JP2004245330A - ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボールねじの回転力が断たれた時にバネ力などにより所定位置に自動復帰させるボールねじにおいて復帰時の衝撃荷重を軽減するために、逆転時の抵抗を調整することのできるボールねじ装置をコストの上昇を招くことなく提供する。
【解決手段】ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12のボール前、後の各ボール接触角度α3,α4をα3≠α4にすると共にナット13の内周面に形成されたボール前、後の各ボールねじ溝14のボール接触角度α1,α2をα1≠α2とする。
【選択図】 図2
【解決手段】ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12のボール前、後の各ボール接触角度α3,α4をα3≠α4にすると共にナット13の内周面に形成されたボール前、後の各ボールねじ溝14のボール接触角度α1,α2をα1≠α2とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転運動を直線運動に変換する機械部品として、例えば電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、リフター、淡水路開閉バルブ等の一般産業機械用電動アクチュエータや自動車用変速機切替用電動アクチュエータなどで用いられるボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転運動を直線運動に変換する機械部品としてボールねじ装置を用いた電動アクチュエータは、摩擦抵抗が少なく動きが滑らかであることから、例えば河川等の淡水路で使用される電動式開閉バルブの弁体開閉機構として用いられている。しかし、従来の電動アクチュエータは、電源遮断時に開閉バルブを自動的に閉弁させるために、例えば操作軸にバネを取り付け、このバネの付勢力で操作軸を所定位置に復帰させる構成となっているため、操作軸を復帰させたときに衝撃荷重が加わるという問題がある。
【0003】
そこで、このような問題を解消するために、ディスク形状の抵抗体と一方向クラッチを用いて衝撃荷重を軽減したもの(特許文献1参照)や、歯車を利用して予圧を与えることで抵抗を生じさせ、逆転時の速度を調整するようにしたもの(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
実公平3−8827号公報
【特許文献2】
実公平5−589号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に開示されたものは、ディスクや一方向クラッチあるいは歯車を使用するため、これらを取り付けるためのハウジング等の構造が複雑となる上、それらを制御するための回路が必要となる。このため、部品点数が増加し、コストの上昇を招くという問題点を有していた。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することのできるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝のボール接触角を隣り合う接触角同士で異ならせたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝の溝面の曲率半径を隣り合う溝面同士で異ならせたことを特徴とする。
【0008】
請求項1及び2の発明では、ねじ軸またはナットを正回転させたときのトルクとねじ軸またはナットを逆回転させたときのトルクとの間に差が生じる。これにより、逆転時の抵抗を調整するために、ギヤ等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。同図に示すように、本実施形態に係るボールねじ装置は、ねじ軸11と、このねじ軸11の外周面に螺旋状に形成されたボールねじ溝12と対向するボールねじ溝14を内周面に有するナット13と、このナット13とねじ軸11との間に組み込まれた多数のボール15とを備えており、例えばねじ軸11が軸芯回りに回転すると、ナット13がねじ軸11の軸方向に相対移動すると共にボール15がボールねじ溝12,14間を転動するようになっている。また、本実施形態に係るボールねじ装置はボール循環チューブ16を備えており、ボールねじ溝12,14間を転動したボール15はボール循環チューブ16の内部に形成されたボール戻し路を転動して元の位置に戻り、上述した経路を無限循環するようになっている。
【0010】
図2は、ボールねじ溝12およびボールねじ溝14のボール接触角度を模式的に示す図である。同図に示すように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12は互いに隣り合う二つのボール接触角(ボール15に対する接触角度)α3,α4を有しており、これらのボール接触角α3,α4は、従来のボールねじではα3=α4であるが、本実施形態ではα3≠α4となっている。
【0011】
また、図2に示すように、ナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14は互いに隣り合う二つのボール接触角α1,α2を有しており、これらのボール接触角α1,α2は、従来のボールねじではα1=α2であるが、本実施形態ではα1≠α2となっている。
このように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12のボール接触角α3,α4をα3≠α4にすると共にナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14のボール接触角度α1,α2をα1≠α2とすることで、ねじ軸11又はナット13を正回転させたときのトルクとねじ軸11又はナット13を逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることになる。これにより、前述した従来技術のように、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0012】
なお、ボールねじの軸径を30mm、玉径を8mm、スラスト荷重を1000Nとした場合、ボール接触角を5°にすることにより、ボール接触角を60°とした場合に比較して、約4割増しの抵抗を逆転時に付与することができる。
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。同図に示すように、本実施形態に係るボールねじ装置は、ねじ軸11と、このねじ軸11の外周面に螺旋状に形成されたボールねじ溝12と対向するボールねじ溝14を内周面に有するナット13と、このナット13とねじ軸11との間に組み込まれた多数のボール15とを備えており、例えばねじ軸11が軸芯回りに回転すると、ナット13がねじ軸11の軸方向に相対移動すると共にボール15がボールねじ溝12,14間を転動するようになっている。また、本実施形態に係るボールねじ装置はボール循環チューブ16を備えており、ボールねじ溝12,14間を転動したボール15はボール循環チューブ16の内部に形成されたボール戻し路を転動して元の位置に戻り、上述した経路を無限循環するようになっている。
【0013】
図4は、ボールねじ溝12およびボールねじ溝14の溝面を示す断面図である。同図に示すように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12は互いに隣り合う二つの溝面12a,12bを有しており、これら溝面12a,12bの曲率半径R3,R4は、従来のボールねじではR3=R4であるが、本実施形態ではR3≠R4となっている。
【0014】
また、図4に示すように、ナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14は互いに隣り合う二つの溝面14a,14bを有しており、これら溝面14a,14bの曲率半径R1,R2は、従来のボールねじではR1=R2であるが、本実施形態ではR1≠R2となっている。
このように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12の溝面12a,12bの曲率半径R3,R4をR3≠R4にすると共にナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14の溝面14a,14bの曲率半径R1,R2をR1≠R2とすることで、ねじ軸11又はナット13を正回転させたときのトルクとねじ軸11又はナット13を逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることになる。これにより、前述した従来技術のように、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0015】
なお、ボールねじの軸径を30mm、玉径を8mm、スラスト荷重を1000Nとした場合、ボールねじ溝12,14の曲率半径R1〜R4とボール15の直径との比を0.6とすることにより、ボールねじ溝12,14の曲率半径R1〜R4とボール15の直径との比を0.505とした場合に比較して、約5割増しの抵抗を逆転時に付与することができる。
【0016】
上述した第1の実施形態ではねじ軸11の外周面およびナット13の内周面に形成されたボールねじ溝12,14のボール接触角α1〜α4を隣り合う接触角同士で異ならせたが、ねじ軸11の外周面またはナット13の内周面に形成されたボールねじ溝のボール接触角を隣り合う接触角同士で異ならせても同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、上述した第2の実施形態ではねじ軸11の外周面およびナット13の内周面に形成されたボールねじ溝12,14の溝面の曲率半径R1〜R4を隣り合う曲率半径同士で異ならせたが、ねじ軸11の外周面またはナット13の内周面に形成されたボールねじ溝の溝面の曲率半径を隣り合う曲率半径同士で異ならせても同様の効果を得ることができる。
【0018】
また、上述した第1及び第2の実施形態ではボール循環部品としてボール循環チューブ16を使用したチューブ式ボールねじ装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばボール循環部品としてエンドキャップを使用したエンドキャップ式ボールねじ装置または、こま式ボールねじ装置にも本発明を適用可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び2の発明に係るボールねじ装置によれば、ねじ軸又はナットを正回転させたときのトルクとねじ軸又はナットを逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることができる。したがって、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ溝およびボールねじ溝のボール接触角を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ溝およびボールねじ溝の溝面を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ねじ軸
12 ボールねじ溝
13 ナット
14 ボールねじ溝
15 ボール
16 ボール循環チューブ
α1〜α4 ボールねじ溝のボール接触角
R1〜R4 ボールねじ溝の溝面の曲率半径
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転運動を直線運動に変換する機械部品として、例えば電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、リフター、淡水路開閉バルブ等の一般産業機械用電動アクチュエータや自動車用変速機切替用電動アクチュエータなどで用いられるボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転運動を直線運動に変換する機械部品としてボールねじ装置を用いた電動アクチュエータは、摩擦抵抗が少なく動きが滑らかであることから、例えば河川等の淡水路で使用される電動式開閉バルブの弁体開閉機構として用いられている。しかし、従来の電動アクチュエータは、電源遮断時に開閉バルブを自動的に閉弁させるために、例えば操作軸にバネを取り付け、このバネの付勢力で操作軸を所定位置に復帰させる構成となっているため、操作軸を復帰させたときに衝撃荷重が加わるという問題がある。
【0003】
そこで、このような問題を解消するために、ディスク形状の抵抗体と一方向クラッチを用いて衝撃荷重を軽減したもの(特許文献1参照)や、歯車を利用して予圧を与えることで抵抗を生じさせ、逆転時の速度を調整するようにしたもの(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
実公平3−8827号公報
【特許文献2】
実公平5−589号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に開示されたものは、ディスクや一方向クラッチあるいは歯車を使用するため、これらを取り付けるためのハウジング等の構造が複雑となる上、それらを制御するための回路が必要となる。このため、部品点数が増加し、コストの上昇を招くという問題点を有していた。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することのできるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝のボール接触角を隣り合う接触角同士で異ならせたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝の溝面の曲率半径を隣り合う溝面同士で異ならせたことを特徴とする。
【0008】
請求項1及び2の発明では、ねじ軸またはナットを正回転させたときのトルクとねじ軸またはナットを逆回転させたときのトルクとの間に差が生じる。これにより、逆転時の抵抗を調整するために、ギヤ等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。同図に示すように、本実施形態に係るボールねじ装置は、ねじ軸11と、このねじ軸11の外周面に螺旋状に形成されたボールねじ溝12と対向するボールねじ溝14を内周面に有するナット13と、このナット13とねじ軸11との間に組み込まれた多数のボール15とを備えており、例えばねじ軸11が軸芯回りに回転すると、ナット13がねじ軸11の軸方向に相対移動すると共にボール15がボールねじ溝12,14間を転動するようになっている。また、本実施形態に係るボールねじ装置はボール循環チューブ16を備えており、ボールねじ溝12,14間を転動したボール15はボール循環チューブ16の内部に形成されたボール戻し路を転動して元の位置に戻り、上述した経路を無限循環するようになっている。
【0010】
図2は、ボールねじ溝12およびボールねじ溝14のボール接触角度を模式的に示す図である。同図に示すように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12は互いに隣り合う二つのボール接触角(ボール15に対する接触角度)α3,α4を有しており、これらのボール接触角α3,α4は、従来のボールねじではα3=α4であるが、本実施形態ではα3≠α4となっている。
【0011】
また、図2に示すように、ナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14は互いに隣り合う二つのボール接触角α1,α2を有しており、これらのボール接触角α1,α2は、従来のボールねじではα1=α2であるが、本実施形態ではα1≠α2となっている。
このように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12のボール接触角α3,α4をα3≠α4にすると共にナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14のボール接触角度α1,α2をα1≠α2とすることで、ねじ軸11又はナット13を正回転させたときのトルクとねじ軸11又はナット13を逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることになる。これにより、前述した従来技術のように、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0012】
なお、ボールねじの軸径を30mm、玉径を8mm、スラスト荷重を1000Nとした場合、ボール接触角を5°にすることにより、ボール接触角を60°とした場合に比較して、約4割増しの抵抗を逆転時に付与することができる。
次に、図3及び図4を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。同図に示すように、本実施形態に係るボールねじ装置は、ねじ軸11と、このねじ軸11の外周面に螺旋状に形成されたボールねじ溝12と対向するボールねじ溝14を内周面に有するナット13と、このナット13とねじ軸11との間に組み込まれた多数のボール15とを備えており、例えばねじ軸11が軸芯回りに回転すると、ナット13がねじ軸11の軸方向に相対移動すると共にボール15がボールねじ溝12,14間を転動するようになっている。また、本実施形態に係るボールねじ装置はボール循環チューブ16を備えており、ボールねじ溝12,14間を転動したボール15はボール循環チューブ16の内部に形成されたボール戻し路を転動して元の位置に戻り、上述した経路を無限循環するようになっている。
【0013】
図4は、ボールねじ溝12およびボールねじ溝14の溝面を示す断面図である。同図に示すように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12は互いに隣り合う二つの溝面12a,12bを有しており、これら溝面12a,12bの曲率半径R3,R4は、従来のボールねじではR3=R4であるが、本実施形態ではR3≠R4となっている。
【0014】
また、図4に示すように、ナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14は互いに隣り合う二つの溝面14a,14bを有しており、これら溝面14a,14bの曲率半径R1,R2は、従来のボールねじではR1=R2であるが、本実施形態ではR1≠R2となっている。
このように、ねじ軸11の外周面に形成されたボールねじ溝12の溝面12a,12bの曲率半径R3,R4をR3≠R4にすると共にナット13の内周面に形成されたボールねじ溝14の溝面14a,14bの曲率半径R1,R2をR1≠R2とすることで、ねじ軸11又はナット13を正回転させたときのトルクとねじ軸11又はナット13を逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることになる。これにより、前述した従来技術のように、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【0015】
なお、ボールねじの軸径を30mm、玉径を8mm、スラスト荷重を1000Nとした場合、ボールねじ溝12,14の曲率半径R1〜R4とボール15の直径との比を0.6とすることにより、ボールねじ溝12,14の曲率半径R1〜R4とボール15の直径との比を0.505とした場合に比較して、約5割増しの抵抗を逆転時に付与することができる。
【0016】
上述した第1の実施形態ではねじ軸11の外周面およびナット13の内周面に形成されたボールねじ溝12,14のボール接触角α1〜α4を隣り合う接触角同士で異ならせたが、ねじ軸11の外周面またはナット13の内周面に形成されたボールねじ溝のボール接触角を隣り合う接触角同士で異ならせても同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、上述した第2の実施形態ではねじ軸11の外周面およびナット13の内周面に形成されたボールねじ溝12,14の溝面の曲率半径R1〜R4を隣り合う曲率半径同士で異ならせたが、ねじ軸11の外周面またはナット13の内周面に形成されたボールねじ溝の溝面の曲率半径を隣り合う曲率半径同士で異ならせても同様の効果を得ることができる。
【0018】
また、上述した第1及び第2の実施形態ではボール循環部品としてボール循環チューブ16を使用したチューブ式ボールねじ装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばボール循環部品としてエンドキャップを使用したエンドキャップ式ボールねじ装置または、こま式ボールねじ装置にも本発明を適用可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び2の発明に係るボールねじ装置によれば、ねじ軸又はナットを正回転させたときのトルクとねじ軸又はナットを逆回転させたときのトルクとの間に差が生じることができる。したがって、逆転時の抵抗を調整するために、歯車等を用いる必要がないので、コストの上昇を招くことなく逆転時の抵抗を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ溝およびボールねじ溝のボール接触角を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ溝およびボールねじ溝の溝面を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ねじ軸
12 ボールねじ溝
13 ナット
14 ボールねじ溝
15 ボール
16 ボール循環チューブ
α1〜α4 ボールねじ溝のボール接触角
R1〜R4 ボールねじ溝の溝面の曲率半径
Claims (2)
- 外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、
前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝のボール接触角を隣り合う接触角同士で異ならせたことを特徴とするボールねじ装置。 - 外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の前記ボールねじ溝と対向するボールねじ溝を内周面に有するナットと、前記ねじ軸または前記ナットの回転運動に伴って前記ねじ軸及び前記ナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじ装置において、
前記ねじ軸の外周面および/又は前記ナットの内周面に形成された少なくとも一部のボールねじ溝の溝面の曲率半径を隣り合う曲率半径同士で異ならせたことを特徴とするボールねじ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036025A JP2004245330A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | ボールねじ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003036025A JP2004245330A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | ボールねじ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004245330A true JP2004245330A (ja) | 2004-09-02 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103968024A (zh) * | 2014-04-14 | 2014-08-06 | 北京工业大学 | 一种自动调节预紧力滚珠丝杠副 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036025A patent/JP2004245330A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103968024A (zh) * | 2014-04-14 | 2014-08-06 | 北京工业大学 | 一种自动调节预紧力滚珠丝杠副 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060106 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070524 |