JP2004239028A - 鉄道車両における軌道逸脱防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PCまくらぎ1上で、しかも2本の鉄道レール2、2の内方に絶縁プレート3を介して取付部材4を載置するとともにPCまくらぎ1に固定する。鉄道レール2、2に沿うとともに両側板50、50を下向きにしたコ字状の長尺材からなる車輪抑止部材5を取付部材4に固定して逸脱防止装置6を形成する。逸脱防止装置6と鉄道レール2とを所定の間隔をおいて離間する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄道線路の分野で利用され、特に脱線した鉄道車両を軌道外に逸脱させないようにして反対軌道の車両に支障がないようにする装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄道車両の脱線自体を防止する手段は各種存在するが、脱線した車両が軌道外に移動して逸脱することを防止する手段としては安全レールが知られている。
【0003】
この安全レールは本線レールに対し、間隔をおいて平行に設置し、脱線車両の車輪を規制し、誘導するものである。
【0004】
この安全レールは在来線、新幹線ともに木まくらぎ若しくは合成まくらぎに犬くぎで取付けているが、犬くぎではPCまくらぎの区間に取付けることができない。
【0005】
またバラスト軌道の区間にはタンピングツール(道床つき固めツール)を有する「マルチプル・タイタンパー」等の軌道保守用車両を使用しているが、安全レールが支障となり、機械による保守作業がむずかしい。
【0006】
さらに安全レールは鉄道用レールを転用するため、これをPCまくらぎに締結するにはレール底部をまくらぎごとに数点の部品で固定する必要が生じ、少数の部品で容易かつ迅速に締結することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1の本発明は従来の欠点を解消するもので、PCまくらぎの区間に設置することができ、バラスト軌道の区間でのマルチプル・タイタンパー等の機械による保守作業を可能とし、PCまくらぎに少数の部品で容易かつ迅速に締結することができるようにするとともに逸脱防止装置自体に水や塵埃が溜らず、清掃の手間を不要にすることを課題とする。
【0008】
また請求項2の発明は前記請求項1の発明の課題に加えて脱線した車輪を抑止部材にスムーズに誘導するとともに取付部材に大きな衝撃力を与えないようにすることを課題とする。
【0009】
請求項3の発明は請求項1または2の発明の課題に加えて本逸脱防止装置の高さを変えることを可能にし、各種まくらぎおよび各種レールに対応できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1の発明は、PCまくらぎ上で、しかも2本の鉄道レールの内方に絶縁プレートを介して取付部材を載置するとともに前記PCまくらぎに固定し、前記鉄道レールに沿うとともに両側板を下向きにしたコ字状の長尺材からなる車輪抑止部材を前記取付部材に固定して逸脱防止装置を形成し、また前記逸脱防止装置と前記鉄道レールとを所定の間隔をおいて離間することを特徴とするものである。
【0011】
このため車輪が鉄道レールから脱線して移動しても車輪の側面は車輪抑止部材の側板に当接し、鉄道車両が軌道外に逸脱することがない。また本装置と鉄道レールとを所定の距離、つまり軌道保守車両、例えばマルチプル・タイタンパーのタンピングツールが入る距離分、離間しているので、平常時には前記軌道保守車両による機械的な保守作業をすることができる。しかも車輪抑止部材を構成するコ字状の長尺材の両側板が上向きでは、前記車輪抑止部材内に水や塵埃が溜り、清掃作業が必要であるが、本発明では前記両側板が下向きになっているので、前記の水や塵埃が溜ることがなく、清掃作業を必要としない。
【0012】
また本発明のうち請求項2の発明は、取付部材がプレート上にブロックを載置固着してなり、前記プレートの周縁が外方に行くに従って低くなる傾斜面であることを特徴とするものである。
【0013】
このため前述の脱線した車輪は取付部材の傾斜面上をスムーズに滑動して誘導され、また前記プレートに大きな衝撃力を与えない。
【0014】
さらに本発明のうち請求項3の発明は、取付部材が高さの異なる複数種類のブロックを具備するとともに前記複数種類のブロックから所望の高さのブロックを選択してプレートに載置固着することを特徴とするものである。
【0015】
このため取付部材の高さ、すなわち本逸脱防止装置の高さを変えることができ、各種の鉄道レールおよび各種のPCまくらぎに対応できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は在来線について説明するものである。ここにPCまくらぎ1上に間隔をおいて2本の鉄道レール2、2(例えば本線レール)を敷設する。各鉄道レール2は図示を省略した周知の締結部品によりPCまくらぎ1に締結する。PCまくらぎ1の中央左右に間隔をおいてチューブ状の雌ネジ部材10、10を埋設固定する。雌ネジ部材10は電気絶縁材で形成することが好ましい。
【0017】
PCまくらぎ1の中央に電気絶縁性を有する絶縁プレート3を介して鋼製等の取付部材4を固定する。この取付部材4は鋼製のプレート40上に鋼製のブロック41を溶接等により載置固着してなるものである。プレート40の周縁、具体的には左右端縁および前後端縁に外方に行くに従って低くなる傾斜面42、43を形成してプレート40を略台形状にする。
【0018】
ブロックは高さの異なる複数種類のブロック41、41′、41″・・・を具備するもので、各種PCまくらぎ1、各種鉄道レール2の高低に対応するブロックを選択して使用する。
【0019】
絶縁プレート3およびプレート40の雌ネジ部材10、10の対応箇所にネジ遊挿孔30、30、44、44を穿設し、ネジ遊挿孔44、44に連通し、かつプレート40の表面より没するネジ頭部収容孔45、45を形成する。なお絶縁プレート3はプレート40の底面と同形の短冊形である。ブロック41の上面中央にネジ孔46を螺設する。他のブロック41′、41″も図示を省略したが、ブロック41とは高さが異なるだけで他の構成は同一である。
【0020】
各ボルト7に電気絶縁性を有するチューブ71を外嵌し、ボルト7を各ネジ頭部収容孔45、各ネジ遊挿孔44、30に挿通するとともに各雌ネジ部材10に螺着し、各ネジ遊挿孔44、30の隙間44′、30′に各チューブ71を嵌入し、また各ボルト頭部7′をプレート4から突出しないように各頭部収容孔45内に収める。これにより後述の脱線した車輪によりボルト7等の部品が損傷することがない。
【0021】
断面コ字状の長尺鋼の両側板50、50を下向きにしてなる車輪抑止部材5の上面51で、かつネジ孔46の対応位置にネジ遊挿孔52を穿設する。ブロック41の頭部に車輪抑止部材5を外嵌し、ボルト70をネジ遊挿孔52に挿通するとともにネジ孔46に螺着して車輪抑止部材5を取付部材4に固定する。
【0022】
なお図1(A)の符号Tはマルチプル・タイタンパーのタンピングツールを示すものであるが、前述の絶縁プレート3、取付部材4、車輪抑止部材5からなる逸脱防止装置6と、鉄道レール2とにはタンピングツールTの進入可能な間隔をおく。ここに機械的な保守作業が可能となる。
【0023】
次に本発明装置の作用を説明すれば、図5で示す鉄道レール2から車輪Wが脱線して1点鎖線で示すように左下方に落下した場合、その後脱線した車輪Wが左方に移動しても2点鎖線で示すようにプレート40の傾斜面42に接して車輪抑止部材5方向にスムーズに誘導され、3点鎖線で示すように車輪抑止部材5の側板50に規制され、それより内側への車輪Wの移動は阻止され、脱線した鉄道車両が軌道外に逸脱することが防止される。また脱線した車輪Wが前後(進行)方向に移動した場合には、車輪Wはプレート40の傾斜面43に接して車輪抑止部材方向にスムーズに誘導され、側板50に規制され、軌道外への逸脱が防止される。
【0024】
なお車輪Wからの圧力は車輪抑止部材5、ブロック41、プレート40を経てPCまくらぎ1と、その下部のバラスト道床により支持される。なお図5では示していない左方の鉄道レールから脱線した場合も同様である。
【0025】
さらに車輪抑止部材の両側板が上向きに突出しているとコ字状部材の中に水、塵埃が溜まり、清掃が必要になるが、本発明装置の車輪抑止部材5では特に、その両側板50、50が下向きであるため、車輪抑止部材5には不要物が溜まらず、しかもプレート40の周囲に外方に行くに従って低くなる傾斜面42、42、43、43を形成してあるので、プレート40にも不要物が溜まりにくいものである。なお新幹線の場合でも、前記構成でよく、設定値を変えるだけでよい。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の本発明によれば、PCまくらぎの区間に設置することができ、バラスト軌道の区間でのマルチプル・タイタンパー等の機械による保守作業が可能になり、PCまくらぎに少数の部品で容易かつ迅速に締結することができるとともに逸脱防止装置自体に水や塵埃が溜らず、清掃の手間が不必要になる。
【0027】
請求項2の本発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて脱線した車輪を抑止部材にスムーズに誘導できるとともに取付部材のプレートに大きな衝撃力を与えないようにすることができる。
【0028】
請求項3の本発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて本逸脱防止装置の高さを変えることができ、各種まくらぎおよび各種レールに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の配置位置を示す図であり、図1(A)は軌道の平面図、図1(B)は同上の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】本発明の要部を示す一部切欠き拡大平面図である。
【図3】X−X断面図である。
【図4】中間省略をしたY−Y断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の作用を説明する正面図である。
【符号の説明】
1 PCまくらぎ
2 鉄道レール
3 絶縁プレート
4 取付部材
5 車輪抑止部材
6 逸脱防止装置
40 プレート
41 ブロック
41′ ブロック
41″ ブロック
42 傾斜面
43 傾斜面
50 側板
Claims (3)
- PCまくらぎ上で、しかも2本の鉄道レールの内方に絶縁プレートを介して取付部材を載置するとともに前記PCまくらぎに固定し、前記鉄道レールに沿うとともに両側板を下向きにしたコ字状の長尺材からなる車輪抑止部材を前記取付部材に固定して逸脱防止装置を形成し、また前記逸脱防止装置と前記鉄道レールとを所定の間隔をおいて離間することを特徴とする鉄道車両における軌道逸脱防止装置。
- 取付部材がプレート上にブロックを載置固着してなり、前記プレートの周縁が外方に行くに従って低くなる傾斜面であることを特徴とする請求項1の鉄道車両における軌道逸脱防止装置。
- 取付部材が高さの異なる複数種類のブロックを具備するとともに、前記複数種類のブロックから所望の高さのブロックを選択してプレートに載置固着することを特徴とする請求項1または2の鉄道車両における軌道逸脱防止装置。
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JP2003064176A JP3944100B2 (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 鉄道車両における軌道逸脱防止装置 |
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JP2010163755A (ja) * | 2009-01-13 | 2010-07-29 | West Japan Railway Co | 車輪逸走防止装置 |
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CN110158366A (zh) * | 2019-05-07 | 2019-08-23 | 中国神华能源股份有限公司神朔铁路分公司 | 有砟轨道及防脱轨桥枕 |
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