JP2004245184A - 再熱蒸気タービンプラントとその起動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】主蒸気、再熱蒸気の温度圧力が高い状態における再熱蒸気タービンのコールド起動、またはウォーム起動を実現することにある。
【解決手段】再熱器を有するボイラ10と、このボイラから蒸気加減弁29を設けた主蒸気管15を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービン21と、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁87を介して再熱器に導く低温再熱蒸気管17と、ボイラ10の再熱器からインターセプト弁90を設けた高温再熱蒸気管16を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービン22とを備えた再熱蒸気タービンプラントにおいて、高圧タービン21の排気部と逆止弁87との間の低温蒸気再熱管17を分岐して中圧タービン22の入口部に接続された再熱器バイパスライン93を設け、この再熱器バイパスラインに再熱蒸気タービンの起動時に開路される再熱器バイパス弁94を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】再熱器を有するボイラ10と、このボイラから蒸気加減弁29を設けた主蒸気管15を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービン21と、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁87を介して再熱器に導く低温再熱蒸気管17と、ボイラ10の再熱器からインターセプト弁90を設けた高温再熱蒸気管16を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービン22とを備えた再熱蒸気タービンプラントにおいて、高圧タービン21の排気部と逆止弁87との間の低温蒸気再熱管17を分岐して中圧タービン22の入口部に接続された再熱器バイパスライン93を設け、この再熱器バイパスラインに再熱蒸気タービンの起動時に開路される再熱器バイパス弁94を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電プラントおよび熱電併給プラント(コージェネレーションプラント)の再熱蒸気タービンプラントとその起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱電併給を行うコージェネレーションプラントは、ガスタービン/ボイラ(排熱回収ボイラ<HRSG>を含む)と蒸気タービン又は従来型ボイラと蒸気タービンの組み合わせから構成される。そして、発電よりも工場プロセスへの連続的な蒸気供給が重視され、高圧主蒸気や、再熱蒸気のヘッダから工場プロセスへの蒸気供給ラインを備えている。
【0003】
蒸気タービンが停止している場合でもボイラ(またはHRSG)は蒸気供給のために運転され、蒸気ヘッダは高温、高圧の状態に保たれている。
【0004】
近年、コージェネレーションプラントも効率向上の要求から大形化し、複数台のボイラと二台以上の蒸気タービンを備えたものもある。この場合、蒸気タービンも効率向上のために再熱型が使用される。
【0005】
このようなコージェネレーションプラントに適用される再熱蒸気タービンは、ボイラ(またはHRSG)が工場プロセスへの蒸気供給を継続した状態、すなわち蒸気ヘッダの圧力、温度が高い状態でも、その発生蒸気を受け入れて蒸気タービンを起動しなくてはならない。これらの高圧タービンへの主蒸気および中圧タービンへの高温再熱蒸気は、いずれも工場プロセスへの蒸気供給のために通常の運転条件、すなわち高温、高圧の状態となっている。
【0006】
通常、蒸気タービンが長期停止後の起動(コールド起動という)、または週末停止後の起動(ウォーム起動という)の場合は、蒸気タービンのロータや他の構成部位の熱応力を制限値内に収めるように主蒸気、再熱蒸気温度を低い状態から徐々に上昇させるような蒸気条件をボイラ側に要求して、蒸気タービンを起動している。
【0007】
従って、前述したコージェネレーションプラントのように主蒸気、再熱蒸気が高温、高圧の状態でその蒸気を再熱蒸気タービンに導入して蒸気タービンを起動することは、蒸気タービンの各部に過大な熱応力および熱膨張差を発生させるため、起動不可能である。
【0008】
図3は、かかる従来のコージェネレーションプラントの一例を示す構成図で、本例では二台のガスタービンの排熱回収ボイラ(HRSG)と一台の再熱蒸気タービンからなるプラントを例に説明する。
【0009】
図3において、通常の運転状態における各構成設備の機能を蒸気の流れに従って説明すると次のようになる。
【0010】
HRSG10で発生した高圧蒸気は、高圧蒸気ヘッダ(主蒸気ヘッダと呼ぶ)86に集められ、この主蒸気ヘッダ86から主蒸気止弁28と加減弁29を経て高圧タービン21へ導かれる。
【0011】
一方、主蒸気ヘッダ86は、工場プロセス蒸気91の供給に必要な圧力、温度に維持されている。
【0012】
主蒸気の有する熱エネルギーを高圧タービン21に与えた後、この高圧タービン21の排気された蒸気は、蒸気低温再熱逆止弁87を通り低温再熱蒸気管17によりHRSG10の再熱器に入り過熱される。
【0013】
この高温の再熱蒸気は、高温再熱蒸気管16を通って高温再熱蒸気ヘッダ88から再熱止め弁89およびインターセプト弁90を経て中圧タービン20に流入し、さらに低圧タービン23に導かれて蒸気が有する有効な熱エネルギーをタービンに与えた後、復水器25内に回収されて復水となる。
【0014】
一方、高温再熱蒸気蒸気ヘッダ88は、工場プロセス蒸気供給系92に必要な圧力、温度に維持されて供給される。
【0015】
このような構成のコージェネレーションプラントにおいて、蒸気タービンを起動する場合は、前述したように高温、高圧の蒸気を蒸気タービンの起動用にそのまま使用することはできない。
【0016】
ここで、再熱蒸気タービンの起動時に制限となる蒸気温度、圧力の条件についてその問題点を以下具体的に列挙して説明する。
【0017】
(1)タービンメタル温度の変化率の制限
起動時に蒸気タービンに流入する蒸気温度によりタービンのケーシング、ロータメタルが加熱されるが、これらメタル温度の変化率によりタービン各部での発生熱応力および熱伸び差が決まる。
【0018】
この熱応力によりタービン各部に生ずる低サイクル疲労のうち、特にロータに発生する表面及びボア熱応力が機械的にも重要なタービンの寿命を決定する要素であり、これらの熱応力が制限を越えないように注意する必要がある。
【0019】
また,回転体であるロータの熱伝達率が静止しているケーシングの熱伝達率より高いことから、ロータのメタル温度の変化率、すなわち熱伸び量がケーシングのそれより大きくなり、起動時にはロータとケーシングの大きな熱伸び差が発生する。
【0020】
したがって、メタル温度の変化率が過大な場合には、この熱伸び差がさらに過大となり、ロータと静止部が接触して起動の継続が不可能となるので、注意が必要である。
【0021】
これらのメタル温度の変化率は、蒸気の温度変化率及びメタルへの熱伝達率を大きく支配する蒸気圧力に大きく左右される。
【0022】
以上のことから、過大なロータ熱応力および熱伸び差を発生させないために、特にコールド、ウォーム起動時の蒸気温度の上昇率およびタービン内部の蒸気圧力、すなわちタービン排気圧力の適正な制御が必要である。
【0023】
従来では,起動時の蒸気温度を緩やかに上昇させ、タービン排気圧力、特に高圧タービン排気圧力を低く保持するように制御することによって、タービン起動を実現している。特に、ロータ熱応力に関しては、あらかじめ設定した寿命消費量となるように決定した蒸気タービンの速度上昇率、負荷上昇率になるように起動制御して対処している。
【0024】
(2)高圧タービン排気部または低温再熱配管の上限温度制限
再熱蒸気タービンプラントでは、主蒸気及び再熱蒸気圧力が高い状態でタービンが起動されると、負荷をとるまでの無負荷の状態では高圧タービンを通過する蒸気量が極めて少量となる。この結果、高圧排気段羽根の回転による風損が生じ、蒸気温度が上昇し、その熱量が羽根、ロータ等に伝達されるため、回転体の温度を上昇させるという問題がある。
【0025】
そして、このとき高圧排気はある程度の圧力を有しているため、さらにこの現象が顕著になるという問題がある。
【0026】
このような高圧排気温度の上昇は極めて著しく、タービン通気時の主蒸気温度そのものが高く、従って高圧排気温度は絶対値でもかなり高い値になる。これにより高圧排気段のロータの熱応力や羽根の強度等に対する条件が厳しくなる。
【0027】
また、通常、高温、高圧の条件に晒される高圧タービン入口部などは、高価な材料を使用するが、排気部および低温再熱蒸気管は通常時の温度、圧力条件から材料を選定するため、耐熱性が高圧タービン入口部などより低い。
【0028】
蒸気タービンの起動時は、主蒸気流量が通常負荷運転時よりも少なく、従って、主蒸気加減弁で流量を絞って高圧タービンに流すため、同じ高圧タービン排気部分の蒸気圧力でも通常負荷運転時よりも温度が高くなる。
【0029】
図4は、通常運転時および起動時の高圧タービン蒸気膨張線図を示すもので、この図からも上記の状態が明らかなことが分かる。
【0030】
さらに、起動時の高圧タービン排気部の蒸気温度は、一般に主蒸気エンタルピと排気部の圧力の関数で決定される。
【0031】
図5は、高圧タービンの排気圧力と温度の相関図を示すものである。
【0032】
図5において、例えば等主蒸気エンタルピ線と高圧タービン排気温度上限の線が交差する点の圧力が高圧タービン排気温度上限となり、これより低い高圧タービン排気圧力であれば同じで、主蒸気エンタルピが同じであれば、図示するように高圧タービン排気温度は低くなる。同様に高圧タービン排気圧力が上限値を超えれば、高圧タービン排気温度は上限値を超えることになる。
【0033】
すなわち、同じ主蒸気エンタルピの蒸気でも排気部の圧力が高いほど排気部の蒸気温度は上昇する。
【0034】
このように通常運転時の再熱蒸気ヘッダの圧力状態でタービン起動のために高圧タービンに主蒸気を流入すれば、高圧タービン排気部の圧力は徐々に上昇し、低温再熱逆止弁を通って低温再熱ヘッダへ蒸気が押し出される圧力まで昇圧され、図5の高圧タービン排気温度上限を超過して、タービン起動の継続が不可能となる。
【0035】
(3)高中圧一体型蒸気タービンの高圧タービン入口の蒸気温度と中圧タービン入口の蒸気温度との差の上限温度制限
高中圧一体型の蒸気タービンは、主蒸気の入口と高温再熱蒸気の入口が近くにあり、これら二つの流入蒸気の温度差はその隔壁部分の熱応力となってタービンへ影響を及ぼす。従って、主蒸気温度と高温再熱蒸気温度との差は、ある一定範囲内となるように起動時には注意が必要である。
【0036】
従来では、主蒸気、再熱蒸気温度を低い状態から徐々に上昇させるような蒸気条件をボイラ側に要求して、蒸気タービンを起動している。
【0037】
このような制限から、蒸気タービン起動時には高圧蒸気ヘッダと再熱蒸気ヘッダの圧力、温度を蒸気タービンの起動に合うように低い圧力、温度に設定してもらい、この条件下で徐々に蒸気タービンを起動する方法とか、あるいは2トレーンのガスタービンおよびHRSGのうち、1トレーンの圧力、温度条件を蒸気タービンの都合の良い温度、圧力に設定してもらうなどの方法がある。
【0038】
しかし、蒸気タービンの起動は、コールドの場合は何時間にも及ぶ場合があり、この間、ガスタービンおよびHRSGの出力を下げて運転することは、工場プロセスへの蒸気供給の観点から好ましくなく、工場の操業への影響もあるので、コージェネレーションプラントとしては、蒸気ヘッダを通常の運転状態のままで蒸気タービンのサービスイン、サービスアウトをしたいとの強い要求がある。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の再熱蒸気タービンプラントにおいては、ボイラまたはHRSG側が通常運転状態である高温、高圧の蒸気条件下で再熱蒸気タービンの起動を行うには前述したような種々の問題があった。
【0040】
本発明は上記のような問題を解消するためになされたものであり、主蒸気、再熱蒸気の温度圧力が高い状態における再熱蒸気タービンのコールド起動、またはウォーム起動を実現することができる再熱蒸気タービンプラントとその起動方法を提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により再熱蒸気タービンプラントを構成し、このプラントを次のような方法により起動するものである。請求項1に対応する発明は、再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンとを備えた再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインを設け、この再熱器バイパスラインに再熱蒸気タービンの起動時に開路される再熱器バイパス弁を設ける。
【0042】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記主蒸気管に、主蒸気温度を制御する主蒸気減温器を設ける。
【0043】
請求項3に対応する発明は、再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンと、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインと、この再熱器バイパスラインに設けられた再熱器バイパス弁と、前記主蒸気管に設けられた主蒸気温度を制御する減温器とを備えた再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、前記再熱蒸気タービンの起動時に、前記インターセプト弁を閉路すると同時に前記バイパス弁を開路し、前記中圧タービンへ高圧タービンの排気を導入して再熱蒸気タービンを起動する。
【0044】
請求項4に対応する発明は、請求項3に対応する発明の再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、負荷併入時に前記主蒸気減温器により主蒸気温度に応じて定められたタービンに発生する熱応力が低減するように前記高圧タービンに導入される主蒸気温度を制御する。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0046】
図1は本発明による再熱蒸気タービンプラントの第1の実施の形態を示す系統図であり、図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
【0047】
本実施の形態では、図1に示すように高圧タービン21の排気部から低温再熱逆止弁87を介してHRSG10につながる低温再熱蒸気管17の低温再熱逆止弁87の上流側を分岐し、中圧タービン22の入口側に蒸気管により接続して再熱器バイパスライン93を形成すると共に、このバイパスライン93に再熱器バイパス弁94を設ける。
【0048】
また、2台のHRSG10から主蒸気ヘッダ86につながる各主蒸気管15に主蒸気減温器95をそれぞれ設ける。
【0049】
さらに、再熱蒸気タービンの起動時に再熱器バイパスライン93上の再熱器バイパス弁94と主蒸気ヘッダ86から高圧タービン21の入口につながる管路に設けられた加減弁29および高温再熱蒸気ヘッダ88から中圧タービン22の入口につながる管路に設けられたインターセプト弁90を制御する制御装置100を備える。
【0050】
次にこのように構成された再熱蒸気タービンプラントの作用を図2に示すタイムチャートにより説明する。
【0051】
図2は、再熱蒸気タービンプラントの起動時の主な状態量と弁の動きなどを横軸時間で示したチャート例である。なお、主蒸気温度カーブは、熱応力検討結果により決定されたものを使用している。
【0052】
(1)蒸気タービン起動前
2台のHRSG10は100%負荷でともに運転中であり、復水器25の真空は確保されている。
【0053】
(2)ターニング離脱から低速ヒートソーク(LSHS)A50を経て無負荷定格回転数(FSNL)A40までターニング離脱前に再熱器バイパス弁94を全開にする。
【0054】
このとき制御装置100により加減弁29を調速制御してタービン起動を開始する。
【0055】
また、制御装置100の速度制御でLSHSを経てFSNLを実施し、タービンを徐々に加温して行く。LSHSおよびFSNLの所用時間はあらかじめ熱応力計算結果により決定されている。
【0056】
この間、再熱器バイパス弁94は全開であり、高圧タービン21からの排気蒸気の全量が中圧タービン22へ流入し、高圧タービン21の排気圧力は中圧タービン22の入口圧力によって決まる低い圧力となる。
【0057】
この理由は、低温再熱蒸気圧力が通常運転圧力の高い圧力であり、高圧タービン21の排気圧力より十分高いため、低温再熱逆止弁87は自動的に閉路し、高圧タービン21からの排気蒸気が該逆止弁87に逆らって低温再熱蒸気管17の方には流れないためである。
【0058】
一方、インターセプト弁90は、再熱器バイパス弁94が閉路するまでは全閉となるように制御装置100により制御されている。
【0059】
このようにすることにより、中圧タービン22へ流入する蒸気は高圧タービン21からの排気蒸気のみであり,中圧タービン22の入口蒸気温度を下げることができる。すなわち、高温再熱蒸気の温度はプロセスへの蒸気供給の要求から通常の高温再熱蒸気ヘッダ88の高い温度条件となっており、そのまま中圧タービン22に流入させることは適当でないためである。
【0060】
(3)併入A39〜初負荷保持終了A37
FSNL→併入・初負荷保持までを主蒸気加減弁29への速度および負荷制御で実施する。
【0061】
初負荷を保持する高温再熱蒸気ヘッダ88の圧力は、高圧タービン21の排気部の温度上昇制限内となるようにある一定圧力に保持されている。この圧力は低温再熱逆止弁87を介して高圧タービン21の排気が低温再熱蒸気管に流れ込むため、図5で示した高圧タービンの排気部の温度制限以下となるような低温再熱圧力としておく必要がある。
【0062】
また、プロセス蒸気供給先の条件から低温再熱圧力の制御に制限がある場合は、主蒸気減温器95により主蒸気エンタルピを制御することによって、高圧タービン21の排気部を温度制限以下とする必要がある。
【0063】
(4)初負荷保持終了A37〜再熱器バイパス弁閉路A34
初負荷保持が終了し,低温再熱ヘッダ圧力が一定圧力に保持されたことを確認後、再熱器バイパス弁94を徐々に閉じていく。
【0064】
このようにすれば、高圧タービン21の排気部の圧力は、徐々に上昇し、高圧タービン21の排気蒸気温度(中圧タービン22へ流入する蒸気温度)も徐々に上昇する。
【0065】
再熱器バイパス弁94を閉操作すると同時に、インターセプト弁90も徐々に微開する。
【0066】
このことにより、中圧タービンへの流入蒸気温度を徐々に上げていくことができる。
【0067】
再熱器バイパス弁94の閉路後,制御装置100から加減弁29への負荷制御により蒸気タービンを負荷上昇させて定格負荷運転に到達する。
【0068】
このように本実施の形態では、高圧タービン21の排気系からHRSG10に戻る低温再熱蒸気管17に低温再熱逆止弁87を設け、この低温再熱逆止弁87の上流側と中圧タービン22の入口部との間を蒸気管により接続して再熱器バイパスライン93を形成すると共に、このバイパスライン93に再熱器バイパス弁94を設け、起動時にインターセプト弁90を閉じると同時に再熱器バイパス弁94を開路して、高圧タービン21の排気蒸気を再熱器をバイパスして中圧タービン22に導くようにしたものである。
【0069】
このようにすれば、高圧タービン21の排気圧は再熱蒸気タービンの入口の低い圧力に支配されて低い圧力となるため、熱力学的に高圧タービンが急激に加熱されることはない。
【0070】
また、主蒸気管15に主蒸気減温器95を設け、この主蒸気減温器95により高圧タービン21の入口部の蒸気温度を減温し、温度の低い高圧タービン21の排気を中圧タービン22に供給するため、再熱蒸気タービンが急激に過熱されることはない。
【0071】
従って、主蒸気、低温再熱蒸気、高温再熱蒸気の蒸気条件によらず、再熱蒸気タービンの起動が可能となる。これにより、ボイラが定格運転中でも再熱蒸気タービンを起動できるので、プロセス蒸気を安定供給する必要があるコージェネレーションプラントへの適用が可能となる。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、再熱蒸気タービンの起動時の高圧排気温度の上昇を防ぎ、高圧排気段のロータの熱応力や羽根の強度等を十分安全なレベルに保つことができ、ボイラ(またはHRSG)としても主蒸気および再熱蒸気の圧力が高い状態のままで蒸気タービンをコールド起動またはウォーム起動をすることができ、且つコージェネレーションプラントへの適用を可能にして、運用コストおよび蒸気利用効率を向上させることができる再熱蒸気タービンプラントとその起動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による再熱蒸気タービンプラントの第1の実施の形態を示す系統図。
【図2】同実施の形態の作用を説明するための再熱蒸気タービンプラントの起動時の主な状態量と弁の動きなどを横軸時間で示したタイムチャート図。
【図3】従来の再熱蒸気タービンプラントの構成例を示す概略系統図。
【図4】同再熱蒸気タービンプラントの通常運転時および起動時の高圧タービン蒸気膨張線図の一例を示す図。
【図5】同じく高圧タービンの排気圧力と温度の相関関係を示す図。
【符号の説明】
10…HRSG
14…復水管
15…主蒸気管
16…高温再熱蒸気管
17…低温再熱蒸気管
21…高圧タービン
22…中圧タービン
23…低圧タービン
25…復水器
28…主蒸気止弁
29…加減弁
86…主蒸気ヘッダ
87…低温再熱逆止弁
88…高温再熱蒸気ヘッダ
89…再熱止弁
90…インターセプト弁
91…プロセス蒸気
92…プロセス蒸気
93…再熱器バイパスライン
94…再熱器バイパス弁
95…主蒸気減温器
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電プラントおよび熱電併給プラント(コージェネレーションプラント)の再熱蒸気タービンプラントとその起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱電併給を行うコージェネレーションプラントは、ガスタービン/ボイラ(排熱回収ボイラ<HRSG>を含む)と蒸気タービン又は従来型ボイラと蒸気タービンの組み合わせから構成される。そして、発電よりも工場プロセスへの連続的な蒸気供給が重視され、高圧主蒸気や、再熱蒸気のヘッダから工場プロセスへの蒸気供給ラインを備えている。
【0003】
蒸気タービンが停止している場合でもボイラ(またはHRSG)は蒸気供給のために運転され、蒸気ヘッダは高温、高圧の状態に保たれている。
【0004】
近年、コージェネレーションプラントも効率向上の要求から大形化し、複数台のボイラと二台以上の蒸気タービンを備えたものもある。この場合、蒸気タービンも効率向上のために再熱型が使用される。
【0005】
このようなコージェネレーションプラントに適用される再熱蒸気タービンは、ボイラ(またはHRSG)が工場プロセスへの蒸気供給を継続した状態、すなわち蒸気ヘッダの圧力、温度が高い状態でも、その発生蒸気を受け入れて蒸気タービンを起動しなくてはならない。これらの高圧タービンへの主蒸気および中圧タービンへの高温再熱蒸気は、いずれも工場プロセスへの蒸気供給のために通常の運転条件、すなわち高温、高圧の状態となっている。
【0006】
通常、蒸気タービンが長期停止後の起動(コールド起動という)、または週末停止後の起動(ウォーム起動という)の場合は、蒸気タービンのロータや他の構成部位の熱応力を制限値内に収めるように主蒸気、再熱蒸気温度を低い状態から徐々に上昇させるような蒸気条件をボイラ側に要求して、蒸気タービンを起動している。
【0007】
従って、前述したコージェネレーションプラントのように主蒸気、再熱蒸気が高温、高圧の状態でその蒸気を再熱蒸気タービンに導入して蒸気タービンを起動することは、蒸気タービンの各部に過大な熱応力および熱膨張差を発生させるため、起動不可能である。
【0008】
図3は、かかる従来のコージェネレーションプラントの一例を示す構成図で、本例では二台のガスタービンの排熱回収ボイラ(HRSG)と一台の再熱蒸気タービンからなるプラントを例に説明する。
【0009】
図3において、通常の運転状態における各構成設備の機能を蒸気の流れに従って説明すると次のようになる。
【0010】
HRSG10で発生した高圧蒸気は、高圧蒸気ヘッダ(主蒸気ヘッダと呼ぶ)86に集められ、この主蒸気ヘッダ86から主蒸気止弁28と加減弁29を経て高圧タービン21へ導かれる。
【0011】
一方、主蒸気ヘッダ86は、工場プロセス蒸気91の供給に必要な圧力、温度に維持されている。
【0012】
主蒸気の有する熱エネルギーを高圧タービン21に与えた後、この高圧タービン21の排気された蒸気は、蒸気低温再熱逆止弁87を通り低温再熱蒸気管17によりHRSG10の再熱器に入り過熱される。
【0013】
この高温の再熱蒸気は、高温再熱蒸気管16を通って高温再熱蒸気ヘッダ88から再熱止め弁89およびインターセプト弁90を経て中圧タービン20に流入し、さらに低圧タービン23に導かれて蒸気が有する有効な熱エネルギーをタービンに与えた後、復水器25内に回収されて復水となる。
【0014】
一方、高温再熱蒸気蒸気ヘッダ88は、工場プロセス蒸気供給系92に必要な圧力、温度に維持されて供給される。
【0015】
このような構成のコージェネレーションプラントにおいて、蒸気タービンを起動する場合は、前述したように高温、高圧の蒸気を蒸気タービンの起動用にそのまま使用することはできない。
【0016】
ここで、再熱蒸気タービンの起動時に制限となる蒸気温度、圧力の条件についてその問題点を以下具体的に列挙して説明する。
【0017】
(1)タービンメタル温度の変化率の制限
起動時に蒸気タービンに流入する蒸気温度によりタービンのケーシング、ロータメタルが加熱されるが、これらメタル温度の変化率によりタービン各部での発生熱応力および熱伸び差が決まる。
【0018】
この熱応力によりタービン各部に生ずる低サイクル疲労のうち、特にロータに発生する表面及びボア熱応力が機械的にも重要なタービンの寿命を決定する要素であり、これらの熱応力が制限を越えないように注意する必要がある。
【0019】
また,回転体であるロータの熱伝達率が静止しているケーシングの熱伝達率より高いことから、ロータのメタル温度の変化率、すなわち熱伸び量がケーシングのそれより大きくなり、起動時にはロータとケーシングの大きな熱伸び差が発生する。
【0020】
したがって、メタル温度の変化率が過大な場合には、この熱伸び差がさらに過大となり、ロータと静止部が接触して起動の継続が不可能となるので、注意が必要である。
【0021】
これらのメタル温度の変化率は、蒸気の温度変化率及びメタルへの熱伝達率を大きく支配する蒸気圧力に大きく左右される。
【0022】
以上のことから、過大なロータ熱応力および熱伸び差を発生させないために、特にコールド、ウォーム起動時の蒸気温度の上昇率およびタービン内部の蒸気圧力、すなわちタービン排気圧力の適正な制御が必要である。
【0023】
従来では,起動時の蒸気温度を緩やかに上昇させ、タービン排気圧力、特に高圧タービン排気圧力を低く保持するように制御することによって、タービン起動を実現している。特に、ロータ熱応力に関しては、あらかじめ設定した寿命消費量となるように決定した蒸気タービンの速度上昇率、負荷上昇率になるように起動制御して対処している。
【0024】
(2)高圧タービン排気部または低温再熱配管の上限温度制限
再熱蒸気タービンプラントでは、主蒸気及び再熱蒸気圧力が高い状態でタービンが起動されると、負荷をとるまでの無負荷の状態では高圧タービンを通過する蒸気量が極めて少量となる。この結果、高圧排気段羽根の回転による風損が生じ、蒸気温度が上昇し、その熱量が羽根、ロータ等に伝達されるため、回転体の温度を上昇させるという問題がある。
【0025】
そして、このとき高圧排気はある程度の圧力を有しているため、さらにこの現象が顕著になるという問題がある。
【0026】
このような高圧排気温度の上昇は極めて著しく、タービン通気時の主蒸気温度そのものが高く、従って高圧排気温度は絶対値でもかなり高い値になる。これにより高圧排気段のロータの熱応力や羽根の強度等に対する条件が厳しくなる。
【0027】
また、通常、高温、高圧の条件に晒される高圧タービン入口部などは、高価な材料を使用するが、排気部および低温再熱蒸気管は通常時の温度、圧力条件から材料を選定するため、耐熱性が高圧タービン入口部などより低い。
【0028】
蒸気タービンの起動時は、主蒸気流量が通常負荷運転時よりも少なく、従って、主蒸気加減弁で流量を絞って高圧タービンに流すため、同じ高圧タービン排気部分の蒸気圧力でも通常負荷運転時よりも温度が高くなる。
【0029】
図4は、通常運転時および起動時の高圧タービン蒸気膨張線図を示すもので、この図からも上記の状態が明らかなことが分かる。
【0030】
さらに、起動時の高圧タービン排気部の蒸気温度は、一般に主蒸気エンタルピと排気部の圧力の関数で決定される。
【0031】
図5は、高圧タービンの排気圧力と温度の相関図を示すものである。
【0032】
図5において、例えば等主蒸気エンタルピ線と高圧タービン排気温度上限の線が交差する点の圧力が高圧タービン排気温度上限となり、これより低い高圧タービン排気圧力であれば同じで、主蒸気エンタルピが同じであれば、図示するように高圧タービン排気温度は低くなる。同様に高圧タービン排気圧力が上限値を超えれば、高圧タービン排気温度は上限値を超えることになる。
【0033】
すなわち、同じ主蒸気エンタルピの蒸気でも排気部の圧力が高いほど排気部の蒸気温度は上昇する。
【0034】
このように通常運転時の再熱蒸気ヘッダの圧力状態でタービン起動のために高圧タービンに主蒸気を流入すれば、高圧タービン排気部の圧力は徐々に上昇し、低温再熱逆止弁を通って低温再熱ヘッダへ蒸気が押し出される圧力まで昇圧され、図5の高圧タービン排気温度上限を超過して、タービン起動の継続が不可能となる。
【0035】
(3)高中圧一体型蒸気タービンの高圧タービン入口の蒸気温度と中圧タービン入口の蒸気温度との差の上限温度制限
高中圧一体型の蒸気タービンは、主蒸気の入口と高温再熱蒸気の入口が近くにあり、これら二つの流入蒸気の温度差はその隔壁部分の熱応力となってタービンへ影響を及ぼす。従って、主蒸気温度と高温再熱蒸気温度との差は、ある一定範囲内となるように起動時には注意が必要である。
【0036】
従来では、主蒸気、再熱蒸気温度を低い状態から徐々に上昇させるような蒸気条件をボイラ側に要求して、蒸気タービンを起動している。
【0037】
このような制限から、蒸気タービン起動時には高圧蒸気ヘッダと再熱蒸気ヘッダの圧力、温度を蒸気タービンの起動に合うように低い圧力、温度に設定してもらい、この条件下で徐々に蒸気タービンを起動する方法とか、あるいは2トレーンのガスタービンおよびHRSGのうち、1トレーンの圧力、温度条件を蒸気タービンの都合の良い温度、圧力に設定してもらうなどの方法がある。
【0038】
しかし、蒸気タービンの起動は、コールドの場合は何時間にも及ぶ場合があり、この間、ガスタービンおよびHRSGの出力を下げて運転することは、工場プロセスへの蒸気供給の観点から好ましくなく、工場の操業への影響もあるので、コージェネレーションプラントとしては、蒸気ヘッダを通常の運転状態のままで蒸気タービンのサービスイン、サービスアウトをしたいとの強い要求がある。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の再熱蒸気タービンプラントにおいては、ボイラまたはHRSG側が通常運転状態である高温、高圧の蒸気条件下で再熱蒸気タービンの起動を行うには前述したような種々の問題があった。
【0040】
本発明は上記のような問題を解消するためになされたものであり、主蒸気、再熱蒸気の温度圧力が高い状態における再熱蒸気タービンのコールド起動、またはウォーム起動を実現することができる再熱蒸気タービンプラントとその起動方法を提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により再熱蒸気タービンプラントを構成し、このプラントを次のような方法により起動するものである。請求項1に対応する発明は、再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンとを備えた再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインを設け、この再熱器バイパスラインに再熱蒸気タービンの起動時に開路される再熱器バイパス弁を設ける。
【0042】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記主蒸気管に、主蒸気温度を制御する主蒸気減温器を設ける。
【0043】
請求項3に対応する発明は、再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンと、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインと、この再熱器バイパスラインに設けられた再熱器バイパス弁と、前記主蒸気管に設けられた主蒸気温度を制御する減温器とを備えた再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、前記再熱蒸気タービンの起動時に、前記インターセプト弁を閉路すると同時に前記バイパス弁を開路し、前記中圧タービンへ高圧タービンの排気を導入して再熱蒸気タービンを起動する。
【0044】
請求項4に対応する発明は、請求項3に対応する発明の再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、負荷併入時に前記主蒸気減温器により主蒸気温度に応じて定められたタービンに発生する熱応力が低減するように前記高圧タービンに導入される主蒸気温度を制御する。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0046】
図1は本発明による再熱蒸気タービンプラントの第1の実施の形態を示す系統図であり、図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について述べる。
【0047】
本実施の形態では、図1に示すように高圧タービン21の排気部から低温再熱逆止弁87を介してHRSG10につながる低温再熱蒸気管17の低温再熱逆止弁87の上流側を分岐し、中圧タービン22の入口側に蒸気管により接続して再熱器バイパスライン93を形成すると共に、このバイパスライン93に再熱器バイパス弁94を設ける。
【0048】
また、2台のHRSG10から主蒸気ヘッダ86につながる各主蒸気管15に主蒸気減温器95をそれぞれ設ける。
【0049】
さらに、再熱蒸気タービンの起動時に再熱器バイパスライン93上の再熱器バイパス弁94と主蒸気ヘッダ86から高圧タービン21の入口につながる管路に設けられた加減弁29および高温再熱蒸気ヘッダ88から中圧タービン22の入口につながる管路に設けられたインターセプト弁90を制御する制御装置100を備える。
【0050】
次にこのように構成された再熱蒸気タービンプラントの作用を図2に示すタイムチャートにより説明する。
【0051】
図2は、再熱蒸気タービンプラントの起動時の主な状態量と弁の動きなどを横軸時間で示したチャート例である。なお、主蒸気温度カーブは、熱応力検討結果により決定されたものを使用している。
【0052】
(1)蒸気タービン起動前
2台のHRSG10は100%負荷でともに運転中であり、復水器25の真空は確保されている。
【0053】
(2)ターニング離脱から低速ヒートソーク(LSHS)A50を経て無負荷定格回転数(FSNL)A40までターニング離脱前に再熱器バイパス弁94を全開にする。
【0054】
このとき制御装置100により加減弁29を調速制御してタービン起動を開始する。
【0055】
また、制御装置100の速度制御でLSHSを経てFSNLを実施し、タービンを徐々に加温して行く。LSHSおよびFSNLの所用時間はあらかじめ熱応力計算結果により決定されている。
【0056】
この間、再熱器バイパス弁94は全開であり、高圧タービン21からの排気蒸気の全量が中圧タービン22へ流入し、高圧タービン21の排気圧力は中圧タービン22の入口圧力によって決まる低い圧力となる。
【0057】
この理由は、低温再熱蒸気圧力が通常運転圧力の高い圧力であり、高圧タービン21の排気圧力より十分高いため、低温再熱逆止弁87は自動的に閉路し、高圧タービン21からの排気蒸気が該逆止弁87に逆らって低温再熱蒸気管17の方には流れないためである。
【0058】
一方、インターセプト弁90は、再熱器バイパス弁94が閉路するまでは全閉となるように制御装置100により制御されている。
【0059】
このようにすることにより、中圧タービン22へ流入する蒸気は高圧タービン21からの排気蒸気のみであり,中圧タービン22の入口蒸気温度を下げることができる。すなわち、高温再熱蒸気の温度はプロセスへの蒸気供給の要求から通常の高温再熱蒸気ヘッダ88の高い温度条件となっており、そのまま中圧タービン22に流入させることは適当でないためである。
【0060】
(3)併入A39〜初負荷保持終了A37
FSNL→併入・初負荷保持までを主蒸気加減弁29への速度および負荷制御で実施する。
【0061】
初負荷を保持する高温再熱蒸気ヘッダ88の圧力は、高圧タービン21の排気部の温度上昇制限内となるようにある一定圧力に保持されている。この圧力は低温再熱逆止弁87を介して高圧タービン21の排気が低温再熱蒸気管に流れ込むため、図5で示した高圧タービンの排気部の温度制限以下となるような低温再熱圧力としておく必要がある。
【0062】
また、プロセス蒸気供給先の条件から低温再熱圧力の制御に制限がある場合は、主蒸気減温器95により主蒸気エンタルピを制御することによって、高圧タービン21の排気部を温度制限以下とする必要がある。
【0063】
(4)初負荷保持終了A37〜再熱器バイパス弁閉路A34
初負荷保持が終了し,低温再熱ヘッダ圧力が一定圧力に保持されたことを確認後、再熱器バイパス弁94を徐々に閉じていく。
【0064】
このようにすれば、高圧タービン21の排気部の圧力は、徐々に上昇し、高圧タービン21の排気蒸気温度(中圧タービン22へ流入する蒸気温度)も徐々に上昇する。
【0065】
再熱器バイパス弁94を閉操作すると同時に、インターセプト弁90も徐々に微開する。
【0066】
このことにより、中圧タービンへの流入蒸気温度を徐々に上げていくことができる。
【0067】
再熱器バイパス弁94の閉路後,制御装置100から加減弁29への負荷制御により蒸気タービンを負荷上昇させて定格負荷運転に到達する。
【0068】
このように本実施の形態では、高圧タービン21の排気系からHRSG10に戻る低温再熱蒸気管17に低温再熱逆止弁87を設け、この低温再熱逆止弁87の上流側と中圧タービン22の入口部との間を蒸気管により接続して再熱器バイパスライン93を形成すると共に、このバイパスライン93に再熱器バイパス弁94を設け、起動時にインターセプト弁90を閉じると同時に再熱器バイパス弁94を開路して、高圧タービン21の排気蒸気を再熱器をバイパスして中圧タービン22に導くようにしたものである。
【0069】
このようにすれば、高圧タービン21の排気圧は再熱蒸気タービンの入口の低い圧力に支配されて低い圧力となるため、熱力学的に高圧タービンが急激に加熱されることはない。
【0070】
また、主蒸気管15に主蒸気減温器95を設け、この主蒸気減温器95により高圧タービン21の入口部の蒸気温度を減温し、温度の低い高圧タービン21の排気を中圧タービン22に供給するため、再熱蒸気タービンが急激に過熱されることはない。
【0071】
従って、主蒸気、低温再熱蒸気、高温再熱蒸気の蒸気条件によらず、再熱蒸気タービンの起動が可能となる。これにより、ボイラが定格運転中でも再熱蒸気タービンを起動できるので、プロセス蒸気を安定供給する必要があるコージェネレーションプラントへの適用が可能となる。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、再熱蒸気タービンの起動時の高圧排気温度の上昇を防ぎ、高圧排気段のロータの熱応力や羽根の強度等を十分安全なレベルに保つことができ、ボイラ(またはHRSG)としても主蒸気および再熱蒸気の圧力が高い状態のままで蒸気タービンをコールド起動またはウォーム起動をすることができ、且つコージェネレーションプラントへの適用を可能にして、運用コストおよび蒸気利用効率を向上させることができる再熱蒸気タービンプラントとその起動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による再熱蒸気タービンプラントの第1の実施の形態を示す系統図。
【図2】同実施の形態の作用を説明するための再熱蒸気タービンプラントの起動時の主な状態量と弁の動きなどを横軸時間で示したタイムチャート図。
【図3】従来の再熱蒸気タービンプラントの構成例を示す概略系統図。
【図4】同再熱蒸気タービンプラントの通常運転時および起動時の高圧タービン蒸気膨張線図の一例を示す図。
【図5】同じく高圧タービンの排気圧力と温度の相関関係を示す図。
【符号の説明】
10…HRSG
14…復水管
15…主蒸気管
16…高温再熱蒸気管
17…低温再熱蒸気管
21…高圧タービン
22…中圧タービン
23…低圧タービン
25…復水器
28…主蒸気止弁
29…加減弁
86…主蒸気ヘッダ
87…低温再熱逆止弁
88…高温再熱蒸気ヘッダ
89…再熱止弁
90…インターセプト弁
91…プロセス蒸気
92…プロセス蒸気
93…再熱器バイパスライン
94…再熱器バイパス弁
95…主蒸気減温器
Claims (4)
- 再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンとを備えた再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインを設け、この再熱器バイパスラインに再熱蒸気タービンの起動時に開路される再熱器バイパス弁を設けたことを特徴とする再熱蒸気タービンプラント。
- 請求項1記載の再熱蒸気タービンプラントにおいて、前記主蒸気管に、主蒸気温度を制御する主蒸気減温器を設けたことを特徴とする再熱蒸気タービンプラント。
- 再熱器を有するボイラと、このボイラから蒸気加減弁を設けた主蒸気管を通して導かれる主蒸気により駆動される高圧タービンと、この高圧タービンから流出する排気を逆止弁を介して前記再熱器に導く低温再熱蒸気管と、前記ボイラの再熱器からインターセプト弁を設けた高温再熱蒸気管を通して導かれる再熱蒸気により駆動される中圧蒸気タービンと、前記高圧タービンの排気部と前記逆止弁との間の低温蒸気再熱管を分岐して前記中圧タービンの入口部に接続された再熱器バイパスラインと、この再熱器バイパスラインに設けられた再熱器バイパス弁と、前記主蒸気管に設けられた主蒸気温度を制御する減温器とを備えた再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、
前記再熱蒸気タービンの起動時に、前記インターセプト弁を閉路すると同時に前記バイパス弁を開路し、前記中圧タービンへ高圧タービンの排気を導入して再熱蒸気タービンを起動することを特徴とする再熱蒸気タービンプラントの起動方法。 - 請求項3記載の再熱蒸気タービンプラントの起動方法において、負荷併入時に前記主蒸気減温器により主蒸気温度に応じて定められたタービンに発生する熱応力が低減するように前記高圧タービンに導入される主蒸気温度を制御するようにしたことを特徴とする再熱蒸気タービンプラントの起動方法。
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