刻ローラの作成はかなり高価であるため、かなりのロットを生産しないと経済的な面で合わない点のみならず、ファッションの多様化に迅速に対応出来ないという欠点を有していた。
これ等の欠点を解決するために、スキャナーで見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、その結果をインクジェット方式で印捺する技術が開発され、近年紙の分野では実用化されている。このインクジェット方式は時間と費用をかけることなく作製可能である点で繊維分野においても、布帛や衣服に適用する試みがなされている。
その中で、インクジェット方式による着色防抜染についても検討がなされ、例えば特開昭61−6365号公報には着色された布帛に還元剤を含有するインクと還元剤に分解しない染料を含有するインクを別々のノズルから液滴を飛翔せしめ、しかも同じ場所に両者のインクを付与することを特徴とするインクジェット染色による防抜染法が、また特開昭62−206092号公報には還元脱色性染料による染色布帛類に対し、還元剤を含有するインクをインクジェット方式により付与して染色布帛類を抜染することを特徴とするインクジェット抜染方法が提案されている。
さらに、布帛に還元剤に分解しない染料を含有する染料インクをインクジェット方式により付与し捺染柄を形成し、次いでこの捺染柄に還元剤を付与し、しかる後還元脱色性染料で染色することを特徴とするインクジェット方式による染色物の製法も提案(特開平06‐207832号公報)されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−6365号公報に記載の方法は、染料インクと還元剤インクを同時に同じ箇所に付与するため、布帛の種類によっては染料インクに滲みが発生したり、地染め染料の抜けが悪い等の問題があり、特開昭62−206092号公報記載の方法は、インク中に還元剤を併存させているため、インクを長期保存すると、インク内の還元剤により経時的に染料が影響を受けて発色濃度が低下する等の問題があった。
還元剤に分解しない染料を含有する染料インクをインクジェット方式により付与し捺染柄を形成し、次いでこの捺染柄に還元剤を付与する場合にも、還元剤の付与においてインクジェット方式により付与した捺染柄に正確に還元剤を付与することは極めて困難であり、工業的な生産性とファッション性において問題があった。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、インクジェット方式による高品位の精細な画像を地色や他の捺染柄と複合させたファッション性に優れた複合染色物を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、デジテル方式による高品位の精細な画像を地色や他の捺染柄と複合させたファッション性に優れた複合染色物を容易に製造する方法を提供するものであり、すなわち本発明は、布帛に可抜染性染料を使用して捺染柄もしくは全面地色を形成し、次いでこの捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、しかる後少なくとも該抜染特定部位にデジタルプリント方式による着色を施すことを特徴とする複合染色物の製法であり、またデジタルプリント方式による着色が、インクジェット方式によって昇華性染料が転写紙へプリントされて形成された画像を抜染特定部位に転写着色する方式である前記の複合染色物の製法である。
【0007】
【発明の実施態様】
本発明における布帛とは織物,編物,不織布等が挙げられる。また布帛を形成する繊維としては、綿,レーヨン,麻,絹,羊毛等の天然繊維、アセテート,トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル,ポリアミド,アクリル等の合成繊維が挙げられ、これらの単一もしくは二種以上の混合によるものが使用できる。これら布帛の中でも、転写方式が効果的に採用できる布帛である、布帛の60%以上がポリエステル繊維で構成されるポリエステル系素材、布帛の60%以上がアセテート繊維で構成されるアセテート系素材が好ましい。
【0008】
本発明において使用する可抜染(脱色)性染料とは、酸化による着色の消失性染料や還元による着色の消失性染料やその他の薬剤による着色の消失を呈する染料が挙げられるが、中でも還元による着色の消失を呈する染料が好ましく、還元剤により分解され、着色を消失するものであり、染料の種類は、布帛を構成する繊維に応じて選択されればよく、反応染料、分散染料、酸性染料、カチオン染料、直接染料、ナフトール染料等いずれも使用できる。
そして、これら還元抜色性染料のうち例えば反応染料を例に挙げると、ブルー系として、C.I.Reactive Blue 19,21,27,28,38,77,89,100,122,147,158,194等が、レッド系として、C.I.Reactive Red 21,22,23,24,35,49,63,106,109,111,112,113,114,170,180等が、イエロー系として、C.I.Reactive Yellow 15,17,23,24,37,42,57,75,76,77等が、ブラック系として、C.I.Reactive Black 5,14,31等が挙げられ、分散染料としては例えばKiwalon Polyester Dark Blue RB, Kiwalon Polyester Black EX‐FRなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく従来の抜染技術で使用されている還元脱色性の染料であれば使用できるものである。
【0009】
本発明における、布帛に可抜染性染料を使用して捺染柄もしくは全面地色を形成る際使用する染色方式は、特に限定されることなく、例えばスクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、転写捺染法、浸染法、スプレー法、パッディング法、インクジェット法等が挙げられ適宜選択使用できるものである。
【0010】
本発明における還元剤等の抜染剤を特定部位のみに付与するスクリーン捺染方式とは、平面スクリーン捺染法、ロータリースクリーンから選定されるスクリーン捺染法が好ましく中でも平面スクリーン捺染法による抜染剤を特定部位のみに付与する方法が好ましい。
本発明における還元剤等の抜染剤としては、これらの可抜染性染料を脱色又は抜染するものであれば限定されないが、好ましくは還元剤であり、例えば塩化第一スズ,蓚酸第一スズ,酢酸第一スズ,フッ化第一スズ,ハイドロサルファイト,二酸化チオ尿素,ロンガリットに代表されるナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物,デクロリンに代表されるホルムアルデヒドスルホキシリック亜鉛塩等が挙げられる。
これらの還元剤等の抜染剤に、スクリーン捺染に適応し得るように、澱粉糊等の増粘剤、防腐剤、PH調整剤、粘度安定剤等の公知の捺染糊に使用される添加物を適宜選択添加して抜染糊材を作成してもよい。
【0011】
抜染糊材を特定部位のみに付与して、特定部位を脱色する処理は、加熱処理やスチーミング処理やソーピング処理などを組み合わせた従来の方式が適宜採用できる。
【0012】
本発明における、捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、しかる後少なくとも該抜染特定部位にインクジェット方式等のデジタルプリント方式による着色を施す場合のデジタルプリント方式による着色方式は、公知のレーザープリント方式や電子写真方式やインクジェット方式を採用することができるが、中でもインクジェット方式が好ましく採用でき、種々のインクジェット方式が全て採用できるが、例えばノズル内に発熱抵抗素子を埋め込み、その発熱によりインクを沸騰させ、その泡の圧力によりインクを吐出させるジェット方式,圧電素子に電気信号を加えて変形させインク室の体積変化を励起してインク粒子を飛ばすパルスジェット方式,超音波振動しているノズルからインクを加圧連続噴射させて粒子化し、粒子を荷電量に制御一定電界中を通過偏向させ、記録,非記録粒子に分けて記録する荷電制御方式等が挙げられる。
これらのデジタルプリント方式による布帛への着色や捺染の方式において、本発明により好ましく使用できるのは、インクジェット方式によって昇華性染料を含むインクを転写紙へプリントし当該プリントされた転写紙を布帛に重ねて形成されたプリント画像を抜染特定部位に転写着色する方式である所謂転写方式である。
【0013】
本発明の、可抜染性染料で地色等が形成された布帛等の特定部位にのみ、スクリーン捺染方式で還元剤等の抜染剤を付与し特定部位を脱色し、その脱色された特定部位にインクジェット方式で画像などを着色せしめる場合において、インクジェット方式等のデジタルプリント方式で極めて細緻な画像が地色上に形成されるが、その特定部位にデジタルプリントされた画像等の着色を位置的に狂いなく一致させて着色させることは極めて困難な場合が多いが、前記の転写方式が依り容易に実施できることが判った。
さらに、他の方式によるデジタルプリント方式の着色は、例えばインクジェットダイレクトプリント方式においては、滲みや発色・染料固着等の煩雑処理をインクジェットプリント後も必要であり、工業生産上において課題を有する場合が多い。
【0014】
以下に、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
*実施例1
ポリエステル100%使用糸と木綿100%使用糸を用いて表ポリエステル100%使用糸、裏木綿100%使用糸となるように(実際には表にも裏にも少しの他繊維が表出している)混編してダブルニット布帛とし、この布帛を用いて縫製しTシャツを作成した。このTシャツを、グレイ色、緑色、青色、茶色、黄色の抜染性反応性染料を使用して、2.5%owfで浸染し、裏木綿部位がそれぞれのやや淡色に染まったTシャツを得た。
一方、田舎家を描いた絵を、スキャニングしてパソコンに取り込み、その取り込まれた画像を同一画像で5枚、転写紙に各色の昇華性染料インクを装填したインクジェットプリンターでプリントした。
得られた淡色染めグレイ色、緑色、青色、茶色、黄色のTシャツを用意し、スクリーン捺染方式で、前記田舎家の輪郭を外殻線とする部位の外殻線内部にのみ,ナトリウム・ハイドロサルファイトを主成分としCMCと澱粉を適宜の比で使用した糊剤とを混和した抜染糊剤をともに用いて塗布し、乾燥後スチーミング処理とソーピング処理を行い、淡色染めグレイ色、緑色、青色、茶色、黄色のTシャツの左胸部にのみ、それぞれ白地に近い前記田舎家の輪郭を外殻線とする抜染部位を形成した。
前記のプリントされた5枚の転写紙を、それぞれ前記のTシャツの左胸部に形成された抜染部位に、プリント部を慎重に位置合わせして重ね190℃で60秒の間圧接して、田舎家の画像を転写した。
得られた各色Tシャツは、もともとの地色と抜染部位にのみ取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであり、ファッション性に優れたもの
であった。
【0015】
*実施例2
実施例1における、各色の昇華性染料インクを装填したインクジェットプリンターでプリントしたことを、各色の昇華性染料を含むトナーを装填したレーザープリンターでプリントした以外は同様にしてデジタル画像がプリンとされた各色のTシャツを得た。
得られた各色Tシャツは、もともとの地色と抜染部位にのみ取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであり、ファッション性に優れたものであった。
【0016】
*比較例1
実施例1におけるTシャツを前染色することなく白地のままで使用した以外は、同様にしてTシャツの左胸部に、プリント部を慎重に位置合わせして重ね190℃で60秒の間圧接して、田舎家の画像を転写した。
得られたTシャツは、もともとの白色地色に取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであったが、ファッション性に置いて単調なものであり、やや物足りないものとなった。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、個人的な好みにできるだけ小ロットで対応し得てかつ地色を有する衣服や布帛製品などの上にインクジェット方式で細密画像をプリントした衣服や布帛を提供することができ、それらの衣服や布帛を個人に素早く提供でき、地色を有する衣服や布帛製品などの上にインクジェット方式で細密画像をプリントして、地色に影響されることなく、低コストで多種多様なデザインに対応でき、ファッション性優れかつデザイン的な選択の幅が制限されず、製品品質上からも上質のものが得られる衣服や布帛などの繊維製品を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式等のデジタルプリント方式による細密画像がプリントされた着色部位と可抜染性染料による捺染柄もしくは地色を有する複合染色物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−6365号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−206092号公報
従来、布帛に図柄を印捺する場合、スクリーン捺染法,ローラ捺染法,ロータリースクリーン捺染法等が用いられてきたが、図柄の変更毎にスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙等を用意する必要があり、これらスクリーン枠,彫刻ローラの作成はかなり高価であるため、かなりのロットを生産しないと経済的な面で合わない点のみならず、ファッションの多様化に迅速に対応出来ないという欠点を有していた。
これ等の欠点を解決するために、スキャナーで見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、その結果をインクジェット方式で印捺する技術が開発され、近年紙の分野では実用化されている。このインクジェット方式は時間と費用をかけることなく作製可能である点で繊維分野においても、布帛や衣服に適用する試みがなされている。
その中で、インクジェット方式による着色防抜染についても検討がなされ、例えば特開昭61−6365号公報には着色された布帛に還元剤を含有するインクと還元剤に分解しない染料を含有するインクを別々のノズルから液滴を飛翔せしめ、しかも同じ場所に両者のインクを付与することを特徴とするインクジェット染色による防抜染法が、また特開昭62−206092号公報には還元脱色性染料による染色布帛類に対し、還元剤を含有するインクをインクジェット方式により付与して染色布帛類を抜染することを特徴とするインクジェット抜染方法が提案されている。
さらに、布帛に還元剤に分解しない染料を含有する染料インクをインクジェット方式により付与し捺染柄を形成し、次いでこの捺染柄に還元剤を付与し、しかる後還元脱色性染料で染色することを特徴とするインクジェット方式による染色物の製法も提案(特開平06‐207832号公報)されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−6365号公報に記載の方法は、染料インクと還元剤インクを同時に同じ箇所に付与するため、布帛の種類によっては染料インクに滲みが発生したり、地染め染料の抜けが悪い等の問題があり、特開昭62−206092号公報記載の方法は、インク中に還元剤を併存させているため、インクを長期保存すると、インク内の還元剤により経時的に染料が影響を受けて発色濃度が低下する等の問題があった。
還元剤に分解しない染料を含有する染料インクをインクジェット方式により付与し捺染柄を形成し、次いでこの捺染柄に還元剤を付与する場合にも、還元剤の付与においてインクジェット方式により付与した捺染柄に正確に還元剤を付与することは極めて困難であり、工業的な生産性とファッション性において問題があった。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、インクジェット方式による高品位の精細な画像を地色や他の捺染柄と複合させたファッション性に優れた複合染色物を容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、デジテル方式による高品位の精細な画像を地色や他の捺染柄と複合させたファッション性に優れた複合染色物を容易に製造する方法を提供するものであり、すなわち本発明は、布帛に可抜染性染料を使用して捺染柄もしくは全面地色を形成し、次いでこの捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、しかる後少なくとも該抜染特定部位にデジタルプリント方式による着色を施すことを特徴とする複合染色物の製法であり、またデジタルプリント方式による着色が、インクジェット方式によって昇華性染料が転写紙へプリントされて形成された画像を抜染特定部位に転写着色する方式である前記の複合染色物の製法である。
【0007】
【発明の実施態様】
本発明における布帛とは織物,編物,不織布等が挙げられる。また布帛を形成する繊維としては、綿,レーヨン,麻,絹,羊毛等の天然繊維、アセテート,トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル,ポリアミド,アクリル等の合成繊維が挙げられ、これらの単一もしくは二種以上の混合によるものが使用できる。これら布帛の中でも、転写方式が効果的に採用できる布帛である、布帛の60%以上がポリエステル繊維で構成されるポリエステル系素材、布帛の60%以上がアセテート繊維で構成されるアセテート系素材が好ましい。
【0008】
本発明において使用する可抜染(脱色)性染料とは、酸化による着色の消失性染料や還元による着色の消失性染料やその他の薬剤による着色の消失を呈する染料が挙げられるが、中でも還元による着色の消失を呈する染料が好ましく、還元剤により分解され、着色を消失するものであり、染料の種類は、布帛を構成する繊維に応じて選択されればよく、反応染料、分散染料、酸性染料、カチオン染料、直接染料、ナフトール染料等いずれも使用できる。
そして、これら還元抜色性染料のうち例えば反応染料を例に挙げると、ブルー系として、C.I.Reactive Blue 19,21,27,28,38,77,89,100,122,147,158,194等が、レッド系として、C.I.Reactive Red 21,22,23,24,35,49,63,106,109,111,112,113,114,170,180等が、イエロー系として、C.I.Reactive Yellow 15,17,23,24,37,42,57,75,76,77等が、ブラック系として、C.I.Reactive Black 5,14,31等が挙げられ、分散染料としては例えばKiwalon Polyester Dark Blue RB, Kiwalon Polyester Black EX‐FRなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく従来の抜染技術で使用されている還元脱色性の染料であれば使用できるものである。
【0009】
本発明における、布帛に可抜染性染料を使用して捺染柄もしくは全面地色を形成る際使用する染色方式は、特に限定されることなく、例えばスクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、転写捺染法、浸染法、スプレー法、パッディング法、インクジェット法等が挙げられ適宜選択使用できるものである。
【0010】
本発明における還元剤等の抜染剤を特定部位のみに付与するスクリーン捺染方式とは、平面スクリーン捺染法、ロータリースクリーンから選定されるスクリーン捺染法が好ましく中でも平面スクリーン捺染法による抜染剤を特定部位のみに付与する方法が好ましい。
本発明における還元剤等の抜染剤としては、これらの可抜染性染料を脱色又は抜染するものであれば限定されないが、好ましくは還元剤であり、例えば塩化第一スズ,蓚酸第一スズ,酢酸第一スズ,フッ化第一スズ,ハイドロサルファイト,二酸化チオ尿素,ロンガリットに代表されるナトリウムスルホキシレート・ホルムアルデヒド複合物,デクロリンに代表されるホルムアルデヒドスルホキシリック亜鉛塩等が挙げられる。
これらの還元剤等の抜染剤に、スクリーン捺染に適応し得るように、澱粉糊等の増粘剤、防腐剤、PH調整剤、粘度安定剤等の公知の捺染糊に使用される添加物を適宜選択添加して抜染糊材を作成してもよい。
【0011】
抜染糊材を特定部位のみに付与して、特定部位を脱色する処理は、加熱処理やスチーミング処理やソーピング処理などを組み合わせた従来の方式が適宜採用できる。
【0012】
本発明における、捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、しかる後少なくとも該抜染特定部位にインクジェット方式等のデジタルプリント方式による着色を施す場合のデジタルプリント方式による着色方式は、公知のレーザープリント方式や電子写真方式やインクジェット方式を採用することができるが、中でもインクジェット方式が好ましく採用でき、種々のインクジェット方式が全て採用できるが、例えばノズル内に発熱抵抗素子を埋め込み、その発熱によりインクを沸騰させ、その泡の圧力によりインクを吐出させるジェット方式,圧電素子に電気信号を加えて変形させインク室の体積変化を励起してインク粒子を飛ばすパルスジェット方式,超音波振動しているノズルからインクを加圧連続噴射させて粒子化し、粒子を荷電量に制御一定電界中を通過偏向させ、記録,非記録粒子に分けて記録する荷電制御方式等が挙げられる。
これらのデジタルプリント方式による布帛への着色や捺染の方式において、本発明により好ましく使用できるのは、インクジェット方式によって昇華性染料を含むインクを転写紙へプリントし当該プリントされた転写紙を布帛に重ねて形成されたプリント画像を抜染特定部位に転写着色する方式である所謂転写方式である。
【0013】
本発明の、可抜染性染料で地色等が形成された布帛等の特定部位にのみ、スクリーン捺染方式で還元剤等の抜染剤を付与し特定部位を脱色し、その脱色された特定部位にインクジェット方式で画像などを着色せしめる場合において、インクジェット方式等のデジタルプリント方式で極めて細緻な画像が地色上に形成されるが、その特定部位にデジタルプリントされた画像等の着色を位置的に狂いなく一致させて着色させることは極めて困難な場合が多いが、前記の転写方式が依り容易に実施できることが判った。
さらに、他の方式によるデジタルプリント方式の着色は、例えばインクジェットダイレクトプリント方式においては、滲みや発色・染料固着等の煩雑処理をインクジェットプリント後も必要であり、工業生産上において課題を有する場合が多い。
【0014】
以下に、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
*実施例1
ポリエステル100%使用糸と木綿100%使用糸を用いて表ポリエステル100%使用糸、裏木綿100%使用糸となるように(実際には表にも裏にも少しの他繊維が表出している)混編してダブルニット布帛とし、この布帛を用いて縫製しTシャツを作成した。このTシャツを、グレイ色、緑色、青色、茶色、黄色の抜染性反応性染料を使用して、2.5%owfで浸染し、裏木綿部位がそれぞれのやや淡色に染まったTシャツを得た。
一方、田舎家を描いた絵を、スキャニングしてパソコンに取り込み、その取り込まれた画像を同一画像で5枚、転写紙に各色の昇華性染料インクを装填したインクジェットプリンターでプリントした。
得られた淡色染めグレイ色、緑色、青色、茶色、黄色のTシャツを用意し、スクリーン捺染方式で、前記田舎家の輪郭を外殻線とする部位の外殻線内部にのみ,ナトリウム・ハイドロサルファイトを主成分としCMCと澱粉を適宜の比で使用した糊剤とを混和した抜染糊剤をともに用いて塗布し、乾燥後スチーミング処理とソーピング処理を行い、淡色染めグレイ色、緑色、青色、茶色、黄色のTシャツの左胸部にのみ、それぞれ白地に近い前記田舎家の輪郭を外殻線とする抜染部位を形成した。
前記のプリントされた5枚の転写紙を、それぞれ前記のTシャツの左胸部に形成された抜染部位に、プリント部を慎重に位置合わせして重ね190℃で60秒の間圧接して、田舎家の画像を転写した。
得られた各色Tシャツは、もともとの地色と抜染部位にのみ取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであり、ファッション性に優れたもの
であった。
【0015】
*実施例2
実施例1における、各色の昇華性染料インクを装填したインクジェットプリンターでプリントしたことを、各色の昇華性染料を含むトナーを装填したレーザープリンターでプリントした以外は同様にしてデジタル画像がプリンとされた各色のTシャツを得た。
得られた各色Tシャツは、もともとの地色と抜染部位にのみ取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであり、ファッション性に優れたものであった。
【0016】
*比較例1
実施例1におけるTシャツを前染色することなく白地のままで使用した以外は、同様にしてTシャツの左胸部に、プリント部を慎重に位置合わせして重ね190℃で60秒の間圧接して、田舎家の画像を転写した。
得られたTシャツは、もともとの白色地色に取り込んだ田舎家の絵が細部まで鮮明にプリントされたものであったが、ファッション性に置いて単調なものであり、やや物足りないものとなった。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、個人的な好みにできるだけ小ロットで対応し得てかつ地色を有する衣服や布帛製品などの上にインクジェット方式で細密画像をプリントした衣服や布帛を提供することができ、それらの衣服や布帛を個人に素早く提供でき、地色を有する衣服や布帛製品などの上にインクジェット方式で細密画像をプリントして、地色に影響されることなく、低コストで多種多様なデザインに対応でき、ファッション性優れかつデザイン的な選択の幅が制限されず、製品品質上からも上質のものが得られる衣服や布帛などの繊維製品を提供することができる。
Claims (2)
- 布帛に可抜染性染料を付与して捺染柄もしくは全面地色を形成し、次いでこの捺染柄もしくは地色の特定部位のみに抜染剤をスクリーン捺染方式で付与し特定部位のみ抜染し、しかる後少なくとも該抜染特定部位にデジタルプリント方式による着色を施すことを特徴とする複合染色物の製法。
- デジタルプリント方式による着色が、インクジェット方式によって昇華性染料が転写紙へプリントされて形成された画像を抜染特定部位に転写着色する方式である請求項1記載の複合染色物の製法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003042566A Pending JP2004250822A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 複合染色物の製法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004250822A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100757689B1 (ko) * | 2006-02-24 | 2007-09-13 | 김진곤 | 디지털 텍스타일 프린터로 청바지에 다양한 색상을나염하기 위한 방법 |
JP2010059563A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Gunze Ltd | 衣類の製造方法及び成形編みされた衣類 |
CN102616040A (zh) * | 2012-03-30 | 2012-08-01 | 绍兴县金井贴膜科技有限公司 | 织物或皮革转移印花定位烫金方法 |
CN115748273A (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-07 | 青岛科理新材料有限公司 | 一种用于面料数码印花的环保拔染浆及应用 |
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2003
- 2003-02-20 JP JP2003042566A patent/JP2004250822A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100757689B1 (ko) * | 2006-02-24 | 2007-09-13 | 김진곤 | 디지털 텍스타일 프린터로 청바지에 다양한 색상을나염하기 위한 방법 |
JP2010059563A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Gunze Ltd | 衣類の製造方法及び成形編みされた衣類 |
CN102616040A (zh) * | 2012-03-30 | 2012-08-01 | 绍兴县金井贴膜科技有限公司 | 织物或皮革转移印花定位烫金方法 |
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