JP2004249947A - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケース8内の空気通路12に、エバポレータ37を縦置きに配置する一方、このエバポレータ37下流側にヒータコア44を横置きに配置した車両用空気調和装置に対し、そのエバポレータ37で発生した凝縮水を車体姿勢の変化や凝縮水の飛散があっても確実にケース8外に排出できるようにし、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図る。
【解決手段】冷風及び温風の混合割合を変えるミックスダンパ46はヒータコア44下流側に配置し、ヒータコア44の略下側の下部ケース10底部を、前側部10aがエバポレータ37に向かって上側に向かうように、また後側部10bがヒータコア44に向かって上側に向かうようにそれぞれ傾斜して、上側にテーパ状に拡開する断面形状とし、その最下端部10cにドレン口68を開口する。車両の登坂時等で車体姿勢が傾き、或いはエバポレータ37から凝縮水が飛散しても、その凝縮水が常にヒータコア44の略下側の下部ケース10底部のドレン口68に集まるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】冷風及び温風の混合割合を変えるミックスダンパ46はヒータコア44下流側に配置し、ヒータコア44の略下側の下部ケース10底部を、前側部10aがエバポレータ37に向かって上側に向かうように、また後側部10bがヒータコア44に向かって上側に向かうようにそれぞれ傾斜して、上側にテーパ状に拡開する断面形状とし、その最下端部10cにドレン口68を開口する。車両の登坂時等で車体姿勢が傾き、或いはエバポレータ37から凝縮水が飛散しても、その凝縮水が常にヒータコア44の略下側の下部ケース10底部のドレン口68に集まるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に関し、特に、冷却用熱交換器で発生した凝縮水をケース外に排出するためのドレン構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用空気調和装置として、空気導入口(内気導入口及び外気導入口)及び空気吹出口(デフロスタ口、ベント口、ヒート口等)が開口されたケース内の空気通路に、空気導入口から空気を空気通路に吸い込んだ後に空気吹出口から吹き出させる送風手段としてのブロワと、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータと、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコアと、エバポレータ(冷却用熱交換器)を経由した冷風及びヒータコア(加熱用熱交換器)を経由した温風の混合割合を変えるミックス手段としてのミックスダンパとを配置したものは一般に知られている。
【0003】
上記冷却用熱交換器においては、空気を熱交換して冷却したときに、その空気中の水分が凝縮して凝縮水が発生することから、この凝縮水をケース外に排出するためのドレン口をケースに開口する必要がある。
【0004】
このようなドレン構造として、従来、例えば特許文献1に示すように、エバポレータを略垂直方向に沿うように縦置きに配置する一方、このエバポレータの下流側にヒータコアを斜め方向に沿うように配置し、上記エバポレータ下流側でかつヒータコアとの間のケース底部に、ミックスダンパの閉じ状態をシールする堤状のシール壁を上向きに突設して、このシール壁によりエバポレータ下側にドレン溜まりを設け、このドレン溜まりの底部にドレン口を開口することが提案されている。
【0005】
また、この他、特許文献2に示されるものでは、縦置きに配置されているエバポレータ下側のケース底部にドレン口を開口するようになされている。
【0006】
さらに、特許文献3に示されるように、エバポレータを略水平方向に沿うように横置きに配置して、このエバポレータを通る空気を下降流とする一方、エバポレータの下流側にヒータコアを横置きにエバポレータと並べて配置して、このヒータコアを通る空気を上昇流とし、そのヒータコア下側のケース底部にドレン口を開口することも提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001―213140号公報
【特許文献2】
特開平9―175157号公報
【特許文献3】
特開平8―282245号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、縦置きのエバポレータ(冷却用熱交換器)に対し、その下流側に横置きのヒータコア(加熱用熱交換器)を配置する場合に、エバポレータを経由した冷風をそのまま吹出し口側に流す冷風通路と、同冷風をヒータコアを経由させて温風にする温風通路とを形成し、これら冷風と温風との混合割合をミックスダンパで調整するようにすることが考えられる。
【0009】
そして、上記ミックスダンパをヒータコアへの流入側(上流側)に配置し、このミックスダンパの開度調整により、ヒータコアに流入する冷風の流量を調整して、エバポレータからの冷風と、ヒータコアからの温風との混合割合を変えるようにすると、上記特許文献1又は3に記載された空気調和装置のように、そのミックスダンパを、冷風割合が最大となる冷風位置、又は温風割合が最大となる温風位置にシールするための突出部からなるシール壁をエバポレータとヒータコアとの間のケース底部に設ける必要がある。
【0010】
このようなシール壁があると、例えば車両の登坂時や降坂時等で車体が傾いて凝縮水がシール壁部を乗り越えたり、或いはブロワ風量の急激な増大等によりエバポレータから下流側にシール壁を越えて飛散したりしたとき、その凝縮水がドレン口から離れた部分のケース内部に溜まったままになる。そして、この溜まった凝縮水はケースの接合隙間等から外部に漏出するという問題が生じる。
【0011】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記のように縦置きの冷却用熱交換器の下流側に横置きの加熱用熱交換器を配置する構造の車両用空気調和装置に対し、そのドレン構造を改良することにより、冷却用熱交換器で発生した凝縮水を車体姿勢の変化や飛散があっても確実にケース外に排出できるようにして、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、この発明では、ドレン口を横置きの加熱用熱交換器の略下側のケース底部に開口させるようにした。
【0013】
具体的には、請求項1の発明では、空気導入口及び空気吹出口が開口されたケース内に、空気導入口及び空気吹出口を接続する空気通路が設けられ、この空気通路に、空気導入口から空気を空気通路に吸い込んで空気吹出口から吹き出させる送風手段と、空気を冷却する冷却用熱交換器と、空気を加熱する加熱用熱交換器と、冷却用熱交換器を経由した冷風及び加熱用熱交換器を経由した温風の混合割合を変えるミックス手段とが配置されている。
【0014】
そして、上記冷却用熱交換器は略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている一方、上記加熱用熱交換器は、上記冷却用熱交換器の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されており、上記ミックス手段は、加熱用熱交換器の下流側に配置され、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部に、上記冷却用熱交換器で発生した凝縮水をケース外に排出するドレン口が開口されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると、送風手段の作動により、空気が空気導入口からケース内の空気通路に吸い込まれ、この空気は縦置きの冷却用熱交換器により冷却されて冷風となる。この冷風の一部又は全部が冷却用熱交換器下流側の横置きの加熱用熱交換器に流れ、ここで加熱されて温風になる。さらに、この加熱用熱交換器の下流側において、上記冷却用熱交換器から直接流下した冷風と、加熱用熱交換器を経由した温風とが混合され、その加熱用熱交換器下流側に配置されているミックス手段により、冷風及び温風の混合割合が変えられ、この冷風及び温風の混合した温調風が空気吹出口から吹き出される。
【0016】
そして、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部にドレン口が開口されているので、車両の登坂時や降坂時等で車体の姿勢が傾いたり、或いは冷却用熱交換器にて発生した凝縮水が冷却用熱交換器から下流側に飛散したりしても、それら凝縮水は常に加熱用熱交換器の略下側のケース底部に流れ、そのドレン口からケース外に排出される。このことにより凝縮水を確実にケース外に排出し、凝縮水がケース内に溜まるのを防止でき、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明では、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部は、一側部が冷却用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜する一方、他側部が加熱用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜していて、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状とされ、このケース底部の最下端部にドレン口が開口されている構成とする。
【0018】
このことで、加熱用熱交換器の略下側のケース底部に流下した凝縮水はスムーズにドレン口に流れるようになり、凝縮水の排出を確実に行って、車両用空気調和装置の信頼性、商品性のより一層の向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものでは全くない。また、実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、「前」とは車両の前側を、また「後」とは車両の後側を、さらに「左」とは車両の左側を、さらにまた「右」とは車両の右側をそれぞれ表すこととしている。
【0020】
図10において、1は左側にステアリングホイール(図示せず)を備えた左ハンドル車の車室前部に設置されたインストルメントパネルで、このインストルメントパネル1後面の左右中央部には車室内の乗員の胸元に向けて温調風を吹き出すためのセンタ吹出しノズル2が、また左右端部には同様のサイド吹出しノズル3,3がそれぞれ開口されている。また、インストルメントパネル1の上面前部には、フロントウィンドガラス(図示せず)の内面に曇りを取るための空気を吹き出す左右1対のデフロスタ吹出しノズル4,4が開口されている。尚、本発明は右側にステアリングホイールを備えた右ハンドル車に対しても適用できるのは勿論である。
【0021】
上記インストルメントパネル1内には本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置Aが設置されている。
【0022】
図1〜図7に拡大して示すように、上記空気調和装置Aはケース8を有する。このケース8には、空気導入口としての外気導入口28及び内気導入口29と、空気吹出口としてのデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58とが開口されている。尚、これら外気導入口28、内気導入口29、デフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58の各々のケース8での開口位置は、本実施形態に記載の位置以外の位置に変更してもよいのは勿論である。
【0023】
また、ケース8の内部には、上記外気導入口28及び内気導入口29(いずれも空気導入口)をデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58(いずれも空気吹出口)に接続する空気通路12が設けられている。この空気通路12には、外気導入口28及び内気導入口29の少なくとも一方から空気を空気通路12に吸い込んだ後にベント口52、フロントヒート口57、リアヒート口58及びデフロスタ口51の少なくとも1つから吹き出させる送風手段としてのブロワ23と、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ37と、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア44と、上記エバポレータ37を経由した冷風及びヒータコア44を経由した温風の混合割合を変えてミックスチャンバ15に供給するミックス手段としてのミックスダンパ46と、開閉ダンパとしてのデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63とが配置されている。
【0024】
上記ケース8は、上部ケース9、下部ケース10及びヒータコアカバーダクト11を一体的に組み付けてなる。上部ケース9下端の前半部及び後半部はそれぞれ互いに仕切られたダクト状の開口を形成しており、この上部ケース9下端の前半部(ダクト状開口の周縁部)は前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部(ダクト状開口の周縁部)は略水平に配置されかつ前半部よりも上側に位置している。尚、図6に示すように、上部ケース9は左右中央部で左右に2分割されていて分割部9a,9aからなり、また、ヒータコアカバーダクト11も同様に左右に2分割されていて分割部11a,11aからなる。
【0025】
上記下部ケース10は有底箱状のもので、その上端の前半部は上部ケース9下端の前半部と同様に前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部は前半部に対し上側に段差状に突出していて該前半部と略平行に前上がりに傾斜している。
【0026】
そして、上記上部及び下部ケース9,10同士は、下部ケース10上端の前半部と上部ケース9下端の前半部とが気密状に接合することで一体的に組み付けられる。この組付状態では、上部ケース9下端の前半部と下部ケース10上端の前半部とがダクト状にシールされて接続され、その内部に空気通路12の一部が形成される。
【0027】
また、上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間には、後側に略テーパ状に拡がる切欠状のダクト装着部17が形成され、このダクト装着部17に上記ヒータコアカバーダクト11が嵌合されている。このヒータコアカバーダクト11は、上端及び下端が開口する断面矩形状のダクトからなり、その上端部を上記上部ケース9下端の後半部に、また下端部を下部ケース10上端の後半部にそれぞれ気密状に接合することで組み付けられている。
【0028】
このようにヒータコアカバーダクト11を上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間のダクト装着部17に嵌合して装着したときに、ヒータコアカバーダクト11の上端開口が上部ケース9下端の後半部の開口に、またヒータコアカバーダクト11の下端開口が下部ケース10上端の後半部の開口にそれぞれ気密状に連通して連続状のダクトをなし、その内部に空気通路12の一部たる後述の温風通路14が形成されるようになっている。
【0029】
尚、図6に示すように、上記ダクト装着部17の下端に相当する下部ケース10上端の後半部においてその左右側壁には前後方向に延びるガイドレール部20,20が形成されている一方、ヒータコアカバーダクト11下端の左右側部には上記ガイドレール部20,20に摺動可能に係合する係合部21,21が形成されており、この左右の係合部21,21とガイドレール部20,20との係合により、ヒータコアカバーダクト11が前方向にスライドしながらダクト装着部17に嵌合して装着される。
【0030】
上記上部ケース9には、その前側上部の左右中央に上部ケース9の一部をなす中空円筒状のファンハウジング22(このファンハウジング22も上部ケース9の一部であるので、左右に分割されている)が他の部分と一体に形成され、このファンハウジング22の内部には上記ブロワ23を構成するシロッコファンからなるブロワファン24が配置収容されている。図6に示すように、ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)にはモータ取付口22aが、また右側壁(左側壁でもよい)には吸込口22bが、さらに下側には吐出部22cがそれぞれ開口され、モータ取付口22aには上記ブロワ23を構成するブロワモータ25が水平左右方向に延びる出力軸(図示せず)をファンハウジング22内に臨ませて気密状に取付固定されている。このブロワモータ25の出力軸に上記ブロワファン24が回転一体に取付固定されている。
【0031】
一方、上記ファンハウジング22の吸込口22bには、上部ケース9の一部をなしてはいるが他の部分と別体に形成されたインテークボックス27の下流端が気密状に接続されている。このインテークボックス27は左右水平方向の中心線を持つ略有底円筒状のもので、その左端が開口端とされている。インテークボックス27の下部は右側(ファンハウジング22側)に向かって下側に向かうように傾斜していて、インテークボックス27左端の開口端の断面積は他の部分よりも大に形成されており、この開口端が下流端とされてファンハウジング22の右側壁の吸込口22bに接続されている。インテークボックス27の前側上部は前側に向かって下側に、また後側上部は後側に向かって下側にそれぞれ傾斜し、前側上部には矩形状の上記外気導入口28が、また後側上部には外気導入口28と略同じ形状の上記内気導入口29がそれぞれ開口されている。尚、この外気導入口28及び内気導入口29はいずれも空気を導入可能な格子状のグリル30,30により塞がれている。上記内気導入口29はインストルメントパネル1内で車室内に開放されている一方、外気導入口28は、フロントウィンドガラス前側の車体カウル部(図示せず)を経て車外に連通しており、外気導入口28により車外の空気(外気)を、また内気導入口29により車室内の空気(内気)をそれぞれケース8内の空気通路12に導入するようにしている。
【0032】
上記インテークボックス27の内部には上端の水平左右方向の支持軸31(図2参照)回りに揺動する内外気切換ダンパ(図示せず)が配置され、この内外気切換ダンパの支持軸31はインテークボックス27(上部ケース9)に支持され、この支持軸31の右端部(左端部でもよい)はインテークボックス27から外部に突出し、その突出部にはリンク機構32を介して電動アクチュエータ33が駆動連結されており、ブロワモータ25の作動に伴うブロワファン24の回転により、外気導入口28からの外気及び/又は内気導入口29からの内気をファンハウジング22内(空気通路12の一部)に吸い込んで吐出部22cから吐出するとともに、電動アクチュエータ33による内外気切換ダンパの支持軸31回りの回動切換えにより、ファンハウジング22内に導入する空気を外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気の少なくとも一方に切り換えるようにしている。
【0033】
図1に示すように、上記ファンハウジング22の吐出部22cは、後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクトからなり、この吐出部22cの下流端部は、上部ケース9内下部の前端部と下部ケース10内の前端部とにより形成されるレジスタ収容部35に接続されている。このレジスタ収容部35は空気通路12の一部をなし、その下半部(下部ケース10内の部分)はファンハウジング22の吐出部22c下流端部から下側に拡がっている。
【0034】
そして、上記ファンハウジング22の吐出部22cの下流端部は空気通路12の一部をなすエバポレータ収容部36に上記レジスタ収容部35を介して接続されている。このエバポレータ収容部36は、ファンハウジング22後側の斜め下側に位置していて、上部ケース9内下部の前部と下部ケース10内の前部とにより形成されており、エバポレータ収容部36には上記エバポレータ37が空気通路12を横切るように配置されて収容されている。このエバポレータ37は矩形板状のもので、略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている。エバポレータ37は、図示しないが、チューブの周りに多数の伝熱フィンを伝熱可能に取り付けたチューブアンドフィンタイプの熱交換器で、チューブの両端にはそれぞれ接続配管37a,37aが接続されており、図外のコンプレッサにより圧縮された冷媒ガスを冷却して液冷媒にし、その液冷媒を減圧機構で減圧した後にエバポレータ37で蒸発させ、その蒸発潜熱によりブロワファン24からの空気と熱交換してそれを冷却し冷風を生成するようにしている。尚、エバポレータ37のチューブ内で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37に流入した空気は冷却されずに流入温度のままでエバポレータ37から出るが、本実施形態では、その場合もエバポレータ37から出た空気を冷風とする。
【0035】
また、上記ファンハウジング22の吐出部22c下流端部とエバポレータ収容部36との間には、エバポレータ37の直上流側を覆って該エバポレータ37に流入する空気を濾過するフィルタ機構38が配置されている。また、このフィルタ機構38の上流側、つまりレジスタ収容部35の下半部において下部ケース10の右側壁(左側壁でもよい)には放熱用レジスタ39がレジスタ収容部35内に臨むように取り付けられており、この放熱用レジスタ39は、上記ブロワモータ25への印加電圧を制御するブロワモータ印加電圧制御用トランジスタ(図示せず)を冷却するためのものである。
【0036】
図1に示すように、上記エバポレータ37下流側の空気通路12は冷風通路13と温風通路14とに分岐されている。上記冷風通路13は、エバポレータ37下流側(後側)の略上半部から上記ダクト装着部17の前側を通って略上側に延びるダクト内に形成されるもので、この冷風通路13により、エバポレータ37を経由した冷風の一部ないし全部を直接流すようにしている。
【0037】
一方、温風通路14は、エバポレータ37下流側の略下半部から後方に延びた後に上側に向かい、上記下部ケース10上端の後半部(ダクト装着部17下端)の開口と、この開口に下端開口にて連通するヒータコアカバーダクト11内と、このヒータコアカバーダクト11の上端開口に連通する上部ケース9下端の後半部(ダクト装着部17上端)の開口とを通りながら前側に向かって斜め上側に延びている。この温風通路14の途中において上記下部ケース10上端の後半部には温風通路14(空気通路12)の一部をなすヒータコア収容部43が形成され、このヒータコア収容部43内に上記ヒータコア44が温風通路14を横切るように配置されて収容されている。すなわち、ヒータコア44は、上記エバポレータ37の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されている。このヒータコア44も、上記エバポレータ37と同様に、チューブの周りに多数の伝熱フィンを取り付けたタイプの熱交換器であり、チューブの両端は接続配管44a,44aを介して車載エンジンのウォータジャケット(冷却水通路)に接続されており、エンジンの冷却により昇温した冷却水をヒータコア44に流すことにより、エバポレータ37を経由して冷却された冷風の一部ないし全部と熱交換してそれを加熱し温風を生成し、この温風を温風通路14に流すようにしている。尚、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44に流入した空気は加熱されずに流入温度のままでヒータコア44から出るが、本実施形態では、その場合もヒータコア44から出た空気を温風とする。
【0038】
尚、図6に示すように、下部ケース10の後半部の右側壁(左側壁でもよい)には装着口45が形成されており、この装着口45を通してヒータコア44がヒータコア装着部43に装着される。そして、このヒータコア44の装着状態では、装着口45はヒータコア44自体により気密状に閉塞され、この装着口45において接続配管44a,44aが下部ケース10(ケース8)外に位置するようになっている。そして、ヒータコアカバーダクト11には、上記装着口45から下部ケース10外に露出している接続配管44a,44aを覆うカバー部11b(図2ではカバー部11bを切り除いて示している)が一体に形成されている。
【0039】
上記冷風通路13の下流端(上端)と温風通路14の下流端(上端)とは互いにミックスチャンバ15(温調室)で連通している(ミックスチャンバ15において実質的に冷風と温風とを混合して温調風を生成している部分を図1で一点鎖線にて示す)。このミックスチャンバ15は空気通路12の一部を構成しており、このミックスチャンバ15において冷風及び温風を混合させ、温調風を生成する。ミックスチャンバ15と冷風通路13及び温風通路14の各下流端との間には、冷風通路13からの冷風と温風通路14からの温風との混合割合を変えて温調風の温度を変更する上記ミックスダンパ46が設けられている。つまり、ミックスダンパ46はヒータコア44の下流側に配置されている。このミックスダンパ46は、冷風通路13及び温風通路14の各下流端間の近傍に位置する水平左右方向の支持軸46a回りに揺動する2つの冷風及び温風ダンパ部46b,46cを有するバタフライタイプのもので、両ダンパ部46b,46cは支持軸46aにおいて180°よりも小さい所定の角度(例えば125°)で交差している。冷風ダンパ部46bは冷風通路13の下流端を、また温風ダンパ部46cは温風通路14の下流端をそれぞれ開閉するようになっており、冷風通路13側にある冷風ダンパ部46bが冷風通路13下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断したときには、温風通路14側にある温風ダンパ部46cが温風通路14下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させる一方、上記冷風ダンパ部46bが冷風通路13下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させたときには、温風ダンパ部46cが温風通路14下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断する。そして、これら2つの位置の中間位置では、冷風通路13及び温風通路14の各開度を逆方向に相対的に変えて、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の各流量を変更し、ミックスチャンバ15において冷風及び温風の混合割合を変えて温調風の温度を変更調整するようになっている。
【0040】
ミックスダンパ46の支持軸46aは上部ケース9の右側壁(左側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には図外の電動アクチュエータが駆動連結されており、この電動アクチュエータによりミックスダンパ46を空調モードに合わせて開閉制御するようにしている。
【0041】
図1に示すように、上記ミックスダンパ46の支持軸46a真下には、上部ケース9の一部を構成しかつ上記冷風通路13及び温風通路14を仕切る隔壁9eの上端部(下流端部)が位置し、この隔壁9eの上端部には、その左右幅の全体に亘り調整手段としての調整リブ48が先端(上端)を支持軸46a下面に近接させた状態で突設されており、この調整リブ48により支持軸46aとその下側の上部ケース9内面との間の隙間の大きさを調整するようにしている。
【0042】
上記ファンハウジング22後側の上部ケース9の上面には前側に上記デフロスタ口51が、また後側に上記ベント口52がそれぞれ前後に並んで開口され、これらデフロスタ口51及びベント口52は上部ケース9の隔壁9bにより連通不能に区画されている。上記デフロスタ口51は図外のデフロスタダクトを介して上記インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に、またベント口52は図外のベントダクトを介してインストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3にそれぞれ接続されている。
【0043】
また、上部ケース9の上側後部にはヒートダクト部54が一体に形成されている。このヒートダクト部54は、上部ケース9の上側後部から後側に向かって斜め下側に延びる角筒状のダクト本体54aと、このダクト本体54aの後部左右側壁から左右方向に突出する1対のフロント分岐ダクト部54b,54bと、ダクト本体54aの後壁左右中央部から後側に向かって斜め下側にダクト本体54aを延長するように突出するリア分岐ダクト部54cとを備えてなり、これらダクト本体54a、フロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54c内にヒート通路55が形成され、このヒート通路55の上流端は上記ミックスチャンバ15に対し、温風通路14下流端の後側で、つまり冷風通路13の下流端よりも温風通路14の下流端に近い側で該両下流端と前後に方向に略直列に並ぶように配置されて連通されている。また、上記両フロント分岐ダクト部54b,54bの先端には上記フロントヒート口57,57が、またリア分岐ダクト部54cの先端には上記リアヒート口58がそれぞれ開口されている。このことで、ヒート通路55の下流側部は、フロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54cにより3つに分岐されて上記各フロントヒート口57及びリアヒート口58に連通され、そのうち、リア分岐ダクト部54c内に形成される、リアヒート口58への分岐通路55dは、該分岐通路55d上流側のヒート通路55を下流側に延長するように延びている。そして、車両の左側又は右側側方から見て、リア分岐ダクト部54cのダクト本体54aからの分岐位置(開口位置)は、両フロント分岐ダクト部54b,54bの同分岐位置に比べミックスチャンバ15から離れた後側に位置している。尚、55cはフロント分岐ダクト部54b内に形成されたヒート通路55の分岐通路である。
【0044】
上記各フロントヒート口57には、下流端がインストルメントパネル1下部の車室内(前席に着座した乗員の足元部分)まで延びる図外のフロントヒートダクトの上流端が、またリアヒート口58には、下流端が車室内の後席まで延びる図外のリアヒートダクトの上流端がそれぞれ接続されるようになっており、各フロントヒート口57から温風を吹き出させて、それをフロントヒートダクトを介して前席に着座した乗員の足元に送給する一方、リアヒート口58からも温風を吹き出させて、それをリアヒートダクトを介して後席に着座した乗員の足元に送給するようにしている。
【0045】
そして、上記ミックスチャンバ15は、上記フロントヒート口57及びリアヒート口58に連通されている他に上記デフロスタ口51及びベント口52にも連通されている。このミックスチャンバ15とデフロスタ口51との間には該デフロスタ口51を開閉するためのデフロスタダンパ61が、またミックスチャンバ15とベント口52との間には該ベント口52を開閉するためのベントダンパ62が、さらにミックスチャンバ15とフロントヒート口57及びリアヒート口58との間には該両ヒート口57,58を開閉するためのヒートダンパ63がそれぞれ配置されている。すなわち、ヒートダンパ63は、ヒートダクト部54においてダクト本体54aのフロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54cへの分岐位置(フロント及びリアヒート口57,58への分岐位置)よりも上流側のヒート通路55、詳しくはヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部)を開閉するようになっている。尚、これに代え、ヒートダンパ63は、ヒート通路55の上流端よりも下流側に配置してその部分を開閉するようにしてもよい。
【0046】
これらデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63は、いずれも水平左右方向の支持軸61a〜63a回りに揺動する2つのダンパ部を有するバタフライ型のもので、両ダンパ部は支持軸61a〜63aにおいて略180°の角度で交差しており、その回動によりデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58の各開度を変えるようにしている。そして、デフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の各支持軸61a〜63aは上部ケース9の左側壁(右側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には、カム及びリンクからなる連動機構65を介して電動アクチュエータ66が連結されており、この電動アクチュエータ66により各ダンパ61〜63を空調モードに合わせて連係させながら開閉制御するようにしている。
【0047】
図1に示すように、上記ヒータコア44の略下側のケース8底部、つまり下部ケース10の底部は、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状とされている。すなわち、この下部ケース10底部の前側部10a(一側部)は、上記エバポレータ37側つまり前側に向かって上側に向かうように水平面に対し所定の傾斜角度で傾斜し、上記エバポレータ収容部36の下部を経てレジスタ収容部35の下部まで滑らかに連続している。一方、下部ケース10底部の後側部10b(他側部)は、ヒータコア44側つまり後側に向かって上側に向かうように水平面に対し所定の傾斜角度で傾斜している。この下部ケース10底部において前側部10a及び後側部10bの境界部分(テーパ形状の先端部)が最下端部10cに形成され、この最下端部10cは上記ヒータコア44の略下側、詳しくはヒータコア44前端の略真下に位置付けられている。そして、この下部ケース10底部の最下端部10cは右側(左側であってもよい)に向かって下方に傾斜し、その右側壁部に、エバポレータ37にて発生した凝縮水を排水させるためのドレン口68が開口されている。図中、69はドレン口68に接続されたドレンホースである。
【0048】
さらに、図1に示すように、上部ケース9内のミックスチャンバ15には、上記ミックスダンパ46が温風通路14を開いているときに、その温風通路14の出口部から出た温風の一部を、ミックスチャンバ15の略大半部をバイパスして上記デフロスタ口51近傍のミックスチャンバ15前端部にガイドして供給する左右1対の温風バイパス通路71,71が形成されている。すなわち、図8にも示すように、上部ケース9において上記ミックスチャンバ15近くの左右側壁には、上記温風通路14の下流端近傍からデフロスタダンパ61の略真下位置までの範囲に亘り、左右方向外側に折れ曲がった段部9cが形成され、この段部9c上側の上部ケース9側壁内面には水平方向に突出するリブ9dが段部9cと一定の間隔をあけて略平行にかつ該段部9cとの間が溝部となるように一体に突設されている。そして、この段部9cとリブ9dとの間の溝部は、上部ケース9とは別体のガイドプレート72により各々の間に略一定の断面積を持つ閉断面空間を形成するように覆われており、この段部9c、リブ9d及びガイドプレート72の間の閉断面空間が温風バイパス通路71を構成し、この各温風バイパス通路71の上流端(下端)は温風通路14の下流端近傍に、また下流端(上端)はデフロスタダンパ61の略真下位置にそれぞれ開口している。
【0049】
また、上記各ガイドプレート72において温風バイパス通路71の下流端部に位置する部分には、上部ケース9の相対する左右側壁に向かって延びるガイド部72aが一体に形成され、これら両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72a先端同士は上部ケース9の左右略中央位置で一体的に接合(単なる当接でもよく、或いは若干の間隙をあけて離隔していてもよい)されている。つまり、これら両ガイド部72a,72aは、上記各ガイドプレート71において温風バイパス通路71の下流端に位置する部分にミックスチャンバ15の幅方向(左右方向)の全体に延びるように形成されている。また、両ガイド部72a,72aにより、ミックスチャンバ15の前端部(一部)つまり冷風通路13の出口側に、デフロスタ口51(上側)に向かって開放された出口室16が区画されて形成され、この出口室16に各温風バイパス通路71の下流端が開口している。そして、温風通路14の下流端から出た温風の一部を上部ケース9の左右側部にて2つの温風バイパス通路71,71に導入し、この温風を略ミックスチャンバ15の大半部をバイパスさせながらデフロスタダンパ61の略真下位置まで導いて、ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aによりケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させるようにしている。
【0050】
上記ガイドプレート72は、その周縁部のブラケットを貫通する取付ねじ72bを上部ケース9の側壁(詳しくはそのボス部)に螺合締結することで、上部ケース9の側壁に取付固定されている。
【0051】
また、上記のように、温風をケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させる特性の他に、例えば両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72a等により温風バイパス通路71の出口部の構造や形状を変えたり、温風バイパス通路71の断面積等を変えたりすることで、ガイドされる温風の風量、風速、風向等を変更して、その吹出しのバリエーションを広げることもできる。例えば、ケース8の左右中央部での温風吹出し量を左右側部よりも多くしたり、或いは逆に、ケース8の左右側部での温風吹出し量を左右中央部よりも多くしたり、さらには、ケース8の左右中央部及び左右側部での温風吹出し量を両者の中間部よりも多くしたりすることができる。これらは必要に応じて適宜選択すればよい。
【0052】
尚、この実施形態では、上部ケース9の壁部に段部9c及びリブ9dを形成し、これらをガイドプレート72で覆って閉断面空間の温風バイパス通路71を形成しているが、この他、壁部に1対のリブを互いに平行に突設し、これらをガイドプレートにより覆うか、或いは壁部全体に凹溝を形成して、その開口をガイドプレートで覆うかすることにより、閉断面空間の温風バイパス通路を形成してもよい。
【0053】
また、この実施形態は温風バイパス通路71を設けたものであるが、これに代え、同様の構造により、例えば上流端が冷風通路13の下流端近傍に、また下流端がベントダンパ62の略真下位置にそれぞれ開口している冷風バイパス通路を設けて、冷風通路13からの冷風の一部を上部ケース9の左右側部にて2つの冷風バイパス通路に導入し、この冷風をガイドプレートのガイド部によりケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させるようにしてもよい。さらには、温風バイパス通路71及び冷風バイパス通路の双方を設けることもできる。また、温風バイパス通路71や冷風バイパス通路を上部ケース9の左右一方のみに設けてもよい。
【0054】
図1に示す如く、上記上部ケース9内の下端部において上記冷風通路13の後壁部を形成する部分と上記ヒータコア収容部43の前壁部との間には、冷風通路13を流れる冷風のうち、上記ダクト装着部17奥端の奥壁部の前側近傍(冷風通路13の後端部)を流れる冷風を整流しながら案内する冷風ガイド部74が設けられている。この冷風ガイド部74は上部ケース9と一体のパネル状のもので、その上端部が上記ダクト装着部17の奥壁部に接続され、この上端部から冷風通路13を流れる冷風の流れ方向と略平行に、つまり下側に向かって前側に向かうように少し傾斜して滑らかに延びた後に後側に曲がり、下端部がヒータコア収容部43の前壁部に接続されている。すなわち、この冷風ガイド部74はダクト装着部17の奥壁部前側であって冷風通路14の後壁となる部分の略下半部を覆い、その前面は滑らかに傾斜している。尚、ダクト装着部17の奥壁部は断面円弧状であり、この奥壁部の略下半部の形状が冷風の流れに対し異形となるので、その略下半部を覆って整流しているが、ダクト装着部17の奥壁部が他の形状であれば、その略上半部や他の部分、或いは全体を覆うようにすればよい。
【0055】
そして、上記冷風ガイド部74ないしダクト装着部17前端の奥壁部は、エバポレータ37から出た冷風を冷風通路13と温風通路14とに略2分する位置、つまり両通路13,14の境界部分であって各々の上流端の分岐位置に位置するように配設されている。尚、このように冷風通路13及び温風通路14の上流端の分岐位置にダクト装着部17の奥壁部を配置する構造に代え、冷風通路及び温風通路のレイアウトが本実施形態と異なる場合には、両通路の境界部分であって各々の下流端の合流位置にダクト装着部の奥壁部を配置してもよく、さらには、両通路中間の境界部分に配置することもできる。
【0056】
上記の如く、上部ケース9の上側後部に、ヒート通路55を内有するヒートダクト部54が一体に形成され、このヒートダクト部54におけるリア分岐ダクト部54cのダクト本体54aからの分岐位置は、車両の左右側方から見て、両フロント分岐ダクト部54b,54bの同分岐位置に比べミックスチャンバ15から離れた後側に位置し、フロント分岐ダクト部54b,54b先端の両フロントヒート口57,57及びリア分岐ダクト部54c先端のリアヒート口58を同時に開閉するためのヒートダンパ63がヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部)に配置されており、このことで、そのヒートダンパ63は、ヒート通路55において温風通路14の下流端出口近傍に配置されている。上記ヒートダンパ63の支持軸63aは、ヒート通路55上流端のミックスチャンバ15への接続部に該接続部の上下高さの中央位置よりも上側に片寄った位置に配置されている。
【0057】
そして、ヒートダンパ63は、上記支持軸63aに一体的に突設された上側ダンパ部63b及び下側ダンパ部63cを備え、上記支持軸63aの位置の片寄りにより下側ダンパ部63cの幅が上側ダンパ部63bよりも大きくなっている。このヒートダンパ63の水平左右方向の支持軸63aに対し、各フロントヒート口57が開口するフロント分岐ダクト部54bも同じ水平左右方向に延びているので、ヒートダンパ63が支持軸63a回りに回動して開閉するとき、下側ダンパ部63cがヒートダクト部54のダクト本体54a内でその左右縁部により各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cの上流端開口部を上下方向に横切るように回動し、そのヒートダンパ63の全開状態では、上側及び下側ダンパ部63b,63cがヒートダクト部54におけるダクト本体54aないしリア分岐ダクト部54c内のヒート通路55の延びる方向に略平行になり、その下側ダンパ部63cが、ヒート通路55の上流側部を、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端側つまり下側に位置する第1通路55aと、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端と反対側つまり上側に位置する第2通路55bとに上下方向に略2等分し(各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cの上流端開口部も下側ダンパ部63cにより上下方向に略2等分される)、詳しくは、上記支持軸63aの位置の片寄りにより、下側の第1通路55aの通路幅(下側ダンパ部63cとヒートダクト部54との距離)、特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅が上側の第2通路55bの同様の通路幅よりも大きくなっている。そして、上記第1通路55aにより、主として温風通路14からミックスチャンバ15に流れようとする温風の一部(尚、この温風にミックスチャンバ15からの温調風も若干加えられる)を下側ダンパ部63cの下面で案内して冷風通路13からの冷風と殆ど混合させずに略温風のままでリア分岐ダクト部54c内の分岐通路55dを通ってリアヒート口58に流す一方、ヒートダンパ63とその上側のヒートダクト部54上部との間(上記主としてリアヒート口58側に案内される温風に対しその背面側)に形成される第2通路55bにより、ミックスチャンバ15で温風の残りと冷風とが混合された温調風を主に各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cを通ってフロントヒート口57に流すようにしている。
【0058】
次に、上記実施形態の作用について説明する。インテークボックス27内の内外気切換ダンパの切換作動により、外気導入口28もしくは内気導入口29が全開になるか又は双方が中間開度で開かれ、ブロワ23の作動により、外気導入口28からの外気もしくは内気導入口29からの内気又はそれらの双方がケース8内の空気通路12の上流端部、つまりファンハウジング22内に吸い込まれ、この空気はファンハウジング22の吐出部22cから吐出された後にケース8のエバポレータ収容部36内に縦置きされたエバポレータ37との熱交換により冷却されて冷風となる。尚、エバポレータ37で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37からは冷却されていない流入温度のままの冷風が出る。
【0059】
そして、ミックスダンパ46が冷風通路13を全開し、温風通路14を全閉しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が温風通路14に流れずに冷風通路13に流れ、その冷風通路13を通って下流側のミックスチャンバ15に導入されて温調風となる。
【0060】
一方、ミックスダンパ46が冷風通路13を全閉し、温風通路14を全開しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が冷風通路13に流れずに温風通路14に流れ、その温風通路14を通って下流側のミックスチャンバ15に導入される。この温風通路14にはヒータコア収容部43内に横置きされたヒータコア44が配置されているので、温風通路14を通る間に冷風はヒータコア44に熱交換により加熱されて温風となり、その温風は温風通路14下流側のミックスチャンバ15に流入して温調風となる。尚、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44からは加熱されていない流入温度のままの温風が出る。
【0061】
さらに、上記ミックスダンパ46を、冷風通路13又は温風通路14の一方の開度が他方の開度に対し相対的に逆になるように切換変更することで、冷風通路13の冷風の流量と温風通路14の温風の流量とが相対的に逆向きに変化する。このことで、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の流量が調整され、ミックスチャンバ15では温度を変更調整された温調風が生成される。
【0062】
基本的には、このようにしてミックスチャンバ15で温調風が生成される。この温調風は、インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に連通するデフロスタ口51、インストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3に接続されたベント口52、フロントヒートダクトに接続されたフロントヒート口57、又はリアヒートダクトに接続されたリアヒート口58の少なくとも一部から吹き出される。これら複数の吹出し口のいずれかを選択するかは、空調モードに応じてデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の連係した開閉切換えにより切り換えられる。
【0063】
上記ブロワ23から吐出された空気がエバポレータ37を通過してエバポレータ37との熱交換により冷却される際、その冷却に伴って凝縮水が発生し、この凝縮水はエバポレータ37からケース8内に流れ落ちる。そして、上記ヒータコア44略下側の下部ケース10底部は、前側部10aがエバポレータ37に向かって上側に向かうように、また後側部10bがヒータコア44に向かって上側に向かうようにそれぞれ傾斜していて、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状であるので、上記エバポレータ37から流れ落ちる凝縮水は、上記下部ケース10底部においてエバポレータ37下側にあって傾斜した前側部10aに滴下することとなり、この前側部10aに落ちた凝縮水は下部ケース10底部の最下端部10cに向かって後側に流れ、その最下端部10cに溜まることとなる。この最下端部10cにはドレン口68が開口されているので、下部ケース10内下部に溜まったドレン水はドレン口68からドレンホース69を経てケース8外に排出される。
【0064】
そのとき、上記ドレン口68はヒータコア44の略下側の下部ケース10底部において、前上がりに傾斜した前側部10aと後上がりに傾斜した後側部10bとの間の境界位置にある最下端部10cに開口されているので、車両の登坂時等で車体の姿勢が後傾しても、下部ケース10底部の後側部10bが水平になるまで(車体の後傾角度がドレン口68及びヒータコア44後端部を結んだ平面と水平面とのなす角度θ未満である状態)は、凝縮水は常に、ヒータコア44に向かって流れることなく下部ケース10底部の最下端部10cに流れ、そのドレン口68からケース8外に排出される。仮に、車体姿勢が大きく後傾して、下部ケース10底部の後側部10bが水平を越えて傾いたとき(ドレン口68及びヒータコア44後端部を結んだ平面と水平面とのなす角度θ以上となる状態)には、凝縮水が一時的に後側(ヒータコア44側)に向かって流れるが、その後、車体の後傾姿勢が戻れば、その凝縮水は下部ケース10底部の本来の最下端部10cに前側に流れ、そのドレン口68からケース8外に排出される。
【0065】
また、車両の降坂時等で車体の姿勢が前傾しても、上記後傾時と同様にして、凝縮水が下部ケース10底部の前側部10aを前後に移動するだけで、車体の前傾姿勢の戻りにより下部ケース10底部の最下端部10cに流れてドレン口68から排水される。
【0066】
さらに、エバポレータ37の伝熱フィン部分に溜まっていた凝縮水がブロワ23の送風量の急激な増大等によりエバポレータ37から下流側に飛散したとしても、そのうちで温風通路14に向かった凝縮水(例えば主にエバポレータ37の下半部から飛散したもの)の水滴はヒータコア44やその周りのケース8内面に当たった後に下部ケース10底部の後側部10bに落ちてドレン口68に流れる。一方、エバポレータ37から冷風通路13に向かった凝縮水(例えば主にエバポレータ37の上半部から飛散したもの)の水滴はケース8の壁やミックスダンパ46等に当たった後に自然落下により温風通路14やヒータコア44を経由して下部ケース10底部の後側部10bに落ちてドレン口68に流れることとなり、これらの凝縮水はドレン口68からケース8外に排出される。以上により、凝縮水を確実にケース8外に排出し、凝縮水がケース8内に溜まるのを防止でき、車両用空気調和装置Aの信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0067】
上記ケース8内には上部ケース9の左右側部に1対の温風バイパス通路71,71が形成されているので、温風通路14の下流端から出た温風の一部が左右2つの温風バイパス通路71,71に導入され、この温風は略ミックスチャンバ15の大半部をバイパスしながらデフロスタダンパ61の略真下位置まで導かれ、ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aに沿って吹き出される。このことで、そのバイパスされた温風をデフロスタ口51から吹き出させて、デフロスタ性能を高めることができる。
【0068】
そのとき、上記各温風バイパス通路71は、ケース8内のミックスチャンバ15において上部ケース9の段部9c及びリブ9dとガイドプレート72とによって区画される閉断面空間で構成されているので、仮に、この各温風バイパス通路71を流れる温風が通路71外に漏れ出たとしても、その漏出した温風はミックスチャンバ15に流入するだけでケース8外に出ることはない。このため、同様の温風バイパス通路をケース8外に形成する場合では、その温風バイパス通路から温風が漏出するのを避けるために各種取付ねじの締結やシール構造を精度よく行っておく必要があるが、それに比べ、温風バイパス通路71の漏れ防止用のシール構造等を簡略化でき、部品点数の低減等を図ることができる。
【0069】
また、各温風バイパス通路71がケース8内に設けられているので、その温風バイパス通路をケース8外に形成する場合のように、空気調和装置Aにおけるケース8外の他の部品や車両の部品との干渉等を考慮せずとも済み、ケース8外のスペースを有効に確保することができる。
【0070】
また、各温風バイパス通路71は、上部ケース9の段部9c及びリブ9dとガイドプレート72とにより区画されて形成されているので、上部ケース9の他にガイドプレート72を設けるだけで温風バイパス通路71を形成することができ、その形成が容易であり、温風バイパス通路71の構造も簡単になる。また、ケース9とは別部材であるガイドプレート72にガイド部72aが設けられているので、そのガイド部72aをも容易に形成することができる。
【0071】
さらに、上記両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aにより、ミックスチャンバ15の前端部に、デフロスタ口51側(上側)に開放された形状の出口室16がミックスチャンバ15の他の部分(大半部)と区画されて形成されているので、この出口室16は、冷風通路13の出口部や上記ミックスチャンバ15の大半部(前端部を除く部分)に対しガイド部72aによって遮断された構造になる。そして、この出口室16に各温風バイパス通路71の下流端が開口しているので、この温風バイパス通路71から出口室16に吐出された温風は、上記ミックスチャンバ15の大半部にある温調風、特に冷風通路13から出た冷風の流れの影響を受け難くなる。このことで、そのバイパスされた温風を安定して吐出させることができる。
【0072】
また、上記ミックスチャンバ15の幅方向たる左右方向両側に2つの温風バイパス通路71,71が設けられ、両バイパス通路71,71のガイドプレート72,72のガイド部72a,72aがミックスチャンバ15の左右方向(幅方向)に互いに対応して延び、かつ両ガイド部72a,72aの先端部同士が接合されているので、これら2つの温風バイパス通路71,71を通して温風をバイパスさせることができ、そのバイパスされた温風の吐出特性を容易に均一にすることができる。
【0073】
さらに、各温風バイパス通路71の断面積や出口形状等を変化させることにより、温風の風量、風速、風向等を容易に調整することができる。
【0074】
また、上記ミックスダンパ46の支持軸46a真下に位置しかつ冷風通路13及び温風通路14を仕切る隔壁9e(上部ケース9)の上端部には調整リブ48が突設されているので、この調整リブ48の高さを所定長さに設定することにより、支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを所定値に調整でき、例えば空調モードがコールドモードとフルホットモードとの間で切り換わったときの温度変化をスムーズに変化させて、その変化特性をリニアにすることができる。
【0075】
すなわち、コールドモードでは、図1で一点鎖線にて示す如く、冷風通路13が全開になり(又はその開度が最大になる)、温風通路14が全閉になる(又はその開度が最小になる)ようにミックスダンパ46が切り換わる一方、フルホットモードでは、図1で二点鎖線にて示すように、逆に、冷風通路13が全閉になり(又はその開度が最小になる)、温風通路14が全開になる(又はその開度が最大になる)ようにミックスダンパ46が切り換わる。また、上記コールドモードからフルホットモードへの切換えに伴い、冷風通路13の開度が全閉に向かって減少する一方、温風通路14の開度が全開に向かって増大するが、このとき、コールドモードでは冷風のみが流れていたミックスチャンバ15に対する冷風の流量が減少し、相対的に温風の流量が増加して、そのミックスチャンバ15での冷風及び温風の混合割合が変化し、温調風の温度が上昇する。そして、仮に、上記調整リブ48がない場合には、上記ミックスダンパ46の冷風通路13の全開位置(図1で一点鎖線にて示す位置)から温風通路14の全開位置(図1で二点鎖線にて示す位置)への切換えにより、温風通路14の開度が大きくなって温風がミックスチャンバ15に流入し始めると、それに伴い、冷風通路13の一部の冷風がミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9e(上部ケース9)との間の大きな隙間を通って温風通路14に流れ、この部分でも温風と冷風との混合が生じる。このことで、温調風は本来のミックスチャンバ15のみならず、温風通路14の下流端部でも温風と冷風の一部との混合によって生成されるようになる。その後、冷風通路13が全閉されると、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間がミックスダンパ46の温風通路14側のダンパ部46cにより塞がれて、温風通路14の温風のみがミックスチャンバ15に流入するので、図9に破線(比較例)にて示すように、そのときにミックスチャンバ15での温調風の温度が急激に上昇し、温度変化がリニアに変化しなくなる。
【0076】
しかし、この実施形態のように調整リブ48があると、この調整リブ48により、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを適正に調整できるので、その隙間を上記冷風通路13の一部の冷風が通って温風通路14に流れるのを調整することができ、図9に実線(本発明例)にて示すように、ミックスチャンバ15での温調風の温度を滑らかに上昇し得るようになり、よって温度変化特性をリニアに変化させることができる。
【0077】
一方、フルホットモードからコールドモードへ切り換わったときには、その切換えに伴い、上記とは逆に、冷風通路13の開度が全閉から全開に向かって増大する一方、温風通路14の開度が全開から全閉に向かって増大し、フルホットモードで温風のみが流れていたミックスチャンバ15に対する温風の流量が減少し、相対的に冷風の流量が増加して、そのミックスチャンバ15での冷風及び温風の混合割合が変化し、温調風の温度が降下する。そのときに、上記ミックスダンパ46の切換えにより、冷風通路13の開度が大きくなって冷風がミックスチャンバ15に流入し始めるのに伴い、温風通路14の一部の温風がミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間を通って冷風通路13に流れ、この部分でも温風と冷風との混合が生じようとする。しかし、上記調整リブ48により、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側のその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを適正に調整することにより、その隙間を一部の温風が通って冷風通路13に流れるのを調整でき、ミックスチャンバ15での温調風の温度を滑らかに下げて、温度変化特性をリニアに変化させることができる。
【0078】
また、上部ケース9において冷風通路13の後側壁部を形成する部分とヒータコア収容部43の前側壁部との間には両者を接続するように整流部としての冷風ガイド部74が一体に形成され、この冷風ガイド部74は、冷風通路13を流れる冷風の流れ方向に沿うように配置されていて、上部ケース9におけるダクト装着部17前端の奥壁部の略下半部を覆っている。そして、仮に、この冷風ガイド部74がなくて、冷風通路13の後壁部がダクト装着部17前端の奥壁部自体によって形成されている場合には、冷風通路13を流れる冷風が、剥き出しになった異形形状(断面円弧状)の奥壁部により乱されて、乱流や風切り音の発生、通風抵抗の増大等が生じる。これに対し、冷風ガイド部74があると、その冷風ガイド部74により、ダクト装着部17前端の奥壁部の前側近傍(冷風通路13の後端部)を流れる冷風を整流してスムーズにしながらミックスチャンバ15に案内することができ、冷風通路13での冷風の乱流や風切り音の発生、通風抵抗を低減することができる。
【0079】
また、上記冷風ガイド部74ないしダクト装着部17前端の奥壁部は、エバポレータ37から出た冷風を冷風通路13と温風通路14とに略2分する分岐位置に配設されているので、そのダクト装着部17前端の奥壁部の位置を通過する空気流を、一方が冷風通路13の冷風のみとなり、他方が温風通路14の温風のみとなるように確実に2つに分けることができる。このため、例えば冷風通路(又は温風通路)がダクト装着部17前端の奥壁部の位置で2つに分かれるように形成された場合のように、その通路を流れる空気(冷風又は温風)の通風抵抗が大きくなることはなく、これら各通路での空気の流れがスムーズになり、冷風又は温風の温度分布が不均一になるのを防止できる。よって、冷風又は温風の温度分布の均一化を図ることができ、延いては各空調モードでの吹出し温度の調整が容易になる。
【0080】
空調モードがヒートモード(又はヒート・デフモード)にあるとき、図1に示すように、上記ヒートダンパ63が全開状態となり、その上側ダンパ部63b及び下側ダンパ部63cがヒートダクト部54におけるダクト本体54aないしリア分岐ダクト部54c内のヒート通路55の延びる方向に略平行に配置され、このヒートダンパ63の下側ダンパ部63cにより、ヒート通路55の上流側部が、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端側つまり下側に位置する第1通路55aと、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端と反対側つまり上側に位置する第2通路55bとに上下方向に略2等分され、ヒートダンパ63の支持軸63aの位置の上側への片寄りにより、下側の第1通路55aの通路幅(特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅)が上側の第2通路55bの通路幅よりも大きくなる。このヒートダンパ63は、ヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部分)でかつ温風通路14の出口端近傍に配置され、このヒートダンパ63と、ヒートダクト部54のリア分岐ダクト部54c下端にあるリアヒート口58との間のダクト本体54aの左右側壁に、フロントヒート口57が開口するフロント分岐ダクト部54b,54bが分岐接続されているので、上記ヒートダンパ63の全開状態では、温風通路14からミックスチャンバ15に導入されようとする温風の一部が上記ヒートダンパ63の下側ダンパ部63c下面に当たってそれに案内されながら第1通路55aに流入し、この温風はミックスチャンバ15で冷風通路13からの冷風と殆ど混合されずに略温風のままで第1通路55aをヒートダンパ63の下側ダンパ部63cが向いているリア分岐ダクト部54c側に流れる。そして、この第1通路55aは通路幅(特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅)が第2通路55bよりも大きくて空気が流れ易いので、上記温風は第1通路55aを通路幅の狭くなることによる抵抗を受けることなくスムーズに流れ、その殆どがリア分岐ダクト54c内の分岐通路55dを経てリアヒート口58から吹き出され、該リアヒート口58に接続されているリアヒートダクトを介して後席の着座乗員の足元に送られる。
【0081】
一方、ミックスチャンバ15では、残りの温風と冷風とが混合されて、上記リア分岐ダクト部54c側に流れる温風よりも相対的に低温の温調風(これも温風である)が生成されるが、この温調風は上記ヒートダンパ63とその上側のケース8上部との間の第2通路55b(上記主としてリアヒート口58側に案内される温風に対しその背面側)を通ってリア分岐ダクト部54c側に向かって流れる。この第2通路55bは通路幅が第1通路55aよりも狭くて空気が流れ難いので、上記温調風は第2通路55bを抵抗を受けながら流れ、この抵抗により、その大半が途中でフロント分岐ダクト部54b,54b内の分岐通路55cに流入して各々の下流端のフロントヒート口57から吹き出され、該フロントヒート口57に接続されているフロントヒートダクトを介して前席の着座乗員の足元に送られる。
【0082】
こうして、フロントヒート口57から吹き出される温調風(温風)よりも相対的に高い温度の温風がリアヒート口58から吹き出されるので、そのリアヒート口58に接続されているリアヒートダクトの長さが、フロントヒート口57に接続されているフロントヒートダクトよりも長くて、そのリアヒートダクトの通過の際の熱ロスが大きい場合であっても、その熱ロスを補償するようにリアヒートダクトを高い温度の温風が流れることとなり、後席の着座乗員の足元に吹き出される温風の温度を比較的高温度に保って、後席の暖房性を向上することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、車両用空気調和装置のケース内の空気通路に、冷却用熱交換器を縦置きに配置する一方、この冷却用熱交換器の下流側に加熱用熱交換器を横置きに配置し、冷風及び温風の混合割合を変えるミックス手段は、加熱用熱交換器の下流側に配置し、加熱用熱交換器の略下側のケース底部に、冷却用熱交換器にて発生した凝縮水を排水させるドレン口を開口したことにより、車両の登坂時や降坂時等で車体の姿勢が傾いたり、或いは冷却用熱交換器にて発生した凝縮水が冷却用熱交換器から飛散したりしても、それら凝縮水を常に加熱用熱交換器の略下側のケース底部のドレン口からケース外に排出でき、凝縮水がケース内に溜まるのを防止して、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0084】
請求項2の発明によると、加熱用熱交換器の略下側のケース底部は、一側部が冷却用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜する一方、他側部が加熱用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜したテーパ状の断面形状とし、このケース底部の最下端部にドレン口を開口したことにより、凝縮水の排出を確実に行って、車両用空気調和装置の信頼性、商品性のより一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の前後方向に沿った断面図である。
【図2】車両用空気調和装置の右側面図である。
【図3】車両用空気調和装置の左側面図である。
【図4】車両用空気調和装置を車両の前側から見て示す正面図である。
【図5】車両用空気調和装置を車両の後側から見て示す背面図である。
【図6】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図7】車両用空気調和装置の上部を示す斜視図である。
【図8】図1のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】コールドモードからホットモードへの切換時に温調風の吹出し温度特性を示す図である。
【図10】車両用空気調和装置が装着された車両のインストルメントパネルを示す斜視図である。
【符号の説明】
A 車両用空気調和装置
1 インストルメントパネル
8 ケース
9 上部ケース
9c 段部
9d リブ
9e 隔壁
10 下部ケース
10a 前側部(一側部)
10b 後側部(他側部)
10c 最下端部
11 ヒータコアカバーダクト
12 空気通路
13 冷風通路
14 温風通路
15 ミックスチャンバ
16 出口室
17 ダクト装着部
22 ファンハウジング
23 ブロワ(送風手段)
27 インテークボックス
28 外気導入口
29 内気導入口
37 エバポレータ(冷却用熱交換器)
43 ヒータコア収容部
44 ヒータコア
46 ミックスダンパ(ミックス手段)
46a 支持軸
46b,46c ダンパ部
48 調整リブ
51 デフロスタ口
52 ベント口
54 ヒートダクト部
54b フロント分岐ダクト部
54c リア分岐ダクト部
55 ヒート通路
55a 第1通路
55b 第2通路
55c,55d 分岐通路
57 フロントヒート口
58 リアヒート口
61 デフロスタダンパ(開閉ダンパ)
62 ベントダンパ(開閉ダンパ)
63 ヒートダンパ(開閉ダンパ)
63b 上側ダンパ部
63c 下側ダンパ部
68 ドレン口
71 温風バイパス通路
72 ガイドプレート
72a ガイド部
74 冷風ガイド部(整流部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に関し、特に、冷却用熱交換器で発生した凝縮水をケース外に排出するためのドレン構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用空気調和装置として、空気導入口(内気導入口及び外気導入口)及び空気吹出口(デフロスタ口、ベント口、ヒート口等)が開口されたケース内の空気通路に、空気導入口から空気を空気通路に吸い込んだ後に空気吹出口から吹き出させる送風手段としてのブロワと、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータと、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコアと、エバポレータ(冷却用熱交換器)を経由した冷風及びヒータコア(加熱用熱交換器)を経由した温風の混合割合を変えるミックス手段としてのミックスダンパとを配置したものは一般に知られている。
【0003】
上記冷却用熱交換器においては、空気を熱交換して冷却したときに、その空気中の水分が凝縮して凝縮水が発生することから、この凝縮水をケース外に排出するためのドレン口をケースに開口する必要がある。
【0004】
このようなドレン構造として、従来、例えば特許文献1に示すように、エバポレータを略垂直方向に沿うように縦置きに配置する一方、このエバポレータの下流側にヒータコアを斜め方向に沿うように配置し、上記エバポレータ下流側でかつヒータコアとの間のケース底部に、ミックスダンパの閉じ状態をシールする堤状のシール壁を上向きに突設して、このシール壁によりエバポレータ下側にドレン溜まりを設け、このドレン溜まりの底部にドレン口を開口することが提案されている。
【0005】
また、この他、特許文献2に示されるものでは、縦置きに配置されているエバポレータ下側のケース底部にドレン口を開口するようになされている。
【0006】
さらに、特許文献3に示されるように、エバポレータを略水平方向に沿うように横置きに配置して、このエバポレータを通る空気を下降流とする一方、エバポレータの下流側にヒータコアを横置きにエバポレータと並べて配置して、このヒータコアを通る空気を上昇流とし、そのヒータコア下側のケース底部にドレン口を開口することも提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001―213140号公報
【特許文献2】
特開平9―175157号公報
【特許文献3】
特開平8―282245号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、縦置きのエバポレータ(冷却用熱交換器)に対し、その下流側に横置きのヒータコア(加熱用熱交換器)を配置する場合に、エバポレータを経由した冷風をそのまま吹出し口側に流す冷風通路と、同冷風をヒータコアを経由させて温風にする温風通路とを形成し、これら冷風と温風との混合割合をミックスダンパで調整するようにすることが考えられる。
【0009】
そして、上記ミックスダンパをヒータコアへの流入側(上流側)に配置し、このミックスダンパの開度調整により、ヒータコアに流入する冷風の流量を調整して、エバポレータからの冷風と、ヒータコアからの温風との混合割合を変えるようにすると、上記特許文献1又は3に記載された空気調和装置のように、そのミックスダンパを、冷風割合が最大となる冷風位置、又は温風割合が最大となる温風位置にシールするための突出部からなるシール壁をエバポレータとヒータコアとの間のケース底部に設ける必要がある。
【0010】
このようなシール壁があると、例えば車両の登坂時や降坂時等で車体が傾いて凝縮水がシール壁部を乗り越えたり、或いはブロワ風量の急激な増大等によりエバポレータから下流側にシール壁を越えて飛散したりしたとき、その凝縮水がドレン口から離れた部分のケース内部に溜まったままになる。そして、この溜まった凝縮水はケースの接合隙間等から外部に漏出するという問題が生じる。
【0011】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、上記のように縦置きの冷却用熱交換器の下流側に横置きの加熱用熱交換器を配置する構造の車両用空気調和装置に対し、そのドレン構造を改良することにより、冷却用熱交換器で発生した凝縮水を車体姿勢の変化や飛散があっても確実にケース外に排出できるようにして、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、この発明では、ドレン口を横置きの加熱用熱交換器の略下側のケース底部に開口させるようにした。
【0013】
具体的には、請求項1の発明では、空気導入口及び空気吹出口が開口されたケース内に、空気導入口及び空気吹出口を接続する空気通路が設けられ、この空気通路に、空気導入口から空気を空気通路に吸い込んで空気吹出口から吹き出させる送風手段と、空気を冷却する冷却用熱交換器と、空気を加熱する加熱用熱交換器と、冷却用熱交換器を経由した冷風及び加熱用熱交換器を経由した温風の混合割合を変えるミックス手段とが配置されている。
【0014】
そして、上記冷却用熱交換器は略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている一方、上記加熱用熱交換器は、上記冷却用熱交換器の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されており、上記ミックス手段は、加熱用熱交換器の下流側に配置され、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部に、上記冷却用熱交換器で発生した凝縮水をケース外に排出するドレン口が開口されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると、送風手段の作動により、空気が空気導入口からケース内の空気通路に吸い込まれ、この空気は縦置きの冷却用熱交換器により冷却されて冷風となる。この冷風の一部又は全部が冷却用熱交換器下流側の横置きの加熱用熱交換器に流れ、ここで加熱されて温風になる。さらに、この加熱用熱交換器の下流側において、上記冷却用熱交換器から直接流下した冷風と、加熱用熱交換器を経由した温風とが混合され、その加熱用熱交換器下流側に配置されているミックス手段により、冷風及び温風の混合割合が変えられ、この冷風及び温風の混合した温調風が空気吹出口から吹き出される。
【0016】
そして、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部にドレン口が開口されているので、車両の登坂時や降坂時等で車体の姿勢が傾いたり、或いは冷却用熱交換器にて発生した凝縮水が冷却用熱交換器から下流側に飛散したりしても、それら凝縮水は常に加熱用熱交換器の略下側のケース底部に流れ、そのドレン口からケース外に排出される。このことにより凝縮水を確実にケース外に排出し、凝縮水がケース内に溜まるのを防止でき、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明では、上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部は、一側部が冷却用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜する一方、他側部が加熱用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜していて、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状とされ、このケース底部の最下端部にドレン口が開口されている構成とする。
【0018】
このことで、加熱用熱交換器の略下側のケース底部に流下した凝縮水はスムーズにドレン口に流れるようになり、凝縮水の排出を確実に行って、車両用空気調和装置の信頼性、商品性のより一層の向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものでは全くない。また、実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、「前」とは車両の前側を、また「後」とは車両の後側を、さらに「左」とは車両の左側を、さらにまた「右」とは車両の右側をそれぞれ表すこととしている。
【0020】
図10において、1は左側にステアリングホイール(図示せず)を備えた左ハンドル車の車室前部に設置されたインストルメントパネルで、このインストルメントパネル1後面の左右中央部には車室内の乗員の胸元に向けて温調風を吹き出すためのセンタ吹出しノズル2が、また左右端部には同様のサイド吹出しノズル3,3がそれぞれ開口されている。また、インストルメントパネル1の上面前部には、フロントウィンドガラス(図示せず)の内面に曇りを取るための空気を吹き出す左右1対のデフロスタ吹出しノズル4,4が開口されている。尚、本発明は右側にステアリングホイールを備えた右ハンドル車に対しても適用できるのは勿論である。
【0021】
上記インストルメントパネル1内には本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置Aが設置されている。
【0022】
図1〜図7に拡大して示すように、上記空気調和装置Aはケース8を有する。このケース8には、空気導入口としての外気導入口28及び内気導入口29と、空気吹出口としてのデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58とが開口されている。尚、これら外気導入口28、内気導入口29、デフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58の各々のケース8での開口位置は、本実施形態に記載の位置以外の位置に変更してもよいのは勿論である。
【0023】
また、ケース8の内部には、上記外気導入口28及び内気導入口29(いずれも空気導入口)をデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58(いずれも空気吹出口)に接続する空気通路12が設けられている。この空気通路12には、外気導入口28及び内気導入口29の少なくとも一方から空気を空気通路12に吸い込んだ後にベント口52、フロントヒート口57、リアヒート口58及びデフロスタ口51の少なくとも1つから吹き出させる送風手段としてのブロワ23と、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ37と、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア44と、上記エバポレータ37を経由した冷風及びヒータコア44を経由した温風の混合割合を変えてミックスチャンバ15に供給するミックス手段としてのミックスダンパ46と、開閉ダンパとしてのデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63とが配置されている。
【0024】
上記ケース8は、上部ケース9、下部ケース10及びヒータコアカバーダクト11を一体的に組み付けてなる。上部ケース9下端の前半部及び後半部はそれぞれ互いに仕切られたダクト状の開口を形成しており、この上部ケース9下端の前半部(ダクト状開口の周縁部)は前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部(ダクト状開口の周縁部)は略水平に配置されかつ前半部よりも上側に位置している。尚、図6に示すように、上部ケース9は左右中央部で左右に2分割されていて分割部9a,9aからなり、また、ヒータコアカバーダクト11も同様に左右に2分割されていて分割部11a,11aからなる。
【0025】
上記下部ケース10は有底箱状のもので、その上端の前半部は上部ケース9下端の前半部と同様に前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部は前半部に対し上側に段差状に突出していて該前半部と略平行に前上がりに傾斜している。
【0026】
そして、上記上部及び下部ケース9,10同士は、下部ケース10上端の前半部と上部ケース9下端の前半部とが気密状に接合することで一体的に組み付けられる。この組付状態では、上部ケース9下端の前半部と下部ケース10上端の前半部とがダクト状にシールされて接続され、その内部に空気通路12の一部が形成される。
【0027】
また、上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間には、後側に略テーパ状に拡がる切欠状のダクト装着部17が形成され、このダクト装着部17に上記ヒータコアカバーダクト11が嵌合されている。このヒータコアカバーダクト11は、上端及び下端が開口する断面矩形状のダクトからなり、その上端部を上記上部ケース9下端の後半部に、また下端部を下部ケース10上端の後半部にそれぞれ気密状に接合することで組み付けられている。
【0028】
このようにヒータコアカバーダクト11を上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間のダクト装着部17に嵌合して装着したときに、ヒータコアカバーダクト11の上端開口が上部ケース9下端の後半部の開口に、またヒータコアカバーダクト11の下端開口が下部ケース10上端の後半部の開口にそれぞれ気密状に連通して連続状のダクトをなし、その内部に空気通路12の一部たる後述の温風通路14が形成されるようになっている。
【0029】
尚、図6に示すように、上記ダクト装着部17の下端に相当する下部ケース10上端の後半部においてその左右側壁には前後方向に延びるガイドレール部20,20が形成されている一方、ヒータコアカバーダクト11下端の左右側部には上記ガイドレール部20,20に摺動可能に係合する係合部21,21が形成されており、この左右の係合部21,21とガイドレール部20,20との係合により、ヒータコアカバーダクト11が前方向にスライドしながらダクト装着部17に嵌合して装着される。
【0030】
上記上部ケース9には、その前側上部の左右中央に上部ケース9の一部をなす中空円筒状のファンハウジング22(このファンハウジング22も上部ケース9の一部であるので、左右に分割されている)が他の部分と一体に形成され、このファンハウジング22の内部には上記ブロワ23を構成するシロッコファンからなるブロワファン24が配置収容されている。図6に示すように、ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)にはモータ取付口22aが、また右側壁(左側壁でもよい)には吸込口22bが、さらに下側には吐出部22cがそれぞれ開口され、モータ取付口22aには上記ブロワ23を構成するブロワモータ25が水平左右方向に延びる出力軸(図示せず)をファンハウジング22内に臨ませて気密状に取付固定されている。このブロワモータ25の出力軸に上記ブロワファン24が回転一体に取付固定されている。
【0031】
一方、上記ファンハウジング22の吸込口22bには、上部ケース9の一部をなしてはいるが他の部分と別体に形成されたインテークボックス27の下流端が気密状に接続されている。このインテークボックス27は左右水平方向の中心線を持つ略有底円筒状のもので、その左端が開口端とされている。インテークボックス27の下部は右側(ファンハウジング22側)に向かって下側に向かうように傾斜していて、インテークボックス27左端の開口端の断面積は他の部分よりも大に形成されており、この開口端が下流端とされてファンハウジング22の右側壁の吸込口22bに接続されている。インテークボックス27の前側上部は前側に向かって下側に、また後側上部は後側に向かって下側にそれぞれ傾斜し、前側上部には矩形状の上記外気導入口28が、また後側上部には外気導入口28と略同じ形状の上記内気導入口29がそれぞれ開口されている。尚、この外気導入口28及び内気導入口29はいずれも空気を導入可能な格子状のグリル30,30により塞がれている。上記内気導入口29はインストルメントパネル1内で車室内に開放されている一方、外気導入口28は、フロントウィンドガラス前側の車体カウル部(図示せず)を経て車外に連通しており、外気導入口28により車外の空気(外気)を、また内気導入口29により車室内の空気(内気)をそれぞれケース8内の空気通路12に導入するようにしている。
【0032】
上記インテークボックス27の内部には上端の水平左右方向の支持軸31(図2参照)回りに揺動する内外気切換ダンパ(図示せず)が配置され、この内外気切換ダンパの支持軸31はインテークボックス27(上部ケース9)に支持され、この支持軸31の右端部(左端部でもよい)はインテークボックス27から外部に突出し、その突出部にはリンク機構32を介して電動アクチュエータ33が駆動連結されており、ブロワモータ25の作動に伴うブロワファン24の回転により、外気導入口28からの外気及び/又は内気導入口29からの内気をファンハウジング22内(空気通路12の一部)に吸い込んで吐出部22cから吐出するとともに、電動アクチュエータ33による内外気切換ダンパの支持軸31回りの回動切換えにより、ファンハウジング22内に導入する空気を外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気の少なくとも一方に切り換えるようにしている。
【0033】
図1に示すように、上記ファンハウジング22の吐出部22cは、後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクトからなり、この吐出部22cの下流端部は、上部ケース9内下部の前端部と下部ケース10内の前端部とにより形成されるレジスタ収容部35に接続されている。このレジスタ収容部35は空気通路12の一部をなし、その下半部(下部ケース10内の部分)はファンハウジング22の吐出部22c下流端部から下側に拡がっている。
【0034】
そして、上記ファンハウジング22の吐出部22cの下流端部は空気通路12の一部をなすエバポレータ収容部36に上記レジスタ収容部35を介して接続されている。このエバポレータ収容部36は、ファンハウジング22後側の斜め下側に位置していて、上部ケース9内下部の前部と下部ケース10内の前部とにより形成されており、エバポレータ収容部36には上記エバポレータ37が空気通路12を横切るように配置されて収容されている。このエバポレータ37は矩形板状のもので、略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている。エバポレータ37は、図示しないが、チューブの周りに多数の伝熱フィンを伝熱可能に取り付けたチューブアンドフィンタイプの熱交換器で、チューブの両端にはそれぞれ接続配管37a,37aが接続されており、図外のコンプレッサにより圧縮された冷媒ガスを冷却して液冷媒にし、その液冷媒を減圧機構で減圧した後にエバポレータ37で蒸発させ、その蒸発潜熱によりブロワファン24からの空気と熱交換してそれを冷却し冷風を生成するようにしている。尚、エバポレータ37のチューブ内で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37に流入した空気は冷却されずに流入温度のままでエバポレータ37から出るが、本実施形態では、その場合もエバポレータ37から出た空気を冷風とする。
【0035】
また、上記ファンハウジング22の吐出部22c下流端部とエバポレータ収容部36との間には、エバポレータ37の直上流側を覆って該エバポレータ37に流入する空気を濾過するフィルタ機構38が配置されている。また、このフィルタ機構38の上流側、つまりレジスタ収容部35の下半部において下部ケース10の右側壁(左側壁でもよい)には放熱用レジスタ39がレジスタ収容部35内に臨むように取り付けられており、この放熱用レジスタ39は、上記ブロワモータ25への印加電圧を制御するブロワモータ印加電圧制御用トランジスタ(図示せず)を冷却するためのものである。
【0036】
図1に示すように、上記エバポレータ37下流側の空気通路12は冷風通路13と温風通路14とに分岐されている。上記冷風通路13は、エバポレータ37下流側(後側)の略上半部から上記ダクト装着部17の前側を通って略上側に延びるダクト内に形成されるもので、この冷風通路13により、エバポレータ37を経由した冷風の一部ないし全部を直接流すようにしている。
【0037】
一方、温風通路14は、エバポレータ37下流側の略下半部から後方に延びた後に上側に向かい、上記下部ケース10上端の後半部(ダクト装着部17下端)の開口と、この開口に下端開口にて連通するヒータコアカバーダクト11内と、このヒータコアカバーダクト11の上端開口に連通する上部ケース9下端の後半部(ダクト装着部17上端)の開口とを通りながら前側に向かって斜め上側に延びている。この温風通路14の途中において上記下部ケース10上端の後半部には温風通路14(空気通路12)の一部をなすヒータコア収容部43が形成され、このヒータコア収容部43内に上記ヒータコア44が温風通路14を横切るように配置されて収容されている。すなわち、ヒータコア44は、上記エバポレータ37の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されている。このヒータコア44も、上記エバポレータ37と同様に、チューブの周りに多数の伝熱フィンを取り付けたタイプの熱交換器であり、チューブの両端は接続配管44a,44aを介して車載エンジンのウォータジャケット(冷却水通路)に接続されており、エンジンの冷却により昇温した冷却水をヒータコア44に流すことにより、エバポレータ37を経由して冷却された冷風の一部ないし全部と熱交換してそれを加熱し温風を生成し、この温風を温風通路14に流すようにしている。尚、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44に流入した空気は加熱されずに流入温度のままでヒータコア44から出るが、本実施形態では、その場合もヒータコア44から出た空気を温風とする。
【0038】
尚、図6に示すように、下部ケース10の後半部の右側壁(左側壁でもよい)には装着口45が形成されており、この装着口45を通してヒータコア44がヒータコア装着部43に装着される。そして、このヒータコア44の装着状態では、装着口45はヒータコア44自体により気密状に閉塞され、この装着口45において接続配管44a,44aが下部ケース10(ケース8)外に位置するようになっている。そして、ヒータコアカバーダクト11には、上記装着口45から下部ケース10外に露出している接続配管44a,44aを覆うカバー部11b(図2ではカバー部11bを切り除いて示している)が一体に形成されている。
【0039】
上記冷風通路13の下流端(上端)と温風通路14の下流端(上端)とは互いにミックスチャンバ15(温調室)で連通している(ミックスチャンバ15において実質的に冷風と温風とを混合して温調風を生成している部分を図1で一点鎖線にて示す)。このミックスチャンバ15は空気通路12の一部を構成しており、このミックスチャンバ15において冷風及び温風を混合させ、温調風を生成する。ミックスチャンバ15と冷風通路13及び温風通路14の各下流端との間には、冷風通路13からの冷風と温風通路14からの温風との混合割合を変えて温調風の温度を変更する上記ミックスダンパ46が設けられている。つまり、ミックスダンパ46はヒータコア44の下流側に配置されている。このミックスダンパ46は、冷風通路13及び温風通路14の各下流端間の近傍に位置する水平左右方向の支持軸46a回りに揺動する2つの冷風及び温風ダンパ部46b,46cを有するバタフライタイプのもので、両ダンパ部46b,46cは支持軸46aにおいて180°よりも小さい所定の角度(例えば125°)で交差している。冷風ダンパ部46bは冷風通路13の下流端を、また温風ダンパ部46cは温風通路14の下流端をそれぞれ開閉するようになっており、冷風通路13側にある冷風ダンパ部46bが冷風通路13下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断したときには、温風通路14側にある温風ダンパ部46cが温風通路14下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させる一方、上記冷風ダンパ部46bが冷風通路13下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させたときには、温風ダンパ部46cが温風通路14下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断する。そして、これら2つの位置の中間位置では、冷風通路13及び温風通路14の各開度を逆方向に相対的に変えて、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の各流量を変更し、ミックスチャンバ15において冷風及び温風の混合割合を変えて温調風の温度を変更調整するようになっている。
【0040】
ミックスダンパ46の支持軸46aは上部ケース9の右側壁(左側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には図外の電動アクチュエータが駆動連結されており、この電動アクチュエータによりミックスダンパ46を空調モードに合わせて開閉制御するようにしている。
【0041】
図1に示すように、上記ミックスダンパ46の支持軸46a真下には、上部ケース9の一部を構成しかつ上記冷風通路13及び温風通路14を仕切る隔壁9eの上端部(下流端部)が位置し、この隔壁9eの上端部には、その左右幅の全体に亘り調整手段としての調整リブ48が先端(上端)を支持軸46a下面に近接させた状態で突設されており、この調整リブ48により支持軸46aとその下側の上部ケース9内面との間の隙間の大きさを調整するようにしている。
【0042】
上記ファンハウジング22後側の上部ケース9の上面には前側に上記デフロスタ口51が、また後側に上記ベント口52がそれぞれ前後に並んで開口され、これらデフロスタ口51及びベント口52は上部ケース9の隔壁9bにより連通不能に区画されている。上記デフロスタ口51は図外のデフロスタダクトを介して上記インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に、またベント口52は図外のベントダクトを介してインストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3にそれぞれ接続されている。
【0043】
また、上部ケース9の上側後部にはヒートダクト部54が一体に形成されている。このヒートダクト部54は、上部ケース9の上側後部から後側に向かって斜め下側に延びる角筒状のダクト本体54aと、このダクト本体54aの後部左右側壁から左右方向に突出する1対のフロント分岐ダクト部54b,54bと、ダクト本体54aの後壁左右中央部から後側に向かって斜め下側にダクト本体54aを延長するように突出するリア分岐ダクト部54cとを備えてなり、これらダクト本体54a、フロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54c内にヒート通路55が形成され、このヒート通路55の上流端は上記ミックスチャンバ15に対し、温風通路14下流端の後側で、つまり冷風通路13の下流端よりも温風通路14の下流端に近い側で該両下流端と前後に方向に略直列に並ぶように配置されて連通されている。また、上記両フロント分岐ダクト部54b,54bの先端には上記フロントヒート口57,57が、またリア分岐ダクト部54cの先端には上記リアヒート口58がそれぞれ開口されている。このことで、ヒート通路55の下流側部は、フロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54cにより3つに分岐されて上記各フロントヒート口57及びリアヒート口58に連通され、そのうち、リア分岐ダクト部54c内に形成される、リアヒート口58への分岐通路55dは、該分岐通路55d上流側のヒート通路55を下流側に延長するように延びている。そして、車両の左側又は右側側方から見て、リア分岐ダクト部54cのダクト本体54aからの分岐位置(開口位置)は、両フロント分岐ダクト部54b,54bの同分岐位置に比べミックスチャンバ15から離れた後側に位置している。尚、55cはフロント分岐ダクト部54b内に形成されたヒート通路55の分岐通路である。
【0044】
上記各フロントヒート口57には、下流端がインストルメントパネル1下部の車室内(前席に着座した乗員の足元部分)まで延びる図外のフロントヒートダクトの上流端が、またリアヒート口58には、下流端が車室内の後席まで延びる図外のリアヒートダクトの上流端がそれぞれ接続されるようになっており、各フロントヒート口57から温風を吹き出させて、それをフロントヒートダクトを介して前席に着座した乗員の足元に送給する一方、リアヒート口58からも温風を吹き出させて、それをリアヒートダクトを介して後席に着座した乗員の足元に送給するようにしている。
【0045】
そして、上記ミックスチャンバ15は、上記フロントヒート口57及びリアヒート口58に連通されている他に上記デフロスタ口51及びベント口52にも連通されている。このミックスチャンバ15とデフロスタ口51との間には該デフロスタ口51を開閉するためのデフロスタダンパ61が、またミックスチャンバ15とベント口52との間には該ベント口52を開閉するためのベントダンパ62が、さらにミックスチャンバ15とフロントヒート口57及びリアヒート口58との間には該両ヒート口57,58を開閉するためのヒートダンパ63がそれぞれ配置されている。すなわち、ヒートダンパ63は、ヒートダクト部54においてダクト本体54aのフロント分岐ダクト部54b,54b及びリア分岐ダクト部54cへの分岐位置(フロント及びリアヒート口57,58への分岐位置)よりも上流側のヒート通路55、詳しくはヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部)を開閉するようになっている。尚、これに代え、ヒートダンパ63は、ヒート通路55の上流端よりも下流側に配置してその部分を開閉するようにしてもよい。
【0046】
これらデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63は、いずれも水平左右方向の支持軸61a〜63a回りに揺動する2つのダンパ部を有するバタフライ型のもので、両ダンパ部は支持軸61a〜63aにおいて略180°の角度で交差しており、その回動によりデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58の各開度を変えるようにしている。そして、デフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の各支持軸61a〜63aは上部ケース9の左側壁(右側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には、カム及びリンクからなる連動機構65を介して電動アクチュエータ66が連結されており、この電動アクチュエータ66により各ダンパ61〜63を空調モードに合わせて連係させながら開閉制御するようにしている。
【0047】
図1に示すように、上記ヒータコア44の略下側のケース8底部、つまり下部ケース10の底部は、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状とされている。すなわち、この下部ケース10底部の前側部10a(一側部)は、上記エバポレータ37側つまり前側に向かって上側に向かうように水平面に対し所定の傾斜角度で傾斜し、上記エバポレータ収容部36の下部を経てレジスタ収容部35の下部まで滑らかに連続している。一方、下部ケース10底部の後側部10b(他側部)は、ヒータコア44側つまり後側に向かって上側に向かうように水平面に対し所定の傾斜角度で傾斜している。この下部ケース10底部において前側部10a及び後側部10bの境界部分(テーパ形状の先端部)が最下端部10cに形成され、この最下端部10cは上記ヒータコア44の略下側、詳しくはヒータコア44前端の略真下に位置付けられている。そして、この下部ケース10底部の最下端部10cは右側(左側であってもよい)に向かって下方に傾斜し、その右側壁部に、エバポレータ37にて発生した凝縮水を排水させるためのドレン口68が開口されている。図中、69はドレン口68に接続されたドレンホースである。
【0048】
さらに、図1に示すように、上部ケース9内のミックスチャンバ15には、上記ミックスダンパ46が温風通路14を開いているときに、その温風通路14の出口部から出た温風の一部を、ミックスチャンバ15の略大半部をバイパスして上記デフロスタ口51近傍のミックスチャンバ15前端部にガイドして供給する左右1対の温風バイパス通路71,71が形成されている。すなわち、図8にも示すように、上部ケース9において上記ミックスチャンバ15近くの左右側壁には、上記温風通路14の下流端近傍からデフロスタダンパ61の略真下位置までの範囲に亘り、左右方向外側に折れ曲がった段部9cが形成され、この段部9c上側の上部ケース9側壁内面には水平方向に突出するリブ9dが段部9cと一定の間隔をあけて略平行にかつ該段部9cとの間が溝部となるように一体に突設されている。そして、この段部9cとリブ9dとの間の溝部は、上部ケース9とは別体のガイドプレート72により各々の間に略一定の断面積を持つ閉断面空間を形成するように覆われており、この段部9c、リブ9d及びガイドプレート72の間の閉断面空間が温風バイパス通路71を構成し、この各温風バイパス通路71の上流端(下端)は温風通路14の下流端近傍に、また下流端(上端)はデフロスタダンパ61の略真下位置にそれぞれ開口している。
【0049】
また、上記各ガイドプレート72において温風バイパス通路71の下流端部に位置する部分には、上部ケース9の相対する左右側壁に向かって延びるガイド部72aが一体に形成され、これら両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72a先端同士は上部ケース9の左右略中央位置で一体的に接合(単なる当接でもよく、或いは若干の間隙をあけて離隔していてもよい)されている。つまり、これら両ガイド部72a,72aは、上記各ガイドプレート71において温風バイパス通路71の下流端に位置する部分にミックスチャンバ15の幅方向(左右方向)の全体に延びるように形成されている。また、両ガイド部72a,72aにより、ミックスチャンバ15の前端部(一部)つまり冷風通路13の出口側に、デフロスタ口51(上側)に向かって開放された出口室16が区画されて形成され、この出口室16に各温風バイパス通路71の下流端が開口している。そして、温風通路14の下流端から出た温風の一部を上部ケース9の左右側部にて2つの温風バイパス通路71,71に導入し、この温風を略ミックスチャンバ15の大半部をバイパスさせながらデフロスタダンパ61の略真下位置まで導いて、ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aによりケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させるようにしている。
【0050】
上記ガイドプレート72は、その周縁部のブラケットを貫通する取付ねじ72bを上部ケース9の側壁(詳しくはそのボス部)に螺合締結することで、上部ケース9の側壁に取付固定されている。
【0051】
また、上記のように、温風をケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させる特性の他に、例えば両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72a等により温風バイパス通路71の出口部の構造や形状を変えたり、温風バイパス通路71の断面積等を変えたりすることで、ガイドされる温風の風量、風速、風向等を変更して、その吹出しのバリエーションを広げることもできる。例えば、ケース8の左右中央部での温風吹出し量を左右側部よりも多くしたり、或いは逆に、ケース8の左右側部での温風吹出し量を左右中央部よりも多くしたり、さらには、ケース8の左右中央部及び左右側部での温風吹出し量を両者の中間部よりも多くしたりすることができる。これらは必要に応じて適宜選択すればよい。
【0052】
尚、この実施形態では、上部ケース9の壁部に段部9c及びリブ9dを形成し、これらをガイドプレート72で覆って閉断面空間の温風バイパス通路71を形成しているが、この他、壁部に1対のリブを互いに平行に突設し、これらをガイドプレートにより覆うか、或いは壁部全体に凹溝を形成して、その開口をガイドプレートで覆うかすることにより、閉断面空間の温風バイパス通路を形成してもよい。
【0053】
また、この実施形態は温風バイパス通路71を設けたものであるが、これに代え、同様の構造により、例えば上流端が冷風通路13の下流端近傍に、また下流端がベントダンパ62の略真下位置にそれぞれ開口している冷風バイパス通路を設けて、冷風通路13からの冷風の一部を上部ケース9の左右側部にて2つの冷風バイパス通路に導入し、この冷風をガイドプレートのガイド部によりケース8の左右の全体に亘り略均等に吹き出させるようにしてもよい。さらには、温風バイパス通路71及び冷風バイパス通路の双方を設けることもできる。また、温風バイパス通路71や冷風バイパス通路を上部ケース9の左右一方のみに設けてもよい。
【0054】
図1に示す如く、上記上部ケース9内の下端部において上記冷風通路13の後壁部を形成する部分と上記ヒータコア収容部43の前壁部との間には、冷風通路13を流れる冷風のうち、上記ダクト装着部17奥端の奥壁部の前側近傍(冷風通路13の後端部)を流れる冷風を整流しながら案内する冷風ガイド部74が設けられている。この冷風ガイド部74は上部ケース9と一体のパネル状のもので、その上端部が上記ダクト装着部17の奥壁部に接続され、この上端部から冷風通路13を流れる冷風の流れ方向と略平行に、つまり下側に向かって前側に向かうように少し傾斜して滑らかに延びた後に後側に曲がり、下端部がヒータコア収容部43の前壁部に接続されている。すなわち、この冷風ガイド部74はダクト装着部17の奥壁部前側であって冷風通路14の後壁となる部分の略下半部を覆い、その前面は滑らかに傾斜している。尚、ダクト装着部17の奥壁部は断面円弧状であり、この奥壁部の略下半部の形状が冷風の流れに対し異形となるので、その略下半部を覆って整流しているが、ダクト装着部17の奥壁部が他の形状であれば、その略上半部や他の部分、或いは全体を覆うようにすればよい。
【0055】
そして、上記冷風ガイド部74ないしダクト装着部17前端の奥壁部は、エバポレータ37から出た冷風を冷風通路13と温風通路14とに略2分する位置、つまり両通路13,14の境界部分であって各々の上流端の分岐位置に位置するように配設されている。尚、このように冷風通路13及び温風通路14の上流端の分岐位置にダクト装着部17の奥壁部を配置する構造に代え、冷風通路及び温風通路のレイアウトが本実施形態と異なる場合には、両通路の境界部分であって各々の下流端の合流位置にダクト装着部の奥壁部を配置してもよく、さらには、両通路中間の境界部分に配置することもできる。
【0056】
上記の如く、上部ケース9の上側後部に、ヒート通路55を内有するヒートダクト部54が一体に形成され、このヒートダクト部54におけるリア分岐ダクト部54cのダクト本体54aからの分岐位置は、車両の左右側方から見て、両フロント分岐ダクト部54b,54bの同分岐位置に比べミックスチャンバ15から離れた後側に位置し、フロント分岐ダクト部54b,54b先端の両フロントヒート口57,57及びリア分岐ダクト部54c先端のリアヒート口58を同時に開閉するためのヒートダンパ63がヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部)に配置されており、このことで、そのヒートダンパ63は、ヒート通路55において温風通路14の下流端出口近傍に配置されている。上記ヒートダンパ63の支持軸63aは、ヒート通路55上流端のミックスチャンバ15への接続部に該接続部の上下高さの中央位置よりも上側に片寄った位置に配置されている。
【0057】
そして、ヒートダンパ63は、上記支持軸63aに一体的に突設された上側ダンパ部63b及び下側ダンパ部63cを備え、上記支持軸63aの位置の片寄りにより下側ダンパ部63cの幅が上側ダンパ部63bよりも大きくなっている。このヒートダンパ63の水平左右方向の支持軸63aに対し、各フロントヒート口57が開口するフロント分岐ダクト部54bも同じ水平左右方向に延びているので、ヒートダンパ63が支持軸63a回りに回動して開閉するとき、下側ダンパ部63cがヒートダクト部54のダクト本体54a内でその左右縁部により各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cの上流端開口部を上下方向に横切るように回動し、そのヒートダンパ63の全開状態では、上側及び下側ダンパ部63b,63cがヒートダクト部54におけるダクト本体54aないしリア分岐ダクト部54c内のヒート通路55の延びる方向に略平行になり、その下側ダンパ部63cが、ヒート通路55の上流側部を、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端側つまり下側に位置する第1通路55aと、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端と反対側つまり上側に位置する第2通路55bとに上下方向に略2等分し(各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cの上流端開口部も下側ダンパ部63cにより上下方向に略2等分される)、詳しくは、上記支持軸63aの位置の片寄りにより、下側の第1通路55aの通路幅(下側ダンパ部63cとヒートダクト部54との距離)、特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅が上側の第2通路55bの同様の通路幅よりも大きくなっている。そして、上記第1通路55aにより、主として温風通路14からミックスチャンバ15に流れようとする温風の一部(尚、この温風にミックスチャンバ15からの温調風も若干加えられる)を下側ダンパ部63cの下面で案内して冷風通路13からの冷風と殆ど混合させずに略温風のままでリア分岐ダクト部54c内の分岐通路55dを通ってリアヒート口58に流す一方、ヒートダンパ63とその上側のヒートダクト部54上部との間(上記主としてリアヒート口58側に案内される温風に対しその背面側)に形成される第2通路55bにより、ミックスチャンバ15で温風の残りと冷風とが混合された温調風を主に各フロント分岐ダクト部54b内の分岐通路55cを通ってフロントヒート口57に流すようにしている。
【0058】
次に、上記実施形態の作用について説明する。インテークボックス27内の内外気切換ダンパの切換作動により、外気導入口28もしくは内気導入口29が全開になるか又は双方が中間開度で開かれ、ブロワ23の作動により、外気導入口28からの外気もしくは内気導入口29からの内気又はそれらの双方がケース8内の空気通路12の上流端部、つまりファンハウジング22内に吸い込まれ、この空気はファンハウジング22の吐出部22cから吐出された後にケース8のエバポレータ収容部36内に縦置きされたエバポレータ37との熱交換により冷却されて冷風となる。尚、エバポレータ37で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37からは冷却されていない流入温度のままの冷風が出る。
【0059】
そして、ミックスダンパ46が冷風通路13を全開し、温風通路14を全閉しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が温風通路14に流れずに冷風通路13に流れ、その冷風通路13を通って下流側のミックスチャンバ15に導入されて温調風となる。
【0060】
一方、ミックスダンパ46が冷風通路13を全閉し、温風通路14を全開しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が冷風通路13に流れずに温風通路14に流れ、その温風通路14を通って下流側のミックスチャンバ15に導入される。この温風通路14にはヒータコア収容部43内に横置きされたヒータコア44が配置されているので、温風通路14を通る間に冷風はヒータコア44に熱交換により加熱されて温風となり、その温風は温風通路14下流側のミックスチャンバ15に流入して温調風となる。尚、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44からは加熱されていない流入温度のままの温風が出る。
【0061】
さらに、上記ミックスダンパ46を、冷風通路13又は温風通路14の一方の開度が他方の開度に対し相対的に逆になるように切換変更することで、冷風通路13の冷風の流量と温風通路14の温風の流量とが相対的に逆向きに変化する。このことで、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の流量が調整され、ミックスチャンバ15では温度を変更調整された温調風が生成される。
【0062】
基本的には、このようにしてミックスチャンバ15で温調風が生成される。この温調風は、インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に連通するデフロスタ口51、インストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3に接続されたベント口52、フロントヒートダクトに接続されたフロントヒート口57、又はリアヒートダクトに接続されたリアヒート口58の少なくとも一部から吹き出される。これら複数の吹出し口のいずれかを選択するかは、空調モードに応じてデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の連係した開閉切換えにより切り換えられる。
【0063】
上記ブロワ23から吐出された空気がエバポレータ37を通過してエバポレータ37との熱交換により冷却される際、その冷却に伴って凝縮水が発生し、この凝縮水はエバポレータ37からケース8内に流れ落ちる。そして、上記ヒータコア44略下側の下部ケース10底部は、前側部10aがエバポレータ37に向かって上側に向かうように、また後側部10bがヒータコア44に向かって上側に向かうようにそれぞれ傾斜していて、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状であるので、上記エバポレータ37から流れ落ちる凝縮水は、上記下部ケース10底部においてエバポレータ37下側にあって傾斜した前側部10aに滴下することとなり、この前側部10aに落ちた凝縮水は下部ケース10底部の最下端部10cに向かって後側に流れ、その最下端部10cに溜まることとなる。この最下端部10cにはドレン口68が開口されているので、下部ケース10内下部に溜まったドレン水はドレン口68からドレンホース69を経てケース8外に排出される。
【0064】
そのとき、上記ドレン口68はヒータコア44の略下側の下部ケース10底部において、前上がりに傾斜した前側部10aと後上がりに傾斜した後側部10bとの間の境界位置にある最下端部10cに開口されているので、車両の登坂時等で車体の姿勢が後傾しても、下部ケース10底部の後側部10bが水平になるまで(車体の後傾角度がドレン口68及びヒータコア44後端部を結んだ平面と水平面とのなす角度θ未満である状態)は、凝縮水は常に、ヒータコア44に向かって流れることなく下部ケース10底部の最下端部10cに流れ、そのドレン口68からケース8外に排出される。仮に、車体姿勢が大きく後傾して、下部ケース10底部の後側部10bが水平を越えて傾いたとき(ドレン口68及びヒータコア44後端部を結んだ平面と水平面とのなす角度θ以上となる状態)には、凝縮水が一時的に後側(ヒータコア44側)に向かって流れるが、その後、車体の後傾姿勢が戻れば、その凝縮水は下部ケース10底部の本来の最下端部10cに前側に流れ、そのドレン口68からケース8外に排出される。
【0065】
また、車両の降坂時等で車体の姿勢が前傾しても、上記後傾時と同様にして、凝縮水が下部ケース10底部の前側部10aを前後に移動するだけで、車体の前傾姿勢の戻りにより下部ケース10底部の最下端部10cに流れてドレン口68から排水される。
【0066】
さらに、エバポレータ37の伝熱フィン部分に溜まっていた凝縮水がブロワ23の送風量の急激な増大等によりエバポレータ37から下流側に飛散したとしても、そのうちで温風通路14に向かった凝縮水(例えば主にエバポレータ37の下半部から飛散したもの)の水滴はヒータコア44やその周りのケース8内面に当たった後に下部ケース10底部の後側部10bに落ちてドレン口68に流れる。一方、エバポレータ37から冷風通路13に向かった凝縮水(例えば主にエバポレータ37の上半部から飛散したもの)の水滴はケース8の壁やミックスダンパ46等に当たった後に自然落下により温風通路14やヒータコア44を経由して下部ケース10底部の後側部10bに落ちてドレン口68に流れることとなり、これらの凝縮水はドレン口68からケース8外に排出される。以上により、凝縮水を確実にケース8外に排出し、凝縮水がケース8内に溜まるのを防止でき、車両用空気調和装置Aの信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0067】
上記ケース8内には上部ケース9の左右側部に1対の温風バイパス通路71,71が形成されているので、温風通路14の下流端から出た温風の一部が左右2つの温風バイパス通路71,71に導入され、この温風は略ミックスチャンバ15の大半部をバイパスしながらデフロスタダンパ61の略真下位置まで導かれ、ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aに沿って吹き出される。このことで、そのバイパスされた温風をデフロスタ口51から吹き出させて、デフロスタ性能を高めることができる。
【0068】
そのとき、上記各温風バイパス通路71は、ケース8内のミックスチャンバ15において上部ケース9の段部9c及びリブ9dとガイドプレート72とによって区画される閉断面空間で構成されているので、仮に、この各温風バイパス通路71を流れる温風が通路71外に漏れ出たとしても、その漏出した温風はミックスチャンバ15に流入するだけでケース8外に出ることはない。このため、同様の温風バイパス通路をケース8外に形成する場合では、その温風バイパス通路から温風が漏出するのを避けるために各種取付ねじの締結やシール構造を精度よく行っておく必要があるが、それに比べ、温風バイパス通路71の漏れ防止用のシール構造等を簡略化でき、部品点数の低減等を図ることができる。
【0069】
また、各温風バイパス通路71がケース8内に設けられているので、その温風バイパス通路をケース8外に形成する場合のように、空気調和装置Aにおけるケース8外の他の部品や車両の部品との干渉等を考慮せずとも済み、ケース8外のスペースを有効に確保することができる。
【0070】
また、各温風バイパス通路71は、上部ケース9の段部9c及びリブ9dとガイドプレート72とにより区画されて形成されているので、上部ケース9の他にガイドプレート72を設けるだけで温風バイパス通路71を形成することができ、その形成が容易であり、温風バイパス通路71の構造も簡単になる。また、ケース9とは別部材であるガイドプレート72にガイド部72aが設けられているので、そのガイド部72aをも容易に形成することができる。
【0071】
さらに、上記両ガイドプレート72,72のガイド部72a,72aにより、ミックスチャンバ15の前端部に、デフロスタ口51側(上側)に開放された形状の出口室16がミックスチャンバ15の他の部分(大半部)と区画されて形成されているので、この出口室16は、冷風通路13の出口部や上記ミックスチャンバ15の大半部(前端部を除く部分)に対しガイド部72aによって遮断された構造になる。そして、この出口室16に各温風バイパス通路71の下流端が開口しているので、この温風バイパス通路71から出口室16に吐出された温風は、上記ミックスチャンバ15の大半部にある温調風、特に冷風通路13から出た冷風の流れの影響を受け難くなる。このことで、そのバイパスされた温風を安定して吐出させることができる。
【0072】
また、上記ミックスチャンバ15の幅方向たる左右方向両側に2つの温風バイパス通路71,71が設けられ、両バイパス通路71,71のガイドプレート72,72のガイド部72a,72aがミックスチャンバ15の左右方向(幅方向)に互いに対応して延び、かつ両ガイド部72a,72aの先端部同士が接合されているので、これら2つの温風バイパス通路71,71を通して温風をバイパスさせることができ、そのバイパスされた温風の吐出特性を容易に均一にすることができる。
【0073】
さらに、各温風バイパス通路71の断面積や出口形状等を変化させることにより、温風の風量、風速、風向等を容易に調整することができる。
【0074】
また、上記ミックスダンパ46の支持軸46a真下に位置しかつ冷風通路13及び温風通路14を仕切る隔壁9e(上部ケース9)の上端部には調整リブ48が突設されているので、この調整リブ48の高さを所定長さに設定することにより、支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを所定値に調整でき、例えば空調モードがコールドモードとフルホットモードとの間で切り換わったときの温度変化をスムーズに変化させて、その変化特性をリニアにすることができる。
【0075】
すなわち、コールドモードでは、図1で一点鎖線にて示す如く、冷風通路13が全開になり(又はその開度が最大になる)、温風通路14が全閉になる(又はその開度が最小になる)ようにミックスダンパ46が切り換わる一方、フルホットモードでは、図1で二点鎖線にて示すように、逆に、冷風通路13が全閉になり(又はその開度が最小になる)、温風通路14が全開になる(又はその開度が最大になる)ようにミックスダンパ46が切り換わる。また、上記コールドモードからフルホットモードへの切換えに伴い、冷風通路13の開度が全閉に向かって減少する一方、温風通路14の開度が全開に向かって増大するが、このとき、コールドモードでは冷風のみが流れていたミックスチャンバ15に対する冷風の流量が減少し、相対的に温風の流量が増加して、そのミックスチャンバ15での冷風及び温風の混合割合が変化し、温調風の温度が上昇する。そして、仮に、上記調整リブ48がない場合には、上記ミックスダンパ46の冷風通路13の全開位置(図1で一点鎖線にて示す位置)から温風通路14の全開位置(図1で二点鎖線にて示す位置)への切換えにより、温風通路14の開度が大きくなって温風がミックスチャンバ15に流入し始めると、それに伴い、冷風通路13の一部の冷風がミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9e(上部ケース9)との間の大きな隙間を通って温風通路14に流れ、この部分でも温風と冷風との混合が生じる。このことで、温調風は本来のミックスチャンバ15のみならず、温風通路14の下流端部でも温風と冷風の一部との混合によって生成されるようになる。その後、冷風通路13が全閉されると、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間がミックスダンパ46の温風通路14側のダンパ部46cにより塞がれて、温風通路14の温風のみがミックスチャンバ15に流入するので、図9に破線(比較例)にて示すように、そのときにミックスチャンバ15での温調風の温度が急激に上昇し、温度変化がリニアに変化しなくなる。
【0076】
しかし、この実施形態のように調整リブ48があると、この調整リブ48により、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを適正に調整できるので、その隙間を上記冷風通路13の一部の冷風が通って温風通路14に流れるのを調整することができ、図9に実線(本発明例)にて示すように、ミックスチャンバ15での温調風の温度を滑らかに上昇し得るようになり、よって温度変化特性をリニアに変化させることができる。
【0077】
一方、フルホットモードからコールドモードへ切り換わったときには、その切換えに伴い、上記とは逆に、冷風通路13の開度が全閉から全開に向かって増大する一方、温風通路14の開度が全開から全閉に向かって増大し、フルホットモードで温風のみが流れていたミックスチャンバ15に対する温風の流量が減少し、相対的に冷風の流量が増加して、そのミックスチャンバ15での冷風及び温風の混合割合が変化し、温調風の温度が降下する。そのときに、上記ミックスダンパ46の切換えにより、冷風通路13の開度が大きくなって冷風がミックスチャンバ15に流入し始めるのに伴い、温風通路14の一部の温風がミックスダンパ46の支持軸46aとその下側の隔壁9eとの間の隙間を通って冷風通路13に流れ、この部分でも温風と冷風との混合が生じようとする。しかし、上記調整リブ48により、上記ミックスダンパ46の支持軸46aとその下側のその下側の隔壁9eとの間の隙間の大きさを適正に調整することにより、その隙間を一部の温風が通って冷風通路13に流れるのを調整でき、ミックスチャンバ15での温調風の温度を滑らかに下げて、温度変化特性をリニアに変化させることができる。
【0078】
また、上部ケース9において冷風通路13の後側壁部を形成する部分とヒータコア収容部43の前側壁部との間には両者を接続するように整流部としての冷風ガイド部74が一体に形成され、この冷風ガイド部74は、冷風通路13を流れる冷風の流れ方向に沿うように配置されていて、上部ケース9におけるダクト装着部17前端の奥壁部の略下半部を覆っている。そして、仮に、この冷風ガイド部74がなくて、冷風通路13の後壁部がダクト装着部17前端の奥壁部自体によって形成されている場合には、冷風通路13を流れる冷風が、剥き出しになった異形形状(断面円弧状)の奥壁部により乱されて、乱流や風切り音の発生、通風抵抗の増大等が生じる。これに対し、冷風ガイド部74があると、その冷風ガイド部74により、ダクト装着部17前端の奥壁部の前側近傍(冷風通路13の後端部)を流れる冷風を整流してスムーズにしながらミックスチャンバ15に案内することができ、冷風通路13での冷風の乱流や風切り音の発生、通風抵抗を低減することができる。
【0079】
また、上記冷風ガイド部74ないしダクト装着部17前端の奥壁部は、エバポレータ37から出た冷風を冷風通路13と温風通路14とに略2分する分岐位置に配設されているので、そのダクト装着部17前端の奥壁部の位置を通過する空気流を、一方が冷風通路13の冷風のみとなり、他方が温風通路14の温風のみとなるように確実に2つに分けることができる。このため、例えば冷風通路(又は温風通路)がダクト装着部17前端の奥壁部の位置で2つに分かれるように形成された場合のように、その通路を流れる空気(冷風又は温風)の通風抵抗が大きくなることはなく、これら各通路での空気の流れがスムーズになり、冷風又は温風の温度分布が不均一になるのを防止できる。よって、冷風又は温風の温度分布の均一化を図ることができ、延いては各空調モードでの吹出し温度の調整が容易になる。
【0080】
空調モードがヒートモード(又はヒート・デフモード)にあるとき、図1に示すように、上記ヒートダンパ63が全開状態となり、その上側ダンパ部63b及び下側ダンパ部63cがヒートダクト部54におけるダクト本体54aないしリア分岐ダクト部54c内のヒート通路55の延びる方向に略平行に配置され、このヒートダンパ63の下側ダンパ部63cにより、ヒート通路55の上流側部が、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端側つまり下側に位置する第1通路55aと、下側ダンパ部63cに対し温風通路14下流端と反対側つまり上側に位置する第2通路55bとに上下方向に略2等分され、ヒートダンパ63の支持軸63aの位置の上側への片寄りにより、下側の第1通路55aの通路幅(特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅)が上側の第2通路55bの通路幅よりも大きくなる。このヒートダンパ63は、ヒート通路55の上流端(ミックスチャンバ15との境界部分)でかつ温風通路14の出口端近傍に配置され、このヒートダンパ63と、ヒートダクト部54のリア分岐ダクト部54c下端にあるリアヒート口58との間のダクト本体54aの左右側壁に、フロントヒート口57が開口するフロント分岐ダクト部54b,54bが分岐接続されているので、上記ヒートダンパ63の全開状態では、温風通路14からミックスチャンバ15に導入されようとする温風の一部が上記ヒートダンパ63の下側ダンパ部63c下面に当たってそれに案内されながら第1通路55aに流入し、この温風はミックスチャンバ15で冷風通路13からの冷風と殆ど混合されずに略温風のままで第1通路55aをヒートダンパ63の下側ダンパ部63cが向いているリア分岐ダクト部54c側に流れる。そして、この第1通路55aは通路幅(特に下側ダンパ部63c先端位置での通路幅)が第2通路55bよりも大きくて空気が流れ易いので、上記温風は第1通路55aを通路幅の狭くなることによる抵抗を受けることなくスムーズに流れ、その殆どがリア分岐ダクト54c内の分岐通路55dを経てリアヒート口58から吹き出され、該リアヒート口58に接続されているリアヒートダクトを介して後席の着座乗員の足元に送られる。
【0081】
一方、ミックスチャンバ15では、残りの温風と冷風とが混合されて、上記リア分岐ダクト部54c側に流れる温風よりも相対的に低温の温調風(これも温風である)が生成されるが、この温調風は上記ヒートダンパ63とその上側のケース8上部との間の第2通路55b(上記主としてリアヒート口58側に案内される温風に対しその背面側)を通ってリア分岐ダクト部54c側に向かって流れる。この第2通路55bは通路幅が第1通路55aよりも狭くて空気が流れ難いので、上記温調風は第2通路55bを抵抗を受けながら流れ、この抵抗により、その大半が途中でフロント分岐ダクト部54b,54b内の分岐通路55cに流入して各々の下流端のフロントヒート口57から吹き出され、該フロントヒート口57に接続されているフロントヒートダクトを介して前席の着座乗員の足元に送られる。
【0082】
こうして、フロントヒート口57から吹き出される温調風(温風)よりも相対的に高い温度の温風がリアヒート口58から吹き出されるので、そのリアヒート口58に接続されているリアヒートダクトの長さが、フロントヒート口57に接続されているフロントヒートダクトよりも長くて、そのリアヒートダクトの通過の際の熱ロスが大きい場合であっても、その熱ロスを補償するようにリアヒートダクトを高い温度の温風が流れることとなり、後席の着座乗員の足元に吹き出される温風の温度を比較的高温度に保って、後席の暖房性を向上することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、車両用空気調和装置のケース内の空気通路に、冷却用熱交換器を縦置きに配置する一方、この冷却用熱交換器の下流側に加熱用熱交換器を横置きに配置し、冷風及び温風の混合割合を変えるミックス手段は、加熱用熱交換器の下流側に配置し、加熱用熱交換器の略下側のケース底部に、冷却用熱交換器にて発生した凝縮水を排水させるドレン口を開口したことにより、車両の登坂時や降坂時等で車体の姿勢が傾いたり、或いは冷却用熱交換器にて発生した凝縮水が冷却用熱交換器から飛散したりしても、それら凝縮水を常に加熱用熱交換器の略下側のケース底部のドレン口からケース外に排出でき、凝縮水がケース内に溜まるのを防止して、車両用空気調和装置の信頼性、商品性の向上を図ることができる。
【0084】
請求項2の発明によると、加熱用熱交換器の略下側のケース底部は、一側部が冷却用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜する一方、他側部が加熱用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜したテーパ状の断面形状とし、このケース底部の最下端部にドレン口を開口したことにより、凝縮水の排出を確実に行って、車両用空気調和装置の信頼性、商品性のより一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の前後方向に沿った断面図である。
【図2】車両用空気調和装置の右側面図である。
【図3】車両用空気調和装置の左側面図である。
【図4】車両用空気調和装置を車両の前側から見て示す正面図である。
【図5】車両用空気調和装置を車両の後側から見て示す背面図である。
【図6】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図7】車両用空気調和装置の上部を示す斜視図である。
【図8】図1のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】コールドモードからホットモードへの切換時に温調風の吹出し温度特性を示す図である。
【図10】車両用空気調和装置が装着された車両のインストルメントパネルを示す斜視図である。
【符号の説明】
A 車両用空気調和装置
1 インストルメントパネル
8 ケース
9 上部ケース
9c 段部
9d リブ
9e 隔壁
10 下部ケース
10a 前側部(一側部)
10b 後側部(他側部)
10c 最下端部
11 ヒータコアカバーダクト
12 空気通路
13 冷風通路
14 温風通路
15 ミックスチャンバ
16 出口室
17 ダクト装着部
22 ファンハウジング
23 ブロワ(送風手段)
27 インテークボックス
28 外気導入口
29 内気導入口
37 エバポレータ(冷却用熱交換器)
43 ヒータコア収容部
44 ヒータコア
46 ミックスダンパ(ミックス手段)
46a 支持軸
46b,46c ダンパ部
48 調整リブ
51 デフロスタ口
52 ベント口
54 ヒートダクト部
54b フロント分岐ダクト部
54c リア分岐ダクト部
55 ヒート通路
55a 第1通路
55b 第2通路
55c,55d 分岐通路
57 フロントヒート口
58 リアヒート口
61 デフロスタダンパ(開閉ダンパ)
62 ベントダンパ(開閉ダンパ)
63 ヒートダンパ(開閉ダンパ)
63b 上側ダンパ部
63c 下側ダンパ部
68 ドレン口
71 温風バイパス通路
72 ガイドプレート
72a ガイド部
74 冷風ガイド部(整流部)
Claims (2)
- 空気導入口及び空気吹出口が開口されたケース内に、該空気導入口及び空気吹出口を接続する空気通路が設けられ、
上記空気通路に、空気導入口から空気を空気通路に吸い込んで空気吹出口から吹き出させる送風手段と、空気を冷却する冷却用熱交換器と、空気を加熱する加熱用熱交換器と、冷却用熱交換器を経由した冷風及び加熱用熱交換器を経由した温風の混合割合を変えるミックス手段とが配置された車両用空気調和装置において、
上記冷却用熱交換器は略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている一方、
上記加熱用熱交換器は、上記冷却用熱交換器の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されており、
上記ミックス手段は、加熱用熱交換器の下流側に配置され、
上記加熱用熱交換器の略下側のケース底部に、上記冷却用熱交換器で発生した凝縮水をケース外に排出するドレン口が開口されていることを特徴とする車両用空気調和装置。 - 請求項1の車両用空気調和装置において、
加熱用熱交換器の略下側のケース底部は、一側部が冷却用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜する一方、他側部が加熱用熱交換器に向かって上側に向かうように傾斜していて、上側に向かってテーパ状に拡開する断面形状とされ、
上記ケース底部の最下端部にドレン口が開口されていることを特徴とする車両用空気調和装置。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008155893A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Mazda Motor Corp | 車両用空調装置 |
JP2010047045A (ja) * | 2008-08-19 | 2010-03-04 | Japan Climate Systems Corp | 車両用空調装置 |
KR101748205B1 (ko) * | 2011-11-24 | 2017-06-16 | 한온시스템 주식회사 | 차량용 공조장치 |
WO2024042985A1 (ja) * | 2022-08-24 | 2024-02-29 | サンデン株式会社 | 車両用空調装置 |
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2003
- 2003-02-21 JP JP2003045056A patent/JP2004249947A/ja active Pending
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