JP2004246080A - 光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ - Google Patents
光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004246080A JP2004246080A JP2003035895A JP2003035895A JP2004246080A JP 2004246080 A JP2004246080 A JP 2004246080A JP 2003035895 A JP2003035895 A JP 2003035895A JP 2003035895 A JP2003035895 A JP 2003035895A JP 2004246080 A JP2004246080 A JP 2004246080A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- panel
- light
- panel frame
- coating material
- transparent conductive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
Abstract
【課題】1回のコーティング作業によって、液晶パネルのガラス基板への静電気の滞留を防止することができる、液晶パネルの製造方法および液晶パネル、並びに該液晶パネルを装備したプロジェクタを得る。
【解決手段】一対のガラス基板42、43によって液晶41を挟持したパネル本体40を形成し、パネル本体40の外周を包持するパネル枠50によってパネル本体40の外周を包持した後、パネル本体の外表面46、48およびパネル枠の内周56に、外表面48と内周56とを連結するように透明導電性コーティング材9をコーティングする。
【選択図】 図4
【解決手段】一対のガラス基板42、43によって液晶41を挟持したパネル本体40を形成し、パネル本体40の外周を包持するパネル枠50によってパネル本体40の外周を包持した後、パネル本体の外表面46、48およびパネル枠の内周56に、外表面48と内周56とを連結するように透明導電性コーティング材9をコーティングする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光変調装置、特に、プロジェクタの電気光学装置に好適な光変調装置、およびその製造方法、並びにそれを装備したプロジェクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロジェクタ等で使用する光変調装置は、強力な光源光により熱せられて高温となり、液晶の特性上、機能を果たせなくなることがあるため、冷却する機構が組み込まれている。該冷却機構の一方式である空気を光変調装置表面に直接吹きつける空冷方式においては、埃、ゴミや毛羽類(以下、ダスト等と称す)が必然的に光変調装置の外表面に当たって静電気を帯びるため、ダスト等が付着し易く、ダスト等の影が投写されて投写画像の品質に影響を与えるという問題点を有していた。
また、プロジェクタ(または、これに装備される電気光学装置)等の製造工程において、光変調装置に静電気が溜まりダスト等が付着するという問題点があった。
【0003】
そこで、ガラス基板の外表面(投光範囲)に透明導電性膜を一体的に配設し、かつ該透明導電性膜を周囲の機器類側に電気的接地して静電気の溜まり(以下、帯電と称す)を防止する技術が開示されている。なお、透明導電性膜は、例えばポリピロール系の導電性ポリマーを塗布したもの、ITO(インジウムと酸化錫の合金)等を蒸着、あるいはスピンコート等して設けられるもので、厚みとしては約100nm程度とされている。
また、パネル枠を導電性材料で形成して、該パネル枠と前記透明導電性膜との隙間に導電性樹脂材を充填・固化して静電気の除荷(以下、除電と称す)を容易にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−147470号公報(第5−6頁、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光変調装置の除電技術は、ガラス基板の外表面にあらかじめ透明導電性膜を一体的に配設し、その後にパネル枠に組み込むものであるから、透明導電性膜とパネル枠との接触がミクロ的に見ると点接触であるため、該接触部の電気抵抗値が大きくなり、結果としてガラス基板の外表面のグランドレベル(対地電位)が悪く、除電効果が少ないという問題点がある。
また、パネル枠に組み込んで後にパネル枠と透明導電性膜との隙間に導電性樹脂材を充填・固化する場合には、ガラス基板への配設に加え、前記隙間への充填作業が新たに発生するから、除電のための作業が2回に渡って発生し、且つ前記充填作業が煩雑であって、製造コストを押し上げる一因になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、1回の除電のための作業によって除電効果を奏する、光変調装置およびその製造方法、並びに該光変調装置を装備したプロジェクタを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光変調装置は、
液晶、該液晶を挟持する一対のガラス基板および該一対のガラス基板のそれぞれの外表面を覆う一対の防塵ガラスを具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする。
これによれば、パネル本体の外表面(防塵ガラスの外表面に同じ)が透明導電性被覆材によって覆われ、且つ該透明導電性被覆材がそのまま一体的にパネル枠の内周部を覆うから、パネル本体の外表面に帯荷した静電気はパネル枠に流れることになる。
したがって、パネル枠を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材に静電気が流れることになる。また、パネル枠の内周部に電気的接地(たとえば、アースケーブル等)を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まることがないから、ダスト等が付着し難くなる。仮に、パネル本体の外表面にダスト等が付着した場合であっても、当該光変調装置が設置される電気光学装置において、投写レンズの焦点の位置とダスト等が付着する面(防塵ガラスの外表面に同じ)とがズレているから、投写されたダスト等の画像はボケたものになり、投写面上では目立たなくなる。よって、投写画像の品質の低下を防止することができる。
さらに、パネル本体の外表面を防塵ガラスで覆っているため、ダスト等は防塵ガラスに直接付着するから、これを取り除く際にガラス基板(TFT基板と対向基板)を損傷することがない。
さらに、透明導電性被覆材をパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、簡単になる。
なお、本発明におけるパネル枠の内周部とは、パネル枠の内周を形成する縁端部に限定するものではなく、該縁端部からパネル枠の表面にかかる所定の幅の範囲を含むものである。したがって、本発明における透明導電性被覆材の塗布範囲は、パネル枠の内周を形成する縁端部に限定するものではなく、該縁端部から所定の幅の範囲若しくはパネル枠の全表面であってもよい。
【0008】
また、液晶および該液晶を挟持する一対のガラス基板を具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする。
これによれば、パネル本体の外表面が透明導電性被覆材によって覆われ、且つ該透明導電性被覆材がそのまま一体的にパネル枠の内周部を覆うから、パネル本体の外表面に帯荷した静電気はパネル枠に流れることになる。
したがって、パネル枠を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材に静電気が流れることになる。また、パネル枠の内周部に電気的接地を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まらないから、ダスト等が付着し難くなるため、パネル本体の外表面を保護する防塵ガラスを撤去することが可能になり、パネル本体を構成する部品点数が減少する。すなわち、液晶とTFT基板(薄膜トランジスタ素子基板)と対向基板とを有するものにすることができるから、光変調装置が安価且つ軽量になる。
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置の損傷が防止される。
さらに、透明導電性被覆材をパネル本体の外表面およびパネル枠の内周の両方に略同時に塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、光変調装置の製造工程が簡素になる。
【0009】
前記パネル本体の外表面とパネル枠の表面との全域に前記透明導電性被覆材が塗布されてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の表面全域(入射側および出射側の外表面、並びに端面等)にも透明導電性被覆材が塗布されるから、パネル枠を金属によって形成した場合であっも、耐湿性が改善される。すなわち、パネル枠を形成する材料を選定する自由度が増し且つ腐食防止のための化成処理が不要となるため、製造コストが低減する。また、パネル枠に設置される部品毎に防食処理を施す必要がなくなるため、部品コストが低減する。
さらに、パネル枠に電気的接地を設置する場合、いずれの位置においても導電自在であるから電気的接地の設置位置の自由度が増す。また、周辺部材との接触によって電気的接地する場合、いずれの位置においても導電自在であるから、周辺部材との取り合いの自由度が増す。
【0010】
前記透明導電性被覆材(透明導電性コーティング材に同じ)がポリチオフェン系導電性高分子材料であることが好ましい。
これによれば、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜(透明導電性コーティング材が固化した膜に同じ)が得られるから、パネル本体の外表面のみならず、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部とを跨ぐ塗膜が確実に形成される。
たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いると、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、本発明は、透明導電性被覆材がポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料であっても、同様の作用・効果を得ることができものである。
【0011】
前記パネル枠が金属または電気導電性樹脂によって形成されてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠自体が導電性を具備するから、パネル本体の外表面からパネル枠に透明導電性被覆材の塗膜を経由して流れた静電気がパネル枠自体を伝わって流れるため、何れの位置においても導電自在になる。したがって、パネル枠の内周部にのみ透明導電性被覆材を塗布した場合であっても、電気的接地の設置位置の自由度や周辺機器との取り合いの自由度が増す。
なお、金属として、たとえば、AZ91D等のマグネシウム合金、電気導電性樹脂として、たとえば、クールポリE−series(登録商標)等を用いる。
【0012】
前記パネル枠の表面の内周に沿った所定の範囲が前記パネル本体の外表面に向かって傾斜してなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の表面が、パネル枠の内周(パネル枠の内周を形成する縁端部)に沿った所定の幅の範囲がパネル本体の外表面に向かって傾斜しているから、前記外表面と内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。
また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材がパネル枠の縁端部に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、パネル枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0013】
前記パネル枠の内面の内周に沿った所定の範囲に段差部が設けられてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の内面でパネル枠の内周(パネル枠の内周を形成する縁端部)に沿った所定の範囲に所定の深さの段差部が設けられているから、パネル本体がパネル枠に組み込まれた際、該段差部においてパネル枠の内面はパネル本体の外表面から離隔し、隙間を形成している。したがって、該隙間に透明導電性被覆材が侵入し外表面と内周部との電気的連結が確実になる(濡れ性が改善される)。
また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、前記隙間が透明導電性被覆材の液体溜まりとして作用するから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。
なお、前記段差部の平面視の形状はパネル枠の縁端部に平行なものに限定するものではなく、縁端部に沿った波状(鋸歯状、矩形波状等)であってもよい。また、前記縁端部の全周を包囲するものに限定するものではなく、所定の幅の段差部が前記縁端部に沿って複数カ所に配置、すなわち、パネル枠の内面とパネル本体の外表面が前記縁端部に沿って飛び飛びに当接および離隔を繰り返してもよい。
【0014】
前記パネル枠に除電のための電気的接地が設置されてなることが好ましい。
これによれば、パネル本体の外表面から透明導電性被覆材を経由してパネル枠側に流れ込んだ静電気が確実に電気的接地を経由して除電されるから、パネル本体の外表面へのダスト等の付着が防止できる。また、パネル枠が電気抵抗の高い材料または絶縁材によって形成された場合でも、透明導電性被覆材を電気的接地にまで連続して塗布しておけば除電することが可能になる。
【0015】
前記パネル本体の外周に当接し且つ前記パネル枠に係止する固定板を有し、前記パネル本体の外表面および該固定板の内周部に、前記外表面と内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることが好ましい。
これによると、パネル本体の一方の外表面(たとえば、投写光の入射側)がパネル枠に包持され、パネル本体の他方の外表面(たとえば、投写光の出射側)が固定板によってパネル枠に固定されるから、確実に組み立てることができ、使用等に際してパネル本体の位置が偏位することがなくなる。
また、パネル本体の他方の外表面と固定板が透明導電性被覆材によって一体的に連結されるから、パネル本体の他方の外表面に帯電した静電気は固定板側に流れることになる。したがって、固定板をステンレス鋼板等の導電性材料により形成しておけば、前記静電気はパネル枠に流れ、さらに、周囲の機器を経由してあるいはパネル枠に設置された電気的接地を経由して除電される。よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まることがないから、ダスト等の付着が防止される。
さらに、固定板を薄い板材によって形成しておけば、パネル本体の外表面と固定板の部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材が固定板の内周に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、固定枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0016】
さらに、本発明に係る光変調装置の製造方法は、
液晶を挾持した一対のガラス基板の外表面を一対の防塵ガラスによって覆ってパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする。
これによれば、まず、液晶と一対のガラス基板と一対の防塵ガラスとによってパネル本体を形成しておき、次にパネル本体とパネル枠とを組み立て、最後にパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部に、および前記外表面と前記内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布するものである。したがって、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に透明導電性被覆材を塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、且つパネル本体の外表面とパネル枠の内周部との間の導電性を保証することができる。
すなわち、パネル本体を形成する前に、あらかじめ防塵ガラスの外表面に透明導電性被覆材を塗布したり、パネル本体とパネル枠とを組み立てた後に、両者の隙間に導電性材料を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
また、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部を跨いで、透明導電性被覆材を一気に塗布するから、それぞれの塗膜が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体の外表面が除電されるから、ダスト等が付着し難くなる。
また、透明導電性被覆材が塗布されたパネル枠に電気的接地用を設置すれば、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を経由して電気的接地に流れるから、導電性が保証されパネル本体の外表面の除電が確実になる。一方、パネル枠に電気的接地を設置した後、パネル枠と該電気的接地とを跨ぐように透明導電性被覆材を塗布すれば、同様にパネル本体の外表面が除電される。
さらに、パネル本体の外表面にダスト等が付着した場合であっても、光変調装置が設置される電気光学装置において、投写レンズの焦点の位置とダスト等が付着する面(パネル本体の外表面に同じ)とがズレているから、投写されたダスト等の画像はボケたものになり、投写面上では目立たなくなる。よって、投写画像の品質の低下を防止することができる。
また、パネル本体の外表面を防塵ガラスで覆っているため、ダスト等は防塵ガラスに直接付着するから、これを取り除く際にガラス基板(TFT基板と対向基板)を損傷することがない。
【0017】
一対のガラス基板によって液晶を挟持したパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする。
これによれば、まず、パネル本体を形成しておき、次にパネル本体とパネル枠とを組み立て、最後にパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部に、および前記外表面と前記内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布するから、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に塗布することができ、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、且つパネル本体の外表面とパネル枠の内周部との間の導電性を保証することができる。
すなわち、パネル本体を形成する前に、あらかじめガラス基板の外表面に透明導電性被覆材を塗布したり、パネル本体とパネル枠とを組み立てた後に、両者の隙間に導電性材料を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
また、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部を跨いで、透明導電性被覆材を一気に塗布するから、それぞれの塗膜が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体の外表面が除電されるから、ダスト等が付着し難くなるため、パネル本体の外表面を保護する防塵ガラスを撤去することが可能になる。たとえば、パネル本体を、液晶とTFT基板(薄膜トランジスタ素子基板)と対向基板とを有するものにすることができる。
また、透明導電性被覆材が塗布されたパネル枠に電気的接地を設置すれば、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を経由して電気的接地に流れるから、導電性が保証されパネル本体の外表面の除電が確実になる。一方、パネル枠に電気的接地を設置した後、パネル枠と該電気的接地とを跨ぐように透明導電性被覆材を塗布すれば、同様にパネル本体の外表面が除電される。
【0018】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程が、前記パネル枠に包持されたパネル本体を前記透明導電性被覆材中に浸漬するものであることが好ましい。
これによれば、塗布作業が浸漬であるから、作業が容易であって、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部との連結が確実になる。また、パネル枠の全表面への塗布が容易になる。
【0019】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程の後に、パネル枠に除電のための電気的接地を設置する工程を有すことが好ましい。
これによれば、電気的接地が透明導電性被覆材を挟んでパネル枠に設置されているから、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を介して電気的接地に流れて除電され、パネル本体に溜まることがない。このとき、パネル枠を形成する材料を金属や導電性材料に限定する必要がなくなるから、材料選定の自由度が増し、且つ製造工程が簡素になって製造コストが低減する。
なお、透明導電性被覆材を塗布する前のパネル枠に電気的接地をあらかじめ設置しておき、パネル枠と該電気的接地とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布しても同様の効果が得られる。このとき、塗布作業が1回で済み、且つパネル本体と電気的接地との間の導電性を保証することができる。
【0020】
前記透明導電性被覆材がポリチオフェン系導電性高分子材料であることが好ましい。
これによれば、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜(透明導電性コーティング材が固化した膜に同じ)が得られるから、パネル本体の外表面のみならず、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部とを跨ぐ塗膜が確実に形成される。たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いると、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、本発明は、透明導電性被覆材がポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料であっても、同様の作用・効果を得ることができるものである。
【0021】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程の前に、前記パネル本体の外周に当接し且つパネル枠に係止する固定板によって、パネル本体をパネル枠に固定する工程を有すことが好ましい。
これによると、パネル本体の一方の外表面(たとえば、投写光の入射側)がパネル枠に包持され、パネル本体の他方の外表面(たとえば、投写光の出射側)が固定板によってパネル枠に固定されるから、確実に組み立てることができ、使用等に際してパネル本体の位置が偏位することがなくなる。
すなわち、パネル本体の他方の外表面と固定板が透明導電性被覆材によって一体的に連結されるから、パネル本体の他方の外表面に帯電した静電気は固定板側に流れることになる。したがって、固定板をステンレス鋼板等の導電性材料により形成しておけば、前記静電気はパネル枠に流れ、さらに、周囲の機器を経由してあるいはパネル枠に設置された電気的接地を経由して、パネル本体の外表面は除電されることになり、ダスト等の付着が防止される。
さらに、固定板を薄い板材によって形成しておけば、パネル本体の外表面と固定板の内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材が固定板の内周に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、固定枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0022】
さらに、本発明に係るプロジェクタは、
光源と、
該光源から出た光の照射状態を均一化するための手段とを備えた照明光源系と、
該照明光源系から出射された光を所定の色光に分離する色分離光学系と、
該色分離光学系からの各色光を画像情報に従って光変調する電気光学装置と、
該電気光学装置において変調された光を投写する投写レンズとを有してなるプロジェクタにおいて、
前記電気光学装置は、前記色分離光学系において分離された所定の色光が到達する所定の色光毎の光変調装置を具備し、該光変調装置が本発明に係る光変調装置であることを特徴とする。
これによると、光変調装置のパネル本体の外表面が除電されているから、ここへのダスト等の付着が防止される。
したがって、プロジェクタまたは電気光学装置の製造工程において、あるいは、プロジェクタの使用時(投写時等)において、パネル本体の外表面にダスト等が付着し難いから、ダスト等の陰が投写されることがなく、これによる投写画像の品質低下が防止される。
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置の損傷が防止されるから、保全コスト(メンテナンスコスト)が低減する。すなわち、プロジェクタ本体を分解し、エアーガン、ブロワー、集塵装置等の種々の設備を用いてダスト等(たとえば、ゴミ・ケバ等)を取り除いた後、再び組み立てる必要がなくなる。なお、従来は、付着したダスト等が簡単に取り除けないため、除去作業に時間がかかっていた。
さらに、付着したダスト等を投写面上で暈かすための防塵ガラスを撤去することが可能になるから、部品点数が減少して軽量化および製造コストの低廉化が図られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
(実施例1)
(光変調装置)
図1は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例1を示すものであって、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図2は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例1を組み立てる前の各部位を示すものであって、(a)は投写光の入射側から見た斜視図、(b)は投写光の出射側から見た斜視図である。なお、投写光の投射方向を矢印にて示す。
図1および図2において、1は光変調装置、10はパネル本体、20はパネル枠(パネルフレームに同じ)、30は固定板(パネルフックに同じ)である。
光変調装置1は、パネル本体10がパネル枠20に収容されて固定板30によって固定されたものである。また、平面視にて矩形範囲イ−ロ−ハ−ニ(一点鎖線で示す)および範囲ホ−ヘ−ト−チに透明導電性被覆材9(以下、コーティング材9と称する)が塗布(以下、コーティングと称する)されている。以下、部位毎に説明する。
【0024】
(パネル本体)
パネル本体10は、画像情報に基づいて光学像を形成するものであって、図中線状に示す液晶11と、液晶11を挾持するTFT基板12(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板13(以下、TFT基板12と対向基板13とをまとめて一対のガラス基板と称する場合がある)と、TFT基板12に固定された外部接続用のフレキシブルコネクタ14と、TFT基板12の出射側の外表面を覆う出射側防塵ガラス15および対向基板13の入射側の外表面を覆う入射側防塵ガラス17(以下、出射側防塵ガラス15と入射側防塵ガラス17とをまとめて一対の防塵ガラスと総称する場合がある)を有している。
なお、出射側防塵ガラス15の出射側の表面を外表面16と、入射側防塵ガラス17の入射側の表面を外表面18と称する。
さらに、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、外表面16の全面および外表面18の全面、外表面16とパネル枠20の内周部とを跨いで、並びに外表面18と固定板30とを跨いで、それぞれコーティング材9がコーティングされている。なお、前記全面とは外表面において、周囲の縁に沿った所定の範囲を除いた範囲をいう(別途詳細に説明する)。
なお、一対のガラス基板は石英によって、一対の防塵ガラスはネオセラム(登録商標)によって形成されている。
【0025】
(パネル枠)
パネル枠20は、投写光が通過する略矩形状の窓21(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)と、パネル本体10を収容する本体収容部22と、フレキシブルコネクタ14が配置される切欠部23と、図示しない電気光学装置に設置する際に設置用ピンが挿入される設置用孔24と、固定板30の爪32が係止する係止部25とを有している。
さらに、窓21の周囲(パネル枠の内周を形成する縁端部に同じ、以下、縁端部26と称する)は板厚が薄く形成され、縁端部26に向けて傾斜した縁斜面27が形成されている。このため、外表面18と縁端部26とを連結するようにコーティング材9をコーティングする作業が容易になり、外表面18の塗膜が均一化し、また、外表面18と縁端部26とを跨いだ塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。
また、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合、コーティング材9がパネル枠20の縁端部26に溜まることがないから、パネル本体10の外表面18に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体10に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、外表面18の全面が略均一に冷却されると共に、パネル枠20の縁端部26にダスト等が集積することがなくなる。
なお、パネル枠20はマグネシウム合金(たとえば、AZ91D等)によって形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく、その他の金属や電気伝導性樹脂(たとえば、クールポリE−series(登録商標)等)であってもよい。さらに、電気抵抗の大きな材料や絶縁材によって形成してもよい。
【0026】
(固定板)
固定板30は、略矩形の枠体であって、投写光が通過する略矩形状の窓31(パネル本体の表示領域に相当する)と、パネル枠20の係止部25に係止する爪32とを有している。また、固定板30は、たとえば、ステンレス鋼板を打ち抜き加工(ブランキング)し、爪32を垂直に曲げ加工したものである。
すなわち、固定板30が薄板材によって形成されているから、出射側の外表面16と固定板30とを連結するようにコーティング材9をコーティングすることが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になり(導電性が確保される)、且つ塗膜の厚さが均一化する。
特に、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合コーティング材9が固定枠30の窓31の周囲(固定枠30の内周を形成する縁端部に同じ)に溜まることがないから、パネル本体10の外表面16に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体10に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、外表面16の全面が略均一に冷却されることになる。
また、パネル枠20の係止部25と爪32との当接部にコーティング材9をコーティングする場合には、前記と同様の理由で、係止部25と爪32とを連結するようにコーティング材9をコーティングすることが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になり(導電性が確保される)。
なお、本発明はパネル本体10を固定板30によって直接固定するものに限定するものではなく、パネル本体10と固定板30との間に板バネを配置して、該板バネを介してパネル本体10をパネル枠20に押し付けてもよい。このとき、出射側の外表面16と板バネと固定板30とを跨いでコーティング材9がコーティングされるから、塗膜が分断されることがなく導電性が確保される。
また、固定板30に替えて、相互に貼り合わせ自在な一対のパネル枠によってパネル本体を形成し、相互に貼り合わせて固定してもよい。
【0027】
(コーティング範囲)
図1において、投写光の入射側において矩形範囲イ−ロ−ハ−ニ(一点鎖線または太線で示す)および投写光の出射側において矩形範囲ホ−ヘ−ト−チ(太線で示す)にコーティング材9がコーティングされている。すなわち、入射側防塵ガラス17の外表面18と、外表面18とパネル枠20の内周部とを跨いでパネル枠20にコーティング材9がコーティングされ、また、出射側防塵ガラス15の外表面16と、外表面16と固定板30の内周部とを跨いで固定板30にコーティング材9がコーティングされている。
【0028】
したがって、パネル本体10の外表面に帯荷した静電気はパネル枠20の前記一点鎖線によって囲まれた範囲内を流れるから、固定板30およびパネル枠20を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材(近接する装置等の部材)に静電気が流れることになる。また、パネル枠20に電気的接地を設置しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
また、固定板30およびパネル枠20が電気抵抗の高い材料や導電性のない材料によって形成された場合であっても、前記範囲内に電気的接地を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体10の外表面16、18が除電されるから、外表面16、18にダスト等が付着し難くなる。よって、付着したダスト等を除去するための作業や除去のための装置が不要となり、メンテナンスコストが低減する。また、除去作業に伴うパネル本体10の損傷が防止される。
【0029】
さらに、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、コーティング作業を実施するため、組み込む前にあらかじめ防塵ガラス15、17の外表面16、18にコーティング材9をコーティングすることや、前記組み込んだ後に防塵ガラス15、17とパネル枠20との隙間にコーティング材9を注入する必要がないから、作業が簡素になる。
特に、入射側においては、パネル枠20の縁端部26が薄肉に形成され、且つ縁斜面27によって縁取られ、一方、出射側においては、固定板30が薄板によって形成されているから、両側においてコーティング作業が容易になり、外表面18および16に塗布された塗膜の厚さが均一になる。また、それぞれの部材間を相互に連結するようにコーティング材9をコーティングするから、部材間を跨ぐ際に塗膜が分断されることがないため、該連結が確実になる(両者の電気的な一体的連結が確実になる)。
さらに、浸漬によってコーティングする場合でも、コーティング材9がパネル枠20や固定板30の内周に溜まることがないから、容易な作業によって塗膜厚さの均一化が図られることになる。
【0030】
なお、コーティング範囲は、前記矩形範囲内(図1(a)において一点斜線にて包囲した範囲、(b)において太線9によって示した範囲に同じ)に限定するものではない。たとえば、固定板30とパネル枠20とを連結するようにコーティングすれば、固定板30とパネル枠20との間の導電性が向上する。さらに、パネル枠20の全表面(固定板30の全表面を含む)をコーティングすれば、導電性のみならず耐湿性、耐食性が向上する。
【0031】
(コーティング材)
コーティング材(透明導電性被覆材)9はポリチオフェン系導電性高分子材料であるため、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜が得られる。たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いれば、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、コーティング材9としてポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料を用いてもよい。
【0032】
(実施例2)
(光変調装置)
図3は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例2を示すものであって、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図4は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例2を組み立てる前の各部位を示すものであって、投写光の入射側から見た斜視図である。なお、投写光の投射方向を矢印にて示す。
図3および図4において、2は光変調装置、40はパネル本体、50はパネル枠(パネルフレームに同じ)、60は固定板(パネルフックに同じ)、70はパネル枠50に設置された電気的接地である。光変調装置2は、パネル本体40がパネル枠50に収容されて固定板60によって固定され、全表面に透明導電性被覆材9(以下、コーティング材と称する)が塗布(以下、コーティングと称する)されている。以下、部位毎に説明する。
【0033】
(パネル本体)
パネル本体40は、画像情報に基づいて光学像を形成するものであって、図中線状に示す液晶41と、液晶41を挾持するTFT基板42(薄膜トランジスタ素子基板)と、これに対向する対向基板43(以下、一対のガラス基板と称する場合がある)と、TFT基板42に固定された外部接続用のフレキシブルコネクタ44とを有している。すなわち、パネル本体40は、実施例1におけるTFT基板12の出射側の外表面を覆う出射側防塵ガラス15および対向基板13の入射側の外表面を覆う入射側防塵ガラス17を撤去したものに同じである。
そして、パネル本体40をパネル枠50に組み込んだ後に、光変調装置2の全表面(図3の(b)において、太線9によって示した範囲)にコーティング材9をコーティングしたものである。
【0034】
すなわち、対向基板43の入射側の外表面48の全面、外表面48とパネル枠50とを跨いで、TFT基板42の出射側の外表面46の全面、外表面46と固定板60とを跨いで、固定板60の爪62とパネル枠50の係止部55とを跨いで、並びに電気的接地70とパネル枠50とを跨いで、それぞれ一体的にコーティング材9がコーティングされている。
したがって、パネル本体40の外表面46および48に帯電した静電気はコーティング材9(固化した塗膜)を伝わって、電気的接地70に流れて電気的接地されるから、外表面46および48に静電気が溜まることがなくなり、ダスト等が付着することがなくなる。よって、ダスト等の投写画像を暈かす(消す)ための防塵ガラスが不要になっている。また、付着したダスト等を除去するための清掃作業がなくなることから、該作業に起因した一対のガラス基板の損傷のおそれがなくなるため、防塵ガラスが不要になっている。なお、一対のガラス基板は石英によって形成されている。
【0035】
(電気的接地)
電気的接地70はパネル枠50の外面に固定用ねじ71によって固定されている。すなわち、電気的接地70とパネル枠50とがコーティング材9を挟み付けているから、パネル枠50が電気抵抗の高い材料や絶縁材で形成された場合でも、前記のようにパネル本体40の外表面46および48を効果的に除電(電気的接地)することができる。また、パネル枠50自体を導電性材料で形成しておけば、より確実な電気的接地効果が得られる。
さらに、光変調装置2を設置する周辺の機器類が電気抵抗の高い材料や絶縁材で形成された場合でも、パネル本体40の外表面46および48の除電(電気的接地)が可能になる。
【0036】
(パネル枠)
パネル枠50は、実施例1のパネル枠20に準じるため、これと同じ部分には下一桁に同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
なお、パネル本体40を固定板60によってパネル枠50に固定した(組み込みに同じ)後に、これらの全表面がコーティング材9によってコーティングされるから、パネル本体40の外表面46および48が効果的に除電(電気的接地)される。
【0037】
(固定板)
固定板60は、実施例1の固定板30に準じるため、これと同じ部分には下一桁に同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0038】
(コーティング)
光変調装置2の全表面(図3の(b)において、太線で包囲した範囲)にコーティング材9がコーティングされている。したがって、前記のように除電(電気的接地)効果を奏し、耐湿性が付与されている。
コーティング材(透明導電性被覆材)9は実施例1に準じるため説明を省略する。
【0039】
(実施例3)
(光変調装置)
図5は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例3を示す断面図である。図5において、3は光変調装置、9は透明導電性被覆材(以下、コーティング材9と称する)、40はパネル本体、80はパネル枠(パネルフレームに同じ)である。なお、実施例2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図5において、パネル枠80は厚さ方向で半割状態に形成されたものが、内部にパネル本体40を包持した状態で相互に貼り合わされたものであって、該貼り合わせの後、光変調装置3の全表面にコーティング材9がコーティングされている。したがって、半割状態のパネル枠80の一方が実施例2の固定板60と相違するものの、それ以外は実施例2と同様であるため説明を省略する。
なお、パネル枠80の投写光が通過する略矩形状の窓81(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)を形成する周囲(以下、窓周囲86と称する)に向けて断面円弧状に傾斜した縁斜面87が形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく直線状に傾斜してもよい。また、パネル枠80は液晶41に対して対称形であるものに限定するものではなく、入射側と出射側で半割状態の厚さや縁斜面87の形状が相違してもよい。
【0040】
(実施例4)
(光変調装置)
図6は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例4を示すものであって、(a)は断面図、(b)は半割状態における一部の断面斜視図、(c)および(d)は半割状態における一部の平面である。図6において、4は光変調装置、9は透明導電性被覆材(以下、コーティング材と称する)、40はパネル本体、90はパネル枠(パネルフレームに同じ)である。なお、実施例2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図6において、パネル枠90の投写光が通過する略矩形状の窓91(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)を形成する周囲(以下、窓周囲96と称する)に向けて傾斜した縁斜面97が形成され、縁斜面97の反対側の面に段差部99が設けられている。したがって、実施例3と比較して段差部99を具備する点が相違するものの、それ以外は同様である。
【0041】
段差部99は本体収容部92におけるパネル本体40が当接する面(内面)に設けられているため、パネル本体40がパネル枠90に組み込まれた際、段差部99において、パネル枠90の窓周囲96に沿った内面がパネル本体40の外表面46、48から離隔して隙間ができている。したがって、該離隔して形成された隙間にコーティング材9が侵入して外表面46、48とパネル枠90との電気的連結が確実になる(濡れ性が改善される)。
また、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合、コーティング材9が段差部99(前記隙間に同じ)の液体溜まりとして作用するから、パネル本体40の外表面46および48に均一な塗膜を形成することが可能になる。
なお、段差部99の平面視形状は(b)に示すように段差部の壁面D−Eおよび壁面E−Fが窓周囲96(A−B、B−C)に略平行な直線状であるものの他に、(c)に示すような波状若しくは鋸歯状であるもの(図中、平行線によって網掛けをした範囲)、あるいは(d)に示すような所定幅の矩形状であるもの(図中、平行線によって網掛けをした複数カ所)であってもよい。
特に、(c)または(d)に示す場合、段差部99の壁面の一部がパネル枠90の本体収容部92の壁面G−HおよびH−Iに到達するようにしておけば、コーティングの際、段差部99の隙間のエア−抜きが促進されるから、コーティング材9の侵入が容易になる。
【0042】
[実施の形態2]
(光変調装置の製造方法)
(実施例1)
図7は本発明の実施の形態2に係る光変調装置の製造方法の実施例1を示すフローチャートであって、実施の形態1の実施例1における光変調装置1を製造するものである。すなわち、パネル本体を形成する工程と、パネル本体の外周をパネル枠によって包持する工程と、パネル本体等に透明導電性被覆材(以下、コーティング材と称す)を塗布(以下、コーティングと称す)する工程とを有している。以下、フローチャートに基づいて説明する。
【0043】
(S1)光変調装置1を構成する一対のガラス基板(液晶11を挾持するTFT基板12(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板13)のためのガラス原板を準備する。
(S2)一方のガラス原板にTFT素子や所定の電極等を形成してTFT基板12とし、さらに、TFT基板12にフレキシブルコネクタ14を設置する。
(S3)他方のガラス原板に共通電極等を形成して対向基板13とする。
(S4)TFT基板12および対向基板13を所定の隙間を設けて貼り合わせる。
(S5)前記隙間に液晶11を封入する。
(S6)FT基板12の外表面に出射側防塵ガラス15を、対向基板13の外表面に入射側防塵ガラス17を配置してパネル本体10を完成する。
(S7) 次に、パネル本体10をパネル枠20の本体収容部22に収容して、固定板30によって固定する(パネル本体10をパネル枠20に組み込むに同じ)。
(S8)最後に、パネル本体10およびパネル枠20の外面にコーティング材9をコーティングする。すなわち、パネル本体10の入射側の外表面18の全面と、外表面18とパネル枠20の縁斜面27(縁端部26を含む)とを跨った範囲と、出射側の外表面16の全面、外表面16と固定枠30とを跨った範囲とがコーティングされる。
さらに、該コーティングを施した後に、コーティング層(コーティング材9が固化した膜、塗膜に同じ)の上に反射防止層を設けてもよい。
【0044】
これによれば、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、パネル本体10の外表面等にコーティング材9をコーティングするから、該コーティング作業が1回で済み、且つパネル本体10の外表面の除電(電気的接地)ができる。
すなわち、パネル本体10を形成する前に、あらかじめ外表面16、18にコーティング材9をコーティングしたり、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、両者の隙間にコーティング材9を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
【0045】
また、パネル本体10の外表面18とパネル枠20の内周部(縁端部26を含む範囲)とを跨いで、およびパネル本体10の外表面16と固定板30の内周部(窓31の周囲を含む範囲)とを跨いで、コーティング材9を一気にコーティングするから、それぞれの塗膜(コーティング材9が固化した膜)が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体10の外表面16、18が除電されるから、ダスト等が付着し難くなる。
なお、本発明におけるコーティング材9をコーティングする範囲は、文字通りパネル枠の内周(縁端部26等)に限定するものではなく、縁端部26からパネル枠の表面にかかる広い範囲(縁斜面27等を含む範囲)であってもよい。
【0046】
(実施例2)
図8は本発明の実施の形態2に係る光変調装置の製造方法の実施例2を示すフローチャートであって、実施の形態1の実施例2における光変調装置2を製造するものである。実施例2は一対の防塵ガラスが配置されずに、パネル枠50等の全表面にコーティング材9をコーティングしたものであるから、実施例1(図7)におけるステップ1〜8(S1〜S8)からステップ6(S6)を削除したものに略同じである。以下、フローチャートに基づいて説明する。
【0047】
(S1)光変調装置2を構成する一対のガラス基板(液晶41を挾持するTFT基板42(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板43)のためのガラス原板を準備する。
(S2)一方のガラス原板にTFT素子や所定の電極等を形成してTFT基板42とし、さらに、TFT基板42にフレキシブルコネクタ44を設置する。
(S3)他方のガラス原板に共通電極等を形成して対向基板43とする。
(S4)TFT基板42および対向基板43を所定の隙間を設けて貼り合わせる。
(S5)前記隙間に液晶41を封入してパネル本体40を完成する。
(S7)次に、パネル本体40をパネル枠50の本体収容部52に収容して、固定板60によって固定する(パネル本体40をパネル枠60に組み込むに同じ)。
(S8)そして、パネル本体40およびパネル枠50の全表面にコーティング材9をコーティングする。
(S8の2)最後に、パネル枠50に電気的接地70を設置する。
【0048】
よって、実施例1と同様にパネル本体の除電(電気的接地)効果や、パネル枠の耐湿性が向上する効果を奏し、さらに、全表面を浸漬によって極めて簡単にコーティングをすることが可能である。
なお、パネル枠50への電気的接地70の設置は、全表面をコーティングする(S8)前にしてもよい。
【0049】
(実施例3および実施例4)
実施の形態1の実施例3の光変調装置3、および実施例4の光変調装置4の製造方法は、実施例2における製造方法に同じである。ただし、固定板を有しないため、図8におけるステップ7「パネル本体40をパネル枠50の本体収容部52に収容して、固定板60によって固定する(S7)」を、「パネル本体40を半割状態のパネル枠80の本体収容部に収容して、相互に貼り合わせて固定する(パネル本体40をパネル枠80に組み込むに同じ)」および「パネル本体40を半割状態のパネル枠90の本体収容部に収容して、相互に貼り合わせて固定する(パネル本体40をパネル枠90に組み込むに同じ)」と読み替えるものである。なお、パネル枠に電気的接地を設置するステップ(S8の2)を省略する場合がある。
【0050】
[実施の形態3]
(プロジェクタ)
(実施例1)
図9は本発明の実施の形態3係るプロジェクタを上面側から見た概略斜視図である。図9において、プロジェクタ100は、光源としての光源装置から出射された光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に分離し、これらの各色光束を電気光学装置を構成する光変調装置(実施の形態1に係る光変調装置に同じ)を通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束をクロスダイクロイックプリズム(色合成光学系)により合成して、投写レンズ110を介して投写面上に拡大表示する形式のものである。
投写レンズ110は、その他の構成部品と同様に外装ケース102の内部に収納されているが、必要に応じて外装ケース102から突出可能な機構になっている。
なお、プロジェクタ100は、投写面を観察する方向から画像投写を行う前面プロジェクタ、あるいは投写面を観察する方向とは反対側から画像投写を行う背面プロジェクタのいずれであってもよい。
【0051】
(外装ケースの構造)
外装ケース102は、装置上面を覆うアッパーケース103と、装置底面を構成するロアーケース104と、正面部分を覆うフロントケース105とから基本的に構成され、フロントケース105には、投写レンズ110が突出可能なように開口部106が設けられている。
【0052】
図10は、図9に示すプロジェクタの光学系を上面側から見た概略斜視図である。外装ケース102の内部には、光源ランプユニット108、電源としての電源ユニット(図示せず)、光学ユニット109、ドライバーボード(図示せず)、メインボード(図示せず)、AVボード(図示せず)などが配置されている。
そして、光源ランプユニット108、光学ユニット109および投写レンズ110によって平面U字形上の光学系が構成され、各ボードで制御系が構成されている(以下、詳細に説明する)。
【0053】
(光学系の構造)
図11は、図9に示すプロジェクタの光学系の構造を説明する模式図である。図11において、光学ユニット109は、それぞれライトガイド190(図10参照)内に収容された照明光学系130と、色分離光学系140と、リレー光学系170と、電気光学装置と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム160と、ライトガイド190のヘッド板193(図10参照)に固定された投写レンズ110とで構成されている。電気光学装置はフィールドレンズと、入射側偏光板と、光変調装置と、出射側偏光板とから構成されるものである(これについては以下に説明する)。
【0054】
光学ユニット109において、光源装置183から出射された略平行な光束は、第1と第2のレンズアレイ131、132によって複数の部分光束に分割される。第1のレンズアレイ131の小レンズ131Aから出射された部分光束は重畳レンズ134によって、光変調装置150R、150G、150B(以下、まとめて光変調装置150と総称する場合がある)の画像形成領域上で概ね重畳される。その結果、各光変調装置150R、150G、150Bは、面内分布がほぼ均一な照明光によって照明される。
【0055】
そして、光変調装置150が実施の形態1(実施例1〜4)に示す光変調装置1〜4の何れかであるから、パネル本体の外表面が除電されるため、プロジェクタ100または光学ユニット109の製造工程において、あるいは、プロジェクタ100の使用時(投写時等)において、パネル本体の外表面にダスト等が付着し難いから、ダスト等の陰が投写されることがなく、これによる投写画像の品質低下が防止される。
【0056】
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置150の損傷が防止されるから、保全コスト(メンテナンスコスト)が低減する。すなわち、プロジェクタ100本体を分解して、エアーガン、ブロワー、集塵装置等の種々の設備を用いてダスト等(を取り除いた後に、再び組み立てたり、付着したダスト等が簡単に取り除けないために要する長時間の除去作業がなくなる。
【0057】
さらに、付着したダスト等を投写面上で暈かすための防塵ガラスを撤去することが可能になるから、実施例2〜4に示す光変調装置を2〜4を採用することにより部品点数が減少して軽量化および製造コストの低減化が図られる。
【0058】
また、光学ユニット109における色光分離光学系140の第1のダイクロイックミラー141では、照明光学系130から出射された光束の赤色光成分が反射するとともに、青色光成分と緑色光成分とが透過する。第1ダイクロイックミラー141によって反射した赤色光は、反射ミラー143で反射し、フィールドレンズ153を通って赤色用の光変調装置150Rに達する。このフィールドレンズ153は、第2のレンズアレイ132から出射された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の光変調装置150G、150Bの前に設けられたフィールドレンズ154、155も同様である。
【0059】
第1のダイクロイックミラー141を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー142によって反射し、フィールドレンズ154を通って緑色用の光変調装置150Gに達する。
一方、青色光は第2のダイクロイックミラー142を透過してリレー光学系170を通り、さらにフィールドレンズ155を通って青色用の光変調装置150Bに達する。なお、青色光にリレー光学系170が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路よりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ171に入射した部分光束をそのままフィールドレンズ155に伝えるためである。
【0060】
赤、緑、青の各色光は、光変調装置150R、150G、150Bに入射するにあたり、入射側偏光板151R、151G、151Bで特定の偏光光のみとされる。この後、各偏光光は、各光変調装置150R、150G、150Bにおいて与えられた画像情報に従って変調され、変調光として出射側偏光板152R、152G、152Bに出射される。そして、出射側偏光板152R、152G、152Bにおいては、変調光のうちの特定の偏光のみが透過し、クロスダイクロイックプリズム160に出射される。
出射された各色光の偏光光は、クロスダイクロイックプリズム160で合成されて合成光となり、投写レンズ110の方向に出射される。この合成光は、投写レンズ110により投写スクリーン等の投写面上にカラー画像として投写される。
【0061】
なお、本発明のプロジェクタは、前記実施例1に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。例えば次のような態様も可能である。
【0062】
(実施例2)
プロジェクタ100は、光源装置183の光を複数の部分光束に分割する2つのレンズアレイ131、132を用いていたが、本発明はこのようなレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。
【0063】
(実施例3)
プロジェクタ100は、電気光学装置を3つ用いていたが、本発明は、電気光学装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用することが可能である。
【0064】
(実施例4)
プロジェクタ100は、透過型のプロジェクタについて説明したが、反射型プロジェクタにも適用することが可能であって、透過型のプロジェクタとほぼ同様の効果を得ることができる。
ここで、「透過型」とは、液晶ライトバルブ等のライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
反射型プロジェクタの場合、ライトバルブは光変調装置のみによって構成することが可能であり、一対の偏光板は不要である。
また、反射型プロジェクタでは、クロスダイクロイックプリズムは、光源装置から出射された光を赤、緑、青の3色の光に分離する色光分離手段として利用されると共に、変調された3色の光を再度合成して同一の方向に出射する色光合成手段としても利用される場合がある。
【0065】
(実施例5)
また、クロスダイクロイックプリズムではなく、三角柱や四角柱状のダイクロイックプリズムを複数組み合わせたダイクロイックプリズムを用いる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】光変調装置の実施例1を示す正面図および断面図。
【図2】光変調装置の実施例1の各部位を示す斜視図。
【図3】光変調装置の実施例2を示す正面図および断面図。
【図4】光変調装置の実施例2の各部位を示す斜視図。
【図5】光変調装置の実施例3を示す断面図。
【図6】光変調装置の実施例4を示す断面図。
【図7】光変調装置の製造方法の実施例1を示すフローチャート。
【図8】光変調装置の製造方法の実施例2を示すフローチャート。
【図9】プロジェクタを上面側から見た概略斜視図。
【図10】プロジェクタの光学系を上面側から見た概略斜視図。
【図11】プロジェクタの光学系の構造を説明する模式図。
【符号の説明】
1 光変調装置(実施例1)、2 光変調装置(実施例2)、3 光変調装置(実施例3)、4 光変調装置(実施例4)、9 コーティング材、10 パネル本体(実施例1)、11 液晶、12 TFT基板、13 対向基板、14 フレキシブルコネクタ、15 出射側防塵ガラス、16 出射側の外表面、17入射側防塵ガラス、18 入射側の外表面、20 パネル枠(実施例1)、30 固定板、40 パネル本体(実施例2)、50 パネル枠(実施例2)、60 固定板、70 電気的接地、80 パネル枠(実施例3)、90 パネル枠(実施例4)、99 段差部、100 プロジェクタ、150R 光変調装置、150G 光変調装置、150B 光変調装置
【発明の属する技術分野】
本発明は光変調装置、特に、プロジェクタの電気光学装置に好適な光変調装置、およびその製造方法、並びにそれを装備したプロジェクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロジェクタ等で使用する光変調装置は、強力な光源光により熱せられて高温となり、液晶の特性上、機能を果たせなくなることがあるため、冷却する機構が組み込まれている。該冷却機構の一方式である空気を光変調装置表面に直接吹きつける空冷方式においては、埃、ゴミや毛羽類(以下、ダスト等と称す)が必然的に光変調装置の外表面に当たって静電気を帯びるため、ダスト等が付着し易く、ダスト等の影が投写されて投写画像の品質に影響を与えるという問題点を有していた。
また、プロジェクタ(または、これに装備される電気光学装置)等の製造工程において、光変調装置に静電気が溜まりダスト等が付着するという問題点があった。
【0003】
そこで、ガラス基板の外表面(投光範囲)に透明導電性膜を一体的に配設し、かつ該透明導電性膜を周囲の機器類側に電気的接地して静電気の溜まり(以下、帯電と称す)を防止する技術が開示されている。なお、透明導電性膜は、例えばポリピロール系の導電性ポリマーを塗布したもの、ITO(インジウムと酸化錫の合金)等を蒸着、あるいはスピンコート等して設けられるもので、厚みとしては約100nm程度とされている。
また、パネル枠を導電性材料で形成して、該パネル枠と前記透明導電性膜との隙間に導電性樹脂材を充填・固化して静電気の除荷(以下、除電と称す)を容易にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−147470号公報(第5−6頁、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光変調装置の除電技術は、ガラス基板の外表面にあらかじめ透明導電性膜を一体的に配設し、その後にパネル枠に組み込むものであるから、透明導電性膜とパネル枠との接触がミクロ的に見ると点接触であるため、該接触部の電気抵抗値が大きくなり、結果としてガラス基板の外表面のグランドレベル(対地電位)が悪く、除電効果が少ないという問題点がある。
また、パネル枠に組み込んで後にパネル枠と透明導電性膜との隙間に導電性樹脂材を充填・固化する場合には、ガラス基板への配設に加え、前記隙間への充填作業が新たに発生するから、除電のための作業が2回に渡って発生し、且つ前記充填作業が煩雑であって、製造コストを押し上げる一因になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、1回の除電のための作業によって除電効果を奏する、光変調装置およびその製造方法、並びに該光変調装置を装備したプロジェクタを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光変調装置は、
液晶、該液晶を挟持する一対のガラス基板および該一対のガラス基板のそれぞれの外表面を覆う一対の防塵ガラスを具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする。
これによれば、パネル本体の外表面(防塵ガラスの外表面に同じ)が透明導電性被覆材によって覆われ、且つ該透明導電性被覆材がそのまま一体的にパネル枠の内周部を覆うから、パネル本体の外表面に帯荷した静電気はパネル枠に流れることになる。
したがって、パネル枠を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材に静電気が流れることになる。また、パネル枠の内周部に電気的接地(たとえば、アースケーブル等)を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まることがないから、ダスト等が付着し難くなる。仮に、パネル本体の外表面にダスト等が付着した場合であっても、当該光変調装置が設置される電気光学装置において、投写レンズの焦点の位置とダスト等が付着する面(防塵ガラスの外表面に同じ)とがズレているから、投写されたダスト等の画像はボケたものになり、投写面上では目立たなくなる。よって、投写画像の品質の低下を防止することができる。
さらに、パネル本体の外表面を防塵ガラスで覆っているため、ダスト等は防塵ガラスに直接付着するから、これを取り除く際にガラス基板(TFT基板と対向基板)を損傷することがない。
さらに、透明導電性被覆材をパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、簡単になる。
なお、本発明におけるパネル枠の内周部とは、パネル枠の内周を形成する縁端部に限定するものではなく、該縁端部からパネル枠の表面にかかる所定の幅の範囲を含むものである。したがって、本発明における透明導電性被覆材の塗布範囲は、パネル枠の内周を形成する縁端部に限定するものではなく、該縁端部から所定の幅の範囲若しくはパネル枠の全表面であってもよい。
【0008】
また、液晶および該液晶を挟持する一対のガラス基板を具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする。
これによれば、パネル本体の外表面が透明導電性被覆材によって覆われ、且つ該透明導電性被覆材がそのまま一体的にパネル枠の内周部を覆うから、パネル本体の外表面に帯荷した静電気はパネル枠に流れることになる。
したがって、パネル枠を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材に静電気が流れることになる。また、パネル枠の内周部に電気的接地を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まらないから、ダスト等が付着し難くなるため、パネル本体の外表面を保護する防塵ガラスを撤去することが可能になり、パネル本体を構成する部品点数が減少する。すなわち、液晶とTFT基板(薄膜トランジスタ素子基板)と対向基板とを有するものにすることができるから、光変調装置が安価且つ軽量になる。
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置の損傷が防止される。
さらに、透明導電性被覆材をパネル本体の外表面およびパネル枠の内周の両方に略同時に塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、光変調装置の製造工程が簡素になる。
【0009】
前記パネル本体の外表面とパネル枠の表面との全域に前記透明導電性被覆材が塗布されてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の表面全域(入射側および出射側の外表面、並びに端面等)にも透明導電性被覆材が塗布されるから、パネル枠を金属によって形成した場合であっも、耐湿性が改善される。すなわち、パネル枠を形成する材料を選定する自由度が増し且つ腐食防止のための化成処理が不要となるため、製造コストが低減する。また、パネル枠に設置される部品毎に防食処理を施す必要がなくなるため、部品コストが低減する。
さらに、パネル枠に電気的接地を設置する場合、いずれの位置においても導電自在であるから電気的接地の設置位置の自由度が増す。また、周辺部材との接触によって電気的接地する場合、いずれの位置においても導電自在であるから、周辺部材との取り合いの自由度が増す。
【0010】
前記透明導電性被覆材(透明導電性コーティング材に同じ)がポリチオフェン系導電性高分子材料であることが好ましい。
これによれば、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜(透明導電性コーティング材が固化した膜に同じ)が得られるから、パネル本体の外表面のみならず、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部とを跨ぐ塗膜が確実に形成される。
たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いると、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、本発明は、透明導電性被覆材がポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料であっても、同様の作用・効果を得ることができものである。
【0011】
前記パネル枠が金属または電気導電性樹脂によって形成されてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠自体が導電性を具備するから、パネル本体の外表面からパネル枠に透明導電性被覆材の塗膜を経由して流れた静電気がパネル枠自体を伝わって流れるため、何れの位置においても導電自在になる。したがって、パネル枠の内周部にのみ透明導電性被覆材を塗布した場合であっても、電気的接地の設置位置の自由度や周辺機器との取り合いの自由度が増す。
なお、金属として、たとえば、AZ91D等のマグネシウム合金、電気導電性樹脂として、たとえば、クールポリE−series(登録商標)等を用いる。
【0012】
前記パネル枠の表面の内周に沿った所定の範囲が前記パネル本体の外表面に向かって傾斜してなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の表面が、パネル枠の内周(パネル枠の内周を形成する縁端部)に沿った所定の幅の範囲がパネル本体の外表面に向かって傾斜しているから、前記外表面と内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。
また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材がパネル枠の縁端部に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、パネル枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0013】
前記パネル枠の内面の内周に沿った所定の範囲に段差部が設けられてなることが好ましい。
これによれば、パネル枠の内面でパネル枠の内周(パネル枠の内周を形成する縁端部)に沿った所定の範囲に所定の深さの段差部が設けられているから、パネル本体がパネル枠に組み込まれた際、該段差部においてパネル枠の内面はパネル本体の外表面から離隔し、隙間を形成している。したがって、該隙間に透明導電性被覆材が侵入し外表面と内周部との電気的連結が確実になる(濡れ性が改善される)。
また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、前記隙間が透明導電性被覆材の液体溜まりとして作用するから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。
なお、前記段差部の平面視の形状はパネル枠の縁端部に平行なものに限定するものではなく、縁端部に沿った波状(鋸歯状、矩形波状等)であってもよい。また、前記縁端部の全周を包囲するものに限定するものではなく、所定の幅の段差部が前記縁端部に沿って複数カ所に配置、すなわち、パネル枠の内面とパネル本体の外表面が前記縁端部に沿って飛び飛びに当接および離隔を繰り返してもよい。
【0014】
前記パネル枠に除電のための電気的接地が設置されてなることが好ましい。
これによれば、パネル本体の外表面から透明導電性被覆材を経由してパネル枠側に流れ込んだ静電気が確実に電気的接地を経由して除電されるから、パネル本体の外表面へのダスト等の付着が防止できる。また、パネル枠が電気抵抗の高い材料または絶縁材によって形成された場合でも、透明導電性被覆材を電気的接地にまで連続して塗布しておけば除電することが可能になる。
【0015】
前記パネル本体の外周に当接し且つ前記パネル枠に係止する固定板を有し、前記パネル本体の外表面および該固定板の内周部に、前記外表面と内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることが好ましい。
これによると、パネル本体の一方の外表面(たとえば、投写光の入射側)がパネル枠に包持され、パネル本体の他方の外表面(たとえば、投写光の出射側)が固定板によってパネル枠に固定されるから、確実に組み立てることができ、使用等に際してパネル本体の位置が偏位することがなくなる。
また、パネル本体の他方の外表面と固定板が透明導電性被覆材によって一体的に連結されるから、パネル本体の他方の外表面に帯電した静電気は固定板側に流れることになる。したがって、固定板をステンレス鋼板等の導電性材料により形成しておけば、前記静電気はパネル枠に流れ、さらに、周囲の機器を経由してあるいはパネル枠に設置された電気的接地を経由して除電される。よって、パネル本体の外表面に静電気が溜まることがないから、ダスト等の付着が防止される。
さらに、固定板を薄い板材によって形成しておけば、パネル本体の外表面と固定板の部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材が固定板の内周に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、固定枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0016】
さらに、本発明に係る光変調装置の製造方法は、
液晶を挾持した一対のガラス基板の外表面を一対の防塵ガラスによって覆ってパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする。
これによれば、まず、液晶と一対のガラス基板と一対の防塵ガラスとによってパネル本体を形成しておき、次にパネル本体とパネル枠とを組み立て、最後にパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部に、および前記外表面と前記内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布するものである。したがって、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に透明導電性被覆材を塗布することができるから、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、且つパネル本体の外表面とパネル枠の内周部との間の導電性を保証することができる。
すなわち、パネル本体を形成する前に、あらかじめ防塵ガラスの外表面に透明導電性被覆材を塗布したり、パネル本体とパネル枠とを組み立てた後に、両者の隙間に導電性材料を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
また、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部を跨いで、透明導電性被覆材を一気に塗布するから、それぞれの塗膜が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体の外表面が除電されるから、ダスト等が付着し難くなる。
また、透明導電性被覆材が塗布されたパネル枠に電気的接地用を設置すれば、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を経由して電気的接地に流れるから、導電性が保証されパネル本体の外表面の除電が確実になる。一方、パネル枠に電気的接地を設置した後、パネル枠と該電気的接地とを跨ぐように透明導電性被覆材を塗布すれば、同様にパネル本体の外表面が除電される。
さらに、パネル本体の外表面にダスト等が付着した場合であっても、光変調装置が設置される電気光学装置において、投写レンズの焦点の位置とダスト等が付着する面(パネル本体の外表面に同じ)とがズレているから、投写されたダスト等の画像はボケたものになり、投写面上では目立たなくなる。よって、投写画像の品質の低下を防止することができる。
また、パネル本体の外表面を防塵ガラスで覆っているため、ダスト等は防塵ガラスに直接付着するから、これを取り除く際にガラス基板(TFT基板と対向基板)を損傷することがない。
【0017】
一対のガラス基板によって液晶を挟持したパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする。
これによれば、まず、パネル本体を形成しておき、次にパネル本体とパネル枠とを組み立て、最後にパネル本体の外表面およびパネル枠の内周部に、および前記外表面と前記内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布するから、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部の両方に略同時に塗布することができ、塗布作業(除電のための作業)が1回で済み、且つパネル本体の外表面とパネル枠の内周部との間の導電性を保証することができる。
すなわち、パネル本体を形成する前に、あらかじめガラス基板の外表面に透明導電性被覆材を塗布したり、パネル本体とパネル枠とを組み立てた後に、両者の隙間に導電性材料を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
また、パネル本体の外表面およびパネル枠の内周部を跨いで、透明導電性被覆材を一気に塗布するから、それぞれの塗膜が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体の外表面が除電されるから、ダスト等が付着し難くなるため、パネル本体の外表面を保護する防塵ガラスを撤去することが可能になる。たとえば、パネル本体を、液晶とTFT基板(薄膜トランジスタ素子基板)と対向基板とを有するものにすることができる。
また、透明導電性被覆材が塗布されたパネル枠に電気的接地を設置すれば、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を経由して電気的接地に流れるから、導電性が保証されパネル本体の外表面の除電が確実になる。一方、パネル枠に電気的接地を設置した後、パネル枠と該電気的接地とを跨ぐように透明導電性被覆材を塗布すれば、同様にパネル本体の外表面が除電される。
【0018】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程が、前記パネル枠に包持されたパネル本体を前記透明導電性被覆材中に浸漬するものであることが好ましい。
これによれば、塗布作業が浸漬であるから、作業が容易であって、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部との連結が確実になる。また、パネル枠の全表面への塗布が容易になる。
【0019】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程の後に、パネル枠に除電のための電気的接地を設置する工程を有すことが好ましい。
これによれば、電気的接地が透明導電性被覆材を挟んでパネル枠に設置されているから、パネル本体に帯電した静電気は透明導電性被覆材を介して電気的接地に流れて除電され、パネル本体に溜まることがない。このとき、パネル枠を形成する材料を金属や導電性材料に限定する必要がなくなるから、材料選定の自由度が増し、且つ製造工程が簡素になって製造コストが低減する。
なお、透明導電性被覆材を塗布する前のパネル枠に電気的接地をあらかじめ設置しておき、パネル枠と該電気的接地とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布しても同様の効果が得られる。このとき、塗布作業が1回で済み、且つパネル本体と電気的接地との間の導電性を保証することができる。
【0020】
前記透明導電性被覆材がポリチオフェン系導電性高分子材料であることが好ましい。
これによれば、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜(透明導電性コーティング材が固化した膜に同じ)が得られるから、パネル本体の外表面のみならず、パネル本体の外表面とパネル枠の内周部とを跨ぐ塗膜が確実に形成される。たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いると、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、本発明は、透明導電性被覆材がポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料であっても、同様の作用・効果を得ることができるものである。
【0021】
前記透明導電性被覆材を塗布する工程の前に、前記パネル本体の外周に当接し且つパネル枠に係止する固定板によって、パネル本体をパネル枠に固定する工程を有すことが好ましい。
これによると、パネル本体の一方の外表面(たとえば、投写光の入射側)がパネル枠に包持され、パネル本体の他方の外表面(たとえば、投写光の出射側)が固定板によってパネル枠に固定されるから、確実に組み立てることができ、使用等に際してパネル本体の位置が偏位することがなくなる。
すなわち、パネル本体の他方の外表面と固定板が透明導電性被覆材によって一体的に連結されるから、パネル本体の他方の外表面に帯電した静電気は固定板側に流れることになる。したがって、固定板をステンレス鋼板等の導電性材料により形成しておけば、前記静電気はパネル枠に流れ、さらに、周囲の機器を経由してあるいはパネル枠に設置された電気的接地を経由して、パネル本体の外表面は除電されることになり、ダスト等の付着が防止される。
さらに、固定板を薄い板材によって形成しておけば、パネル本体の外表面と固定板の内周部とを連結するように透明導電性被覆材を塗布することが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。また、透明導電性被覆材を浸漬によって塗布する場合、透明導電性被覆材が固定板の内周に溜まることがないから、パネル本体の外表面に均一な塗膜を形成することが可能になる。さらに、パネル本体に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、パネル本体の外表面の全面が略均一に冷却されると共に、固定枠の内周を形成する縁端部とパネル本体の外表面とが当接する隅部にダスト等が集積することがなくなる。
【0022】
さらに、本発明に係るプロジェクタは、
光源と、
該光源から出た光の照射状態を均一化するための手段とを備えた照明光源系と、
該照明光源系から出射された光を所定の色光に分離する色分離光学系と、
該色分離光学系からの各色光を画像情報に従って光変調する電気光学装置と、
該電気光学装置において変調された光を投写する投写レンズとを有してなるプロジェクタにおいて、
前記電気光学装置は、前記色分離光学系において分離された所定の色光が到達する所定の色光毎の光変調装置を具備し、該光変調装置が本発明に係る光変調装置であることを特徴とする。
これによると、光変調装置のパネル本体の外表面が除電されているから、ここへのダスト等の付着が防止される。
したがって、プロジェクタまたは電気光学装置の製造工程において、あるいは、プロジェクタの使用時(投写時等)において、パネル本体の外表面にダスト等が付着し難いから、ダスト等の陰が投写されることがなく、これによる投写画像の品質低下が防止される。
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置の損傷が防止されるから、保全コスト(メンテナンスコスト)が低減する。すなわち、プロジェクタ本体を分解し、エアーガン、ブロワー、集塵装置等の種々の設備を用いてダスト等(たとえば、ゴミ・ケバ等)を取り除いた後、再び組み立てる必要がなくなる。なお、従来は、付着したダスト等が簡単に取り除けないため、除去作業に時間がかかっていた。
さらに、付着したダスト等を投写面上で暈かすための防塵ガラスを撤去することが可能になるから、部品点数が減少して軽量化および製造コストの低廉化が図られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
(実施例1)
(光変調装置)
図1は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例1を示すものであって、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図2は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例1を組み立てる前の各部位を示すものであって、(a)は投写光の入射側から見た斜視図、(b)は投写光の出射側から見た斜視図である。なお、投写光の投射方向を矢印にて示す。
図1および図2において、1は光変調装置、10はパネル本体、20はパネル枠(パネルフレームに同じ)、30は固定板(パネルフックに同じ)である。
光変調装置1は、パネル本体10がパネル枠20に収容されて固定板30によって固定されたものである。また、平面視にて矩形範囲イ−ロ−ハ−ニ(一点鎖線で示す)および範囲ホ−ヘ−ト−チに透明導電性被覆材9(以下、コーティング材9と称する)が塗布(以下、コーティングと称する)されている。以下、部位毎に説明する。
【0024】
(パネル本体)
パネル本体10は、画像情報に基づいて光学像を形成するものであって、図中線状に示す液晶11と、液晶11を挾持するTFT基板12(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板13(以下、TFT基板12と対向基板13とをまとめて一対のガラス基板と称する場合がある)と、TFT基板12に固定された外部接続用のフレキシブルコネクタ14と、TFT基板12の出射側の外表面を覆う出射側防塵ガラス15および対向基板13の入射側の外表面を覆う入射側防塵ガラス17(以下、出射側防塵ガラス15と入射側防塵ガラス17とをまとめて一対の防塵ガラスと総称する場合がある)を有している。
なお、出射側防塵ガラス15の出射側の表面を外表面16と、入射側防塵ガラス17の入射側の表面を外表面18と称する。
さらに、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、外表面16の全面および外表面18の全面、外表面16とパネル枠20の内周部とを跨いで、並びに外表面18と固定板30とを跨いで、それぞれコーティング材9がコーティングされている。なお、前記全面とは外表面において、周囲の縁に沿った所定の範囲を除いた範囲をいう(別途詳細に説明する)。
なお、一対のガラス基板は石英によって、一対の防塵ガラスはネオセラム(登録商標)によって形成されている。
【0025】
(パネル枠)
パネル枠20は、投写光が通過する略矩形状の窓21(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)と、パネル本体10を収容する本体収容部22と、フレキシブルコネクタ14が配置される切欠部23と、図示しない電気光学装置に設置する際に設置用ピンが挿入される設置用孔24と、固定板30の爪32が係止する係止部25とを有している。
さらに、窓21の周囲(パネル枠の内周を形成する縁端部に同じ、以下、縁端部26と称する)は板厚が薄く形成され、縁端部26に向けて傾斜した縁斜面27が形成されている。このため、外表面18と縁端部26とを連結するようにコーティング材9をコーティングする作業が容易になり、外表面18の塗膜が均一化し、また、外表面18と縁端部26とを跨いだ塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になる(導電性が確保される)。
また、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合、コーティング材9がパネル枠20の縁端部26に溜まることがないから、パネル本体10の外表面18に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体10に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、外表面18の全面が略均一に冷却されると共に、パネル枠20の縁端部26にダスト等が集積することがなくなる。
なお、パネル枠20はマグネシウム合金(たとえば、AZ91D等)によって形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく、その他の金属や電気伝導性樹脂(たとえば、クールポリE−series(登録商標)等)であってもよい。さらに、電気抵抗の大きな材料や絶縁材によって形成してもよい。
【0026】
(固定板)
固定板30は、略矩形の枠体であって、投写光が通過する略矩形状の窓31(パネル本体の表示領域に相当する)と、パネル枠20の係止部25に係止する爪32とを有している。また、固定板30は、たとえば、ステンレス鋼板を打ち抜き加工(ブランキング)し、爪32を垂直に曲げ加工したものである。
すなわち、固定板30が薄板材によって形成されているから、出射側の外表面16と固定板30とを連結するようにコーティング材9をコーティングすることが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になり(導電性が確保される)、且つ塗膜の厚さが均一化する。
特に、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合コーティング材9が固定枠30の窓31の周囲(固定枠30の内周を形成する縁端部に同じ)に溜まることがないから、パネル本体10の外表面16に均一な塗膜を形成することが可能になる。
さらに、パネル本体10に冷却風を吹き付ける際、冷却風の淀みが防止されるから、外表面16の全面が略均一に冷却されることになる。
また、パネル枠20の係止部25と爪32との当接部にコーティング材9をコーティングする場合には、前記と同様の理由で、係止部25と爪32とを連結するようにコーティング材9をコーティングすることが容易であって、塗膜が分断されることがないから、該連結が確実になり(導電性が確保される)。
なお、本発明はパネル本体10を固定板30によって直接固定するものに限定するものではなく、パネル本体10と固定板30との間に板バネを配置して、該板バネを介してパネル本体10をパネル枠20に押し付けてもよい。このとき、出射側の外表面16と板バネと固定板30とを跨いでコーティング材9がコーティングされるから、塗膜が分断されることがなく導電性が確保される。
また、固定板30に替えて、相互に貼り合わせ自在な一対のパネル枠によってパネル本体を形成し、相互に貼り合わせて固定してもよい。
【0027】
(コーティング範囲)
図1において、投写光の入射側において矩形範囲イ−ロ−ハ−ニ(一点鎖線または太線で示す)および投写光の出射側において矩形範囲ホ−ヘ−ト−チ(太線で示す)にコーティング材9がコーティングされている。すなわち、入射側防塵ガラス17の外表面18と、外表面18とパネル枠20の内周部とを跨いでパネル枠20にコーティング材9がコーティングされ、また、出射側防塵ガラス15の外表面16と、外表面16と固定板30の内周部とを跨いで固定板30にコーティング材9がコーティングされている。
【0028】
したがって、パネル本体10の外表面に帯荷した静電気はパネル枠20の前記一点鎖線によって囲まれた範囲内を流れるから、固定板30およびパネル枠20を導電性材料で形成しておけば、そのまま周囲の部材(近接する装置等の部材)に静電気が流れることになる。また、パネル枠20に電気的接地を設置しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
また、固定板30およびパネル枠20が電気抵抗の高い材料や導電性のない材料によって形成された場合であっても、前記範囲内に電気的接地を設置し、該電気的接地にも透明導電性被覆材を一体的に塗布しておけば、該電気的接地を経由して除電されることになる。
よって、パネル本体10の外表面16、18が除電されるから、外表面16、18にダスト等が付着し難くなる。よって、付着したダスト等を除去するための作業や除去のための装置が不要となり、メンテナンスコストが低減する。また、除去作業に伴うパネル本体10の損傷が防止される。
【0029】
さらに、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、コーティング作業を実施するため、組み込む前にあらかじめ防塵ガラス15、17の外表面16、18にコーティング材9をコーティングすることや、前記組み込んだ後に防塵ガラス15、17とパネル枠20との隙間にコーティング材9を注入する必要がないから、作業が簡素になる。
特に、入射側においては、パネル枠20の縁端部26が薄肉に形成され、且つ縁斜面27によって縁取られ、一方、出射側においては、固定板30が薄板によって形成されているから、両側においてコーティング作業が容易になり、外表面18および16に塗布された塗膜の厚さが均一になる。また、それぞれの部材間を相互に連結するようにコーティング材9をコーティングするから、部材間を跨ぐ際に塗膜が分断されることがないため、該連結が確実になる(両者の電気的な一体的連結が確実になる)。
さらに、浸漬によってコーティングする場合でも、コーティング材9がパネル枠20や固定板30の内周に溜まることがないから、容易な作業によって塗膜厚さの均一化が図られることになる。
【0030】
なお、コーティング範囲は、前記矩形範囲内(図1(a)において一点斜線にて包囲した範囲、(b)において太線9によって示した範囲に同じ)に限定するものではない。たとえば、固定板30とパネル枠20とを連結するようにコーティングすれば、固定板30とパネル枠20との間の導電性が向上する。さらに、パネル枠20の全表面(固定板30の全表面を含む)をコーティングすれば、導電性のみならず耐湿性、耐食性が向上する。
【0031】
(コーティング材)
コーティング材(透明導電性被覆材)9はポリチオフェン系導電性高分子材料であるため、塗工が容易であって、透明性が高く導電性に優れた塗膜が得られる。たとえば、デナトロン(登録商標、長瀬産業(株))を用いれば、スプレーコーティングや浸漬などの一般的なコーティング方法が適用でき、高い透明性と湿度の影響を受けない安定した導電性を奏する塗膜が得られる。また、水系化コーティング材であるため環境負荷が少ない。
なお、コーティング材9としてポリチオフェン系以外、たとえばポリピロール系等の導電性高分子材料を用いてもよい。
【0032】
(実施例2)
(光変調装置)
図3は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例2を示すものであって、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図4は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例2を組み立てる前の各部位を示すものであって、投写光の入射側から見た斜視図である。なお、投写光の投射方向を矢印にて示す。
図3および図4において、2は光変調装置、40はパネル本体、50はパネル枠(パネルフレームに同じ)、60は固定板(パネルフックに同じ)、70はパネル枠50に設置された電気的接地である。光変調装置2は、パネル本体40がパネル枠50に収容されて固定板60によって固定され、全表面に透明導電性被覆材9(以下、コーティング材と称する)が塗布(以下、コーティングと称する)されている。以下、部位毎に説明する。
【0033】
(パネル本体)
パネル本体40は、画像情報に基づいて光学像を形成するものであって、図中線状に示す液晶41と、液晶41を挾持するTFT基板42(薄膜トランジスタ素子基板)と、これに対向する対向基板43(以下、一対のガラス基板と称する場合がある)と、TFT基板42に固定された外部接続用のフレキシブルコネクタ44とを有している。すなわち、パネル本体40は、実施例1におけるTFT基板12の出射側の外表面を覆う出射側防塵ガラス15および対向基板13の入射側の外表面を覆う入射側防塵ガラス17を撤去したものに同じである。
そして、パネル本体40をパネル枠50に組み込んだ後に、光変調装置2の全表面(図3の(b)において、太線9によって示した範囲)にコーティング材9をコーティングしたものである。
【0034】
すなわち、対向基板43の入射側の外表面48の全面、外表面48とパネル枠50とを跨いで、TFT基板42の出射側の外表面46の全面、外表面46と固定板60とを跨いで、固定板60の爪62とパネル枠50の係止部55とを跨いで、並びに電気的接地70とパネル枠50とを跨いで、それぞれ一体的にコーティング材9がコーティングされている。
したがって、パネル本体40の外表面46および48に帯電した静電気はコーティング材9(固化した塗膜)を伝わって、電気的接地70に流れて電気的接地されるから、外表面46および48に静電気が溜まることがなくなり、ダスト等が付着することがなくなる。よって、ダスト等の投写画像を暈かす(消す)ための防塵ガラスが不要になっている。また、付着したダスト等を除去するための清掃作業がなくなることから、該作業に起因した一対のガラス基板の損傷のおそれがなくなるため、防塵ガラスが不要になっている。なお、一対のガラス基板は石英によって形成されている。
【0035】
(電気的接地)
電気的接地70はパネル枠50の外面に固定用ねじ71によって固定されている。すなわち、電気的接地70とパネル枠50とがコーティング材9を挟み付けているから、パネル枠50が電気抵抗の高い材料や絶縁材で形成された場合でも、前記のようにパネル本体40の外表面46および48を効果的に除電(電気的接地)することができる。また、パネル枠50自体を導電性材料で形成しておけば、より確実な電気的接地効果が得られる。
さらに、光変調装置2を設置する周辺の機器類が電気抵抗の高い材料や絶縁材で形成された場合でも、パネル本体40の外表面46および48の除電(電気的接地)が可能になる。
【0036】
(パネル枠)
パネル枠50は、実施例1のパネル枠20に準じるため、これと同じ部分には下一桁に同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
なお、パネル本体40を固定板60によってパネル枠50に固定した(組み込みに同じ)後に、これらの全表面がコーティング材9によってコーティングされるから、パネル本体40の外表面46および48が効果的に除電(電気的接地)される。
【0037】
(固定板)
固定板60は、実施例1の固定板30に準じるため、これと同じ部分には下一桁に同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0038】
(コーティング)
光変調装置2の全表面(図3の(b)において、太線で包囲した範囲)にコーティング材9がコーティングされている。したがって、前記のように除電(電気的接地)効果を奏し、耐湿性が付与されている。
コーティング材(透明導電性被覆材)9は実施例1に準じるため説明を省略する。
【0039】
(実施例3)
(光変調装置)
図5は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例3を示す断面図である。図5において、3は光変調装置、9は透明導電性被覆材(以下、コーティング材9と称する)、40はパネル本体、80はパネル枠(パネルフレームに同じ)である。なお、実施例2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図5において、パネル枠80は厚さ方向で半割状態に形成されたものが、内部にパネル本体40を包持した状態で相互に貼り合わされたものであって、該貼り合わせの後、光変調装置3の全表面にコーティング材9がコーティングされている。したがって、半割状態のパネル枠80の一方が実施例2の固定板60と相違するものの、それ以外は実施例2と同様であるため説明を省略する。
なお、パネル枠80の投写光が通過する略矩形状の窓81(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)を形成する周囲(以下、窓周囲86と称する)に向けて断面円弧状に傾斜した縁斜面87が形成されているが、本発明はこれに限定するものではなく直線状に傾斜してもよい。また、パネル枠80は液晶41に対して対称形であるものに限定するものではなく、入射側と出射側で半割状態の厚さや縁斜面87の形状が相違してもよい。
【0040】
(実施例4)
(光変調装置)
図6は本発明の実施の形態1に係る光変調装置の実施例4を示すものであって、(a)は断面図、(b)は半割状態における一部の断面斜視図、(c)および(d)は半割状態における一部の平面である。図6において、4は光変調装置、9は透明導電性被覆材(以下、コーティング材と称する)、40はパネル本体、90はパネル枠(パネルフレームに同じ)である。なお、実施例2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図6において、パネル枠90の投写光が通過する略矩形状の窓91(パネル枠の内周によって包囲された範囲に同じ、パネル本体の表示領域に相当する)を形成する周囲(以下、窓周囲96と称する)に向けて傾斜した縁斜面97が形成され、縁斜面97の反対側の面に段差部99が設けられている。したがって、実施例3と比較して段差部99を具備する点が相違するものの、それ以外は同様である。
【0041】
段差部99は本体収容部92におけるパネル本体40が当接する面(内面)に設けられているため、パネル本体40がパネル枠90に組み込まれた際、段差部99において、パネル枠90の窓周囲96に沿った内面がパネル本体40の外表面46、48から離隔して隙間ができている。したがって、該離隔して形成された隙間にコーティング材9が侵入して外表面46、48とパネル枠90との電気的連結が確実になる(濡れ性が改善される)。
また、コーティング材9を浸漬によって塗布する場合、コーティング材9が段差部99(前記隙間に同じ)の液体溜まりとして作用するから、パネル本体40の外表面46および48に均一な塗膜を形成することが可能になる。
なお、段差部99の平面視形状は(b)に示すように段差部の壁面D−Eおよび壁面E−Fが窓周囲96(A−B、B−C)に略平行な直線状であるものの他に、(c)に示すような波状若しくは鋸歯状であるもの(図中、平行線によって網掛けをした範囲)、あるいは(d)に示すような所定幅の矩形状であるもの(図中、平行線によって網掛けをした複数カ所)であってもよい。
特に、(c)または(d)に示す場合、段差部99の壁面の一部がパネル枠90の本体収容部92の壁面G−HおよびH−Iに到達するようにしておけば、コーティングの際、段差部99の隙間のエア−抜きが促進されるから、コーティング材9の侵入が容易になる。
【0042】
[実施の形態2]
(光変調装置の製造方法)
(実施例1)
図7は本発明の実施の形態2に係る光変調装置の製造方法の実施例1を示すフローチャートであって、実施の形態1の実施例1における光変調装置1を製造するものである。すなわち、パネル本体を形成する工程と、パネル本体の外周をパネル枠によって包持する工程と、パネル本体等に透明導電性被覆材(以下、コーティング材と称す)を塗布(以下、コーティングと称す)する工程とを有している。以下、フローチャートに基づいて説明する。
【0043】
(S1)光変調装置1を構成する一対のガラス基板(液晶11を挾持するTFT基板12(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板13)のためのガラス原板を準備する。
(S2)一方のガラス原板にTFT素子や所定の電極等を形成してTFT基板12とし、さらに、TFT基板12にフレキシブルコネクタ14を設置する。
(S3)他方のガラス原板に共通電極等を形成して対向基板13とする。
(S4)TFT基板12および対向基板13を所定の隙間を設けて貼り合わせる。
(S5)前記隙間に液晶11を封入する。
(S6)FT基板12の外表面に出射側防塵ガラス15を、対向基板13の外表面に入射側防塵ガラス17を配置してパネル本体10を完成する。
(S7) 次に、パネル本体10をパネル枠20の本体収容部22に収容して、固定板30によって固定する(パネル本体10をパネル枠20に組み込むに同じ)。
(S8)最後に、パネル本体10およびパネル枠20の外面にコーティング材9をコーティングする。すなわち、パネル本体10の入射側の外表面18の全面と、外表面18とパネル枠20の縁斜面27(縁端部26を含む)とを跨った範囲と、出射側の外表面16の全面、外表面16と固定枠30とを跨った範囲とがコーティングされる。
さらに、該コーティングを施した後に、コーティング層(コーティング材9が固化した膜、塗膜に同じ)の上に反射防止層を設けてもよい。
【0044】
これによれば、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、パネル本体10の外表面等にコーティング材9をコーティングするから、該コーティング作業が1回で済み、且つパネル本体10の外表面の除電(電気的接地)ができる。
すなわち、パネル本体10を形成する前に、あらかじめ外表面16、18にコーティング材9をコーティングしたり、パネル本体10をパネル枠20に組み込んだ後に、両者の隙間にコーティング材9を注入したりする必要がないから、製作工程が簡素になり、製造コストが低減する。
【0045】
また、パネル本体10の外表面18とパネル枠20の内周部(縁端部26を含む範囲)とを跨いで、およびパネル本体10の外表面16と固定板30の内周部(窓31の周囲を含む範囲)とを跨いで、コーティング材9を一気にコーティングするから、それぞれの塗膜(コーティング材9が固化した膜)が隔離されることがなく、導電性が保証される。よって、パネル本体10の外表面16、18が除電されるから、ダスト等が付着し難くなる。
なお、本発明におけるコーティング材9をコーティングする範囲は、文字通りパネル枠の内周(縁端部26等)に限定するものではなく、縁端部26からパネル枠の表面にかかる広い範囲(縁斜面27等を含む範囲)であってもよい。
【0046】
(実施例2)
図8は本発明の実施の形態2に係る光変調装置の製造方法の実施例2を示すフローチャートであって、実施の形態1の実施例2における光変調装置2を製造するものである。実施例2は一対の防塵ガラスが配置されずに、パネル枠50等の全表面にコーティング材9をコーティングしたものであるから、実施例1(図7)におけるステップ1〜8(S1〜S8)からステップ6(S6)を削除したものに略同じである。以下、フローチャートに基づいて説明する。
【0047】
(S1)光変調装置2を構成する一対のガラス基板(液晶41を挾持するTFT基板42(薄膜トランジスタ素子基板)および対向基板43)のためのガラス原板を準備する。
(S2)一方のガラス原板にTFT素子や所定の電極等を形成してTFT基板42とし、さらに、TFT基板42にフレキシブルコネクタ44を設置する。
(S3)他方のガラス原板に共通電極等を形成して対向基板43とする。
(S4)TFT基板42および対向基板43を所定の隙間を設けて貼り合わせる。
(S5)前記隙間に液晶41を封入してパネル本体40を完成する。
(S7)次に、パネル本体40をパネル枠50の本体収容部52に収容して、固定板60によって固定する(パネル本体40をパネル枠60に組み込むに同じ)。
(S8)そして、パネル本体40およびパネル枠50の全表面にコーティング材9をコーティングする。
(S8の2)最後に、パネル枠50に電気的接地70を設置する。
【0048】
よって、実施例1と同様にパネル本体の除電(電気的接地)効果や、パネル枠の耐湿性が向上する効果を奏し、さらに、全表面を浸漬によって極めて簡単にコーティングをすることが可能である。
なお、パネル枠50への電気的接地70の設置は、全表面をコーティングする(S8)前にしてもよい。
【0049】
(実施例3および実施例4)
実施の形態1の実施例3の光変調装置3、および実施例4の光変調装置4の製造方法は、実施例2における製造方法に同じである。ただし、固定板を有しないため、図8におけるステップ7「パネル本体40をパネル枠50の本体収容部52に収容して、固定板60によって固定する(S7)」を、「パネル本体40を半割状態のパネル枠80の本体収容部に収容して、相互に貼り合わせて固定する(パネル本体40をパネル枠80に組み込むに同じ)」および「パネル本体40を半割状態のパネル枠90の本体収容部に収容して、相互に貼り合わせて固定する(パネル本体40をパネル枠90に組み込むに同じ)」と読み替えるものである。なお、パネル枠に電気的接地を設置するステップ(S8の2)を省略する場合がある。
【0050】
[実施の形態3]
(プロジェクタ)
(実施例1)
図9は本発明の実施の形態3係るプロジェクタを上面側から見た概略斜視図である。図9において、プロジェクタ100は、光源としての光源装置から出射された光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に分離し、これらの各色光束を電気光学装置を構成する光変調装置(実施の形態1に係る光変調装置に同じ)を通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束をクロスダイクロイックプリズム(色合成光学系)により合成して、投写レンズ110を介して投写面上に拡大表示する形式のものである。
投写レンズ110は、その他の構成部品と同様に外装ケース102の内部に収納されているが、必要に応じて外装ケース102から突出可能な機構になっている。
なお、プロジェクタ100は、投写面を観察する方向から画像投写を行う前面プロジェクタ、あるいは投写面を観察する方向とは反対側から画像投写を行う背面プロジェクタのいずれであってもよい。
【0051】
(外装ケースの構造)
外装ケース102は、装置上面を覆うアッパーケース103と、装置底面を構成するロアーケース104と、正面部分を覆うフロントケース105とから基本的に構成され、フロントケース105には、投写レンズ110が突出可能なように開口部106が設けられている。
【0052】
図10は、図9に示すプロジェクタの光学系を上面側から見た概略斜視図である。外装ケース102の内部には、光源ランプユニット108、電源としての電源ユニット(図示せず)、光学ユニット109、ドライバーボード(図示せず)、メインボード(図示せず)、AVボード(図示せず)などが配置されている。
そして、光源ランプユニット108、光学ユニット109および投写レンズ110によって平面U字形上の光学系が構成され、各ボードで制御系が構成されている(以下、詳細に説明する)。
【0053】
(光学系の構造)
図11は、図9に示すプロジェクタの光学系の構造を説明する模式図である。図11において、光学ユニット109は、それぞれライトガイド190(図10参照)内に収容された照明光学系130と、色分離光学系140と、リレー光学系170と、電気光学装置と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム160と、ライトガイド190のヘッド板193(図10参照)に固定された投写レンズ110とで構成されている。電気光学装置はフィールドレンズと、入射側偏光板と、光変調装置と、出射側偏光板とから構成されるものである(これについては以下に説明する)。
【0054】
光学ユニット109において、光源装置183から出射された略平行な光束は、第1と第2のレンズアレイ131、132によって複数の部分光束に分割される。第1のレンズアレイ131の小レンズ131Aから出射された部分光束は重畳レンズ134によって、光変調装置150R、150G、150B(以下、まとめて光変調装置150と総称する場合がある)の画像形成領域上で概ね重畳される。その結果、各光変調装置150R、150G、150Bは、面内分布がほぼ均一な照明光によって照明される。
【0055】
そして、光変調装置150が実施の形態1(実施例1〜4)に示す光変調装置1〜4の何れかであるから、パネル本体の外表面が除電されるため、プロジェクタ100または光学ユニット109の製造工程において、あるいは、プロジェクタ100の使用時(投写時等)において、パネル本体の外表面にダスト等が付着し難いから、ダスト等の陰が投写されることがなく、これによる投写画像の品質低下が防止される。
【0056】
また、付着したダスト等を除去するための作業や専用の装置が不要になり、除去作業に伴う光変調装置150の損傷が防止されるから、保全コスト(メンテナンスコスト)が低減する。すなわち、プロジェクタ100本体を分解して、エアーガン、ブロワー、集塵装置等の種々の設備を用いてダスト等(を取り除いた後に、再び組み立てたり、付着したダスト等が簡単に取り除けないために要する長時間の除去作業がなくなる。
【0057】
さらに、付着したダスト等を投写面上で暈かすための防塵ガラスを撤去することが可能になるから、実施例2〜4に示す光変調装置を2〜4を採用することにより部品点数が減少して軽量化および製造コストの低減化が図られる。
【0058】
また、光学ユニット109における色光分離光学系140の第1のダイクロイックミラー141では、照明光学系130から出射された光束の赤色光成分が反射するとともに、青色光成分と緑色光成分とが透過する。第1ダイクロイックミラー141によって反射した赤色光は、反射ミラー143で反射し、フィールドレンズ153を通って赤色用の光変調装置150Rに達する。このフィールドレンズ153は、第2のレンズアレイ132から出射された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の光変調装置150G、150Bの前に設けられたフィールドレンズ154、155も同様である。
【0059】
第1のダイクロイックミラー141を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー142によって反射し、フィールドレンズ154を通って緑色用の光変調装置150Gに達する。
一方、青色光は第2のダイクロイックミラー142を透過してリレー光学系170を通り、さらにフィールドレンズ155を通って青色用の光変調装置150Bに達する。なお、青色光にリレー光学系170が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路よりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ171に入射した部分光束をそのままフィールドレンズ155に伝えるためである。
【0060】
赤、緑、青の各色光は、光変調装置150R、150G、150Bに入射するにあたり、入射側偏光板151R、151G、151Bで特定の偏光光のみとされる。この後、各偏光光は、各光変調装置150R、150G、150Bにおいて与えられた画像情報に従って変調され、変調光として出射側偏光板152R、152G、152Bに出射される。そして、出射側偏光板152R、152G、152Bにおいては、変調光のうちの特定の偏光のみが透過し、クロスダイクロイックプリズム160に出射される。
出射された各色光の偏光光は、クロスダイクロイックプリズム160で合成されて合成光となり、投写レンズ110の方向に出射される。この合成光は、投写レンズ110により投写スクリーン等の投写面上にカラー画像として投写される。
【0061】
なお、本発明のプロジェクタは、前記実施例1に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。例えば次のような態様も可能である。
【0062】
(実施例2)
プロジェクタ100は、光源装置183の光を複数の部分光束に分割する2つのレンズアレイ131、132を用いていたが、本発明はこのようなレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。
【0063】
(実施例3)
プロジェクタ100は、電気光学装置を3つ用いていたが、本発明は、電気光学装置を1つ、2つ、あるいは4つ以上用いたプロジェクタにも適用することが可能である。
【0064】
(実施例4)
プロジェクタ100は、透過型のプロジェクタについて説明したが、反射型プロジェクタにも適用することが可能であって、透過型のプロジェクタとほぼ同様の効果を得ることができる。
ここで、「透過型」とは、液晶ライトバルブ等のライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
反射型プロジェクタの場合、ライトバルブは光変調装置のみによって構成することが可能であり、一対の偏光板は不要である。
また、反射型プロジェクタでは、クロスダイクロイックプリズムは、光源装置から出射された光を赤、緑、青の3色の光に分離する色光分離手段として利用されると共に、変調された3色の光を再度合成して同一の方向に出射する色光合成手段としても利用される場合がある。
【0065】
(実施例5)
また、クロスダイクロイックプリズムではなく、三角柱や四角柱状のダイクロイックプリズムを複数組み合わせたダイクロイックプリズムを用いる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】光変調装置の実施例1を示す正面図および断面図。
【図2】光変調装置の実施例1の各部位を示す斜視図。
【図3】光変調装置の実施例2を示す正面図および断面図。
【図4】光変調装置の実施例2の各部位を示す斜視図。
【図5】光変調装置の実施例3を示す断面図。
【図6】光変調装置の実施例4を示す断面図。
【図7】光変調装置の製造方法の実施例1を示すフローチャート。
【図8】光変調装置の製造方法の実施例2を示すフローチャート。
【図9】プロジェクタを上面側から見た概略斜視図。
【図10】プロジェクタの光学系を上面側から見た概略斜視図。
【図11】プロジェクタの光学系の構造を説明する模式図。
【符号の説明】
1 光変調装置(実施例1)、2 光変調装置(実施例2)、3 光変調装置(実施例3)、4 光変調装置(実施例4)、9 コーティング材、10 パネル本体(実施例1)、11 液晶、12 TFT基板、13 対向基板、14 フレキシブルコネクタ、15 出射側防塵ガラス、16 出射側の外表面、17入射側防塵ガラス、18 入射側の外表面、20 パネル枠(実施例1)、30 固定板、40 パネル本体(実施例2)、50 パネル枠(実施例2)、60 固定板、70 電気的接地、80 パネル枠(実施例3)、90 パネル枠(実施例4)、99 段差部、100 プロジェクタ、150R 光変調装置、150G 光変調装置、150B 光変調装置
Claims (16)
- 液晶、該液晶を挟持する一対のガラス基板および該一対のガラス基板のそれぞれの外表面を覆う一対の防塵ガラスを具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする光変調装置。 - 液晶および該液晶を挟持する一対のガラス基板を具備するパネル本体と、該パネル本体の外周を包持するパネル枠とを有する光変調装置であって、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする光変調装置。 - 前記パネル本体の外表面とパネル枠の表面との全域に前記透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする請求項1または2記載の光変調装置。
- 前記透明導電性被覆材がポリチオフェン系導電性高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光変調装置。
- 前記パネル枠が金属または電気導電性樹脂によって形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の光変調装置。
- 前記パネル枠の表面の内周に沿った所定の範囲が前記パネル本体の外表面に向かって傾斜してなることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光変調装置。
- 前記パネル枠の内面の内周に沿った所定の範囲に段差部が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光変調装置。
- 前記パネル枠に除電のための電気的接地が設置されてなることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光変調装置。
- 前記パネル本体の外周に当接し且つ前記パネル枠に係止する固定板を有し、前記パネル本体の外表面および該固定板の内周部に、前記外表面と内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材が塗布されてなることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の光変調装置。
- 液晶を挾持した一対のガラス基板の外表面を一対の防塵ガラスによって覆ってパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする光変調装置の製造方法。 - 一対のガラス基板によって液晶を挟持したパネル本体を形成する工程と、
前記パネル本体の外周を包持するパネル枠によって前記パネル本体の外周を包持する工程と、
前記パネル本体の外表面および前記パネル枠の内周部に、前記外表面と前記内周部とを連結するようにして透明導電性被覆材を塗布する工程とを有すことを特徴とする光変調装置の製造方法。 - 前記透明導電性被覆材を塗布する工程が、前記パネル枠に包持されたパネル本体を前記透明導電性被覆材中に浸漬するものであることを特徴とする請求項10または11記載の光変調装置の製造方法。
- 前記透明導電性被覆材を塗布する工程の後に、パネル枠に除電のための電気的接地を設置する工程を有すことを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載の光変調装置の製造方法。
- 前記透明導電性被覆材がポリチオフェン系導電性高分子材料であることを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の光変調装置の製造方法。
- 前記透明導電性被覆材を塗布する工程の前に、前記パネル本体の外周に当接し且つパネル枠に係止する固定板によって、パネル本体をパネル枠に固定する工程を有すことを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載の光変調装置の製造方法。
- 光源と、
該光源から出た光の照射状態を均一化するための手段とを備えた照明光源系と、
該照明光源系から出射された光を所定の色光に分離する色分離光学系と、
該色分離光学系からの各色光を画像情報に従って光変調する電気光学装置と、
該電気光学装置において変調された光を投写する投写レンズとを有してなるプロジェクタにおいて、
前記電気光学装置は、前記色分離光学系において分離された所定の色光が到達する所定の色光毎の光変調装置を具備し、該光変調装置が請求項1乃至8の何れかに記載の光変調装置であることを特徴とするプロジェクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003035895A JP2004246080A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003035895A JP2004246080A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004246080A true JP2004246080A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33021153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003035895A Pending JP2004246080A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004246080A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008076918A (ja) * | 2006-09-25 | 2008-04-03 | Casio Comput Co Ltd | 画像表示モジュール |
CN100430788C (zh) * | 2005-03-25 | 2008-11-05 | 夏普株式会社 | 液晶显示装置 |
JP2010282042A (ja) * | 2009-06-05 | 2010-12-16 | Seiko Epson Corp | 電気光学表示装置及びプロジェクター |
JP2011150226A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-04 | Seiko Epson Corp | 電気光学装置及び電子機器 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003035895A patent/JP2004246080A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100430788C (zh) * | 2005-03-25 | 2008-11-05 | 夏普株式会社 | 液晶显示装置 |
JP2008076918A (ja) * | 2006-09-25 | 2008-04-03 | Casio Comput Co Ltd | 画像表示モジュール |
JP2010282042A (ja) * | 2009-06-05 | 2010-12-16 | Seiko Epson Corp | 電気光学表示装置及びプロジェクター |
US8390748B2 (en) | 2009-06-05 | 2013-03-05 | Seiko Epson Corporation | Electro-optical display device and projector |
JP2011150226A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-04 | Seiko Epson Corp | 電気光学装置及び電子機器 |
US8654432B2 (en) | 2010-01-25 | 2014-02-18 | Seiko Epson Corporation | Electro-optic device and electronic apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7209202B2 (en) | Electro-optic device, electronic instrument, and projection display | |
JP4613663B2 (ja) | 電気光学装置および電気光学装置の製造方法、電子機器 | |
US6891652B2 (en) | Optical modulator, optical device and projector | |
JP2000284700A (ja) | 電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置 | |
KR100229587B1 (ko) | 액정표시장치 및 투사형 액정프로젝터 | |
JP2000347168A (ja) | 電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置 | |
JP2003248214A (ja) | 電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置 | |
US7245334B2 (en) | Electro-optical device encased in mounting case, projection display apparatus, and mounting case | |
KR20050077020A (ko) | 액정 표시 장치 및 비디오 카메라 | |
JP2004246080A (ja) | 光変調装置および光変調装置の製造方法、並びにプロジェクタ | |
JP2000147470A (ja) | 液晶表示装置 | |
JP2004198935A (ja) | 実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置 | |
JP4385980B2 (ja) | 電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器 | |
JP5636628B2 (ja) | 投射型表示装置 | |
JP2005250506A (ja) | 電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置 | |
JP2006078929A (ja) | 電気光学装置、及び電子機器、電気光学装置の製造方法 | |
JP2001092365A (ja) | 電気光学装置および投射型表示装置 | |
JP3661509B2 (ja) | 電気光学装置 | |
JP2004233501A (ja) | 光変調装置及び該光変調装置を備えたプロジェクタ | |
JP2001014920A (ja) | 電気光学装置 | |
JP3661508B2 (ja) | 電気光学装置 | |
JP3695241B2 (ja) | 電気光学装置 | |
JP2008096615A (ja) | 電気光学装置、及びこれを備えた電子機器 | |
JP2003121817A (ja) | 電気光学装置及びこれを備えた投射型表示装置 | |
JP3661513B2 (ja) | 電気光学装置 |