JP2004241184A - 電解質用組成物、高分子電解質とそれを用いた電池 - Google Patents

電解質用組成物、高分子電解質とそれを用いた電池 Download PDF

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康彦 大澤
Yasunari Hisamitsu
泰成 久光
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Abstract

【課題】3成分の高分子を用いた電解質用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含むことを特徴とする電解質用組成物。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3成分の高分子を用いる電解質用組成物、かかる組成物からなる高分子電解質およびその製造方法、及びかかる組成物を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電解液の漏洩がない、小型薄型化が可能な、形状自由性に優れる高分子電解質電池が注目されている。
【0003】
固体電解質の製造方法として、アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドと無機イオン塩とからなる組成物を活性光線の照射により硬化させてイオン伝導性固体電解質を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、かかる高分子として、架橋性ポリエーテル及びその架橋体も公知である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−94501号公報
【非特許文献1】
J.Electrochem.Soc.,145(1998)1521
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、イオン伝導性、粘着性、膜強度を十分に制御できる固体高分子電解質用組成物は存在していなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的はイオン伝導性を維持しつつ、粘着性、膜強度を制御できる固体高分子電解質用組成物を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、かかる電解質を用いた高分子電解質、その製造方法を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、かかる電解質を用いた電池を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含むことを特徴とする電解質用組成物、に関する。
【0011】
また、本発明は、前記電解質用組成物が架橋性基において架橋されてなることを特徴とする高分子電解質、に関する。
【0012】
さらに、本発明は、前記電解質用組成物を溶媒に溶解し、得られた溶液を架橋することを特徴とする高分子電解質の製造方法、に関する。
【0013】
また、本発明は、正極用の集電体上に正極層を形成し、負極用の集電体上に負極層を形成し、これらの電極で高分子電解質層をサンドイッチした構造の高分子電池において、負極層として前記電解質用組成物を含むカーボン電極を用いることを特徴とする高分子電池、に関する。
【0014】
さらに、本発明は、一枚の集電体の片方の面上に正極層を有し、他方の面上に負極層を有するバイポーラー電極を、高分子電解質層を介して積層してなるバイポーラー電池において、負極層として前記電解質用組成物を含むカーボン電極を用いることを特徴とするバイポーラー電池、に関する。
【0015】
【発明の効果】
本発明の電解質用組成物によれば、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含むので、イオン伝導機能を保持しつつ、膜を形成した場合に膜強度を飛躍的に高めることができる。
【0016】
また、本発明の高分子電解質によれば、前記電解質用組成物が架橋性基において架橋されているので、作業性がよく、得られた高分子電解質の熱的安定性を確保できる。かかる電解質は、電極内電解質相でのミクロ相分離相互侵入網目構造、粘着性、膜強度を制御できる。
【0017】
さらに、本発明の高分子電解質の製造方法によれば、組成物を溶媒に溶解し、得られた溶液を架橋するので、極めて簡便な手段により作業性がよく、熱的に安定な高分子電解質を得ることができる。
【0018】
また、本発明の高分子電池によれば、正極用の集電体上に正極層を形成し、負極用の集電体上に負極層を形成し、これらの電極で高分子電解質層をサンドイッチした構造の高分子電池において、負極層として前記電解質用組成物を含むカーボン電極を用いるので、反応性と耐久性のよい高分子電池を作製できる。
【0019】
さらに、本発明のバイポーラー電池によれば、一枚の集電体の片方の面上に正極層を有し、他方の面上に負極層を有するバイポーラー電極を、高分子電解質層を介して積層してなるバイポーラー電池において、負極層として前記電解質用組成物を含むカーボン電極を用いるので、反応性と耐久性のよいバイポーラー電池を作製できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
電池において、イオン伝導機能を維持しつつ、膜を作製した場合の膜の粘着性、膜強度を高めることに着目して検討を行なった。その結果、3種類の高分子であって、二種類が固相でも相互によく交じり合う大小分子量の異なるものと、これらの高分子とは固体では相溶しないが溶液状態では全てが溶けるもう一つの高分子を含む電解質用組成物が上記条件を満たすことを見出したものである。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を案出した。
【0021】
(電解質用組成物)
本発明の電解質用組成物は、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含んでいる。3成分の高分子を用いた高分子電解質の新しいコンセプトであり、これにより、イオン伝導機能を保持しつつ膜強度を飛躍的に高められ、電池製造上の作業性を大幅に向上できる。更に、膜の粘着性、新しいイオン伝導機構によるイオン伝導度向上の可能性がある。
【0022】
ここで、電解質塩とは極性溶媒中で解離しえるものであれば何ら制限されることなく使用できる。具体例としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩、これらの混合物に限定されることなく、アルキルアンモニウム塩、MBF(ただし、MはK、Na、NHである。)を挙げることができる。
【0023】
フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体とは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンを半分以上含むフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンなどの共重合体を挙げることができる。この重合体が高分子中に存在することにより、膜を作製した場合に膜強度を向上させる効果を有する。
【0024】
重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子において架橋可能な官能基とは、本発明の電解質用組成物をカーボン粒子または微粒子とともにカーボン電極を作製する際に、三次元網目構造を形成することによってカーボン電極の膜強度を高めることができれば何ら制限されることはない。ここで、架橋可能な官能基または架橋性基とは、三次元網目構造を形成するものであればよく、具体的にはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有するものである。三次元網目構造を形成することにより、得られたカーボン電極の強度を高めることができる。また、極性高分子とは、分子鎖中に酸素、窒素、イオウ、ハロゲンなどのヘテロ原子を含むものをいう。なかでも、ポリエーテル系高分子であることが好ましい。ここで、ポリエーテル系高分子とは、主鎖にエーテル結合(−R−O−R‘−)を有する化合物をいい、具体的にはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの共重合体を挙げることができる。重量平均分子量については、さらに、1000〜10000の範囲が好ましい。
【0025】
重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子において、架橋可能な官能基および極性高分子については前記重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子の場合と同じである。重量平均分子量については、さらに、150000〜1000000の範囲が好ましい。重量平均分子量をそれぞれ2万以下、10万以上に特定することによりはじめて、得られる電解質のイオン伝導性、粘着性、および膜強度を制御することができる。
【0026】
電解質用組成物中の成分の比率は、次のようにするとよい。フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と極性高分子の質量比は、5:95〜50:50が好ましい。さらに極性高分子内での質量比は、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子:重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子の質量比は、99:1〜20:80が好ましい。重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子の分子量が非常に大きい場合には少量の添加でも溶液の粘度が急激に増大し製造上の作業性が悪くなる。電解質塩と極性高分子の質量比については、例えばリチウム塩とポリエーテル系なら、エーテル酸素とリチウムの比が8:1〜32:1程度が好ましい。この範囲に設定することにより、より確実に、イオン伝導機能を維持しつつ、膜を作製した場合に膜強度を高めることが可能となる。
【0027】
また、本発明の電解質用組成物を用いて得られたカーボン電極を、電池の負極として利用することにより、反応性と耐久性のよい電池を作製できる。
【0028】
(高分子電解質)
本発明の高分子電解質は、前記電解質用組成物が架橋性基において架橋されている。具体的には、前記電解質用組成物を溶媒に溶解し、得られた溶液を架橋処理することにより高分子電解質が得られる。前記極性高分子のうち、特に低分子量のものは、炭素−炭素二重結合などの架橋性基により架橋できるので、作業性がよく、得られた高分子電解質が熱的にも安定性を確保できるので好ましい。また、この製造方法は、架橋の程度を変更することにより極性高分子のミクロ構造を制御できるので、より効果的な方法である。
【0029】
ここで、溶媒とは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などの有機溶媒を例示できる。溶媒の使用量は、電解質用組成物を溶解できればその量は特に制限されることはないが、通常、電解質用組成物100質量部に対し、20〜1000質量部の範囲である。
【0030】
架橋とは、必要に応じて光重合開始剤または熱重合開始剤の存在下で架橋可能な官能基を反応させるが、電解質膜を作製する場合には特に光重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤は、架橋反応を実施する前に電解質用組成物に添加し、十分に攪拌する。ここで、光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタールを例示できる。通常、電解質用組成物を溶媒で溶解した溶液は、ガラスなどの板に挟んで反応を行う。光重合を行う際には、紫外線、放射線、電子線などの光を照射しながら公知の方法を採用することができるが、なかでも紫外線を用いる方法が反応効率及び工程の簡素化の点から好ましい。なお、光重合開始剤の使用量は、電解質用組成物が十分に架橋反応をすれば特にその量は制限されることはないが、通常、電解質用組成物1質量部に対し、300ppm〜5000ppm質量部の範囲である。
【0031】
このように、本発明の高分子電解質は、電解質用組成物から極めて簡便な方法により得られ、電解質用組成物が架橋性基において架橋しているので得られた高分子電解質は熱的に非常に安定性を有する。固相でも相互によく交じり合う大小の分子量の異なる2種の高分子である相互侵入網目構造高分子のうち、特に低分子量のものは、炭素−炭素二重結合などの架橋性基により架橋して用いることが、作業性がよく、熱的にも安定性を確保できて好ましい。よって、かかる高分子電解質膜をイオン伝導層に用いれば、反応性および耐久性に優れた高分子電池を作業性よく製造できる。
【0032】
(固体高分子電池)
本発明の電解質組成物または高分子電解質は、カーボンと混合することによりカーボン負極に作製できるので、それを用いた高分子電池は反応性に優れている。上記の如く、高分子電解質として、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含む電解質用組成物とカーボン微粒子を原料にカーボン負極を作製すれば、反応性のよいポリマー電池を構成できる。図1は固体ポリマー電池の一例を示す断面模式図である。図1において、正極層12は正極集電体14に付着し、負極層16は負極集電体18に付着している。ここで、正極集電体14および負極集電体18は、それぞれ、端子の役割も担っている。正極層12と負極層16との間に、高分子電解質層19がサンドイッチされ、内面がポリプロピレンフィルムなどの絶縁材料で被覆されたアルミニウム、ステンレススチールなどのケース11に収められている。なお、正極集電体、正極層、高分子電解質、負極層、負極集電体を一つの単位として、目的に応じて適宜並列または直列に増加させることが可能である。端子はケースや外部との接触を避けるために、一部を絶縁材料で被覆してある(図示せず)。
【0033】
負極層としては、本発明の電解質用組成物を含むカーボン電極を用いるが、その他の部材については、リチウム電池の場合には、リチウムイオン電池で使用される材料を用いることができる。具体的には、次の材料を例示できる。負極集電体としては、銅、銀、ニッケル、ステンレススチールなどの箔を例示できる。使用できるカーボン微粒子は、充放電でリチウムイオンを挿入脱離しうるものであれば特に制限されることなく、公知のカーボン微粒子を用いることができる。カーボン微粒子の具体例としては、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンを挙げることができる。ここで、ソフトカーボンとは、例えば3,000℃の熱処理により黒鉛に変換できる炭素をいう。また、ハードカーボンとは前記熱処理によっても黒鉛に変換できない炭素をいう。また、カーボン微粒子の大きさは、リチウム電池に用いられるものであれば特に制限されることなく用いることができる。通常、平均直径が1〜20μmの範囲である。負極層の厚さは、通常、後述する正極層の厚さと同程度である。
【0034】
カーボン電極は例えば次のように作製できる。カーボン微粒子、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含む電解質用組成物を混合して、該架橋性基で架橋することにより、高分子電池用カーボン電極が得られる。電解質用組成物とカーボン微粒子との比率は電極として使用できれば特に制限はされることはないが、通常質量比で、電解質用組成物100に対し、カーボン微粒子を20〜300の範囲である。架橋は必要に応じて重合開始剤を用いる公知の方法で行なうことができる。一例を挙げれば、上記電極組成物に所定量のアゾビスイソブチロニトリルなどを熱重合性開始剤、およびNMPなどの溶媒を加え、十分に攪拌してスラリーを調製する。スラリーをステンレススチール製の箔などの集電体にコーターで塗布し、その後加熱乾燥してカーボン電極を作製する。このようにしてカーボン電極が得られるが、対極との電位差により、正極または負極として用いられる。
【0035】
正極層は、正極活物質、高分子固体電解質を含む。ここで、正極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を使用できる。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。この他、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。高分子固体電解質は、イオン伝導性を有する高分子であり、具体的には、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体などが挙げられる。さらに、ポリエーテル系高分子は、架橋性基を有するものが好ましい。ここで、架橋性基とは、三次元網目構造を形成するものであればよく、具体的にはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有するものである。三次元網目構造を形成することにより、得られたカーボン電極の強度を高めることができる。もちろん本発明の高分子電解質を用いても良い。
【0036】
この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩、電子伝導性を高めるために導電助剤などが含まれ得る。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0037】
正極層の厚さは、特に限定されるものではなく、電池の出力重視、エネルギー重視などの使用目的、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。通常、正極層の厚さは10〜500μmの範囲である。正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレススチールなどの箔を例示できる。正極は、正極活物質、高分子固体電解質などを使用する以外は,負極の製法に準じて作製する。
【0038】
高分子電解質層は、イオン伝導性を有する高分子から構成される層である。イオン伝導性を有する高分子の具体例として、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリエーテル系高分子、これらの共重合体が挙げられる。さらに、ポリエーテル系高分子は、架橋性基を有するものが好ましい。ここで、架橋性基とは、三次元網目構造を形成するものであればよく、具体的にはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素二重結合を有するものである。三次元網目構造を形成することにより、得られたカーボン電極の強度を高めることができる。また、高分子にリチウム塩などを溶解して用いることができる。ここで、リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが挙げられる。電池を構成する電解質の厚さは、特に制限されるものでない。しかしながら、コンパクトな電池を得るためには、電解質としての機能を確保できる範囲で極力薄くすることが好ましい。通常、固体高分子電解質の厚さは10〜100μmの範囲である。
【0039】
このようにして得られた正極、負極、固体高分子電解質からなる電池材料を、必要により、十分に真空下で加熱乾燥する。適当なサイズに切り出し、電池材料を積層し、その後ケースに収納する。その際、窒素ガス雰囲気などの不活性雰囲気中で行なうことが、寿命を延ばす点からも好ましい。
【0040】
(高分子バイポーラー電池)
本発明の電解質用組成物または高分子電解質は、カーボンと混合することによりカーボン負極に作製できるので、それを用いた高分子バイポーラー電池は反応性に優れている。上記の如く、高分子電解質として、電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含む電解質用組成物とカーボン微粒子を原料にカーボン負極を作製すれば、反応性のよいバイポーラー電池を構成できる。図2はバイポーラー電池の一例を示す断面模式図である。図2において、正極層22aは集電体である正極集電体24の片面に付着し、負極層26aは、別の集電体25において、正極層22bの付着していない他方の面に付着している。ここで、正極集電体24は端子の役割も担っている。正極層22aおよび負極層26aの間に高分子電解質層29aがサンドイッチされている。さらに、集電体25に付着した正極層22bと負極集電体28の負極層26bの間に高分子電解質層29bがサンドイッチされている。ここで、負極集電体28は端子の役割も担っている。上記の部材は、ケース21に収められている。正極層および負極層の付着した集電体および高分子電解質を一つの単位として、目的に応じて適宜直列に増加させることが可能である。なお、増加した場合、電池に関与しない、最外層の正極層、反対側の最外層の負極層は除かれている。端子はケースや外部との接触を避けるために、一部を絶縁材料で被覆してある(図示せず)。
【0041】
バイポーラー電池の材料として、集電体としてステンレススチール箔、負極として本発明の高分子電解質を用いたカーボン負極を用いる以外は、固体高分子電池で用いた材料と同じ材料を用いることができる。なお、正極の活物質としては、小粒径の活物質を用いると、より反応性に優れる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例について説明する。
【0043】
(高分子電解質用材料)
重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子としては、文献の方法に従って合成した重量平均分子量約8,000のポリエーテル形のネットワーク高分子を用いた(J. Electrochem. Soc., 145 (1998) 1521)(以後、この化合物を高分子Aと略称する。)。
【0044】
また、重量平均分子量10万以上の極性高分子としては、重量平均分子量約20万のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのモル比は10:1である。)を用いた(以後、この化合物を高分子Bと略称する。)。
【0045】
リチウム塩としては、LIN(SO)を用いた(以後、この塩をBETIと略称する。)。
【0046】
なお、ここで用いたバインダー高分子のPVDFは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体で、DSCによって測定した融点が140〜145℃であった。
【0047】
(実施例1〜4及び比較例1〜2)
高分子電解質膜の作製は次の如く行った。前記PVDFをNMP(N−メチルー2−ピロリドン)に溶解して10%溶液を調製した。電解質に加えるリチウム塩としては、BETIをポリエーテル形化合物中のエーテルの酸素とLiとのモル比が16:1となるようにして用いた。
【0048】
最初に、所定量のBETIを少量のNMPで溶解して、そこへ前記高分子Aと高分子Bを加えて十分に攪拌した。この溶液に、前記PVDF溶液を加え、さらに光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを高分子AとBとの総量の0.1質量%加え、ホモジナイザーで十分に攪拌した。得られた溶液をテフロン(登録商標)スペーサーで隙間を決めた2枚のスライドグラス間に満たし、紫外線で約20分間架橋した。得られた電解質膜を取り出し、剥離剤をコートしたPETフィルム上に移し、真空乾燥機を用い90℃で6時間乾燥した。さらに、高真空下において90℃で6時間乾燥した。
【0049】
(電解質膜の評価)
電解質膜の評価は次のように行った。最初に、イオン伝導度測定は、ステンレス製のディスク間に電解質膜をはさみ、交流法で室温で測定した。また、膜強度の測定は、ダンベル状の膜試料を作製し、引っ張り試験機を用いて行った。さらに、膜の粘着性は、強度の高い粘着膜に試料膜は貼り付けて、試料膜面同士を貼り付け、引っ張り試験を行い、ピーク点剥離荷重を測定した。
【0050】
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004241184
【0052】
比較例1,2に対し、実施例ではイオン伝導度をあまり犠牲にすることなく、膜強度を向上できた。膜強度が大きいので、膜が破れにくく、変形もしにくいといえる。一つの指標として、イオン伝導度と膜強度との積をとってみると、比較例に対し実施例が優れていることがわかる。さらに、本発明により粘着性を制御できる。
【0053】
(実施例5)
カーボン電極は次のように作製した。カーボン微粉末として、平均粒子径3μmの黒鉛を用いた。この電極活物質の質量%と、実施例1に記載の高分子電解質膜成分のうちバインダーと極性高分子AとBとの総量と、このカーボンとの組成比を5:4とした。また、熱重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を用いてスラリーを作製し、このスラリーをコーターで厚さ20μmのSUS316L製の箔上に塗布し、真空乾燥機を用い120℃で約5時間加熱乾燥して電極を作製した。このときの電極活物質層の厚さは25μmであった。
【0054】
この電極を直径15mmに打ち抜き、高真空下で90℃において6時間乾燥して電極試料とした。電解質膜として、前記高分子電解質膜を用い、対極にリチウム箔を用いて電池を構成した。図1にこの電池を模式的に示す。この電池を0.2Cで10時間充電(定電流一定電圧モードで5mV vs Li+/0)して、10分間の休止後、0.1Cで低電流放電を行った。この様式で、10回の充放電を行ったところ、初期の放電容量をほぼ90%保持できた。さらに、20回の充放電サイクル後に、比較例1,2の高分子電解質では、初期の容量の20%以下になったが、本願の高分子電解質を用いれば80%以上保持できた。
【0055】
上記のカーボン電極の反対側の面上に、同様にして、正極を形成し、1枚のバイポーラー電極を構成すれば、このようにして作製したバイポーラー電極を複数用いて、それらの間に前記高分子電解質膜を挿入すれば、図2に示すようなバイポーラー電池を構成できる。
【0056】
以上説明してきたように、本発明によれば、イオン伝導度をあまり犠牲にすることなく電解質膜の強度を向上できる。また、電池構成上重要な因子である膜の粘着性を制御できる。さらに、電極内の電解質として使用すると安定性のよいカーボン電極を構成できる。このカーボン電極と先の電解質膜を用いれば、作業性よくバイポーラー電池を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の固体ポリマー電池の一例を示す断面模式図である。
【図2】は、本発明のバイポーラー電池の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
11、21…ケース
12、22a、b…正極層
14、24…正極集電体
16、26a、b…負極層
18、28…負極集電体
19、29a、b…高分子電解質
25…集電体

Claims (6)

  1. 電解質塩と、フッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを主成分とする重合体と、重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子とを含むことを特徴とする電解質用組成物。
  2. 前記重量平均分子量2万以下の架橋可能な官能基を有する極性高分子と、重量平均分子量10万以上の架橋可能な官能基を有するあるいは有しない極性高分子との双方がポリエーテル系高分子であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電解質用組成物が架橋性基において架橋されてなることを特徴とする高分子電解質。
  4. 請求項1または請求項2に記載の組成物を溶媒に溶解し、得られた溶液を架橋することを特徴とする高分子電解質の製造方法。
  5. 正極用の集電体上に正極層を形成し、負極用の集電体上に負極層を形成し、これらの電極で高分子電解質層をサンドイッチした構造の高分子電池において、負極層として請求項1または請求項2に記載の電解質用組成物を含むカーボン電極を用いることを特徴とする高分子電池。
  6. 一枚の集電体の片方の面上に正極層を有し、他方の面上に負極層を有するバイポーラー電極を、高分子電解質層を介して積層してなるバイポーラー電池において、負極層として請求項1または請求項2に記載の電解質用組成物を含むカーボン電極を用いることを特徴とするバイポーラー電池。
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