JP2004244266A - 樹脂シート部分置換自動装置、樹脂シートの製造方法、合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents
樹脂シート部分置換自動装置、樹脂シートの製造方法、合わせガラス用中間膜および合わせガラス Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着の4工程を連続的かつ自動的に行い得る樹脂シート部分置換自動装置、樹脂シートが合わせガラス用中間膜である上記自動装置、樹脂シートの切断・除去される部分が自動車フロントガラス用中間膜の上部着色帯に位置する上記自動装置、熱融着時の樹脂シート温度が100〜180℃である上記自動装置、上記自動装置を用いる樹脂シートの製造方法、上記自動装置を用いたセンサー対応の中間膜、および、上記中間膜を用いたセンサー対応の合わせガラス。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂シート部分置換自動装置、その樹脂シート部分置換自動装置を用いる樹脂シートの製造方法、その樹脂シート部分置換自動装置を用いた合わせガラス用中間膜、および、その合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性樹脂を製膜してなる樹脂シートは広範囲の用途に多用されており、その代表例として合わせガラス用中間膜が挙げられる。
【0003】
熱可塑性樹脂、とりわけ可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂からなる合わせガラス用中間膜は、優れた透明性、優れた耐候性、強靱な強度およびガラス板に対する適正な接着力等を兼備しており、このような合わせガラス用中間膜を用いて作製された合わせガラスは、特に自動車などの車両用や建築物用の窓ガラスとして好適である。
【0004】
自動車などの車両用や建築物用の窓ガラスに用いられる合わせガラスには、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性等の合わせガラスとして必要な諸性能に優れていることが要求される。
【0005】
また、自動車などの車両用の窓ガラス、特にフロントガラスに用いられる合わせガラスには、太陽光線や屋外照明等により運転中のドライバーの目が眩しくなるのを防止するために、優れた防眩性を有していることが要求される。
【0006】
上記防眩性を有する合わせガラス用として、従来より、上部に着色帯を有する合わせガラス用中間膜、いわゆるShadedFilm(以下「SDF」と記す)が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0007】
また、車内の温度上昇を抑制するための合わせガラス用として、赤外線(IR)カット性能を有する遮熱性中間膜や、車内の騒音を低減するための合わせガラス用として、遮音性中間膜等も開発されている。
【0008】
一方、近年の自動車の高機能化に伴い、例えば、フロントガラスにライトセンサー、レインセンサーなどのセンサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置することが行われている。
【0009】
ところが、SDFを用いた合わせガラスの着色帯に相当する部位や遮熱性中間膜を用いた合わせガラスに上記センサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置すると、SDFの着色帯や遮熱性中間膜のIRカット性能等の影響を受けて、上記センサーやCCDカメラ等の付帯設備が本来の機能を発現しなくなるという問題点がある。
【0010】
上記問題点に対応するために、ガラスメーカーや合わせガラス加工メーカーにおいて、合わせガラスのセンサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置する部位に相当するSDFや遮熱性中間膜の部位を部分的に切断・除去して、その除去部に通常の透明中間膜(クリア膜)を埋め込み、SDFや遮熱性中間膜と透明中間膜との境界部を熱融着する作業が行われている。
【0011】
ところが現状では、上記一連の作業は全て人海戦術で行われているため、多大の工数が必要であり、長時間の作業時間を要し、しかも品質のばらつきが大きくなる等の欠点があり、生産性が悪いという問題点がある。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−202032号公報
【特許文献2】
特開平4−202346号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れた生産性で、樹脂シートの必要箇所を部分的に切断・除去して、その除去部を他の樹脂シートで置換することができる樹脂シート部分置換自動装置、その樹脂シート部分置換自動装置を用いる樹脂シートの製造方法、その樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製されるセンサー対応の合わせガラス用中間膜、および、その合わせガラス用中間膜を用いて作製されるセンサー対応の合わせガラスを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による樹脂シート部分置換自動装置は、樹脂シートの一部を他の樹脂シートで置換するための自動装置であって、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を連続的かつ自動的に行い得ることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明による樹脂シート部分置換自動装置は、上記請求項1に記載の樹脂シート部分置換自動装置において、樹脂シートが合わせガラス用中間膜であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明による樹脂シート部分置換自動装置は、上記請求項1または請求項2に記載の樹脂シート部分置換自動装置において、樹脂シートが可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明による樹脂シート部分置換自動装置は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置において、樹脂シートの切断・除去される部分が自動車フロントガラス用中間膜の上部着色帯に位置するように調節されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明による樹脂シート部分置換自動装置は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置において、熱融着時の樹脂シート温度が100〜180℃となるように調節されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明(本発明)による樹脂シートの製造方法は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置を用いることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明(本発明)によるセンサー対応の合わせガラス用中間膜は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製されることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明(本発明)によるセンサー対応の合わせガラスは、少なくとも一対のガラス板の間に上記請求項7に記載のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
【0022】
本発明の樹脂シート部分置換自動装置(以下、単に「自動装置」と略記することもある)は、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を連続的かつ自動的に行い得るものである。
【0023】
図1は部分的切断をされる方の樹脂シートとしてSDFを用いた場合の態様を示す斜視図である。本発明の自動装置の稼働に際しては、先ず、図1に示すように、部分的切断をされる方の樹脂シート(図1においてはSDF)を支持台上に位置決めしながら固定する。
【0024】
上記支持台の材質としては、樹脂シートを位置決めしながら固定できる材質であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、繊維板、プラスチック板、金属板、陶磁器板等が挙げられる。
【0025】
支持台上への樹脂シートの固定方法としては、樹脂シートを後工程の作業に支障を来さない状態で位置決めしながら支持台上へ固定できる方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、支持台の背面から樹脂シートを真空(減圧)吸引する方法等が挙げられる。
【0026】
次いで、支持台上へ固定された樹脂シートの所定の箇所を部分的に切断する。図1においては、SDFの上部着色帯の所定の箇所を部分的に切断する。上記所定の箇所とは、樹脂シートが例えばSDFである場合、このSDFを用いて作製した例えば自動車フロントガラスなどの合わせガラスにセンサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置する箇所に相当する。従って、上記所定の箇所の形状は、設置される付帯設備の形状に近似した形状とすることが好ましい。
【0027】
上記樹脂シートの切断方法としては、樹脂シートの所定の箇所を後工程の作業に支障を来さない状態で部分的に切断できる方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、円筒形カッターによる打ち抜き法、NCカッターによる切り抜き法、レーザーカット法等が挙げられる。
【0028】
次いで、部分的に切断された樹脂シートを除去する。上記部分的に切断された樹脂シートの除去方法としては、後工程に支障を来さない状態で除去できる方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、加圧による押し出し法、真空(減圧)による吸い取り法等が挙げられる。
【0029】
次いで、部分的に切断された樹脂シートが除去された樹脂シートの所定の箇所(空隙部)に他の樹脂シートを埋め込む。図1においては、SDFの着色帯の所定の箇所(切断・除去部)に通常の透明中間膜を埋め込む。
【0030】
上記樹脂シートの所定の箇所に他の樹脂シートを埋め込む方法としては、後工程の作業に支障を来さない状態で埋め込むことができる方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、予め所定の箇所の形状に近似する形状に裁断された他の樹脂シートを、真空(減圧)で吸引して所定の箇所上に運び、所定の箇所内に埋め込んだ後に真空(減圧)を開放する方法、機械的に所定の箇所上に運び、所定の箇所内に埋め込む方法等が挙げられる。
【0031】
次いで、樹脂シートが部分的に切断・除去された方の樹脂シートと埋め込まれた方の樹脂シートとの境界部を熱融着する。上記熱融着の方法としては、両樹脂シートの境界部が密着して一体化し、かつ、熱融着された樹脂シートの表面が平滑になるような方法であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂シートの片面もしくは両面から境界部(切断線)に沿って熱源を押し付ける方法、高周波により熱融着する方法等が挙げられる。
【0032】
上記熱融着に際しては、樹脂シートの温度が100〜180℃となるように本発明の自動装置を調節しておくことが好ましい。
【0033】
熱融着時における樹脂シートの温度が100℃未満であると、樹脂シート同士の境界部が十分に密着せず一体化しないことがあり、逆に熱融着時における樹脂シートの温度が180℃を超えると、樹脂シート同士の境界部が熱溶融しすぎて、熱融着された樹脂シートの表面平滑性が損なわれることがある。
【0034】
図2は本発明の自動装置の一例を示す斜視図である。図2に示すように、本発明の自動装置は、打ち抜き(切断)・除去、他の樹脂シート埋め込み、熱融着の工程を連続的かつ自動的に行うことができるものである。
【0035】
本発明の自動装置は、熱可塑性樹脂が製膜されてなるものであれば如何なる樹脂シートにも適用され、特に限定されるものではないが、なかでも、合わせガラス用中間膜に好適に適用され、とりわけ、SDFや遮熱性中間膜のような合わせガラスとされた際にセンサーやCCDカメラ等の付帯設備に好ましくない影響を及ぼす可能性の高い合わせガラス用中間膜に特に好適に適用される。
【0036】
本発明の自動装置に適用される樹脂シートまたは合わせガラス用中間膜は、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなることが好ましい。
【0037】
上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂とは、可塑剤の添加により可塑化されたポリビニルアセタール系樹脂のことであり、本発明の自動装置は上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなる樹脂シートまたは合わせガラス用中間膜に特に好適に適用される。
【0038】
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、「PVB」と記す)等が挙げられ、なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性等の諸性能のバランスにより優れる樹脂シートまたは合わせガラス用中間膜を得られることから、PVBが好適に用いられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜5000のものが好ましく、より好ましくは500〜3000のものである。PVAの平均重合度が200未満であると、得られるポリビニルアセタール系樹脂を用いた樹脂シートまたは合わせガラス用中間膜の強度が弱くなりすぎて、この合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスとしたときの耐貫通性や衝撃エネルギー吸収性が不十分となることがあり、逆にPVAの平均重合度が5000を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂を製膜(成形)する際に不具合が生じることがある。
【0040】
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、アセタール化度が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50〜75モル%のものである。アセタール化度が40モル%未満もしくは85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂は、反応機構上、合成するのが困難となることがある。
【0041】
また、上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、残存アセチル基量が30モル%以下であるものが好ましく、より好ましくは0.5〜24モル%のものである。残存アセチル基量が30モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂を合成しようとすると、PVAとアルデヒドとの反応率が著しく低下することがある。
【0042】
ポリビニルアセタール系樹脂がPVBである場合、上記アセタール化度(ブチラール化度)および残存アセチル基量は、JIS K−6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定することができる。
【0043】
また、ポリビニルアセタール系樹脂がPVB以外のポリビニルアセタール系樹脂である場合、そのアセタール化度は、JIS K−6729「ポリビニルホルマール試験方法」に準拠して、残存アセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、100から上記両成分量を差し引くことにより算出することができる。
【0044】
上記ポリビニルアセタール系樹脂を可塑化するために用いられる可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0045】
一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸などの一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられる。
【0046】
多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの多塩基性有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
【0047】
リン酸系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0048】
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベンジルフタレート等が好適に用いられ、なかでも、トリエチレングリコールジ2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート等が特に好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0049】
ポリビニルアセタール系樹脂に対する可塑剤の添加量は、ポリビニルアセタール系樹脂の平均重合度やアセタール化度および残存アセチル基量等によっても異なり、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対し、可塑剤10〜80重量部であることが好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量が10重量部未満であると、ポリビニルアセタール系樹脂の可塑化が不十分となって、製膜が困難となることがあり、逆にポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量が80重量部を超えると、得られる樹脂シートまたは合わせガラス用中間膜の強度が不十分となることがある。
【0050】
可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなる樹脂シートが合わせガラス用中間膜であって、合わせガラス用中間膜がSDFである場合、上記SDFは、前記特許文献1および特許文献2に記載されているように、ポリビニルアセタール系樹脂に対し、可塑剤および少なくとも着色剤が添加されてなるポリビニルアセタール系樹脂組成物が製膜されてなる。
【0051】
また、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなる樹脂シートが合わせガラス用中間膜であって、合わせガラス用中間膜が遮熱性中間膜である場合、上記遮熱性中間膜は、ポリビニルアセタール系樹脂に対し、可塑剤および少なくとも例えば錫ドープ酸化インジウムなどの遮熱性付与剤が添加されてなるポリビニルアセタール系樹脂組成物が製膜されてなる。
【0052】
次に、本発明の樹脂シートの製造方法は、上述した本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いる。
【0053】
本発明の樹脂シートの製造方法は、本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を前記方法で連続的かつ自動的に行うので、樹脂シートの一部が他の樹脂シートで置換された表面平滑性に優れる樹脂シートを優れた生産性で得ることができる。
【0054】
次に、本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜は、前述した本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製される。
【0055】
図3は本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜の一例を示す斜視図であり、図4は本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜の他の例を示す斜視図である。
【0056】
本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜としては、本発明の自動装置を用いて作製されるものであれば如何なるセンサー対応の合わせガラス用中間膜であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、常法により作製されたSDFの上部着色帯の一部(所定の箇所)を切断・除去し、この切断・除去箇所に常法により作製された通常の透明中間膜を埋め込み、SDFと透明中間膜との境界部(切断線)を熱融着することにより得られるセンサー対応の合わせガラス用中間膜や、図4に示すように、常法により作製された遮熱性中間膜の一部(所定の箇所)を切断・除去し、この切断・除去箇所に常法により作製された通常の透明中間膜を埋め込み、遮熱性中間膜と透明中間膜との境界部(切断線)を熱融着することにより得られるセンサー対応の合わせガラス用中間膜等が挙げられる。
【0057】
こうして作製される本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜は、合わせガラスとなされて、例えば自動車フロントガラスとして用いられた場合に、上記合わせガラス用中間膜の所定の箇所に相当する部位にセンサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置することにより、これら付帯設備の本来の機能を損なうことなく、高機能のフロントガラスとなすことができる。
【0058】
次に、本発明のセンサー対応の合わせガラスは、少なくとも一対のガラス板の間に上記本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる。
【0059】
本発明のセンサー対応の合わせガラスを例えば自動車フロントガラスとして用いる場合、上記本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を、所定の箇所(例えば透明中間膜で置換された箇所)がフロントガラスのセンサーやCCDカメラ等の付帯設備を設置する箇所に相当するように位置決めしながら、少なくとも一対のガラス板の間に介在させ、一体化させる。
【0060】
本発明のセンサー対応の合わせガラスに用いられるガラス板には、通常の無機透明ガラス板のみならず、例えばポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板などのような有機透明ガラス板も包含される。
【0061】
上記ガラス板の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板などの各種無機ガラス板や有機ガラス板等が挙げられる。上記ガラス板の厚みは、適宜選択されれば良く、特に限定されるものではない。
【0062】
本発明のセンサー対応の合わせガラスの作製方法は、特別なものではなく、通常の合わせガラスの場合と同様の作製方法で良い。すなわち、例えば、2枚の透明なガラス板の間に本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を上記のように位置決めしながら挟み、この合わせガラス構成体を例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように減圧吸引(脱気)しながら温度約70〜110℃で予備接着(予備圧着)を行った後、この予備接着された合わせガラス構成体をオートクレーブの中に入れ、温度約120〜150℃、圧力約0.98〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着(本圧着)を行うことにより、所望のセンサー対応の合わせガラスを得ることができる。
【0063】
【作用】
本発明の樹脂シート部分置換自動装置は、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を連続的かつ自動的に行い得るので、最少の工数かつ短時間で、しかも安定的な品質で、樹脂シートの一部を他の樹脂シートで置換することができる。
【0064】
本発明の樹脂シートの製造方法は、上記本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて、前記▲1▼〜▲4▼からなる少なくとも4工程を前記方法で連続的かつ自動的に行うので、樹脂シートの一部が他の樹脂シートで置換された表面平滑性に優れる樹脂シートを優れた生産性で得ることができる。
【0065】本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜は、上記本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製されるので、例えば自動車フロントガラス用の中間膜として用いられる場合に、センサーやCCDカメラ等の付帯設備の本来の機能を損なうことなく、これら付帯設備を所定の箇所に設置し得る自動車フロントガラスを得ることができる。
【0066】
本発明のセンサー対応の合わせガラスは、上記本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を用いて作製されるので、例えば自動車フロントガラスとして用いられる場合に、センサーやCCDカメラ等の付帯設備の本来の機能を損なうことなく、これら付帯設備を所定の箇所に設置することができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて、図3に示すように、常法により作製されたSDFの上部着色帯の一部を円形状に切断・除去し、この切断・除去部に、常法により作製された通常の透明中間膜を上記と同様の大きさの円形状に裁断して埋め込み、SDFと透明中間膜との境界部(切断線)を熱融着して、着色帯の一部が透明中間膜で置換されたセンサー対応の合わせガラス用中間膜を作製した。
【0069】
次に、上記センサー対応の合わせガラス用中間膜を用いて、常法により自動車フロントガラス用のセンサー対応の合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの光線透過率を測定したところ、SDF部は7%であり、透明中間膜部は85%であった。また、得られた合わせガラスの所定の箇所(上記合わせガラス用中間膜においてSDFが透明中間膜で置換された部位に相当する箇所)にCCDカメラを設置し、このCCDカメラで撮影を行ったところ、鮮明な画像を得られた。
【0070】
(実施例2)
本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて、図4に示すように、常法により作製された遮熱性中間膜の上部の一部を円形状に切断・除去し、この切断・除去部に、常法により作製された通常の透明中間膜を上記と同様の大きさの円形状に裁断して埋め込み、遮熱性中間膜と透明中間膜との境界部(切断線)を熱融着して、上記の一部が透明中間膜で置換されたセンサー対応の合わせガラス用中間膜を作製した。
【0071】
次に、上記センサー対応の合わせガラス用中間膜を用いて、常法により自動車フロントガラス用のセンサー対応の合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの所定の箇所(上記合わせガラス用中間膜において遮熱性中間膜が透明中間膜で置換された部位に相当する箇所)にレインセンサーを設置した。次いで、このレインセンサーの作動波長870nmにおける光線透過率を測定したところ、遮熱性中間膜部は37%であり、透明中間膜部は88%であった。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の樹脂シート部分置換自動装置は、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を連続的かつ自動的に行い得るので、最少の工数かつ短時間で、しかも安定的な品質で、樹脂シートの一部を他の樹脂シートで置換することができるものであり、センサー対応の合わせガラス用中間膜作製用として好適に用いられ、とりわけ、センサー対応の自動車フロントガラス用中間膜作製用として特に好適に用いられる。
【0073】
また、本発明の樹脂シートの製造方法は、上記本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いるので、樹脂シートの一部が他の樹脂シートで置換された表面平滑性に優れる樹脂シートを優れた生産性で得ることができる。
【0074】
また、本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜は、上記本発明の樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製されるので、合わせガラスとされた際に、センサーやCCDカメラ等の付帯設備の本来の機能を損なうことなく、これら付帯設備を所定の箇所に設置し得るものであり、センサー対応の合わせガラス用として好適に用いられ、とりわけ、センサー対応の自動車フロントガラス用として特に好適に用いられる。
【0075】
さらに、本発明のセンサー対応の合わせガラスは、上記本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を用いて作製されるので、センサーやCCDカメラ等の付帯設備の本来の機能を損なうことなく、これら付帯設備を所定の箇所に設置することができるものであり、車両や建築物等の窓ガラス用として好適に用いられ、とりわけ、自動車フロントガラス用として特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分的切断をされる方の樹脂シートとしてSDFを用いた場合の態様を示す斜視図である。
【図2】本発明の自動装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明のセンサー対応の合わせガラス用中間膜の他の例を示す斜視図である。
Claims (8)
- 樹脂シートの一部を他の樹脂シートで置換するための自動装置であって、▲1▼樹脂シートの部分的切断、▲2▼当該切断樹脂シートの除去、▲3▼他の樹脂シートの埋め込み、▲4▼樹脂シート同士の境界部の熱融着からなる少なくとも4工程を連続的かつ自動的に行い得ることを特徴とする樹脂シート部分置換自動装置。
- 樹脂シートが合わせガラス用中間膜であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シート部分置換自動装置。
- 樹脂シートが可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂シート部分置換自動装置。
- 樹脂シートの切断・除去される部分が自動車フロントガラス用中間膜の上部着色帯に位置するように調節されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置。
- 熱融着時の樹脂シート温度が100〜180℃となるように調節されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置を用いることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート部分置換自動装置を用いて作製されることを特徴とするセンサー対応の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも一対のガラス板の間に請求項7に記載のセンサー対応の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とするセンサー対応の合わせガラス。
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JP2003035730A JP2004244266A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 樹脂シート部分置換自動装置、樹脂シートの製造方法、合わせガラス用中間膜および合わせガラス |
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Cited By (2)
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JP2006327381A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Asahi Glass Co Ltd | 合せガラスおよびその製造方法 |
JP2010143812A (ja) * | 2008-12-22 | 2010-07-01 | Central Glass Co Ltd | 合わせガラス用中間膜の膜抜き装置および膜抜き方法 |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003035730A patent/JP2004244266A/ja active Pending
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