JP3096320U

JP3096320U - 布製品

Info

Publication number: JP3096320U
Application number: JP2003001145U
Authority: JP
Inventors: 秀樹松原
Original assignee: 秀樹松原
Priority date: 2003-03-06
Filing date: 2003-03-06
Publication date: 2003-09-12
Anticipated expiration: 2009-03-06

Abstract

(57)【要約】【課題】鮮明な図柄等を形成でき且つ色褪せの少な
い、高品質の布製品を提供すること。【解決手段】ポリエステル繊維を含む布生地(2)の表
面に、文字や図柄を表す為の、昇華転写による染料層
(3)が形成されていること。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、昇華転写によってプリントされた図柄等を有する布製品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

被服やハンカチ等の表面に文字や図柄の装飾を施す技術として、例えば、シルク印刷や染め等が知られている。シルク印刷によって布生地に図柄等を施す場合、図柄等に相当する領域に微細小孔群が形成されたスクリーンを布生地に重ね合わせ、前記スクリーンの微細小孔群を介して、染料を布生地側に透過させる。このものでは、スクリーン上に供給した染料をスキージで掻くだけで、布生地へ簡便に図柄等が印刷できると共に、複数のスクリーンを用いて重ね刷りを行なうことにより、多色印刷が可能となる。

【０００３】しかしながら、上記シルク印刷の手法を用いて布生地に図柄等を印刷する場合、スクリーンに形成された微細小孔群が、印刷作業に伴って経時的に目詰まりし、印刷された図柄等が不鮮明になる。このことから、上記スクリーン印刷の手法による場合は、所定の製品ロット毎にスクリーンを交換する必要がある一方、少量多品種の製品を作る場合には、未だ使用可能なスクリーンを頻繁に廃棄しなければならず、該スクリーンの無駄な処分を強いられる。

【０００４】一方、少量多品種の布製品に図柄を施す手法として、次に例示する昇華転写の技術が知られている。このものは、昇華性染料をインクジェットプリンタで基材シートに吹き付けて昇華転写シートを形成し、この昇華転写シートと布生地を重ね合わせた状態で加熱挟圧ローラで加熱挟圧することにより昇華性染料を昇華させ、これにより、昇華性染料を前記布生地に付着させるものである。このものでは、コンピュータで作成した図柄データをインクジェットプリンタに送信するだけで簡単に製作できる昇華転写シートを用いて布製品を作れるので、ニーズの変化に応じて、少量多品種の布製品を機動的に製作できる利点がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、昇華転写シートを用いて布製品を製作する場合は、昇華性染料が布生地に付着しにくく、又、布生地に付着した昇華性染料が再昇華したり、布生地内で拡散し易いことから、図柄が不鮮明になりやすいという問題があった。本考案は、かかる問題を解決する為に成されたものであり、鋭意研究を重ねた結果、種類が極めて多い布生地の中から、昇華転写に適した布生地を発見するのに成功し、本考案を成すに至った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

[１項] 上記課題を解決するための本考案の技術的手段は、『ポリエステル繊維を含む布生地の表面に、文字や図柄を表す為の、昇華転写による染料層が形成されている』ことである。本考案の考案特定事項たる布生地を構成するポリエステル繊維は、吸湿性が極めて低いので、昇華転写時に加熱された昇華性染料が布生地内に吸収されて拡散することが殆どなく、昇華性染料が布生地の表面に安定的に付着する。そして、昇華性染料が布生地内に拡散しないので、図柄が滲んで不鮮明になるような不都合がない。

【０００７】又、ポリエステル繊維は、昇華性染料が付着しやすく、付着した昇華性染料が再昇華し難い特質を有していることから、この点からも、昇華性染料が布生地に定着しやすい。従って、経時的な色褪せ等の心配が少ない。又、ポリエステル繊維は光沢性があるので、布生地の光沢性により、明度の高い図柄等を形成することができる。

【０００８】 [２項] 前記１項に於いて、『前記昇華性染料は、分散染料インクを含有する』ものとすることができる。このようにすると、疎水性を有するポリエステル繊維から成る布生地表面に一層鮮明な図柄等を形成することができる。分散染料インクは疎水性繊維を染色する適性に優れているからである。

【０００９】 [３項] 前記１項又は２項に於いて、布生地を構成するポリエステル繊維の含有率は多い方が望ましく、『前記布生地は、ポリエステル繊維１００％の布生地である』ものでは、前記図柄の滲みや、色褪せ防止の作用が顕著に発揮される。

【００１０】 [４項] 前記１項〜３項に於いて、『前記布生地は、起毛調表面を有するポリエステル繊維からなるポリエステルスエードである』ものとすることができるほか、布生地は、前記起毛の密度、又は、起毛高さが低いポリエステル繊維からなるポリエステルスエードとすることができる。このようにすると、高級な光沢感と風合いがあり、発色性の良好な布製品が得られる。

【００１１】 [５項] 上記課題を解決する為の本考案の技術的手段としては、『アクリル繊維、又は、ナイロン繊維、若しくは、絹の中から選んだ少なくとも一種類の繊維を含む布生地の表面に、文字や図柄を表す為の、昇華転写による染料層が形成されている』ものを採用することも可能である。

【００１２】 [６項] 前記１項〜５項のものに於いて、前記布製品は種々のものを包含するが、『前記布製品は法被である』ものとすることができる。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。前述したように、昇華転写時に文字や図柄が布生地に滲むのを防止できるので、鮮明な図柄等を形成できると共に、昇華性染料が布生地に定着し易いので、色褪せの少ない、高品質の布製品を提供することができる。アクリル繊維や絹等の光沢性を有する布生地を用いた布製品では、図柄の明度を高くすることができる。

【００１４】

【考案の実施の形態】

次に、上記した本考案の実施の形態を図面に従って詳述する。図１は、本考案の実施の形態に係る布製品たる法被(1)の斜視図である。この法被(1)は、パチンコ店や居酒屋等の種々のサービス業の店員のユニホームとして使用される。

【００１５】この法被(1)を構成する布は、図４に示すように、布生地(2)の表面に昇華転写によって形成された染料層(3)が形成された断面構造を有しており、該染料層(3) によって種々の文字や図柄が表わされている。又、この実施の形態では、ポリエステル繊維１００％の布生地(2)が採用されている。

【００１６】次に、上記法被(1)の製造作業を図２等に従って説明する。先ず、コンピュータ(5)で作成した文字や図柄等のデータ（以下、「図柄データ」という。）をインクジェットプリンタ(6)に送信する。インクジェットプリンタ(6)は、複数色の昇華性染料を転写シート用の基材シート(7)に吹き付けることにより、前記図柄データに対応する原画(71)が描かれた昇華転写シート(70)をプリントアウトする。前記昇華性染料としては、具体的には、疎水性繊維を染色するのに適した分散染料インクを含有する染料が用いられている。

【００１７】次に、図３に示すように、原画(71)が内側になるように昇華転写シート(70)と布生地(2)を重ね合わせた状態で、加熱ローラ(81)(82)間に挿通させ、これにより、原画(71)の材料たる昇華性染料を加熱昇華させ、該昇華性染料を、布生地(2 )に付着させる。すると、昇華転写シート(70)上の原画(71)に対応する図柄(15) が転写された柄布(A)、即ち、既述した図４の如き断面構造を有する柄布(A)が得られる。

【００１８】このものでは、布生地(2)を構成するポリエステル繊維は、吸湿性がほとんどないので、加熱ローラ(81)(82)で昇華転写するときに、加熱された昇華性染料が布生地(2)内で殆ど拡散することがなく、図柄が滲んで不鮮明になるような不都合がない。よって、グラデーション等の高度な手法を用いた図柄等を表現することができる。又、明度，彩度，色相等の微妙な相違を表現することができ、高品質の布製品を提供することができる。

【００１９】又、ポリエステル繊維は、昇華性染料が付着しやすく、付着した昇華性染料が再昇華し難い特質を有していることから、昇華性染料が布生地に定着し易く、経時的な色褪せ等の心配が少なくなる。又、ポリエステル繊維や後述のナイロン繊維などは光沢性があるので、明度の高い図柄等を形成することができる。以後、前記柄布(A)を適宜裁断し縫製すると、図１の如き布製品たる法被が完成する。

【００２０】図５は、昇華転写シート(70)から布生地(2)に昇華転写する装置の他の構造を例示した断面図である。このものでは、真空ポンプ(81)で負圧状態に維持される減圧室(82)の上部に設けられた網板(83)上に布生地(2)と昇華転写シート(70)を積層し、この積層された布生地(2)と昇華転写シート(70)を、昇降移動する熱板(84)で押圧しつつ真空ポンプ(81)で減圧室(82)を負圧状態に維持する。すると、昇華転写シート(70)の加熱によって昇華する昇華性染料が、減圧室(82)の負圧によって布生地(2)側に吸引され、これにより、昇華性染料が布生地(2)に付着しやすくなり、鮮明な図柄等が形成されて綺麗な仕上がりの柄布が得られる。

【００２１】 [その他] ．上記実施の形態では、ポリエステル繊維１００％の布生地(2)を採用したが、ポリエステル繊維の含有率は１００％未満であっても良い。．布生地(2)として、起毛調表面を有するポリエステル繊維からなるポリエステルスエードを採用してもよく、又、前記起毛の密度、又は、起毛高さが低いポリエステル繊維からなるポリエステルスエードを採用してもよい。．ポリエステル繊維に代えて、アクリル繊維，ナイロン繊維，絹、又は、これらの混合繊維を採用してもよい。．布生地(2)として、光沢性を有する布生地を採用する場合は、布生地の光沢性により、図柄の明度が高くなる。．上記実施の形態では、布製品として法被を例示したが、本考案の布製品には、前記法被以外の被服，旗、のぼり、ふろしき等、種々のものが含まれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態を説明する法被(1)の斜視
図

【図２】昇華転写シート(70)の製造説明図

【図３】昇華転写工程の説明図

【図４】柄布(A)の拡大断面図

【図５】昇華転写工程の変形例の説明図

【符号の説明】

(1)・・・法被 (2)・・・布生地 (3)・・・染料層

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＡ４１Ｄ 31/00 ５０１Ａ４１Ｄ 31/00 ５０１ＱＤ０６Ｐ 3/00 Ｄ０６Ｐ 3/00 Ｍ 3/54 3/54 Ｚ

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ポリエステル繊維を含む布生地の表面
に、文字や図柄を表す為の、昇華転写による染料層が形
成されている、布製品。
【請求項２】請求項１に記載の布製品に於いて、前記昇華性染料は、分散染料インクを含有する、布製
品。
【請求項３】請求項１又は２に記載の布製品に於い
て、前記布生地は、ポリエステル繊維１００％の布生地であ
る、布製品。
【請求項４】請求項１から３の何れかに記載の布製品
に於いて、前記布生地は、起毛調表面を有するポリエステル繊維か
らなるポリエステルスエードである、布製品。
【請求項５】アクリル繊維、又は、ナイロン繊維、若
しくは、絹の中から選んだ少なくとも一種類の繊維を含
む布生地の表面に、文字や図柄を表す為の、昇華転写に
よる染料層が形成されている、布製品。
【請求項６】請求項１から５の何れかに記載の布製品
は法被である、布製品。