JP2004248472A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速時に回生された電力が小さいときでも、発電機での消費を可能として、車両停止直前まで電力回生を行い、エンジンブレーキの効きを確保できるようにする。
【解決手段】エンジン1と、エンジン出力軸に連結される発電機2と、車両の駆動軸に連結される電動機4と、発電機2と電動機4に接続されるバッテリ9とを備え、車両の減速時に電動機4で回生される電力を発電機2に供給して消費するようにする。車両の減速時に発電機2で消費すべき電力値が所定値よりも大きいときには、発電機2に駆動されるエンジン1をモータリング回転させ、消費電力値が前記所定値よりも小さいときには発電機2に駆動されるエンジン1をファイアリング回転させる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド車両における効率向上を狙いとして、車両走行状態に応じて電動機で消費される電力のみを発電機から供給するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
走行状態の変化に伴い電動機の出力は時々刻々変化するが、その出力変化に対応して過不足なく電力をリアルタイムに発電機から供給することができれば、バッテリにおける電力損失を最小限にとどめ、エンジンの出力を効率良く電動機へ伝達することができる。また、バッテリの充放電を最小限にすることにより、電力損失を低減できるだけでなく、バッテリ搭載容量を最小限にすることができる。バッテリはハイブリッド車両において大きなコスト及び重量割合を占めるため、それを小型化することができれば、コストだけでなく燃費や動力性能でも大きな効果が得られる。
【0004】
ところで、バッテリ搭載容量を小さくすると、減速時のブレーキ性能の確保とエネルギ回生のため、電動機を発電機として機能させて電力を回生する場合、減速運転期間が長くなるときなど、回生電力を全て蓄えることができないことがある。そこで、減速時に回生電力が余剰となる場合に、発電機を力行させてエンジンを燃焼を伴わない状態で強制回転させ、ブレーキ性能を確保する一方で、回生した電力を消費させ、バッテリの過充電を防ぎ、その劣化、損傷を回避するようにしている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−14650号公報
【特許文献2】
特開平8−79914号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、発電機で消費すべき余剰の回生電力が少ない場合には、エンジン並びに発電機の回転数をできだけ低くする必要がある。ところが、エンジンは燃焼を伴わないモータリング状態のため、低速で安定回転させるには、発電機は比較的大きなトルクが必要となる。例えば、エンジンをアイドル回転数程度で安定回転させるのは困難で、安定回転のために要求される回転数はこれよりも高く、その分だけ発電機での消費電力が大きくなり、場合によっては電動機の回生電力を越えてしまい、この状態ではかえってバッテリに蓄えられた電力が消費され、バッテリSOCが低下してしまう。これに対して、電力回生を減速途中で止めれば、電動機の負荷がなくなってエンジンブレーキが急に効かなくなり、減速度の違和感をもたらす。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、減速時に回生された電力が小さいときでも発電機での消費を可能として、車両停止直前まで電力回生を行い、エンジンブレーキの効きを確保できるようにすることを目的とする。
御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンと、エンジン出力軸に連結される発電機と、車両の駆動軸に連結される電動機と、発電機と電動機に接続されるバッテリとを備え、車両の減速時に前記電動機で回生される電力を発電機に供給して消費するようにしたハイブリッド車両において、車両の減速時に前記発電機で消費すべき電力を算出する手段と、算出した電力値が所定値よりも大きいときには前記発電機によりエンジンを燃料供給することなくモータリング回転させる一方、算出した電力値が前記所定値よりも小さいときには前記発電機によりエンジンを燃料を供給して燃焼させつつファイアリング回転させる手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の作用・効果】
車両の減速時に発電機で消費すべき電力値が所定値よりも大きいときには発電機により、エンジンを燃料供給することなくモータリング回転させ、また前記所定値よりも小さいときには、発電機により、エンジンに燃料を供給して燃焼させつつファイアリング回転させている。エンジンを安定限界内でモータリングさせるときの発電機の消費電力に比較して、エンジンをファイアリングさせての発電機の消費電力は小さくでき、このため、緩やかな減速時など回生電力が小さく、発電機の消費電力が小さいときでも、エンジンをファイアリングすることにより、車両の停止直前まで発電機での電力消費を可能として、安定したエンジンブレーキ性能を確保できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は本発明が適用されるハイブリッド車両のシステム構成図である。
【0012】
この車両では、従来の機械式変速機に代えて、無段変速機として機能する電気パワートレイン5がエンジン1に接続されている。電気パワートレイン5は、主に発電機として使用される第1の回転電機(以下、発電機)2と主に電動機として使用される第2の回転電機(以下、電動機)4とで構成される。
【0013】
発電機2のロータ軸がエンジン1のクランク軸に連結され、電動機4のロータ軸(以下、出力軸)6は図示しない減速機を介して駆動軸(駆動輪が取付けられる回転軸)に連結される。
【0014】
発電機2、電動機4は永久磁石式交流同期モータ等の交流機であり、それぞれインバータ8に接続されている。発電機2、電動機4の回転速度はインバータ8の駆動周波数に応じて制御され、インバータ8の駆動周波数の比が電気パワートレイン5の入出力軸の回転速度比(変速比)となる。インバータ8はさらにバッテリ9(リチウムバッテリあるいはニッケル水素バッテリ等)と接続されている発電機2と電動機4の間にはクラッチ3が介装されており、このクラッチ3が締結されるとエンジン1と出力軸6が直結状態となってエンジン1で直接出力軸6を駆動することができる。クラッチ3は例えば電気パワートレイン5の発電機回転速度と電動機回転速度が一致したときに締結され、発電機2と電動機4における損失を抑制して車両の燃費性能を向上させることができる。
【0015】
また、電気パワートレイン5には、発電機2のロータ回転速度(以下、発電機回転速度)Niを検出する発電機回転速度センサ24と、電動機4のロータ回転速度(以下、電動機回転速度)Noを検出する電動機回転速度センサ21とが取付けられている。
【0016】
一方、エンジン1の吸気通路には電子制御式スロットル装置14が設けられており、スロットル開度は必要とされる発電電力に応じて設定される目標エンジントルクが実現されるよう運転者のアクセル操作とは独立して制御される。エンジン1にはこの他、吸入空気量を検出するエアフローメータ13、クランク角を検出するクランク角センサ23が取付けられている。
【0017】
統合コントロールユニット(GCU)10は、基本的には、アクセル操作量センサ22によって検出されたアクセル操作量等に基づき運転者が要求する駆動力を求め、要求駆動力が実現されるようにトランスミッションコントロールユニット(TCU)12を介して電動機4のトルク制御を行う。また、電動機4の駆動出力(消費電力)に見合った発電電力が得られるようにトランスミッションコントロールユニット12を介しての発電機2の回転速度制御及び、エンジンコントロールユニット(ECU)11を介してのエンジン1のトルク制御も併せて行う、すなわち、インジェクタ15からの燃料噴射量と、点火プラグ16の点火時期を制御する。
【0018】
さらに、統合コントロールユニット10は、車両の減速時は、電動機4を発電機として機能させることにより電力を回生し、さらにこの回生電力によりバッテリ9が満充電に近い状態にあるときは、エンジン1を強制回転させるため、発電機2を電動機として力行させることによって余剰電力を消費し、このとき、バッテリ余剰電力の大きさに応じて、エンジン1をモータリング(燃料を供給せずに燃焼を伴わない運転)したりファイアリング(燃料を供給しての燃焼を伴う運転)したりすることで、過不足無く余剰電力を適切に消費できるようにしている。
【0019】
図2は、統合コントロールユニット10が行う車両制御の内容を示したブロック図である。
【0020】
101は運転状態を代表する信号に基づいて、車両の目標駆動トルクを生成する目標駆動トルク生成部である。102はバッテリ6の充電状態を演算するバッテリSOC演算部である。103はこれら目標駆動トルク生成部101からの出力と、バッテリSOC演算部102からの出力に基づいてエンジン1の運転モードである、エンジン停止、発電、モータリングなどを判定する運転モード判定部である。104はバッテリSOC演算部102の出力に基づいて目標充放電量を演算する目標充放電量演算部である。
【0021】
105は、これら目標駆動トルク生成部101、運転モード判定部103、目標充放電量演算部104の各出力に基づいて、電動機4の目標モータトルク、発電機2の目標入力回転数、エンジン1の目標エンジントルク並びに燃料カット要求をそれぞれ演算する協調指令値生成部であり、この出力は、それぞれ電動機4の出力を制御するモータトルク制御部106、発電機2の回転数を制御する発電機回転数制御部107、エンジントルクを制御するエンジントルク制御部108に出力される。
【0022】
図3は、前記運転モード判定部103を詳細に示すブロック図である。
【0023】
最小減速回生判定部31では、前記目標駆動トルク生成部101から入力する発電機2の目標発電電力tPo3 と最小減速回生電力MNPREG#とを比較し、tPo3がMNPREG#以下のときに、切換信号を出力して第1のモード切換部42を切り換え、モータリングモード(GEMODE=2)を出力させ、tPo3がMNPREG#以上のときは、モード切換部42の発電モードをファイアリングモード(GENMODE=1)とする。
【0024】
ここで目標発電電力tPo3が最小減速回生電力MNPREG#以上の状態は、減速中の回生電力が低いことを意味し、例えば非常に緩い下り坂を下る場合や、車両が減速から停止間際な状態に入ったときなどが想定される。
【0025】
なお、最小減速回生電力MNPREG#は負の値であり、図5の最小モータリング電力に相当するもので、tPo3がMNPREG#以下とは、発電機で消費すべき電力の大きさが最小モータリング消費電力の大きさよりも大きい場合である。
【0026】
また、tPo3がMNPREG#以上となる状況は、発電機で消費すべき電力の大きさが最小モータリング消費電力の大きさより小さい場合(tPo3は負値)と、発電機で発電を行う場合(tPo3は正値)とがある。
【0027】
最小発電要求判定部32は、前記した目標発電電力tPo3と最小発電要求電力MNPGEN#とを比較し、tPo3がMNPGEN#以上のときに「1」となり、tPo3がMNPGEN#以下のときは「0」を出力する。また、バッテリ比較部33はバッテリSOCが下限所定値(SOCLLM#+下ヒステリシスHYSSLL#)以下のときに「1」を出力し、バッテリSOCがSOCLLM#以上のときは「0」を出力する。バッテリ比較部34はバッテリSOCが上限所定値(SOCCULM#−上ヒステリシスHYSSUL#)以上のときに「1」を出力し、バッテリSOCがSOCULM#以下のときは「0」を出力する。また、車速比較部35は、車速VSPが所定値(VMTPRP#−上ヒステリシスHYSVMP)以上のときに「1」を出力し、車速VSPがVMTPRP#以下のときには「0」を出力する。
【0028】
そして、エンジン始動要求判定部38が、上記いずれか一つでも「1」の出力があるときには、エンジン始動要求フラグfESTRREQを「1」としてエンジン始動要求し、これに対して上記いずれもが「0」のときには、エンジン始動要求フラグfESTRREQを「0」とする。
【0029】
これにより、目標発電電力tPo3における判定ではエンジン1の効率を考慮し、最小発電要求電力以下の効率の悪い低負荷ではエンジン1を停止させるようにしている。また、バッテリSOCについては、過剰な蓄電および放電を抑制し、例えば長い下り坂の走行など電動機4により電力回生が活発に行われる場合には、バッテリSOCが上限所定値SOCUL#以上となる判定により、エンジン始動要求を成立させずにバッテリ9の過剰な蓄電を抑制する。
【0030】
車速比較部36は車速VSPが下限所定値(VDCOFF#+下ヒステリシスHYSVOF#)以下となった場合に「1」を出力する。
【0031】
そして、減速回生禁止判定部39は、前記バッテリSOCが上限所定値(SOCUL#−上ヒステリシスHYSSUL#)以上、アイドルスイッチ37がオン、かつ車速VSPが上記下限所定値(VDCOFF#+下ヒステリシスHYSVOF#)以下となった場合、減速回生禁止判定フラグfDCREGを「1」にする。
【0032】
逆にバッテリSOCが所定値SOCUL#以下となるか、アイドルスイッチがオフとなるか、あるいは車速VSPが下限所定値VDCOFF#以上のいずれか一つでも成立したら、減速回生禁止判定フラグfDCREGを「0」にする。
【0033】
次に、エンジン停止禁止判定部41では、前記エンジン始動要求判定部38と、減速回生禁止判定部39の信号反転部40を介しての出力とに基づいて、エンジン停止禁止判定フラグfESTPINHを判定する。すなわち、エンジン始動要求フラグfESTRREQ=1で、かつ減速回生禁止判定フラグfDCREG=1のときに、エンジン停止禁止判定フラグfESTPINH=1となり、エンジン始動要求フラグfESTRREQ=0となるか、減速回生禁止判定フラグfDCREG=1のいずれかで、エンジン停止禁止判定フラグfESTPINH=0となる。
【0034】
これにより車両の走行状態、バッテリのSOCおよび目標発電電力tpO3によりエンジンの始動要求の基本フラグとしている。
【0035】
さらに、エンジン停止禁止判定フラグfESTPINHに基づき、第2のモード切換部43が、fESTPINH=1のときは、運転モードFMODE=発電モードGENMODとし、fESTPINH=0のときは運転モードFMODE=0としてエンジンを停止する。
【0036】
図4は前記協調指令値生成部105を詳細に示すブロック図である。
【0037】
ブロックB1では、前記した減速回生禁止判定フラグfDCREGに応じて、目標駆動トルクtTo0[Nm]か、0[Nm]のいずれかを選択し、選択した値をtTO01として出力する。
【0038】
すなわち、fDCREG=1(減速回生禁止)のときは0[Nm]を選択し、fDCREG=0のときはtTo0[Nm]を選択する。なお、目標駆動トルクtTo0は、アクセル操作量と車速に基づいて算出される。ここでtTo0が正値のときは駆動トルク、負値のときは回生トルクを表す。
【0039】
ブロックB2では、ブロックB1で選択されたtTo0に後述する出力回転速度(電動機の回転速度)No[rad/s]を乗じて電動機4の目標モータ出力基本値tPo0[W]を算出する。
【0040】
ブロックB3では、目標モータ出力基本値tTo0にフィルタ処理を施して目標モータ出力tPo[W]を出力する。さらにブロックB4では目標モータ出力tPo[W]を出力回転速度Noで除して目標モータトルクtTo[N]を算出する。
【0041】
次に、ブロックB5では電動機4の回転速度センサで検出した出力回転速度No[rpm]に下限処理を施す。この処理は前記したブロックB4での除算において、0(回転)で割るのを防止するためである。
【0042】
ブロックB6は下限処理された出力回転速度Noに定数G1(単位変換係数)を乗じてNoの単位を[rad/s]に変換する。
【0043】
ブロックB7では、モータ回転速度No[rpm]とブロックB4の出力である目標モータトルクtToに基づいて、電動機4で発生する損失LOSSm[W]を算出する。ブロックB8では、ブロックB2の出力である目標モータ出力基本値tPo0にこのモータ損失LOSSm[W]を加えて発電機2の目標発電電力基本値tPo0[W]を算出する。
【0044】
発電機2では、電動機4が出力する駆動トルクに相当する分の電力を発生させる必要があり、この発電量を発生させるために発電機2をエンジン1により駆動する。
【0045】
ブロックB9では目標発電電力基本値tPo1に、後述するブロックB16の発電モータ損失LOSSgを加えて目標エンジン出力基本値tPo2[W]を算出する。
【0046】
ブロックB10では、目標エンジン出力基本値tPo2に、目標充放電量tPC[W]を加えて目標エンジン出力(すなわち、これは上記した目標発電電力に相当)tPo3を算出する。なお、目標充放電量tPcは、例えばバッテリのSOCを目標SOCに一致させるための充放電電力として、図2の目標充放電量演算部104で演算される。
【0047】
次に、ブロックB14は発電機回転速度センサ24で検出した入力回転速度Ni[rpm]に基づいて、テーブル設定されたエンジンブレーキトルクTembr[Nm]を算出する。
【0048】
ブロックB15では、運転モード判定フラグfMODEに応じて0[Nm]と、後述する目標エンジントルクtTeの前回値と、エンジンブレーキトルクTembrのいずれかを選択する。この場合、fMODE=0(エンジン停止モード)のときO[Nm]を選択し、fMODE=1(発電モード)のとき、目標エンジントルクtTeの前回値を選択し、fMODE=2(モータリングモード)のときエンジンブレーキトルクTembrを選択する。
【0049】
ブロックB16はブロックB15で選択したトルク値と、入力回転速度に基づいて発電機で発生する損失LOSSgを算出する。
【0050】
ブロックB20では入力回転速度Ni[rpm]に定数G3(単位変換係数)を乗じて単位を[rad/s]に変換する。そして、ブロックB19ではブロックB10の出力である目標エンジン出力tPo3を、入力回転速度Ni[rad/s]で除して目標エンジントルクtTE[Nm]を算出する。
【0051】
なお、ブロックB21で前記した目標エンジントルクtTeの前回値をブロックB15に出力している。
【0052】
次に、ブロックB11では、ブロックB10からの目標エンジン出力tPo3に基づいて第1目標入力回転速度tNi1[rpm]をテーブルから算出する。
【0053】
また、ブロックB17では目標エンジン出力tPo3に基づいて第2目標入力回転速度tNi2[rpm]をテーブルから算出する。ただし、この場合、tPo3が負値である場合に限り有効な値が算出される。
【0054】
そしてブロックB12では、運転モード判定フラグfMODEに応じて、0[rpm]とも第1目標入力回転速度tNi1と、第2目標入力回転速度tNi2とのいずれかを選択し、選択した値を目標入力回転速度基本値tNi0[rpm]として出力する。
【0055】
ただし、この場合、fMODE=0(エンジン停止モード)のときに0[rpm]を選択し、fMODE=1(発電モード)のとき第1目標入力回転速度tNi1を選択し、fMODE=2(モータリングモード)のとき第2目標入力回転速度tNi2を選択する。
【0056】
ブロックB13では前記した目標入力回転速度基本値tNi0にフィルタ処理を施して目標入力回転速度tNi[rpm]を算出する。このフィルタ処理は発電機の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行われる。このフィルタ処理はブロックB3のフィルタ処理と同じものである。
【0057】
さらにブロックB18では、運転モード判定フラグfDCREGに応じて燃料カット要求フラグfFCRQの値を決定する。
【0058】
この場合、fMODE=0(エンジン停止モード)のときfFCRQ=1(燃料カット要求)であり、fMODE=1(発電モード)のときfFCRQ=0(燃料カット要求なし)であり、さらにfMODE=2(モータリングモード)のときfFCRQ=1(燃料カット要求)となるようにそれぞれ決定される。
【0059】
以上のように構成され、次に図5の運転モードと電力消費の関係を示す図を参照して全体的な作用を説明する。
【0060】
車両の減速運転中に電動機4により電力回生を行い、エンジンブレーキの効きを確保し、このとき、バッテリ9が充電量が上限値に達していないときには、バッテリ9に発電電力を充電するが、バッテリ9が十分に充電されているときは、発電機2に発電電力を供給して発電機2を力行させ、エンジン1を燃焼を伴わない状態で強制回転(モータリング)させ、回生電力を消費することでバッテリ9の過充電を防ぐ。
【0061】
また、同じく発電機2により電力消費を行う場合でも、回生電力が小さく、発電機2で消費しなければならない余剰な電力が少ない場合は、発電機4並びにエンジン1の回転速度をできるだけ低速度に制御する必要があるが、エンジン1には低回転側に安定限界が存在し、それ以下の回転速度では安定して回転させることはできない。したがって、安定限界から制限されるエンジン回転速度と、エンジン1をモータリングさせたときに発生するモータリングトルクとの交点から求まる等出力線(最小モータリング消費電力)以上に発電機2で消費する電力を制御することは難しい。これに対して、エンジン1のアクセル全閉状態でのファイアリングでの、安定限界回転速度との交点から求まる等出力線は、前記モータリングトルクのときよりも高い消費電力を実現できる。
【0062】
本発明では、例えば、車両が非常に緩い下り坂を走行する場合や、車両が減速から停止間際な状況で、発電機2で消費すべき余剰な回生電力が少ない場合には、最小モータリング消費電力時の等出力線以上の領域では、エンジンを燃焼させファイアリング回転をさせる。これによりエンジン1のファイアリングトルクにより、発電機2の駆動負荷が減り、エンジン安定限界内で、発電機2での消費電力を極力小さくすることができる。
【0063】
したがって、車両の停止間際まで電動機4によるエネルギ回生ができ、確実にエンジンブレーキを効かせることができる。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、車両の減速時に電動機4により電力回生するにあたり、発電機2で消費すべき電力値が所定値よりも大きいときには発電機2により、エンジン1を燃料供給することなくモータリング回転させ、また前記所定値よりも小さいときには、発電機2により、エンジン1に燃料を供給して燃焼させつつのファイアリング回転させている。エンジン1を安定限界内でモータリングさせるときの発電機2の消費電力に比較して、エンジン1をファイアリングさせての発電機2の消費電力は小さくでき、このため、緩やかな減速時など回生電力が小さく、発電機2の消費電力が小さいときでも、エンジン1をファイアリングすることにより、車両の停止直前まで、発電機1を発電させられ、安定したエンジンブレーキ性能を確保できる。
【0065】
また、減速時の電力回生は、バッテリ9の充電状態が所定の上限値以上にあるときには発電機2での電力消費を行わせ、そうでないときはバッテリ9に充電させることにより、減速時のエンジンブレーキ性能の確保と、バッテリ9の過充電を回避を可能としている。
【0066】
また、減速時の発電機2の発電電力を、エンジン1を安定限界内で回転させるときの最小モータリング消費電力に相当する値を判定値として、これと比較して、エンジン1をモータリングするかファイアリングするかを決定しているので、発電機2によりエンジン1を強制回転させるときのエンジン回転の安定性を確保できる。
【0067】
また、バッテリ9の充電状態に加えて、発電機2の消費電力と最小モータリング消費電力とに基づいてモータリングするかファイアリングするか、または回生電力をゼロにするかを判定することで、回生電力を過不足なくバッテリ9に供給する一方で、車両が停止する直前まで、減速エネルギ回生することができ、安定してエンジンブレーキを効かせることができる。
【0068】
本発明は上記した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内でなしうる、さまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される車両のシステム構成図。
【図2】統合コントロールユニットの制御内容を示すブロック図。
【図3】運転モード判定部を示すブロック図。
【図4】協調指令値生成部を示すブロック図。
【図5】エンジン運転モードと電力消費の関係を示す図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
4 電動機
9 バッテリ
10 バッテリ統合コントロールユニット(GCU)
11 エンジンコントロールユニット(ECU)
12 トランスミッションコントロールユニット(TCU)
13 エアフローメータ
14 電子制御式スロットル装置
21 電動機回転速度センサ
22 アクセル操作量センサ
23 クランク角センサ
24 発電機回転速度センサ

Claims (7)

  1. エンジンと、エンジン出力軸に連結される発電機と、車両の駆動軸に連結される電動機と、発電機と電動機に接続されるバッテリとを備え、車両の減速時に前記電動機で回生される電力を発電機に供給して消費するようにしたハイブリッド車両において、
    車両の減速時に前記発電機で消費すべき電力を算出する手段と、
    算出した電力値が所定値よりも大きいときには前記発電機によりエンジンを燃料供給することなくモータリング回転させる一方、算出した電力値が前記所定値よりも小さいときには前記発電機によりエンジンを燃料を供給して燃焼させつつファイアリング回転させる手段と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. エンジンと、エンジン出力軸に連結される発電機と、車両の駆動軸に連結される電動機と、発電機と電動機に接続されるバッテリとを備えたハイブリッド車両において、
    前記電動機の駆動力に対応して前記発電機の発電電力を設定する手段と、
    前記バッテリの充電状態を判定する手段と、
    車両の減速時に前記電動機により電力回生を行わせる電力回生手段と、
    前記バッテリ充電状態に基づいて前記回生電力を前記発電機で消費させるか否かを判定する電力消費判定手段と、
    前記発電機で回生電力を消費させるときに前記発電機の発電電力に基づいて前記エンジンをモータリング、ファイアリングのいずれの状態で回転させるのかを選択する運転モード判定手段と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記電力消費判定手段は、前記バッテリ充電状態が所定の上限値以上にあるときに前記発電機での電力消費を行わせる請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記運転モード判定手段は、前記発電機の発電電力が所定値以下のときに前記エンジンをモータリング、以上のときはファイリング状態で回転させる請求項2または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  5. 前記所定値は、前記エンジンを安定限界内で回転させるときの最小モータリング消費電力に相当する値である請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  6. 前記運転モード判定手段は、前記バッテリ状態と、車両の走行状態とに基づいて減速回生を実行するか禁止するかを判定する減速回生禁止判定手段を備え、減速回生禁止が判定されているときには、エンジン回転を停止させる請求項2〜5のいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  7. 前記減速回生禁止判定手段は、バッテリ充電状態が所定の上限値以上で、車両の車速の所定の下限値以下で、アクセル開度が所定値以下のときに、減速回生禁止判定を行うようになっている請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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