JP3559573B2 - 一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法 - Google Patents

一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法 Download PDF

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    • Y02E20/16Combined cycle power plant [CCPP], or combined cycle gas turbine [CCGT]

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は火力発電プラント、特に一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法は、蒸気タービンの最終段翼部での発熱・温度上昇を避けるため、軸系の回転数を軸系の定格回転数以下の回転数に保持して運転し、排熱回収ボイラの発生蒸気を確保し、冷却蒸気として通気した後に軸系の回転数を定格回転数にまで上昇させる起動方法を採用している。ただし、蒸気タービンのグランドシール蒸気については、補助蒸気を使用している場合もある。
【0003】
しかし、最近のコンバインドサイクル発電設備は、ガスタービンの入口ガス温度の高温化等による大容量化に伴い、排熱回収ボイラおよび蒸気タービンも大容量化の傾向にある。したがって、一軸型コンバインドサイクル発電設備も大容量化の傾向にある。この傾向は、排熱回収ボイラおよび蒸気タービンの大形化につながり、肉厚および厚肉部の増加を意味している。この現象は、軸の起動性を阻害する要因となり得る。
【0004】
一方、ガスタービンの排気温度の上昇により主蒸気温度・再熱蒸気温度の上昇を引き起こし、また、温度上昇率の上昇にも影響を及ぼす。これらの要因は、全て軸の起動性を損なう方向に作用するものである。
【0005】
ところで、コンバインドサイクル発電設備は、ガスタービンの急速起動性を活した起動時間の短さと高効率の二大特徴を有しており、この特徴の一つが損なわれることを避けなければならない。
【0006】
最近の一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動手順は、次のように行われる。
すなわち、(1)軸のターニング、(2)蒸気タービンのグランドシール、(3)復水器真空上昇、(4)軸起動、(5)回転上昇・パージ運転、(6)回転下降・点火、(7)回転上昇・無負荷定格回転数運転、(8)排熱回収ボイラ暖機運転、(9)併入・初負荷運転、(10)負荷上昇、(11)定格負荷運転の順序で行われる。
【0007】
一方、ガスタービン入口ガス温度が1100℃級ガスタービンを採用した従来のコンバインドサイクル発電設備の起動手順との差異は、上記(7),(8)の起動手順部分である。それは従来の1100℃級コンバインドサイクル発電設備の場合の起動手順は、蒸気タービン最終段翼の冷却蒸気を確保する目的で軸回転数が低下し、回転数の50%程度で保持し排熱回収ボイラの暖機運転を行い蒸気の発生を待って、回転上昇し、定格回転数への上昇・同期・負荷上昇の順序で行われる。なお、1300℃級ガスタービン採用のコンバインドサイクル発電設備の起動については、先に述べた手順を採用しているのが一般的である。
【0008】
しかしながら、上記起動方法を採用した場合、無負荷定格回転数で排熱回収ボイラの暖機運転を行うため発生蒸気の温度は、高圧主蒸気で380〜420℃程度になる。この温度は、大気温度や機種によって違いがある。起動時に発生する蒸気温度は、ほぼ一定の温度であるのに対して、排熱回収ボイラや蒸気タービンの金属部および保有水の温度は、停止からの経過時間や大気温度の影響を受けて千差万別である。金属部温度と蒸気温度の差については、熱伝達に影響を及ぼす大きい因子であり、温度差が大きくなれば発生する熱応力も大きくなる。したがって、金属部の肉厚および材料の熱伝達率によって定まる許容限界が存在する。起動・停止の繰り返しで発生する熱応力のサイクルによる金属疲労の限界を考慮した起動停止方法が必要である。
【0009】
通気時の金属部温度と蒸気温度の差の制御は、蒸気温度が高い場合についてのみ制御可能領域があり、逆の場合には制御できないのが通例である。また、制御可能な場合でも限界があるのが現実である。従来の起動方法では、起動時間を長くするのが最も簡単な対策である。しかし、このような対策では、コンバインドサイクル発電設備の特徴の一つを損なってしまう欠点がある。
【0010】
そこで、この欠点を防止するために補助蒸気による蒸気系の暖機が採用されているが、この場合、排熱回収ボイラの暖機には活用されていない。蒸気系の起動制限としては、蒸気タービンのロータ熱応力が支配的といわれており、排熱回収ボイラについては、二次的な要因であると考えられている。
【0011】
次に、補助蒸気を使用した蒸気タービンの暖機を利用したコンバインドサイクル発電設備の起動方法を図3を参照して説明する。
図3は従来技術における一軸型コンバインドサイクル発電設備の概略系統図である。
【0012】
同図に示すように、ガスタービン1、蒸気タービン2及び発電機3が、一軸に結合されている。また、ガスタービン1の排気ガスの保有熱を有効に回収し、蒸気タービン2の駆動力である蒸気発生装置、すなわち排熱回収ボイラは、第1高圧過熱器5、第2高圧過熱器6、第1再熱器12、第2再熱器13、高圧蒸発器(図示せず)、高圧ドラム4、高圧節炭器(図示せず)、中圧過熱器9、中圧ドラム8、中圧蒸発器(図示せず)、中圧節炭器(図示せず)、低圧過熱器11、低圧ドラム10及び低圧炭節器(図示せず)の主要要素で構成されている。これらの他に、各ドラムに給水を送るためのポンプ(図示せず)や配管類が設置されている。
【0013】
一方、補助蒸気系統は、系列補助蒸気母管14および各軸補助蒸気母管15を設け、系列補助蒸気母管14には、各軸の低温再熱蒸気管18から分岐して補助蒸気を供給できるように構成されている。また、各軸補助蒸気母管15への補助蒸気の供給は系列補助蒸気母管14から圧力調節弁を介して供給するように構成されている。なお、各軸への補助蒸気の供給は、各軸補助蒸気母管15から目的に応じて分岐し止め弁を介して供給する系統構成としてある。図3に示す系統構成の場合、蒸気タービンの暖機は、ウォーミング・ロール用蒸気管17の止め弁を開として、高圧タービンの入口(高圧蒸気加減弁)の二次側に供給する。
【0014】
図3の系統構成において、大気を吸入し圧縮した後、燃料と混合燃焼し高圧高温のガスとなり、動力を発生したガスタービン1の排気ガスを導入し、排熱回収ボイラ熱回収を行った後、排気ガスを煙突(図示せず)を介して大気に放出する。一方、低圧節炭器(図示せず)で予熱され低圧ドラム10に供給し、低圧蒸発器(図示せず)で熱吸収し循環水が蒸発して発生した蒸気が、低圧ドラム10で循環水と分離された蒸気は、低圧過熱器11で加熱され過熱蒸気となって蒸気タービン2の中圧部の排気と合流されて低圧部に導入して動力を発生させる。
【0015】
また、低圧節炭器(図示せず)の出口から分岐して、中圧給水ポンプ(図示せず)を介して中圧節炭器(図示せず)で予熱され、中圧ドラム8に供給し中圧蒸発器(図示せず)で熱吸収し循環水が蒸発して発生した蒸気が、中圧ドラム8で循環水と蒸気に分離される。この分離された蒸気は、中圧過熱器9で加熱され過熱蒸気となって蒸気タービン2の高圧部分の排気である低温再熱蒸気と合流させて、再熱器13で再加熱される。
【0016】
さらに、蒸気タービン2の高圧排気は、低温再熱蒸気管18で再熱器13に接続されているが、中圧過熱器9の出口蒸気は低温再熱蒸気管18に合流させて、一次再熱器12に導入されている。この蒸気は再熱器で加熱され、再熱器出口温度を制御した後、高温再熱蒸気として蒸気タービン2の中圧部に導入して動力を発生させる。また、低圧節炭器(図示せず)の出口から分岐して、高圧給水ポンプ(図示せず)を介して高圧節炭器(図示せず)で予熱され、高圧ドラム4に供給し高圧蒸発器(図示せず)で熱吸収し循環水が蒸発して発生した蒸気は、高圧ドラム4で循環水と分離される。この蒸気は、第1高圧過熱器5および第2高圧過熱器6で加熱され、過熱蒸気となって蒸気タービン2の高圧部に導入され動力を発生させる。ガスタービン1および蒸気タービン2で動力に変換されたガスおよび蒸気のエネルギーは、発電機3で電気エネルギーに変換される。
【0017】
また、蒸気タービンの高圧排気である低温再熱蒸気管18の中圧過熱器出口管の合流前から分岐して補助蒸気を系列補助蒸気母管14に供給する。コンバインドサイクル発電設備が複数軸から構成されている場合は、各軸の低温再熱蒸気管18から分岐した補助蒸気管を介して系列補助蒸気母管14に補助蒸気を供給するように設計している。各軸への補助蒸気は、系列補助蒸気母管14を通し各軸補助蒸気母管15を介して供給する。
【0018】
一方、主蒸気と再熱蒸気については、一定の温度以上に蒸気温度が上昇しないように過熱器や再熱器を分割し、第1と第2の過熱器や再熱器の中間部分に減温器を設置し、水をスプレーすることにより蒸気温度を制御するように構成されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような起動方法を採用した場合、起動を完了した軸、つまり補助蒸気を供給できる軸が必要であり、補助蒸気を供給している間は、補助蒸気供給軸の軸出力が低下し、ひいては系列出力が低下する欠点がある。また、蒸気タービンの暖機用蒸気は、主蒸気止め弁・蒸気加減弁の二次側へ接続し、主蒸気止め弁・蒸気加減弁が閉状態のまま蒸気タービンに暖機用蒸気が供給でき、しかも単独で蒸気の供給停止ができる系統構成と主蒸気止め弁の開閉操作が自動的に行えるようにするための制御装置が必要である。
【0020】
さらに、補助蒸気は、定格負荷運転中の他軸の低温再熱蒸気管18から供給する計画であり、この時の蒸気温度は350℃程度である。つまり、補助蒸気を使用した起動方法のメリットは、軸起動前からでも蒸気タービンの暖機が可能であり、排熱回収ボイラの暖機完了時点で蒸気温度と金属温度の差を許容限界以内に到達させることが可能なことである。しかし、系統構成上の観点からは、設計圧力の大幅に異なる系統を接続しなければならないし、また、蒸気の供給停止を行うための独立した開閉装置(弁)とその制御装置を必要とすることになり、設備や運転方法が複雑になることを考え合わせると、その効果も大きいとは言い難いものである。
【0021】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は複雑な系統構成や単独で蒸気の供給停止を制御するための制御装置を必要とせず、かつ、軸の起動時に系列出力の低下を伴わない軸の起動方法あるいは蒸気系の金属部に発生する熱応力を最小限にするような一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1は、ガスタービン蒸気タービンおよび発電機の軸を1本に結合し、ガスタービンの排気ガスのエネルギーを排熱回収ボイラで蒸気に変換し、蒸気タービンに導入する一軸型コンバインドサイクル発電設備において、前記蒸気タービンの補助蒸気による暖機系統を設備することなく、自軸の蒸気を導入し定格無負荷回転もしくは初負荷運転を継続しながら起動前の前記蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定めた主蒸気温度設定値を起動前の前記蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定められた率で上昇させながら前記蒸気タービンを暖機し、蒸気タービンの暖機完了条件を、主蒸気温度設定値が起動時最高主蒸気温度であり、かつ、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度と蒸気タービン第1段シェル蒸気温度の差が設定された許容差以内である状態とし、この状態到達以後の操作制限を起動前の当該蒸気タービンの状態に無関係に設定できるようにしたことを特徴とする。
【0024】
【作用】
排熱回収型コンバインドサイクル発電設備の場合は、ガスタービンの排気ガスとの熱交換のみで主蒸気温度および再熱蒸気温度が定まってしまう。ガスタービンが無負荷定格回転数で運転を継続している場合、ガスタービンの排気ガス温度とその流量は、大気温度の影響を受けて変化する程度である。したがって、排熱回収ボイラの暖機完了時点の主蒸気温度は積極的に操作しない限りガスタービンの排気ガス温度で定まる。つまり、蒸気タービンが排熱回収ボイラの暖機完了時点でどのような状態にあっても積極的に操作しない限り、ほぼ一定温度の蒸気を供給することになる。
【0025】
一方、蒸気タービンは、停止からの経過時間および周囲条件によって冷却速度が異なり、排熱回収ボイラ暖機完了時点でのケーシングやロータ温度は千差万別である。ただし、グランドシール開始から軸起動までの間に、蒸気タービンの高圧ケーシングやロータは、冷機状態からの起動であっても一般的に150〜160℃程度にまでは暖機される。通気開始時の主蒸気圧力を40ata程度とし、蒸気タービン第1段シェル蒸気温度とロータ表面温度の差であるミスマッチ温度の許容値を最高で100℃程度とすると、蒸気タービン入口での主蒸気温度の最低値の許容値は300〜320℃程度となる。排熱回収ボイラ暖機完了時点での主蒸気温度は、積極的に操作しない限りこの温度より高くなる。この状態での通気は、蒸気タービンの熱応力が高くなる。したがって、通気監視・蒸気温度制御装置によりロータ温度に応じてミスマッチを最小にするような通気条件を設定し制御する。一方、通気後、ロータ温度がある一定の温度に到達するまでに主蒸気温度の設定値を、排熱回収ボイラ暖機完了前のロータ温度によって定まる変化率で変化させ制御する。これにより、通気からある状態に到達するまでの蒸気タービンに発生する熱応力を低減することができる。蒸気タービンロータ温度がある一定の温度に到達した後は、排熱回収ボイラ暖機完了時点での状態に拘らず同一の負荷上昇および蒸気圧力上昇制御が可能になる。
【0026】
これにより、補助蒸気を使用した蒸気タービンの暖機をしないでグランド蒸気のみによる蒸気タービンの暖機を中心にした一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法で、起動軸への暖機蒸気提供等による暖機蒸気供給軸の出力低下および高圧・高温ラインへの補助蒸気系の接続等を避け、運転手順の簡素化および設備の簡素化が実現できる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例のコンバインドサイクル発電設備の主要系統図であり、既に説明した図3の従来例と異なる構成は、補助蒸気系統の一部分のみであるので同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0028】
図1に示すように、本実施例では、蒸気タービンのウォーミング(暖機)に補助蒸気を利用しないため、蒸気タービン最終暖翼の冷却蒸気供給管21を各軸補助蒸気母管15から分岐して設置し止め弁を設ける構成としてある。また、ガスタービン・蒸気タービンについては、その構成要素を囲み代表名で表示してある。なお、図中の黒く塗りつぶした弁は、全閉で使用している弁であり、他の弁は全開で使用している状態を示している。また、図中の弁の開閉状態は、一例であってこの状態に限定するものではない。
【0029】
本実施例では、系列補助蒸気母管14を介して各軸補助蒸気母管15へ他軸からの補助蒸気を供給し、各軸補助蒸気母管15から各軸へ補助蒸気を供給する系統構成とし、冷却蒸気供給管21とこの系統に蒸気供給元弁を設置する。また、この開操作を軸の回転数がある値以上(例えば、定格回転数の70%以上)、閉操作を併入・通気もしくは低圧蒸気加減弁の開度が一定値以上といった冷却蒸気が確保されている条件を確認して閉鎖するインターロックを設ける。
【0030】
一方、図2に示すように、通気監視・蒸気温度制御装置を設け、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度,ガスタービン排気ガス温度,主蒸気温度の三点を入力し主蒸気温度の設定値を演算する。この主蒸気温度を主蒸気温度制御装置設定値として出力し設定する。また、通気監視・蒸気温度制御装置は、排熱回収ボイラ暖機完了時点での蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に基づいて設定温度の上昇率を演算し、主蒸気温度設定値の現在値に加算することにより新たな設定値を計算し主蒸気温度制御装置に設定する。更に、軸が停止して短時間で再起動するような場合、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度が主蒸気温度に比較して、ある限界以上に高い場合を考慮して、ガスタービンの負荷上昇許可および蒸気加減弁開度保持指令を出力する機能を備えている。
【0031】
本実施例で用いられる通気監視・蒸気温度制御装置40は、図2に示すように、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度を入力とした主蒸気温度設定値の関数発生器30と主蒸気温度上昇率の関数発生器31を設ける。関数発生器30の出力は、信号切替器35の一方の入力とする。また、主蒸気温度上昇率を演算した関数発生器31の出力は、排熱回収ボイラ暖機完了の信号で温度上昇を行うため定数設定器36の設定値である零との切り替えを行う信号切替器35の一方の入力とする。これらの信号は、更に現状値を保持するためのそれぞれの回路に設けられた信号切替器35を介して加算器32で加算され主蒸気温度設定値の一つとして低値優先回路34に入力する。
【0032】
一方、高圧過熱器の特性から定まる温度差を定数設定器33に設定し、この値とガスタービン排気ガス温度とを加算器32で加算して得られた起動時最高主蒸気温度をもう一つの入力として低値優先回路34で低値を選択し、主蒸気温度設定値として蒸気温度制御装置の入力とする。主蒸気温度制御装置では、起動時の温度設定値と通常運転時のそれを切り替える信号切替器35を介して加算器32に入力し主蒸気温度との差を温度制御器37に入力し、調節弁の操作信号を出力する構成としてある。
【0033】
また、蒸気タービンの暖機が完了した状態であっても、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度の方が主蒸気温度よりも高い状態であり、許容限界を超えている場合については、軸の負荷上昇は許可するが蒸気加減弁の開度を限定保持し、蒸気タービンの急激な冷却による熱応力の発生を抑える負荷上昇や加減弁操作についての監視機能を付加してある。比較器39は、[(主蒸気温度)−(蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度)<C]の条件が成立した場合にのみ出力信号が得られるように計画し、Cの値は、例えば−85℃程度を考えればよい。
【0034】
次に、本実施例の作用について説明する。
本実施例においては、軸が起動し回転上昇して、規定した回転数に到達すると、冷却蒸気供給元弁が開指令により開操作され冷却蒸気が冷却蒸気供給管21を介して供給される。
【0035】
高圧主蒸気温度は、通気監視・蒸気温度制御装置40で、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度を基準に設定値が求められ、排熱回収ボイラ暖機完了時点ではこの蒸気温度に制御されている。つまり、この時点での高圧主蒸気温度はミスマッチが極力小さくなるように設定されており、併入直後から通気可能な状態にある。通気開始後、高圧主蒸気温度を排熱回収ボイラ暖機完了時点の蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠した温度上昇率で上昇させ蒸気タービンの暖機を行う。ただし、この場合の高圧主蒸気温度の設定値は、軸の初負荷に相当するガスタービンの出力から定まる排気ガス温度以上にはなり得ない。
【0036】
一方、高圧主蒸気温度より蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度の方が高い状態の場合は、この蒸気タービン暖機の処置は不要である。したがって、併入後直ちに負荷上昇を許可する。ただし、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度の方が高く許容値を満足していない場合は、蒸気加減弁の開度を現状開度に維持し、主蒸気温度が上昇するのを待って蒸気加減弁の開度を調節する方法を採用する。これにより、蒸気タービンに発生する熱応力を小さく抑えながら特別の蒸気タービン暖機設備なしでの起動が可能となる。蒸気タービンの暖機完了の条件は、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度の変化が無くなった時点である。しかし、現実的には蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度が、規定の値を超えた時点とすればよい。
【0037】
蒸気タービン暖機完了の判定としては、これに引き続く運転手順としての負荷上昇等の制約を蒸気タービンの状態に影響されないように定め、例えばウォーム起動時の蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度の最低限度を採用しておく方法もある。
【0038】
以上説明したように、本実施例は起動中の軸の発生蒸気を使用した蒸気タービンの暖機を採用し、軸起動中の系列負荷減少といった状態が発生しないし、高圧高温設計の管路や弁類も不要で系統の簡素化ができる。また、コールド起動の場合でも、高圧主蒸気温度を蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度を基準に設定し、この設定値の上昇率も同じ温度を基準に決定しており、暖機完了後の負荷上昇率にホット起動時と同様の値が採用できる暖機完了条件であることから、暖機中の熱応力を低く抑えられる。
【0039】
本発明は上記実施例に限定するものではなく、次のようにしても、同様の効果が得られる。
(1)上記実施例では、蒸気タービン暖機運転時の蒸気温度上昇率について蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定める方法を採用しているが、一定値としても同様の効果が得られる。
【0040】
(2)上記実施例では、通気監視・蒸気温度制御装置による主蒸気温度の制御設定値について、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定め、通気後はやはり蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定めた主蒸気温度上昇率を使用して主蒸気温度の制御設定値を変化させる方法を採用しているが、蒸気タービンの暖機完了までは蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して主蒸気温度を設定し、主蒸気温度上昇率を使用しない方法もある。
【0041】
(3)上記実施例では、蒸気タービンの暖機を併入後に行う方法で説明したが、軸が無負荷定格回転数での運転中であっても同様の結果が得られる。ただし、この場合は蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度がガスタービン排気ガス温度よりも高い場合については、運転方法を併入後に負荷上昇するように定める必要がある。
【0042】
(4)上記実施例では、蒸気タービン最終段翼の冷却蒸気の供給点を中圧タービンの入口としたが、この蒸気は高圧タービン入口もしくは低圧タービン入口から供給しても同様の効果が得られる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、起動中の軸の発生蒸気による蒸気タービンの暖機を行う方法を採用しており、起動軸が存在する場合の系列負荷の減少を最小限にとどめ、更に蒸気タービン暖機中も併入し初負荷で運転しているため起動損失を低減できるとともに蒸気タービンに発生する熱応力を最小限に抑えたプラントの起動が可能である。また、蒸気タービンの暖機完了をホット起動の蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度最低限度の温度程度に設定することにより、蒸気タービン暖機完了後の負荷上昇等に関する制限値や制御方法が一律にできる等すぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の系統図。
【図2】図1の通気監視・蒸気温度制御装置のブロック図。
【図3】従来の一軸型コンバインド発電設備の系統図。
【符号の説明】
1…ガスタービン、2…蒸気タービン、3…発電機、4…高圧ドラム、5…第1高圧過熱器、6…第2高圧過熱器、7…高圧主蒸気管、8…中圧ドラム、9…中圧過熱器、10…低圧ドラム、11…低圧過熱器、12…一次再熱器、13…二次再熱器、14…系列補助蒸気母管、15…各軸補助蒸気母管、16…グランドシール補助蒸気管、17…ウォーミングロール用蒸気管、18…低温再熱蒸気管、19…高圧主蒸気温度調節用減温器、20…再熱蒸気温度調節用減温器、21…冷却蒸気供給管、30…主蒸気温度設定値用関数発生器、31…主蒸気温度上昇率用関数発生器、32…加算器、33…定数設定器、34…低値優先回路、35…信号切替器、36…定数設定器、37…温度制御器、38…蒸気温度制御装置、39…比較器、40…通気監視・蒸気温度制御装置。

Claims (1)

  1. ガスタービン蒸気タービンおよび発電機の軸を1本に結合し、ガスタービンの排気ガスのエネルギーを排熱回収ボイラで蒸気に変換し、蒸気タービンに導入する一軸型コンバインドサイクル発電設備において、前記蒸気タービンの補助蒸気による暖機系統を設備することなく、自軸の蒸気を導入し定格無負荷回転もしくは初負荷運転を継続しながら起動前の前記蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定めた主蒸気温度設定値を起動前の前記蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度に準拠して定められた率で上昇させながら前記蒸気タービンを暖機し、蒸気タービンの暖機完了条件を、主蒸気温度設定値が起動時最高主蒸気温度であり、かつ、蒸気タービン第1段シェル内面メタル温度と蒸気タービン第1段シェル蒸気温度の差が設定された許容差以内である状態とし、この状態到達以後の操作制限を起動前の当該蒸気タービンの状態に無関係に設定できるようにしたことを特徴とする一軸型コンバインドサイクル発電設備の起動方法。
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