JP2004241052A - 光磁気再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】迷光の影響によって光検出器の出力に生じるチャンネル間アンバランスを補正する。
【解決手段】光ディスク201上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とで、光検出器216、217からの出力レベルを検出する。また、フォーカス制御のデフォーカス時における光検出器出力レベルとフォーカス制御のオン時における光検出器出力レベルの変化量が、チャンネル間で一定となるように光検出器216、217の出力の差動バランスを調整する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気効果により情報の再生を行う光磁気再生方法及び装置に関し、特に、光検出器から得られる検出信号のチャンネル間オフセットの調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来例の光磁気記録再生装置の光学ピックアップ系を示す図である。
図11において、401は光磁気ディスク、402は対物レンズ、403はビームスプリッタ、404はコリメートレンズ、405は半導体レーザ、406は集光レンズ、407はλ/2板、408は偏光ビームスプリッタ、409、410は光検出器、411、412はアンプ、413は差動アンプである。
【0003】
半導体レーザ405から出射したレーザ光は、コリメートレンズ404により平行光にされた後、ビームスプリッタ403を介して対物レンズ402に入射する。対物レンズ402はレーザ光を集光し、光磁気ディスク401上に微小光スポットとして照射する。光磁気ディスク401から反射された光束は、対物レンズ402を通ってビームスプリッタ403に入射し、ビームスプリッタ403で入射光束と分離される。
【0004】
分離された反射光は集光レンズ406により絞られ、λ/2板407で反射光ビームの偏光面が45°回転させられ、更に、偏光ビームスプリッタ408によってP波偏光成分とS波偏光成分に分離される。分離されたP波偏光成分とS波偏光成分は光検出器410、411で検出され、受光量に応じた電流信号として出力される。得られた電気信号成分はアンプ411、412によってそれぞれ電流/電圧変換され、更に、差動アンプ413で各光検出器出力の差分を検知することで光磁気信号が得られる。
【0005】
ここで、各光検出器409、410から得られる電気信号には、ディスク反射率の変動やレーザノイズといった同相雑音成分が混入しているが、差動アンプ413によって同相除去される為、S/Nの良好な再生信号を検知出力することができる。
【0006】
ところで、P波偏光成分とS波偏光成分それぞれの光検出器から得られる電気信号は、光学ヘッドの透過効率バラツキ、位相差、カー回転角バラツキ、光検出器感度個体差や経時変化等によってチャンネル間アンバランス状態になる可能性がある。また、電流電圧変換アンプ411、412や後段の差動アンプ413の電気的誤差も無視できない為、同相雑音成分を十分に抑圧しきれない状況に陥る可能性がある。
【0007】
そこで、従来の光磁気記録再生装置では、このような光検出器出力信号のチャンネル間アンバランスを補正している。具体的には、所定光量を入射した際のアンプ411とアンプ412の出力であるIch、Jchのレベルをそれぞれ監視し、双方が等しくなるようにアンプ411又はアンプ412の増幅率を可変調整している。換言すれば、差動アンプ413の出力がゼロとなるようにアンプ411またはアンプ412の増幅率を増減することで、チャンネル間アンバランスを補正している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光検出器出力の差動バランス調整方法では、装置内で発生する迷光の影響によるチャンネル間オフセットの発生は考慮されておらず、高い調整精度が得られないという課題があった。
【0009】
特に、近年、光磁気記録媒体の高密度化・小径化が著しく進展し、カメラやムービーといったモバイル用途に向けた製品開発が注力されている。このような潮流のもと、従来に比べて光学ピックアップ・コンポーネント類の高密度化、並びに装置内の高充填設計が図られており、放射光束の散乱、屈折、反射等検出光学系に混入する迷光の影響でチャンネル間アンバランスが生じる傾向が高くなっている。
【0010】
図12は従来のアンバランス調整を説明する模式図である。図12はIchとJchの光検出器出力レベルを棒状にプロットしたものである。ここで、Jchには迷光が混入しており、L301なるレベルを有している。Ichには迷光が混入していない。従来、このIchとJchのバランス調整は各チャンネルレベルを同値L302に合致させるものであった。
【0011】
しかし、光磁気再生における情報成分は媒体からの反射光が全てであり、迷光によって生じたオフセットは一切情報に関与しない。よって、図12の例では、Jchが持つ本来の情報成分(L302−L301)がIch(L302)に比べて抑圧されたバランス調整を受けてしまう。その結果、後段の差分検出器出力でチャンネル間バランスが崩れ、同相雑音成分が残留してしまい、光磁気再生信号のS/N低下を起こしていた。
【0012】
このような迷光成分はレーザ強度や環境温度等によっても大きく変動し、光磁気再生レベルに対して数%から時には数十%に及ぶこともあり得る。従って、媒体や装置の製造固体差はもちろんのこと、媒体の局部的な汚れ、経時特性変化、環境温度変化といった動的変動に対して増減する迷光成分を考慮した的確なチャンネル間オフセットの調整が急務であった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、動的に変動する迷光成分に対し正確且つ短時間でチャンネル間オフセットの調整が可能な光磁気再生方法及び装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生方法において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とで、前記光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように前記光検出器出力の差動バランスを調整することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は本発明による光磁気記録再生装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。図1において、201は情報記録媒体であるところの光ディスクである。光ディスク201は磁壁移動型光磁気記録媒体とする。光ディスク201の記録領域は半径方向に複数のゾーンに分割されている。また、光ディスク201はサーボ制御部229により各ゾーンで線速度が一定となるよう回転駆動される。サーボ制御部229はスピンドルモータドライバー223を介してスピンドルモータ222を制御する。
【0017】
光ディスク201の上面には、ディスク面に近接して磁気ヘッド202が配置されている。磁気ヘッド202は情報記録時に磁気ヘッドドライバー203の駆動により記録信号に応じて変調された磁界を発生し、光ディスク201に印加する。磁気ヘッドドライバー203はタイミング制御部227からのロジック信号に応じて磁気ヘッド202に駆動電流を供給する。
【0018】
また、光ディスク201の下面には、磁気ヘッド202と対向して光学ヘッド240が配置されている。光学ヘッド240内には半導体レーザ209が設けられている。半導体レーザ209からの光束は、記録、再生、サーボ制御に用いられ、波長は660nmとする。半導体レーザ209はサーボ制御部229によってパワー強度が一定に制御され、LD(Laser Diode)ドライバー225によって駆動される。
【0019】
半導体レーザ209から発したレーザ光は集光レンズ208で平行光束にされた後、ビームスプリッタ207を経由して対物レンズ205に入射する。この入射光束は対物レンズ205で絞られ、微小光スポットとして光ディスク201に照射される。
【0020】
光ディスク201に照射されたレーザ光の一部はディスク面で反射され、再び対物レンズ205を通ってビームスプリッタ207に入射する。この入射光束はビームスプリッタ207で反射され、更に、ビームスプリッタ210によってサーボ検出光学系への光束と信号検出光学系への光束に分けられる。サーボ検出光学系は集光レンズ214、フォーカス制御用のシリンドリカルレンズ215、サーボ用光検出器220、I/V変換アンプ221で構成されている。サーボ検出用光検出器220の出力信号はI/V変換アンプ221によって光電流から電圧信号に変換され、サーボ制御部229に送られる。
【0021】
サーボ制御部229はサーボ検出信号をもとにフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を検出する回路を備えている。サーボ制御部229は得られたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてAT(Auto Tracking)/AF(Auto Focus)ドライバー224を制御する。
【0022】
一方、光学ヘッド240内には、対物レンズ205をフォーカス方向とトラッキング方向に駆動するためのアクチュエータ(204はその駆動コイル)が設けられている。AT/AFドライバー224はフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に応じて駆動コイル204を駆動し、対物レンズ205をフォーカス方向とトラッキング方向に位置を制御する。このようにして回転する光ディスク201に半導体レーザ209による光スポットが合焦するようにフォーカス制御を行いつつ情報トラックに追従するようにトラッキング制御を行う。また、サーボ制御部229はヘッド送り機構226を制御して光ヘッド240のシーク制御を行う。
【0023】
一方、光学ヘッド204内の信号検出光学系は、1/2波長板211、集光レンズ212、偏光ビームスプリッタ213、信号検出用の光検出器216、217、I/V変換アンプ218、219から構成されている。ビームスプリッタ210からの反射光は1/2波長板211で偏光方向が45度回転させられた後、集光レンズ212を通って偏光ビームスプリッタ213に導かれる。偏光ビームスプリッタ213は入射光束を偏光方向が互いに直交するP波偏光とS波偏光の2つの成分に分割する。
【0024】
この分割された信号成分は光検出器216、217で検出され、更に、この光検出器216と217の出力信号は、I/V変換アンプ231、232でそれぞれ電流電圧変換された後、マトリクス演算部206において加算、減算処理を行い、和信号218と差信号219の再生信号を生成する。これら和信号218、差信号219は再生信号処理部228に入力される。和信号218は光ディスク201のプリフォーマット領域の再生信号、差信号219はデータ領域の再生信号として用いられる。
【0025】
再生信号処理部228は入力された信号に対して信号振幅自動調整AGC(Auto Gain Control)、波形等化、アナログ/デジタル変換、データ検出、PLL(Phase Locked Loop)等の信号処理を行い、後段のディスクコントローラ230に信号検出データを出力する。
【0026】
ディスクコントローラ230はCPU(中央演算処理)、外部インタフェース、ECC(誤り訂正)、メモリ並びにメモリ制御、記録再生データの変復調回路等の機能を持っている。具体的には、外部とのインタフェース機能により内蔵のCPUと協働して、ユーザ指定コマンドを受信実行、或いは所定のプログラムを実行することにより記録再生動作を制御する。このようにディスクコントローラ230は装置全体を統括制御し、各シーケンス制御の中枢を担う。また、光ディスク201から得られる再生信号に基づいてディスク上のアドレス認識、データ変調・復調、ECC(誤り訂正)を実行する。
【0027】
タイミング制御部227はディスクコントローラ230で符号化された記録データを所定の記録タイミングで磁気ヘッドドライバー203に供給する。また、再生信号処理部228が必要とする各種タイミング信号を供給する。
【0028】
図2は光ディスク201の層構成を示す断面図である。光ディスク201は特開平6−290496号公報に記載されている媒体であり、磁壁移動再生(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)として知られる記録磁区の磁壁を移動させることによって光学的な検知限以下の微小マークを再生可能とするものである。ここでは、3層構造の光ディスクを用いている。
【0029】
具体的には、透明基板801上に干渉層である誘電体層802、第1の磁性層(移動層)803、第2の磁性層(スイッチング層)804、第3の磁性層(メモリ層)805、保護層として誘電体層806が順次積層された構成となっている。第1の磁性層803は周囲温度近傍において第3の磁性層805に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく、磁壁移動度の大きな磁性層から成り、第2の磁性層804は第1の磁性層803及び第3の磁性層805よりもキュリー温度の低い磁性層から成っている。第3の磁性層805は磁区の保存安定性に優れた通常の磁気記録層から成っている。
【0030】
透明基板801としては、例えば、ポリカーボネートを用い、その上に誘電体層802として、SiN層を80nm形成している。また、第1の磁性層803としてGdFeCo層を30nm、第2の磁性層804としてDyFeCo層を10nm、第3の磁性層805としてTbFeCo層を40nm順次スパッタリングで形成している。
【0031】
次に、磁壁移動再生の動作原理について図3を用いて説明する。光ディスク201は図2と同様に記録マークの保存を司るメモリ層(第3の磁性層805)、磁壁が移動し再生信号検出に直接寄与する移動層(第1の磁性層803)、メモリ層と移動層の結合状態をスイッチするスイッチング層(第2の磁性層804)の3層構造とする。図3(a)は移動層の磁区パターンをトラック上面から見た図である。情報トラックは各トラック間で互いに磁気的に分断されている。
【0032】
図3(b)はディスク磁性層の断面図であり、上から順に移動層、スイッチング層、メモリ層の状態を示している。各層中の矢印は原子スピンの向きを表している。このスピンの向きによって、“0”又は“1”の情報信号を表現している。スピン向きが互いに逆向きの領域の境界部には磁壁が形成されている。
【0033】
図3(c)は再生信号の波形、図3(d)は光ビームの照射により昇温して形成された磁性層の温度分布を示す。温度分布は光ビームスポットの進行方向手前から温度が上昇し、光ビームスポット中心後方に温度のピークが出現する曲線となっている。
【0034】
情報を再生する場合には、図3(a)に示すように光ビームスポットが矢印方向に定速で移動する。光ビームスポットの中心から遅れた位置にスイッチング層のキュリー温度Ts等温線が楕円状に形成される。ここで、図3(a)に示すTs等温線外側の領域、即ち、スイッチング層がキュリー温度に達しない領域においては移動層はスイッチング層を介して磁壁抗磁力が大きなメモリ層と交換結合されているため、移動層の磁壁はメモリ層の対応する磁壁位置に固定されたままである。ところが、媒体が光ビーム照射によって昇温され、Ts等温線にさしかかると、スイッチング層はキュリー点に達して移動層とメモリ層の交換結合が切断された状態となる。即ち、このTs温度領域に記録マークの磁壁が到達すると同時に移動層の磁壁はより温度が高く磁壁エネルギー密度の小さな領域への瞬間的に移動する。
【0035】
この結果、メモリ層の磁区間隔、即ち、記録マーク長とは無関係に一定の長さに伸長した磁化領域が移動層に形成される。こうして移動層に拡大形成された磁区は、光ビームの反射光量の変化として検出される。そして、得られた再生信号振幅は記録マーク長によらず常に一定且つ最大の振幅となり、図3(c)に示すように矩形に近い波形を示す。以上述べた原理によって光ビームスポット径や対物レンズの開口数NA等に依存することなく、光学系回折限界以下の記録マークに対して非常に大きな再生信号振幅を得ることが可能となる。
【0036】
次に、マトリクス演算部206の機能について図面を用いて詳述する。図4はマトリクス演算部206の機能ブロック図である。同図において、502はバランス調整回路、505は加算器、506は減算器(差動アンプ)、507、508はA/D変換器である。
【0037】
まず、光ヘッド240から供給される光検出器216、217からの出力信号233、234をそれぞれIch、Jchと称する。この出力信号233、234はそれぞれバランス調整回路502a、502bに入力される。バランス調整回路502a、502bはディスクコントローラ230からの制御信号501に応じてバランス係数kを可変することによってIch、Jch各チャンネル間の出力バランス調整を行う。
【0038】
例えば、ディスクコントローラ230のCPUによってバランス係数kがk=0.1に設定されると、バランス調整器502aのゲインが1.1倍[=Ich×(1+0.1)]、バランス調整器502bのゲインが0.9倍[=Jch×(1−0.1)]に設定される。バランス調整器502a、502bの出力信号は後段のA/D変換器507、508においてIch信号、Jch信号それぞれにディジタル化され、信号504、信号503としてディスクコントローラ230に送出される。
【0039】
同時に、バランス調整回路502a、502bの出力はそれぞれ後段の加算器505、減算器506に出力される。ディスクコントローラ230はディジタル化されたバランス調整後の出力信号504、503を所定のレジスタに格納する。一方、加算器505はバランス調整回路502aと502bの出力信号の加算を行い、和信号218を出力する。減算器506はそれらの信号の減算を行い、差信号219を出力する。
【0040】
次に、オフセット調整の具体的手法について図5に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、ここでは、光ディスク201のミラー部等最大反射光量が得られる所定部位を再生し、その場合の光検出器の出力に基づいて差動バランスの調整を行う。まず、ステップS501で差動バランス係数kの初期値設定、即ち、ディスクコントローラ230内のCPUによって差動バランス調整回路502に差動バランス係数kの初期値、k=0を設定する。
【0041】
次いで、ステップS502でデフォーカスモードとする。即ち、AF機能(オートフォーカス)等をオンし、ディスク回転数の制御、レーザパワー照射を行い、その後、光ディスク201面上へのレーザ集光を行うAF機能をオフにし、レーザ集光を光ディスク201面上で非合焦とする。非合焦とは、フォーカスエラー信号が得られないところまで対物レンズ205を光ディスク面上から離す、もしくは近づけたポジションに固定することである。
【0042】
この状態で、ステップS503において光ディスク201のミラー部等最大反射光量が得られる所定位置を再生し、その時の光検出器の出力値I、Jの検出・格納を行う。即ち、デフォーカス状態で光ヘッド240からの信号233(Ich)と234(Jch)がそれぞれバランス調整回路502a、502bを経由してA/D変換器507、508でディジタル化され、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I、Jとして格納される。この時のバランス係数kはステップS501で設定した通り、k=0である。
【0043】
次いで、ステップS504でフォーカスモード、即ち、レーザ光束の焦点サーボ、AF(オートフォーカス)機能をオンし、光学ヘッド240からの光スポットを光ディスク201面上に合焦状態とする。
【0044】
この状態で、ステップS505で光検出器の出力値I、Jの検出・格納を行う。この時の光ディスク201の再生位置はデフォーカス状態の場合と同じである。即ち、光ヘッド240からの信号233(Ich)と234(Jch)がそれぞれバランス調整回路502a、502bを経由してA/D変換器507、508でディジタル化され、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I、Jとして格納される。この時のバランス係数kもステップS501で設定した通り、k=0である。
【0045】
この後、ステップS506でディスクコントローラ230内のCPUによって差動バランス係数kの算出を行う。即ち、CPUレジスタに格納されたI、J、I、Jを用いて、
(1+k)−I=J(1−k)−J …(1)
を満足するkの値を算出する。
【0046】
式(1)は図6に示すようにデフォーカス状態(ステップS502)における光検出器出力と、フォーカスオン状態(ステップS504)における光検出器出力のIchとJchの各変位量が等しくなるようにバランス調整係数kの値を設定するものである。即ち、
Ich変位量:フォーカスオン時のI−デフォーカス時のI
=Jch変位量:フォーカスオン時のJ−デフォーカス時のJ
を満足するバランス係数kの値を算出する。
【0047】
これは、式(1)をkについて変形して得られる式(2)によってkの値が求められる。
【0048】
k=〔(I−J)−(I−J)〕/(I+J) …(2)
最後に、ステップS507において差動バランス係数kの更新を行う。即ち、得られた差動バランス係数kの値が、ディスクコントローラ230によってバランス調整回路502a、502bに設定される。以上によりオフセット調整を完了する。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のオフセット調整方法は光検出器出力信号のIch、Jch各レベルをそれぞれ検出し、最適なバランス係数kを決定するものである。第2の実施形態では、マトリクス演算部206における差信号219を監視して、最適なバランス係数kを決定する。なお、第2の実施形態の装置全体の構成、マトリクス演算部206の構成、光ディスク201の構成等は第1の実施形態と同様である。
【0050】
次に、本実施形態のオフセット調整の具体的手法を図7に示すフローチャートを用いて詳述する。第2の実施形態においても光ディスク201のミラー部等最大反射光量が得られる所定部位を再生し、その場合の差信号レベルに基づいて差動バランスの調整を行う。
【0051】
まず、ステップS701で差動バランスkの初期値の設定を行う。即ち、ディスクコントローラ230内のCPUによってマトリクス運算部206内のバランス調整回路502a、502bにそれぞれ差動バランスkの初期値、k=0の設定を行う。
【0052】
次に、ステップS702でデフォーカスモードに設定する。即ち、第1の実施形態と同様にフォーカス制御等をオンし、ディスク回転数の制御、レーザパワー照射を行い、その後、光ディスク201面上へのレーザ集光を行うAF機能をオフし、レーザ集光を光ディスク201面上で非合焦とする。非合焦とは、フォーカスエラー信号が得られないところまで対物レンズ205をディスク面上から離す、もしくは近づけたポジションに固定することである。
【0053】
このデフォーカス状態で、ステップS703において光ディスク201のミラー部等最大反射光量が得られる所定位置を再生し、その時の差信号I−Jの検出・格納を行う。即ち、マトリクス演算部206における減算器506の出力である差信号219の出力レベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時、バランス係数kはステップS701で設定した通り、k=0である。
【0054】
次いで、ステップS704でフォーカスモードに設定する。即ち、レーザ光束の焦点サーボ、AF機能をオンにし、光ディスク201面上に光学ヘッド240からの光スポットを合焦状態とする。
【0055】
このフォーカス状態で、ステップS705において差信号出力値I−Jの検出・格納を行う。この時の光ディスク201の再生位置はデフォーカス状態の場合と同じである。即ち、光ディスク201の所定部位におけるマトリクス演算部206の差信号219のレベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時のバランス係数kもステップS701で設定した通り、k=0である。
【0056】
この後、ステップS706でディスクコントローラ230内のCPUによって差動バランス係数kの算出を行う。即ち、CPUレジスタに格納されたI−J、I−Jを用いて、
−J=(1+k)I−(1−k)J …(3)
を満足するkの値を算出する。
【0057】
式(3)は図8に示すようにデフォーカス状態(ステップS702)における差信号レベルと、フォーカスオン状態(ステップS704)における差信号レベルL901が等しくなるようにバランス調整係数kの値を設定するものである。即ち、L901=デフォーカス時:I−J=フォーカスオン時:I−J
を満足するバランス係数kの値を算出する。
【0058】
これは、式(3)をkについて変形して得られる式(2)によってkの値が求められる。
【0059】
k=〔(I−J)−(I−J)〕/(I+J) …(2)
次に、ステップS708で差動バランスkの更新を行う。即ち、ステップS707で得られた差動バランス係数kの値が、ディスクコントローラ230内のCPUによってバランス調整回路502a、502bに設定され、オフセット調整を完了する。
【0060】
このように本実施形態によれば、差動アンプの出力の差信号レベルを検出して差動バランスを調整しているので、光検出器出力のチャンネル間アンバランスを補正すると同時に差動アンプの電気的オフセットまでも含めてバランス補正効果が得られる。
【0061】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、光ディスク201上のミラー部等最大反射光量が得られる所定部位を再生した場合の光検出器出力レベルや差信号レベルに基づいてバランス係数kを決定している。第3の実施形態は再生信号に基づくオフセット調整であり、マトリクス演算部206における差信号219の平均DCレベルを監視して、最適なバランス係数kを決定する。
【0062】
次に、本実施形態のオフセット調整の具体的手法について図9に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、第3の実施形態の装置全体の構成、マトリクス演算部206の構成、或いは光ディスク201の構成等は第1の実施形態と同様である。
【0063】
まず、ステップS901でレーザパワーの設定を行う。即ち、ディスクコントローラ230によりサーボ制御部229を介してLDドライバー225を制御し、光学ヘッド240内の半導体レーザ209の再生レーザパワーを設定する。この際、再生パワーは図3のようなDWDD動作をさせない低パワー(例えば、1mW程度)に設定する。
【0064】
次に、ステップS902でディスクコントローラ230によって差動バランス係数の初期値設定を行う。即ち、ディスクコントローラ230内のCPUによってバランス調整回路502a、502bに差動バランス係数kの初期値、k=0を設定する。
【0065】
続いて、ステップS903でデフォーカスモードに設定する。即ち、第1、第2の実施形態と同様にフォーカス制御等をオンし、ディスク回転数の制御、レーザパワー照射を行い、その後、光ディスク201面上へのレーザ集光を行うAF(オートフォーカス)機能をオフし、レーザ集光を光ディスク201面上で非合焦とする。非合焦とは、フォーカスエラー信号が得られないところまで対物レンズ205を光ディスク面上から離す、もしくは近づけたポジションに固定することである。
【0066】
このデフォーカス状態においてステップS904で減算器506の出力の差信号出力I−Jの検出・格納を行う。即ち、DWDD動作をしない再生パワーで光ディスク201のユーザデータ領域を再生し、このユーザデータ領域でマトリクス演算部206における減算器506の出力の差信号219の平均DCレベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時、バランス係数kはステップS902で設定した通り、k=0である。
【0067】
次に、ステップS905でフォーカスモードに設定する。即ち、レーザ光束の焦点サーボ、AF(オートフォーカス)機能をオンし、光ディスク201面上に光スポットを合焦状態とする。
【0068】
このフォーカス状態で、ステップS906で差信号出力値I−Jの検出・格納を行う。この時の光ディスク201の再生位置はデフォーカス状態の場合と同じである。即ち、光ディスク201のユーザデータ領域でマトリクス演算部206の減算器506出力の差信号219の平均DCレベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時、バランス係数kはステップS902で設定した通り、k=0である。
【0069】
次いで、ステップS907でディスクコントローラ230内のCPUによって差動バランス係数kを算出する。即ち、CPUレジスタに格納されたI−J、I−Jを用いて、
−J=(1+k)I−(1−k)J …(3)
を満足するkの値を算出する。
【0070】
式(3)は図8に示すようにデフォーカス状態(ステップS903)における差信号レベルと、フォーカスオン状態(ステップS905)における差信号レベルL901が等しくなるようにバランス調整係数kの値を設定するものである。即ち、L901=デフォーカス時:I−J=フォーカスオン時:I−J
を満足するバランス係数kの値を算出する。
【0071】
これは、式(3)をkについて変形して得られる式(2)によってkの値が求められる。
【0072】
k=〔(I−J)−(I−J)〕/(I+J) …(2)
次に、ステップS908で差動バランス係数kの更新を行う。即ち、ステップS907で得られた差動バランス係数:kの値が、ディスクコントローラ230内のCPUによってバランス調整回路502a、502bに設定され、オフセット調整を完了する。
【0073】
本実施形態では、差動バランス調整時のデータ再生においてDWDD動作をしない低レーザパワーを用いることが特徴であり、光ディスク201上のユーザデータ領域であってもユーザデータの影響を受けずに、差動バランス調整を行う事が可能である。なお、第3の実施形態では、差動アンプ出力の差信号を検出して差動バランスを調整しているが、第1の実施形態と同様に光検出器出力を検出し、デフォーカス状態とフォーカスオン状態とで、光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように差動バランスを調整しても良い。
【0074】
(第4の実施形態)
第4の実施形形態では、光ディスク201上に特定パターン信号の試し書きを行い、その記録データを再生することによって差動バランスの調整を行う。また、第3の実施形態と同様にマトリクス演算部206の差信号219の平均DCレベルを監視して、最適バランス係数kを決定する。
【0075】
本実施形態形のオフセット調整の具体的手法について図10に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、第4の実施形態の装置全体の構成、マトリクス演算部206の構成、或いは光ディスク201の構成等は第1の実施形態と同様である。
【0076】
まず、ステップS1001において光ディスク201の所定領域に特定パターン信号の記録を行う。即ち、ディスクコントローラ230によりサーボ制御部229やタイミング制御部227等の各部を制御して特定パターン信号を光ディスク201の所定の領域に記録する。特定パターンとしては、例えば、PLL引き込み用に配置された所謂VFOパターンに相当するデューティ比50%の信号とする。
【0077】
次に、ステップS1002でレーザパワーの設定を行う。即ち、ディスクコントローラ230により各部を制御して再生レーザパワーを磁壁移動が可能なDWDD再生パワーに設定する。
【0078】
次いで、ステップS1003で差動バランス係数の初期値設定を行う。即ち、ディスクコントローラ230内のCPUによってバランス調整回路502a、502bにバランス係数kの初期値、k=0を設定する。
【0079】
続いて、ステップS1004でデフォーカスモードに設定する。即ち、フォーカス制御等をオンし、ディスク回転数の制御、レーザパワー照射を行い、その後、光ディスク201面上へのレーザ集光を行うAF機能をオフし、レーザ集光を光ディスク201面上で非合焦とする。非合焦とは、フォーカスエラー信号が得られないところまで対物レンズ205をディスク面上から離す、もしくは近づけたポジションに固定することである。
【0080】
このデフォーカス状態においてステップS1005で減算器506出力の差信号出力I−Jの検出・格納を行う。この時の光ディスク201の再生位置はステップS1001で特定パターン信号を記録した位置である。即ち、この光ディスク201の所定位置を再生し、マトリクス演算部206における差信号219の平均DCレベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時、バランス係数kはステップS1003で設定した通り、k=0である。
【0081】
続いて、ステップS1006でフォーカスモードに設定する。即ち、レーザ光束の焦点サーボ、AF(オートフォーカス)機能をオンし、光ディスク201面上に光スポットを合焦状態とする。
【0082】
このフォーカス状態においてステップS1007で光検出器出力値I−Jの検出・格納を行う。この時の光ディスク201の再生位置はデフォーカス状態の場合と同じ特定パターン信号の記録位置であり、この記録位置を再生して、光ディスク201の所定部位におけるマトリクス演算部206の差信号219の平均DCレベルを検出し、ディスクコントローラ230のCPUレジスタに検出値I−Jとして格納する。この時、バランス係数kはステップS1003で設定した通り、k=0である。
【0083】
次に、ステップS1008でディスクコントローラ230内のCPUによって差動バランス係数kの算出を行う。これは、CPUレジスタに格納されたI−J、I−Jを用いて、
−J=(1+k)I−(1−k)J …(3)
を満足するkの値を算出する。
【0084】
式(3)は図8に示すようにデフォーカス状態(ステップS1004)における差信号レベルと、フォーカスオン状態(ステップS1006)における差信号レベルL901が等しくなるようにバランス調係数kの値を設定するものである。即ち、L901=デフォーカス時:I−J=フォーカスオン時:I−J
を満足するバランス係数kの値を算出する。
【0085】
これは、式(3)をkについて変形して得られる式(2)によってkの値が求められる。
【0086】
k=〔(I−J)−(I−J)〕/(I+J) …(2)
次に、ステップS1009で差動バランス係数kの更新を行う。即ち、ステップS1008で得られた差動バランス係数kの値が、ディスクコントローラ230内のCPUによってバランス調整回路502a、502bに設定され、オフセット調整を完了する。
【0087】
このように第4の実施形態では、DCフリーである特定パターン信号を再生することによって差動バランス調整を行っている。従って、このようなDCフリーの既記録済みデータを用いることにより、それを再生しながら同時に差動バランス調整を行うことが可能である。
【0088】
また、第4の実施形態では、特定パターンの再生信号をもとにバランス調整を実施したが、通常の光磁気記録再生方式における変調方式を用いたユーザデータの再生信号であっても、当該変調方式が有する既知のDCオフセット値を補正することによって完全DCフリー信号を用いた調整方法とほぼ同様の差動バランス調整を行うことができる。つまり、通常の光磁気記録再生方式ではユーザデータにDCフリーの信号(上下対称でオフセットがない)はないが、その既知の変調方式でDCオフセット値は分かっているので、それをキャンセルするように補正することで、従来の光磁気記録再生方式にも本発明の差動バランス調整方法を用いることができる。
【0089】
なお、第4の実施形態では、差動アンプ出力の差信号を検出して差動バランスを調整しているが、第1の実施形態と同様に光検出器出力を検出し、デフォーカス状態とフォーカスオン状態とで、光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように差動バランスを調整しても良い。
【0090】
ここで、第1〜第4の実施形態においてオフセット調整のタイミングはディスクコントローラ230によって統括され、装置電源立上げ直後、光ディスク入れ替え直後、更にはモバイル運用時の急激な環境変化に備えて定期的にバランス調整を行っても良いことは勿論である。
【0091】
また、第1〜第4の実施形態では、ハードウェアを踏まえた構成について説明したが、これに制約されることなく、ソフトウェアによるプログラム処理によっても実現可能である。
【0092】
次に、本発明の実施態様を列挙する。
【0093】
(実施態様1)
光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生方法において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とで、前記光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように前記光検出器出力の差動バランスを調整することを特徴とする光磁気再生方法。
【0094】
(実施態様2)
光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動アンプで差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生方法において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とで、前記差動アンプの差信号レベルが略等しくなるように前記光検出器出力の差動バランスを調整することを特徴とする光磁気再生方法。
【0095】
(実施態様3)
前記記録媒体は磁壁移動型光磁気記録媒体であり、前記光検出器の出力レベルの検出は、前記記録媒体のプリピット部を再生する際に行うことを特徴とする実施態様1に記載の光磁気再生方法。
【0096】
(実施態様4)
前記記録媒体は磁壁移動型光磁気記録媒体であり、前記差動アンプの差信号レベルの検出は、前記記録媒体のプリピット部を再生する際に行うことを特徴とする実施態様2に記載の光磁気再生方法。
【0097】
(実施態様5)
前記記録媒体は磁壁移動型光磁気記録媒体であり、前記光検出器の出力レベルの検出は前記記録媒体のユーザデータ領域において磁壁の移動を生じさせない再生パワーで行うことを特徴とする実施態様1に記載の光磁気再生方法。
【0098】
(実施態様6)
前記記録媒体は磁壁移動型光磁気記録媒体であり、前記差動アンプの差信号レベルの検出は前記記録媒体のユーザデータ領域において磁壁の移動を生じさせない再生パワーで行うことを特徴とする実施態様2に記載の光磁気再生方法。
【0099】
(実施態様7)
前記光検出器の出力レベルの検出は、前記記録媒体上に記録されたDCフリーの信号を再生し、その再生信号のDC成分を検出することにより行うことを特徴とする実施態様1に記載の光磁気再生方法。
【0100】
(実施態様8)
前記差動アンプの差信号レベルの検出は、前記記録媒体上に記録されたDCフリーの信号を再生し、その再生信号のDC成分を検出することにより行うことを特徴とする実施態様2に記載の光磁気再生方法。
【0101】
(実施態様9)
前記差動バランスの調整は、装置起動時或いは任意のタイミングで行うことを特徴とする実施態様1〜8のいずれか1項に記載の光磁気再生方法。
【0102】
(実施態様10)
光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生装置において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とに切り替える手段と、前記フォーカス制御をデフォーカスにした状態とフォーカス制御をオンにした状態とで、前記光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように前記光検出器出力の差動バランスを調整する手段とを備えたことを特徴とする光磁気再生装置。
【0103】
(実施態様11)
光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動アンプにより差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生装置において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とに切り替える手段と、前記フォーカス制御をデフォーカスにした状態とフォーカス制御をオンにした状態とで、前記差動アンプの差信号レベルが略等しくなるように前記光検出器出力の差動バランスを調整する手段とを備えたことを特徴とする光磁気再生装置。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ディスク媒体やドライブ装置の製造固体差はもちろんのこと、ディスク媒体の局部的な汚れ、経時特性変化或いは環境温度変化といった動的変動に起因する迷光を含んだチャンネル間オフセットに対して、短時間で高精度のバランス調整を行うことができる。従って、モバイル運用といった過酷な条件下でも、高S/Nで信頼性の高い情報再生信号を得ることができる。
【0105】
また、DCフリーとなる特定パターンの再生信号或いはユーザデータを指標としてオフセット調整を行うことにより、再生動作を行いながら同時に迷光の影響を含めた光検出器出力のチャンネル間オフセットの補正を行うことができる。更に、磁壁移動型光磁気記録媒体を用いた場合、磁壁の移動を生じさせない低パワーの再生用光ビームの照射によってオフセット調整を行うことにより、ユーザデータ領域であっても定期的なチャンネル間オフセット調整を高精度で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に用いる光ディスクの層構成を示す断面図である。
【図3】磁壁移動再生方法を説明する図である。
【図4】図1のマトリクス演算部を示す回路図である。
【図5】第1の実施形態のオフセット調整動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態のオフセット調整を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態のオフセット調整動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態のオフセット調整を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態のオフセット調整動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態のオフセット調整動作を示すフローチャートである。
【図11】従来例の光学ピックアップを示す構成図である。
【図12】従来例のオフセット調整方法を説明する図である。
【符号の説明】
201 光ディスク
202 磁気ヘッド
203 磁気ヘッドドライバー
204 駆動コイル
205 対物レンズ
207、210 ビームスプリッタ
208、212、214 集光レンズ
209 半導体レーザ
211 1/2波長板
213 偏光ビームスプリッタ
215 シリンドリカルレンズ
216、217、220 光検出器
221、231、232 I/V変換アンプ
222 スピンドルモータ
223 スピンドルモータドライバー
224 AT/AFドライバー
225 LDドライバー
226 ヘッド送り機構
227 タイミング制御部
228 再生信号処理部
229 サーボ制御部
230 ディスクコントローラ
206 マトリクス演算部
501、502a、502b バランス調整回路
505 加算器
506 減算器
507、508 A/D変換器

Claims (1)

  1. 光磁気記録媒体に照射した光スポットの反射光を偏光方向の異なる2つの偏光成分に分離し、分離した2つの偏光成分をそれぞれ光検出器で検出し、各光検出器の出力を差動検出することによって情報の検出を行う光磁気再生方法において、前記記録媒体上の光スポットのフォーカス制御をデフォーカスにした状態と、フォーカス制御をオンにした状態とで、前記光検出器の出力レベルの変化量がチャンネル間で一定となるように前記光検出器出力の差動バランスを調整することを特徴とする光磁気再生方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020103464A1 (zh) * 2018-11-22 2020-05-28 中国银联股份有限公司 一种机房设备异常灯的识别方法以及识别系统

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