JP2004245551A - 循環流動床炉の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一の平均粒径の第一粉体20と、第一の平均粒径より大きな第二の平均粒径を有する第二粉体22とを混合して、流動媒体24とする。そして、第二粉体22を、流動化空気により炉本体1の下部で気泡流動化させて濃厚層32を形成し、投入される被処理物の攪拌・乾燥や燃焼等を炉本体1下部の濃厚層32において良好に行わせる。また、第一粉体20を、流動化空気により炉本体1内を上方に向かって飛散させ、フリーボードの温度を十分高温に維持し、形成された固体分や可燃ガスをフリーボードにおいて十分燃焼させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物を焼却する循環流動床炉の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、下水汚泥等の被処理物を燃焼する燃焼炉として、循環流動床炉が知られている。循環流動床炉は、炉本体内で流動化空気によって流動媒体を流動させあるいは飛散させ、この際に被処理物を攪拌、乾燥、燃焼させると共に、炉出口に接続されるサイクロン等の流動媒体回収装置によって飛散した流動媒体を炉内に戻す。このような循環流動床炉では、一般的に、珪砂六号といわれる平均粒径300μm程度の珪砂や、珪砂七号といわれる平均粒径130μm程度の珪砂が流動媒体として用いられる。このような流動媒体を用いることにより、流動化空気によって流動媒体が効率よく炉本体内で飛散すると共にサイクロン等で好適に回収されて循環され、被処理物の好適な攪拌・乾燥と燃焼が行なわれる。
【特許文献1】
特開2002−147725号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような循環流動床炉において、より効率よく被処理物の燃焼を行いたいという要望がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、効率よく被処理物を燃焼可能な循環流動床炉の運転方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る循環流動床炉の運転方法は、炉本体内で流動媒体に対して流動化空気を供給し炉本体から排出される排出ガスから流動媒体を分離して炉本体に戻すと共に、炉本体内に被処理物を導入して当該被処理物を炉本体内で燃焼させる循環流動床炉の運転方法において、第一の平均粒径を有する第一粉体と、第一の平均粒径よりも大きな第二の平均粒径を有する第二粉体とを混合して、流動媒体とすることを特徴とする。
【0006】
本発明の運転方法によれば、流動化空気の空気量と空気圧を所望の最適値に設定することにより、平均粒径の大きな第二粉体は炉本体の下部で気泡流動化され、濃厚層が形成される。このため、投入される被処理物の攪拌・乾燥や燃焼等が炉本体下部の濃厚層において良好に行われる。これに対して、平均粒径の小さい第一粉体は、炉本体の下部に留まることなく流動化空気により炉本体内を上方に向かって好適に飛散され、炉本体内で濃厚層より上方のフリーボードに、粒子が所定の濃度で存在する希薄層が形成される。このため、フリーボードの温度が十分高温に維持され、濃厚層での乾燥や燃焼により形成される微少固体可燃粒子や可燃ガスが炉本体内のフリーボードにおいて十分燃焼される。このため、循環流動床炉の燃焼効率が高くなる。
【0007】
ここで、各粉体として、珪砂や石灰石を例示できる。
【0008】
また、第一粉体及び第二粉体は珪砂であり、第一粉体の平均粒径は0.05mm以上〜0.6mm以下であり、第二粉体の平均粒径は0.2mm以上〜0.9mm以下であることが好ましい。
【0009】
第二粉体として0.2〜0.9mm程度の珪砂の粉体を用いると、この粉体によって炉本体内に濃厚層が容易に形成できる。また、第一粉体として、0.05〜0.6mm程度の珪砂の粉体を用いると、この粉体を炉本体内を好適に飛散させることができると共に、炉本体から排出されたこの小さい粉体をサイクロン等で好適に回収し、炉本体に循環できる。
【0010】
また、第一粉体の重量を1としたときに、第二粉体の重量を0.5以上〜2.0以下とすることが好ましい。
【0011】
これによれば、濃厚層と希薄層とがバランス良く炉本体内に形成され、燃焼が好適に行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る循環流動床炉の運転方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態が実施される循環流動床炉100を示す概略構成図である。
【0014】
本実施形態の循環流動床炉100は、下水汚泥等の被処理物を焼却する炉であって、流動媒体24が流動化されると共に被処理物が燃焼される垂直筒状の炉本体1と、炉本体1の上部から排出される燃焼排ガスから流動媒体24等の粒子を回収するサイクロン2と、このサイクロン2によって回収された流動媒体24等の粒子を炉本体1の下部に戻すループシール3と、を主として備えている。
【0015】
炉本体1の底部には、流動化空気ラインL4を介して供給される流動化空気を炉本体1内に導入し、流動媒体24を流動化させると共に被処理物の燃焼を行わせる一次空気ノズル10と、炉本体1の底部から不燃物等を抜き出しラインL7を介して外部に排出させる抜出ノズル15と、助燃燃料ラインL2を介して供給される助燃用燃料を燃焼し被処理物を補助燃焼させる助燃バーナ13と、が設置されている。
【0016】
また、炉本体1の側面の下部には、被処理物ラインL1を介して供給される被処理物を炉本体1に投入するスクリューコンベア14と、二次空気ラインL5から供給される二次空気を炉本体1の中央部に導入して炉内で二次燃焼をおこさせる二次空気ノズル11と、昇温用燃料ラインL3を介して供給される昇温用燃料を燃焼し炉本体1の起動時等に流動媒体24を昇温する昇温バーナ12と、が設置されている。
【0017】
サイクロン2は、炉本体1の上部に形成された出口に接続され、当該出口から流動媒体24等を含む高温のガスを導入して旋回させ、流動媒体24等の固体分とガスとを遠心力で分離する。分離された燃焼排ガスは、排ガスラインL6を介して後段に排出される一方、回収された固体分はサイクロン2の下方に設置されたループシール3に導入され、ループシール3はこの固体分を炉本体1の底部に循環する。
【0018】
次に、本実施形態に係る循環流動床炉100の運転方法について説明する。
【0019】
まず、循環流動床炉100の炉本体1内に硅砂等の流動媒体24を投入する。本実施形態では、特に、大粒径粉体(第二粉体)22と、この大粒径粉体22よりも平均粒径の小さな小粒径粉体(第一粉体)20と、を混合して炉本体1内に導入し、流動媒体24とする。本実施形態において、平均粒径とは、重量基準の粒度分布における50%径である。
【0020】
次に、昇温バーナ12でこの流動媒体24を加熱して所定の温度、例えば、650℃にすると共に、一次空気ノズル10を介して一次空気を導入して流動媒体24を流動化させる。このとき、一次空気の流量を適切に調節することにより、大粒径粉体22が炉本体1の底部に留まって気泡流動化されて濃厚層32が形成される一方、小粒径粉体20は大粒径粉体22よりも粒径が小さいために炉本体1内を上昇するガスに同伴されて飛散し、炉本体1の中央部及び上部のフリーボードにおいて所定の濃度で粒子が存在する希薄層30が形成される。炉本体1内から排出されるガスは、サイクロン2に導入され、遠心力によって小粒径粉体20を主とした流動媒体24が回収されてループシール3を介して炉本体1の底部に回収される一方、小粒径粉体20を主とした流動媒体24が除去されたガスは外部に排出される。
【0021】
次に、スクリューコンベア14を介して炉本体1内に被処理物を投入し、さらに、フリーボードに対して二次空気を供給する。これによって、昇温バーナ12によって650℃程度とされた濃厚層32内に被処理物が保持されて流動化され、被処理物の攪拌・乾燥がなされると共に、さらに、燃焼が行われる。また、このような燃焼により発生したCOやH2等の未燃ガスや、微少可燃粒子等は、フリーボード内を希薄層30を形成する小粒径粉体20と共に上昇し、このフリーボードに対して供給される二次空気によって燃焼される。このとき、フリーボードでは小粒径粉体20によって十分な粒子濃度の希薄層30が形成されているので、希薄層30内の温度が850℃程度に維持され、これによって、フリーボードを上昇する一次燃焼ガスや固体分が十分に燃焼される。
【0022】
なお、上述の燃焼の過程では、必要に応じて、濃厚層32が所定の温度を維持できるように助燃バーナ13によって加熱をおこなうことができる。
【0023】
ここで、大粒径粉体22として、平均粒径が0.2〜0.9mmの範囲内にある珪砂の粉体を用い、小粒径粉体20として平均粒径が0.05〜0.6mmの範囲内にある珪砂の粉体を用いることが好ましい。
【0024】
このような大粒径粉体22を用いると、炉本体1において、十分に気泡流動化された濃厚層32を好適に形成でき、被処理物が十分に保持されて、攪拌、乾燥、燃焼が好適になされる。大粒径粉体22の平均粒径が0.2mmよりも小さくなると濃厚層32の形成が困難になる傾向がある一方、平均粒径が0.9mmよりも大きくなると濃厚層32の十分な気泡流動化が困難となる傾向がある。
【0025】
また、上述のような小粒径粉体20を用いると、濃厚層32の上方のフリーボードにおいて、十分な濃度の希薄層30を容易に形成できる。小粒径粉体20の平均粒径が0.05mmよりも小さい場合は後段のサイクロン2での小粒径粉体20の回収が困難となる傾向がある一方、平均粒径が0.6mmを超える場合は炉本体1内で流動化空気により飛散させることが困難となる傾向がある。
【0026】
また、大粒径粉体22の投入重量をWLとし、小粒径粉体20の投入重量をWSとしたときに、0.5≦(WS/WL)≦2.0を満たすように各々の投入重量決定することが好ましい。
【0027】
このようにすると、大粒径粉体22と小粒径粉体20とが少なくとも1/3以上の重量比で各々存在し、濃厚層32と希薄層30とがバランス良く炉本体1内に形成される。このため、被処理物の攪拌・乾燥と燃焼とがより効率的に行われる。
【0028】
なお、重量比がこの範囲を外れると、大粒径粉体22が少なくなって濃厚層32の高さが十分でなくなったり、小粒径粉体20が少なくなって希薄層30の濃度が十分でなくなったりする傾向がある。
【0029】
ここで、投入する流動媒体の総量(WL+WS)は、運転停止状態で(炉底面積)×(高さ1m)の容量を基準とし、より効率よく燃焼させるべく、被処理物の水分負荷に応じて、設定することが好ましい。
【0030】
また、大粒径粉体22の重量WLについては、濃厚層32の総高さを約1.5m以上確保することを基準とし、被処理物を十分に保持した状態で濃厚層32のバブリングを行わせるべく、被処理物の嵩比重と、大粒径粉体22の嵩比重との関係に基づいて設定することが好ましい。
【0031】
また、大粒径粉体22や小粒径粉体20としては、例えば、珪砂や石灰石が好適に利用できる。なお、石灰石を用いると、燃焼排ガス中の硫黄酸化物ガス、ダイオキシン等の塩素系ガス、シアン系ガス等の酸性ガスの中和等を同時に行うことができる。さらに、大粒径粉体22や小粒径粉体20として、石灰石や珪砂を混合して用いても良い。
【0032】
なお、長時間の運転により、摩耗や高温による劣化等により、大粒径粉体22や小粒径粉体20の粒径が小さくなった場合には、定期的に、各流動媒体を補充すれば、好適な燃焼を継続できる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る循環流動床炉の運転方法においては、大粒径粉体22と、これよりも平均粒径の小さな小粒径粉体20と、を混合して流動媒体24としている。このため、大粒径粉体22は炉本体1の下部で気泡流動化し、濃厚層32が形成され、投入される被処理物の攪拌・乾燥や燃焼が炉本体1の下部の濃厚層32において良好に行われる。一方、小粒径粉体20は、流動化空気によって炉本体1内を好適に飛散し、炉本体内で濃厚層32より上方のフリーボードに、粒子が所定の濃度で存在する希薄層30が形成される。このため、フリーボードの温度が十分高温に維持され、微少な固体可燃分や可燃ガスが炉本体1内のフリーボードにおいて十分燃焼される。これらによって循環流動床炉100の燃焼効率が高くなり、空気量の削減や補助燃料の削減が可能となり、さらに、安定運転が可能となる。
【0034】
つぎに、本実施形態に係る実施例について説明する。
【0035】
本実施例においては、大粒径粉体22として珪砂五号の粉体を用い、小粒径粉体20として、珪砂六号の粉体を用いた。
【0036】
珪砂五号の粉体とは、図2の線Bに示すように、0.2〜0.8mmの粒度分布の珪砂であり、図3に示すように、平均粒径580μm、嵩比重は1.32g/cm3、真比重は2.56g/cm3、灼熱減量は0.31%である。ここで、本実施例において、平均粒径とは、重量基準の粒度分布における50%径である。
【0037】
また、珪砂六号の粉体とは、図2の線Cに示すように、0.1〜0.4mmの粒度範囲の珪砂であり、図3に示すように、平均粒径300μm、嵩比重は1.24g/cm3、真比重は2.56g/cm3、灼熱減量は0.31%である。
【0038】
また、大粒径粉体22の投入重量WL及び小粒径粉体20の投入重量WSは、WS/WL=0.5となるように設定した。
【0039】
そして、上述のように運転を行い、被処理物として、下水汚泥を供給して燃焼を行った。ここで、含水率82%の脱水汚泥の嵩比重は0.83であった。
【0040】
この結果、炉本体1の底部に十分な高さの濃厚層32が形成されると共に、フリーボード部に十分な濃度の希薄層30が形成され、下水汚泥が効率よく燃焼されることが確認された。なお、得られたCFB灰の平均粒径と灼熱減量を図2の線F及び図3に示す。
【0041】
また、大粒径粉体として珪砂五号の粉体を用い小粒径粉体として図2の線D及び図3に示す珪砂七号の粉体を用いた場合、大粒径粉体として図2の線A及び図3に示す珪砂四号の粉体を用い小粒径粉体として珪砂五号の粉体を用いた場合、大粒径粉体として珪砂四号の粉体を用い小粒径粉体として珪砂六号の粉体を用いた場合、大粒径粉体として珪砂四号の粉体を用い小粒径粉体として珪砂七号の粉体を用いた場合、大粒径粉体として珪砂六号の粉体を用い小粒径粉体として珪砂七号の粉体を用いた場合についても実験を行ったが、同様の結果が得られた。
【0042】
さらに、流動媒体として石灰石を用い、平均粒径1mmの大粒径の石灰石と、平均粒径0.03mmの小粒径の石灰石を用いた場合でも、同様の結果がえられた。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る循環流動床炉の運転方法によれば、第一の平均粒径の第一粉体と、第一の平均粒径より大きな平均粒径の第二粉体とを混合して流動媒体とする。そして、第二粉体を流動化空気により炉本体の下部で気泡流動化させて濃厚層を形成し、投入される被処理物の攪拌・乾燥や燃焼等を炉本体下部の濃厚層において良好に行わせる。また、第一粉体を、流動化空気により炉本体内を上方に向かって飛散させ、フリーボードの温度を十分高温に維持し、形成された微少固体粒子や可燃ガスをフリーボードにおいて十分燃焼させる。これによって、効率よく被処理物を燃焼可能な循環流動床炉の運転方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る循環流動床炉を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態で用いられる粉体の粒径分布を示す図である。
【図3】本実施形態で用いられる粉体の特性を示す図である。
【符号の説明】
1…炉本体、24…流動媒体、20…小粒径粉体(第一粉体)、22…大粒径粉体(第二粉体)、2…サイクロン、3…ループシール、100…循環流動床炉。
Claims (4)
- 炉本体内で流動媒体に対して流動化空気を供給し前記炉本体から排出される排出ガスから前記流動媒体を分離して前記炉本体に戻すと共に、前記炉本体内に被処理物を導入して当該被処理物を前記炉本体内で燃焼させる循環流動床炉の運転方法において、
第一の平均粒径を有する第一粉体と、前記第一の平均粒径よりも大きな第二の平均粒径を有する第二粉体とを混合して、前記流動媒体とすることを特徴とする、循環流動床炉の運転方法。 - 前記第一粉体又は第二粉体は、珪砂又は石灰石であることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床炉の運転方法。
- 前記第一粉体及び前記第二粉体は珪砂であり、前記第一粉体の平均粒径は0.05mm以上〜0.6mm以下であり、前記第二粉体の平均粒径は0.2mm以上〜0.9mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床炉の運転方法。
- 前記第一粉体の重量を1としたときに、前記第二粉体の重量を0.5以上〜2.0以下とすることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の循環流動床炉の運転方法。
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JP2009204281A (ja) * | 2008-02-29 | 2009-09-10 | Mhi Environment Engineering Co Ltd | 循環流動層炉及びその運転方法 |
JP7531306B2 (ja) | 2020-05-13 | 2024-08-09 | 愛知電機株式会社 | マイクロ波プラズマ流動層反応装置 |
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