JP2004249322A - ワイヤ曲げ方法と装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤを直線状に矯正する際に生じる残留歪を考慮して、ワイヤの曲げ加工を高精度でかつ効率よく行えるワイヤ曲げ方法と装置を提供すること。
【解決手段】ワイヤ曲げ装置M1は、第1の曲げ工程(#2)で、ワイヤ10Aの片側半分の曲げ加工を行い、第2の曲げ工程(#3)で、残りの半分の曲げ加工を行う。第1の曲げ工程(#2)において、第1ワイヤ把持部4で直線状のワイヤ10Aの中央直線部17を把持した後、第1ワイヤベンド部5でワイヤ10Aの一方を屈曲させて一次屈曲ワイヤ10Bを形成する。一次屈曲ワイヤ10Bを第2の曲げ工程(#3)に搬送した後、第2の曲げ工程(#3)において、第2ワイヤ把持部6で一次屈曲ワイヤ10Bを把持し、第2ワイヤベンド部7でワイヤ10Bの他方を屈曲して製品ワイヤ10を形成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状の金属を所定の形状に屈曲させる曲げ方法と装置に関し、特に車両用のシート内に配置されるワイヤの曲げ方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ワイヤやパイプ等の線状金属の曲げ加工を行う場合、CNCフォーミング機が使用されていた。CNCフォーミング機は、コンピュータ制御で予め入力されたデータに基づいて自動的に曲げ成形されるように構成されていた。特に、図8に示すように、材料Wの中央部をグリップ部61で把持して固定し、その両側に配置された2個のベンド部62R・62Lで同時に曲げ加工を行うデュアルベンダータイプが広く使用されている。このデュアルベンダータイプのCNCフォーミング機は、左右のベンド部62R・62Lで同時に加工できることから、材料Wを左右対称に形成された製品に加工する場合にはきわめて生産性を高くすることができる。又、非対称に形成された製品を加工する場合でも、左右のベンド部62R・62Lで交互に曲げながら、都度、材料の回転角度を制御することで、複雑な形状の製品を加工する場合でも容易に対応することができる。
【0003】
又、従来の別の形態のワイヤ曲げ装置は、ワイヤの曲げ工程を第1ワイヤ曲げ工程と第2ワイヤ曲げ工程との2工程に分割して並設して配置し、中央部を間にして一方の側の曲げ加工と他方の側の曲げ加工をそれぞれのワイヤ曲げ工程で順に曲げ加工を行うようにしたものがある。このタイプのワイヤ曲げ装置では、汎用ロボットに、ワイヤの把持と軸方向に回転を行う装置を備えたハンドを取り付け、ワイヤを把持した状態で、ワイヤベンド部側にワイヤを移動しつつ、第1ワイヤ曲げ工程と第2ワイヤ曲げ工程とを移動して、所定の形状となるようにそれぞれのワイヤベンド部でワイヤの曲げ加工を行っていた(実開平5−65440号公報参照)。
【0004】
一方、加工される材料がワイヤWの場合、ワイヤWは工場出荷時の荷姿がコイル状になっているため、所定の寸法に切断する際、巻癖が付いていることから、一般的には切断を行う直前に直線機に通して矯正する作業を行う。しかし、この直線機でワイヤWを矯正する際に、ワイヤWを直線状に矯正することはできるものの、矯正作業においてワイヤWに捩れが生じてワイヤW内部に螺旋状の残留歪が残ってしまう。この残留歪は、ワイヤ曲げ加工を行う際に、曲げ方向に対して直交する方向に捩れを生じさせることになり、特にグリップ部61に対して両側を同時に曲げると、図9に示すように、ワイヤWの両屈曲部W1・W1が同一平面上に対して捩れ変化して高さずれを起こすという形状変化となって現れてしまう。さらにワイヤWに対して加熱処理を行うと、加熱処理によるワイヤ全体の捩れが加わり、最終的に期待した形状にならないことから、従来のデュアルベンダータイプのCNCフォーミング機では、予め形状変化分を見越して曲げ加工を行っていた。
【0005】
【特許文献】
実開平5−65440号公報(図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱処理を行うワイヤWあるいは熱処理を行わないワイヤWのいずれにおいても両屈曲部W1・W1の捩れ変化による形状変化は、捩れに起因して現れることから、従来のデュアルベンダータイプのCNCフォーミング機では、左右対称の製品であっても、予め形状変化分を見越して曲げ加工するため、左右非対称と同じことになり2個のベンド部62R・62Lによる同時曲げ加工ができないこととなって、製品精度は確保できるものの生産性が低下することとなる。従って、精度の高い製品を製作する場合では、デュアルベンダーの性能を充分発揮できずにコストの高い製品となっていた。
【0007】
さらに、実開平5−65440号公報によるワイヤ曲げ装置では、ロボットがワイヤを把持してワイヤベンド部側に移動することから、第1ワイヤ曲げ工程と第2ワイヤ曲げ工程に分割されていても、ワイヤを把持したロボットが第1工程から第2工程に進むこととなって、ロボットの移動にかかるすべての時間でワイヤの曲げ加工が行われて、加工時間が長くなり生産性が低下することとなっていた。
【0008】
又、デュアルベンダータイプは、グリップ部61を中心にして両側にベンド部62R・62Lが一対配置されていることから、ベンド部62R・62Lがグリップ部61に最も近づいた場合でも、グリップ部61とベンド部62R・62Lの物理的な大きさからグリップ部61で把持した部分を含むその両側の一定区間、ワイヤの曲げ加工が行えないという制約が生じる。そのため、グリップ部61で把持されるワイヤWの中央の直線部位が幅狭に形成されているものは、曲げ加工が行えない場合があった。この場合、グリップ部61及びベンド部62R・62Lを小型化することが考えられるが、グリップ部61及びベンド部62R・62Lを小型にすることにより加工能力と設備強度の不足を生じることとなって、曲げ加工そのものを行えなくなる等の不具合を生じる欠点があった。
【0009】
さらに、例えば、自動車用シートのウレタンフォームにインサートするワイヤWの多くは、ワイヤWがシートから飛び出さないように、ワイヤWの端末をループ状に丸めて形成したり、又ワイヤWの中間部にV字部を形成したりする。この場合、デュアルベンダーで加工することが難しく、通常、デュアルベンダーで曲げ加工を行った後、別の機械で加工することから、極めてコストを高くしていた。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、加工の際に生じる捩れ量を予め見越した高精度のワイヤ曲げ加工と高い生産性を両立できるワイヤの曲げ方法と装置を提供するものであり、又、ワイヤ中央部が幅狭に形成されたワイヤであっても曲げ加工を行うことができるとともに、ワイヤ端末処理や、中間部位のV字加工を1装置内で行うことができるワイヤの曲げ方法と装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るワイヤ曲げ方法と装置では上記の課題を解決するために以下のようにするものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、ワイヤ把持部とワイヤベンド部とを備えて、前記ワイヤ把持部で予め直線状に切断したワイヤの中央部を把持するとともに、把持されたワイヤを端末から中央部までのワイヤ曲げ加工を行うワイヤ曲げ方法であって、
ワイヤの曲げ加工を、ワイヤの中央部を間にして片側づつ曲げ加工される第1のワイヤ曲げ工程と第2のワイヤ曲げ工程とに分割してそれぞれ並設して配置するとともに、前記第1のワイヤ曲げ工程で曲げ加工されたワイヤは順次第2のワイヤ曲げ工程に搬送され、
それぞれのワイヤ曲げ工程には、曲げ加工を行う都度、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持するワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能に配置するとともにワイヤを屈曲するワイヤベンド部とを備え、
前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工と前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工とが、相互に影響することなく所定のタイミングで加工できるように制御されて連続的に加工されることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項2記載の発明では、ワイヤを把持するワイヤ把持部と、ワイヤを屈曲するワイヤベンド部とを備え、前記ワイヤ把持部でワイヤの中央部を把持するとともに、把持されたワイヤを端末から中央部までワイヤの曲げ加工を行うワイヤ曲げ装置であって、
機台内に第1のワイヤ曲げ工程と第2のワイヤ曲げ工程とが、ワイヤの軸心に対して直交する方向に並設して配置され、
第1のワイヤ曲げ工程は、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持する第1ワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能な第1ワイヤベンド部を備えてワイヤの一方の側を端末から中央部までの曲げ加工を行うように構成され、
前記第2のワイヤ曲げ工程は、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持する第2ワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能な第2ワイヤベンド部を備えてワイヤの他方の側の曲げ加工を行うように構成され、
前記第1のワイヤ曲げ工程で曲げ加工が行われたワイヤを前記第2のワイヤ曲げ工程に搬送する搬送手段を備えて構成され、
前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工と前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ工程とを、相互に影響することなく所定のタイミングで加工するように制御する制御装置とを、有して構成されることを特徴とするものである。
【0013】
又、請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明に基づくものであって、前記第1ワイヤ把持部と前記第2ワイヤ把持部とは、前記第1ワイヤ把持部が前記第2のワイヤベンド部に接近する方向に配置され、前記第2ワイヤ把持部が前記第1ワイヤベンド部に接近する方向に配置されて、相互に離れる方向にずれた位置で配置されていればよい。
【0014】
さらに、請求項4記載の発明では、請求項2又は3記載の発明の構成であって、前記第1のワイヤ曲げ工程の前工程として、ワイヤの端末をループ状に形成するワイヤ端末ループ加工工程を、前記第1のワイヤ曲げ工程を間にして前記第2のワイヤ曲げ工程と対する側に並設するように配置するとともに、前記ワイヤ端末ループ加工工程を終えたワイヤは搬送手段によって前記第1のワイヤ曲げ工程に搬送され、
前記ワイヤ端末ループ加工工程は、ワイヤのほぼ中心部を把持する位置に、ワイヤをその軸心方向に回動可能とするワイヤ把持部を配置し、ワイヤの軸心に沿って移動可能でワイヤ端末部をループ状に加工するワイヤループ加工部をそれぞれワイヤの端末付近に一対備えて、ワイヤの端末部位のループ加工を交互にタイミングをずらして行えるように構成され、
前記ワイヤの端末ループ加工工程におけるワイヤループ加工と、前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工及び前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工とが予め設定された手順に沿って制御されていればよい。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、このワイヤ曲げ方法は、並設して配置する第1のワイヤ曲げ工程と第2のワイヤ曲げ工程とに分割して、それぞれワイヤの一方の端末から中央部までの曲げ加工を行うようにするとともに、曲げ加工する都度、ワイヤを軸心に対して回動可能に構成していることから、ワイヤの残留歪によって生じる曲げ加工後のワイヤの軸方向に対する捩れ量を事前に予測し、それを見込んで、ワイヤを軸心に対して回動させた後、曲げることによって、期待した形状に近い高精度のワイヤを提供することができる。
【0016】
しかも、第1のワイヤ曲げ工程で加工されたワイヤを搬送手段によって第2のワイヤ曲げ工程に送ることによって連続的な加工を行うことができ、又、第1のワイヤ曲げ工程における次のワイヤの一方の側のワイヤ曲げ加工と、第2のワイヤ曲げ工程における前のワイヤの他方の側のワイヤ曲げ加工とを、お互いに影響を受けることなく、それぞれが最も効率のよいタイミングで行うことができることから、結果的には、ワイヤの一方の側と他方の側との加工をほぼ同時加工で行うこととなって、生産性を向上することができコスト低減を達成することができる。
【0017】
又、請求項2記載の発明によれば、このワイヤ曲げ装置は、第1のワイヤ曲げ工程に搬送された直線状のワイヤを、第1ワイヤ把持部によってその中央部位を把持すると、ワイヤの一方の側を第1ワイヤベンド部が所定の位置に移動してワイヤの曲げ加工を行う。この際、第1のワイヤ曲げ工程で複数の曲げ加工を行う場合には、曲げ加工する都度、第1ワイヤ把持部でワイヤを所定角度回転し、第1ワイヤベンド部を所定の位置に移動して曲げ加工を行う。
【0018】
この状態で搬送手段によって第2のワイヤ曲げ工程に搬送する。第2のワイヤ曲げ工程に搬送されたワイヤを第2ワイヤ把持部で把持すると、第2ワイヤ把持部がワイヤをワイヤの軸心に対して所定角度分回転し、その状態で第2ワイヤベンド部が、第1の曲げ工程で屈曲した側の反対側の部位においてワイヤの曲げ加工を行う。この第2のワイヤ曲げ工程においても複数の曲げ加工を行う場合には、曲げ加工する都度、第2ワイヤ把持部でワイヤを所定角度回転させた後、曲げ加工を行うこととなる。
【0019】
これによって、内部に残留歪を有するワイヤを曲げ加工する際に、それぞれの曲げ加工後のワイヤ軸方向に対する捩れ量を予め見込んで、それぞれのワイヤベンドで曲げ加工する前にワイヤの軸心に対する角度調整を加えることによって、期待した形状に近い高精度のワイヤを提供することができる。
【0020】
しかも、第1のワイヤ曲げ工程で加工されたワイヤを搬送手段によって第2のワイヤ曲げ工程に送ることによって連続的な加工を行うことができ、又、第1のワイヤ曲げ工程における次のワイヤの一方の側のワイヤ曲げ加工と、第2のワイヤ曲げ工程における前のワイヤの他方の側のワイヤ曲げ加工とを、お互いに影響を受けることなく、それぞれが最も効率のよいタイミングで行うことができることから、結果的には、ワイヤの一方の側と他方の側との加工をほぼ同時加工で行うこととなって、請求項1の発明と同様、生産性を向上することができコスト低減を達成することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、第1のワイヤ曲げ工程において、第1ワイヤ把持部は第2ワイヤベンド部に接近する方向にずれるように配置され、第2のワイヤ曲げ工程において、第2ワイヤ把持部は第1ワイヤベンド部に接近する方向にずれるように配置されていれば、第1ワイヤベンド部と第2ワイヤベンド部のそれぞれが、よりワイヤの中央部に近づくことになり、第1ワイヤ把持部と第2ワイヤ把持部の配置を最適化することでワイヤの曲げ加工できない直線区間を、ワイヤベンド部の曲げ加工中心部からワイヤ把持部側の端部までの距離だけ短くすることができる。従って、ワイヤ把持部で把持される中央部位の直線区間の長さが幅狭に形成されたワイヤであっても、本発明による装置では曲げ加工を行うことができる。
【0022】
又、請求項4記載の発明によれば、第1のワイヤ曲げ工程を行う前に、ワイヤ端末ループ加工工程において、ワイヤの両端末をループ状に加工するワイヤ端末ループ加工を行う。ワイヤ端末ループ加工工程に搬送されたワイヤを中央部位においてワイヤ把持部で把持した後、ワイヤの両端部付近の位置に配置された一対のワイヤベンド部で両端末を、交互にタイミングをずらしてループ状に加工する。この際、一方の端末をループ状に加工した後、ワイヤ端末ループ加工工程におけるワイヤ把持部でワイヤを所定角度回転させた後、他方の端末をループ状に加工することによって、両端のループ部の水平面の角度差を意図的に付けて加工することができる。これは、後工程の第1ワイヤ曲げ工程、第2ワイヤ曲げ工程での曲げ加工の形状によっては、この工程でのループ部の水平面が、必ずしも同一平面にはならないためである。その後、搬送手段によって第1のワイヤ曲げ工程に搬送される。
【0023】
第1のワイヤ曲げ工程に搬送された両端を除く直線状のワイヤを、第1ワイヤ把持部によってその中央部位を把持すると、一方の側を第1ワイヤベンド部が所定の位置に移動し、ワイヤの曲げ加工を行う。この際、第1のワイヤ曲げ工程で複数の曲げ加工を行う場合には、曲げ加工する都度、第1ワイヤ把持部でワイヤを所定角度回転し、第1ワイヤベンド部を所定の位置に移動して曲げ加工を行う。
【0024】
この状態で搬送手段によって第2のワイヤ曲げ工程に搬送される。第2のワイヤ曲げ工程に搬送されたワイヤは、第2ワイヤ把持部で把持されると、第2ワイヤ把持部がワイヤをワイヤの軸心に対して所定角度分回動し、その状態で第2ワイヤベンド部が、第1のワイヤ曲げ工程で屈曲した側の反対側の部位にワイヤの曲げ加工を行う。
【0025】
ワイヤ端末ループ加工工程と、第1のワイヤ曲げ工程及び第2のワイヤ曲げ工程とは、制御装置によって、予め設定された手順によって行われることから、ワイヤ端末ループ加工工程で加工される両端末ループ加工と、第1のワイヤ曲げ工程における曲げ加工及び第2のワイヤ曲げ工程における曲げ加工とは、ほぼ同時に曲げ加工を開始することができることとなって、生産性を向上することができる。
【0026】
これによって、両端末部をループ状に形成したワイヤを、1装置内で製作することができ、コストを低減するとともに生産性を向上することができる。しかも、内部に残留歪を有するワイヤであっても、それぞれの曲げ加工後のワイヤ軸方向に対する捩れ量を予測しこれを見込んで曲げ加工を行う前に、ワイヤの軸心に対する角度調整を加えることによって、屈曲された製品ワイヤを期待した形状に近づけることができ高精度のワイヤを提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
第1の形態のワイヤ曲げ装置M1は、図1に示すように、前工程で所定の長さに切断された直線状のワイヤ10A(以下、ワイヤ10Aという。)の長さを測定する測長工程(#1)を経た後、機枠1内に配置された第1の曲げ工程(#2)と第2の曲げ工程(#3)とを経て曲げ加工することによって、屈曲された製品ワイヤ10を形成するように構成されている。
【0029】
製品ワイヤ10は、この形態においては、ワイヤ10の中心部から左右対称に3箇所の曲げ部と、曲げ部によって分割された3箇所の屈曲直線部を有し、曲げ部は、端末から順に、第1曲げ部11R・11L、第2曲げ部12R・12L、第3曲げ部13R・13Lとし、屈曲直線部は、端末から順に第1屈曲直線部14R・14L、第2屈曲直線部15R・15L、第3屈曲直線部16R・16Lとし、左右対称の第3曲げ部13Rと第3曲げ部13L間に形成される直線部を中央直線部17とする。
【0030】
なお、以下の説明では、図1に示す製品ワイヤ10において、中央直線部17に対して右側(図中、上部)の端末から第3屈曲直線部16Rまで合わせて右側屈曲部18Rといい、中央直線部17に対して左側(図中、下部)の端末から第3屈曲直線部16Lまで合わせて左側屈曲部18Lという。さらに、第1の曲げ工程(#2)で右側屈曲直線部18Rを形成したワイヤを一次屈曲ワイヤ10Bという。そして、第2の曲げ工程(#3)の左側屈曲直線部16Lを加工したワイヤが製品ワイヤ10として形成されることとなる。
【0031】
なお、図5中、測長工程(#1)では図1の保持部材3を示し、第1の曲げ工程(#2)では図1のワイヤ把持部4を示し、第2の曲げ工程(#3)では図1のワイヤベンド部7を示している。
【0032】
測長工程(#1)には、ワイヤ10Aの両端を両側から押して位置決めと長さの測定を同時に行う位置決め部材2R・2Lが、ワイヤ10Aの軸線に沿って移動可能に配置され、ワイヤ10Aの中央部においては、ワイヤ10Aを保持する保持部材3が配置されている。この際ワイヤ10Aが所定の長さ以外のものは不良品として排出するように構成される。
【0033】
第1の曲げ工程(#2)には、ワイヤ10Aの中央部位(中央直線部17)を把持する第1ワイヤ把持部4と、ワイヤ10Aの長手方向に並設するとともに右側屈曲部18R(一次側屈曲ワイヤ10B)を形成するための第1ワイヤベンド部5とを備え、第2の曲げ工程(#3)には、第1の曲げ工程(#2)で曲げ加工された一次屈曲ワイヤ10Bの中央直線部17を把持する第2ワイヤ把持部6と、左側屈曲部18Lを形成するための第2ワイヤベンド部7とを備えて構成されている。
【0034】
第1ワイヤ把持部4及び第2ワイヤ把持部6は、図2に示すように、固定部21aと可動部21cとを備えてワイヤ10A(又は10B)を把持するグリップ体21と、グリップ体21を支持して回転させる回転体24と、回転体24を支持しながら回動可能に駆動する回転駆動部25とを備えて構成されている。
【0035】
グリップ体21は、ワイヤ10A(又は10B)を把持可能に形成していれば、特に限定するものではないが、実施形態においては可動部21cをシリンダ21bで固定部21aに対して接近離隔する方向に移動するように構成している。又、回転体24と回転体24を駆動する回転駆動部25は、ワイヤ10A(又は10B)の軸心を回転軸にして回動可能に構成するものであれば、特に限定するものではないが、実施形態においては、次のように構成されている。
【0036】
すなわち、回転体24は円板状に形成され、円周面の一部から軸心方向に沿ってU字状のスリット24aを形成して、ワイヤ10A(又は10B)を軸心部に導くように構成している。さらに、回転駆動部25は、回転量を制御可能に構成する制御モータを駆動源として、複数に歯合されたギヤを回転させることによって回転体24を回転するように構成している。
【0037】
第1ワイヤベンド部5及び第2ワイヤベンド部7は、図1に示すように、直線状のワイヤ10A(又は一次屈曲ワイヤ10B)の長手方向に沿って移動可能に配置され、それぞれ左右対称に形成されている。その構成は、図3に示すように、回転台31に支持されて上方に突出するセンタピン32と、回転台31の上面においてセンタピン32と所定の間隔を有して配置されるとともにセンタピン32にワイヤ10A(又は10B)を巻き付けながらセンタピン32を中心軸としてその周りを回転する可動ローラ33と、ワイヤ10A(又は10B)を把持するグリップ部34と、を備えて構成されている。
【0038】
なお、実施形態における回転台31は、回転量を制御可能な図示しない制御モータを動力源としてベルト・プーリー部を介して回動可能に構成されている。又、グリップ部34はワイヤ10A(又は10B)を把持可能に形成するものであれば特に限定するものではないが、実施形態においては、可動部34cをシリンダ34bで固定部34aに対して接近離隔する方向に移動可能に構成している。
【0039】
さらに、第1ワイヤベンド部5及び第2ワイヤベンド部7は、それぞれの曲げ工程において複数の曲げ加工を行うために、それぞれ第1ワイヤ把持部4あるいは第2ワイヤ把持部6に対して接近したり離隔したりする方向に移動可能に配置されていて、それぞれ駆動装置によって速やかに停止位置に停止可能に駆動される。この駆動装置の構成は特に限定するものではないが、実施形態では、回転量を制御可能な制御モータを動力源としてベルト・プーリー部を介してボールねじを回転し、各ワイヤベンド部を移動するように構成されている。これ以外にラックピニオン機構やシリンダ機構を採用してもよい。
【0040】
又、図1に示すように、第1の曲げ工程(#2)において、第1ワイヤベンド部5が第1ワイヤ把持部4に最接近した状態で、第1ワイヤベンド部5のセンタピン32の中心位置32aと、第2の曲げ工程(#3)に配置されている第2ワイヤ把持部6における第2ワイヤベンド部6と反対側の端面の位置6aと、を結ぶ線が、ワイヤ10Aの軸心と直交するように、第1ワイヤ把持部4と第2ワイヤ把持部6とを配置することによって、ワイヤ把持部4・6をセンタオフセットとすることができ、ワイヤ10の中央直線部17を可能な限り短く形成することができる。実施形態においては、第1ワイヤ把持部4と第2ワイヤ把持部6とは、ワイヤ10の搬送方向に沿って、ワイヤ曲げ装置M1の中心線Lに対して等距離にお互い離れる位置で配置されている。
【0041】
なお、測長工程では、図5に示すように、切断した直線状のワイヤ10Aをストックするワイヤストッカ40からワイヤ搬送体41によって1本ごと把持されながら測長工程(#1)に搬送され、測長工程(#1)から第2ワイヤ搬送体42によって第1の曲げ工程(#2)に搬送され、第1の曲げ工程(#2)形成されたワイヤ10Bは、第3のワイヤ搬送体43によって第2の曲げ工程(#3)に搬送され、第2の曲げ工程(#3)によって形成された製品ワイヤ10は、第4のワイヤ搬送体44によってシューター45から図示しない製品ストッカに搬送される。
【0042】
なお、上記の各部位の作用を予め設定された手順にしたがって順次指令する図示しない制御装置が、機枠内に配置されている。
【0043】
次に上記のように構成されたワイヤ曲げ装置M1の作用を図1〜4に基づいて説明する。
【0044】
上記のように構成されたワイヤ曲げ装置M1は、ワイヤストッカ40に収納された多数の直線状のワイヤ10Aの1本を、第1ワイヤ搬送体41で把持して測長工程(#1)に搬送する。測長工程(#1)では、搬送されたワイヤ10Aの中央部でワイヤ10Aを保持部材3で保持するとともに、ワイヤ10Aの両端を位置決め部材2R・2Lで位置決めしてワイヤ10Aの長さを測長する。ワイヤ10Aの長さが設定された長さ以外のものは不良品として設備を自動停止し、良品を第2の搬送体42により第1の曲げ工程(#2)に搬送する。
【0045】
第1の曲げ工程(#2)に搬送された直線状のワイヤ10Aは、図1に示すように、直線状のワイヤ10Aの中央部位(中央直線部17となる部位)をグリップ体21により第1ワイヤ把持部4で把持すると、第1ワイヤベンド部5がワイヤ10Aの右端末側から屈曲部18Rを形成するように作動し、屈曲の都度、第1ワイヤ把持部4はワイヤ10Aを軸心方向に沿って所定量回転する。
【0046】
詳細に説明すると、第1ワイヤベンド部5は、まず、ワイヤ10Aの第1曲げ部11Rの曲げ加工を行うために、ワイヤ10Aの右側の所定位置に移動し停止する。グリップ部34がワイヤ10Aを把持すると、センタピン32の外周面に当接されたワイヤ10Aを、第1ワイヤベンド部5の可動ローラ33がセンタピン32の周りに巻き付けながら所定角度回転し屈曲する。屈曲後、可動ローラ33は元の位置に戻る。そして、グリップ部34はワイや10Aを開放する。この間の制御は図示しない制御装置の指令によって行われる。
【0047】
第1曲げ部11Rが屈曲されると、第1ワイヤベンド部5は第2曲げ部12Rを屈曲するために中央方向に移動して所定位置で停止する。第1ワイヤ把持部4はグリップ体21でワイヤ10Aを把持した状態で、前工程での曲げに対して設計的角度差分を回転させる。この際、ワイヤ10Aの曲げ加工を行う前の直線カット時に生じた捩れ方向の歪に起因する屈曲部の屈曲直後の捩れ変化量、あるいは、後工程で熱処理がある場合はそれによって生じる捩れ変化量、をそれぞれ見込んで回転角度を決定する。第1ワイヤ把持部4の回転体24を回転する手段としては、回転駆動部25のモータを駆動させて複数の歯合されたギヤを回転させることによって行われる。続いて、第1ワイヤベンド部5の可動ローラ33を、第1曲げ部11Rと同様の手順で作動させ、第2曲げ部12Rを屈曲する。
【0048】
次に、第2曲げ部12Rが屈曲されると、第1ワイヤベンド部5が第3曲げ部13Rを屈曲するためにさらに中央方向に移動して所定位置で停止する。そして、第2曲げ部12Rの曲げ加工と同様の手順で曲げ加工を行う。これによって、直線状のワイヤ10Aは、第1の曲げ工程(#2)を終了した一次屈曲ワイヤ10Bとして形成されることとなる。
【0049】
第1の曲げ工程(#2)で形成されたワイヤ10Bは、第3のワイヤ搬送体43で第2の曲げ工程(#3)に搬送される。ワイヤ10Bが搬送される際、ワイヤ10Bの軸心を基準とする回転ずれが生じないように、第2搬送体42の把持部が第1ワイヤ把持部4付近でワイヤ10Bを把持した後で、第1ワイヤ把持部4のグリップ体21がワイヤ10Bを開放し、搬送後、第2ワイヤ把持部6のグリップ体21がワイヤ10Bを把持すると、第2搬送体42の把持部がワイヤ10Bを開放するように作用される。ほぼ同時に、第1の曲げ工程(#2)には、第2ワイヤ搬送体42によって直線状のワイヤ10Aが搬送される。
【0050】
第2の曲げ工程(#3)では、第2ワイヤベンド部7が、第1の曲げ工程(#2)の第1ワイヤベンド部5に対して、第2ワイヤ把持部6を基準に反対側に配置されていることから、第2の曲げ工程(#3)に搬送されたワイヤ10Bは、その中央直線部17を第2ワイヤ把持部6のグリップ体21で把持すると、第2ワイヤベンド部7がワイヤ10Bの左側屈曲部18Lを端末側から屈曲するように作動し、屈曲の都度、第2ワイヤ把持部6でワイヤ10Bを軸心方向に沿って所定量回転する。
【0051】
詳細に説明すると、第2ワイヤベンド部7は、まず、ワイヤ10Bの第1曲げ部11Lの曲げ加工を行うために、ワイヤ10Bの左側の所定位置に移動し停止する。第2ワイヤ把持部6はグリップ体21でワイヤ10Bを把持した状態で、前工程の曲げに対して設計的角度差分を回転させる。この際、ワイヤ10Aの直線カット時に生じた捩れ方向の歪に起因する屈曲部の屈曲直線の捩れ変化量、あるいは、後工程で熱処理がある場合には、それによって生じる捩れ変化量、をそれぞれ見込んで回転角度を決定する。第2ワイヤ把持部6で回転体24を回転する手段は、第1ワイヤ把持部4と同様である。続いて、第2ワイヤベンド部7で第1曲げ部11Lの曲げ加工を行うこととなるが、その作用は第1ワイヤベンド部5で第1曲げ部11Rの曲げ加工を行う手順と同様である。
【0052】
第1曲げ部11Lが屈曲されると、第2ワイヤベンド部7は第2曲げ部12Lを屈曲するために、中央部に移動して所定位置で停止する。第1曲げ部11Lの曲げ加工と同様の手順で、第2曲げ部12Lの曲げ加工を行う。続いて、第2ワイヤベンド部7は第3曲げ部13Lの曲げ加工を行うために、さらに中央方向に移動して所定位置で停止し、同様の手順で曲げ加工を行う。これらの曲げ加工を行う前には、第1の曲げ工程(#2)で行ったように、前工程での曲げに対して設計的角度差分を回転させることとなる。これによって、右側屈曲部18Rが屈曲された1次屈曲ワイヤ10Bは、左側屈曲部18Lが屈曲されて製品ワイヤ10として形成される。
【0053】
第2の曲げ工程(#3)が終了した製品ワイヤ10は、第4の搬送体44によって、シューター45から図示しない製品ストッカに搬送され、ほぼ同時に、第2の曲げ工程(#3)には第3ワイヤ搬送体43によって、ワイヤ10Bが搬送される。
【0054】
なお、ワイヤストッカ40に収容された多数の直線状に形成されたワイヤ10Aの1本を、製品であるワイヤ10に加工して、製品ストッカに排出されるまでの一連の動きは、図示しない制御装置からの指令によって並行に行われる。
【0055】
上記のように、実施形態のワイヤ曲げ加工装置M1では、曲げ工程を第1の曲げ工程(#2)と第2の曲げ工程(#3)とに分割して配置するとともに、各曲げ工程でワイヤの屈曲を行う都度、ワイヤ10Aの直線状にカットする際に生じる捩れ方向の歪に起因する屈曲部の屈曲後の捩れ変化量、及び、後工程で熱処理がある場合には、それによって生じる捩れ変化量、をそれぞれ見込んで、ワイヤ10A、及び10Bの回転角度を決定することができることから寸法精度の高いワイヤ10を提供することができる。
【0056】
又、ワイヤストッカ40から直線状のワイヤ10Aを第1の曲げ工程(#2)に搬送する工程、第1の曲げ工程(#2)から第2の曲げ工程(#3)に搬送する工程、第2の曲げ工程(#3)から製品ストッカに搬送する工程は、順次連続的に行われるとともに、第1の曲げ工程(#2)におけるワイヤ10Aの曲げ加工と第2の曲げ工程(#3)におけるワイヤ10Bの曲げ加工は、制御装置によってほぼ同じタイミングで行われることから、1本のワイヤを2個のワイヤベンド部5・7で同時加工することと同じとなり、高い生産性を実現することができる。
【0057】
なお、第1ワイヤ把持部4と第2ワイヤ把持部6とが、ワイヤ10Aの中心に対して離れ、それぞれ前者が第2ワイヤベンド部7、後者が第1ワイヤベンド部5にそれぞれ接近する方向に配置されていることから、製品ワイヤ10における中央直線部17の幅寸法が狭く形成されているものであっても、曲げ加工を可能とする。
【0058】
次に、第2の形態のワイヤ曲げ加工装置M2について図5〜7に基づいて説明する。この形態におけるワイヤ曲げ装置M2では、製品ワイヤ20は、両端にループ部50R・50Lを形成するものであり、図5〜6に示すように、第1の形態における測長工程(#1)に、ワイヤの両端をループ状に加工するループ加工部を加えて、新たなループ加工工程(#1A)とするものである。従って、ワイヤストッカ40から直線状のワイヤ20Aが機枠1内に配置されたループ加工工程(#1A)に搬送され、順次、第1曲げ工程(#2)、第2曲げ工程(#3)を経て製品ワイヤ20となりシューター45から製品ストッカに搬送される。
【0059】
なお、以下の説明においては、第1の形態と同様の部位に関しては同符号を付記するものとするものであり、又、図6中、ループ加工工程(#1A)ではワイヤループ加工部9R(又は9L)を示し、第1の曲げ工程(#2)ではワイヤ把持部4を示し、第2の曲げ工程(#3)ではワイヤベンド部7を示している。
【0060】
そして、製品ワイヤ20は、この形態においては、中心部から左右対称に3箇所曲げ部と、曲げ部によって分割された3箇所の屈曲直線部を有し、さらに両端末がループ状に加工された形状となっている。端末部をループ部50R・50L、曲げ部は端末側から順に第1曲げ部51R・51L、第2曲げ部52R・52L、第3曲げ部53R・53Lとし、屈曲直線部は端末側から順に第1屈曲直線部54R・54L、第2屈曲直線部55R・55L、第3屈曲直線部56R・56Lとし、左右対称の第3曲げ部53Rと第3曲げ部53L間に形成される直線部を中央直線部57とする。
【0061】
なお、以下の説明では、中央直線部57に対して右側の端末から第3屈曲直線部56Rまでを合わせて右側屈曲部58Rといい、中央直線部57に対して左側の端末から第3屈曲直線部56Lまでを合わせて左側屈曲部58Lという。さらに、直線状のワイヤ20Aにループ部50R・50Lを形成したワイヤを1次屈曲ワイヤ20Bとし、第1の曲げ工程(#2)で右側屈曲部58Rを形成したワイヤを二次屈曲ワイヤ20Cという。そして、第2の曲げ加工(#3)左側屈曲部56Lを加工したワイヤが製品ワイヤ20として形成されることとなる。
【0062】
ループ加工工程(#1A)には、直線状のワイヤ20Aの中央直線部57を把持するワイヤ把持部8と、ワイヤ把持部8の両側に配置されるワイヤループ加工部9R・9Lとを備えている。
【0063】
ワイヤ把持部8は、第1の形態の第1ワイヤ把持部4及び第2ワイヤ把持部6と同様の構造となっている。なお、直線状のワイヤ20Aを把持し、軸方向に回動することができる構成であれば、これに限定するものではない。
【0064】
ワイヤループ加工部9R・9Lは、ワイヤ20Aのそれぞれの端部をループ状に形成するために、ワイヤ20Aの長さに合わせて配置され、第1の形態の第1ワイヤベンド部5及び第2ワイヤベンド部7と同様に、図7に示すように、センタピン92と、センタピン92の周りを回転する可動ローラ93とを備えている。可動ローラ93は、シリンダ97を動力源とし、シリンダ97で移動するラック98とラック98に歯合するピニオン99とで回転駆動され、センタピン92を軸心として回動可能に構成されている。図中96は、シリンダ97のストローク量を規制し、可動ローラ93の回転量を制御するストッパである。なお、可動ローラ93を回転させる方法として、モータを使用した構造であってもよい。センタピン92は、回転台91で支持されているが、図示しないシリンダにより上下駆動が可能となっており、必要に応じて回転台91の下に沈むことができる。又、図中95は、ワイヤ20Aをセンタピン92と可動ローラ93との間に誘導するためのガイド板で、94は、ワイヤ20Aが浮き上がるのを防止するクランプである。
【0065】
なお、ワイヤループ加工部9R・9Lは、ワイヤ把持部8に対して接近したり離隔したりする方向に移動可能に配置されている。このワイヤループ加工部9R・9Lの移動駆動は、図示されていないスライド機構を使用して生産する製品の形状に合わせて、手動で移動して簡易な位置決めストッパで固定しているが、特に限定するものではなく、ボールねじや、ラックピニオン又はシリンダ等によって構成してもよい。
【0066】
そして、ワイヤストッカ40に収納された直線状のワイヤ20Aを、第1搬送体41でループ加工工程(#1A)に搬送し、ループ加工工程(#1A)で加工された1次ワイヤ20Bを、第2搬送体42で第1の曲げ工程(#2)に搬送し、第2の曲げ工程(#2)で加工された一次屈曲ワイヤ20Cを、第3搬送体43で、第3の曲げ工程(#3)に搬送し、第3の曲げ工程(#3)で加工された製品ワイヤ20を第4搬送体44でシューター45を介して図示しない製品ストッカに搬送する。
【0067】
上記のように構成された曲げ装置M2は、ワイヤストッカ40に収納されている直線状のワイヤ20Aを、第1搬送体41でループ加工工程(#1A)に搬送すると、ループ加工工程(#1A)では、ワイヤ把持部8でワイヤ20Aの中央直線部57をグリップ体21で把持した後、左右一対のワイヤループ加工部9R・9Lのうち、一方のワイヤループ加工部9Rが作動して一方の端末のループ部50Rを加工する。ワイヤループ加工部9R・9Lが作動する際には、可動ローラ93がセンタピン92の周りを、ワイヤ20Aの一端を巻き付けるように可動し、加工後、可動ローラ93は元の位置に戻る。
【0068】
続いて、他方のループ部50Lを加工することとなるが、ワイヤ把持部8では、グリップ体21でワイヤ20Aを把持した状態でループ部50R・50Lとのループ平面が製品ワイヤ20となったときの設計的角度差分を回転させる。この際、ワイヤ20Aの直線カット時に生じた捩れ方向の歪に起因する屈曲部の屈曲直後の捩れ変化量、あるいは、後工程で設処理がある場合それによって生じる捩れ変化量、をそれぞれ見込んで回転角度を決定する。さらに、回転の際、先に屈曲させたループ部50Rがセンタピン92に引っかかり、回転できなくなるのを防止するために、センタピン92は、ループ部50Rの加工直後、回転台91の下に沈み、ワイヤ20Aが第1の曲げ工程(#2)に向かって搬送されると元の位置に上昇するように構成されている。
【0069】
ワイヤ把持部8の回転後、他方のループ部50Lを、先に加工したループ部50Rと同様の手順で加工する。ループ部50L・ループ部50Rを順に加工する場合も同様の手順で加工する。
【0070】
これによって直線状のワイヤ20Aの両端には、ループ部50R・50Lが形成された一次屈曲ワイヤ20Bが形成されることとなり、第1の曲げ工程(#2)に搬送して二次屈曲ワイヤ20Cを形成することとなる。同時に、ワイヤストッカ40から次の直線状のワイヤ20Aが第1搬送体41によってループ加工工程(#1A)に搬送される。
【0071】
第1の曲げ工程(#2)では、第1ワイヤベンド部5が、まずワイヤ20Bの第1曲げ部51Rの曲げ加工を行うために、ワイヤ20Bの右側の所定位置に移動し停止する。第1ワイヤ把持部4は、グリップ体21でワイヤ20Bを把持した状態で、前工程でのループ曲げに対して設計的角度差分を回転させる。この際、ワイヤ20Aの直線カットの際に生じた捩れ方向の歪に起因する屈曲部の屈曲直後の捩れ変化量、あるいは、後工程で熱処理がある場合はそれによって生じる捩れ変化量、をそれぞれ見込んで回転角度を決定する。これによって、1次屈曲ワイヤ20Cが形成され、これ以降の曲げ加工は、第1の形態のワイヤ曲げ装置M1と同様の手順を行うため、詳細な説明は省略する。
【0072】
上記のように、第2の形態の曲げ装置M2では、ワイヤ20Aのループ部50を加工するループ加工工程(#1A)を、第1の曲げ工程(#2)・第2の曲げ工程(#3)と同一の設備内に設けることができることから、高い生産性を得ることが可能となる。
【0073】
しかも、ループ加工工程(#1A)におけるループ加工機構では、同一工程内で左右のループ加工を交互に行え、しかも左右のループ加工面に設計的角度と捩れ変化量の見込し角度差も加えられることから、高い精度でループ加工を行うことができる。
【0074】
又、第2の曲げ装置M2における第1の曲げ工程(#2)と第2の曲げ工程(#3)とは、第1の形態と同様であることから、第1の形態と同様の効果を達成することができる。
【0075】
なお、第2の形態の曲げ装置M2において、ワイヤ20の両端部をループ状に加工する加工工程で、直線部の中間部の一部に、例えばV字状のプレス加工を行うものであっても、ループ加工工程(#1A)に専用の小型プレス機を設置すれば、製品ワイヤ20は、同様に、高精度のワイヤを同一装置内で製作することができる。
【0076】
また、各ワイヤ把持部やワイヤベンド部の構成は、上記の形態に限定するものではなく、公知の機械要素を組み合わせて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の形態によるワイヤ曲げ装置を示す概略平面図である。
【図2】図1のワイヤ曲げ装置におけるワイヤ把持部を示す概略断面図である
【図3】図1のワイヤ曲げ装置におけるワイヤベンド部を示す概略平面図である。
【図4】図1における第1の形態の曲げ装置を示す概略正面図である。
【図5】第2の形態の曲げ装置を示す概略平面図である。
【図6】図5における第2の形態の曲げ装置を示す概略正面図である。
【図7】図6の曲げ装置におけるループ加工工程のループ加工部を示す概略平面図である。
【図8】従来の曲げ装置を示す概略平面図である。
【図9】従来の製品ワイヤを示す斜視図である。
【符号の説明】
M1 第1の形態のワイヤ曲げ装置
M2 第2の形態のワイヤ曲げ装置
4 第1ワイヤ把持部
5 第1ワイヤベンド部
6 第2ワイヤ把持部
7 第2ワイヤベンド部
8 ワイヤ把持部
9R・9L ワイヤループ加工部
10、20 製品ワイヤ
10A、20A 直線状のワイヤ
10B 一次屈曲ワイヤ
20B 一次屈曲ワイヤ
20C 二次屈曲ワイヤ
11R・11L、51R・51L 第1曲げ部
12R・12L、52R・52L 第2曲げ部
13R・13L、53R・53L 第3曲げ部
17、57 中央直線部
18R、58R 右側屈曲部
18L、58L 左側屈曲部
21 グリップ体
24 回転体
32、93 センタピン
33、93 可動ローラ
34 グリップ部
#1 測長工程、
#1A ループ加工工程
#2 第1の曲げ工程
#3 第2の曲げ工程

Claims (4)

  1. ワイヤ把持部とワイヤベンド部とを備えて、前記ワイヤ把持部で予め直線状に切断したワイヤの中央部を把持するとともに、把持されたワイヤを端末から中央部までのワイヤ曲げ加工を行うワイヤ曲げ方法であって、
    ワイヤの曲げ加工を、ワイヤの中央部を間にして片側づつ曲げ加工される第1のワイヤ曲げ工程と第2のワイヤ曲げ工程とに分割してそれぞれ並設して配置するとともに、前記第1のワイヤ曲げ工程で曲げ加工されたワイヤは順次第2のワイヤ曲げ工程に搬送され、
    それぞれのワイヤ曲げ工程には、曲げ加工を行う都度、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持するワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能に配置するとともにワイヤを屈曲するワイヤベンド部とを備え、
    前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工と前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工とが、相互に影響することなく所定のタイミングで加工できるように制御されて連続的に加工されることを特徴とするワイヤ曲げ方法。
  2. ワイヤを把持するワイヤ把持部と、ワイヤを屈曲するワイヤベンド部とを備え、前記ワイヤ把持部で予め直線状に切断したワイヤの中央部を把持するとともに、把持されたワイヤを端末から中央部までワイヤの曲げ加工を行うワイヤ曲げ装置であって、
    機台内に第1のワイヤ曲げ工程と第2のワイヤ曲げ工程とが、ワイヤの軸心に対して直交する方向に並設して配置され、
    第1のワイヤ曲げ工程は、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持する第1ワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能な第1ワイヤベンド部を備えてワイヤの一方の側を端末から中央部までの曲げ加工を行うように構成され、
    前記第2のワイヤ曲げ工程は、ワイヤの軸心に対してワイヤを回動可能に把持する第2ワイヤ把持部と、ワイヤの軸心に沿って移動可能な第2ワイヤベンド部を備えてワイヤの他方の側の曲げ加工を行うように構成され、
    前記第1のワイヤ曲げ工程で曲げ加工が行われたワイヤを前記第2のワイヤ曲げ工程に搬送する搬送手段を備えて構成され、
    前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工と前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ工程とを、相互に影響することなく所定のタイミングで加工するように制御する制御装置とを、有して構成されることを特徴とするワイヤ曲げ装置。
  3. 前記第1ワイヤ把持部と前記第2ワイヤ把持部とは、前記第1ワイヤ把持部が前記第2のワイヤベンド部に接近する方向に配置され、前記第2ワイヤ把持部が前記第1ワイヤベンド部に接近する方向に配置されて、相互に離れる方向にずれた位置で配置されていることを特徴とする請求項2記載のワイヤ曲げ装置。
  4. 前記第1のワイヤ曲げ工程の前工程として、ワイヤの端末をループ状に形成するワイヤ端末ループ加工工程を、前記第1のワイヤ曲げ工程を間にして前記第2のワイヤ曲げ工程と対する側に並設するように配置するとともに、前記ワイヤ端末ループ加工工程を終えたワイヤは搬送手段によって前記第1のワイヤ曲げ工程に搬送され、
    前記ワイヤ端末ループ加工工程は、ワイヤのほぼ中心部を把持する位置に、ワイヤをその軸心に対して回動可能とするワイヤ把持部を配置し、ワイヤの軸心に沿って移動可能でワイヤ端末部をループ状に加工するワイヤループ加工部をそれぞれワイヤの端末付近に一対備えて、ワイヤの端末部位のループ加工を交互にタイミングをずらして行えるように構成され、
    前記ワイヤの端末ループ加工工程におけるワイヤループ加工と、前記第1のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工及び前記第2のワイヤ曲げ工程におけるワイヤ曲げ加工とが予め設定された手順に沿って制御されることを特徴とする請求項2又は3記載のワイヤ曲げ装置。
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CN107626862A (zh) * 2017-10-25 2018-01-26 宁乡远大住宅工业有限公司 吊环加工装置及加工方法
JP7421043B2 (ja) 2020-01-06 2024-01-24 株式会社キャダック ワークの捻れ防止装置と、それを備える鉄筋の曲げ加工装置

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