JP2004243503A - 研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法 - Google Patents

研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】上定盤の外周面や下定盤の外周面に研磨粒子が凝集固化することを防止し、凝集固化した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】上下に対向して設けられた上定盤20と下定盤10との間に、被研磨加工物Wを挟持し、この被研磨加工物Wに研磨液を供給しながら、被研磨加工物Wの研磨加工を行う研磨方法であって、外周面20dの少なくとも下端部が、下側ほど外方へ広がる斜面20eを、ほぼ全周にわたって有する円盤状の上定盤20を用い、この上定盤20を回転させながら、被研磨加工物Wの研磨加工を行う。また、外周面10cの少なくとも上端部が、下側ほど外方へ広がる斜面10dを、ほぼ全周にわたって有する円盤状の下定盤10を用い、この下定盤10を回転させながら、被研磨加工物Wの研磨加工を行う。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨液を供給しながら被研磨加工物を研磨する研磨装置及び研磨方法に関し、特に、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、上定盤及び/又は下定盤を回転させながら、被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リソグラフィ用フォトマスク、磁気ディスク、液晶ディスプレイなどに使用される基板(特に、ガラス基板)を被研磨加工物とし、その両面又は片面を研磨する研磨装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この種の研磨装置は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、被研磨加工物の両面又は片面を研磨するように構成されている。以下、特許文献2に示される遊星歯車方式の研磨装置について説明する。
【0003】
遊星歯車方式の研磨装置は、太陽歯車と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車と、太陽歯車及び内歯歯車に噛み合い、太陽歯車及び/又は内歯歯車の回転に応じて公転及び自転するキャリアと、このキャリアに保持された被研磨加工物を上下から挟持可能な上定盤及び下定盤と、上定盤と下定盤との間に研磨液を供給する研磨液供給部とを備えている。
【0004】
研磨加工時には、キャリアに保持された被研磨加工物を上定盤及び下定盤で挟持するとともに、上下定盤の研磨面(研磨パッド)と被研磨加工物との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車及び/又は内歯歯車の回転に応じて、キャリアを公転及び自転させる。このとき、上定盤や下定盤も必要に応じて回転駆動させる。
【0005】
このような研磨装置では、太陽歯車と内歯歯車との間で、かつ上定盤と下定盤とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。研磨液は、上定盤に形成される研磨液供給孔を通じて、このドーナツ状の研磨領域に供給される。
研磨液としては、酸化セリウム、シリカなどの微細な研磨粒子を、水、アルカリ性溶液などの液体中に分散させた各種のものが、研磨の目的に応じて選択的に使用される。
【0006】
近年、半導体製造のリソグラフィでは、集積回路の微細化に伴って、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F2(157nm)、EUVなどの短い波長の光が用いられるようになりつつある。
リソグラフィの露光に用いる光が短波長になると、マスク基板上の小さな欠陥が転写パターンに影響を及ぼすようになるため、要求される欠陥のレベルも厳しくなる。
【0007】
このような厳しい欠陥レベルの要求に対応するために、より微細な研磨粒子を用いた研磨加工が行われるようになってきた。
また、近年においては、基板の微細な欠陥を光学的に検出する欠陥検査方法も提案されている。このような欠陥検査方法によれば、目視検査では検出が難しい1μm以下の微細な欠陥についても検出が可能となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−277114号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−127000号公報(第7頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような厳しい欠陥レベルの研磨加工において、所望の欠陥レベルが得られるように、十分に微細な研磨粒子を選択しても、許容レベルを超える欠陥が基板に発生することが判明した。
本発明者が調査したところ、上記の欠陥は、研磨装置内に付着した研磨液の研磨粒子が凝集固着(凝集固化)し、これが研磨装置の振動などで剥離して、研磨領域の研磨液に混入するためであることがわかった。
【0010】
このような欠陥は、従来の目視検査では検出できず、しかも、比較的長い波長の光を用いたリソグラフィでは、転写パターンに与える影響が小さい。そのため、従来では、あまり問題とされていなかったが、リソグラフィにおいて短波長の光を用いる場合は、このような欠陥にも対処する必要がある。
そこで、本発明者は、研磨装置内において研磨粒子の凝集固着が発生しやすい箇所を調査した。その結果、上定盤の外周面及び下定盤の外周面に研磨粒子が凝集固着しやすいことが判明した。
【0011】
つまり、研磨領域に供給された研磨液は、研磨装置の駆動に伴って移動しており、上定盤の下面や下定盤の上面を伝わり、その外端まで到達する。
上定盤の下面外端まで到達した研磨液の多くは、研磨領域外へ落下するが、一部の研磨液は、遠心力や表面張力によって、上定盤の外周面下端部に巻き上がり、ここに付着する。
【0012】
特に、遊星歯車方式の研磨装置では、上定盤の外端下方をキャリアが通過するため、研磨液がキャリアに押され、上定盤の外周面下端部まで到達しやすい。
上定盤の外周面は、定常的に研磨液が到達する領域ではないため、ここに付着した研磨液は乾燥する。研磨液が乾燥すると、研磨粒子が凝集され、こびりつきが発生する。
【0013】
一方、下定盤の上面外端まで到達した研磨液は、下定盤の外周面を伝わって排出される。そのため、下定盤の外周面は、研磨加工中、濡れた状態に保たれ、乾燥による研磨粒子の凝集は発生しにくい。
しかしながら、研磨加工を終了した後も、下定盤の外周面には、多くの研磨液が付着している。これを放置すると、研磨液が乾燥して研磨粒子の凝集固着が発生する。
【0014】
上記のように、上定盤の外周面や下定盤の外周面に凝集固着した研磨粒子は、研磨装置の振動などによって剥離し、研磨液に混入して被研磨加工物に傷を付ける可能性がある。特に、上定盤の外周面から剥離したものは、キャリア上に落下し、研磨領域の研磨液に混入するため、被研磨加工物に傷を付ける可能性が高い。
このような原因で被研磨加工物に生じる傷は、比較的小さいものであるが、厳しい欠陥レベルの研磨加工では、欠陥品として排除され、歩留まりを低下させていた。
【0015】
そこで、上記の問題に対処するために、上定盤の外周面や下定盤の外周面を頻繁に清掃することが提案される。しかしながら、凝集固着した研磨粒子の除去は容易でなく、清掃に時間がかかる。そのため、長時間にわたる研磨加工作業の中断を余儀なくされ、生産性の低下をまねくという問題があった。
【0016】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、上定盤の外周面や下定盤の外周面における研磨粒子の凝集固着を防止することにより、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができ、更には、上定盤や下定盤の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の研磨装置は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給するとともに、少なくとも前記上定盤を回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、前記上定盤が、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転される円盤状又は円柱状の部材であり、外周面の少なくとも下端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する構成としてある。
【0018】
研磨装置をこのように構成すれば、上定盤の外周面(少なくとも下端部)では、上定盤の回転に伴って生じる遠心力又は周速が下側ほど大きくなり、遠心力又は周速の差を利用して、研磨液の巻き上りを防止することが可能になる。
また、上定盤の外周面に飛散した研磨液も、上記遠心力又は周速の差を利用して速やかに排除することが可能になる。
【0019】
これにより、上定盤の外周面に付着した研磨液が乾燥して、研磨粒子の凝集固着を発生させるという従来の問題が解消される。その結果、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制し、研磨加工の歩留まりを向上させることができる。
また、研磨粒子の凝集固着を防止したことにより、上定盤の清掃が容易になるため、清掃による研磨加工作業の中断を抑制し、研磨加工の効率を向上させることができる。
【0020】
また、上記目的を達成するため本発明の研磨装置は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給するとともに、少なくとも前記下定盤を回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、前記下定盤が、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転される円盤状又は円柱状又は円柱状の部材であり、外周面の少なくとも上端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する構成としてある。
【0021】
研磨装置をこのように構成すれば、下定盤の外周面(少なくとも上端部)では、下定盤の回転に伴って生じる遠心力又は周速が下側ほど大きくなり、遠心力又は周速の差を利用して、研磨液を速やかに排除することが可能になる。
これにより、下定盤の外周面に付着した研磨液が、研磨加工終了後に乾燥して、研磨粒子の凝集固着を発生させるという従来の問題が解消される。その結果、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制し、研磨加工の歩留まりを向上させることができる。
また、研磨粒子の凝集固着を防止したことにより、下定盤の清掃が容易になるため、清掃による研磨加工作業の中断を抑制し、研磨加工の効率を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の研磨装置は、前記上定盤及び下定盤が円盤状の部材であって、太陽歯車と、前記太陽歯車の外方に同心円状に配置される内歯歯車と、前記被研磨加工物を保持するとともに、前記太陽歯車及び前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車形状のキャリアとを更に備え、前記キャリアに保持された前記被研磨加工物を、前記上定盤及び前記下定盤で挟持するとともに、前記上定盤と前記下定盤との間に前記研磨液を供給し、前記太陽歯車及び/又は前記内歯歯車の回転に応じて、前記キャリアを自転及び公転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う構成としてある。
【0023】
研磨装置をこのように構成すれば、遊星歯車方式の研磨装置において、本発明を効果的に実施することができる。
つまり、遊星歯車方式の研磨装置では、上定盤の外端下方をキャリアが通過するため、研磨液がキャリアに押され、上定盤の外周面まで到達しやすいが、この研磨液を、前述した遠心力又は周速の差を利用して、研磨液の巻き上がりを防止し、上定盤の外周面から速やかに排除することが可能になる。
また、下定盤の外周面に付着した研磨液も、遠心力又は周速の差を利用して速やかに排除することが可能になる。
【0024】
また、上記目的を達成するため本発明の研磨方法は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨方法であって、外周面の少なくとも下端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する円盤状又は円柱状の前記上定盤を用い、この上定盤を、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う方法としてある。
【0025】
研磨方法をこのような方法にすれば、上定盤の外周面(少なくとも下端部)では、上定盤の回転に伴って生じる遠心力又は周速が下側ほど大きくなり、遠心力又は周速の差を利用して、研磨液の巻き上りを防止できるとともに、飛散により付着した研磨液も、速やかに排除することが可能になる。
【0026】
これにより、上定盤の外周面における研磨粒子の凝集固着を防止し、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
また、上定盤の清掃が容易になるため、清掃による研磨加工作業の中断を抑制して、研磨加工の効率を向上させることができる。
【0027】
また、上記目的を達成するため本発明の研磨方法は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨方法であって、外周面の少なくとも上端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する円盤状又は円柱状の前記下定盤を用い、この下定盤を、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う方法としてある。
【0028】
研磨方法をこのような方法にすれば、下定盤の外周面(少なくとも上端部)では、下定盤の回転に伴って生じる遠心力又は周速が下側ほど大きくなり、遠心力又は周速の差を利用して、研磨液を速やかに排除することが可能になる。
これにより、下定盤の外周面における研磨粒子の凝集固着を防止し、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
また、下定盤の清掃が容易になるため、清掃による研磨加工作業の中断を抑制し、研磨加工の効率を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の研磨方法は、前記上定盤及び下定盤が円盤状の部材であって、太陽歯車と、前記太陽歯車の外方に同心円状に配置される内歯歯車と、前記被研磨加工物を保持するとともに、前記太陽歯車及び前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車形状のキャリアとを更に用い、前記キャリアに保持された前記被研磨加工物を、前記上定盤及び前記下定盤で挟持するとともに、前記上定盤と前記下定盤との間に前記研磨液を供給し、前記太陽歯車及び/又は前記内歯歯車の回転に応じて、前記キャリアを自転及び公転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う方法としてある。
【0030】
研磨方法をこのような方法にすれば、遊星歯車方式の研磨装置において、本発明を効果的に実施することができる。
つまり、研磨液が、キャリアに押されて上定盤の外周面まで到達しても、これを、遠心力又は周速の差を利用して、研磨液の巻き上がりを防止し、上定盤の外周面から速やかに排除することが可能になる。
また、下定盤の外周面に付着した研磨液も、遠心力又は周速の差を利用して速やかに排除することが可能になる。
【0031】
また、上記目的を達成するため本発明のマスクブランクス用基板の製造方法は、上記の研磨方法を用いて、マスクブランクス用基板を研磨する工程が含まれる方法としてある。
【0032】
マスクブランクス用基板の製造方法をこのような方法にすれば、上定盤の外周面や下定盤の外周面に凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を防止し、マスクブランクス用基板を歩留まり良く製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[研磨装置の概略説明]
まず、本発明の実施形態に係る研磨装置の概略(従来と共通の部分)について、図1及び図2を参照して説明する。
【0034】
図1は、研磨装置の断面図、図2は、研磨装置の一部を省略した内部斜視図である。
これらの図に示すように、研磨装置は、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30、内歯歯車40、キャリア50、研磨液供給部60などで構成される遊星歯車方式の研磨加工部を備えている。
【0035】
下定盤10は、円環状の水平な上面を有する円盤部材であり、その上面10a(図5参照)には研磨パッド11が貼り付けられている。下定盤10の下面10b(図5参照)は、垂直軸A(研磨加工部の中心を通る垂直軸)を中心として回転可能な下部支持部材12に固定されている。下部支持部材12は、下定盤回転駆動部13と連係されており、その駆動によって、下定盤10及び下部支持部材12が回転動作される。
【0036】
上定盤20は、円環状の水平な下面を有する円盤部材であり、下定盤10と対向する下面20a(図3参照)には、研磨パッド21が貼り付けられている。上定盤20の上面20b(図3参照)は、垂直軸Aを中心として回転可能な上部支持部材22に固定されている。上部支持部材22は、上定盤回転駆動部23に連係されており、その駆動によって、上定盤20及び上部支持部材22が回転動作される。
また、上定盤20及び上部支持部材22は、垂直軸Aに沿って昇降自在に支持されるとともに、図示しない上定盤昇降駆動部の駆動によって昇降動作される。
【0037】
太陽歯車30は、研磨加工部の中央位置に回転可能に設けられており、太陽歯車回転駆動部31の駆動に応じて、垂直軸Aを中心として回転動作される。ただし、内歯歯車40を回転動作させる場合は、太陽歯車30を回転不能に固定してもよい。
また、本実施形態の太陽歯車30は、側面部に歯列が一体形成された平歯車であるが、ピン歯車などとしてもよい。
【0038】
内歯歯車40は、内周側に歯列を有するリング状の歯車であり、太陽歯車30の外方に同心円状に配置されている。本実施形態の内歯歯車40は、回転不能に固定されているが、垂直軸Aを中心として回転可能とし、内歯歯車回転駆動部(図示せず)の駆動に応じて、回転動作するようにしてもよい。
また、内歯歯車40においても、平歯車のほか、ピン歯車などを用いてもよい。
【0039】
キャリア(遊星歯車)50は、外周部に歯列を有する薄板状の円盤部材であり、被研磨加工物Wを保持するためのワーク保持孔50aが1個あるいは複数個形成されている。
なお、キャリア50は、キャリアに形成された孔に、被研磨加工物Wの保持具をゆるく挿入して使用するダブルキャリア方式のものであってもよい。
【0040】
研磨加工部には、通常、複数個のキャリア50が配置される。これらのキャリア50は、太陽歯車30及び内歯歯車40に噛み合い、太陽歯車30及び/又は内歯歯車40の回転に応じて、太陽歯車30の周囲を公転しつつ自転する。
つまり、キャリア50に保持された被研磨加工物Wを上定盤20及び下定盤10で挟持し、この状態でキャリア50を公転及び自転させることにより、被研磨加工物Wの上下両面が研磨加工される。
【0041】
このような研磨加工部では、通常、上定盤20及び下定盤10の外径が内歯歯車40の内径よりも小さくなっており、太陽歯車30と内歯歯車40との間で、かつ上定盤20と下定盤10とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。
【0042】
研磨液供給部60は、研磨液を貯溜する研磨液供給樋61と、研磨液供給樋61に貯溜された研磨液を、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給する複数のチューブ62とを備えて構成されている。
研磨液供給樋61は、水平面上に環状に形成されており、複数の支柱部材63を介して、上部支持部材22の上方位置に設けられている。
【0043】
上部支持部材22、上定盤20及び研磨パッド21には、互に連通する貫通孔22a、20c、21aが複数形成されており、ここに各チューブ62の下端部が接続される。これにより、研磨液供給樋61に貯溜された研磨液が、チューブ62及び貫通孔22a、20c、21aを介して、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給される。
なお、図示は省略するが、研磨領域に供給された研磨液は、所定の回収路を経由して、タンクに回収された後、ポンプ及びフィルタが介在する還元路を経由して、再び研磨液供給樋61に送られる。
【0044】
[研磨液]
研磨液としては、微細な研磨粒子を液体中に分散させたものが一般的に用いられる。
研磨粒子は、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、コロイダルシリカなどであり、被研磨加工物Wの材質、加工表面粗さなどに応じて適宜選択される。
これらの研磨粒子は、水、酸性溶液、アルカリ性溶液などの液体中に分散され、研磨液とされる。
【0045】
[被研磨加工物]
本発明は、平板状の基板を被研磨加工物Wとした平面研磨に有用である。平面研磨には、両面研磨及び片面研磨が含まれる。
このような被研磨加工物Wとしては、リソグラフィに用いるフォトマスクを形成するためのフォトマスクブランク用基板、液晶表示装置を形成するための基板、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどの情報記録媒体を形成するための基板、半導体ウエハーなどが挙げられる。特に、微細な傷がデバイス性能に影響するフォトマスクブランク用基板に有用である。
【0046】
また、被研磨加工物Wの形状としては、矩形、円形、円盤、ブロック形状などが挙られる。
また、被研磨加工物Wの材料としては、ガラス、結晶化ガラス、シリコン、化合物半導体(炭化珪素やGaAsなど)、金属(アルミニウム、チタン、プラチナなど)、カーボンなどが挙げられる。
【0047】
[上定盤の外周面形状]
つぎに、本発明に係る研磨装置の特徴部分である上定盤20の外周面形状について、図面を参照して説明する。
図3は、上定盤の外周面形状を示す断面図である。
【0048】
図1及び図3に示すように、上定盤20は、垂直軸Aを中心として回転される円盤状の部材であり、その外周部には、下面20aの外端から上方に連続する外周面20dが形成されている。本発明の上定盤20は、外周面20dの少なくとも下端部に、下側ほど外方へ広がるスカート状の斜面20eを有している。この斜面20eは、外周面20dの全周にわたって形成されており、後述する作用によって、研磨液の巻き上りを効果的に抑制するものである。
【0049】
つまり、本発明の上定盤20では、外周面20dの下端部と、下面20aの外端部とのなす角度が、従来のように垂直ではなく、90゜以下の角度となっている。この角度は、好ましくは45゜〜60゜である。この角度が小さすぎると、外周面20dと下面20aとの角部が脆弱になる。一方、角度が大きすぎると、本発明の効果が十分に得られないことになる。
【0050】
斜面20eは、外周面20dの下端から始まり、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい高さまで至るように形成されることが好ましい。図3(a)に示すように、外周面20dの全体を斜面20eにしてもよく、図3(b)に示すように、外周面20dの下端側だけに斜面20eを形成してもよい。外周面20dの下端側だけに斜面20eを形成する場合は、研磨条件や装置の構成にもよるが、通常、外周面20dの下端から1cm以上、好ましくは1.5cm以上の範囲に斜面20eを形成する。
【0051】
本発明は、図4に示すように、上定盤20と上部支持部材22との間に、冷却用部材24が設けられた研磨装置でも実施することが可能である。冷却用部材24は、研磨領域に発生する摩擦熱を、流路24aを流れる冷却媒体によって効果的に放熱するために設けられるものであり、水平断面形状が上定盤20とほぼ同じものが用いられる。
このような研磨装置で本発明を実施する場合は、図4に示すように、上定盤20の外周面20dだけに斜面20eを形成してもよいが、冷却用部材24の外周面24bに、上定盤20側の斜面20eに連続する斜面を形成してもよい。
【0052】
上記のような斜面20eは、上定盤20の外周面20dに、研削などの機械加工で形成することができる。斜面20eの形状は、垂直断面で直線となるものに限らず、図3(c)(d)に示すように、凸状や凹状に湾曲させてもよい。凹状に湾曲させる場合は、角の部分が脆弱となりやすく加工も難しいが、研磨液の巻き上げ防止効果は大きい。一方、凸状に湾曲させる場合は、研磨液の巻き上げ防止効果が低下するが、強度的には優れたものとなる。
【0053】
[上定盤の作用]
上定盤20を回転させながら研磨加工を行う場合、上定盤20の外周面20dに形成される斜面20eに着目すると、ここに発生する遠心力や周速は、外径の差によって下側ほど大きくなる。液体は、遠心力の大きい方に流れる性質があり、また、何らかの外的要因が加わらない限りは周速の小さい方には流れない性質があるため、上定盤20の外周下端部付近に存在する研磨液は、遠心力又は周速の差によって上方への流動が制限される。これにより、研磨液は、上定盤20の外周面20dに巻き上がることなく、速やかに外方へ排出される。
また、上定盤20の外周面20dに飛散した研磨液も、遠心力又は周速の大きい下方に向かって強制的に流され、上定盤20の外周面20d上から速やかに排除される。
【0054】
このように、本発明の上定盤20によれば、上定盤20の外周面20dに形成される斜面20eにより、上定盤20の外周面20dに対する研磨液の巻き上がり及び付着が防止される。したがって、上定盤20の外周面20dに研磨液が付着して滞り、その乾燥によって研磨粒子が凝集固着するという問題が解消される。
【0055】
[下定盤の外周面形状]
つぎに、本発明に係る研磨装置の特徴部分である下定盤10の外周面形状について、図面を参照して説明する。
図5は、下定盤の外周面形状を示す断面図である。
【0056】
図1及び図5に示すように、下定盤10は、垂直軸Aを中心として回転される円盤状の部材であり、その外周部には、上面10aの外端から下方に連続する外周面10cが形成されている。本発明の下定盤10は、外周面10cの少なくとも上端部に、下側ほど外方へ広がるスカート状の斜面10dを有している。この斜面10dは、外周面10cの全周にわたって形成されており、後述する作用によって、研磨液の付着を効果的に抑制するものである。
【0057】
つまり、本発明の下定盤10では、外周面10cの上端部と、上面10aの外端部とのなす角度が、従来のように垂直ではなく、90゜以上の角度となっている。この角度は、好ましくは95゜〜135゜である。特に、図1に示すような研磨装置では、下定盤10の外方に内歯歯車40が存在するため、上記の角度を大きくすると、清掃が困難になるだけでなく、研磨装置の大型化をまねくことになる。したがって、上記の角度は、本発明の効果が十分に得られる範囲で、可及的に小さくすることが好ましい。
【0058】
斜面10dは、外周面10cの上端から始まり、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい高さまで至るように形成されることが好ましい。図5(a)に示すように、外周面10cの全体を斜面10dにしてもよく、図5(b)、(c)に示すように、外周面10cの上端側だけに斜面10dを形成してもよい。外周面10cの上端側だけに斜面10dを形成する場合は、研磨条件や装置の構成にもよるが、通常、外周面10cの上端から1cm以上、好ましくは5cm以上の範囲に斜面10dを形成する。
【0059】
本発明は、図4に示すように、下定盤10と下部支持部材12との間に、冷却用部材14が設けられた研磨装置でも実施することが可能である。冷却用部材14は、研磨領域に発生する摩擦熱を、流路14aを流れる冷却媒体によって効果的に放熱するために設けられるものであり、水平断面形状が下定盤10とほぼ同じものが用いられる。
このような研磨装置で本発明を実施する場合は、図4に示すように、下定盤10の外周面10cだけに斜面10dを形成してもよいが、冷却用部材14の外周面14bに、下定盤10側の斜面10dに連続する斜面を形成してもよい。
【0060】
上記のような斜面10dは、下定盤10の外周面10cに、研削などの機械加工で形成することができる。斜面10dの形状は、垂直断面で直線となるものに限らず、図5(d)(e)に示すように、凸状や凹状に湾曲させてもよい。
【0061】
[下定盤の作用]
下定盤10を回転させながら研磨加工を行う場合、下定盤10上に供給された研磨液は、下定盤10の外周面10cを通って下方へ排出される。したがって、研磨加工中においては、下定盤10の外周面10cが研磨液で濡れており、研磨粒子の凝集固着が発生する可能性は低い。
しかしながら、下定盤10の回転を停止させた際に、下定盤10の外周面10cに研磨液が付着していると、これが乾燥して研磨粒子の凝集固着が発生する可能性がある。
【0062】
下定盤10を回転させながら研磨加工を行う場合、下定盤10の外周面10cに形成される斜面10dに着目すると、ここに発生する遠心力や周速は、外径の差によって下側ほど大きくなる。液体は、遠心力の大きい方に流れる性質があり、また、何らかの外的要因が加わらない限りは周速の小さい方には流れない性質があるため、下定盤10の外周面10c(斜面10d)に存在する研磨液は、遠心力又は周速の差により、下方に向かって強制的に流され、下定盤10の外周面10c上から速やかに排除される。これにより、下定盤10の回転を停止させた際、下定盤10の外周面10cに多くの研磨液が滞ることを防止できる。
【0063】
このように、本発明の下定盤10によれば、下定盤10の外周面10cに形成される斜面10dにより、下定盤10の外周面10cにおける研磨液の停滞が防止される。したがって、下定盤10の回転を停止させた後も、下定盤10の外周面10cに多くの研磨液が滞り、その乾燥によって研磨粒子が凝集固着するという問題が解消される。
【0064】
[上下定盤の内周面形状]
なお、以上の説明では、上定盤20の内周面形状や下定盤10の内周面形状に言及していないが、上定盤20の内周面形状や下定盤10の内周面形状は、以下のような形状とすることが好ましい。
【0065】
図6は、上定盤及び下定盤の内周面形状を示す断面図である。
この図に示すように、上定盤20には、円形の中心孔20fを囲む内周面20gが形成されている。内周面20gは、上側ほど外方へ広がる斜面であり、研磨液が上定盤20の内周面20gに巻き上がって付着し、凝集固着するのを防止する。
【0066】
また、下定盤10にも、円形の中心孔10eを囲む内周面10fが形成されている。内周面10fは、下側ほど外方へ広がる斜面であり、付着した研磨液を積極的に下方へ移動させる。これにより、下定盤10の内周面10fにおける研磨粒子の凝集固着が防止される。
【0067】
[研磨方法]
つぎに、本発明の研磨方法について説明する。
まず、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転が停止した状態で、上定盤20を上昇させ、下定盤10と上定盤20を離間させる。この状態で、キャリア50のワーク保持孔50aに被研磨加工物Wをセットする。
【0068】
上定盤20を下降させて、キャリア50に保持された被研磨加工物Wを上定盤20及び下定盤10で挟み、研磨液供給部60から研磨領域に研磨液を供給するとともに、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)を回転動作させ、被研磨加工物Wの研磨加工を開始する。
【0069】
被研磨加工物Wを保持したキャリア50は、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転動作に応じて、太陽歯車30の周囲を公転しつつ自転する(図2)。
歯車の駆動は、太陽歯車30、内歯歯車40の両方、又はいずれか一方でもよい。また、上定盤20、下定盤10の回転駆動は必要に応じて行う。ただし、回転駆動される定盤10、20は、本発明の外周形状を有するものとする。
【0070】
上定盤20を回転させながら、研磨加工を行った場合、上定盤20の外端部に到達した研磨液は、上定盤20の外周面20dに形成される斜面20eの作用によって、上定盤20の外周面20dに巻き上がることなく、外方へ排出される。上定盤20の外周面20dに飛散した研磨液も、ここに停滞することなく、斜面20eの作用によって、速やかに上定盤20の外周面10dから排除される。
【0071】
一方、下定盤10を回転させながら、研磨加工を行った場合、下定盤10の外周面10c上の研磨液は、下定盤10の外周面10cに形成される斜面10dの作用によって、速やかに下方に排出される。
【0072】
所定の時間(又は所定の研磨加工量)だけ加工を行った後、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転を停止するとともに、研磨液の供給を停止し、上定盤20を上昇させる。
研磨加工がなされた研磨加工品をキャリア50のワーク保持孔50aより搬出する。
【0073】
このような方法で研磨加工を行えば、上定盤20の外周面20dや下定盤10の外周面10cにおける研磨粒子の凝集固着を効果的に防止することができるため、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
また、上定盤20及び下定盤10の清掃が容易になるため、清掃による研磨加工作業の中断を抑制して、研磨加工の効率を向上させることが可能になる。
【0074】
[実施例]
図1に示す研磨装置において、被研磨加工物Wをフォトマスク用の合成石英ガラス基板とし、本発明の上定盤20及び下定盤10を用いて研磨加工を行った場合(本発明の研磨方法)と、従来の上定盤及び下定盤を用いて研磨加工を行った場合(従来の研磨方法)を比較した。
研磨液は、コロイダルシリカの粒子を、水を溶媒として分散させたものを使用した。各方法で基板を1000枚研磨加工し、研磨加工後の基板1000枚について欠陥を検査した。
【0075】
欠陥の検査は、特開平11−242001号公報に記載の検査方法で行った。この検査装置は、基板にレーザー光を導入して、これを全反射によって基板内に閉じ込め、欠陥により散乱されて基板より漏れ出た光を検出することにより、欠陥を検出する方法である。
このような検査方法により欠陥を検査し、大きさが0.1〜0.5μm以上の欠陥が1つでも発生した場合を傷の発生ありとした。
【0076】
まず、従来の研磨装置における、外周面が90゜である従来の上定盤及び下定盤を用いて従来の研磨方法により研磨加工を行ったところ、傷の発生は、1000枚中185枚であった(比較例)。
外周面20dに斜面20e(角度45゜、高さ1.5cm)が形成された本発明の上定盤20と、外周面が90゜である従来の下定盤とを用いて、研磨加工を行ったところ、傷の発生が1000枚中30枚であり、傷の発生率が大幅に低下した。
【0077】
また、外周面10cに斜面10d(角度135゜、高さ5cm)が形成された本発明の下定盤10と、外周面が90゜である従来の上定盤とを用いて、研磨加工を行ったところ、傷の発生が1000枚中63枚であった。
また、外周面20dに斜面20e(角度45゜、高さ1.5cm)が形成された本発明の上定盤20と、外周面10cに斜面10d(角度135゜、高さ5cm)が形成された本発明の下定盤10とを用いて、研磨加工を行ったところ、傷の発生が1000枚中21枚であり、傷の発生率が更に低下した。
【0078】
基板1000枚の加工を行った後、上定盤20及び下定盤の清掃を行った。その結果、比較例に比べ、各実施例の研磨装置では、いずれも半分以下の時間で清掃を行うことができた。
【0079】
[マスクブランクス用ガラス基板の製造方法]
つぎに、本発明の研磨装置及び研磨方法が使用される例として、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を説明する。
図7は、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。
この図に示すように、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法には、研削工程(S101)と、粗研磨工程(S102)と、エッチング処理工程(S103)と、精密研磨工程(S104)と、欠陥検査工程(S105)とが含まれる。
【0080】
研削工程は、ガラス基板の表面を平坦にし、形状を整える工程である。例えば、碁盤の目のような溝を形成した鋳鉄定盤に、酸化アルミニウムの研削液を供給しながら、ガラス基板の研削加工が行われる。
粗研磨工程は、平坦性を維持又は向上させつつ、表面粗さを低減させる工程である。
例えば、研磨パッドとして硬質ポリシャ(ウレタンパッド)や、軟質ポリシャ(スウェードタイプ)を用い、水に酸化セリウムを分散させた研磨液を供給しながら、ガラス基板の研磨加工が行われる。
【0081】
エッチング処理工程は、ガラス基板の表面から深さ方向に延びているクラックをエッチング処理によって顕著化させる工程である。
例えば、ガラス基板を薬液に含浸し、ガラス基板の表面を約0.05nmエッチング除去することにより、ガラス基板の表面近傍に存在するクラックを顕著化させる。ここで、薬液としては、フッ酸などの酸性の溶液や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の溶液が挙げられる。
【0082】
精密研磨工程は、主に表面粗さを低減させる工程であり、粗研磨工程で使用する研磨粒子よりも小さな研磨粒子を用いて、ガラス基板を研磨する工程である。例えば、研磨パッドとして軟質ポリシャ(スウェードタイプ)を用い、水やアルカリ性の溶液にコロイダルシリカを分散させた研磨液を供給しながら、ガラス基板の研磨加工が行われる。
【0083】
欠陥検査工程は、精密研磨工程を行っても欠陥が取り除かれないガラス基板や、精密研磨工程で欠陥が生じたガラス基板を不良品として排除するために、ガラス基板の欠陥を検査する工程である。
例えば、光学的な検査方法を用いて、ガラス基板の表面に存在する欠陥を検査し、大きさが0.1〜0.5μm以上の欠陥が1つでも発見されたとき、不良品として排除される。
【0084】
前述した本発明の研磨方法は、上記の粗研磨工程や精密研磨工程で実施することができ、特に、最終的な研磨加工が行われる精密研磨工程で実施すると有用である。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明が前記実施形態に限定されないことは勿論である。
例えば、本発明の上定盤と下定盤を両方同時に備えることなく、いずれか一方のみを備えるものであってもよい。
また、両面研磨を行う研磨装置に限らず、片面のみを研磨する研磨装置にも適用することができる。
また、平板状の被研磨加工物を研磨加工する研磨装置に限らず、円筒状、円柱状の被研磨加工物を対象とし、その端面を研磨する研磨装置にも適用可能である。
【0086】
また、遊星歯車方式の研磨装置に限らず、片面研磨装置でも適用することができる。ちなみに、この方式は、上定盤の下面部に被研磨加工物を保持し、これに荷重をかけながら、下定盤に対して被研磨加工物を相対的に運動させることにより、研磨加工を行うものである。
【0087】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、上定盤の外周面や下定盤の外周面における研磨粒子の凝集固着を防止することにより、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができ、更には、上定盤や下定盤の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨装置の断面図である。
【図2】研磨装置の一部を省略した内部斜視図である。
【図3】上定盤の外周面形状を示す断面図である。
【図4】冷却用部材を備えた上定盤及び下定盤の断面図である。
【図5】下定盤の外周面形状を示す断面図である。
【図6】上定盤及び下定盤の内周面形状を示す断面図である。
【図7】マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
W 被研磨加工物
10 下定盤
10a 下面
10c 外周面
10d 斜面
20 上定盤
20a 下面
20d 外周面
20e 斜面
30 太陽歯車
40 内歯歯車
50 キャリア
60 研磨液供給部

Claims (5)

  1. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給するとともに、少なくとも前記上定盤を回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、
    前記上定盤が、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転される円盤状又は円柱状の部材であり、外周面の少なくとも下端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有することを特徴とする研磨装置。
  2. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給するとともに、少なくとも前記下定盤を回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、
    前記下定盤が、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転される円盤状又は円柱状の部材であり、外周面の少なくとも上端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有することを特徴とする研磨装置。
  3. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨方法であって、
    外周面の少なくとも下端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する円盤状又は円柱状の前記上定盤を用い、
    この上定盤を、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行うことを特徴とする研磨方法。
  4. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨方法であって、
    外周面の少なくとも上端部が、下側ほど外方へ広がる斜面を、ほぼ全周にわたって有する円盤状又は円柱状の前記下定盤を用い、
    この下定盤を、前記被研磨加工物の研磨面に対して垂直な垂直軸を中心として回転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行うことを特徴とする研磨方法。
  5. 請求項3又は4記載の研磨方法を用いて、マスクブランクス用基板を研磨する工程が含まれることを特徴とするマスクブランクス用基板の製造方法。
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