JP2004248866A - 衝撃波型殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液体貯留槽11内の液体中に放電用電極20を挿入し、液中放電衝撃波41を発生させ、液体貯留槽11中に浸漬する密閉包装具内の食品や薬品等の殺菌対象物に衝撃波41を与えて殺菌処理を行う装置であって、上記放電用電極20は、軸線に沿って延在させる中心電極21と、該中心電極の外周に絶縁材22を介在させて配置した外周電極23を有する同軸型電極で、該外周電極23は軸線方向に少なくとも1つのギャップ24をあけて配置し、上記中心電極21の先端と先端側の外周電極23Aの間およびギャップをあけた外周電極23A、23B間と外周電極23B、23C間に放電により上記殺菌用の衝撃波41を発生させている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃波型殺菌装置に関し、詳しくは、液体貯留槽中に放電用電極を挿入し、該電極により発生させる放電衝撃波によって、液体貯留槽内にパック等に封入して浸漬する食品や薬品等の殺菌対象物の殺菌を行うものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や薬品等の殺菌処理としては、加熱殺菌方法等が用いられている。この加熱殺菌方法は、食品等を所定温度で所要時間加熱することにより殺菌を行っている。例えば、ボツリヌス菌等は、芽胞状態でも高温を一定時間以上かければ死滅することが確認されており、図9に示すように100℃では約400分かかる。このように長時間高温で加熱すると、食品の持ち味や栄養分が損なわれることがある。これに対して、温度を上昇して150℃とすると殺菌に要する所要時間は約0.6秒になり、高温になればなるほど短時間で殺菌が可能となる。このように、短時間での殺菌では食品の持ち味や栄養分が損なわれる恐れがない。
【0003】
そこで、殺菌対象物を変性させることなく殺菌する方法として、衝撃波を用いた殺菌方法が提案されている。この衝撃波を用いた殺菌方法の原理は、圧力と温度との相関から、一般的に400Mpaは60℃、600Mpaは90℃の温度に相当すると認められており、よって、衝撃波により超高圧力を短時間食品等に印加することは、高温で短時間加熱することと等価となり、衝撃波による食品等の殺菌処理をおこなうことができる。
このように、衝撃波を用いた殺菌方法は、非常に短時間での高温殺菌であるため、殺菌対象物の変性が少なくでき、殺菌等は死滅するが、加熱対象物である食品の持ち味や栄養分を損なわずに殺菌処理が可能となる。よって、レトルトパックされた食品や血液製剤の薬品等の殺菌を簡単に行うことができる。
【0004】
この種の衝撃波利用型殺菌装置として提案されている特開平2−307586号(特許文献1)では、対向する1対以上の放電電極に高電圧パルス電圧を印加するパルス回路と、放電電極間の抵抗値を測定する抵抗測定回路と、放電電極移動装置と、抵抗測定回路の抵抗値に対応して放電電極を移動させるモータコントローラと、電極間寸法を制御する制御装置とを備えている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−307586号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平2−307586号の衝撃波利用型殺菌装置では、電極が消耗してきた場合、対向する1対の電極間の距離を調節するための放電電極移動装置が必要である上に、抵抗測定回路や電極間寸法を制御する制御装置も必要であるため、装置の構造が複雑になるという問題がある。特に、複数対の電極を備えた構成とした場合には、さらに装置の構造が複雑となり、連続的に安定して衝撃波を発生させるのが非常に困難である。
【0007】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、放電電極により衝撃波を発生させて殺菌する装置において、対向配置する1対の電極を必要とせず、電極間寸法の制御を不要として簡単な構造としながら、連続的に安定して衝撃波を発生させることのできる衝撃波型殺菌装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、液体貯留槽内の液体中に放電用電極を挿入し、液中放電衝撃波を発生させ、上記液体貯留槽中に浸漬する密閉包装具内の食品や薬品等の殺菌対象物に衝撃波を与えて殺菌処理を行う装置であって、
上記放電用電極は、軸線方向に延在する第1電極と、該第1電極の外周に絶縁材を介在させて同心状に一体化した第2電極、あるいは上記第1電極と平行配置して結束している第2電極を有し、
上記第2電極は軸線方向に少なくとも1つのギャップをあけて配置し、上記第1電極の先端と先端側の第2電極の間およびギャップをあけた第2電極間の放電により上記殺菌用の衝撃波を発生させる構成としていることを特徴とする衝撃波型殺菌装置を提供している。
【0009】
上記構成とすると、放電用電極に電流が供給されると、第1電極の先端と先端側の第2電極の間で放電を発生させることができると同時に、第2電極の間に少なくとも1つのギャップをあけ、隣接する第2電極を空隙をあけて配置しているため、ギャップをあけた第2電極の間でも放電を発生させることができ、放電箇所を複数箇所とすることができる。このように、複数箇所で放電を発生させることにより、電流値が一定の場合でも、従来より放電抵抗を増加させることができ、この放電により消費されるエネルギーは電極に供給される電流値の2乗×放電抵抗に比例するので、殺菌に利用できるエネルギーを従来より大きくすることができる。
【0010】
上記のように放電を複数箇所で発生させると、放電開始直後は放電に伴って発生するアークは小さいが、このアークの大きさは時間と共に成長し、電極の外周に弧を描くような大きなアークとなり、ある程度の大きさになると、変化せず安定化する。この放電より発生するアーク周辺の液体は高温により瞬時に蒸気化して衝撃波が発生する。この衝撃波の圧力と温度との相関より、超高圧になると、密閉包装具内の食品や薬品等の殺菌対象物を高温短時間(温度×時間)で殺菌処理することができる。このように、放電用電極を用いて液中放電で衝撃波を発生させ、この衝撃波を利用した非常に短い時間での殺菌であるため殺菌対象物が食品である場合、食品の変性を抑制し、食品の持ち味等が損なうことを防止できる。
【0011】
上記放電用電極は、上記第1電極として中心電極、第2電極として外周電極を備えた単軸型電極とし、上記中心電極の外周面を絶縁材を被覆し、該絶縁材の外周に上記外周電極を軸線方向にキャップをあけて配置し、
上記外周電極の間には2以上のギャップを設け、放電発生箇所を多数箇所とし、発生する衝撃波を重畳させて上記液体貯留槽内の略全体に衝撃波が伝達される構成としていることが好ましい。
【0012】
上記構成とすると、外周電極間のギャップを1つとした場合よりも多数箇所で放電が発生するので、よりアークを大きくして衝撃波の発生範囲を拡大でき、液体貯留槽内での殺菌処理を効率よく行うことができる。
なお、ギャップをあけて設ける外周電極の長さは10mm以上、好ましくは25〜30mm程度とし、ギャップ長さは10mm程度とすることが好ましい。
【0013】
上記中心電極の先端に拡径部を設け、該拡径部と上記外周電極とを略同径としていることが好ましい。
上記構成とすると、中心電極の外周部分が外周電極と同軸上に位置し、ギャップを挟む外周電極の間に生じる放電と同様の放電を中心電極の先端と先端側の外周電極との間にも生じさせることができる。
かつ、上記外周電極の厚さは5mm以上と大きくしている。
上記のように、中心電極と隣接する先端側の外周電極の間に軸方向に第1の放電を発生させ、続いて、上記先端側の外周電極とギャップを挟んで隣接する外周電極との間で放電を発生させていき、かつ、中心電極の先端部を拡径して厚くすると共に外周電極も厚くすると、長時間連続使用が可能となる。
【0014】
即ち、まず、中心電極先端と外周電極、ギャップを挟む外周電極の間に対向する端面間に最短距離の直線方向の放電が発生し、電流値は小さいため、対向する電極のギャップを挟む面は消耗せず、放電ギャップ長さを変化させない。上記電極対向面に間に発生する放電電流により生じる電磁力およびアークそのものの低い抵抗により、大電流となると、アークは対向する電極外周面の位置に移動し、て、外周面間に弧を描くようになるため、電極の外周面に消耗が発生しだす。よって、電極の厚みは除々に減少していくが放電ギャップ長さは不変となる。そのため、前記したように中心電極の先端を拡径して厚みを増大させ、かつ、外周電極の厚さを5mm以上として厚くしておくと、長時間連続使用が可能となる。
【0015】
上記放電用電極の放電量は、上記電極の軸方向の長さ、上記ギャップの長さ、電極の厚さ等の放電用電極の形状および通電量を設定して調節し、該放電により生じる液圧が、圧力と温度との相関で、上記殺菌対象物の殺菌温度に相当する液圧となるように設定している。
【0016】
具体的には、同軸型電極では、放電用電極の外周電極の軸方向の長さは好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上である。10mmより小さいと、アークが充分に成長することができず、放電により消費されるエネルギー(衝撃波として殺菌処理に利用されるエネルギー)が、アークが充分に成長した場合より小さくなる。また、10mmより小さいと、隣接するアークが容易につながってしまい、殺菌処理に利用されるエネルギーが小さくなる。さらに、印加電圧5〜100kV、好ましくは20〜50kVである。
【0017】
また、上記放電用電極としては、上記同軸型電極に限らず、棒状の第1電極の外周面を絶縁材で被覆し、その外周の1カ所あるいは周方向に間隔をあけた複数箇所に絶縁材で被覆した上記第2電極を軸線方向にキャップをあけて直列に配置してバンド結束している構成からなる放電用電極も好適に用いられる。
上記第2電極は第1電極と略同一断面円形状とし、複数本の第2電極を複数個のキャップをあけて直列に第1電極の外周面に配置し、強度のある結束バンドで一体的に固定している。
上記直列に配置する各第2電極の長さは10mm以上、好ましくは25〜30mm程度とし、ギャップ長さは10mm程度とすることが好ましい。
【0018】
上記殺菌対象物を収容している密閉包装具は、上記衝撃波は透過させるが上記液体貯留槽中の液体を透過させない材質からなる。
上記構成とすると、密閉包装具は衝撃波を透過するので、密閉包装具内に収容された食品や薬品等の殺菌対象物を密閉包装具内に透過した衝撃波により殺菌することができる一方、液体貯留槽中の液体が密閉包装具中に浸入することが防止できると共に、逆に密閉包装具内の液体が流出することを防止できる。また、該密閉包装具は耐熱性を有することが好ましい。
【0019】
上記密閉包装具は殺菌対象物が流動性を有する場合はチューブとし、該チューブ内に殺菌対象物を連続的に流通させ、該チューブを上記放電用電極の周囲を通す構成としている。
また、上記密閉包装具は上記殺菌対象物を個別に封入した密閉パックからなり、該密閉パックを連続させ、上記放電用電極の周囲に連続式あるいは準連続式で通す構成としてもよい。
さらに、上記密閉包装具は上記殺菌対象物を個別に封入した密閉パックからなり、各密閉パックをワイヤーに吊り下げ、該ワイヤーを移動させて上記放電用電極の周囲に上記密閉パックを連続式あるいは準連続式で通す構成としてもよい。
【0020】
上記構成とすると、液体貯留槽内に殺菌対象物を連続して流通させて、効率よく殺菌対象物の殺菌処理を行うことができる。
また、殺菌対象物を個別に封入した密閉パックを用いて殺菌処理を行う場合、放電用電極から生じる衝撃波の強弱に応じて、密閉パックを所要速度で連続式に通したり、準連続式で液体貯留槽内に通すことにより、確実に殺菌処理を行うことができる。即ち、放電用電極から生じる衝撃波が強い場合には、密閉パックを連続式で液体貯留槽内に通して効率よく殺菌処理を行う。これに対して、衝撃波が弱い場合や、殺菌処理に高温度長時間を要する場合には、準連続式により密閉パックを液体貯留槽内で一時的に停止させながら通して、衝撃波を連続式よりも長く時間をかけて殺菌処理を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態を示し、衝撃波型殺菌装置10の液体貯留槽11に水12を入れ、該水12中に放電用電極20を上方より吊り下げて浸漬している。また、液体貯留槽11には、殺菌対象物である流動性を有する食品35を流通させるチューブ30の一部を液中に浸漬させて挿通している。該チューブ30は液中では内部に水を透過させない密閉包装具となる。
【0022】
上記放電用電極20は、図2に示すように、同軸型の放電用電極を用いている。この放電用電極20は全体形状が略棒状で、中心軸に沿う棒状導電体からなる中心電極21(第1電極)と、該中心電極21の外周面上に被覆する絶縁材22と、該絶縁材22の外周面上に、円環形状の導電体からなる外周電極23(第2電極)を取り付けている。中心電極21の先端部を拡径して拡径部21aとし、上記絶縁材22は拡径部21aを除く中心電極21の外周に被覆している。絶縁材22の外周面に配置する外周電極23は、所要長さの空間、即ち、ギャップ24をあけて配置し、先端側から第1外周電極23A、第2外周電極23B、第3外周電極23Cを配置している。これら外周電極の間のギャップ24では絶縁材22が表面に露出している。
【0023】
上記中心電極21の拡径部21aの外径は、第1〜第3外周電極23A〜23Cの外径と同一としている。かつ、拡径部21aと第1外周電極23Aとの間の第1ギャップ24Aの長さは、第1外周電極23Aと第2外周電極23Bの間の第2ギャップ24Bの長さ、第2外周電極23Bと第3外周電極23Cの間の第3ギャップの長さと略同長としている。
【0024】
本実施形態において、中心電極21および外周電極23とする導電体は銅からなり、絶縁材22としてFRPを用いている。
また、中心電極21の直径は20mm、絶縁材22の厚みは10mm、外周電極部分23A、23B、23Cの厚みは5mmである。したがって、放電用電極20の外径は50mmとなる。また、外周電極部分23A、23B、23Cの軸方向の長さは27mm、ギャップ24の長さは10mmとしている。
【0025】
上記放電用電極20は、同軸ケーブル25によりパルスパワー源26と接続されている。パルスパワー源26はコンデンサ27、スイッチ28等を含む回路からなり、パルスパワー源26には電源29が接続されている。
【0026】
上記パルスパワー源26のスイッチ28が閉じられた時、コンデンサ27に蓄えられた電荷が放電用電極20に導入され、中心電極21の先端の拡径部21aと第1外周電極部23Aの間の第1キャップ部24Aで第1の放電が発生してアーク40が形成される。続いて、第1外周電極部23Aと第2外周電極部23Bの間の第2キャップ24Bで第2の放電が発生し、更に、第2外周電極部23Bと第3外周電極部23C間に第3の放電が発生し、それぞれアーク40が形成される。このようにアーク40が発生すると、アーク40周辺の水12は高温により瞬時に蒸気化して衝撃波41が発生する。
【0027】
上記放電による衝撃波41の作用原理は、前述したように、まず、図3(A)に示すごとく、ギャップ24(24A、24B、24C)を挟む電極の対向面に最短距離の放電が発生する。該放電の電流値は小さいため、電極のギャップを挟む対向面は消耗せず、放電ギャップ長さを変化させない。
上記電極対向面間に最短距離で発生する放電電流により生じる電磁力およびアークの低い抵抗により、大電流となると、図3(B)に示すように、ギャップを挟んで対向する電極の外周面の間に弧を描くように大きなアーク40が発生する。 この大きなアークの発生で電極の外周面が消耗しだすが、ギャップを挟む電極(中心電極の先端拡径部21a、第1〜第3外周電極23A〜23C)の厚さを大としているため、長時間連続使用可能としている。
【0028】
上記液体貯留槽11内を浸漬して、放電用電極20の下方に通すチューブ30は、放電用電極20により発生させる衝撃波41を透過させるが、液体貯留槽11内の水12は透過させず、かつ、チューブ30内からも液体を流出させない素材から形成し、例えば、ゴムチューブ、樹脂チューブとしている。
【0029】
次に、衝撃波型殺菌装置10を用いた殺菌対象物である食品35の殺菌方法について説明する。
先ず、パルスパワー源26のスイッチ28を閉じて、放電用電極20に電流を流すと、中心電極21と第1外周電極23Aの第1ギャップ24、同じく第2ギャップ24B、第3ギャップ24Cで液中放電が発生する。この液中放電により、各ギャップでそれぞれアーク40が形成され、各アークが次第に大きくなっていくと共に、これらアーク40が重畳して広い範囲でアークを発生させることができる。アーク40周辺の水12は高温により瞬時に蒸気化して衝撃波41を発生させ、アークが広い範囲にわたるため衝撃波41を放電用電極20の回りで広い範囲に発生させることができる。
この衝撃波41は超高圧であるため高温となり、チューブ30内に流通する食品35に衝撃波41が加えられると、食品35は短時間・高加熱されることとなり、食品35を殺菌処理することができる。
【0030】
また、本装置によると、アークは中心電極21の拡径部21a、第1〜第3外周電極23A、23B、23Cの外周面間を弧を描くように発生するため、多数回の放電による電極の損耗は電極の外周面に生じ、放電ギャップを挟む電極の対向面には殆ど損耗は発生しないため、放電間の距離は変わらず、連続的に安定して衝撃波41を発生させることができる。これにより、電極間の寸法を制御する装置および損耗量を検知する装置が不要となり、衝撃波型殺菌装置10を簡易な構造とすることができる。
【0031】
なお、上記実施形態では外周電極の間に2つのギャップを設けているが、外周電極間のギャップは1個とし、中心電極と先端側外周電極との間のギャップと合わせて放電用ギャップを2個としてもよい。
また、チューブ中に流動食品を流通させて殺菌処理しているが、食品に限らず、液状あるいは流動性のある血液製剤等の薬品にも適用できる。
さらに、チューブは放電用電極により生じる衝撃波の圧力をチューブ内の食品に充分に加えるため、放電用電極の周囲を沿うように液体貯留槽内を通してもよい。
【0032】
図4は、第1実施形態の変形例を示し、液体貯留槽11が大型の場合、上記放電用電極20を複数個設けて間隔をあけて並列に吊り下げ、並列させる第1の放電用電極20Aの中心電極21を電線70を介してコンデンサ27のプラス側に接続し、該第1の放電用電極20Aの外周電極23を第2の放電用電極23Bの中心電極21と接続し、これを繰り返して3つの放電用電極を順次直列に接続し、最終の放電用電極20Cの外周電極23を上記コンデンサ27のマイナス側と接続して放電回路を設けている。
上記構成とすると、複数の放電用電極20A、20B、20Cにより殺菌対象物に重畳的に衝撃波を加え、より確実に殺菌対象物の殺菌作業を行うことができる。
【0033】
さらに、上記のように複数本の放電用電極を間隔をあけて並設する代わりに、1本の放電用電極を液体貯留槽内に垂直方向ではなく、水平方向に浸漬し、水平方向となる中心電極の外周にギャップをあけて外周電極をとりつけてもよい。
この場合、放電ギャップは、第1実施形態のように垂直方向に複数箇所設けられるのではなく、水平方向に複数箇所設けられることとなる。
【0034】
図5は、本発明の第2実施形態を示し、衝撃波型殺菌装置10’は殺菌対象物となるレトルト食品を個別に封入した密閉パック50をワイヤー51に吊り下げ、該ワイヤー51を移動手段となる複数のプーリー52上を連続式により移動させて、衝撃波型殺菌装置10’の液体貯留槽11内に通している。殺菌対象物の殺菌方法は上記第1実施形態と同様の方法により衝撃波を発生させて行っている。
他の構成は上記第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0035】
なお、本実施形態においては、連続式により密閉パックを移動させているが、衝撃波の強弱に応じて、密閉パック50を一時的に停止させる準連続式により移動させてもよい。
【0036】
図6は、本発明の第3実施形態を示し、衝撃波型殺菌装置10”はレトルト食品を個別に封入した密閉パック60自体が連続され、殺菌処理後に個別に分断されるものである。該連続する密閉パック60をガイドするローラ61を設置して連続式により移動させて、衝撃波型殺菌装置10”の液体貯留槽11内に通している。殺菌対象物の殺菌方法は上記第1実施形態と同様の方法により衝撃波を発生させて行っている。
他の構成は上記第1実施形態と同様のため説明を省略する。
なお、本実施形態においても、連続式に代えて準連続式により密閉パックを移動させてもよい。
【0037】
図7及び図8は、本発明の第4実施形態を示し、上記第1実施形態とは用いる放電用電極を相違させている。
第4実施形態で使用する放電用電極80は、導電体81aの外周に絶縁材81bを被覆した第1電極81の外周面に、該第1電極81と同一断面形状の導電体82aの外周に絶縁材82bを被覆した複数の第2電極82(82A〜82D)をギャップ83A、83B、83Cをあけて直列に配置し、それぞれバンド84で第1電極81と結束し、一体化している。
上記第1電極81を電線85を介してコンデンサ27のプラス側に接続する一方、第2電極82Dを電線86を介してコンデンサ27のマイナス側に接続している。
【0038】
上記構成の放電用電極80を液体貯留槽11の水中12に投入した場合、第1電極81に通電されると、第1電極81の先端部と第2電極82の先端部の間、キャップを介して対向する第2電極82Aと82B、82Bと83C、83Cと84D間で順に放電が発生し、各ギャップの部分にアークが生成され、衝撃波が発生する。
よって、放電用電極80を用いた場合も第1実施形態と同様、チューブ30内の食品35を衝撃波41により食品を殺菌処理することができる。
また、本実施形態では、第1電極81と第2電極82の電極面の面積を任意に設計することができ、大面積とした場合には、さらに連続的に安定して衝撃波を発生させることができる。
なお、他の構成は第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の衝撃波型殺菌装置によれば、放電用電極として、第1電極(単軸型では中心電極)の先端と第2電極(単軸型では外周電極)との間の放電ギャップと、第2電極間に少なくとも1つの放電ギャップを設け、少なくとも2個以上の複数の放電箇所を設けているため、放電により大きなアークを発生させることができる。このアークにより生じる高圧の衝撃波を食物や薬品等の殺菌対象物を与えて短時間で殺菌処理することが出来る。このように、殺菌処理が短時間であるため、生産性を高めることが出来ると共に、食物等の殺菌対象物に殺菌処理による変性を発生させず、食物では持ち味や栄養分を損なわない利点がある。
【0040】
また、使用する放電用電極では、放電が発せるする電極のギャップ対向面には損耗が殆ど発生しないため、電極間距離を一定とでき、連続的に安定して衝撃波を発生させることができる。これにより、電極間の寸法を制御する装置や損耗量を検知する装置が不要となり、衝撃波型殺菌装置を簡易な構造とすることができる等の種々の利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す図面である。
【図2】(A)は放電用電極の斜視図、(B)は断面図である。
【図3】(A)は放電用電極に小電流を供給したときに形成されるアークを示す図面、(B)は大電流を供給したときに形成されるアークを示す図面である。
【図4】第1実施形態の変形例を示す図面である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す図面である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す図面である。
【図7】本発明の第4実施形態を示す図面である。
【図8】第4実施形態で用いる放電用電極を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図9】ボツリヌス菌芽胞殺菌のための温度と必要時間の関係を示す図面である。
【符号の説明】
10 衝撃波型殺菌装置
11 液体貯留槽
12 水
20 放電用電極
21 中心電極
22 絶縁材
23 外周電極
23A、23B、23C 第1〜第3外周電極
24A〜24C 第1〜第3ギャップ
30 チューブ
40 アーク
41 衝撃波
50、60 密閉パック
Claims (8)
- 液体貯留槽内の液体中に放電用電極を挿入し、液中放電衝撃波を発生させ、上記液体貯留槽中に浸漬する密閉包装具内の食品や薬品等の殺菌対象物に衝撃波を与えて殺菌処理を行う装置であって、
上記放電用電極は、軸線方向に延在する第1電極と、該第1電極の外周に絶縁材を介在させて同心状に一体化した第2電極、あるいは上記第1電極と平行配置して結束している第2電極を有し、
上記第2電極は軸線方向に少なくとも1つのギャップをあけて配置し、上記第1電極の先端と先端側の第2電極の間およびギャップをあけた第2電極間の放電により上記殺菌用の衝撃波を発生させる構成としていることを特徴とする衝撃波型殺菌装置。 - 上記放電用電極は、上記第1電極として中心電極、第2電極として外周電極を備えた単軸型電極とし、上記中心電極の外周面を絶縁材を被覆し、該絶縁材の外周に上記外周電極を軸線方向にキャップをあけて配置し、
上記外周電極の間には2以上のギャップを設け、放電発生箇所を多数箇所とし、発生する衝撃波を重畳させて上記液体貯留槽内の略全体に衝撃波が伝達される構成としている請求項1に記載の衝撃波型殺菌装置。 - 上記中心電極の先端に拡径部を設け、該拡径部と上記外周電極とを略同径としている請求項1または請求項2に記載の衝撃波型殺菌装置。
- 上記放電用電極は、棒状の第1電極の外周面を絶縁材で被覆し、その外周の1カ所あるいは周方向に間隔をあけた複数箇所に、絶縁材で被覆した上記第2電極を軸線方向にキャップをあけて直列に配置してバンド結束している構成からなる請求項1に記載の衝撃波型殺菌装置。
- 上記殺菌対象物を収容している密閉包装具は、上記衝撃波は透過させるが上記液体貯留槽中の液体を透過させない材質からなる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の衝撃波型殺菌装置。
- 上記密閉包装具はチューブとし、該チューブ内に流動性を有する殺菌対象物を連続的に流通させ、該チューブを上記放電用電極の周囲を通す構成としている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の衝撃波型殺菌装置。
- 上記密閉包装具は上記殺菌対象物を個別に封入した密閉パックからなり、該密閉パックを連続させ、上記放電用電極の周囲に連続式あるいは準連続式で通す構成としている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の衝撃波型殺菌装置。
- 上記放電用電極の放電量は、上記放電用電極の形状および通電量を設定して調節し、該放電により生じる液圧が、圧力と温度との相関で、上記殺菌対象物の殺菌温度に相当する液圧となるように設定している請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の衝撃波型殺菌装置。
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