JP2004250195A - シート搬送装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートの貼り付きを抑制し、安定した状態でシートを搬送する。
【解決手段】形成された無数の吸気孔67を介して吸引を行うことで用紙Pを吸着搬送する複数の無端ベルト66(66a〜66e)が取り付けられるハウジング本体61を、搬送される用紙Pとは逆の帯電極性を有する材料で構成する。このようにすることで、複数の無端ベルト66の間に露出するハウジング本体61の上面61aを、用紙Pに対して静電的に反発させる。また、ハウジング本体61のうち無端ベルト66と対向する部位には、低摩擦性を有する保護シートや突起等を対向配置することで無端ベルト66の摩耗を抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】形成された無数の吸気孔67を介して吸引を行うことで用紙Pを吸着搬送する複数の無端ベルト66(66a〜66e)が取り付けられるハウジング本体61を、搬送される用紙Pとは逆の帯電極性を有する材料で構成する。このようにすることで、複数の無端ベルト66の間に露出するハウジング本体61の上面61aを、用紙Pに対して静電的に反発させる。また、ハウジング本体61のうち無端ベルト66と対向する部位には、低摩擦性を有する保護シートや突起等を対向配置することで無端ベルト66の摩耗を抑制する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置等に係り、特に、画像形成装置などで用いられ、ベルト部材にシートを吸引保持した状態で搬送するシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における画像形成装置として、トナー像が形成担持される像担持体(例えば感光体ドラム)を備えた複数の画像形成ユニットを並列配置すると共に、各画像形成ユニットの配列方向に沿って循環移動する中間転写ベルトを配設し、各画像形成ユニットで形成された各色成分(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)画像を中間転写ベルトに一次転写装置により順次一次転写した後、中間転写ベルト上に重ね合わされた重ね画像を二次転写装置により用紙に二次転写(二次転写)し、用紙に二次転写された画像を定着装置で定着させるようにしたものが知られている。このような画像形成装置にあっては、二次転写後の用紙を安定した状態で定着装置に搬送する目的で、二次転写装置と定着装置との間にシート搬送装置が設けられるようになっている。この種のシート搬送装置としては、多数の穴開け加工を施した無端ベルトを複数の支持ロールに張架し、無端ベルトの内側からファン等によって吸引を行わせることで無端ベルト表面にシートを保持すると共に、支持ロールを駆動して無端ベルトを回動させることで、シートを吸着搬送するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−151380号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のシート搬送装置では、搬送しようとするシートがシート搬送装置に貼り付き、無端ベルトを回動させるのに必要なトルクが増大して無端ベルトが停止し、その結果シートの搬送不良を招くという技術的課題がみられた。これに対し、上述した特許文献1では、シート搬送装置のシートとの対向部に搬送方向に沿ったリブを設けることで、シートとの接触面積を低減し、シートをスムースに搬送する提案がなされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、シートがシート搬送装置に貼り付いてしまうことがあり、上述した技術的課題を解決するには未だ不十分であった。これを具体的に説明すると、シート搬送装置のシート対向部の帯電極性と搬送しようとするシートの帯電極性とが異なる場合に、シートがシート搬送装置に静電的に貼り付いてしまい、シートの搬送不良を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、シートの貼り付きを抑制し、安定した状態でシートを搬送することにある。
また、本発明の他の目的は、無端ベルトの摩耗を抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、シートの帯電極性に着目し、シートと反発電界を形成するような構成を採用することで、上述した技術的課題を解決する。
すなわち、本発明のシート搬送装置は、シートの搬送面に多数の穿孔が形成される無端ベルトと、この無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、この無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、シートと同じ帯電極性を有し、張架部材が取り付けられるハウジング部材とを含んでいる。このシート搬送装置において、無端ベルトはシートの搬送方向に回動可能に構成されると共に搬送方向に対して直交する方向に複数配設され、ハウジング部材は複数の無端ベルト間に露出していることを特徴とすることができる。また、この場合において、複数の無端ベルト間に露出しているハウジング部材には、シートの搬送方向に沿ってリブが形成されていることを特徴とすることができる。
【0008】
また無端ベルトと対向するハウジング部材には吸引部材による吸引を行うための開口を形成すると共に、この開口近傍には無端ベルトとの摩擦が低められる低摩擦部材を取り付けることを特徴とすることができる。この場合において、低摩擦部材は、シートの搬送方向から見た開口の側部にドット状に取り付けられることを特徴とすることができる。そして、低摩擦部材は、シートの搬送方向から見た開口の上流側および下流側に取り付けられることを特徴とすることができ、また、シートと同じ帯電極性を有していることを特徴とすることができる。
【0009】
また、他の観点から捉えると、本発明は、移動するベルト部材によりトナー像が転写されるシートを担持搬送するシート搬送装置であって、ベルト部材にはシートに対する吸着力を働かせると共に、ベルト部材の側部に設けられシートと対向する対向部材にはシートに対する静電的な反発力を働かせることを特徴としている。このようなシート搬送装置では、ベルト部材には多数の穿孔を形成すると共に、穿孔を介して周囲の雰囲気を吸引することを特徴とすることができる。
【0010】
さらに、他の観点から捉えると、本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、この像担持体上に形成されたトナー像をシートに静電転写する転写部材と、トナー像が転写された記録材を搬送する搬送機構と、この搬送機構によって搬送された記録材上のトナー像を定着する定着部材とを備え、搬送機構は、シートの搬送面に多数の穿孔が形成される複数の無端ベルトと、この無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、この無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、シートに転写されたトナー像を構成するトナーと同じ帯電極性を有し、張架部材が取り付けられるハウジング部材とを有することを特徴としている。このような画像形成装置において、吸引部材による吸引量は、搬送されるシートの大きさに基づいて設定されることを特徴とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は実施の一形態に係る画像形成装置を示している。これは所謂タンデム型、所謂中間転写型の画像形成装置であって、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(具体的には10Y,10M,10C,10K)と、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20上に転写された重ね画像をシートとしての用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置80とを備えたものである。また、この画像形成装置は、各装置(各部)の動作を制御する制御部50を有している。
【0012】
本実施の形態において、各画像形成ユニット10は、矢線α方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、感光体ドラム11が帯電される帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像が書込まれるレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像が可視像化される現像装置14、感光体ドラム11上の各色成分トナー像が中間転写ベルト20に転写される一次転写ロール15及び感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ16などの電子写真用デバイスを順次配設したものである。なお、本実施の形態では、各色成分トナーとして負極性に帯電するものが用いられている。
【0013】
また、中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では5つ)の支持ロール21〜25に掛け渡され、矢線β方向に回動するようになっている。ここで、支持ロール21は中間転写ベルト20の駆動ロール、支持ロール22、25は従動ロール、支持ロール23が中間転写ベルト20の張力を調整するテンションロール、支持ロール24が後述するように二次転写装置30のバックアップロールである。ここで、中間転写ベルト20は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものを用い、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるように形成され、その厚みは例えば0.1mmに設定される。また、一次転写ロール15には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアス(本実施の形態では正極性)が印加されるようになっており、感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト20に夫々順次静電吸引され、中間転写ベルト20上に重ねトナー像として形成されるようになっている。
【0014】
更に、二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー担持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール32(支持ロール24と兼用)とを備えており、このバックアップロール32には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール33が当接配置されている。また、給電ロール33には、トナーと同極性の二次転写バイアス(本実施の形態では負極性)が印加されるようになっており、一方、二次転写ロール31は接地されるようになっている。これにより、中間転写ベルト20上のトナー像が用紙Pに二次転写される。本実施の形態において、二次転写ロール31は、表面にカーボンを分散したウレタンゴムのチューブ、内部はカーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなり、さらにロール表面にフッ素コートを施し、その体積抵抗率が103〜1010Ω・cmでロール径が28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカC)に設定される。また、バックアップロール32は、表面にカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムからなり、その表面抵抗率が7〜10logΩ/□でロール径が28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。
【0015】
さらに、二次転写ロール31からみて中間転写ベルト20の移動方向下流側には二次転写後の中間転写ベルト20表面を除電する除電器34が、さらにその下流側には中間転写ベルト20表面をクリーニングするベルトクリーナ35が設けられている。一方、二次転写ロール31からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ36が配設され、また、イエローの画像形成ユニット10Yの上流側には、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)37が配置されている。この基準センサ37は、中間転写ベルト20の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部50からの指示により、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)は画像形成を開始するように構成されている。
【0016】
更に、用紙搬送系は、用紙トレイ40からの用紙Pを給紙ロール41にて所定のタイミングで繰り出し、搬送ロール42及び搬送シュート43を介して二次転写位置へと送り込むようになっている。そして、二次転写後の用紙Pを第一のベルト搬送装置60から第二のベルト搬送装置70へと導き、この第二のベルト搬送装置70にて定着装置80へと搬送するようになっている。また、二次転写位置より上流側には、搬送される用紙Pの大きさ(サイズ)を検知するサイズ検知センサ51が設けられている。
【0017】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置をデジタルカラー複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をカラー画像読み取り装置(図示せず)により読み取り、その読み取り信号を画像信号処理によってデジタル画像信号に変換してメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている四色(Y,M,C,K)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0018】
すなわち、画像信号処理によって得られた各色のデジタル画像信号に基づいて画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)をそれぞれ駆動する。そして、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kでは、帯電器12により一様に帯電された感光体ドラム11にデジタル画像信号に応じた静電潜像をレーザ露光器13にてそれぞれ書き込ませる。そして、形成された各静電潜像を各色のトナーが収容される現像装置14により現像して各色のトナー像を形成させる。なお、この画像形成装置をカラープリンタとして構成する場合には、外部から入力される画像信号に基づいて各色のトナー像作成を行わせるようにすればよい。
【0019】
そして、各感光体ドラム11に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で、一次転写ロール15により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム11から中間転写ベルト20の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト20(バックアップロール32)に対して二次転写ロール31が用紙Pをニップする。そして、二次転写位置において、二次転写装置30としての二次転写ロール31とバックアップロール32との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20に担持された重ねトナー像が用紙Pに二次転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは、第一のベルト搬送装置60および第二のベルト搬送装置70によって定着装置80へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト20は、除電器34によって残留電荷が除電され、また、ベルトクリーナ35によって残留トナーが除去される。
【0020】
次に、この画像形成装置で用いられる第一のベルト搬送装置60について詳細に説明する。なお、第二のベルト搬送装置70も、以下に説明する第一のベルト搬送装置60と同じである。図2は、第一のベルト搬送装置60の概略構成を示す斜視図である。また、図3(a)は図2に示す第一のベルト搬送装置60を上部より見た上面図を示しており、図3(b)は第一のベルト搬送装置60を図3(a)のB方向より見た前面図を示している。ただし、図3(a)(b)においては、無端ベルト66a〜66eを取り外している。
【0021】
第一のベルト搬送装置60は、装置の骨格となるハウジング本体61と、このハウジング本体61に用紙Pの搬送方向に直交するように二本のロール軸62,63と、搬送方向下流側のロール軸62に所定の間隔で取り付けられ図示しない駆動モータによって駆動される五つの駆動ロール64(64a〜64e)と、これら各駆動ロール64a〜64eに対応して搬送方向上流側のロール軸63に所定の間隔で取り付けられた五つの従動ロール65(65a〜65e)と、これら各駆動ロール64と各従動ロール65とによって張架された無端ベルト66(66a〜66e)とを備えている。これら各無端ベルト66a〜66eの表面には、それぞれ無数の吸気孔67が形成されている。また、五本の無端ベルト66a〜66eが所定の間隔で並列配置されているため、これら各無端ベルト66a〜66eの間には、ハウジング本体61の上面61aが露出するようになっている。
【0022】
本実施の形態において、ハウジング本体61は、ポリプロピレン(PP)を一体成型したものからなり、また、無端ベルト66(66a〜66e)は、カーボンを分散したEPDMゴムからなる。
【0023】
ハウジング本体61の上部には、各無端ベルト66(66a〜66e)の取り付け位置に対応しその移動方向に沿って断面長方形状の開口61bが設けられている。この開口61bは、図示しない通路によってハウジング本体61の下部に取り付けられた吸引ファン68と連通接続されており、吸引ファン68を動作させることにより、開口61b周辺の雰囲気を吸引できるようになっている。また、吸引ファン68には隣接して排出ダクト69が取り付けられており、吸引ファン68によって吸引された雰囲気は排出ダクト69を介して外部に排出されるようになっている。
【0024】
また、ハウジング本体61に設けられた各開口61bの無端ベルト66の移動方向上流側には保護シート91が貼り付けられており、移動方向下流側には保護シート92が貼り付けられている。さらに、各開口61bの両側部には、無端ベルト66の移動方向に沿って複数の突起93が設けられている。本実施の形態において、これら保護シート91,92および突起93は、テフロン(デュポン社の商標)にて構成されている。
【0025】
ここで、図4は図2のA−A断面を、図5(a)は図3(a)のC−C断面を、図5(b)は図3(a)のD−D断面を示す図である。なお、図4、図5においては無端ベルト66も図示しており、また、図4においては用紙Pが搬送されている状態を示している。
本実施の形態において、ハウジング本体61の上面61aすなわち用紙Pと直接対向する部位には、複数のリブ61cが形成されている。これらリブ61cは、ハウジング本体61と一体成型されるものであり、したがってハウジング本体61と同じ材質のもので構成される。そして、リブ61cの先端はラウンド状に形成されており、搬送される用紙Pとの接触部分は線状となる。また、上面61aのうち、開口61b近傍には一段低い上面窪み部61dが形成されており、この上面窪み部61d上には無端ベルト66dに対向するように上述した突起93が取り付けられている。そして、突起93の先端はラウンド状に形成されており、無端ベルト66dの接触部分は点状となる。一方、無端ベルト66dの内側(用紙Pと接触しない側)には、シボ加工による凹凸処理が施されている。
【0026】
また、保護シート91および92は、その表面が上面窪み部61dよりも高く位置するように取り付けられている。上面61aと上面窪み部61dとの段差は1mm未満程度であり、保護シート91、92および突起93の高さはこの段差よりも小さく設定される。したがって、用紙Pを搬送しない状態では、無端ベルト66dが保護シート91、92や突起93と接触することなく回動できるようになっている。
【0027】
次に、この第一のベルト搬送装置60における動作について説明する。
第一のベルト搬送装置60では、図示しない駆動モータによってロール軸62を回転駆動し、ロール軸62に取り付けられた駆動ロール64(64a〜64e)によって無端ベルト66(66a〜66e)が回動する。一方、吸引ファン68を駆動することにより、開口61bより空気が吸引されるため、その上部の無端ベルト66に設けられた吸気孔67から空気が吸引される。
この状態で、二次転写装置30(図1参照)から排出された用紙Pが搬入されると、用紙Pの裏面(トナー像を担持していない側の面)が吸気孔67からの吸引によって無端ベルト66に吸い付けられ、無端ベルト66の回動によって、用紙Pは無端ベルト66に吸着された状態で搬送されていく。そして、搬送された用紙Pは、従動ロール65によって張架される部位で無端ベルト66より剥離され、第二のベルト搬送装置70(図1参照)に向けて搬送される。
【0028】
ここで、代表的な材料の帯電系列を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より、保護シート91、92や突起93を構成するテフロンは、非常に強い負の帯電極性を有していることが理解される。また、ハウジング本体61を構成するポリプロピレンも、負の帯電極性を有していることが理解される。なお、無端ベルト66には導電性のカーボンが含有されているため、正負どちらの極性にも帯電しにくい。
一方、二次転写装置30から排出された用紙Pは、二次転写バイアスの影響により負極性に帯電している。
【0031】
したがって、第一のベルト搬送装置60では、空気の吸引によって無端ベルト66に用紙Pを吸い付ける吸引力が働くのに対し、ハウジング本体61(リブ61cも含む)との間に用紙Pを引き離す静電的な反発力が働くことになる。また、ハウジング本体61に取り付けられる保護シート91、92や突起93も、用紙Pとの間に静電的な反発力が生じる。ただし、吸引力>反発力である。すると、上述した反発力により、用紙Pはハウジング本体61に静電的に吸着できなくなる。それゆえ、用紙Pには無端ベルト66の吸気孔67からの吸引力のみが働くため、用紙Pが第一のベルト搬送装置60(ハウジング本体61)に貼り付いて無端ベルト66の回動を停止させるような事態は生じず、用紙Pはスムーズに搬送されていくことになる。
【0032】
また、無端ベルト66に用紙Pが吸着した状態では、吸引力により無端ベルト66と保護シート91、92および突起93が接触した状態になるが、これら保護シート91、92や突起93は、滑りのよいテフロンで構成されており、接触時の摺動抵抗は非常に小さくなる。特に、本実施の形態では、無端ベルト66と接する部位についてはリブ状ではなく突起状としている。したがって、これらが無端ベルト66の回動の妨げになることはなく、用紙Pはさらにスムーズに搬送される。また、接触によって発生する無端ベルト66の削りかすの量も低く抑えられる。
【0033】
なお、この第一のベルト搬送装置60では、大きい用紙Pを搬送する際にはすべての無端ベルト66(66a〜66e)が用紙Pによって覆われるが、小さい用紙Pを搬送する際には一部の無端ベルト66(例えば66a〜66c)しか用紙Pによって覆われなくなる。すると、用紙Pに働く吸引力は、大きい用紙Pに対しては大きくなり、小さい用紙Pに対しては無端ベルト66d、66eにおける抜けがある分だけ小さくなる。このため、画像形成中にサイズ検知センサ51によって搬送される用紙Pの大きさを検知し、これに基づいて吸引ファン68の回転数すなわち吸引量を制御することが好ましい。具体的には、大きい用紙Pが検知された場合には吸引ファン68の回転数を少なく、小さい用紙Pが検知された場合には吸引ファン68の回転数を多くすれば、さらにスムーズに用紙Pを搬送することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シートの貼り付きを抑制することができ、安定した状態でシートを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の一形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図2】第一のベルト搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は図2に示す第一のベルト搬送装置を上部より見た上面図であり、(b)は第一のベルト搬送装置を(a)のB方向より見た前面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】(a)は図3(a)のC−C断面図、(b)は図3(a)のD−D断面図である。
【符号の説明】
10Y,10M,10C,10K(10)…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、31…二次転写ロール、32…バックアップロール、33…給電ロール、40…用紙トレイ、50…制御部、51…サイズ検知センサ、60…第一のベルト搬送装置、61…ハウジング本体、61a…上面、61b…開口、61c…リブ、61d…上面窪み部、62,63…ロール軸、64(64a〜64e)…駆動ロール、65(65a〜65e)…従動ロール、66(66a〜66e)…無端ベルト、67…吸気孔、68…吸引ファン、69…排出ダクト、70…第二のベルト搬送装置、80…定着装置、91,92…保護シート、93…突起、P…用紙
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置等に係り、特に、画像形成装置などで用いられ、ベルト部材にシートを吸引保持した状態で搬送するシート搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における画像形成装置として、トナー像が形成担持される像担持体(例えば感光体ドラム)を備えた複数の画像形成ユニットを並列配置すると共に、各画像形成ユニットの配列方向に沿って循環移動する中間転写ベルトを配設し、各画像形成ユニットで形成された各色成分(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)画像を中間転写ベルトに一次転写装置により順次一次転写した後、中間転写ベルト上に重ね合わされた重ね画像を二次転写装置により用紙に二次転写(二次転写)し、用紙に二次転写された画像を定着装置で定着させるようにしたものが知られている。このような画像形成装置にあっては、二次転写後の用紙を安定した状態で定着装置に搬送する目的で、二次転写装置と定着装置との間にシート搬送装置が設けられるようになっている。この種のシート搬送装置としては、多数の穴開け加工を施した無端ベルトを複数の支持ロールに張架し、無端ベルトの内側からファン等によって吸引を行わせることで無端ベルト表面にシートを保持すると共に、支持ロールを駆動して無端ベルトを回動させることで、シートを吸着搬送するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−151380号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のシート搬送装置では、搬送しようとするシートがシート搬送装置に貼り付き、無端ベルトを回動させるのに必要なトルクが増大して無端ベルトが停止し、その結果シートの搬送不良を招くという技術的課題がみられた。これに対し、上述した特許文献1では、シート搬送装置のシートとの対向部に搬送方向に沿ったリブを設けることで、シートとの接触面積を低減し、シートをスムースに搬送する提案がなされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、シートがシート搬送装置に貼り付いてしまうことがあり、上述した技術的課題を解決するには未だ不十分であった。これを具体的に説明すると、シート搬送装置のシート対向部の帯電極性と搬送しようとするシートの帯電極性とが異なる場合に、シートがシート搬送装置に静電的に貼り付いてしまい、シートの搬送不良を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、シートの貼り付きを抑制し、安定した状態でシートを搬送することにある。
また、本発明の他の目的は、無端ベルトの摩耗を抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、シートの帯電極性に着目し、シートと反発電界を形成するような構成を採用することで、上述した技術的課題を解決する。
すなわち、本発明のシート搬送装置は、シートの搬送面に多数の穿孔が形成される無端ベルトと、この無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、この無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、シートと同じ帯電極性を有し、張架部材が取り付けられるハウジング部材とを含んでいる。このシート搬送装置において、無端ベルトはシートの搬送方向に回動可能に構成されると共に搬送方向に対して直交する方向に複数配設され、ハウジング部材は複数の無端ベルト間に露出していることを特徴とすることができる。また、この場合において、複数の無端ベルト間に露出しているハウジング部材には、シートの搬送方向に沿ってリブが形成されていることを特徴とすることができる。
【0008】
また無端ベルトと対向するハウジング部材には吸引部材による吸引を行うための開口を形成すると共に、この開口近傍には無端ベルトとの摩擦が低められる低摩擦部材を取り付けることを特徴とすることができる。この場合において、低摩擦部材は、シートの搬送方向から見た開口の側部にドット状に取り付けられることを特徴とすることができる。そして、低摩擦部材は、シートの搬送方向から見た開口の上流側および下流側に取り付けられることを特徴とすることができ、また、シートと同じ帯電極性を有していることを特徴とすることができる。
【0009】
また、他の観点から捉えると、本発明は、移動するベルト部材によりトナー像が転写されるシートを担持搬送するシート搬送装置であって、ベルト部材にはシートに対する吸着力を働かせると共に、ベルト部材の側部に設けられシートと対向する対向部材にはシートに対する静電的な反発力を働かせることを特徴としている。このようなシート搬送装置では、ベルト部材には多数の穿孔を形成すると共に、穿孔を介して周囲の雰囲気を吸引することを特徴とすることができる。
【0010】
さらに、他の観点から捉えると、本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、この像担持体上に形成されたトナー像をシートに静電転写する転写部材と、トナー像が転写された記録材を搬送する搬送機構と、この搬送機構によって搬送された記録材上のトナー像を定着する定着部材とを備え、搬送機構は、シートの搬送面に多数の穿孔が形成される複数の無端ベルトと、この無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、この無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、シートに転写されたトナー像を構成するトナーと同じ帯電極性を有し、張架部材が取り付けられるハウジング部材とを有することを特徴としている。このような画像形成装置において、吸引部材による吸引量は、搬送されるシートの大きさに基づいて設定されることを特徴とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は実施の一形態に係る画像形成装置を示している。これは所謂タンデム型、所謂中間転写型の画像形成装置であって、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(具体的には10Y,10M,10C,10K)と、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20上に転写された重ね画像をシートとしての用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置80とを備えたものである。また、この画像形成装置は、各装置(各部)の動作を制御する制御部50を有している。
【0012】
本実施の形態において、各画像形成ユニット10は、矢線α方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、感光体ドラム11が帯電される帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像が書込まれるレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像が可視像化される現像装置14、感光体ドラム11上の各色成分トナー像が中間転写ベルト20に転写される一次転写ロール15及び感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ16などの電子写真用デバイスを順次配設したものである。なお、本実施の形態では、各色成分トナーとして負極性に帯電するものが用いられている。
【0013】
また、中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では5つ)の支持ロール21〜25に掛け渡され、矢線β方向に回動するようになっている。ここで、支持ロール21は中間転写ベルト20の駆動ロール、支持ロール22、25は従動ロール、支持ロール23が中間転写ベルト20の張力を調整するテンションロール、支持ロール24が後述するように二次転写装置30のバックアップロールである。ここで、中間転写ベルト20は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものを用い、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるように形成され、その厚みは例えば0.1mmに設定される。また、一次転写ロール15には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアス(本実施の形態では正極性)が印加されるようになっており、感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト20に夫々順次静電吸引され、中間転写ベルト20上に重ねトナー像として形成されるようになっている。
【0014】
更に、二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー担持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール32(支持ロール24と兼用)とを備えており、このバックアップロール32には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール33が当接配置されている。また、給電ロール33には、トナーと同極性の二次転写バイアス(本実施の形態では負極性)が印加されるようになっており、一方、二次転写ロール31は接地されるようになっている。これにより、中間転写ベルト20上のトナー像が用紙Pに二次転写される。本実施の形態において、二次転写ロール31は、表面にカーボンを分散したウレタンゴムのチューブ、内部はカーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなり、さらにロール表面にフッ素コートを施し、その体積抵抗率が103〜1010Ω・cmでロール径が28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカC)に設定される。また、バックアップロール32は、表面にカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムからなり、その表面抵抗率が7〜10logΩ/□でロール径が28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。
【0015】
さらに、二次転写ロール31からみて中間転写ベルト20の移動方向下流側には二次転写後の中間転写ベルト20表面を除電する除電器34が、さらにその下流側には中間転写ベルト20表面をクリーニングするベルトクリーナ35が設けられている。一方、二次転写ロール31からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ36が配設され、また、イエローの画像形成ユニット10Yの上流側には、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)37が配置されている。この基準センサ37は、中間転写ベルト20の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部50からの指示により、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)は画像形成を開始するように構成されている。
【0016】
更に、用紙搬送系は、用紙トレイ40からの用紙Pを給紙ロール41にて所定のタイミングで繰り出し、搬送ロール42及び搬送シュート43を介して二次転写位置へと送り込むようになっている。そして、二次転写後の用紙Pを第一のベルト搬送装置60から第二のベルト搬送装置70へと導き、この第二のベルト搬送装置70にて定着装置80へと搬送するようになっている。また、二次転写位置より上流側には、搬送される用紙Pの大きさ(サイズ)を検知するサイズ検知センサ51が設けられている。
【0017】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置をデジタルカラー複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をカラー画像読み取り装置(図示せず)により読み取り、その読み取り信号を画像信号処理によってデジタル画像信号に変換してメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている四色(Y,M,C,K)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行わせるようにする。
【0018】
すなわち、画像信号処理によって得られた各色のデジタル画像信号に基づいて画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)をそれぞれ駆動する。そして、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kでは、帯電器12により一様に帯電された感光体ドラム11にデジタル画像信号に応じた静電潜像をレーザ露光器13にてそれぞれ書き込ませる。そして、形成された各静電潜像を各色のトナーが収容される現像装置14により現像して各色のトナー像を形成させる。なお、この画像形成装置をカラープリンタとして構成する場合には、外部から入力される画像信号に基づいて各色のトナー像作成を行わせるようにすればよい。
【0019】
そして、各感光体ドラム11に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で、一次転写ロール15により印加される一次転写バイアスにより感光体ドラム11から中間転写ベルト20の表面に一次転写される。このようにして中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写位置へと搬送され、中間転写ベルト20(バックアップロール32)に対して二次転写ロール31が用紙Pをニップする。そして、二次転写位置において、二次転写装置30としての二次転写ロール31とバックアップロール32との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20に担持された重ねトナー像が用紙Pに二次転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは、第一のベルト搬送装置60および第二のベルト搬送装置70によって定着装置80へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト20は、除電器34によって残留電荷が除電され、また、ベルトクリーナ35によって残留トナーが除去される。
【0020】
次に、この画像形成装置で用いられる第一のベルト搬送装置60について詳細に説明する。なお、第二のベルト搬送装置70も、以下に説明する第一のベルト搬送装置60と同じである。図2は、第一のベルト搬送装置60の概略構成を示す斜視図である。また、図3(a)は図2に示す第一のベルト搬送装置60を上部より見た上面図を示しており、図3(b)は第一のベルト搬送装置60を図3(a)のB方向より見た前面図を示している。ただし、図3(a)(b)においては、無端ベルト66a〜66eを取り外している。
【0021】
第一のベルト搬送装置60は、装置の骨格となるハウジング本体61と、このハウジング本体61に用紙Pの搬送方向に直交するように二本のロール軸62,63と、搬送方向下流側のロール軸62に所定の間隔で取り付けられ図示しない駆動モータによって駆動される五つの駆動ロール64(64a〜64e)と、これら各駆動ロール64a〜64eに対応して搬送方向上流側のロール軸63に所定の間隔で取り付けられた五つの従動ロール65(65a〜65e)と、これら各駆動ロール64と各従動ロール65とによって張架された無端ベルト66(66a〜66e)とを備えている。これら各無端ベルト66a〜66eの表面には、それぞれ無数の吸気孔67が形成されている。また、五本の無端ベルト66a〜66eが所定の間隔で並列配置されているため、これら各無端ベルト66a〜66eの間には、ハウジング本体61の上面61aが露出するようになっている。
【0022】
本実施の形態において、ハウジング本体61は、ポリプロピレン(PP)を一体成型したものからなり、また、無端ベルト66(66a〜66e)は、カーボンを分散したEPDMゴムからなる。
【0023】
ハウジング本体61の上部には、各無端ベルト66(66a〜66e)の取り付け位置に対応しその移動方向に沿って断面長方形状の開口61bが設けられている。この開口61bは、図示しない通路によってハウジング本体61の下部に取り付けられた吸引ファン68と連通接続されており、吸引ファン68を動作させることにより、開口61b周辺の雰囲気を吸引できるようになっている。また、吸引ファン68には隣接して排出ダクト69が取り付けられており、吸引ファン68によって吸引された雰囲気は排出ダクト69を介して外部に排出されるようになっている。
【0024】
また、ハウジング本体61に設けられた各開口61bの無端ベルト66の移動方向上流側には保護シート91が貼り付けられており、移動方向下流側には保護シート92が貼り付けられている。さらに、各開口61bの両側部には、無端ベルト66の移動方向に沿って複数の突起93が設けられている。本実施の形態において、これら保護シート91,92および突起93は、テフロン(デュポン社の商標)にて構成されている。
【0025】
ここで、図4は図2のA−A断面を、図5(a)は図3(a)のC−C断面を、図5(b)は図3(a)のD−D断面を示す図である。なお、図4、図5においては無端ベルト66も図示しており、また、図4においては用紙Pが搬送されている状態を示している。
本実施の形態において、ハウジング本体61の上面61aすなわち用紙Pと直接対向する部位には、複数のリブ61cが形成されている。これらリブ61cは、ハウジング本体61と一体成型されるものであり、したがってハウジング本体61と同じ材質のもので構成される。そして、リブ61cの先端はラウンド状に形成されており、搬送される用紙Pとの接触部分は線状となる。また、上面61aのうち、開口61b近傍には一段低い上面窪み部61dが形成されており、この上面窪み部61d上には無端ベルト66dに対向するように上述した突起93が取り付けられている。そして、突起93の先端はラウンド状に形成されており、無端ベルト66dの接触部分は点状となる。一方、無端ベルト66dの内側(用紙Pと接触しない側)には、シボ加工による凹凸処理が施されている。
【0026】
また、保護シート91および92は、その表面が上面窪み部61dよりも高く位置するように取り付けられている。上面61aと上面窪み部61dとの段差は1mm未満程度であり、保護シート91、92および突起93の高さはこの段差よりも小さく設定される。したがって、用紙Pを搬送しない状態では、無端ベルト66dが保護シート91、92や突起93と接触することなく回動できるようになっている。
【0027】
次に、この第一のベルト搬送装置60における動作について説明する。
第一のベルト搬送装置60では、図示しない駆動モータによってロール軸62を回転駆動し、ロール軸62に取り付けられた駆動ロール64(64a〜64e)によって無端ベルト66(66a〜66e)が回動する。一方、吸引ファン68を駆動することにより、開口61bより空気が吸引されるため、その上部の無端ベルト66に設けられた吸気孔67から空気が吸引される。
この状態で、二次転写装置30(図1参照)から排出された用紙Pが搬入されると、用紙Pの裏面(トナー像を担持していない側の面)が吸気孔67からの吸引によって無端ベルト66に吸い付けられ、無端ベルト66の回動によって、用紙Pは無端ベルト66に吸着された状態で搬送されていく。そして、搬送された用紙Pは、従動ロール65によって張架される部位で無端ベルト66より剥離され、第二のベルト搬送装置70(図1参照)に向けて搬送される。
【0028】
ここで、代表的な材料の帯電系列を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より、保護シート91、92や突起93を構成するテフロンは、非常に強い負の帯電極性を有していることが理解される。また、ハウジング本体61を構成するポリプロピレンも、負の帯電極性を有していることが理解される。なお、無端ベルト66には導電性のカーボンが含有されているため、正負どちらの極性にも帯電しにくい。
一方、二次転写装置30から排出された用紙Pは、二次転写バイアスの影響により負極性に帯電している。
【0031】
したがって、第一のベルト搬送装置60では、空気の吸引によって無端ベルト66に用紙Pを吸い付ける吸引力が働くのに対し、ハウジング本体61(リブ61cも含む)との間に用紙Pを引き離す静電的な反発力が働くことになる。また、ハウジング本体61に取り付けられる保護シート91、92や突起93も、用紙Pとの間に静電的な反発力が生じる。ただし、吸引力>反発力である。すると、上述した反発力により、用紙Pはハウジング本体61に静電的に吸着できなくなる。それゆえ、用紙Pには無端ベルト66の吸気孔67からの吸引力のみが働くため、用紙Pが第一のベルト搬送装置60(ハウジング本体61)に貼り付いて無端ベルト66の回動を停止させるような事態は生じず、用紙Pはスムーズに搬送されていくことになる。
【0032】
また、無端ベルト66に用紙Pが吸着した状態では、吸引力により無端ベルト66と保護シート91、92および突起93が接触した状態になるが、これら保護シート91、92や突起93は、滑りのよいテフロンで構成されており、接触時の摺動抵抗は非常に小さくなる。特に、本実施の形態では、無端ベルト66と接する部位についてはリブ状ではなく突起状としている。したがって、これらが無端ベルト66の回動の妨げになることはなく、用紙Pはさらにスムーズに搬送される。また、接触によって発生する無端ベルト66の削りかすの量も低く抑えられる。
【0033】
なお、この第一のベルト搬送装置60では、大きい用紙Pを搬送する際にはすべての無端ベルト66(66a〜66e)が用紙Pによって覆われるが、小さい用紙Pを搬送する際には一部の無端ベルト66(例えば66a〜66c)しか用紙Pによって覆われなくなる。すると、用紙Pに働く吸引力は、大きい用紙Pに対しては大きくなり、小さい用紙Pに対しては無端ベルト66d、66eにおける抜けがある分だけ小さくなる。このため、画像形成中にサイズ検知センサ51によって搬送される用紙Pの大きさを検知し、これに基づいて吸引ファン68の回転数すなわち吸引量を制御することが好ましい。具体的には、大きい用紙Pが検知された場合には吸引ファン68の回転数を少なく、小さい用紙Pが検知された場合には吸引ファン68の回転数を多くすれば、さらにスムーズに用紙Pを搬送することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シートの貼り付きを抑制することができ、安定した状態でシートを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の一形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図2】第一のベルト搬送装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(a)は図2に示す第一のベルト搬送装置を上部より見た上面図であり、(b)は第一のベルト搬送装置を(a)のB方向より見た前面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】(a)は図3(a)のC−C断面図、(b)は図3(a)のD−D断面図である。
【符号の説明】
10Y,10M,10C,10K(10)…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、31…二次転写ロール、32…バックアップロール、33…給電ロール、40…用紙トレイ、50…制御部、51…サイズ検知センサ、60…第一のベルト搬送装置、61…ハウジング本体、61a…上面、61b…開口、61c…リブ、61d…上面窪み部、62,63…ロール軸、64(64a〜64e)…駆動ロール、65(65a〜65e)…従動ロール、66(66a〜66e)…無端ベルト、67…吸気孔、68…吸引ファン、69…排出ダクト、70…第二のベルト搬送装置、80…定着装置、91,92…保護シート、93…突起、P…用紙
Claims (11)
- シートの搬送面に多数の穿孔が形成される無端ベルトと、
前記無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、
前記無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、
前記シートと同じ帯電極性を有し、前記張架部材が取り付けられるハウジング部材と
を含むシート搬送装置。 - 前記無端ベルトは前記シートの搬送方向に回動可能に構成されると共に当該搬送方向に対して直交する方向に複数配設され、前記ハウジング部材は複数の前記無端ベルト間に露出していることを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
- 複数の前記無端ベルト間に露出している前記ハウジング部材には、前記シートの搬送方向に沿ってリブが形成されていることを特徴とする請求項2記載のシート搬送装置。
- 前記無端ベルトと対向する前記ハウジング部材には前記吸引部材による吸引を行うための開口を形成すると共に、当該開口近傍には当該無端ベルトとの摩擦が低められる低摩擦部材を取り付けることを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
- 前記低摩擦部材は、前記シートの搬送方向から見た前記開口の側部にドット状に取り付けられることを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
- 前記低摩擦部材は、前記シートの搬送方向から見た前記開口の上流側および下流側に取り付けられることを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
- 前記低摩擦部材は、前記シートと同じ帯電極性を有していることを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
- 移動するベルト部材によりトナー像が転写されるシートを担持搬送するシート搬送装置であって、
前記ベルト部材には前記シートに対する吸着力を働かせると共に、当該ベルト部材の側部に設けられ当該シートと対向する対向部材には当該シートに対する静電的な反発力を働かせること
を特徴とするシート搬送装置。 - 前記ベルト部材には多数の穿孔を形成すると共に、当該穿孔を介して周囲の雰囲気を吸引することを特徴とする請求項8記載のシート搬送装置。
- トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像をシートに静電転写する転写部材と、
前記トナー像が転写された記録材を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された記録材上のトナー像を定着する定着部材とを備え、
前記搬送機構は、
前記シートの搬送面に多数の穿孔が形成される複数の無端ベルトと、
前記無端ベルトを回動可能に張架する張架部材と、
前記無端ベルト内側からエアを吸引する吸引部材と、
前記シートに転写された前記トナー像を構成するトナーと同じ帯電極性を有し、前記張架部材が取り付けられるハウジング部材と
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記吸引部材による吸引量は、搬送されるシートの大きさに基づいて設定されることを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
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