JP2004238272A - 水素発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学反応部にシリンダ71の一端を連通させ、このシリンダ71にピストン72を移動可能に挿入してシリンダ71内にピストン72を境にしてシリンダ71の一端側の第1室77及びシリンダ71の他端側の第2室78を形成し、これら第1室77と第2室78との間を連通路83で接続するとともにこの連通路83に水素分離膜82を設けた。
【効果】ピストンの移動により第1室内に供給した混合ガスを高圧にでき、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。また、ピストンの移動によって第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくでき、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くできて、水素生成効率を高めることができる。
【選択図】 図2
【効果】ピストンの移動により第1室内に供給した混合ガスを高圧にでき、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。また、ピストンの移動によって第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくでき、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くできて、水素生成効率を高めることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素生成効率を向上させた水素発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池に供給する水素は、例えば、炭化水素又は脂肪族アルコールを水、空気と共に改質器により改質反応させて生成する。このときの反応を反応式に表すと、以下のようになる。
【0003】
【化1】
【0004】
上記の式▲1▼及び式▲2▼は、炭化水素としてのイソブタンと水蒸気とを改質触媒に接触させて反応させる水蒸気改質反応を示し、式▲3▼及び式▲4▼は、イソブタンと酸素とを改質触媒に接触させて反応させる部分酸化反応を示し、式▲5▼及び式▲6▼は、イソブタンと水蒸気と酸素とを改質触媒に接触させて反応させて、上記の水蒸気改質反応と部分酸化反応とを組み合わせた併用改質反応を示すものであり、各反応も水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を生成する。
上記の改質反応により生成した水素を、他のガスから分離する膜分離の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5229102号(第3−5欄、図1)
【0006】
特許文献1の図1を以下の図8で説明する。なお、符号は振り直した。
図8は従来の水素発生装置の断面図であり、金属管201内に管状のセラミック膜202を収納し、これらの金属管201とセラミック膜202との間に触媒203を充填し、金属管201の周囲にガスバーナー204を配置し、金属管201の一端部側面に、H2O、CH4及びH2を供給する連結管205を取付け、金属管201の一端にH2Oを供給する連結管206を取付け、金属管201の他端部側面に、H2O、CO2及びCOを排出する連結管207を取付け、金属管201の他端にH2O及びH2を排出する連結管208を取付けた水素発生装置としての反応装置210が記載されている。
触媒203により改質したガス中の水素のみがセラミック膜202を透過して回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
金属管201とセラミック膜202との間の空間で生成した水素を他のガスからセラミック膜202で分離するのに、上記空間内の圧力が高ければ、それだけ水素を分離する効率が高められる。
【0008】
また、水素を分離した後に、水素以外のガスが上記の空間から効率的に排出されなければ、上記空間内へ、水素を分離すべき改質ガスを多く供給できなくなる。以上のことから、水素分離効率を高め、水素分離後の残留ガス排出量を多くすれば、単位時間当たりに生成して回収する水素量が増える、即ち、水素生成効率が向上できる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、水素発生装置を改良することで、改質ガスから水素を効率的に分離するとともに、水素を分離した後の残留ガスの排出量を多くして、水素生成効率を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、化学反応部にて炭化水素または脂肪族アルコールを原料とする原料ガスから化学的工程により水素を含有する混合ガスを生成し、この混合ガスから水素を水素分離膜により選択的に分離する水素発生装置において、化学反応部にシリンダの一端を連通させ、このシリンダにピストンを移動可能に挿入してシリンダ内にピストンを境にしてシリンダ一端側の第1室及びシリンダ他端側の第2室を形成し、これら第1室と第2室との間を連通路で接続するとともにこの連通路に水素分離膜を設けることで、第1室へ供給した混合ガスをピストンで圧縮し、このときに発生する圧力で第1室内に含まれる水素を水素分離膜で分離するとともに第2室へ移動させて回収することを特徴とする。
【0011】
ピストンを移動させることでシリンダの第1室内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
また、ピストンを移動させて第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る水素発生装置の系統図(第1の実施の形態)であり、水素発生装置10は、改質器としての装置本体11と、この装置本体11へ原料ガスとしての炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体11へ水を供給する水供給部13と、装置本体11へ空気を供給する空気供給部14と、装置本体11で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。なお、原料ガス供給部12、水供給部13及び空気供給部14については、後に詳述する。
【0013】
装置本体11は、改質触媒を内蔵するものであり、この改質触媒を高温に保った状態で原料ガス、水及び空気を供給することで改質反応を起こし、水素、二酸化炭素、微量の一酸化炭素を生成する。
【0014】
水素分離器15は、シリンダ内でピストンを往復動させることにより、内部に装置本体11から改質ガスを取り入れ、そして、改質ガスを圧縮して圧力を高め、この圧力で改質ガス中の水素を水素分離膜を介して分離する装置である。なお、37は装置本体11から水素分離器15へ改質ガスを導くための改質ガス配管である。
【0015】
図2は本発明に係る水素分離器の断面図(第1の実施の形態)であり、水素分離器15は、シリンダ71と、このシリンダ71内に移動可能に挿入したピストン72と、このピストン72に一体的に取付けたピストンロッド73と、このピストンロッド73に一端を取付けたコンロッド74と、このコンロッド74の他端を取付けるとともにモータ等の動力で回転する円板76と、シリンダ71内をピストン72を境にして第1室77及び第2室78に区分したときにシリンダ71の第1室77側に設けた水素分離膜収納部81と、この水素分離膜収納部81に設けた水素分離膜82と、水素分離膜収納部82及びシリンダ71の第2室78側のそれぞれの間を連通させる連通路83と、この連通路83に設けた一方向弁84と、装置本体11(図1参照)から改質ガスを導入するためのガス入口86と、このガス入口86に設けた吸気弁87と、第1室77内に導入した改質ガスから水素を分離した後に第1室77内の残留ガスを排出するために水素分離膜収納部81の水素分離膜82よりも第1室77側に設けたガス出口88と、このガス出口88に設けた排気弁91と、水素を回収するために第2室78に設けた水素回収口92と、この水素回収口92に設けた一方向弁93とからなる。
【0016】
円板76を回転させると、この回転運動がコンロッド74及びピストンロッド73によって直線運動に変換され、ピストン72はシリンダ71内を往復動する。
水素分離膜82は、水素のみを選択的に透過させることで改質ガスから水素を分離する耐熱性を有する膜であり、例えば、膜厚が20μm以下で材質がパラジウム又はパラジウム含有合金が好適である。
【0017】
上記のパラジウム含有合金としては、パラジウムを10wt%以上含有するものが好ましい。
また、パラジウム以外では、Ptなどの10族元素、Rh、Irなどの9族元素、Ruなどの8族元素、Cu、Ag、Auなどの11族元素を含むものが好ましい。この他には、バナジウム(V)を含有する合金、例えばNi−Co−V合金にパラジウムをコーティングしたものでもよい。
【0018】
吸気弁87及び排気弁91は、円板76の回転に連動して機械的に開閉させてもよいし、円板76の回転角度に応じて電気的に開閉させてもよい。
【0019】
一方向弁84は、水素分離膜収納部81から第2室78への水素の流れのみを許容する弁である。
一方向弁93は、第2室78内からシリンダ71外への水素の流れのみを許容する弁である。
【0020】
以上に述べた水素分離器15の作用を次に説明する。
図3(a),(b)は本発明に係る水素分離器の作用を示す第1作用図(第1の実施の形態)である。
(a)において、ガス入口86の吸気弁87を開き、ピストン72を下降させて、第1室77内に改質ガスを導入する。このとき、排気弁91及び一方向弁84は閉じ、一方向弁93は開いた状態にある。
【0021】
(b)は(a)の状態からピストン72の下降を続けて、ピストン72が最も端の位置に止まった状態であり、第1室77内の容積は最大となり、最も多くの改質ガスを取り込んでいる。このとき、吸気弁87、排気弁91及び一方向弁84,93は閉じた状態にある。
【0022】
ここでのピストン位置を説明の都合上、「下死点」とするが、シリンダ71の配置状態によっては、ピストン72は上下に移動するものに限定せず、例えば、シリンダ72を横に寝かせてピストン72を左右動させてもよい。従って、(a)に示した「下降」も説明の都合上使用したものである。以下も同様に説明する。
【0023】
図4(a),(b)は本発明に係る水素分離器の作用を示す第2作用図(第1の実施の形態)である。
(a)において、下死点からピストン72を上昇させる。この結果、第1室77内の改質ガスの圧力が高まり、改質ガス中に含まれる水素のみが水素分離膜82を透過し、連通路83を通り、一方向弁84を開けて圧力が低下している第2室78内に流入する。このとき、吸気弁87、排気弁91及び一方向弁93は閉じた状態にある。
【0024】
(b)は、ピストン72が最も上昇した位置、即ち上死点に位置する状態を示す。ピストン72が上死点近傍まで移動したときに、第1室77内の改質ガス、詳しくは水素のほとんどが分離した後に残った残留ガス(二酸化炭素、微量の一酸化炭素及び微量の水素からなる。)が圧縮された状態で排気弁91を開くと、残留ガスは排気ガスとしてガス出口88から外部に流出する。また、このとき、第2室78の容積は最大になり、第2室78には最も多くの水素が溜まる。
【0025】
そして、この状態から、図3(a)に示したように、再びピストン72を下降させると、第2室78内の水素はピストン72の下降に伴って一方向弁93を開け、シリンダ71外に流出する。この水素は、回収して燃料電池へ供給する。
【0026】
図5は本発明に係る水素発生装置の系統図(第2の実施の形態)であり、図1に示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
水素発生装置105は、改質器としての装置本体106と、この装置本体106へ炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体106へ水を供給する水供給部13と、装置本体106へ空気を供給する空気供給部14と、装置本体106で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。
【0027】
装置本体106は、改質触媒層107と、チャンバ108とからなり、このチャンバ108に溜まった改質ガスを配管37を介して水素分離器15へ導く。
【0028】
以上に示した水素発生装置105の装置本体106を用い、イソブタンを併用改質反応により改質して以下に示す組成の改質ガスを得た。
・改質ガス
水素 :17200cm3/min
メタン : 300cm3/min
二酸化炭素: 5000cm3/min
一酸化炭素: 4100cm3/min
窒素 :15200cm3/min
【0029】
そして、この改質ガスを水素分離器に供給して水素を分離した。
即ち、改質ガスの第1室77内への吸入体積は最大で1400cm3であり、ピストン72を30cycle(往復)/minの速度で上下動させた。ピストン72が上死点に達する直前に排気弁91を1sec開けて残留ガスを排気した。その結果、500cm3/cycle(=15000cm3/min)の純水素を得た。
【0030】
図6は本発明に係る水素発生装置の系統図(第3の実施の形態)であり、図1に示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
水素発生装置110は、改質器としての装置本体111と、この装置本体111へ炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体111へ水を供給する水供給部13と、装置本体111へ空気を供給する空気供給部14と、原料ガス供給部12から装置本体111内の加熱器112まで延ばした加熱器用ガス配管113と、装置本体111で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。
【0031】
装置本体111は、ほぼ中央に配置した前述の加熱器112と、この加熱器112を囲む改質触媒層116と、この改質触媒層116を囲むように配置したCO変成触媒層117と、このCO変成触媒層117の周囲に設けたチャンバ121とからなる。
【0032】
加熱器112は、改質触媒層116内の改質触媒の温度を改質反応が進行する温度まで昇温させるバーナであり、この加熱器112へ加熱器用ガス配管113で原料ガスを送り、空気供給管34で空気を送って、原料ガスを燃焼させる。
【0033】
CO変成触媒層117は、改質触媒層116で生成した改質ガス中のCOの大部分をCO改質触媒によって水素と二酸化炭素とに変化させるものである。
CO変成触媒層117を通過した改質ガスはチャンバ121に溜まり、この溜まった改質ガスを配管37を介して水素分離器15へ導く。
【0034】
以上に示した水素発生装置110の装置本体111を用い、イソブタンを水蒸気改質反応により改質して以下に示す組成の改質ガスを得た。
・改質ガス
水素 :31330cm3/min
メタン : 560cm3/min
二酸化炭素: 9440cm3/min
一酸化炭素: 260cm3/min
【0035】
そして、この改質ガスを水素分離器に供給して水素を分離した。
即ち、改質ガスの第1室77内への吸入体積は最大で1400cm3であり、ピストン72を30cycle(往復)/minの速度で上下動させた。ピストン72が上死点に達する直前に排気弁91を0.2sec開けて残留ガスを排気した。その結果、940cm3/cycle(=28200cm3/min)の純水素を得た。
【0036】
次に、上記した第1の実施の形態〜第3の実施の形態で共通に用いた原料ガス供給部12、水供給部13及び空気供給部14について詳細に説明する。
図6において、原料ガス供給部12は、原料ガスを充填したカセットボンベ21と、このカセットボンベ21から装置本体111まで延ばした原料ガス配管22と、この原料ガス配管22に設けた原料ガス流量調整弁23及び羽根車装置24とからなる。
羽根車装置24は、カセットボンベ21内の原料ガスの圧力によって原料ガス配管22を流れるガスの流れを利用して羽根車を回転させるものであり、この回転力で以下に述べる水ポンプ及び送風機を作動させる。
【0037】
水供給部13は、水を貯めた水タンク26と、この水タンク26から原料ガス配管22へ接続した水配管27と、この水配管27に設けた水ポンプ28及び水流量調整弁31とからなる。
【0038】
空気供給部14は、送風機33と、この送風機33から装置本体111まで延ばした空気配管34と、この空気配管34に設けた空気流量調整弁36とからなる。
【0039】
図7(a)〜(e)は本発明に係る水素発生装置の動力利用を示す説明図である。
(a)は原料ガス配管22に設けた羽根車装置24を示す図であり、羽根車装置24は、原料ガス配管22に一体的に且つ原料ガス配管22の側方に膨出させて設けたハウジング41と、このハウジング41内に回転可能に収納した羽根車42とからなり、羽根車42は羽根車軸43を一体的に取付けたものである。
原料ガス配管22内を原料ガスが流れると、その原料ガスの流れによって羽根車42が回転する。
【0040】
(b)は送風機33を示す図であり、送風機33は、ハウジング45と、このハウジング45内に回転可能に配置したファン46とからなり、ファン46は回転軸47を一体的に取付けたもので、この回転軸47を羽根車軸43((a)参照)に連結することにより、羽根車42((a)参照)の動力でファン46が回転する。
【0041】
(c)は水ポンプ28を示す図であり、水ポンプ28は、水配管27(図1参照)に介在させた水通路51と、この水通路51内にそれぞれ隔てて設けた一方向弁52,53と、これらの一方向弁52,53間の水通路51の側方に設けたピストン装置54とからなる。
【0042】
一方向弁52は、通孔56を開けたバルブシート57と、通孔56を開閉するためにバルブシート57に取付けたリードバルブ58とからなる。一方向弁53は一方向弁52と同一構成の部材であり、詳細説明は省略する。なお、一方向弁としては、上記した型式のものに限らず、他の型式のものでもよい。
【0043】
ピストン装置54は、水通路51から分岐させたシリンダ部61と、このシリンダ部61内に移動可能に挿入したピストン部62と、このピストン部62に取付けたロッド部63と、このロッド部63に一端を取付けるとともに他端を円板64の外周近くに取付けたコンロッド部66とからなる。なお、67は円板64に一体的に取付けた回転軸であり、羽根車軸43((a)参照)に連結することにより、羽根車42((a)参照)の動力で円板64が回転する。68は水通路51及びシリンダ部61内の一方向弁52,53及びピストン部62によって囲まれるポンプ室である。
【0044】
(d),(e)は水ポンプ28の作用を示す作用図である。
まず、(d)において、円板64が矢印の向きに回転し、コンロッド部66及びロッド部63を介してピストン部62が矢印の向きに移動すると、ピストン部62はポンプ室68内の水を押圧するため、ポンプ室68内の水は一方向弁52のリードバルブ58を開けて水配管を介して装置本体に流れる。
【0045】
(e)において、(d)に引き続いて円板64が矢印の向きに回転し、コンロッド部66及びロッド部63を介してピストン部62が矢印の向きに移動すると、ポンプ室68内の圧力が低下するため、一方向弁53のリードバルブ58が開いて水タンク内からポンプ室68内へ水を汲み上げる。
【0046】
上記(a)〜(e)で示したように、原料ガスの流れを利用して羽根車42を回転させ、この羽根車42の動力で送風機33及び水ポンプ28を駆動することにより、水素発生装置の全体の効率を高めることができ、水素発生装置の軽量化、コンパクト化、コストダウンを図ることができる。
【0047】
以上の図1、図2、図5及び図6で説明したように、本発明は、化学反応部にて炭化水素または脂肪族アルコールを原料とする原料ガスから化学的工程により水素を含有する混合ガスを生成し、この混合ガスから水素を水素分離膜82により選択的に分離する水素発生装置10,105,110において、化学反応部である装置本体11,106,111にシリンダ71の一端を連通させ、このシリンダ71にピストン72を移動可能に挿入してシリンダ71内にピストン72を境にしてシリンダ71の一端側の第1室77及びシリンダ71の他端側の第2室78を形成し、これら第1室77と第2室78との間を連通路83で接続するとともにこの連通路83に水素分離膜82を設けることで、第1室77へ供給した混合ガスをピストン72で圧縮し、このときに発生する圧力で第1室77内に含まれる水素を水素分離膜82で分離するとともに第2室78へ移動させて回収することを特徴とする。
【0048】
ピストン72を移動させることでシリンダ71の第1室77内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
また、ピストン72を移動させて第1室77の容積を小さくするとともに、第1室77の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室77に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内77へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
【0049】
従って、上記した水素分離効率を高めることと、水素分離後の残留ガス排出量を多くすることの両方によって、単位時間当たりに生成して回収する水素量、即ち水素生成効率を高めることができる。
【0050】
尚、本実施の形態では、図2に示したように、シリンダ71に水素分離膜収納部81を付設したが、これに限らず、シリンダ71の第1室77側の一端の壁に孔を開け、この孔を連通路83に接続し、孔を塞ぐようにシリンダ71の壁の内壁に水素分離膜82を取付けてもよい。この場合、ガス出口88及び排気弁91はシリンダ71の第1室77側の一端の壁に設ける。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の水素発生装置は、化学反応部にシリンダの一端を連通させ、このシリンダにピストンを移動可能に挿入してシリンダ内にピストンを境にしてシリンダ一端側の第1室及びシリンダ他端側の第2室を形成し、これら第1室と第2室との間を連通路で接続するとともにこの連通路に水素分離膜を設けることで、第1室へ供給した混合ガスをピストンで圧縮し、このときに発生する圧力で第1室内に含まれる水素を水素分離膜で分離するとともに第2室へ移動させて回収するので、ピストンを移動させることでシリンダの第1室内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
【0052】
また、ピストンを移動させて第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
従って、水素分離効率を高めることと、水素分離後の残留ガス排出量を多くすることの両方によって、水素生成効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水素発生装置の系統図(第1の実施の形態)
【図2】本発明に係る水素分離器の断面図(第1の実施の形態)
【図3】本発明に係る水素分離器の作用を示す第1作用図(第1の実施の形態)
【図4】本発明に係る水素分離器の作用を示す第2作用図(第1の実施の形態)
【図5】本発明に係る水素発生装置の系統図(第2の実施の形態)
【図6】本発明に係る水素発生装置の系統図(第3の実施の形態)
【図7】本発明に係る水素発生装置の動力利用を示す説明図
【図8】従来の水素発生装置の断面図
【符号の説明】
10,105,110…水素発生装置、71…シリンダ、72…ピストン、77…第1室、78…第2室、82…水素分離膜、83…連通路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素生成効率を向上させた水素発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池に供給する水素は、例えば、炭化水素又は脂肪族アルコールを水、空気と共に改質器により改質反応させて生成する。このときの反応を反応式に表すと、以下のようになる。
【0003】
【化1】
【0004】
上記の式▲1▼及び式▲2▼は、炭化水素としてのイソブタンと水蒸気とを改質触媒に接触させて反応させる水蒸気改質反応を示し、式▲3▼及び式▲4▼は、イソブタンと酸素とを改質触媒に接触させて反応させる部分酸化反応を示し、式▲5▼及び式▲6▼は、イソブタンと水蒸気と酸素とを改質触媒に接触させて反応させて、上記の水蒸気改質反応と部分酸化反応とを組み合わせた併用改質反応を示すものであり、各反応も水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を生成する。
上記の改質反応により生成した水素を、他のガスから分離する膜分離の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5229102号(第3−5欄、図1)
【0006】
特許文献1の図1を以下の図8で説明する。なお、符号は振り直した。
図8は従来の水素発生装置の断面図であり、金属管201内に管状のセラミック膜202を収納し、これらの金属管201とセラミック膜202との間に触媒203を充填し、金属管201の周囲にガスバーナー204を配置し、金属管201の一端部側面に、H2O、CH4及びH2を供給する連結管205を取付け、金属管201の一端にH2Oを供給する連結管206を取付け、金属管201の他端部側面に、H2O、CO2及びCOを排出する連結管207を取付け、金属管201の他端にH2O及びH2を排出する連結管208を取付けた水素発生装置としての反応装置210が記載されている。
触媒203により改質したガス中の水素のみがセラミック膜202を透過して回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
金属管201とセラミック膜202との間の空間で生成した水素を他のガスからセラミック膜202で分離するのに、上記空間内の圧力が高ければ、それだけ水素を分離する効率が高められる。
【0008】
また、水素を分離した後に、水素以外のガスが上記の空間から効率的に排出されなければ、上記空間内へ、水素を分離すべき改質ガスを多く供給できなくなる。以上のことから、水素分離効率を高め、水素分離後の残留ガス排出量を多くすれば、単位時間当たりに生成して回収する水素量が増える、即ち、水素生成効率が向上できる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、水素発生装置を改良することで、改質ガスから水素を効率的に分離するとともに、水素を分離した後の残留ガスの排出量を多くして、水素生成効率を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、化学反応部にて炭化水素または脂肪族アルコールを原料とする原料ガスから化学的工程により水素を含有する混合ガスを生成し、この混合ガスから水素を水素分離膜により選択的に分離する水素発生装置において、化学反応部にシリンダの一端を連通させ、このシリンダにピストンを移動可能に挿入してシリンダ内にピストンを境にしてシリンダ一端側の第1室及びシリンダ他端側の第2室を形成し、これら第1室と第2室との間を連通路で接続するとともにこの連通路に水素分離膜を設けることで、第1室へ供給した混合ガスをピストンで圧縮し、このときに発生する圧力で第1室内に含まれる水素を水素分離膜で分離するとともに第2室へ移動させて回収することを特徴とする。
【0011】
ピストンを移動させることでシリンダの第1室内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
また、ピストンを移動させて第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る水素発生装置の系統図(第1の実施の形態)であり、水素発生装置10は、改質器としての装置本体11と、この装置本体11へ原料ガスとしての炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体11へ水を供給する水供給部13と、装置本体11へ空気を供給する空気供給部14と、装置本体11で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。なお、原料ガス供給部12、水供給部13及び空気供給部14については、後に詳述する。
【0013】
装置本体11は、改質触媒を内蔵するものであり、この改質触媒を高温に保った状態で原料ガス、水及び空気を供給することで改質反応を起こし、水素、二酸化炭素、微量の一酸化炭素を生成する。
【0014】
水素分離器15は、シリンダ内でピストンを往復動させることにより、内部に装置本体11から改質ガスを取り入れ、そして、改質ガスを圧縮して圧力を高め、この圧力で改質ガス中の水素を水素分離膜を介して分離する装置である。なお、37は装置本体11から水素分離器15へ改質ガスを導くための改質ガス配管である。
【0015】
図2は本発明に係る水素分離器の断面図(第1の実施の形態)であり、水素分離器15は、シリンダ71と、このシリンダ71内に移動可能に挿入したピストン72と、このピストン72に一体的に取付けたピストンロッド73と、このピストンロッド73に一端を取付けたコンロッド74と、このコンロッド74の他端を取付けるとともにモータ等の動力で回転する円板76と、シリンダ71内をピストン72を境にして第1室77及び第2室78に区分したときにシリンダ71の第1室77側に設けた水素分離膜収納部81と、この水素分離膜収納部81に設けた水素分離膜82と、水素分離膜収納部82及びシリンダ71の第2室78側のそれぞれの間を連通させる連通路83と、この連通路83に設けた一方向弁84と、装置本体11(図1参照)から改質ガスを導入するためのガス入口86と、このガス入口86に設けた吸気弁87と、第1室77内に導入した改質ガスから水素を分離した後に第1室77内の残留ガスを排出するために水素分離膜収納部81の水素分離膜82よりも第1室77側に設けたガス出口88と、このガス出口88に設けた排気弁91と、水素を回収するために第2室78に設けた水素回収口92と、この水素回収口92に設けた一方向弁93とからなる。
【0016】
円板76を回転させると、この回転運動がコンロッド74及びピストンロッド73によって直線運動に変換され、ピストン72はシリンダ71内を往復動する。
水素分離膜82は、水素のみを選択的に透過させることで改質ガスから水素を分離する耐熱性を有する膜であり、例えば、膜厚が20μm以下で材質がパラジウム又はパラジウム含有合金が好適である。
【0017】
上記のパラジウム含有合金としては、パラジウムを10wt%以上含有するものが好ましい。
また、パラジウム以外では、Ptなどの10族元素、Rh、Irなどの9族元素、Ruなどの8族元素、Cu、Ag、Auなどの11族元素を含むものが好ましい。この他には、バナジウム(V)を含有する合金、例えばNi−Co−V合金にパラジウムをコーティングしたものでもよい。
【0018】
吸気弁87及び排気弁91は、円板76の回転に連動して機械的に開閉させてもよいし、円板76の回転角度に応じて電気的に開閉させてもよい。
【0019】
一方向弁84は、水素分離膜収納部81から第2室78への水素の流れのみを許容する弁である。
一方向弁93は、第2室78内からシリンダ71外への水素の流れのみを許容する弁である。
【0020】
以上に述べた水素分離器15の作用を次に説明する。
図3(a),(b)は本発明に係る水素分離器の作用を示す第1作用図(第1の実施の形態)である。
(a)において、ガス入口86の吸気弁87を開き、ピストン72を下降させて、第1室77内に改質ガスを導入する。このとき、排気弁91及び一方向弁84は閉じ、一方向弁93は開いた状態にある。
【0021】
(b)は(a)の状態からピストン72の下降を続けて、ピストン72が最も端の位置に止まった状態であり、第1室77内の容積は最大となり、最も多くの改質ガスを取り込んでいる。このとき、吸気弁87、排気弁91及び一方向弁84,93は閉じた状態にある。
【0022】
ここでのピストン位置を説明の都合上、「下死点」とするが、シリンダ71の配置状態によっては、ピストン72は上下に移動するものに限定せず、例えば、シリンダ72を横に寝かせてピストン72を左右動させてもよい。従って、(a)に示した「下降」も説明の都合上使用したものである。以下も同様に説明する。
【0023】
図4(a),(b)は本発明に係る水素分離器の作用を示す第2作用図(第1の実施の形態)である。
(a)において、下死点からピストン72を上昇させる。この結果、第1室77内の改質ガスの圧力が高まり、改質ガス中に含まれる水素のみが水素分離膜82を透過し、連通路83を通り、一方向弁84を開けて圧力が低下している第2室78内に流入する。このとき、吸気弁87、排気弁91及び一方向弁93は閉じた状態にある。
【0024】
(b)は、ピストン72が最も上昇した位置、即ち上死点に位置する状態を示す。ピストン72が上死点近傍まで移動したときに、第1室77内の改質ガス、詳しくは水素のほとんどが分離した後に残った残留ガス(二酸化炭素、微量の一酸化炭素及び微量の水素からなる。)が圧縮された状態で排気弁91を開くと、残留ガスは排気ガスとしてガス出口88から外部に流出する。また、このとき、第2室78の容積は最大になり、第2室78には最も多くの水素が溜まる。
【0025】
そして、この状態から、図3(a)に示したように、再びピストン72を下降させると、第2室78内の水素はピストン72の下降に伴って一方向弁93を開け、シリンダ71外に流出する。この水素は、回収して燃料電池へ供給する。
【0026】
図5は本発明に係る水素発生装置の系統図(第2の実施の形態)であり、図1に示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
水素発生装置105は、改質器としての装置本体106と、この装置本体106へ炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体106へ水を供給する水供給部13と、装置本体106へ空気を供給する空気供給部14と、装置本体106で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。
【0027】
装置本体106は、改質触媒層107と、チャンバ108とからなり、このチャンバ108に溜まった改質ガスを配管37を介して水素分離器15へ導く。
【0028】
以上に示した水素発生装置105の装置本体106を用い、イソブタンを併用改質反応により改質して以下に示す組成の改質ガスを得た。
・改質ガス
水素 :17200cm3/min
メタン : 300cm3/min
二酸化炭素: 5000cm3/min
一酸化炭素: 4100cm3/min
窒素 :15200cm3/min
【0029】
そして、この改質ガスを水素分離器に供給して水素を分離した。
即ち、改質ガスの第1室77内への吸入体積は最大で1400cm3であり、ピストン72を30cycle(往復)/minの速度で上下動させた。ピストン72が上死点に達する直前に排気弁91を1sec開けて残留ガスを排気した。その結果、500cm3/cycle(=15000cm3/min)の純水素を得た。
【0030】
図6は本発明に係る水素発生装置の系統図(第3の実施の形態)であり、図1に示した第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
水素発生装置110は、改質器としての装置本体111と、この装置本体111へ炭化水素を供給する原料ガス供給部12と、装置本体111へ水を供給する水供給部13と、装置本体111へ空気を供給する空気供給部14と、原料ガス供給部12から装置本体111内の加熱器112まで延ばした加熱器用ガス配管113と、装置本体111で改質した改質ガスから水素を分離するための水素分離器15とからなる。
【0031】
装置本体111は、ほぼ中央に配置した前述の加熱器112と、この加熱器112を囲む改質触媒層116と、この改質触媒層116を囲むように配置したCO変成触媒層117と、このCO変成触媒層117の周囲に設けたチャンバ121とからなる。
【0032】
加熱器112は、改質触媒層116内の改質触媒の温度を改質反応が進行する温度まで昇温させるバーナであり、この加熱器112へ加熱器用ガス配管113で原料ガスを送り、空気供給管34で空気を送って、原料ガスを燃焼させる。
【0033】
CO変成触媒層117は、改質触媒層116で生成した改質ガス中のCOの大部分をCO改質触媒によって水素と二酸化炭素とに変化させるものである。
CO変成触媒層117を通過した改質ガスはチャンバ121に溜まり、この溜まった改質ガスを配管37を介して水素分離器15へ導く。
【0034】
以上に示した水素発生装置110の装置本体111を用い、イソブタンを水蒸気改質反応により改質して以下に示す組成の改質ガスを得た。
・改質ガス
水素 :31330cm3/min
メタン : 560cm3/min
二酸化炭素: 9440cm3/min
一酸化炭素: 260cm3/min
【0035】
そして、この改質ガスを水素分離器に供給して水素を分離した。
即ち、改質ガスの第1室77内への吸入体積は最大で1400cm3であり、ピストン72を30cycle(往復)/minの速度で上下動させた。ピストン72が上死点に達する直前に排気弁91を0.2sec開けて残留ガスを排気した。その結果、940cm3/cycle(=28200cm3/min)の純水素を得た。
【0036】
次に、上記した第1の実施の形態〜第3の実施の形態で共通に用いた原料ガス供給部12、水供給部13及び空気供給部14について詳細に説明する。
図6において、原料ガス供給部12は、原料ガスを充填したカセットボンベ21と、このカセットボンベ21から装置本体111まで延ばした原料ガス配管22と、この原料ガス配管22に設けた原料ガス流量調整弁23及び羽根車装置24とからなる。
羽根車装置24は、カセットボンベ21内の原料ガスの圧力によって原料ガス配管22を流れるガスの流れを利用して羽根車を回転させるものであり、この回転力で以下に述べる水ポンプ及び送風機を作動させる。
【0037】
水供給部13は、水を貯めた水タンク26と、この水タンク26から原料ガス配管22へ接続した水配管27と、この水配管27に設けた水ポンプ28及び水流量調整弁31とからなる。
【0038】
空気供給部14は、送風機33と、この送風機33から装置本体111まで延ばした空気配管34と、この空気配管34に設けた空気流量調整弁36とからなる。
【0039】
図7(a)〜(e)は本発明に係る水素発生装置の動力利用を示す説明図である。
(a)は原料ガス配管22に設けた羽根車装置24を示す図であり、羽根車装置24は、原料ガス配管22に一体的に且つ原料ガス配管22の側方に膨出させて設けたハウジング41と、このハウジング41内に回転可能に収納した羽根車42とからなり、羽根車42は羽根車軸43を一体的に取付けたものである。
原料ガス配管22内を原料ガスが流れると、その原料ガスの流れによって羽根車42が回転する。
【0040】
(b)は送風機33を示す図であり、送風機33は、ハウジング45と、このハウジング45内に回転可能に配置したファン46とからなり、ファン46は回転軸47を一体的に取付けたもので、この回転軸47を羽根車軸43((a)参照)に連結することにより、羽根車42((a)参照)の動力でファン46が回転する。
【0041】
(c)は水ポンプ28を示す図であり、水ポンプ28は、水配管27(図1参照)に介在させた水通路51と、この水通路51内にそれぞれ隔てて設けた一方向弁52,53と、これらの一方向弁52,53間の水通路51の側方に設けたピストン装置54とからなる。
【0042】
一方向弁52は、通孔56を開けたバルブシート57と、通孔56を開閉するためにバルブシート57に取付けたリードバルブ58とからなる。一方向弁53は一方向弁52と同一構成の部材であり、詳細説明は省略する。なお、一方向弁としては、上記した型式のものに限らず、他の型式のものでもよい。
【0043】
ピストン装置54は、水通路51から分岐させたシリンダ部61と、このシリンダ部61内に移動可能に挿入したピストン部62と、このピストン部62に取付けたロッド部63と、このロッド部63に一端を取付けるとともに他端を円板64の外周近くに取付けたコンロッド部66とからなる。なお、67は円板64に一体的に取付けた回転軸であり、羽根車軸43((a)参照)に連結することにより、羽根車42((a)参照)の動力で円板64が回転する。68は水通路51及びシリンダ部61内の一方向弁52,53及びピストン部62によって囲まれるポンプ室である。
【0044】
(d),(e)は水ポンプ28の作用を示す作用図である。
まず、(d)において、円板64が矢印の向きに回転し、コンロッド部66及びロッド部63を介してピストン部62が矢印の向きに移動すると、ピストン部62はポンプ室68内の水を押圧するため、ポンプ室68内の水は一方向弁52のリードバルブ58を開けて水配管を介して装置本体に流れる。
【0045】
(e)において、(d)に引き続いて円板64が矢印の向きに回転し、コンロッド部66及びロッド部63を介してピストン部62が矢印の向きに移動すると、ポンプ室68内の圧力が低下するため、一方向弁53のリードバルブ58が開いて水タンク内からポンプ室68内へ水を汲み上げる。
【0046】
上記(a)〜(e)で示したように、原料ガスの流れを利用して羽根車42を回転させ、この羽根車42の動力で送風機33及び水ポンプ28を駆動することにより、水素発生装置の全体の効率を高めることができ、水素発生装置の軽量化、コンパクト化、コストダウンを図ることができる。
【0047】
以上の図1、図2、図5及び図6で説明したように、本発明は、化学反応部にて炭化水素または脂肪族アルコールを原料とする原料ガスから化学的工程により水素を含有する混合ガスを生成し、この混合ガスから水素を水素分離膜82により選択的に分離する水素発生装置10,105,110において、化学反応部である装置本体11,106,111にシリンダ71の一端を連通させ、このシリンダ71にピストン72を移動可能に挿入してシリンダ71内にピストン72を境にしてシリンダ71の一端側の第1室77及びシリンダ71の他端側の第2室78を形成し、これら第1室77と第2室78との間を連通路83で接続するとともにこの連通路83に水素分離膜82を設けることで、第1室77へ供給した混合ガスをピストン72で圧縮し、このときに発生する圧力で第1室77内に含まれる水素を水素分離膜82で分離するとともに第2室78へ移動させて回収することを特徴とする。
【0048】
ピストン72を移動させることでシリンダ71の第1室77内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
また、ピストン72を移動させて第1室77の容積を小さくするとともに、第1室77の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室77に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内77へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
【0049】
従って、上記した水素分離効率を高めることと、水素分離後の残留ガス排出量を多くすることの両方によって、単位時間当たりに生成して回収する水素量、即ち水素生成効率を高めることができる。
【0050】
尚、本実施の形態では、図2に示したように、シリンダ71に水素分離膜収納部81を付設したが、これに限らず、シリンダ71の第1室77側の一端の壁に孔を開け、この孔を連通路83に接続し、孔を塞ぐようにシリンダ71の壁の内壁に水素分離膜82を取付けてもよい。この場合、ガス出口88及び排気弁91はシリンダ71の第1室77側の一端の壁に設ける。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の水素発生装置は、化学反応部にシリンダの一端を連通させ、このシリンダにピストンを移動可能に挿入してシリンダ内にピストンを境にしてシリンダ一端側の第1室及びシリンダ他端側の第2室を形成し、これら第1室と第2室との間を連通路で接続するとともにこの連通路に水素分離膜を設けることで、第1室へ供給した混合ガスをピストンで圧縮し、このときに発生する圧力で第1室内に含まれる水素を水素分離膜で分離するとともに第2室へ移動させて回収するので、ピストンを移動させることでシリンダの第1室内に供給した混合ガスを高圧にすることができ、混合ガスから水素を効率的に分離することができる。
【0052】
また、ピストンを移動させて第1室の容積を小さくするとともに、第1室の容積がほぼ最小となるタイミングで混合ガスのうちの水素を分離して残った残留ガスを排出すれば、第1室に残る残留ガスを少なくすることができ、次に第1室内へ混合ガスを供給するときに混合ガスの供給量を多くすることができる。
従って、水素分離効率を高めることと、水素分離後の残留ガス排出量を多くすることの両方によって、水素生成効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水素発生装置の系統図(第1の実施の形態)
【図2】本発明に係る水素分離器の断面図(第1の実施の形態)
【図3】本発明に係る水素分離器の作用を示す第1作用図(第1の実施の形態)
【図4】本発明に係る水素分離器の作用を示す第2作用図(第1の実施の形態)
【図5】本発明に係る水素発生装置の系統図(第2の実施の形態)
【図6】本発明に係る水素発生装置の系統図(第3の実施の形態)
【図7】本発明に係る水素発生装置の動力利用を示す説明図
【図8】従来の水素発生装置の断面図
【符号の説明】
10,105,110…水素発生装置、71…シリンダ、72…ピストン、77…第1室、78…第2室、82…水素分離膜、83…連通路。
Claims (1)
- 化学反応部にて炭化水素または脂肪族アルコールを原料とする原料ガスから化学的工程により水素を含有する混合ガスを生成し、この混合ガスから水素を水素分離膜により選択的に分離する水素発生装置において、
前記化学反応部にシリンダの一端を連通させ、このシリンダにピストンを移動可能に挿入してシリンダ内にピストンを境にしてシリンダ一端側の第1室及びシリンダ他端側の第2室を形成し、これら第1室と第2室との間を連通路で接続するとともにこの連通路に前記水素分離膜を設けることで、前記第1室へ供給した混合ガスをピストンで圧縮し、このときに発生する圧力で第1室内に含まれる水素を水素分離膜で分離するとともに第2室へ移動させて回収することを特徴とする水素発生装置。
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