JP2004247626A - 固体撮像素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特性の劣化を伴うことなくチャネル領域を狭小化した固体撮像素子を提供する。
【解決手段】半導体基板の表面に形成される半導体基板と同導電型を有するチャネル領域28と、チャネル領域28の表面領域に互いに略平行に延在して形成された逆導電型を有する分離領域26と、分離領域26に略直交し、互いに略平行に延在して配置された複数の転送電極32とを含み、複数の分離領域26相互の間隔は、転送電極32に電圧を印加することによってチャネル領域28内にポテンシャル井戸が形成される距離とした固体撮像素子。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体基板の表面に形成される半導体基板と同導電型を有するチャネル領域28と、チャネル領域28の表面領域に互いに略平行に延在して形成された逆導電型を有する分離領域26と、分離領域26に略直交し、互いに略平行に延在して配置された複数の転送電極32とを含み、複数の分離領域26相互の間隔は、転送電極32に電圧を印加することによってチャネル領域28内にポテンシャル井戸が形成される距離とした固体撮像素子。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD固体撮像素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子の構成を示す概略図である。フレーム転送方式のCCD固体撮像素子は、撮像部10i、蓄積部10s、水平転送部10h及び出力部10dから基本的に構成される。撮像部10iには、光電変換素子列を兼ねる垂直シフトレジスタが蓄積部10sに向かう方向に延在して互いに平行に配置される。撮像部10iに入射した光は、各光電変換素子によって情報電荷に変換され、垂直転送されて蓄積部10sに出力される。蓄積部10sは、撮像部10iの垂直シフトレジスタに連続する遮光された垂直シフトレジスタから構成される。情報電荷は一旦蓄積部10sに保持された後、1行ずつ水平転送部10hへ転送される。水平転送部10hは、出力部10dに向かう方向に延在する1行の水平シフトレジスタから構成される。水平転送部10hは、蓄積部10sから転送された情報電荷を受けて、情報電荷を1画素単位で出力部10dへ転送する。出力部10dは1画素毎の電荷量を電圧値に変換し、その電圧値の変化がCCD出力として取り出される。
【0003】
図7は、従来のCCD固体撮像素子の撮像部10iの構造を示す平面図である。また、図8は、図7に示す撮像部10iをX−X方向に切り取った構造を示す断面図である。
【0004】
N型の半導体基板20に、P型の不純物が添加されたPウェル22が形成される。このPウェル22の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル24が形成される。Nウェル24には、所定の間隔Wcをもって互いに平行にP型の不純物が添加された分離領域26が配置される。分離領域26は幅Wdを有する。Nウェル24は、隣接する分離領域26によって電気的に区画され、分離領域26に挟まれた領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域28となる。
【0005】
Nウェル24上には絶縁膜30が設けられ、この絶縁膜30を介してチャネル領域28の延在方向に直行して複数の転送電極32が互いに平行に配置される。これらの転送電極32には、例えば、隣接する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3が印加され、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャルが制御されて情報電荷が転送される(例えば、特開2001−156284号公報)。
【0006】
通常、各分離領域26の幅Wdは1μm程度であり、各チャネル領域28の幅Wcは2.5μm以上である。また、Pウェル22にはP型の不純物が1015/cm3程度、Nウェル24にはN型の不純物が1016/cm3程度、分離領域26にはP型の不純物が1017/cm3程度の不純物濃度で添加される。
【0007】
図9は、チャネル領域28における深さ方向のポテンシャルの変化を示す図である。
【0008】
転送電極32に半導体基板20に対して正電位VHを印加した場合、転送電極32と絶縁膜30との界面から除々にポテンシャルが低下し、Nウェル24内でポテンシャルの極小値をとる。ポテンシャルの極小値を超えると、再びポテンシャルは上昇してPウェル22でポテンシャルの極大値をとり、半導体基板20に向かってポテンシャルは低下する。その結果、Nウェル24内にポテンシャル井戸が形成され、情報電荷の蓄積が可能となる。ここで、ポテンシャル井戸の蓄積許容量を超える情報電荷が発生した場合には、過剰な電荷はNウェル24とPウェル22との間のポテンシャル障壁を越えて半導体基板20に排出される。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−156284号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
CCD固体撮像素子はデジタルカメラやカメラ付き携帯電話に用いられており、カメラの解像度を向上するために画素密度を増加させ、消費電力を低減する等の利点からCCD固体撮像素子の小型化が求められている。
【0011】
しかしながら、CCD固体撮像素子を小型化するためにチャネル領域28の幅Wcを狭くしていくと、分離領域26によるチャネル領域28への影響が大きくなり、チャネル領域28のNウェル24内におけるポテンシャルのプロファイルが変化する狭チャネル効果を生ずる。その結果、チャネル領域28から半導体基板20に向けて形成されるポテンシャルの状態が変化し、CCD固体撮像素子の特性が劣化する問題を生ずる。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、特性の劣化を伴うことなくチャネル領域を狭小化した固体撮像素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決できる本発明は、半導体基板の一主面に配置される前記半導体基板と同一導電型の半導体領域と、前記半導体領域内に所定の間隔を隔てて互いに略平行に配置され、前記半導体領域を区画する前記半導体基板と逆導電型の複数の分離領域と、前記半導体基板上に前記分離領域と交差する方向に延在して互いに略平行に配置される複数の転送電極とを備え、前記複数の分離領域の相互間隔は、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭い幅に設定されることを特徴とする固体撮像素子である。
【0014】
ここで、前記ポテンシャル障壁が前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成されることが好適である。
【0015】
上記課題を解決できる本発明の別の形態は、半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、前記半導体領域に前記半導体基板と逆導電型の不純物を所定の間隔を隔てて互いに略平行に注入して複数の分離領域を形成すると共に、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第2の工程と、前記半導体基板上に前記複数の分離領域と交差し、互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第3の工程と、を有し、前記第2の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0016】
ここで、前記第2の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることが好適である。
【0017】
また、上記課題を解決できる本発明の別の態様は、半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、前記半導体基板上に互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第2の工程と、前記半導体領域に前記複数の転送電極と交差する方向で、かつ、互いに略平行に所定の間隔を隔てて前記半導体基板と逆導電型の不純物を注入して複数の分離領域を形成し、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第3の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0018】
ここで、前記第3の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
<固体撮像素子の構造>
本発明の実施の形態におけるCCD固体撮像素子について図を参照して詳細に説明する。本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の全体構成は、図7と同様に、撮像部10i、蓄積部10s、水平転送部10h及び出力部10dから基本的に構成される。
【0020】
図1に、本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の撮像部10iの平面図を示す。また、図2には、蓄積部10sをX−X方向に切り取った断面構造を示す。
【0021】
N型の半導体基板20の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル24が形成される。半導体基板20としては、例えば、シリコン基板、砒化ガリウム基板等の一般的な半導体材料を用いることができる。半導体基板20に含まれるN型の不純物濃度は、1014/cm3以上1016/cm3以下とすることが好適である。また、Nウェル24に添加されるN型不純物には砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)等を用いることができ、Nウェル24内の不純物濃度は1016/cm3以上1018/cm3以下とすることが好適であり、さらに1016/cm3以上1017/cm3以下とすることがより好適である。
【0022】
Nウェル24には、所定の間隔Wcをもって互いに平行にP型の不純物が添加された分離領域26が配置される。分離領域26は幅Wdを有する。Nウェル24は、隣り合う2つの分離領域26によって電気的に区画され、この分離領域26によって区画された領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域28となる。分離領域26の幅Wdは、CCD固体撮像素子を小型化するためにはできるだけ狭い方が良いが、分離領域26の不純物を十分に活性化するために1μm以上であることが好適である。一方、チャネル領域28の幅Wcは、0.5μm以上2μm以下であることが好適である。
【0023】
分離領域26に添加されるP型不純物はボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等を用いることができ、分離領域26内の不純物濃度は1016/cm3以上1020/cm3以下とすることが好適であり、さらに1017/cm3以上1018/cm3以下とすることがより好適である。
【0024】
Nウェル24上には、絶縁膜30が設けられる。絶縁膜30としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜等のシリコン系材料や酸化チタン系材料等を用いることができる。絶縁膜30の膜厚は、10nm以上1000nm以下とすることが好適であり、さらに50nm以上200nm以下とすることがより好適である。
【0025】
この絶縁膜30を介してチャネル領域28の延在方向に直行して複数の転送電極32が互いに平行に配置される。転送電極32には、金属、多結晶シリコン等の導電性材料を用いることができる。これらの転送電極32には、例えば、連続する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3が印加され、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャルが制御されて情報電荷が転送される。
【0026】
図3は、チャネル領域28におけるポテンシャルの状態を模式的に示す図である。図3(a)は、チャネル領域28の幅Wcを2.5μmとして、転送電極32に半導体基板20に対して数V程度の正電位VHを印加した場合のチャネル領域28内のポテンシャルを示す。図3(b)は、チャネル領域28の幅Wcを1.8μmとした場合のチャネル領域28内のポテンシャルを示す。
【0027】
図3(a)では、分離領域26のP型不純物濃度とチャネル領域28のN型不純物濃度との濃度差によってチャネル領域28側に電位分布が広がる。このとき、チャネル領域28の幅Wcが広いために等電位線の密度は低くなり、分離領域26からチャネル領域28の中心線Z−Z付近のポテンシャルへの影響は小さくなる。中心線Z−Zに沿ったチャネル領域28の深さ方向へのポテンシャルの変化は図4の破線Aのように示され、Nウェル24内にはポテンシャル井戸が形成されず、半導体基板20の表面から深部に向かってなだらかな傾斜を有するものとなる。
【0028】
一方、図3(b)のようにチャネル領域28の幅Wcを狭くすると、隣接する分離領域26からの影響が大きくなり、チャネル領域28の中心線Z’−Z’付近に対して支配的となる。この結果、中心線Z’−Z’に沿ったチャネル領域28の深さ方向へのポテンシャルの変化は図4の実線Bのように示され、Nウェル24内にポテンシャル井戸が形成される。すなわち、半導体基板20の表面からポテンシャルが低下してNウェル24内で極小値をとり、再びNウェル24と半導体基板20の界面に向かってポテンシャルが上昇して界面付近で極大値をとり、半導体基板20の深部に向かってポテンシャルがなだらかに低下するものとなる。
【0029】
以上のように、本実施の形態のCCD固体撮像素子によれば、チャネル領域の幅Wcを小さくした場合においても、転送電極に対する正電位VHの印加によってNウェル24内にポテンシャル井戸を形成することができる。このポテンシャル井戸には情報電荷を蓄積することが可能である。従って、CCD固体撮像素子の特性を損なうことなく、そのサイズを小型化することを可能とする。
【0030】
また、連続する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3を印加することによって、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャル井戸の深さを制御して情報電荷を順次転送することができる。
【0031】
ここで、ポテンシャル井戸の蓄積許容量を超える情報電荷が発生した場合には、過剰な電荷はNウェル24と半導体基板20との間のポテンシャル障壁を越えて半導体基板20の深部に排出される。
【0032】
なお、本実施の形態では蓄積部10sの構造について説明を行ったが、同様の構造を撮像部10iの垂直シフトレジスタに適用することも可能である。
【0033】
<固体撮像素子の製造方法>
図5は、本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の製造方法のプロセスフロー図である。ここでは、CCD固体撮像素子の撮像部10iのみの製造方法を説明するが、他の構成部分については一般的なCCD固体撮像素子の製造方法を適用することができる。
【0034】
半導体基板20の表面における素子を形成する領域にN型の不純物を拡散させる。例えば、半導体基板20としてはシリコン基板を用い、N型不純物には燐(P)を用いることができる。このN型不純物導入工程により、半導体基板20の表面領域にNウェル24が形成される(図5(a))。ここで、Nウェル24内の実効的なN型不純物濃度が1017/cm3以上1018/cm3以下となるようにすることが好適である。
【0035】
続いて、互いに間隔Wcを隔てて幅Wdを有する開口を有するレジストパターン40で半導体基板20の表面を覆い、このレジストパターン40をマスクとしてP型不純物を導入する(図5(b))。例えば、P型不純物にはボロン(B)を用いることができる。このP型不純物導入工程により、Nウェル24内に幅Wdを有する分離領域26と、これらの分離領域26の間に幅Wcを有するチャネル領域28が形成される。ここで、分離領域26の幅Wdは1μm以上とし、チャネル領域28の幅Wcは0.5μm以上2μm以下とし、分離領域26内のP型不純物濃度は1016/cm3以上1020/cm3以下とすることが好適である。
【0036】
次に、レジストパターン40を取り除いた後に、分離領域26及びチャネル領域28を覆うように絶縁膜30として酸化シリコン膜を形成する。この絶縁膜30の上に多結晶シリコン膜を積層し、この多結晶シリコン膜をパターンニングすることによって転送電極32を形成する(図5(c))。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、CCD固体撮像素子において特性の劣化を伴うことなくチャネル領域を狭小化することができる。本発明は、特に、CCD固体撮像素子のサイズの小型化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の構成を示す断面図である。
【図3】固体撮像素子のNウェル内のポテンシャルプロファイルを示す図である。
【図4】固体撮像素子のNウェル深さ方向へのポテンシャルの変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における固体撮像素子の製造方法のプロセスフローを示す図である。
【図6】CCD固体撮像素子の構成を示す概略図である。
【図7】従来の固体撮像素子の撮像部の構成を示す平面図である。
【図8】従来の固体撮像素子の撮像部の構成を示す断面図である。
【図9】従来の固体撮像素子のNウェル内のポテンシャルプロファイルを示す図である。
【符号の説明】
10i 撮像部、10s 蓄積部、10h 水平転送部、10d 出力部、20 半導体基板、22 Pウェル、24 Nウェル、26 分離領域、28 チャネル領域、30 絶縁膜、32 転送電極、40 レジストパターン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD固体撮像素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子の構成を示す概略図である。フレーム転送方式のCCD固体撮像素子は、撮像部10i、蓄積部10s、水平転送部10h及び出力部10dから基本的に構成される。撮像部10iには、光電変換素子列を兼ねる垂直シフトレジスタが蓄積部10sに向かう方向に延在して互いに平行に配置される。撮像部10iに入射した光は、各光電変換素子によって情報電荷に変換され、垂直転送されて蓄積部10sに出力される。蓄積部10sは、撮像部10iの垂直シフトレジスタに連続する遮光された垂直シフトレジスタから構成される。情報電荷は一旦蓄積部10sに保持された後、1行ずつ水平転送部10hへ転送される。水平転送部10hは、出力部10dに向かう方向に延在する1行の水平シフトレジスタから構成される。水平転送部10hは、蓄積部10sから転送された情報電荷を受けて、情報電荷を1画素単位で出力部10dへ転送する。出力部10dは1画素毎の電荷量を電圧値に変換し、その電圧値の変化がCCD出力として取り出される。
【0003】
図7は、従来のCCD固体撮像素子の撮像部10iの構造を示す平面図である。また、図8は、図7に示す撮像部10iをX−X方向に切り取った構造を示す断面図である。
【0004】
N型の半導体基板20に、P型の不純物が添加されたPウェル22が形成される。このPウェル22の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル24が形成される。Nウェル24には、所定の間隔Wcをもって互いに平行にP型の不純物が添加された分離領域26が配置される。分離領域26は幅Wdを有する。Nウェル24は、隣接する分離領域26によって電気的に区画され、分離領域26に挟まれた領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域28となる。
【0005】
Nウェル24上には絶縁膜30が設けられ、この絶縁膜30を介してチャネル領域28の延在方向に直行して複数の転送電極32が互いに平行に配置される。これらの転送電極32には、例えば、隣接する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3が印加され、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャルが制御されて情報電荷が転送される(例えば、特開2001−156284号公報)。
【0006】
通常、各分離領域26の幅Wdは1μm程度であり、各チャネル領域28の幅Wcは2.5μm以上である。また、Pウェル22にはP型の不純物が1015/cm3程度、Nウェル24にはN型の不純物が1016/cm3程度、分離領域26にはP型の不純物が1017/cm3程度の不純物濃度で添加される。
【0007】
図9は、チャネル領域28における深さ方向のポテンシャルの変化を示す図である。
【0008】
転送電極32に半導体基板20に対して正電位VHを印加した場合、転送電極32と絶縁膜30との界面から除々にポテンシャルが低下し、Nウェル24内でポテンシャルの極小値をとる。ポテンシャルの極小値を超えると、再びポテンシャルは上昇してPウェル22でポテンシャルの極大値をとり、半導体基板20に向かってポテンシャルは低下する。その結果、Nウェル24内にポテンシャル井戸が形成され、情報電荷の蓄積が可能となる。ここで、ポテンシャル井戸の蓄積許容量を超える情報電荷が発生した場合には、過剰な電荷はNウェル24とPウェル22との間のポテンシャル障壁を越えて半導体基板20に排出される。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−156284号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
CCD固体撮像素子はデジタルカメラやカメラ付き携帯電話に用いられており、カメラの解像度を向上するために画素密度を増加させ、消費電力を低減する等の利点からCCD固体撮像素子の小型化が求められている。
【0011】
しかしながら、CCD固体撮像素子を小型化するためにチャネル領域28の幅Wcを狭くしていくと、分離領域26によるチャネル領域28への影響が大きくなり、チャネル領域28のNウェル24内におけるポテンシャルのプロファイルが変化する狭チャネル効果を生ずる。その結果、チャネル領域28から半導体基板20に向けて形成されるポテンシャルの状態が変化し、CCD固体撮像素子の特性が劣化する問題を生ずる。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、特性の劣化を伴うことなくチャネル領域を狭小化した固体撮像素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決できる本発明は、半導体基板の一主面に配置される前記半導体基板と同一導電型の半導体領域と、前記半導体領域内に所定の間隔を隔てて互いに略平行に配置され、前記半導体領域を区画する前記半導体基板と逆導電型の複数の分離領域と、前記半導体基板上に前記分離領域と交差する方向に延在して互いに略平行に配置される複数の転送電極とを備え、前記複数の分離領域の相互間隔は、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭い幅に設定されることを特徴とする固体撮像素子である。
【0014】
ここで、前記ポテンシャル障壁が前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成されることが好適である。
【0015】
上記課題を解決できる本発明の別の形態は、半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、前記半導体領域に前記半導体基板と逆導電型の不純物を所定の間隔を隔てて互いに略平行に注入して複数の分離領域を形成すると共に、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第2の工程と、前記半導体基板上に前記複数の分離領域と交差し、互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第3の工程と、を有し、前記第2の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0016】
ここで、前記第2の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることが好適である。
【0017】
また、上記課題を解決できる本発明の別の態様は、半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、前記半導体基板上に互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第2の工程と、前記半導体領域に前記複数の転送電極と交差する方向で、かつ、互いに略平行に所定の間隔を隔てて前記半導体基板と逆導電型の不純物を注入して複数の分離領域を形成し、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第3の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0018】
ここで、前記第3の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
<固体撮像素子の構造>
本発明の実施の形態におけるCCD固体撮像素子について図を参照して詳細に説明する。本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の全体構成は、図7と同様に、撮像部10i、蓄積部10s、水平転送部10h及び出力部10dから基本的に構成される。
【0020】
図1に、本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の撮像部10iの平面図を示す。また、図2には、蓄積部10sをX−X方向に切り取った断面構造を示す。
【0021】
N型の半導体基板20の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル24が形成される。半導体基板20としては、例えば、シリコン基板、砒化ガリウム基板等の一般的な半導体材料を用いることができる。半導体基板20に含まれるN型の不純物濃度は、1014/cm3以上1016/cm3以下とすることが好適である。また、Nウェル24に添加されるN型不純物には砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)等を用いることができ、Nウェル24内の不純物濃度は1016/cm3以上1018/cm3以下とすることが好適であり、さらに1016/cm3以上1017/cm3以下とすることがより好適である。
【0022】
Nウェル24には、所定の間隔Wcをもって互いに平行にP型の不純物が添加された分離領域26が配置される。分離領域26は幅Wdを有する。Nウェル24は、隣り合う2つの分離領域26によって電気的に区画され、この分離領域26によって区画された領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域28となる。分離領域26の幅Wdは、CCD固体撮像素子を小型化するためにはできるだけ狭い方が良いが、分離領域26の不純物を十分に活性化するために1μm以上であることが好適である。一方、チャネル領域28の幅Wcは、0.5μm以上2μm以下であることが好適である。
【0023】
分離領域26に添加されるP型不純物はボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等を用いることができ、分離領域26内の不純物濃度は1016/cm3以上1020/cm3以下とすることが好適であり、さらに1017/cm3以上1018/cm3以下とすることがより好適である。
【0024】
Nウェル24上には、絶縁膜30が設けられる。絶縁膜30としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜等のシリコン系材料や酸化チタン系材料等を用いることができる。絶縁膜30の膜厚は、10nm以上1000nm以下とすることが好適であり、さらに50nm以上200nm以下とすることがより好適である。
【0025】
この絶縁膜30を介してチャネル領域28の延在方向に直行して複数の転送電極32が互いに平行に配置される。転送電極32には、金属、多結晶シリコン等の導電性材料を用いることができる。これらの転送電極32には、例えば、連続する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3が印加され、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャルが制御されて情報電荷が転送される。
【0026】
図3は、チャネル領域28におけるポテンシャルの状態を模式的に示す図である。図3(a)は、チャネル領域28の幅Wcを2.5μmとして、転送電極32に半導体基板20に対して数V程度の正電位VHを印加した場合のチャネル領域28内のポテンシャルを示す。図3(b)は、チャネル領域28の幅Wcを1.8μmとした場合のチャネル領域28内のポテンシャルを示す。
【0027】
図3(a)では、分離領域26のP型不純物濃度とチャネル領域28のN型不純物濃度との濃度差によってチャネル領域28側に電位分布が広がる。このとき、チャネル領域28の幅Wcが広いために等電位線の密度は低くなり、分離領域26からチャネル領域28の中心線Z−Z付近のポテンシャルへの影響は小さくなる。中心線Z−Zに沿ったチャネル領域28の深さ方向へのポテンシャルの変化は図4の破線Aのように示され、Nウェル24内にはポテンシャル井戸が形成されず、半導体基板20の表面から深部に向かってなだらかな傾斜を有するものとなる。
【0028】
一方、図3(b)のようにチャネル領域28の幅Wcを狭くすると、隣接する分離領域26からの影響が大きくなり、チャネル領域28の中心線Z’−Z’付近に対して支配的となる。この結果、中心線Z’−Z’に沿ったチャネル領域28の深さ方向へのポテンシャルの変化は図4の実線Bのように示され、Nウェル24内にポテンシャル井戸が形成される。すなわち、半導体基板20の表面からポテンシャルが低下してNウェル24内で極小値をとり、再びNウェル24と半導体基板20の界面に向かってポテンシャルが上昇して界面付近で極大値をとり、半導体基板20の深部に向かってポテンシャルがなだらかに低下するものとなる。
【0029】
以上のように、本実施の形態のCCD固体撮像素子によれば、チャネル領域の幅Wcを小さくした場合においても、転送電極に対する正電位VHの印加によってNウェル24内にポテンシャル井戸を形成することができる。このポテンシャル井戸には情報電荷を蓄積することが可能である。従って、CCD固体撮像素子の特性を損なうことなく、そのサイズを小型化することを可能とする。
【0030】
また、連続する3つの転送電極32−1,32−2,32−3の組合せ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3を印加することによって、転送電極32−1,32−2,32−3の下にあるチャネル領域28のポテンシャル井戸の深さを制御して情報電荷を順次転送することができる。
【0031】
ここで、ポテンシャル井戸の蓄積許容量を超える情報電荷が発生した場合には、過剰な電荷はNウェル24と半導体基板20との間のポテンシャル障壁を越えて半導体基板20の深部に排出される。
【0032】
なお、本実施の形態では蓄積部10sの構造について説明を行ったが、同様の構造を撮像部10iの垂直シフトレジスタに適用することも可能である。
【0033】
<固体撮像素子の製造方法>
図5は、本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の製造方法のプロセスフロー図である。ここでは、CCD固体撮像素子の撮像部10iのみの製造方法を説明するが、他の構成部分については一般的なCCD固体撮像素子の製造方法を適用することができる。
【0034】
半導体基板20の表面における素子を形成する領域にN型の不純物を拡散させる。例えば、半導体基板20としてはシリコン基板を用い、N型不純物には燐(P)を用いることができる。このN型不純物導入工程により、半導体基板20の表面領域にNウェル24が形成される(図5(a))。ここで、Nウェル24内の実効的なN型不純物濃度が1017/cm3以上1018/cm3以下となるようにすることが好適である。
【0035】
続いて、互いに間隔Wcを隔てて幅Wdを有する開口を有するレジストパターン40で半導体基板20の表面を覆い、このレジストパターン40をマスクとしてP型不純物を導入する(図5(b))。例えば、P型不純物にはボロン(B)を用いることができる。このP型不純物導入工程により、Nウェル24内に幅Wdを有する分離領域26と、これらの分離領域26の間に幅Wcを有するチャネル領域28が形成される。ここで、分離領域26の幅Wdは1μm以上とし、チャネル領域28の幅Wcは0.5μm以上2μm以下とし、分離領域26内のP型不純物濃度は1016/cm3以上1020/cm3以下とすることが好適である。
【0036】
次に、レジストパターン40を取り除いた後に、分離領域26及びチャネル領域28を覆うように絶縁膜30として酸化シリコン膜を形成する。この絶縁膜30の上に多結晶シリコン膜を積層し、この多結晶シリコン膜をパターンニングすることによって転送電極32を形成する(図5(c))。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、CCD固体撮像素子において特性の劣化を伴うことなくチャネル領域を狭小化することができる。本発明は、特に、CCD固体撮像素子のサイズの小型化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の構成を示す断面図である。
【図3】固体撮像素子のNウェル内のポテンシャルプロファイルを示す図である。
【図4】固体撮像素子のNウェル深さ方向へのポテンシャルの変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における固体撮像素子の製造方法のプロセスフローを示す図である。
【図6】CCD固体撮像素子の構成を示す概略図である。
【図7】従来の固体撮像素子の撮像部の構成を示す平面図である。
【図8】従来の固体撮像素子の撮像部の構成を示す断面図である。
【図9】従来の固体撮像素子のNウェル内のポテンシャルプロファイルを示す図である。
【符号の説明】
10i 撮像部、10s 蓄積部、10h 水平転送部、10d 出力部、20 半導体基板、22 Pウェル、24 Nウェル、26 分離領域、28 チャネル領域、30 絶縁膜、32 転送電極、40 レジストパターン。
Claims (6)
- 半導体基板の一主面に配置される前記半導体基板と同一導電型の半導体領域と、
前記半導体領域内に所定の間隔を隔てて互いに略平行に配置され、前記半導体領域を区画する前記半導体基板と逆導電型の複数の分離領域と、
前記半導体基板上に前記分離領域と交差する方向に延在して互いに略平行に配置される複数の転送電極と、を備え、
前記複数の分離領域の相互間隔は、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭い幅に設定されることを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項1に記載の固体撮像素子において、
前記ポテンシャル障壁が前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成されることを特徴とする固体撮像素子。 - 半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、
前記半導体領域に前記半導体基板と逆導電型の不純物を所定の間隔を隔てて互いに略平行に注入して複数の分離領域を形成すると共に、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第2の工程と、
前記半導体基板上に前記複数の分離領域と交差し、互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第3の工程と、を有し、
前記第2の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 請求項3に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第2の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 半導体基板の一主面に前記半導体基板と同一導電型の不純物を注入して半導体領域を形成する第1の工程と、
前記半導体基板上に互いに略平行に配列される複数の転送電極を形成する第2の工程と、
前記半導体領域に前記複数の転送電極と交差する方向で、かつ、互いに略平行に所定の間隔を隔てて前記半導体基板と逆導電型の不純物を注入して複数の分離領域を形成し、隣接する前記分離領域の間にチャネル領域を規定する第3の工程と、を有し、
前記第3の工程は、前記複数の分離領域の相互間隔を、基板深さ方向に対してポテンシャル障壁を形成させるよりも狭く設定することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 請求項5に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第3の工程は、前記分離領域の不純物濃度及び拡散深さの少なくとも一方を調整することにより、前記ポテンシャル障壁を前記チャネル領域と前記半導体基板との境界付近に形成させることを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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