JP3891084B2 - パラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置 - Google Patents

パラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの駆動軸とモータの駆動軸とが機械的に接続された、パラレル式ハイブリッド電気自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンの排ガスに含まれる各種の物質(以下、「排ガス物質」という)を抑制することが強く望まれている。この排ガス物質とは、エンジンの種別によっても異なるが、例えば、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、パティキュレートマター(PM)などである。
【0003】
これらの各種の排ガス物質を抑制するには、エンジンの運転点(例えば、トルクと回転数)を制御することによって抑制できることが知られているが、通常、自動車のエンジンは運転点を一定とする定常運転ではなく、時々刻々とトルクや回転数が変化するため、エンジンの運転点で排ガス成分を制御するのは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、大気汚染防止や騒音低減の観点から、ハイブリッド電気自動車(HEV)に関する技術が注目され、実用化が進んでいる。
このHEVの方式としては、大別してシリーズ式とパラレル式との2方式がある。
【0005】
このうち、パラレル式は、エンジンとモータとが共に駆動輪と機械的に接続されており、双方が駆動輪を駆動出来る方式であって、エンジンによる駆動力とモータによる駆動力とを走行状態や運転者による駆動要求(運転状態)に応じて使い分けることが出来る。
また、このようなパラレル式のハイブリッド電気自動車には、エンジン回転数および負荷から車両用モータを発電運転するようにするマップと、同車両用モータを駆動運転するようにするマップとを切り換える技術も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、かかるマップ領域と排ガス物質(例えば、HC)の排出量を抑制できるエンジンの運転領域とは必ずしも一致しないため、パラレル式HEVにおいては、エンジンからの排ガスに含まれるNOxやHC等の排ガス物質の排出量を更に抑制する余地がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、エンジンからの排ガスに含まれる所定の物質を抑制することができるパラレル式ハイブリッド電気自動車を提供することを目的としている。
【0008】
【特許文献1】
特開平2001−314003号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明のパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置は、エンジンの駆動軸とモータの駆動軸とがいずれも車両の駆動輪に機械的に接続されたパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置において、運転者の運転状態に基づき該駆動輪に対する要求駆動トルクを設定する要求駆動トルク設定手段と、該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクに応じて該エンジンおよび該モータの運転状態を設定する複数の運転特性設定マップと、該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が比較的多い第1回転域である場合と、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が比較的少ない第2回転域である場合とに応じて、該複数の運転特性設定マップの中から1つのマップを選択するマップ選択手段と、該第2回転域が所定回転数以上の領域であって、該エンジンの回転数が該第2回転域にある場合において、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が最低となるエンジントルクを、該エンジン回転数毎に記憶し、目標エンジントルクとして保持する記憶手段とをそなえ、該運転特性設定マップは、該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が該第1回転域にある場合に用いられる第1回転域用制御マップと、該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が該第2回転域にある場合に用いられる第2回転域用制御マップとから構成され、該マップ選択手段は、該エンジン回転数が所定回転数未満の場合は該第1回転域用制御マップを選択し、該エンジン回転数が所定回転数以上の場合は該第2回転域用制御マップを選択し、該第1回転域用制御マップは、該駆動輪に対する要求駆動トルクを、該エンジンによるエンジントルクよりも該モータによるモータトルクから優先して得るように設定され、該第2回転域用制御マップは、該エンジンを該目標エンジントルクに沿って該エンジンを優先的に運転させるとともに、該目標エンジントルクよりも該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクの方が大きい場合は該モータを駆動させて不足トルクを補うように設定し、該目標エンジントルクよりも該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクの方が小さい場合は該モータを発電機として作動させて余剰トルクを発電に用いるように設定され、該所定物質が、二酸化炭素,一酸化炭素,炭化水素,窒素酸化物およびパティキュレートマターよりなる群から選ばれる少なくともいずれか1つであることを特徴としている。
【0010】
このため、エネルギ損失を抑制し、効率的な走行が可能となるとともに、効果的に排ガスに含まれる所定物質の成分量を抑制することが出来る。
さらに、排ガス中の所定物質の成分量を効果的に抑制することが可能となるとともに、運転者の駆動要求を確実に実現しながら、エネルギ損失を抑制することが可能となる。
【0011】
また、エンジン回転数に応じた駆動力を、適切に駆動輪に伝達することが、簡素な構成で可能となる向上にも寄与すること出来る。
また、請求項記載のパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該モータに電力を供給するバッテリと、該バッテリの電力残存容量を検出する電力残存容量検出手段とをそなえ、該運転特性設定マップが、該電力残存容量検出手段で検出された電力残存容量と該要求駆動トルク設定手段によって設定された該要求駆動トルクとに応じて、該エンジンおよび該モータの駆動状態を設定することを特徴とする。
【0012】
このため、SOCを適切なレベルに保ちつつ、高効率でハイブリッド電気自動車を走行させることが可能となる
【0013】
このため、排ガス中の所定物質の成分量を効果的に抑制することが可能となるとともに、運転者の駆動要求を確実に実現しながら、エネルギ損失を抑制することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置について、図1〜図4を用いて説明すると、図1はその要部構成を示す模式的なブロック図、図2はエンジンの運転状態を示すグラフであってトルク配分制御マップ切換え回転数αを示す図、図3はHEV車両の駆動力源を制御するための運転特性設定マップの模式図であってエンジン回転数が低速回転域にある場合を示す図、図4はHEV車両の駆動力源を制御するための運転特性設定マップの模式図であって、エンジン回転数が高速回転域にある場合を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車40は、主に、総合制御部(動力制御装置;ECU)50、エンジン62、クラッチ63、モータ64、変速機65、バッテリ71およびインバータ72などよって構成されている。以下、これらの機器について簡単に説明する。
エンジン62はディーゼルエンジンであって、その駆動軸(図示略)はクラッチ63,モータ64,変速機65およびプロペラシャフト(駆動輪の駆動軸)66を介して駆動輪67と機械的に接続され、エンジン62によって生じるエンジン駆動力によって駆動輪67を駆動させてHEV車両40を走行させるものである。
【0016】
また、エンジン62は、モータ64を発電機(ジェネレータ)として機能させた場合に、モータ64の駆動力源となって高電圧(例えば約300V)の交流電力の発電を行なうものでもある。
このエンジン62には、運転者の駆動要求に応じて踏み込まれるアクセルペダル61の踏み込み量を検出してECU50に検出結果を送信するアクセル開度センサ68が、電気的に接続されている。更に、エンジン62には、エンジン駆動軸の回転数Neを計測するエンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)69が付設されている。
【0017】
クラッチ63は電磁クラッチであって、エンジン62とモータ64との機械的接続を断切するようになっており、その動作は後述するECU50によって制御されるようになっている。
モータ64は、後述するバッテリ71からインバータ72を介して電力を得て、電動機(モータ)として機能し、駆動輪67を駆動するように構成されている。
【0018】
一方、モータ64が発電機として機能する場合には、クラッチ63を介してエンジン駆動力をモータ64へ入力する。このとき、モータ64は高電圧(例えば、約300V)の交流電力を発電する。なお、この高圧交流電力はインバータ72によって直流電力に変換された後にバッテリ71に蓄えられる。
さらに、モータ64は車両の制動時などの回生ブレーキ時にも発電機として作動するようになっており、この場合は、駆動輪67の回転による運動エネルギを、発電機として機能しているモータ64が、電気エネルギ(電力)へと変換した後、インバータ72を介してバッテリ71へ蓄えるようになっている。なお、モータ64を電動機もしくは発電機として機能させるか等の動作制御はECU50によって行なわれる。
【0019】
変速機65は、エンジン62の駆動力またはモータ64の駆動力によって駆動されるモータ駆動軸(図示略)の回転速度を適宜変速して駆動輪67へ伝達するものである。また、この変速機65は、上述の回生ブレーキ作動時には、駆動輪67の回転(運動エネルギ)によって回転するプロペラシャフト66の回転を適宜変速した後にモータ64へ入力するようになっている。なお、変速機65の動作はECU50によって制御されるようになっている。
【0020】
バッテリ71は高電圧(例えば約300V)の直流電力を充放電可能にするために、インバータ72と電気的に接続されている。また、バッテリ71にはバッテリ71内に蓄えられている電力残存量を計測するための電力センサ(電力残存容量検出手段)73が設けられている。
インバータ72はバッテリ71とモータ64との間に電気的に介装され、バッテリ71に蓄えられた直流電力を交流電力に変換してからモータ64へ送給したり、モータ64をジェネレータとして機能させた場合に発電される高電圧の交流電力を直流電力に変換してからバッテリ71に送給してバッテリ71に対する充電を行なったりするものである。さらに、インバータ72はバッテリ71に蓄えられた直流電力を交流電力に変換してからモータ64へ送給する際、モータ64の回転数に応じた周波数の交流電力となるように調整することによってモータ64の運転効率を高める機能もそなえている。
【0021】
ECU50は、上述のアクセル開度センサ68,エンジン回転数センサ69,エンジン62,クラッチ63,モータ64,変速機65,バッテリ71およびインバータ72のそれぞれに電気的に接続され、各機器を総合的に制御するためのものであり、主に、メモリ(記憶手段)51とCPU(図示略)とから構成されている。
【0022】
メモリ51には、ソフトウェアによって実現される要求トルク設定手段56、マップセレクタ(マップ選択手段)57、2つの運転特性設定マップ58a、58b及び目標エンジントルクTeが記憶されている。
このうち、要求駆動トルク設定手段56は、アクセル開度センサ68によって検出されたアクセルペダル61の踏み込み及びエンジン回転数に基づき、車両の走行に際して要求される駆動トルク(以後、「要求駆動トルク」という)を算出、設定するものである。
【0023】
マップセレクタ57は、メモリ51内に保持されている複数の制御マップ58a,58b中から、エンジン回転数検出手段69によって検出されたエンジン回転数Neに対応した制御マップを選択するものである。
運転特性設定マップ58は、エンジン62が低回転域(第1回転域;例えば、アイドル回転数以上から1500rpm未満)で運転されている場合に用いられる低回転域用制御マップ(第1回転域用制御マップ)58aと、エンジン62が高回転域(第2回転域;例えば、1500rpm以上)で運転されている場合に用いられる高回転域用制御マップ(第2回転域用制御マップ)58bとを有しており、マップセレクタ57によって適宜選択されるようになっている。
【0024】
ここで、この2つのマップの切換えを図2を使って説明する。
図2に示すエンジン運転状態を示すグラフにおいては、縦軸にエンジントルク、横軸にエンジン回転数が設定され、制御マップ切換え回転数αよりも回転数が低い領域が低回転領域Aとして設定されるとともに、制御マップ切換え回転数αよりも回転数が高い領域が高回転領域Bとして設定されており、この低回転領域A内でエンジン62が運転している場合には、低回転域用制御マップ58aが用いられて要求駆動トルクを実現するための制御を行なう一方、高回転領域B内でエンジン62が運転している場合には、高回転域用制御マップ58bが用いられて駆動トルクを制御するようになっている。なお、低回転域用制御マップ58aと高回転域用制御マップ58bとの総称として「運転特性設定マップ58」と記載する場合があり、また、この運転特性設定マップ58については、図3および図4等を用いて詳しく後述する。
【0025】
目標エンジントルクTeは、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量が最低となるトルクを各回転数ごとに計測してプロットした点を線で結んだ設定値である。
つまり、この目標エンジントルクTeに沿ってエンジン62を運転すれば、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量を大幅に抑制することが出来る。
【0026】
ところで、図2に示すグラフの中で低回転領域A内には目標エンジントルクTeが設定されていない。これは、トルク配分制御マップ切換え回転数α未満のエンジン回転数域(つまり低回転領域A内)においては、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量の最低量が、トルク配分制御マップ切換え回転数α以上(つまり高回転領域B内)で運転する場合に較べて、非常に多いためである。換言すれば、低回転領域AにおいてNOxが最低となるトルクでエンジン62を運転しても、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量の抑制に対してあまり効果が無い。そこで、低回転領域Aにおいてはエンジン62のトルクを制御するのではなく、主にモータ64により要求駆動トルクを実現させ、極力エンジン62の運転を停止することで、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量を抑制するようにしている。
【0027】
一方、トルク配分制御マップ切換え回転数α以上の領域(つまり、高回転領域B)においては、目標エンジントルクTeの特性線に沿ってエンジン62を運転すれば、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量の低減に効果があるので、この場合には、主にエンジン62により要求駆動トルクを実現するように制御して、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量を抑制するようにしている。
【0028】
次に、上述の排ガス内のNOx量抑制に着目してエンジン62とモータ64との駆動状態を制御する際に用いられる運転特性設定マップ58について説明する。
まず、図3を使って低速回転域用制御マップ58aを説明する。
図3に示すように、低回転域用制御マップ58aは、縦軸に要求駆動トルク、横軸にバッテリ71における電力残存量(SOC)が設定され、この横軸上には、下限SOC、目標SOC、上限SOCのそれぞれが設定されている。
【0029】
下限SOCとは、これ以上、バッテリ71内の蓄電量が低下すると、モータ64を駆動するのに必要な電力が足りなくなるおそれがあるとして事前に定められた値であって、例えば、バッテリ71の満充電を100%とした場合の45%近傍の蓄電量である。
目標SOCとは、バッテリ71内の蓄電量が最適であるとして事前に定められた値であって、例えば、蓄電量50%近傍の値である。
【0030】
上限SOCとは、これ以上、バッテリ71内の蓄電量が増加すると、バッテリ71が過充電状態になってしまうおそれがあるとして事前に定められた値であって、例えば、蓄電量55%近傍の値である。
また、低回転域用制御マップ58aの領域は、第一領域1、第二領域2、第三領域3、第四領域4、第五領域5および第六領域6に区分されている。なお、以下、アクセルペダル61の踏み込み量とエンジン62の回転数によって設定される要求駆動トルクと、バッテリ71におけるSOCとによって定まる値を、「制御点」として説明する。
【0031】
この低回転域用制御マップ58aは、低回転領域Aでエンジンを低回転で運転している場合(つまり、エンジンの回転数が低回転である場合)に用いられるマップである。
この低回転域用制御マップ58aにおいては、低回転で運転しているエンジンからの排ガスに含まれるNOx成分量は多量となってしまうため、エンジン62の運転を控える一方、極力モータ64によるモータ駆動力を用いてHEV車両40を走行させる制御を設定している。
【0032】
すなわち、図3の低回転域用マップ58aに示すように、電力が十分に蓄えられており(つまり、バッテリSOCが目標SOC以上)、且つ、ドライバの要求駆動トルクがモータ最大トルク以下である場合(第五領域5および第六領域6参照)、モータトルクのみを走行に用い、また、エンジン62は無負荷運転(アイドル相当)に制御される。つまりこの場合、運転者の要求駆動トルクは下式(1)のように設定される。
【0033】
要求駆動トルク=モータトルク (1)
また、要求駆動トルクの大きさが、モータ64が出力することが出来るモータ最大トルクを超えている場合には(第三領域3および第四領域4参照)、エンジン62を作動させて、モータ64によるトルクでは賄いきれない不足トルクだけをエンジントルクによって補うようになっている。つまり、この場合、運転者による要求駆動トルクは下式(2)のようにして満たされる。
【0034】
要求駆動トルク=モータ最大トルク + エンジントルク (2)
上述のように、エンジン62の運転状態を制御することにより、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx成分量を抑制することが可能となる。
なお、バッテリ71のSOCが目標SOC以下となった場合には(第二領域2参照)、SOCの低下を回避すべくモータ64の作動を停止し、エンジン62のエンジントルクのみを走行に用いるように制御される。この場合、要求駆動トルクは下式(3)のように設定される。
【0035】
要求駆動トルク=エンジントルク (3)
また、バッテリ71のSOCが下限SOC以下に低下してしまった場合は(第一領域1参照)、モータ64を発電機として作動させるとともに、エンジントルクを走行と発電との双方に用いる制御を実行するようになっている。この場合、要求駆動トルクは下式(4)で表される。なお、以下の「モータ発電トルク」とは、発電機として機能しているモータ4を駆動して発電させる際に消費されるトルクであって、その値は負である。
【0036】
要求駆動トルク=エンジントルク+モータ発電トルク (4)
上述のように、第一領域1および第二領域2においては、排ガスに含まれるNOx量が比較的多い低回転域において、主にエンジン62を運転する制御を行なうため、主にモータ64を運転する第三領域3,第四領域4,第五領域5および第六領域6での運転に較べてNOx排出量が増大することになるが、これはバッテリ71のSOCが回復するまでの一時的な運転であるため、NOx排出量の増大も一時的なものであるので、NOx排出量の増大は極力抑制される。
【0037】
次に、図4を使って高回転域制御マップ58bを説明する。
この高回転域用制御マップ58bは、高回転領域Bでエンジンを運転している場合(つまり、エンジンの回転数が高回転である場合)に用いられるマップである。
つまり、高回転で運転しているエンジン62からの排ガスに含まれるNOx成分量は、基本的に少量であるため、高回転域用制御マップ58bにおいては、エンジン62による駆動トルクを主に用いてHEV車両40を走行させる制御を行なうことを原則としている。具体的には、エンジン62をNOx排出量が最低となる目標エンジントルクTeで定常的に運転させておき、この目標エンジントルクTeと運転者の希望する要求駆動トルクとの差分トルクを、電動機としてのモータ64によって補ったり、発電機としてのモータ64によって消費したりする制御を行なう。
【0038】
例えば、第九領域9においては、エンジン62を目標エンジントルクTeに沿うように定常的に運転させておき、この目標エンジントルクTeでは要求駆動トルクを賄いきれない不足トルクをモータトルクで補う制御を行なっている。この場合、要求駆動トルクは下式(5)のように設定される。
要求駆動トルク=目標エンジントルクTe+モータトルク (5)
また、例えば、第十一領域11および第十二領域12においては、エンジン62を目標エンジントルクTeで定常的に運転させておき、この目標エンジントルクTeでは要求駆動トルクよりも過剰となってしまうトルク(余剰トルク)を、発電機として機能するモータ64を駆動するために必要なトルク(モータ発電トルク)として消費する制御を行なっている。この場合、要求駆動トルクは下式(6)のように設定される。なお、上述のように、モータ発電トルクは負である。
【0039】
要求駆動トルク=目標エンジントルクTe+モータ発電トルク (6)
なお、バッテリ71のSOCが目標SOCよりも低下し、且つ、目標エンジントルクよりも要求駆動トルクが大きい場合には(第八領域8参照)、SOCの低下を回避すべくモータ64の作動を停止し、エンジン62の駆動トルクのみによる走行を行なうように制御される。この場合、要求駆動トルクは下式(7)のように設定される。
【0040】
要求駆動トルク=エンジントルク (7)
また、バッテリ71のSOCが下限SOC以下に低下してしまった場合は(第七領域7参照)、モータ64を発電機として作動させて、エンジン62の駆動トルクを走行と発電との双方に用いる制御を実行するようになっている。この場合、要求駆動トルクは下式(8)で表される。
【0041】
要求駆動トルク=エンジントルク+モータ発電トルク (8)
また、バッテリ71のSOCが上限SOC以上に上昇してしまった場合は(第十領域10および第十三領域13参照)、モータ64による駆動トルクによってHEV車両40を走行させるように制御するとともに、モータ64による最大トルクである最大モータ駆動トルクによって要求駆動トルクを達成できないトルク分を、エンジン62によるエンジン駆動トルクによって補うようになっている。
【0042】
つまり、第十領域10においては、要求駆動トルクが下式(9)で設定される。
要求駆動トルク=モータ最大トルク + エンジントルク (9)
また、第十三領域13においては、要求駆動トルクが下式(10)で設定される。
【0043】
要求駆動トルク=モータトルク (10)
なお、第十三領域13においては、エンジン62は無負荷運転で運転している。
第十領域10および第十三領域13において、モータ64による走行に切り換えるのは、バッテリ71のSOCが既に上限SOCを超えてしまっており、バッテリ71を過充電状態としてしまうおそれがあるからである。そこで、第十領域10および第十三領域13においては、優先的にモータ64を電動機として使用する制御を行ない、バッテリ71のSOCを上限SOCよりも下回るようにしている。
【0044】
また、上述のように、第七領域7、第8領域8および第十領域10においては、エンジン62を目標エンジントルクTeから外して運転する制御を行なうため、排ガスに含まれるNOx量は第九領域9、第十一領域11および第十二領域12での運転に較べてNOx排出量が増大することになるが、これはバッテリ71のSOCが適正化するまでの一時的な運転であり、NOx排出量の増大は極力抑制される。
【0045】
本発明の一実施形態としてのパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置は上述のように構成されるので、以下のような作用・効果が得られる。
まず、要求トルク設定手段56では、アクセル開度センサ68からのアクセル開度情報およびエンジン回転数検出手段69からのエンジン回転数情報Neに基づいて、HEV車両40に対する要求駆動トルクを算出する。
【0046】
そして、マップセレクタ57は、エンジン回転数検出手段69からの情報に基づき、複数の運転特性設定マップ58の中からエンジン回転数検出手段69から得たエンジン62の回転数Neに応じて、1つの制御マップを選択する。ここで、エンジン62の回転数が制御マップ切換え回転数α(例えば、1500rpm)未満であれば、図3に示す低回転域用制御マップ58aが選択され、一方、エンジン62の回転数が制御マップ切換え回転数α(例えば、1500rpm)以上であれば、図4に示す高回転域用制御マップ58bが選択される。
【0047】
そして、選択された低回転域用制御マップ58aもしくは高回転域用制御マップ58bに基づいて、ECU50はインバータ72,エンジン62,クラッチ63,モータ64および変速機65を制御する。
ここで、図3に示す低回転域用運転特性設定マップ58aに基づく制御の作用について説明する。
【0048】
図3に示す第一領域1に制御値がある場合、図1に示すECU50はHEV車両40の走行にエンジン62による駆動力のみを用いるように制御する。具体的には、クラッチ63を接続状態とし、さらに、要求トルク設定手段56によって算出された要求駆動トルクやエンジン回転数検出手段69によって検出されたエンジン62の回転数Neなどに応じて、エンジン62や変速機65制御して駆動輪67を駆動させる。また、これと同時に、モータ64やインバータ72に対しては、モータ64が発電機として機能するように指令し、エンジン駆動力が入力されたモータ64が高電圧の交流電力を発電するように制御する。
【0049】
この第一領域1においては、要求駆動トルクの大小にかかわらず、SOCが下限SOC未満である場合に行なう制御が設定されている。つまり、第一領域1においては、バッテリ71のSOCが非常に低いので、バッテリ71の充電を最優先に行なう必要がある。このため、モータ64を発電機として機能させてから、エンジン62によるエンジン駆動力をモータ64に入力し、発電された電力をバッテリ71に蓄え、これと同時に、エンジン駆動力を駆動輪67に伝達してHEV車両40を走行させるように制御している。
【0050】
また、図3に示す第二領域2に制御値がある場合、図1に示すECU50はクラッチ63を接続状態とし、更に要求トルク設定手段56によって算出された要求駆動トルクやエンジン回転数検出手段69によって検出されたエンジン62の回転数Neなどに応じてエンジン62および変速機65制御して駆動輪67を駆動させる。また、モータ64やインバータ72に対して、モータ64が発電機としても電動機としても機能しないように指令して、エンジン駆動力のみによって駆動輪67が駆動するように制御する。
【0051】
この第二領域2は、要求駆動トルクの大小にかかわらず、SOCが下限SOC以上から目標SOC未満である場合に行なう制御を設定している。また、第二領域2内においては、バッテリ71のSOCが下限SOCを上回っているので緊急にバッテリ71を充電する必要はないが、目標SOCを下回っているので、SOCを下げることも避けたい。そこで、ECU50は、モータ64を電動機としても発電機としても使用せず、エンジン62によるエンジン駆動力のみを駆動輪67へ入力してHEV車両40を走行させるように制御している。
【0052】
そして、図3に示す第三領域3および第四領域4に制御値がある場合、図1に示すECU50は、モータ64に最大トルクを出力するように指示するとともに、クラッチ63を接続状態として、モータ最大トルクによって賄えない要求駆動トルクの不足トルクをエンジン62から出力すべくエンジン62に指示する。
この第三領域3は、要求駆動トルクがモータ最大トルクよりも大きく、且つ、SOCが目標SOC以上で上限SOC未満との間である場合に行なう制御を定義しており、また、第四領域4は、要求トルクがモータ最大トルクよりも大きく、且つ、SOCが上限SOC以上である場合に行なう制御を定義している。この第三領域3および第四領域4はバッテリ71のSOCが目標SOC以上であるので、モータ64を積極的に運転してHEV車両40の走行用駆動力源として用いる制御を行なう。
【0053】
図3に示す第五領域5と第六領域6とに制御値がある場合、図1に示すECU50は、要求トルク設定手段56によって算出された要求トルクに応じて、モータ64が最大トルク以下の範囲内で出力制御されるとともに、モータ64によるモータ駆動力のみで駆動輪67を駆動するように制御する。このとき、エンジン62に対しては、無負荷運転となるように指示する。
【0054】
この第五領域5は、要求駆動トルクがモータ最大トルク未満で、SOCが目標SOC以上で上限SOC未満である場合に行なう制御を設定しており、また、第六領域6は、要求トルクがモータ最大トルク未満で、SOCが上限SOC以上である場合に行なう制御を設定している。この第五領域5および第六領域6においては、バッテリ71のSOCが目標SOCを上回っているので、モータ64を積極的に運転し、モータ64をHEV車両40の走行用駆動力源として用いる制御を行なう。また、要求駆動トルクをモータ64によるモータ駆動力のみで達成出来るので、エンジン62によるエンジン駆動力を用いる必要がない。
【0055】
次に、図4に示す高回転域用運転特性設定マップ58bに基づく制御の作用について説明するが、図4に示す第七領域7に制御値がある場合は上述の図3に示す第一領域1と同様の制御が行なわれ、同様に、図4に示す第八領域8に制御値がある場合は上述の第10図に示す第二領域2と同様の制御が行なわれ、また、図4に示す第十領域10に制御値がある場合は上述の図3に示す第三領域3や第四領域4と同様の制御が行なわれ、更に、図4で示す第十三領域13に制御値がある場合は上述の図3に示す第六領域6と同様の制御が行なわれるので、ここではこれらの説明は省略する。
【0056】
図4に示す、第九領域9に制御値がある場合、図1に示すECU50は、クラッチ63を接続状態とし、また、エンジン62に対して目標エンジントルクTeに基づいて運転するように制御する。また、要求駆動トルクから目標エンジントルクTeを減算することによって求められる不足トルクを、モータ64から得られるように、モータ64を制御する。
【0057】
この第九領域9は、要求駆動トルクが目標エンジントルクTeよりも大きく、且つ、SOCが目標SOC以上で上限SOC未満である場合に行なう制御を設定している。
ここで、もう一度、目標エンジントルクTeについて説明しておく。
目標エンジントルクTeとは、例えば図2を使って上述した通り、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量が最低となるトルクを、各回転数ごとに計測してプロットした点を線で結んだ設定値であって、図2中の一点差線で示すことが出来る。つまり、エンジン62を、この目標エンジントルク59に沿って運転すれば、エンジン62からの排ガスに含まれるNOx量を大幅に抑制することが出来る。
【0058】
そこで、この第九領域9に制御点がある場合には、エンジン62の運転点を目標エンジントルクとなるように固定しておき、目標エンジントルクでは満たすことが出来ない要求駆動トルク(つまり要求駆動トルクと目標エンジントルクとの差分である不足トルク)をモータ64によるモータ駆動力によって補う制御を行なうようになっている。
【0059】
図4に示す、第十一領域11および第十二領域12に制御値がある場合、図1に示すECU50は、クラッチ63を接続状態とし、また、エンジン62に対して目標エンジントルクTeに基づいて運転するように指示する。また、目標エンジントルクTeから要求駆動トルクを減算して求められた余剰トルクを、発電機として機能するモータ64に入力することによって発電を行なうように制御する。
【0060】
第十一領域11は、要求駆動トルクが目標エンジントルクよりも小さく、且つ、SOCが下限SOC以上で目標SOC未満である場合に行なう制御を設定しており、また、第十二領域12は、要求トルクが目標エンジントルクよりも小さく、且つ、SOCが目標SOC以上で上限SOC未満の場合に行なう制御を設定している。
【0061】
この第十一領域11および第十二領域12において、ECU50は、エンジン62の運転点を上述の目標エンジントルクTeで固定するとともに、この目標エンジントルクTeよりも要求駆動トルクが小さい場合に生ずる余分なトルク(余剰トルク)を発電機として機能するモータ64の駆動へ転用する制御を行なう。なお、この余剰トルクは目標エンジントルクTeから要求駆動トルクを減算することによって求められる。
【0062】
上述のように、本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置によれば、エンジンの回転数に応じたマップに基づき、エンジンによるエンジン駆動力とモータによるモータ駆動力とを、選択的もしくは複合的に前記ハイブリッド電気自動車の駆動輪に伝達することが可能であるので、エネルギ損失を抑制し、効率的な走行が可能となる。
【0063】
また、エンジンが低回転で運転される場合(例えば、車両発進時など)に選択される低回転域用制御マップと、エンジンが高回転で運転される場合(例えば、巡航時など)に選択される高回転域用制御マップとの2つのマップにより、エンジン回転数に応じた駆動力源を効率よく駆動輪に伝達することを、簡素な構成で実現できる。
【0064】
更に、上述の制御マップの切換えが行なわれるエンジン回転数を、エンジンからの排ガスに含まれるNOx成分量に着目して設定しているので、効果的にNOx排出量を抑制することが出来る。
また、運転特性設定マップが、運転者による駆動要求である駆動要求トルクと、バッテリ内の電力残存容量(SOC)に基づき設定されるので、SOCを適切なレベルに保ちつつ、高効率でハイブリッド電気自動車を走行させることが可能となる。
【0065】
特に、エンジンからの排ガスに含まれるNOx成分量が最低となるエンジントルクを、エンジンの回転数ごとに記憶した目標エンジントルクに沿ってエンジンを運転することで、NOx排出量を効果的に抑制することが可能となる。更に、目標エンジントルクと要求駆動トルクとの差分トルクが正であれば、前記の差分トルクは余剰トルクであるので、これを発電に用いることでエネルギ損失することなく電力としてバッテリに蓄え、一方、前記の差分のトルクが負であれば不足トルクであるので、これをモータによるモータ駆動力によってアシストすることで、エンジンからの排ガスに含まれるNOx成分量を効果的に抑制しながらも、運転者による駆動要求に的確に対応できるとともに、エネルギ損失を抑制することが可能となる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施態様およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが出来る。
例えば、上述の実施形態においては、クラッチ63を電磁クラッチとして説明したが、流体クラッチや摩擦クラッチでもよい。ここで、クラッチ63に摩擦式クラッチを採用した場合は、単板式であっても複板式であってもよく、また、乾式/湿式とを問わない。
【0067】
また、バッテリ71をリチウムイオン電池として説明したが、ニッケル水素電池でもよく、また、鉛電池等であってもよい。
また、上述の実施形態においては、エンジン62がディーゼルエンジンである場合を示したが、ディーゼルエンジン以外のエンジン、例えば、ガソリンエンジンやガスタービンエンジンなどであってもよい。
【0068】
しかし、ディーゼルエンジンの排ガス成分を浄化する場合は、三元触媒に代表される排気浄化装置を用いることがエンジン特性上困難であるので、排ガス中に含まれるNOxやHC等の成分量を、エンジン内で燃焼した空気がエンジンから排気される時点で抑制された状態とすることができる本発明を適用することは大変に好ましい。以下この理由について説明する。
【0069】
ガソリンエンジンの排気ガス浄化システムにおいては、排ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の三種の排ガス物質を同時に浄化することができる、いわゆる三元触媒と呼ばれる浄化装置が排気管に取り付けられており、理論空燃比付近で燃焼した場合に限って、前出の排ガス物質を浄化することができるようになっている。
【0070】
この三元触媒における浄化を簡単に説明すると、まず、理論空燃比付近で燃焼させたCO、HC,NOxのそれぞれを含む排ガスを三元触媒に入力すると、三元触媒はNOxからOを取除き、このOでCOとHCを酸化させ、その結果、NOxをN2とし、また、COとHCをCO2とH2Oとする。
しかし、ディーゼルエンジンは空気(酸素)過剰状態で軽油を燃焼させているため、排ガス中においても酸素過多となり、三元触媒を使っても、NOxの浄化を行なうことは困難である。
【0071】
また、リーンNOx触媒を用いれば、酸素過多な排ガスからNOxを取除くことは原理的には可能だが、リーンNOx触媒は硫黄に対して弱く、硫黄分が多く含まれた軽油を燃料として用いるディーゼルエンジンには、リーンNOx触媒を用いることも困難である。
従って、上述のように、ディーゼルエンジンにおいては排気系機器において排ガス浄化を行なうのが困難であるため、エンジンから排ガスが放出された時点で既に排ガス物質が抑制される本発明のメリットは大きい。
【0072】
さらに、ディーゼルエンジンは、運転点に関わらず、燃費が良好であるため、本発明のようにエンジンの運転点(例えば、トルクと回転数)を制御することによって排ガス物質(例えば、NOxやHCなど)を抑制したとしても、引き続き良好な燃費で運用することが可能であるため、本願発明はディーゼルエンジンを用いたパラレル式HEVに特に有用であるといえる。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のパラレル式ハイブリッド電気自動車によれば、エンジンの回転数に応じたマップに基づき、エンジンによるエンジン駆動力とモータによるモータ駆動力とを、選択的もしくは複合的に前記ハイブリッド電気自動車の駆動輪に伝達することが可能であるので、エネルギ損失を抑制し、効率的な走行が可能となる。
【0074】
また、上述の制御マップの切換えが行なわれるエンジン回転数を、エンジンからの排ガスに含まれる排ガスに含まれる所定物質の成分量に着目して設定すれば、効果的に所定物質の成分量を抑制することが出来る。
また、エンジンが低回転で運転される場合(例えば、車両発進時など)に選択される低回転域用制御マップと、エンジンが高回転で運転される場合(例えば、巡航時など)に選択される高回転域用制御マップとの2つのマップをそなえることにより、エンジン回転数に応じた駆動力源を、適切に駆動輪に伝達することが、簡素な構成で可能となる。
また、エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が最低となるエンジントルクを、エンジンの回転数ごとに記憶した目標エンジントルクに沿ってエンジンを運転することで、排ガス中の所定物質の成分量を効果的に抑制することが可能となる。さらに、目標エンジントルクと要求駆動トルクとの差分のトルク(余剰トルクもしくは不足トルク)を効率的に利用もしくは補うことで、運転者の駆動要求を満たしながら、エネルギ損失を抑制することが可能となる。(請求項1)
【0075】
また、運転特性設定マップが、運転者による駆動要求である駆動要求トルクと、バッテリ内の電力残存容量(SOC)に基づき設定されるようにすれば、SOCを適切なレベルに保ちつつ、高効率でハイブリッド電気自動車を走行させることが可能となる。(請求項2)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車の構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車のエンジン運転状態を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車の駆動力源を制御するための運転特性設定マップの模式図であって、エンジン回転数が低速回転域にある場合を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るパラレル式ハイブリッド電気自動車の駆動力源を制御するための運転特性設定マップの模式図であって、エンジン回転数が高速回転域にある場合を示す図である。
【符号の説明】
40 HEV車両(パラレル式ハイブリッド電気自動車)
50 統合制御部(動力制御装置;ECU)
51 メモリ(記憶手段)
57 マップセレクタ(マップ選択手段)
58 運転特性設定マップ
58a 低回転域用制御マップ(運転特性設定マップ)
58b 高回転域用制御マップ(運転特性設定マップ)
62 ディーゼルエンジン(エンジン)
64 モータ(電動機/発電機)
67 駆動輪
69 エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
71 バッテリ
73 電力センサ(電力残存量検出手段)

Claims (2)

  1. エンジンの駆動軸とモータの駆動軸とがいずれも車両の駆動輪に機械的に接続されたパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置において、
    運転者の運転状態に基づき該駆動輪に対する要求駆動トルクを設定する要求駆動トルク設定手段と、
    該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクに応じて該エンジンおよび該モータの運転状態を設定する複数の運転特性設定マップと、
    該エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
    該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が比較的多い第1回転域である場合と、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が比較的少ない第2回転域である場合とに応じて、該複数の運転特性設定マップの中から1つのマップを選択するマップ選択手段と
    該第2回転域が所定回転数以上の領域であって、該エンジンの回転数が該第2回転域にある場合において、該エンジンからの排ガスに含まれる所定物質の成分量が最低となるエンジントルクを、該エンジン回転数毎に記憶し、目標エンジントルクとして保持する記憶手段とをそなえ、
    該運転特性設定マップは、該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が該第1回転域にある場合に用いられる第1回転域用制御マップと、該エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が該第2回転域にある場合に用いられる第2回転域用制御マップとから構成され、
    該マップ選択手段は、該エンジン回転数が所定回転数未満の場合は該第1回転域用制御マップを選択し、該エンジン回転数が所定回転数以上の場合は該第2回転域用制御マップを選択し、
    該第1回転域用制御マップは、該駆動輪に対する要求駆動トルクを、該エンジンによるエンジントルクよりも該モータによるモータトルクから優先して得るように設定され、
    該第2回転域用制御マップは、該エンジンを該目標エンジントルクに沿って該エンジンを優先的に運転させるとともに、該目標エンジントルクよりも該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクの方が大きい場合は該モータを駆動させて不足トルクを補うように設定し、該目標エンジントルクよりも該要求駆動トルク設定手段で設定された要求駆動トルクの方が小さい場合は該モータを発電機として作動させて余剰トルクを発電に用いるように設定され、
    該所定物質が、二酸化炭素,一酸化炭素,炭化水素,窒素酸化物およびパティキュレートマターよりなる群から選ばれる少なくともいずれか1つである
    ことを特徴とする、パラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置。
  2. 該モータに電力を供給するバッテリと、
    該バッテリの電力残存容量を検出する電力残存容量検出手段とをそなえ、
    該運転特性設定マップが、該電力残存容量検出手段で検出された電力残存容量と該要求駆動トルク設定手段によって設定された該要求駆動トルクとに応じて、該エンジンおよび該モータの駆動状態を設定するように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載のパラレル式ハイブリッド電気自動車の動力制御装置
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