JP2004244892A - ドアクローザ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワイヤ9のアウターケーシング56の先端部には被係止部58を設け、ベース3に対向して設けられているサブベース45には被係止部58を係止する係止部59を設け、アウターケーシング56を挟んだサブベース45の反対側にはアウターケーシング56を押える押え部57を設ける。押え部57はベース3に一体的に形成する。押え部57は係止部59よりもアウターケーシング56の基端部側の所定位置に設ける。係止部59は圧入突部67を有する。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドア等に好適に用いられるドアクローザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用のドアクローザ装置としては、例えば、以下のような構成が公知である。すなわち、このようなドアクローザ装置は、ドア側に取り付けられるロック装置本体と、車体側に固定されるストライカとから構成される。そして、前記ロック装置本体は、合成樹脂ボディと、その正面側に取り付けられた金属ベースプレートとを有しており、前記合成樹脂ボディの正面側には、前記金属ベースプレートにより閉塞される凹部が形成されている。この凹部には前記ストライカに係合するラッチと、このラッチと係合して前記ストライカをロックさせる方向に前記ラッチを回転させる動作レバーとが軸支されている。また、この動作レバーの駆動機構としては、動作レバーに連結されたワイヤとこのワイヤを牽引するモータ等のアクチュエータが用いられる。そして、このワイヤは、前記動作レバーの外周縁の一端にその先端部が取り付けられ、前記動作レバーの外周縁に沿って巻き掛けられたのち、この外周縁の他端から下方に伸び、前記合成樹脂ボディの通路を通って外部に取り出され、前記アクチュエータに連結されている。ここで、前記ワイヤは、前記合成樹脂ボディの通路部よりも外方ではアウターケーシング内に摺動可能に挿通された構成を有しており、このアウターケーシングの先端部は取付金具を介して前記合成樹脂ボディの通路部に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、ドアが閉められて前記ストライカに係合した前記ラッチがハーフラッチ位置まで回転すると、前記アウターケーシング内のワイヤが前記アクチュエータにより牽引されて前記動作レバーが回転し、前記ラッチをフルラッチ位置まで回転させる動作を行う。ここで、前記アクチュエータから前記ロック装置本体までのワイヤ及びアウターケーシングの経路は、直線とすることは困難であって通常はある程度湾曲したものとなる。したがって、前記アウターケーシング内のワイヤが前記アクチュエータにより牽引された際には、ワイヤは最短経路をとろうとするためにたるみがなくなり、ワイヤの経路が通常時よりも短くなることにより、前記アウターケーシングはワイヤに対して相対的に長さが余る状態となる。
これにより、前記アウターケーシングは、前記合成樹脂ボディとの取り付け部に、ワイヤの先端側に向かう押し出し方向の荷重を作用させることとなる。
【0004】
したがって、ワイヤを牽引して動作レバーを回転させる動作が繰り返して行われた場合には、前記アウターケーシングと前記合成樹脂ボディとの取り付け部に繰り返して応力が作用し、その取り付け部が破損する場合があるという問題があった。一方、このような取り付け部の破損を防止するために、前記アウターケーシングの先端部、又は前記合成樹脂ボディに補強部材を設けることとすると、取り付け部の構成が複雑化して製造コストが増加し、あるいはワイヤの取り付け作業が複雑化するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−50047号公報(第2−4頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ワイヤのアウターケーシングとロック装置本体との取り付け部が動作レバーを動作させるためにワイヤの牽引動作を繰り返すことによって破損することを防止するとともに、その取り付け部の構成を簡略化して製造コストの低減と取り付け作業の容易化を図ることができるドアクローザ装置を提供することを技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明に係るドアクローザ装置の第1の特徴構成は、請求項1に記載したように、被係合部に係合するラッチと、ワイヤを介して駆動されて前記被係合部をロックする方向に前記ラッチを回転動作させる動作レバーと、これらを支持するベースとを備え、前記ワイヤのアウターケーシングの先端部には被係止部が設けられており、前記ベースに対向して設けられているサブベースには前記被係止部を係止する係止部が設けられており、前記アウターケーシングを挟んだ前記サブベースの反対側には前記アウターケーシングを押える押え部が設けられているという点にある。
【0008】
ここで、前記係止部の基部、すなわちサブベース側の部分はアウターケーシングの被係止部を包囲して係止する構成にできるが、前記係止部の基部の反対側はアウターケーシングの被係止部を挿入するために開放された開放端とする必要がある。そのため、前記ワイヤが牽引されて前記アウターケーシングを先端側に押し出す方向の力が作用した場合には、前記係止部の開放端側にアウターケーシングが浮き上がろうとする。
【0009】
そこで前記第1の特徴構成によれば、前記アウターケーシングを挟んだサブベースの反対側、すなわち前記係止部の開放端側に押え部を設けているので、前記係止部から浮き上がろうとするアウターケーシングを前記押え部により押えて保持することになるので、前記アウターケーシングの被係止部を確実に係止することができる。したがって、前記アウターケーシングの被係止部の周辺のボディ等の構成部材が破損することを防止できる。更に、前記係止部の開放端側へのアウターケーシングの浮き上がりを防止するために、単に押え部を設けるのみの簡易な構成としているので、ドアクローザ装置の製造コストの低減及びサブベースの係止部に対するアウターケーシングの取り付け作業の容易化を図ることができる。
【0010】
本発明に係るドアクローザ装置の第2の特徴構成は、請求項2に記載したように、前記第1の特徴構成に加えて、前記押え部は、前記ベースに一体的に形成されているという点にある。
【0011】
これにより、前記押え部を設けるための構成を更に簡略化することができる。
また、この押え部をベースの製造時に同時に形成することができるので製造コストを更に低減することができる。更に、ドアクローザ装置の組み立ての際にもベースの取り付け作業のみが必要で前記押え部の取り付け作業が不要となるので、組み立て作業の容易化も図ることができる。
【0012】
本発明に係るドアクローザ装置の第3の特徴構成は、請求項3に記載したように、前記第1又は第2の特徴構成に加えて、前記押え部は、前記係止部よりも前記アウターケーシングの基端部側の所定位置に設けられているという点にある。
【0013】
ここで、前記アウターケーシングの先端部は前記被係止部として係止されていることから、前記ワイヤが牽引されて前記アウターケーシングを先端側に押し出す方向の力が作用した場合には、前記アウターケーシングは前記係止部を支点として前記被係止部より基端部側が浮き上がることになる。そこで、前記第3の特徴構成によれば、前記アウターケーシングをこの基端部側において押えることができるので、より効率的かつ確実にアウターケーシングの浮き上がりを防止することができる。
【0014】
本発明に係るドアクローザ装置の第4の特徴構成は、請求項4に記載したように、前記第1から第3のいずれかの特徴構成に加えて、前記係止部は、前記アウターケーシングの被係止部が圧入されて係止されるようにするための圧入突部を有しているという点にある。
【0015】
これにより、前記係止部に対して前記アウターケーシングを取り付ける際に、その被係止部を圧入するのみで係止することができるので、前記ベースを取り付けていない状態であっても前記アウターケーシングが外れることがなく、ドアクローザ装置の組み立て作業を一層容易に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るドアクローザ装置の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明に係るドアクローザ装置を車両のドア1に適用した場合について説明する。図1は、本実施形態に係るドアクローザ装置におけるロック装置2の正面図であり、図2は、このロック装置2のベース3を取り外した状態を示す正面図であり、図3は、図1のA−A断面図であり、図4は、このドアクローザ装置を車両のドア1に適用した際の取り付け状態を示すドア1の正面図であり、図5は、そのようなドア1の平面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係るドアクローザ装置は、車両本体4側に固定されたストライカ5と、ドア1側に設けられ、このストライカ5に係合してこれをロックするロック装置2とを有して構成される。
【0017】
ここで、ストライカ5は、車両のドア開口部における車両本体4側に固定されるU字形又はコ字形等に形成された部品であって、本実施形態においては、このストライカ5が本発明における被係合部を構成する。そして、ロック装置2は、このストライカ5に係合する係合凹部6を有するラッチ7と、このラッチ7の所定部に係合してラッチ7が逆回転するのを防止するポール8と、ワイヤ9を介し駆動されてストライカ5をロックする方向にラッチ7を回転動作させる動作レバー10とを有して構成されている。なお、以下の説明において、単に「右側」又は「左側」、あるいは「時計方向」又は「反時計方向」というときは、図1、図2、図6、又は図7の図上における右側又は左側、あるいは時計方向又は反時計方向をいうこととする。
【0018】
これらのラッチ7、動作レバー10、及びポール8は、ロック装置2の内部機構を構成するものであって、ここではベース3上に配置された回転軸により軸支されている。すなわち、ベース3は、これらのラッチ7、動作レバー10、及びポール8を含むロック装置2の内部機構を支持するための部材であって、ここでは一定厚さの略平板状に形成されている。本実施形態においては、このベース3に一体的にワイヤ9のアウターケーシング56を押えるための押え部57が形成されている。なお、この押え部57の構成については後述する。また、ベース3には、ドア1が閉められた際にストライカ5が挿入される挿入通路11が形成されている。図1又は図2においては、ストライカ5は、ドア1が閉められた際には、この挿入通路11内をロック装置2に対して相対的に左側から右側へ移動することとなる。このベース3としては、これら内部機構の回転軸を確実に支持するためにある程度の剛性を有することが必要であることから、金属プレート等をプレス加工等して用いると好適である。
【0019】
また、これらのロック装置2の内部機構を挟んだベース3の反対側には、サブベース45が取り付けられている。このサブベース45は、ラッチ7、動作レバー10、及びポール8を含むロック装置2の内部機構の回転軸のベース3に固定されていない側の端部の支持等を行うための部材であって、ベース3に対向するように設けられている。本実施形態においては、このサブベース45にワイヤ9のアウターケーシング56の被係止部58を係止するための係止部59が形成されている。なお、この係止部59の構成については後述する。ここでは、サブベース45は、複雑な形状に折り曲げられるとともにねじ孔等が形成された板状に形成されている。このサブベース45としては、薄い金属プレート等をプレス加工等して用いると好適である。
【0020】
また、ベース3とサブベース45との間には、ボディ46が取り付けられている。このボディ46は、後述するラッチストッパ21、ポールストッパ27、レバーストッパ31、原位置検知スイッチ32等のロック装置2の内部機構のうちの比較的小さい部品等を保持するために設けられた部材であって、ベース3に固定されている。また、このサブベース45の外側(ベース3の反対側)には、前記内部機構を覆うカバー12が取り付けられている。このボディ46及びカバー12は、複雑な凹凸形状に形成されるので、合成樹脂等の容易に凹凸形状の加工を行うことができる材料を用いて形成すると好適である。
【0021】
ラッチ7は、車両本体4側に固定されたストライカ5に直接係合してロックするための部品であって、ストライカ5に係合する係合凹部6を有し、ベース3に固定されたラッチ支持軸13に対して回転可能に支持されている。本実施形態においては、ラッチ7は、ストライカ5の移動方向手前側(左側、以下単に「手前側」という。)に位置する第一爪14と、ストライカ5の移動方向奥側(右側、以下単に「奥側」という。)に位置する第二爪15と、これら2個の爪に挟まれて形成された係合凹部6とを有する略U字形状に形成されており、このU字形状の基部においてラッチ支持軸13に回転可能に結合されている。そして、ドア1が開いている状態では、ラッチ7は図2に示すように原位置にあり、係合凹部6がベース3の挿入通路11に面して配置されている。そして、ドア1が閉められた際には、ベース3の挿入通路11に挿入されたストライカ5の一部が、係合凹部6に係合して所定の動作によりロックされる。この際のロック装置2の動作については後述する。
【0022】
また、このラッチ7は、ラッチ支持軸13を挟んだ係合凹部6のほぼ反対側に、基部の外周から突出して形成された従動凸部16を有している。この従動凸部16は、動作レバー10が回転駆動された際に、この動作レバー10の駆動凸部17と係合し、ラッチ7を回転動作させるためのものである。更に、このラッチ7は、ストライカ5を開放する方向、すなわち時計方向に付勢されている。ここでは、ラッチ支持軸13が貫通するボディ46におけるラッチ支持軸13の周囲に略円弧形の円弧溝を形成し、この円弧溝に圧縮ばねで構成されるラッチ付勢ばね18を挿入し、このラッチ付勢ばね18の一端をラッチ7の背面に突出して形成された係止ピン54に係止するとともに、その他端を円弧溝の端部に当接した構成としている。したがって、ラッチ7がストライカ5又は動作レバー10により反時計方向に回転動作する際には、このラッチ付勢ばね18の付勢力に抗して回転されることとなる。
【0023】
図6は、ラッチ7がハーフロック位置にある状態を示すロック装置2の正面図であり、図7は、ラッチ7がフルロック位置にある状態を示すロック装置2の正面図である。これらの図に示すように、ドア1が閉められた際には、ラッチ7は、ストライカ5と係合し、ストライカ5をロックする方向、すなわち反時計方向にハーフロック位置まで回転して図6に示すようにポール8により係止され、その後、動作レバー10により駆動され、更に反時計方向にフルロック位置まで回転動作して図7に示すように再度ポール8により係止される。この際、ポール8と好適に係合できるようにするため、ここでは、ラッチ7の第一爪14の先端部近傍における手前側(左側)には第一係合部19が形成され、ラッチ7の第二爪15の先端部近傍における手前側(左側)には第二係合部20が形成されている。また、ラッチ7に対するポール8の係止が解除された場合には、ラッチ付勢ばね18の付勢力により、ラッチ7は図2にしめすように原位置に戻り、ラッチストッパ21に当接して停止する。このラッチストッパ21は、ラッチ7が原位置にある状態において、第一爪14の手前側(左側)の側面に当接する位置に配置されている。
【0024】
このように、ラッチ7は、原位置、ハーフロック位置、フルロック位置と3つの位置でラッチストッパ21又はポール8により係止される。したがって、このドアクローザ装置には、ラッチ7が現在どの位置にあるかを検出するためのラッチ位置検出手段が設けられる。本実施形態においては、このラッチ位置検出手段として、図3に示すように、所定の軸の回転方向の位置を検出可能なセンサをラッチ位置検出センサ22としてラッチ支持軸13と同軸に設けている。
【0025】
ポール8は、ラッチ7の所定部に係合してラッチ7が逆回転するのを防止するための部品である。本実施形態においては、ポール8は、一端にラッチ7と係合する係合端部23を有し、その略中央部においてベース3に固定されたポール支持軸24に対して回転可能に支持されるとともに、係合端部23が上方に移動する方向、すなわち反時計方向に付勢された構成となっている。そして、ラッチ7の回転に従って係合端部23が上下に揺動することにより、ラッチ7に対する係合及びその解除を行う。この際のポール8の動作については後述する。ここでは、ポール8の係合端部23は、ポール8の一端部を略円弧形状に形成するとともに、その角部をも滑らかな曲線とすることにより、ラッチ7に対して引掛かりなく係合し得る形状としている。そして、このポール8の係合端部23は、ラッチ7をハーフロック位置で係止する際には第一係合部19に係合し、ラッチ7をフルロック位置で係止する際には第二係合部20に係合する。なお、この係合端部23と係合するラッチ7の第一係合部19及び第二係合部20の形状は、この係合端部23の形状に適合する略円弧形状の凹部として形成されている。
【0026】
ポール8を係合端部23が上方に移動する方向(反時計方向)に付勢するための構成として、ここでは、ポール支持軸24の周囲にポール付勢ばね25を設け、このポール付勢ばね25の一端をポール8の略中央部に、他端をベース3に固定されたポール支持軸24に取り付けた構成としている。また、ポール8がポール付勢ばね25の付勢力により、ラッチ7との係合位置を超えて必要以上に反時計方向に回転しないようにするため、ポール8はストッパ機構を有している。ここで、このストッパ機構は、ポール8の他端、すなわち係合端部23が設けられている側と反対側のポール支持軸24から延出された延出端部26と、この延出端部26に係合する位置に配置されたポールストッパ27とにより構成されている。なお、このポール8は、ドア1が開かれる際には、ドアハンドル28(図4及び図5参照)に連結された図外のレバーに連動してラッチ7に対する係合の解除動作、すなわち係合端部23が下方に移動する方向(時計方向)に所定角度回転する動作を行う。
【0027】
動作レバー10は、ワイヤ9を介して駆動されてストライカ5をロックする方向にラッチ7を回転動作させるための部品であって、ラッチ7の従動凸部16に係合する駆動凸部17を有し、ベース3に固定されたレバー支持軸29に対して回転可能に支持されている。ここで、駆動凸部17は、ラッチ7が図6に示すようにハーフロック位置にある状態において、動作レバー10の時計方向の回転動作により、ラッチ7の従動凸部16に好適に係合し得る位置、すなわちここでは、動作レバー10の回動側の下端の位置に突出して設けられている。ここで、動作レバー10の回動側とは、レバー支持軸29を基準として動作レバー10がラッチ7を回転動作させるために動作する方向にある側のことであって、図2及び図6における動作レバー10の右側のことである。
【0028】
また、動作レバー10は、原位置方向、すなわちラッチ7をストライカ5のロック方向に回転動作させる方向とは反対の方向(反時計方向)に付勢されている。このように、動作レバー10を原位置方向に付勢するための付勢手段として、ここでは、レバー支持軸29の周囲にレバー付勢ばね30を設け、このレバー付勢ばね30の一端を動作レバー10の基部に、他端をベース3に固定されたレバー支持軸29に取り付けた構成としている。したがって、ワイヤ9からの動力が作用しなくなった状態では、動作レバー10はレバー付勢ばね30の付勢力により、図2に示すように原位置に戻り、レバーストッパ31に当接して係止される。
【0029】
このレバーストッパ31は、レバー付勢ばね30の付勢力により原位置方向に付勢された動作レバー10を、原位置において係止するためのストッパであり、本実施形態においては、動作レバー10が原位置にある状態において、動作レバー10の原位置側の側面に当接する位置に配置されている。また、レバーストッパ31は、原位置に戻ってきた動作レバー10に当接して係止する際における衝突の衝撃を緩和するため、ある程度の弾力性を有する部材により構成すると好適である。このようなレバーストッパ31を構成する部材としては、具体的には塩化ビニル等の弾性を有する合成樹脂が好適に用いられる。ここで、動作レバー10の原位置側とは、レバー支持軸29を基準として動作レバー10が原位置に復帰する際に動作する方向にある側のことであって、図2及び図6における左側のことである。
【0030】
また、動作レバー10の原位置付近には、動作レバー10が原位置にあるか否かを検出するための原位置検知スイッチ32が設けられている。本実施形態においては、動作レバー10が原位置にある状態において、動作レバー10の下側面の原位置側(左側)に当接する位置に配置されている。この原位置検知スイッチ32としては、動作レバー10の位置を検出することが可能なものであれば公知の各種のスイッチやセンサ等を用いることが可能であるが、ここでは動作レバー10に直接当接して検知を行う接触式のスイッチ、例えばリミットスイッチ等を用いている。
【0031】
ここでは、動作レバー10は、レバー支持軸29に回転可能に支持された主プレート35と、この主プレート35の外周端面により構成されるワイヤ受面36を挟んで固定された2枚のガイドプレート39とを有して構成されている。そして、図3に示すように、2枚のガイドプレート39の間のワイヤ受面36に、動作レバー10を回転駆動するためのワイヤ9が巻き掛けられる。このワイヤ9は、その先端部に円柱形状の係合凸部42が鋳込み等により一体的に設けられており、この係合凸部42が動作レバー10の両側のガイドプレート39に形成された係合穴部40に挿入されて係合されることにより、動作レバー10に接続されている。
【0032】
ワイヤ9は、ロック装置2の外部の部分はアウターケーシング56内に収納されており、ロック装置2の内部の部分は露出されて前述のように動作レバー10に巻き掛けられている。そして、ロック装置2の内部と外部との境界部分にあたるワイヤ9のアウターケーシング56の先端部には、サブベース45に設けられた係止部59に係止されるための被係止部58が設けられている。また、図8にも示すように、ワイヤ9の基端部69及びアウターケーシング56の基端部60はワイヤ9の牽引動作を行う駆動装置61に接続されている。この駆動装置61は、動作レバー10を回転動作させるためにワイヤ9を牽引する装置であって、モータやエアシリンダ等のアクチュエータを有して構成される。本実施形態においては、駆動装置61は、モータ62とこれにより回転される扇型のレバーであって、その外周にワイヤ9の基端部69が巻き掛けられる駆動レバー63とを有して構成されている。そして、この駆動装置61によりワイヤ9が牽引されることにより、図7に示すように、動作レバー10は時計方向に回転駆動されて、ストライカ5をロックする方向にラッチ7を回転動作させる。
【0033】
ワイヤ9のアウターケーシング56の被係止部58は、本実施形態においては、図9から図11にも示すように、アウターケーシング56の先端部、すなわちロック装置2の内部と外部との境界に位置する部分に設けられたケーシングキャップ64に形成されており、具体的には、このケーシングキャップ64の周囲に形成された輪状の溝により構成されている。ここでは、ケーシングキャップ64は、図10に示すように、アウターケーシング56の先端部に設けられた補強用の部材であって、アウターケーシング56の先端部に外嵌されるアウターケーシング56の径よりもやや大きい径の接続部70と、この接続部70と被係止部58を構成する溝との間に形成された大径の鍔部71と、この鍔部71の先端側に形成された輪状の溝により構成される被係止部58と、この被係止部58の先端側に形成された先端受部72とを有して構成されている。ここで、鍔部71は、係止部59に対して広い面積で当接し得るようにするために大きい径を有する形状とされている。このケーシングキャップ64の材質としては、金属等の剛性の高い材料を用いると好適である。また、ここではワイヤ9とケーシングキャップ64の砂や塵等との摩擦によるワイヤ9の損傷等を防止するため、アウターケーシング56のケーシングキャップ64の先端受部72の更に先端側には、弾性部材により形成されたパッキン65が設けられている。
【0034】
そして、このアウターケーシング56の被係止部58は、サブベース45に設けられた係止部59に係止されている。本実施形態においては、この係止部59は、サブベース45におけるアウターケーシング56の先端部が位置する部分に形成されており、ベース3に対向してこれとほぼ平行に設けられたサブベース45の当該部分を直角に折り曲げるとともに、その部分に略U字型の嵌合凹部66を形成することにより構成されている。そして、この嵌合凹部66にアウターケーシング56の被係止部58が嵌め入れられることにより、被係止部58が係止部59に係止される。この際、係止部59により被係止部58をがたつきなく確実に係止するため、図9に示すように、係止部59の嵌合凹部66の周囲の壁部の厚さと、アウターケーシング56の被係止部58を構成する溝の幅とを略同一長さに設定し、係止部59の嵌合凹部66の周囲の壁部がアウターケーシング56の被係止部58を構成する溝に隙間なく嵌め入れられるようにすると好適である。
【0035】
また、この係止部59には、アウターケーシング56の被係止部58が圧入されて係止されるようにするための圧入突部67が設けられている。この圧入突部67は、アウターケーシング56の被係止部58を係止するに際して、係止部59に圧入して係止する構成とすることにより、ロック装置2の組み立て途中においても被係止部58が容易に外れることを防止し、組み立て工程の容易化を図るためのものである。本実施形態においては、圧入突部67は、図11に示すように、係止部59の嵌合凹部66における被係止部58が挿入される開放端部付近の両側の壁部の一方に形成された小突起により構成されている。なお、この小突起は、嵌合凹部66の開放端部付近の少なくとも一方の壁部に形成すればよく、両側の壁に形成することも可能である。
【0036】
また、アウターケーシング56を挟んだサブベース45の反対側にはアウターケーシング56を押える押え部57が設けられている。この押え部57は、アウターケーシング56の先端部に押し出し方向の荷重が作用した場合に、サブベース45の係止部59に過大な負荷が作用することを防止するとともに、その荷重により被係止部58が係止部59から外れることを防止するために設けられるものである。すなわち、図8に示すように、ロック装置2から駆動装置61までのワイヤ9及びアウターケーシング56の経路が湾曲していることから、アウターケーシング56内のワイヤ9が駆動装置61により牽引された際には、ワイヤ9が最短経路をとろうとしてたるみがなくなり、図8における2点鎖線で示すようにワイヤ9の経路が牽引されていない時よりも短くなるので、アウターケーシング56はワイヤ9に対して相対的に長さが余る状態となる。これにより、アウターケーシング56は、係止部59に対してワイヤ9の先端側に向かう押し出し方向の荷重を作用させるとともに、その荷重を係止部59の開放側に逃がそうとして係止部59の基部68を支点として係止部59の開放側、すなわちベース3側に浮き上がろうとすることになる。押え部57は、このようなアウターケーシング56の浮き上がりを押えることにより、サブベース45の係止部59に過大な負荷が作用することを防止するとともに、被係止部58が係止部59から外れることを防止するために、アウターケーシング56を挟んだサブベース45の反対側に設けられる。
【0037】
本実施形態においては、押え部57は、アウターケーシング56を挟んだサブベース45の反対側においてサブベース45に対向してこれとほぼ平行に設けられたベース3に一体的に形成されている。具体的には、図1、図9、及び図11に示すように、押え部57は、ベース3の側方に突出して形成された平面形状が略四角形の平板状の部分であって、ベース3におけるアウターケーシング56の先端部近傍を、サブベース45の反対側、すなわち係止部59の基部68の反対側(開放側)から押えるように配置されている。
【0038】
また、押え部57は、係止部59よりもアウターケーシング56の基端部60側の所定位置に設けられると好適である。すなわち、アウターケーシング56は係止部59の基部68を支点として、その基端部60側が浮き上がろうとすることから、押え部57を係止部59よりもアウターケーシング56の基端部60側に設けることにより、アウターケーシング56の浮き上がりを効率的に押えることが可能となる。したがって、アウターケーシング56が浮き上がる際の支点となる係止部59の基部68から離れた位置において押える構成とすることにより、アウターケーシング56を押えるために要する力を小さくし、押え部57に必要な剛性を低くすることができるので、押え部57を小型化し構成の単純化を図ることが可能となる。本実施形態においては、押え部57は、アウターケーシング56の係止部59による係止位置よりも数cm程度、基端部60側に設けた構成としている。
【0039】
次に、本実施形態に係るドアクローザ装置の動作について説明する。ドア1が開いている状態において、ドアクローザ装置は、図2に示すように、ラッチ7、動作レバー10、及びポール8がすべて原位置にある状態となっている。この状態では、ラッチ7はラッチストッパ21に当接し、その係合凹部6の開放部がベース3の挿入通路11に面して配置されている。また、動作レバー10は、レバーストッパ31に当接し、駆動凸部17が上方に位置している。ポール8は、ポールストッパ27に当接して上方位置で停止し、ラッチ7とは接触していない。
【0040】
このドアクローザ装置を備えたドア1については、使用者は、ドア1を閉める際には力をいれずにゆっくり閉める動作を行えばよい。そして、ドア1が閉められた際には、ストライカ5がベース3の挿入通路11を通ってロック装置2に対して相対的に左側から右側に移動する。これにより図6に示すように、ストライカ5がラッチ7の係合凹部6に係合し、ラッチ付勢ばね18の付勢力に抗してラッチ7がストライカ5をロックする方向、すなわち、反時計方向に回転される。
この際、第二爪15の奥側(右側)の側面によりポール8が一旦押し下げられてラッチ7が回転し、その後、ラッチ7の第二係合部20にポール8の係合端部23が係合してラッチ7がその位置、すなわちハーフロック位置で係止される。
【0041】
そして、ラッチ7がハーフロック位置に移動したことをラッチ位置検出センサ22により検出すると、駆動装置61に動作信号が伝達され、ワイヤ9が牽引される。この際、アウターケーシング56はサブベース45に設けられた係止部59と押え部57とにより浮き上がりのないように確実に係止されているので、係止部59等に過大な負荷が作用することはない。そして、このワイヤ9の牽引により、動作レバー10が時計方向に回転駆動する。このとき、ラッチ7はハーフロック位置にあり従動凸部16が動作レバー10の駆動凸部17のすぐ左側に位置していることから、動作レバー10の時計方向の回転動作により、駆動凸部17がラッチ7の従動凸部16に係合し、図7に示すように、ラッチ7はラッチ付勢ばね18の付勢力に抗してストライカ5をロックする方向、すなわち、反時計方向に更に回転される。この際、第一爪14の奥側(右側)の側面によりポール8が一旦押し下げられてラッチ7が回転し、その後、ラッチ7の第一係合部19にポール8の係合端部23が係合してラッチ7がその位置、すなわちフルロック位置で係止される。
【0042】
そして、ラッチ7がフルロック位置に移動したことをラッチ位置検出センサ22により検出すると、駆動装置61に動作停止信号が伝達されてワイヤ9の牽引力が緩められる。これにより、動作レバー10は、レバー付勢ばね30の付勢力により原位置方向に回転し、レバーストッパ31に当接して原位置に係止される。このとき、動作レバー10の被検知部49が原位置検知スイッチ32の検知部50に当接して動作させるので、動作レバー10が原位置に復帰したことが原位置検知スイッチ32により検知される。
【0043】
一方、閉じた状態のドア1を開く際には、使用者がドアハンドル28(図4及び図5参照)を操作すると、このドアハンドル28に連結された図外のレバーに連動してポール8がラッチ7に対する係合を解除する方向、すなわち係合端部23が下方に移動する方向(時計方向)に所定角度回転される。これにより、ラッチ7の係止状態が解除され、ラッチ7はラッチ付勢ばね18の付勢力によりストライカ5を開放する方向、すなわち時計方向に回転して原位置に復帰する。これにより、ストライカ5に対する係合状態が解除され、ストライカ5は挿入通路11内をロック装置2に対して相対的に右側から左側に移動してドア1が開かれる。
【0044】
(その他の実施形態)
本願のその他の実施形態に関して以下に説明する。上記の実施形態においては、押え部57をベース3に一体的に形成した構成としたが、押え部57の構成はこれに限定されるものではなく、ベース3とは別部材とした構成とすることも可能である。したがって、例えば、ベース3とは別個の部材であって、押え面がアウターケーシング56の表面形状に合致する円筒形状に形成された押え部57を、アウターケーシング56の所定位置をサブベース45の反対側から押さえ得るようにベース3に固定する構成等とすることも可能である。
【0045】
また、上記の実施形態においては、押え部57を、係止部59による係止位置よりもアウターケーシング56の基端部60側の位置に設けた構成としているが、これに限定されるものではなく、押え部57を係止部59による係止位置、すなわち係止部59の基部68に対向する位置に設けることも可能である。
【0046】
また、上記実施形態においては、本発明に係るドアクローザ装置を車両のドア1に適用した場合について説明したが、このドアクローザ装置は、ドアを軽く閉めるだけで確実にロックすることができる装置であるので、そのようなロックを行う必要があるドアに対してであれば車両以外のドアにも適用することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るドアクローザ装置によれば、係止部から浮き上がろうとするアウターケーシングを押え部により押えて保持することになるので、前記アウターケーシングの被係止部を確実に係止することができる。したがって、前記アウターケーシングの被係止部の周辺のボディ等の構成部材が破損することを防止できる。更に、前記係止部の開放端側へのアウターケーシングの浮き上がりを防止するために、単に押え部を設けるのみの簡易な構成としているので、ドアクローザ装置の製造コストの低減及びサブベースの係止部に対するアウターケーシングの取り付け作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置におけるロック装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置におけるロック装置のベースを取り外した状態を示す正面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置を車両のドアに適用した際の取り付け状態を示すドアの正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置を車両のドアに適用した際の取り付け状態を示すドアの平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置のロック装置において、ラッチがハーフロック位置にある状態を示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置のロック装置において、ラッチがフルロック位置にある状態を示す正面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置のロック装置と駆動装置との関係を示す説明図である。
【図9】図1のB−B断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置のワイヤのアウターケーシングの先端部近傍を示す平面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るドアクローザ装置におけるアウターケーシングの被係止部を係止するための構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ドア
2 ロック装置
3 ベース
4 車両本体
5 ストライカ
6 係合凹部
7 ラッチ
8 ポール
9 ワイヤ
10 動作レバー
45 サブベース
46 ボディ
56 アウターケーシング
57 押え部
58 被係止部
59 係止部
60 アウターケーシングの基端部
61 駆動装置
64 ケーシングキャップ
67 圧入突部
68 係止部の基部
Claims (4)
- 被係合部に係合するラッチと、ワイヤを介して駆動されて前記被係合部をロックする方向に前記ラッチを回転動作させる動作レバーと、これらを支持するベースとを備えたドアクローザ装置において、
前記ワイヤのアウターケーシングの先端部には被係止部が設けられており、前記ベースに対向して設けられているサブベースには前記被係止部を係止する係止部が設けられており、前記アウターケーシングを挟んだ前記サブベースの反対側には前記アウターケーシングを押える押え部が設けられていることを特徴とするドアクローザ装置。 - 前記押え部は、前記ベースに一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアクローザ装置。
- 前記押え部は、前記係止部よりも前記アウターケーシングの基端部側の所定位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のドアクローザ装置。
- 前記係止部は、前記アウターケーシングの被係止部が圧入されて係止されるようにするための圧入突部を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のドアクローザ装置。
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