JP2004239549A - 衣類乾燥装置 - Google Patents

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Shigeharu Nakamoto
重陽 中本
Hidetaka Yabuuchi
秀隆 藪内
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己紀夫 田原
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Abstract

【課題】投入した熱量を有効に衣類に与えるとともに、熱を外部に放出して、安全で安定したヒートポンプ装置の運転と、より省エネルギー化を実現する。
【解決手段】冷媒の熱を放熱器21から吸熱器23までの間で外部に放出する熱バランス手段29、35を設け、乾燥空気もしくはヒートポンプ装置の状態を検知する状態検知手段33の出力に基づいて前記熱バランス手段29、35の放熱量を制御するようにしたものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭で使用される洗濯と乾燥を同一槽で行う乾燥機能付き洗濯機、もしくは、乾燥のみを行う衣類乾燥機に具備される衣類乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣類を乾燥する機器としてはヒータを熱源にするもの以外に、ヒートポンプ装置を熱源に用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、前記特許文献1に記載された従来の衣類乾燥装置の構成を示すものである。以下、その構成について説明する。
【0004】
図6において、1は衣類乾燥機の本体、2は本体1内にて回転自在に設けられた乾燥庫として使用される回転ドラムで、モータ3によってドラムベルト4を介して駆動される。5は本体1の前面に設けた衣類投入口、6は循環ダクトで乾燥用空気を導く通路である。7は乾燥用空気を回転ドラム2から循環ダクト6へ送るための送風機であり、モータ3によってファンベルト8を介して駆動される。9は送風機7のケーシングであり、回転ドラム2の後面に設けられ、中央部には吸気口10を有している。11は回転ドラム2及び送風機7を回転自在に支持する軸である。
【0005】
12は冷媒を蒸発させ乾燥用空気を冷却除湿する吸熱器、13は冷媒を凝縮させ乾燥用空気を加熱する放熱器、14は冷媒を圧縮する圧縮機、15は冷媒の圧力を減圧して冷媒の圧力差を維持するためのキャピラリーチューブ等の絞り手段、16は冷媒が通る配管であり、上記吸熱器12、放熱器13、圧縮機14、絞り手段15、これらを連結する配管16でヒートポンプ装置を構成している。
【0006】
17は放熱器13で加熱された乾燥用空気の一部を本体1外へ排出するための排気口である。18はこの循環ダクト6の途中の吸熱器12の近くに設けた排水口であり、吸熱器12での熱交換で発生した乾燥用空気の結露水を排出する。19は乾燥すべき衣類である。
【0007】
ヒートポンプ装置を用いることによって、衣類19に当たった後の乾燥用空気から顕熱および潜熱を吸熱器12で回収し、放熱器13において再び乾燥用空気を加熱するための熱量に利用できるため、電熱ヒータによる加熱よりも少ない入力で同量の衣類を同じ時間で乾燥することが可能となる。さらに、家庭用コンセントの電流容量から、電熱ヒータでの出力可能な熱量は限界があるが、ヒートポンプ装置を用いれば、より少ない入力でより多くの出力が得られるため、より多くの加熱量で乾燥して時間短縮も実現できる。なお、矢印Aは乾燥用空気の流れを示している。
【0008】
次に、その動作を説明する。まず、乾燥すべき衣類19を回転ドラム2内に置く。次に、モータ3を回転させると、回転ドラム2及び送風機7が回転して乾燥用空気の流れAが生じる。乾燥用空気は、回転ドラム2内の衣類19から水分を奪って多湿となった後、送風機7により循環ダクト6内を通ってヒートポンプ装置の吸熱器12へ運ばれる。
【0009】
吸熱器12で低温の冷媒に熱を奪われた乾燥用空気は除湿され、更に放熱器13へ運ばれ、前記吸熱器12で吸熱された熱量に、圧縮機14からの熱量が加わって高温となった冷媒からの放熱で加熱され、再び回転ドラム2内へと循環される。以上の繰り返しで衣類19は乾燥していく。
【0010】
ここで、ヒートポンプ装置における冷媒の冷凍サイクルを考えると、放熱器13から乾燥用空気へ放出される熱量は、吸熱器12にて乾燥用空気から奪う熱量に、圧縮機14が消費する電力にほぼ相当する分だけ多くなるため、乾燥用空気をそのまま循環すると、乾燥用空気全体の持つ熱量が増えるとともに、ヒートポンプ装置内の冷媒の持つ熱量が増え、その圧力が高くなる。
【0011】
より高温高圧となった冷媒を圧縮するため、圧縮機14のモータ負荷が増えて、やがて限度を超える恐れがあり、通常は過負荷防止装置(図示せず)が作動して圧縮機14が停止する。過負荷防止装置が復帰するには時間がかかるため、その間ヒートポンプ装置が作動せず、乾燥が進まない。
【0012】
したがって、ヒートポンプ装置を安全に安定して運転するには、乾燥用空気の熱量の一部を本体1外へ排出しつつ乾燥を行わなくてはならない。従来例によれば、放熱器13から出た高温低湿の乾燥用空気の一部を排気口17から本体1の外へ排出することで、外部に最小限の水分しか漏らさずに熱を逃がすことで、安全で安定したヒートポンプ装置の運転を実現している。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−178289号公報(第2−4頁、第1図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、放熱器13で加熱した高温低湿の乾燥用空気の一部を衣類に当てる前に外部に排気する構成のため、結果的には、省エネ性を損ねているという課題を有していた。
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、投入した熱量を有効的に衣類に与えるとともに熱を外部に放出し、安全で安定したヒートポンプ装置の運転と、より高い省エネを実現することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、冷媒の熱を放熱器から吸熱器までの間で外部に放出する熱バランス手段を設け、乾燥空気もしくはヒートポンプ装置の状態を検知する状態検知手段の出力に基づいて前記熱バランス手段の放熱量を制御するようにしたものである。
【0017】
これにより、安全で安定したヒートポンプ装置の運転と、より高い省エネを実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、圧縮機と圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、乾燥用空気を前記放熱器を備えた加熱手段と衣類を入れた乾燥庫を経て前記吸熱器へと導き再び放熱器に戻す送風機および風路と、前記冷媒の熱の一部を前記放熱器通過後に吸熱器までの間で外部に放出する熱バランス手段と、乾燥空気もしくは前記ヒートポンプ装置の状態を検知する状態検知手段と、前記状態検知手段の出力に基づいて前記熱バランス手段の放熱量を制御する制御手段とを具備したものであり、圧縮機の入力や送風機の入力から得られる熱量と、周囲温度などに応じて変化する本体や各構成手段からの自然放熱量に対応して、熱バランス手段によって、放熱器で乾燥用空気に熱を与えた後の冷媒の有する熱量の一部を外部に放出する。
【0019】
従来例のように放熱器から熱を得て高温となった乾燥用空気の一部を衣類に当てる前に外部に排気することがなくて、冷媒の温度と圧力の過昇を抑え、圧縮機の過負荷を防いで、安全で安定したヒートポンプ装置の運転を可能として、より省エネ効果の高い乾燥ができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、乾燥開始時に熱バランス手段の放熱量を最小にし、その後、所定時間経過後、もしくは状態検知手段からの情報に応じて、放熱量を増加させるようにしたものであり、圧縮機や送風機の入力から得られる熱量と本体や各構成手段からの自然放熱される熱量とに対応して放熱量を増加させるもので、乾燥初期の乾燥空気や冷媒の温度の立ち上がり途中では、より速く温度が上昇するように熱バランス手段からの放熱量を最小限にする。よって放熱ロスが少なくなり、より省エネで乾燥を行うことが可能となる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、加熱手段は、放熱器以外にヒータを備え、制御手段は、乾燥開始時に前記ヒータを発熱させるとともに熱バランス手段の放熱量を最小にし、その後、所定時間経過後、もしくは状態検知手段からの情報に応じて、前記ヒータの発熱を停止するようにしたものであり、乾燥初期の乾燥空気や冷媒の温度の立ち上がり途中では、放熱器での加熱量にヒータでの加熱を加えて、より速く温度を上昇させる。この間、熱バランス手段からの放熱は最小であり、省エネで無駄なく温度上昇ができて、立ち上がり時間を短縮することで、より速く乾燥もできる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、冷媒は、超臨界状態で作用する冷媒を用いたものであり、放熱器における冷媒の温度を高く設定することが可能であり、よって、放熱器を通過する乾燥用空気も高温にできる。所定放熱量ではより高温の乾燥用空気の方が乾燥時間が短くなり、結果、トータルの必要エネルギーが少なくて済み、省エネになる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0024】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の衣類乾燥装置を示す系統図である。図1において、20は圧縮機、21は圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器、22は高圧の冷媒の圧力を減圧するための膨張弁、もしくは、キャピラリーチューブからなる絞り手段、23は減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器であり、圧縮機20、放熱器21、絞り手段22、吸熱器23を順に接続して再び圧縮機20に冷媒が循環するように管路24で連結したヒートポンプ装置を具備している。
【0025】
25は乾燥用空気を流す風路で、乾燥用空気を加熱する放熱器21を備えた加熱手段26と、衣類を入れた乾燥庫27と、乾燥用空気から吸熱する吸熱器23とを連結するように構成している。28は風路25に送風する送風機、29は放熱器21通過後、絞り手段22に至るまでの管路24に設けた熱バランス手段で、風路25の外部に、冷媒と外部空気を熱交換する熱交換器30と冷却用送風手段31を有しており、放熱器21で冷媒から乾燥用空気に熱を与えた後の管路24において、冷媒の熱の一部を外部に放出するものであり、冷媒の温度上昇を低減することができる。
【0026】
32は乾燥用空気の冷却によって発生した結露水の排水手段としての排水口である。なお、矢印Bは乾燥用空気の流れを示し、矢印Cは冷却用の外部空気の流れを示している。33はヒートポンプ装置の状態を検知する状態検知手段で、圧縮機20の冷媒吐出近くの管路24の表面温度を検知するサーミスタからなる。34は前記圧縮機20と送風機28と熱バランス手段29を制御する制御手段である。
【0027】
以上のように構成された衣類乾燥装置について、以下、その動作、作用を説明する。まず、乾燥を開始すると、送風機28と圧縮機20が作動する。送風機28によって乾燥用空気が放熱器21を通過して、放熱器21からの放熱で加熱されて、温風になって乾燥庫27に送られる。乾燥庫27内で衣類19と接触した乾燥用空気は衣類19から水分を奪って衣類19を乾燥する。
【0028】
乾燥用空気は、蒸発のための熱量として顕熱をあたえるため温度が低下するが、衣類から放出されたほぼ同等の潜熱を有する水蒸気を含んで高湿の空気となる。衣類19と接触する前後の乾燥用空気のエンタルピはほぼ一定である。高湿となった乾燥用空気は、吸熱器23において冷却され、潜熱を奪われ結露して除湿される。除湿されて絶対湿度が低下した乾燥用空気は、再び放熱器21で加熱される。
【0029】
一方、ヒートポンプ装置では、圧縮機20で圧縮された高温高圧の冷媒の熱が放熱器21で放熱される。さらに、放熱器21で冷媒から乾燥用空気に熱を与えた後の管路24において、熱バランス手段29の熱交換器30と冷却用送風手段31が冷媒と外部空気を熱交換し、冷媒の熱の一部を外部に放出する。
【0030】
次に、高圧の冷媒が絞り手段22で減圧されて低圧低温となり、吸熱器23で乾燥用空気から熱を奪い再び圧縮機20に戻る。冷媒によて吸熱器23で奪った熱量に圧縮機20の入力から得られる熱量を加えた熱量が、放熱器21から放出されるが、熱バランス手段29によって圧縮機20の入力に相当する熱量を予め外部に放出しているため、放熱器21からの放熱量は一定の値でバランスしている。
【0031】
熱バランス手段29から放熱器21通過後の管路24において、冷媒の熱の一部を外部に放出するので、従来例のように放熱器21から熱を得て高温となった乾燥用空気の一部を衣類19に当てる前に外部に排気するがことなくて、冷媒の温度と圧力の過昇を抑え、圧縮機20の過負荷を防いで、安全で安定したヒートポンプ装置の運転を可能としながら、より省エネ効果の高い乾燥ができる。
【0032】
なお、放熱器21および吸熱器23は、フィンチューブ型の熱交換器を図示しているが、その他チューブ管同士を連続接続した形状の熱交換器なども同様であり、熱交換器の形状を限定するものではない。状態検知手段34は、放熱器21を通る途中の管路24の表面温度を検知するサーミスタ、放熱器21通過直後の風路25内部に設置した乾燥用空気の温度を検知するサーミスタ、もしくは、圧縮機20の冷媒吐出近くの管路24内の圧力を検知する圧力センサでもよい。
【0033】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2の衣類乾燥装置を示す系統図である。なお、前記実施例1と同じ構成のものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
図2において、35は放熱器21通過後、絞り手段22に至るまでの管路24に設けた熱バランス手段で、冷媒と冷却水を熱交換する水タンク36と給水弁37を有している。熱交換後の冷却水は排水管38から排水口32に排水される。
【0035】
以上のように、放熱器21で冷媒から乾燥用空気に熱を与えた後の管路24において、冷媒の熱の一部を外部に放出するものであり、冷媒の温度上昇を低減することができる。
【0036】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3の衣類乾燥装置の制御手段のフローチャートである。なお、前記実施例1および2と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
制御手段34は、乾燥開始時に熱バランス手段29、35を停止するなど放熱量を最小にし、その後、所定時間経過後もしくは状態検知手段33からの乾燥空気の温度の情報に応じて放熱量を増加させ、その後、圧縮機20や送風機28の入力から得られる熱量と本体や各構成手段からの自然放熱される熱量とに対応して、状態検知手段33からの値が所定値で安定するように放熱量を制御するものである。図3で、制御手段34の動作を説明する。
【0038】
乾燥運転が開始されると、ステップS1で経過時間を測るため計時を開始し、ステップS2、S3で乾燥用の送風機28と圧縮機20を作動して乾燥を始める。ステップS4で熱バランス手段29、35の放熱量を最小にする。ステップS5で計時結果もしくは状態検知手段33からの情報を入力し、所定時間が経過したか、もしくは、乾燥用空気が所定温度に到達したかを判定する。
【0039】
乾燥工程の開始直後では、放熱器21の放熱が少なくて加熱が十分でないため、乾燥用空気は所定温度に到達していない。ステップS4とS5を繰り返して、所定時間経過後もしくは状態が所定値に達した場合は、ステップS6に移行する。ステップS6では、熱バランス手段29、35の放熱量を増加させる。ステップS7とS8とS9によって、状態検知手段の値が所定値で安定するように熱バランス手段29、35の放熱量を増減させ、ステップS10で、乾燥終了などの次のステップ移行の要求があるまでこれを続けるものである。
【0040】
以上のような動作によって、乾燥初期の乾燥空気や冷媒の温度の立ち上がり途中では、より速く温度が上昇するように熱バランス手段29、35からの放熱量を最小限にする。よって放熱ロスが少なくなり、より省エネで乾燥を行うことが可能となる。
【0041】
なお、本実施例では、状態検知手段33は、放熱器21通過直後の風路25内部に設置した乾燥用空気の温度を検知する場合を示したが、放熱器21を通る途中の管路24の表面温度を検知する、もしくは、圧縮機20の冷媒吐出近くの管路24内の圧力を検知する場合でも同様である。
【0042】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4の衣類乾燥装置の制御手段のフローチャートである。なお、前記実施例1〜3と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
加熱手段26は放熱器21以外に図2に示すような電気ヒータ39を備え、制御手段34は、乾燥開始時に該ヒータ39を発熱させるとともに熱バランス手段29、35の放熱量を最小にし、その後、所定時間経過後もしくは状態検知手段33からの情報に応じて、該ヒータ39の発熱を停止する制御を行うものである。
【0044】
図4で、制御手段34の動作を説明する。乾燥運転が開始されると、ステップS1で経過時間を測るため計時を開始し、ステップS2、S3で乾燥用の送風機28と圧縮機20を作動して乾燥を始める。ステップS4でヒータ39を作動させて加熱量を補う。ステップS5で熱バランス手段29、35の放熱量を最小にする。ステップS6で計時結果もしくは状態検知手段33からの情報を入力し、所定時間が経過したか、もしくは、乾燥用空気が所定温度に到達したかを判定する。
【0045】
乾燥工程の開始直後では、放熱器21の放熱が少なくて加熱が十分でないため、乾燥用空気は所定温度に到達していない場合がある。ステップS5とS6を繰り返して、所定時間経過後もしくは状態が所定値に達した場合は、ステップS7に移行してヒータ39を停止しする。熱バランス手段29、35の放熱量は圧縮機20の入力や本体からの放熱などに対応しながら、ステップS11とS12とS13において、状態検知手段33の値が所定値で安定するように熱バランス手段29、35の放熱量を増減させる。ステップS14で、乾燥終了などの次のステップ移行の要求があるまでこれを続けるものである。
【0046】
上記のような動作によって、乾燥初期の乾燥空気や冷媒の温度の立ち上がり途中では、圧縮機20による放熱器21での加熱とともにヒータ39を作動することによって、より速く温度を上昇させる。この間、熱バランス手段29、35からの放熱は最小であり、省エネで無駄なく温度上昇ができる。立ち上がり時間を短縮することで、より速く乾燥もできる。
【0047】
なお、ヒータ39は、電気ヒータ以外の燃焼式ヒータや温水ヒータでも同様であり、特に限定するものではない。
【0048】
また、本実施例では、状態検知手段33は、放熱器21通過直後の風路25内部に設置した乾燥用空気の温度を検知する場合を示したが、放熱器21を通る途中の管路24の表面温度を検知する、もしくは、圧縮機20の冷媒吐出近くの管路24内の圧力を検知する場合でも同様である。
【0049】
(実施例5)
本発明の実施例5では、冷媒を二酸化炭素のように超臨界状態で作用するものを用いる。従来、冷媒のR22やR134aなどフルオロカーボン系のように、高圧側条件を臨界圧力未満のサイクルで用いるヒートポンプ装置では、冷媒の凝縮が発生するため、空気との熱交換を行う領域において冷媒の温度が凝縮温度で一定となる部分が多く、空気との熱交換においても、凝縮温度近辺が上限温度となり、通常は、臨界温度よりも20〜30℃低い温度で設計される。上記に挙げた従来の冷媒では、通常60〜65℃以下で使用される。従って、この冷媒と熱交換を行う乾燥用空気の放熱器21を通過後の温度は60〜65℃程度が上限となる。
【0050】
図7は、放熱器21における熱交換器での上記臨界温度以下で使用する場合の冷媒温度60と空気温度61の変化を示す。矢印は冷媒および空気の流れ方向である。例えばR134aの冷媒では、高圧側約1.68MPaで、凝縮温度60℃となる。放熱器21に入る手前の冷媒温度は通常これよりも高い温度であるが、放熱器21においては、空気側に放熱されて温度が下がり、冷媒の状態が気体から液体に変わる二相域領域になり、凝縮温度の60℃で一定となる。
【0051】
この間、冷媒からは凝縮熱が放熱され、乾燥用空気が温められる。乾燥用空気の温度は、放熱器手前の温度が例えば20℃として、冷媒から熱をもらって温度を上昇させる。冷媒が気相の状態では60℃よりも高温となっているが、熱の移動には温度差が必要であり、空気の温度上昇は60℃程度となる。
【0052】
しかし、二酸化炭素などを冷媒として用いて、超臨界状態で作用するようなサイクルのヒートポンプ装置の場合には、凝縮温度の制限を超えた温度での熱交換が可能である。従って、放熱器21を通過後の乾燥用空気の温度が60℃よりも高くすることも可能である。
【0053】
図5は、冷媒として二酸化炭素を超臨界で使用する場合の冷媒温度62と空気温度63の変化を示す。例えば高圧側約11.5MPaで、冷媒の温度は約90℃から30℃に変化する。この間、冷媒から放熱され、乾燥用空気が温められる。乾燥用空気の温度は、放熱器手前の温度が例えば20℃として、冷媒から熱をもらって温度を上昇させる。冷媒の温度が90℃と高温のため、空気の温度上昇は74℃程度となる。
【0054】
以上のように、超臨界状態で作用する冷媒を用いてヒートポンプ装置のサイクルを設計すれば、放熱器21における冷媒の温度を高く設定することが可能であり、よって、放熱器21を通過する乾燥用空気も高温にできる。一般に、所定放熱量ではより高温の乾燥用空気の方が乾燥時間が短くなり、結果、トータルの必要エネルギーが少なくて済み、省エネになる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1〜4に記載の発明によれば、投入した熱量を有効的に衣類に与えるとともに熱を外部に放出し、安全で安定したヒートポンプ装置の運転と、より高い省エネを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の衣類乾燥装置の系統図
【図2】本発明の実施例2の衣類乾燥装置の系統図
【図3】本発明の実施例3の衣類乾燥装置の制御手段のフローチャート
【図4】本発明の実施例4の衣類乾燥装置の制御手段のフローチャート
【図5】本発明の実施例5の衣類乾燥装置の放熱器における冷媒と空気の温度変化を示す図
【図6】従来の衣類乾燥機の断面図
【図7】従来の衣類乾燥機におけるヒートポンプ装置の放熱器における冷媒と空気の温度変化を示す図
【符号の説明】
20 圧縮機
21 放熱器
22 絞り手段
23 吸熱器
24 管路
25 風路
26 加熱手段
27 乾燥庫
28 送風機
29、35 熱バランス手段
30 熱交換器
31 冷却用送風機
33 状態検知手段
34 制御手段
36 水タンク
37 給水弁
38 排水管
39 ヒータ

Claims (4)

  1. 圧縮機と圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、乾燥用空気を前記放熱器を備えた加熱手段と衣類を入れた乾燥庫を経て前記吸熱器へと導き再び放熱器に戻す送風機および風路と、前記冷媒の熱の一部を前記放熱器通過後に吸熱器までの間で外部に放出する熱バランス手段と、乾燥空気もしくは前記ヒートポンプ装置の状態を検知する状態検知手段と、前記状態検知手段の出力に基づいて前記熱バランス手段の放熱量を制御する制御手段とを具備した衣類乾燥装置。
  2. 制御手段は、乾燥開始時に熱バランス手段の放熱量を最小にし、その後、所定時間経過後、もしくは状態検知手段からの情報に応じて、放熱量を増加させるようにした請求項1記載の衣類乾燥装置。
  3. 加熱手段は、放熱器以外にヒータを備え、制御手段は、乾燥開始時に前記ヒータを発熱させるとともに熱バランス手段の放熱量を減少し、その後、所定時間経過後、もしくは状態検知手段からの情報に応じて、前記ヒータの発熱を停止するようにした請求項1記載の衣類乾燥装置。
  4. 冷媒は、超臨界状態で作用する冷媒を用いた請求項1記載の衣類乾燥装置。
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