JP2004244353A - 固結性が改善された農薬粒状組成物 - Google Patents

固結性が改善された農薬粒状組成物 Download PDF

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Akiyoshi Kawagishi
秋義 川岸
Hitoshi Hosoda
仁 細田
Takeshi Hirata
毅 平田
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Abstract

【課題】固結性が改善された製剤技術を開発すること。
【解決手段】農薬活性成分を含有してなる粒核に、常温で液状の不揮発性物質を含浸させ、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンから選ばれる1種又は2種以上を被覆することを特徴とする、農薬粒状組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固結がなく良好な流動性を有する農薬粒状組成物、その製造方法及び施用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農業や園芸分野において使用される農薬は、自然環境や生活環境に対して影響の少ないもの、施用が簡便であること等が要望されている。その中では、施用の簡便さや散布時の漂流・飛散が少ないことから農薬粒剤の需要は著しく増大している。
【0003】
農薬粒剤においては、時として貯蔵中に全体又は局部的に塊状に固結し、包装容器からの取り出しが困難になり、流動性が著しく劣化して散布作業性を悪化させるといった重大な問題を引き起こす場合がある。上記固結が発生する機構は種々考察されるが、例えば貯蔵中の昼夜及び季節的な気温の変動により、農薬粒剤中に含有された固体有効成分が昇華や凝結又は部分的な軟化や融着を繰り返すことにより、結晶成長と個々の粒同士の固着が起こり固結を引き起こすと考えられる。
【0004】
又、固体有効成分化合物を含有する場合には、この部分的な軟化や融着は融点降下によって更に助長されると考えられる。更に固体有効成分化合物に加えて、液体の有効成分化合物や安定剤又は界面活性剤等の液体の補助剤を含有する場合、それらの液体成分に固体有効成分化合物が部分的に溶解、晶析を繰り返し、結晶成長や粒同士の固着を引き起こし固結することも考えられる。
【0005】
このような固結現象は、農薬粒剤の重要な問題点となるため、以前より、多くの固結防止方法について数多く検討されている。
【0006】
例えば、有効成分化合物を不揮発性溶媒に溶解させるか、他の成分を添加して共融液化し、溶液化した有効成分化合物を含む溶液を固体担体と混合、造粒して固結を防止する方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6及び特許文献7)、アダクトや層間化合物の生成及び高吸着性担体を使用し、有効成分化合物を固体担体に強く保持させて有効成分化合物の移動を抑制し、結晶成長を阻止して固結を防止する方法(特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14及び特許文献15)又は高級脂肪酸、その塩類、糖、高分子化合物若しくは含水珪酸を添加して粒剤全体及び粒剤表面への有効成分化合物の移動を阻止し、固結を防止する方法(特許文献16報、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23及び特許文献24)などが検討されている。
【0007】
しかし、依然として固結が認められる場合が多く、必ずしも満足しうる方法ではなかった。
【0008】
このため、製造工程中及び長期保存中において、固結が起こらない補助剤及び製造方法の開発が、強く望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特公昭44−1307号公報
【特許文献2】
特公昭46−31352号公報
【特許文献3】
特公昭47−7919号公報
【特許文献4】
特開昭59−216801号公報
【特許文献5】
特開平9−194347号公報
【特許文献6】
特許第2916703号明細書
【特許文献7】
特許第2932077号明細書
【特許文献8】
特公昭48−3367号公報
【特許文献9】
特公昭55−8481号公報
【特許文献10】
特公昭55−18681号公報
【特許文献11】
特開昭51−1648号公報
【特許文献12】
特開昭53−15425号公報
【特許文献13】
特開昭62−153201号公報
【特許文献14】
特開平2−121902号公報
【特許文献15】
特開2002−249402号公報
【特許文献16】
特開昭48−52941号公報
【特許文献17】
特開昭48−96732号公報
【特許文献18】
特開昭50−155632号公報
【特許文献19】
特開昭51−1646号公報
【特許文献20】
特開昭51−1647号公報
【特許文献21】
特開平7−109193号公報
【特許文献22】
特開平7−118086号公報
【特許文献23】
特開平9−194347号公報
【特許文献24】
特開2002−226302号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、固結がなく良好な流動性を有する農薬粒状組成物の開発を目指して、鋭意研究を重ねた結果、農薬活性成分を含有してなる粒核に、例えば常温で液状の不揮発性物質を含浸させ、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンから選ばれる1種又は2種以上を被覆することにより、製造工程中及び長期保存中において、固結がなく良好な流動性を有する被覆型農薬粒状組成物を得ることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、農薬活性成分を含有してなる粒核に、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンから選ばれる1種又は2種以上を被覆することを特徴とする、固結性が改善された農薬粒状組成物、その製造方法及び施用方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、「農薬活性成分」は常温で固体、半固体又は液状のいずれでも特に限定はなく、殺虫剤、殺菌剤、除草剤又は植物調節剤などいずれの農薬活性成分でもよく、1種又は2種以上の配合でもよく、例えば、除草剤、殺菌剤又は殺虫剤のように、全く対象の異なる2種以上の配合も可能である。この他に、本発明の農薬粒状組成物中には、必要に応じて、肥料成分を配合してもよい。農薬活性成分を以下に具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
殺虫剤としては、例えば、DDVP、BPMC、フェンバレレート、インドキサカルブ、クロマフェノジド、ピリミジフェン、ミルベメクチン、メソミル、アセフェート、チオシクラム、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、ピリダフェンチオン、ジメトエート、PMP、CVMP、ジメチルビンホス、DEP、NAC、MTMC、MIPC、PHC、MPMC、XMC、ベンフラカルブ、ピリミカルブ、オキサミル、チオジカルブ、シペルメトリン、カルタップ、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ピリダベン、クロフェンテジン、バチラス・チューリンゲンシス及びそれらが生産する毒素、MPP、MEP、ダイアジノン、イソキサチオン、エチルチオメトン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、シクロプロトリン、アセフェート又はベンフラカルブが挙げられる。
【0014】
殺菌剤としては、例えば、シメコナゾール、ヒドロキシイソキサゾール、テクロフタラム、ジクロメジン、ピロキロン、ジラム、チウラム、キャプタン、TPN、フサライド、トリクロホスメチル、ホセチル、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンタゾール、チアベンタゾール、ジエトフェンカルブ、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ヘキサコナゾール、トリホリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、PCNB、ダゾメット、トリアジン、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、テトラコナゾール、トリクラミド、オキソリニック酸、ジメトモルフ、シモキサニル又はMON−240が挙げられる。
【0015】
除草剤としては、例えば、ピラゾレート、ベンスルフロンメチル、シマジン、リニュロン、ダイムロン、アトラジン、パラコート、グリホシネート、ビアラホス、ベンタゾン及びその塩、ブロモブチド、アシュラム、ベンゾフェナップ、ブロマシル、アジムスルフロン、エトキシスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、メフェナセット、ピリブチカルブ、カフェンストロール、エドベンザニド、オキサジアルギル、ナプロアニリド、クロメトキシニル、シデュロン、クロロメトキシフェン、ピラゾキシフェン、ベンゾビシクロン、オキサジクロメホン、フェントラザミド、シクロスルファムロン、ペントキサゾン、キノクラミン、クミルロン、シメトリン、ベンフレセート、ベンチオカーブ、ジメタメトリン、シンメスリン、2−4D及びそのアルキルエステル並びにその塩、MCPB及びその塩、グリホサート及びその塩、グルホシネート及びその塩、アニロホス、テニルクロール、ピリミノバックメチル、クロメプロップ、プレチラクロール、ブタクロール、シハロホップブチル、モリネート又はエスプロカルブが挙げられる。
【0016】
植物調節剤としては、例えば、マレイン酸ヒドラジド及びその塩、アブシジン酸、過酸化カルシウム、イネベンフィド、パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペンテノール又はサイコセルが挙げられる。
【0017】
本発明において、農薬活性成分の含有量は、農薬粒状組成物中に、通常、0.1〜90%(質量に関する百分率。以下、特に断りのない限り、成分の含有量に関わる%は同様とする。)であり、好適には、0.5〜60%である。
【0018】
本発明において、「澱粉」は、例えば、天然植物性澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉又はタピオカ澱粉であり、具体的にはコーンスターチ(コーンスターチ、日澱化学株式会社製)である。
【0019】
本発明において、「澱粉誘導体」は、澱粉の無水グルコース残基の水酸基に、反応性に富む種々の官能基を結合させることによって得られ、例えば、エーテル化澱粉、エステル化澱粉又は架橋澱粉であり、好適には、エステル化澱粉である。
【0020】
本発明において、「エステル化澱粉」は、澱粉の無水グルコース残基の水酸基がエステル基に置換された澱粉であり、好適には、酢酸澱粉であり、具体的には、酢酸澱粉のZ−300F、Z−100(以上、商品名。日澱化学株式会社製。)及びファラジムT(以上、商品名。松谷化学工業株式会社製。)であり、好適には、Z−300Fである。
【0021】
本発明おいて、「デキストリン」は、例えば、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉又はタピオカ澱粉などの各種デンプンから、酸分解法、アルカリ分解法、酵素分解法又は酸焙焼法などによって得られ、焙焼デキストリン、酸焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、マルトデキストリン、アクロデキストリン又はエリトロデキストリンであり、好適には、焙焼デキストリン、酸焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン又はエリトロデキストリンであり、より好適には、焙焼デキストリン、酸焙焼デキストリン又は酵素変性デキストリンである。具体的には、酸焙焼デキストリンのデキストリンND−S、デキストリンND−SD、デキストリンND−SN、デキストリンND−SK、デキストリン102−M、デキストリン102−K、デキストリン102−S、デキストリン102−D、デキストリン102−N、デキストリン103(以上、商品名。日澱化学株式会社製。)、又はクリームデキストリン50(以上、商品名。松谷化学工業株式会社製。)であり、酵素変性デキストリンのアミコールNo.1(酵素変性デキストリン、日澱化学株式会社製)又はアミコールNo.6H(酵素変性デキストリン、日澱化学株式会社製)であり、好適には、デキストリンND−SD、アミコールNo.1又はアミコールNo.6Hである。
【0022】
用いられる澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンの含有量は、通常、農薬粒状組成物中に、0.01〜20%であり、好適には0.1〜10%、より好適には0.5〜5%である。
【0023】
用いられる澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンの粒度は、粒核に均一に被覆するためには、ある程度の微細な粉末が良く、例えば、30μm以下であり、好適には、20μm以下である。
【0024】
本発明において、「常温で液状の不揮発性物質」は、粒核の表面に被覆剤等を均一に被覆かつ固着性を向上させる性質を有する為に配合し、例えば、農薬活性成分に粒子成長、分解等の悪影響を与えず、農薬活性成分を均一に含浸できる性質を有し、高沸点、低毒性で引火点が高く、低粘度の溶媒であり、具体的には、キシレン、ソルベッソ、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、アルキルベンゼン及びフェニルキシリルエタン等の芳香族溶媒;ナフテン系高沸点溶媒;ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノールのようなアルコール類;シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及びアセテートのようなグリコール類、それらの種々のエステル並びにエーテル類;乳酸ブチル、乳酸エチル、酪酸ブチル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジオクチル、オレイン酸メチルエステル及びヤシ油脂肪酸メチルエステルのような脂肪酸エステル類;流動パラフィン、塩素化パラフィン、イソパラフィン、マシン油及びポリブテン等のパラフィン系溶媒;ヤシ油、大豆油及び菜種油等の植物油;鯨油等の動物油;シリコーンオイル及びその誘導体;トリブチルホスフェート及びトリスクロルエチルホスフェート等のリン酸の種々のエステル等の可塑剤;ε−カプロラクトン及びγ−ブチルラクトン等のラクトン類;N−メチルピロリドン及びN−オクチルピロリドン等のアルキルピロリドン類;又は種々の液状界面活性剤であり、更に前記に示した農薬活性成分の中で常温で液状又は溶剤に溶解し液状にした農薬活性成分も含まれ、好適には、グリコール類及びその誘導体、脂肪酸エステル類、アルキルピロリドン類又はケトン類である。
【0025】
グリコール類及びその誘導体、脂肪酸エステル類、アルキルピロリドン類又はケトン類は、DBDG(ジエチレングリコールジブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製)、EHG(エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、日本乳化剤株式会社製)、EHDG(ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、日本乳化剤株式会社製)、ダワノールDPnB(ジエチレングリコールエチルエーテル、ダウケミカル株式会社製)、ソルフィット(3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、クラレ株式会社製)、乳酸エチル(武蔵野化学株式会社製)、乳酸ブチル(武蔵野化学株式会社製)、シクロヘキサノン(関東電化工業株式会社製)、エキセパールMC(ヤシ脂肪酸メチル、花王株式会社製)、エキセパールM−OL(オレイン酸メチル、花王株式会社製)、ビニサイザー50(アジピン酸ジイソデシル、花王株式会社製)、ビニサイザー20(フタル酸ジトリデシル、花王株式会社製)、アグリゾールAC−100(フタル酸ジアルキル、花王株式会社製)、ココナードRK(カプリル酸トリグリセライド、花王株式会社製)、ココナードMT(脂肪酸トリグリセライド、花王株式会社製)又はNMP(N−メチル−2−ピロリドン、三菱化学株式会社製)であり、好適には、DBDG、ソルフィット、乳酸エチル、エキセパールM−OL、アグリゾールAC−100、N−メチル−2−ピロリドンである。
【0026】
用いられる常温で液状の不揮発性物質の含有量は、通常、農薬粒状組成物中に、0.1〜50%であり、好適には1〜40%、より好適には2〜30%である。
【0027】
本発明において、農薬粒状組成物には、必要に応じて、増量剤を配合してもよい。
【0028】
増量剤は、一般的に農薬粒状組成物の増量剤として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、無機系の増量剤又は有機系の増量剤である。
【0029】
無機系の増量剤は、硅石、陶土、カオリナイト若しくはパイロフィライトを主成分とする粘土鉱物;炭酸カルシウム、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、合成シリカ若しくは消石灰等の粉末状鉱物質キャリヤー;塩化カリウム、硫酸ナトリウム若しくは硫酸アンモニウム等の無機塩;又は尿素である。
【0030】
有機系の増量剤は、木粉;籾殻粉;ヤシ殻若しくはコーヒーの粉末;ケナフ粉末;小麦・米・大豆等種々の穀物粉;安息香酸ナトリウム等の有機酸塩;砂糖及びグルコース等の糖類;セルロース粉末;ふすま;又は米ぬかの有機物である。
【0031】
用いられる増量剤の含有量は、有効成分の含量、製品設計によって異なるが、通常、農薬粒状組成物中に、1〜90%、好敵には5〜80%、より好適には10〜50%である。
【0032】
本発明において、農薬粒状組成物には、造粒性の改良、有効成分の水に対する濡れの促進、有効成分の水面又は水中での拡散性の改良等の目的で、必要に応じて界面活性剤を配合してもよい。
【0033】
界面活性剤は、通常、農薬の製剤に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又は両性イオン系界面活性剤である。
【0034】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合物、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ヒマシ油等の油脂及びその硬化物にエチレンオキサイドを付加させた界面活性剤、アセチレン系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0035】
アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキルスルホサクシネートの塩、アルキルメチルタウリンの塩、高級アルコール硫酸エステルの塩、α−オレフィンスルホン酸の塩、種々の石鹸類、リグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸及びその縮合物の塩、フェノールスルホン酸及びその縮合物の塩、上記種々のノニオン性界面活性剤の水酸基末端をリン酸若しくは硫酸でエステル化したものの塩又は種々のカルボン酸型若しくはスルホン酸型のポリソープ等を挙げることができる。
【0036】
カチオン系界面活性剤としては、高級アルキルアミン、高級アルキルアミン・エチレンオキサイド付加物、イミダゾリン型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩又はピリジニウム塩等を挙げることができる。
【0037】
両性イオン系界面活性剤としてはアミノ酸型及びベタイン型界面活性剤を挙げることができる。
【0038】
これらのうちで、好ましいものは、ノニオン系またはアニオン系界面活性剤で、中でも、種々のノニオン系界面活性剤は、水不溶性の有効成分の水濡れを改良する目的で、アルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキルスルホサクシネートの塩は造粒性改良の目的で、アセチレン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、αオレフィンスルホン酸の塩は有効成分の水面での拡散性を改良する目的で、また、リグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸及びその縮合物の塩、フェノールスルホン酸及びその縮合物の塩、種々のカルボン酸型或いはスルホン酸型のポリソープは粒剤の崩壊分散性を改良する目的で好適に使用される。
【0039】
両性イオン系界面活性剤は、例えば、アミノ酸型又はベタイン型界面活性剤である。
【0040】
用いられる界面活性剤の粒剤中含有量は、通常、農薬粒状組成物中に、0.01〜10%、好適には、0.02〜5%、より好適には、0.03〜3%である。
【0041】
本発明において、農薬粒状組成物には、更に必要に応じて有効成分の安定化剤、色素、pH調節剤、薬害防止剤等の通常、農薬の製剤に使用される種々の補助剤を配合してもよい。
【0042】
本発明において、農薬粒状組成物は、通常、以下のようにして調製することができる。
【0043】
まず、主として粉末状の農薬活性成分及び補助剤を必要に応じて粉砕・混合し、これに適量の練合水を加えて練合し、湿式造粒する。この際、天然物若しくはその誘導体の結合力を充分に働かせるために、必要に応じて加熱するか又は天然物若しくはその誘導体を練合水中に溶かせるか、若しくは水を加えて加熱糊化させた後、練合するのが望ましい。また、界面活性剤は必要に応じて練合水中に添加することも可能である。次いで、得られた湿粒を適当な乾燥機を用いて乾燥させ、適当な粒度に篩い分けて、粒核を得る。別に、常温で液状の不揮発性物質と液状または低融点の農薬活性成分等を、必要があれば、適当な溶媒に溶解・懸濁させ、更に必要に応じて、界面活性剤の一部または全部を溶解させたオイルプレミックスを調製し、これを先に得られた基粒に吸収させた後、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンの1種又は2種以上を被覆させれば本発明の農薬粒状組成物を得ることができる。
【0044】
本発明において、農薬活性成分の粉砕は、通常、農薬の製造工程に用いられる湿式粉砕でも乾式粉砕でもよく、特に限定はない。
【0045】
常温で固体の農薬活性成分は、乾式粉砕する場合に、農薬有効成分を必要があれば界面活性剤又は粉砕補助剤と共に混合し、乾式粉砕機を用いて、所定の粒度まで乾式粉砕し、次いでその他の補助剤を加えて混合し、適量な水を添加後、造粒・乾燥・整粒し、本発明の農薬粒核組成物を得る。
【0046】
用いられる乾式粉砕機は、例えば、SK−ジェット・オー・マイザー(株式会社セイシン企業)、シングルトラック・ジェットミル(株式会社セイシン企業)等のジェットミル、ACMパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社)、サンプルミル(株式会社ダルトン)等のハンマーミル、ピンミル、ボールミル又はターボミル等である。
【0047】
粉砕は、乾式粉砕に限らず、例えば、農薬有効成分又は界面活性剤を水に添加して混合懸濁させた後、湿式粉砕機を用いる粉砕でもよい。得られた粉砕物は、その他の補助剤と共に混合し、適量な水を添加後、造粒・乾燥・整粒し、本発明の農薬粒核組成物を得る。
【0048】
用いられる湿式粉砕機は、例えば、アトライター(三井三池鉱山株式会社)等のアトリションミル、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス株式会社)、サンドグラインダー(アイメックス株式会社)、アペックスミル、スーパーアペックスミル、アペックスメガ(コトブキ技研工業株式会社)、ダイヤモンドファインミル(三菱重工株式会社)、コボールミル(神鋼パンテック株式会社)、ドライスヴェルケパールミル(日本アイリッヒ株式会社)等のビーズミル、コロイドミル(特殊機化工業株式会社)又はウエットアトマイザー(株式会社ダルトン)等のハンマーミルである。
【0049】
農薬活性成分は、乾式粉砕又は湿式粉砕のいずれの場合も、通常、農薬活性成分の大部分が10μm以下になるように粉砕し、好適には、0.1〜5μmの重量中位径になるように粉砕する。
【0050】
本発明において、粒核を製造する造粒機は、適当な口径を有するスクリーンを付した横押し型押出し造粒機、バスケット型造粒機及びツインドームグラン等の押出し造粒機、又は、流動層造粒機、転動造粒機及び攪拌造粒機等の湿式造粒機等であり、好適には押出し造粒機である。押出し造粒機は、例えばドームグラン、ツインドームグラン(株式会社ダルトン)、横型ペレッターEXD−60型(株式会社ダルトン)、竪型ペレッターRG−5M型(菊水製作所株式会社)等である。
【0051】
本発明において、粒核の乾燥に用いられる乾燥機は、通常、農薬の製造工程で用いられる方法で乾燥が可能であれば、特に限定はなく、例えば、バッチ式流動層乾燥機や連続式流動層乾燥機である。
【0052】
本発明において、粒核の粒度は、通常0.1〜5mm、好適には、0.3〜3mm、より好適には、0.5〜2mmである。粒度が細か過ぎると、水田に施用したときに粒剤が水面に浮いてしまって農薬活性成分の効果が発揮出来なく、大き過ぎると撒きムラが生じ、場合によっては農薬活性成分の薬害が出易い。
【0053】
本発明において、粒核への吸収・被覆に用いられる混合機は、一般に混合機能を有するものであれば特に限定はなく、例えば、リボンミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー又はドラムミキサーである。
【0054】
本発明において、農薬粒状組成物は、1g当りの粒数(但し、500μm残留物)が、通常300〜2500粒であり、好適には、500〜1500粒である。粒数が300粒以下では、条件によっては農薬活性成分の効果が充分に発揮されない場合があり、また2500粒以上では、微粒が増える為、粒同士の接触点が多くなる事から固結が起こりやすくなる。
【0055】
本発明において、農薬粒状組成物は、農薬活性成分や使用目的に応じて、例えば、水田、乾田、育苗箱、畑地、果樹園、桑畑、温室及び露地等の農耕地;森林、芝生、ゴルフ場、街路樹、道路、路肩及び湿地等の非農耕地;又は池、貯水池、川、水路及び下水道等の水系で使用できる。使用時に、本粒剤を単独で施用してもよく、又はその用途若しくは目的に応じて他の剤、例えば他の農薬粒剤、粒状肥料、粒状培土、粒状植物栄養剤、粒状植物調整制御剤、粒状ホルモン剤及び種子等の粒状農業資材等と混合してもよい。
【0056】
本発明において、施用方法は、農薬が通常に施用される方法であれば特に限定はなく、例えば、手で直接散布する方法又は背負い式散粒機、パイプ散粒機、動力散粒機、育苗箱用散粒機、トラクター搭載型散粒機、多口ホース散粒機、散粒機を搭載した田植え機若しくはラジコンヘリ等による方法である。
【0057】
施用量は、水田や畑地の場合には、10アール当り、通常0.1〜10kg、好適には、0.5〜5kgである。
【0058】
本発明において、農薬粒状組成物は、湿気を避けるため、防湿性の容器などに保存するとよい。防湿性の容器は、例えば、樹脂、アルミ若しくは紙等を必要に応じて貼り合わせた材料又は樹脂若しくは紙等の表面にアルミ若しくは珪酸を蒸着させた材料からなる瓶、袋若しくは箱などである。
【0059】
以下に、実施例、比較例及び試験例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ここにおいて用いられる%及び部は、特に記載がない限り、全て質量に関する%及び部を示す。
【0060】
【実施例】
【0061】
【実施例1】
(1)シメトリンプレミックス
シメトリン原体 4.93部およびロカヘルプ439(粉末状パーライト、三井金属鉱業株式会社製)0.80部を混合し、サンプルミル(ハンマーミル、ダルトン株式会社製、スクリーン径3mm)により粉砕し、シメトリン85%を含有するプレミックスを得た。
(2)シメトリン基粒
シメトリンプレミックス 5.73部、ロカヘルプ439 15.00部、アミコールNo.1(酵素変性デキストリン、日澱化学株式会社製) 4.00部、クレー(硅石を主成分とする粘土鉱物、風ヒ、啓和炉材株式会社製)53.23部の混合粉末に、ニューコール291PG(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、日本乳化剤株式会社製) 0.01部、練合水 24.00部を加え、練合したのち、バスケット型造粒機(菊水製作所株式会社製、RG−5M型、スクリーン径1.0mmφ)にて押出し造粒し、ミゼットドライヤー(流動層乾燥機、ダルトン株式会社製)を用いて、送風温度80℃で乾燥した。得られた乾燥粒を、開口径1mm及び0.5mmの篩を用いて整粒し、シメトリン基粒を得た。
(3)オイルプレミックス
シハロホップブチル原体 1.66部、ベンフレセート原体 6.54部、MCPB−エチル原体 2.83部、DBDG(ジエチレングリコールジブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製) 5.00部、アイソゾール400(イソパラフィン、日本石油化学株式会社製)2.00部、N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)2.00部を混合溶解させ、オイルプレミックスを得た。
(4)農薬粒剤
ナウターミキサー(NX−S型、ホソカワミクロン株式会社製)で、シメトリン基粒 77.97部に、オイルプレミックス 20.03部を加えて吸収混合し、Z−300F(酢酸澱粉、日澱化学株式会社製) 2.00部を被覆させて、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数550粒/gの本発明の農薬粒剤を得た。
【0062】
【実施例2】
実施例1記載のアミコールNo.1の代わりにアミコールNo.6H(酵素変性デキストリン、日澱化学株式会社製)を用い、N−メチル−2−ピロリドンの代わりに乳酸エチル(武蔵野化学株式会社製)を用い、Z−300Fの代わりにオクティエ(コーンスターチ誘導体、日澱化学株式会社製)を用いた。それ以外は実施例1と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数612粒/gの本発明の農薬粒剤を得た。
【0063】
【実施例3】
実施例1記載のアミコールNo.1の代わりにセロゲン7A(カルボキシメチルセルロースNa、第一工業製薬株式会社製)を用い、N−メチル−2−ピロリドンの代わりにソルフィット(3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、クラレ株式会社製)を用い、Z−300Fの代わりにコーンスターチ(コーンスターチ、日澱化学株式会社製)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数695粒/gの本発明の農薬粒剤を得た。
【0064】
【実施例4】
実施例1記載のDBDGの代わりにエキセパールM−OL(オレイン酸メチル、花王株式会社製)を用い、Z−300Fの代わりにデキストリンND−SD(培焼デキストリン、日澱化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数602粒/gの本発明の農薬粒剤を得た。
【0065】
【実施例5】
(1)フラメトピルプレミックス
フラメトピル原体 1.70部およびクレー 3.30部を混合し、サンプルミル(スクリーン径3mm)により粉砕し、フラメトピル30%を含有するプレミックスを得た。
(2)フラメトピル基粒
フラメトピルプレミックス 5.00部、セロゲン7A(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、第一工業製薬株式会社製) 2.00部、トキサノンGR−31A(ポリアクリル酸塩の43%水溶液、三洋化成工業株式会社製) 2.00部、カープレックス#80D(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社製) 1.00部、タルク(含水ケイ酸マグネシウム、日本タルク株式会社製) 40.00部、クレー 37.80部の混合粉末に、ニューコール292PG(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、日本乳化剤株式会社製) 0.20部、練合水 15.00部を加え、練合したのち、ドームグラン造粒機(ダルトン株式会社製、DG−L1型、スクリーン径0.9mmφ)にて押出し造粒し、ミゼットドライヤー(流動層乾燥機、ダルトン株式会社製)を用いて、送風温度70℃で乾燥した。得られた乾燥粒を、開口径1mm及び0.5mmの篩を用いて整粒し、フラメトピル基粒を得た
(3)オイルプレミックス
エトフェンプロックス原体 1.15部、イルガノックス1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製) 0.10部、アグリゾールAC−100(フタル酸ジアルキル、花王株式会社製) 8.75部を混合溶解させ、オイルプレミックスを得た。
(4)農薬粒剤
ナウターミキサーで、フラメトピル基粒 88.00部に、オイルプレミックス 10.00部を加えて吸収混合し、Z−300F 2.00部を被覆させて、フラメトピル 1.5%、エトフェンプロックス 1.0%を含有する、粒数1750粒/gの本発明の農薬粒剤を得た。
【0066】
【比較例1】
実施例1の粒剤のうち、Z−300Fを削除した以外は、実施例1と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数570粒/gの農薬粒剤を得た。
【0067】
【比較例2】
実施例1と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数2853粒/gの農薬粒剤を得た。
【0068】
【比較例3】
実施例1の粒剤のうち、Z−300Fの代わりにカープレックス80D(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数613粒/gの農薬粒剤を得た。
【0069】
【比較例4】
実施例2の粒剤のうち、オクティエの代わりにロカヘルプ439を用いた以外は、実施例2と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数595粒/gの農薬粒剤を得た。
【0070】
【比較例5】
実施例3の粒剤のうち、ソルフィットの代わりに流動パラフィンNo.30(流動パラフィン、中央化成株式会社製)を用い、コーンスターチの代わりにカオリンHA(カオリナイトクレー、関東ベントナイト株式会社製)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数655粒/gの農薬粒剤を得た。
【0071】
【比較例6】
実施例4の粒剤のうち、デキストリンND−SDの代わりにステアリン酸マグネシウム(ナカライテスク株式会社製)を用いた以外は、実施例4と全く同様にして、シメトリン4.5%、シハロホップブチル1.5%、ベンフレセート 6.0%、MCPB−エチル 2.4%を含有する、粒数812粒/gの農薬粒剤を得た。
【0072】
【比較例7】
実施例5の粒剤のうち、Z−300Fを削除した以外は、実施例5と全く同様にして、フラメトピル 1.5%、エトフェンプロックス 1.0%を含有する、粒数1835粒/gの農薬粒剤を得た。
【0073】
以上の実施例及び比較例より得られた製剤について、品質を具体的に示す。
【0074】
【試験例1】
固結試験
ジャイロシフター(A−1型、徳寿工作所株式会社製)500μm篩上に粒剤1kgを入れ、3分間振動を与える。アルミ箔貼り合せクラフト袋に入れ、口をヒートシールした後、経時し粒剤の変化を目視観察する。経時は、室温−2〜6℃の自然条件下と−5℃恒温機内で実施し、8日後に調査した。試験結果を表1に示す。
【0075】
【表1】固結試験
−−−−−−−−−−−−−−−
試験粒剤 固結の程度
−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1 −
実施例2 −
実施例3 −
実施例4 −
実施例5 −
比較例1 ++
比較例2 ++
比較例3 ++
比較例4 ++
比較例5 ++
比較例6 ++
比較例7 ++
−−−−−−−−−−−−−−−
固結評価
−:固結なし ++:全体が固結
【0076】
【試験例2】
加圧試験
ステンレス板の上に粒剤100gを約100cm(10cm×10cm)に広げ、その上に各重りを乗せ、経時し粒剤の変化を目視観察する。経時は、室温2〜10℃の自然条件下で実施し、5日後に調査した。試験結果を表2に示す。
【0077】
【表2】加圧試験
Figure 2004244353
固結評価
−:固結なし ±:流動性が劣化し固結傾向 +:一部固結 ++:全体が固結
実施例1と比較例1を比較する。実施例1では、澱粉誘導体であるZ−300Fを用いているが、比較例1では、Z−300Fを削除している。比較例1では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例1では観察されていない。
【0078】
実施例1と比較例2を比較する。実施例1では、粒数550粒/gであるが、比較例2では、粒数2853粒/gである。比較例2では、観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例1では観察されていない。
【0079】
実施例1と比較例3を比較する。実施例1では、澱粉誘導体であるZ−300Fを用いているが、比較例3では、代わりにカープレックス80Dを用いている。比較例3では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例1では観察されていない。
【0080】
実施例2と比較例4を比較する。実施例2では、澱粉誘導体であるオクティエを用いているが、比較例4では、代わりにロカヘルプ439を用いている。比較例4では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例2では観察されていない。
【0081】
実施例3と比較例5を比較する。実施例3では、常温で液状の不揮発性物質であるソルフィットを用いているが、比較例5では、代わりに流動パラフィンNo.30を用いている。また、実施例3では、澱粉誘導体であるコーンスターチを用いているが、比較例5では、代わりに増量剤であるカオリンHAを用いている。比較例5では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例3では観察されていない。
【0082】
実施例4と比較例6を比較する。実施例4では、デキストリンであるデキストリンND−SDを用いているが、比較例6では、代わりに増量剤であるステアリン酸マグネシウムを用いている。比較例6では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例4では観察されていない。
【0083】
実施例5と比較例7を比較する。実施例5では、澱粉誘導体であるZ−300Fを用いているが、比較例7では、Z−300Fを削除している。比較例7では観察されている農薬粒状組成物の固結性が、実施例5では観察されていない。
【0084】
【発明の効果】
本発明の農薬粒状組成物は、製造工程中や長期保存中において、製剤の固結がなく良好な流動性を有する被覆型の農薬粒剤である。

Claims (10)

  1. 農薬活性成分を含有してなる粒核に、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンから選ばれる1種又は2種以上を被覆することを特徴とする、固結性が改善された農薬粒状組成物。
  2. 農薬活性成分が固体有効成分化合物であり、かつ、粒核が液体有効成分を含有する、請求項1に記載の農薬粒状組成物。
  3. 粒核に常温で液状の不揮発性物質を含浸させた、請求項1又は2に記載の農薬粒状組成物。
  4. 澱粉が小麦澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉又はタピオカ澱粉である、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物。
  5. 澱粉誘導体がエーテル化澱粉、エステル化澱粉又は架橋澱粉である、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物。
  6. デキストリンが焙焼デキストリンである、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物。
  7. 常温で液状の不揮発性物質が、グリコール類及びその誘導体、脂肪酸エステル類、アルキルピロリドン類並びにケトン類から選ばれる1種又は2種以上である、請求項3乃至6のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物。
  8. 1g当りの粒数が300〜2500粒である、請求項1乃至7のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物。
  9. 農薬活性成分を含有してなる粒核に、澱粉、澱粉誘導体又はデキストリンから選ばれる1種又は2種以上を被覆することを特徴とする、固結性が改善された農薬粒状組成物の製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1つに記載の農薬粒状組成物の施用方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1767091A3 (de) * 2005-09-21 2007-08-22 Clariant Produkte (Deutschland) GmbH Biozide Zusammensetzungen
JP2011030495A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 T Hasegawa Co Ltd 流動性改善剤
JP5315056B2 (ja) * 2006-10-25 2013-10-16 大日本住友製薬株式会社 固結抑制粒状製剤
JP2014051486A (ja) * 2012-08-06 2014-03-20 Nippon Kayaku Co Ltd 農薬粒剤及びその製造法

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