JP2004237598A - 表面保護シート - Google Patents

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虎雄 林
Mare Nagase
希 永瀬
Takashi Matsumoto
隆志 松本
Teruhiko Iwase
輝彦 岩瀬
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Denso Corp
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Somar Corp
Denso Corp
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Abstract

【課題】貼り付け時に接着剤層による印刷パターンの鮮明性低下がなく、しかも高温下や高湿度下においても、被着体と接着剤層との界面に浮きの発生がなく、また、印刷部の溶出や接着剤層や印刷パターン、又は記録媒体から発生する水蒸気等の揮発分による印刷パターンや接着剤層へのピンホールの発生を防止し、鮮明な印刷パターンが得られる表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】合成樹脂フィルムの片面に、エチレン含有量が5〜25質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する接着剤層を設けたことを特徴とする表面保護シート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、合成樹脂板、金属板、セラミック板、化粧合板、塗装鋼板、各種銘板等の表面に貼り付けることにより、その表面への傷付き等を防止できる表面保護シート、特に表面に凸版印刷、平版印刷、グラビア印刷、彫刻凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷方式や、インクジェット、電子写真、熱転写、昇華等のプリント方式による印刷面に貼り付けても印刷パターンに悪影響を与えることのない表面保護シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、合成樹脂板、金属板、セラミック板、化粧合板、塗装鋼板、各種銘板等の運搬や加工工程で表面に傷や汚れが付かないように表面保護フィルムを前記板の表面に貼付けることが行われている。
また、近時、デジタルカメラや、デジタルビデオカメラ及びコンピュータ技術の発達により、コンピュータにより写真や画像を作成し、これをカラー印刷するようになってきている。この時、印刷する手段としては、カラー電子写真複写方式や感熱記録方式、昇華方式、インクジェット方式等による印刷が多く利用されている。これらの印刷により作成された印刷物は、広告、看板、ポスター等に用いられる際、画像保護のため、画像上に表面保護フィルムを貼付けることが行われている。
この時用いられる表面保護フィルムとしては、例えば印刷面に硬質塩化ビニル系樹脂シートの片面に、ポリウレタン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂若しくはアクリル系樹脂とを特定の割合で配合した感熱接着性樹脂層を設けた印刷シート用接着剤付きオーバーシート(特許文献1)や、水性インクで印刷されたインク吸収剤表面を被覆するために使用され、透明又は半透明のtanδのピーク温度が333K以上353K以下である熱可塑性樹脂組成物で形成された表面保護フィルム(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、従来から提案されているものでは、貼り付けた際に、接着剤層により印刷パターンが不鮮明になる等の問題を生じる。例えば、温室、風呂、屋外ショールーム(ショーケース)、又は自動車等の高温、高湿度になるような環境においては、印刷部が溶出するため、印刷パターンが不鮮明になったり、接着剤層や印刷パターンや記録媒体から発生する水蒸気等の揮発分により印刷パターンや接着剤層にピンホールが発生したり、接着剤層と被着体との界面に浮きが生じたりする。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−114962号公報
【特許文献2】
特開2001−31777号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の表面保護フィルムが持つ問題点、すなわち、貼り付け時に接着剤層による印刷パターンの鮮明性低下がなく、しかも高温下や高湿度下においても、被着体と接着剤層との界面に浮きの発生がなく、また、印刷部の溶出や接着剤層や印刷パターン、又は記録媒体から発生する水蒸気等の揮発分による印刷パターンや接着剤層へのピンホールの発生を防止し、鮮明な印刷パターンが得られる表面保護フィルムを提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂を含有する接着剤層を合成樹脂フィルムの少なくとも片面に設けることにより、鮮明な印刷パターンに悪影響を与えない表面保護フィルムを得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明によれば、合成樹脂フィルムの片面に、エチレン含有量が5〜25質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する接着剤層を設けたことを特徴とする表面保護シートが提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の表面保護フィルムは、合成樹脂フィルム上に接着剤層を設けたものである。前記合成樹脂フィルムにおいて、その樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂の他、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステルエーテル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。合成樹脂フィルムは1層のみで構成されていてもよいし、2層以上の多層構造でもよい。また、装飾用印刷がなされているものでもよい。また、合成樹脂フィルムは未延伸でもよいし、縦または横などの一軸方向または二軸方向に延伸されていてもよい。合成樹脂フィルムの厚みは、特に制限はないが、通常10〜250μmであり、好ましくは30〜150μmである。合成樹脂フィルムは着色されていても良いし、無色透明のものでも良い。
【0007】
合成樹脂フィルム表面には、所望により各種表面処理を行なうことができる。表面処理としては、例えば(1)コロナ放電処理やグロー放電処理などの放電処理、(2)プラズマ処理、(3)火炎処理、(4)オゾン処理、(5)紫外線処理や電子線、放射線等の電離活性線処理、(6)サンドマット処理やヘアライン処理などの粗面化処理、(7)化学薬品処理、(8)アンカー層形成等が挙げられる。前記アンカー層としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などが用いられる。このアンカー層の厚さは、通常0.1〜1.5μmの範囲である。
【0008】
本発明においては、前記合成樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられる接着剤層は、エチレン含有量が5〜25質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する。この範囲を逸脱すると、接着力が低下するので好ましくない。さらに、エチレン含有量が5%未満であると、耐熱性が低下し、かつにじみやピンホールが発生しやすくなる。一方、エチレン含有量が25質量%を超えると、浮きが生じるので好ましくない。被着体との密着性や耐熱性、鮮明な画像を得るための特に好ましいエチレン含有量は10〜20質量%である。
【0009】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法としては、エチレン単量体と酢酸ビニル単量体とを溶液重合法、エマルジョン重合法等を用いて重合し製造される。共重合体に占めるエチレン単量体の配合割合は5〜25質量%であり、酢酸ビニル単量体の配合割合は95〜75質量%である。この酢酸ビニル単量体の一部を他の共重合可能な単量体に置き換えることもできる。この時用いられる共重合可能な単量体としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
【0010】
本発明の接着剤層にはエチレン−酢酸ビニル共重合体以外に、種々の添加剤を1種以上含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、染料、顔料、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、pH調整剤および樹脂変性剤等が挙げられる。
この場合の樹脂変性剤は、耐熱性向上の面から接着剤層に配合することが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂や酢酸ビニル等から構成される樹脂が挙げられる。これらのものは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、さらには、2種以上からなる共重合体としてもよい。この樹脂変性剤の配合割合は、接着剤層中5〜40質量%の範囲である。この範囲より少ないと、配合する効果が見られないし、これよりも多くなると、接着性の低下やピンホールが発生しやすくなるので好ましくない。耐熱性、接着性及びピンホール発生防止の面から好ましい樹脂変性剤の配合割合は、10〜30質量%である。
【0011】
本発明の表面保護フィルムの製造において、合成樹脂フィルムの片面に接着剤層を形成するには、前記した成分を適当な溶剤に溶解又は分散させて固形分濃度を10〜60質量%程度の接着剤層形成塗工液を調製し、この接着剤層形成塗工液を合成樹脂フィルム又は所望により設けられた表面処理面に、常法に従って、塗布、乾燥する。これにより、接着剤層が設けられる。接着剤層の厚さは、5〜50μm、好ましくは10〜40μmである。また、透湿度の低い合成樹脂フィルムを用いる場合、接着剤層の透湿度を500g/m・24h以上とするのがよく、特に800〜1500g/m・24hの範囲とするのが好ましい。透湿度が500g/m・24h未満であると、高温下で水蒸気等の揮発分が発生し、印刷パターンにピンホールが発生する原因となる。
【0012】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、表面保護フィルムの物性は、次に示す方法に従って評価した。
【0013】
(1)接着力
ソマール株式会社製ラミネータ(商標ASL−32)で、ラミネート温度130℃、速度1.0m/分、荷重0.12Mpaでポリエチレンテレフタレートフィルムに表面保護フィルムを貼付け、23℃、65%RHで20分〜40分放置後、JIS Z0237に従い測定した。なお、測定温度は90℃で行った。
【0014】
(2)画像保護性
カラーレーザービームプリンター(リコー社製、機種Preter650)を用いて市販のOHPシートに印字し、保護フィルムを(1)接着力の場合と同様に貼付け、80℃、24時間放置後の画像および接着剤層を目視により以下の基準で評価した。
×…画像にニジミや接着剤層にダメージがある
○…画像にニジミや接着剤層にダメージが見られない
◎…130℃、24時間放置後、画像にニジミや接着剤層にダメージがない
さらに、ピンホールについても、80℃、24時間放置後の画像および接着剤層の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
×…画像または接着剤層の何れか1つにでもピンホールの発生が見られる
○…画像および接着剤層にピンホールの発生が見られない
◎…130℃、24時間放置後、画像および接着剤層にピンホールの発生が見られない
(3)浮き
表面保護フィルムを上記(1)と同じ条件でポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)に貼付け、80℃、24時間放置後の接着剤層と被着体との界面に浮きが発生しているかいなかを目視で観察し、浮きがあるものを×、ないものを○として評価した。
【0015】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量10質量%、重量平均分子量Mw44万)60質量部、水40質量部を均一に分散して接着剤層形成塗工液を調製した。
次に、厚さ38μmのあらかじめ易接着処理された透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、前記塗工液を塗布し、加熱乾燥して、厚さ30μmの接着剤層を形成させ、表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0016】
実施例2
実施例1において、エチレン含有量が20質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた以外は、全て実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0017】
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量10質量%、重量平均分子量Mw44万)40質量部、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル共重合体10質量部、水50質量部を均一に分散して接着剤層形成塗工液を調製した以外は、全て実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0018】
比較例1
実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代えて、ポリ酢酸ビニルを用いた以外は全て実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0019】
比較例2
実施例1において、エチレン含有量が3質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた以外は、全て実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0020】
比較例3
実施例1において、エチレン含有量が30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた以外は、全て実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。このものの物性を表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004237598
【0022】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、被着体表面に傷や汚れが付くのを防止できる。
また、印刷によりパターンが形成されている被着体に用いた場合、水分や接触などから画像部を保護するだけでなく、接着剤層により印刷パターンが不鮮明にならず、しかも、高温下においても、接着剤層と被着体との間に浮き発生防止や、印刷部や受容層が溶融することによる他のものへの転写防止や、接着剤層や印刷部、又は記録媒体から発生する水蒸気等の揮発分による印刷パターンや接着剤層へのピンホールの発生を防止し、鮮明な印刷パターンを得られるものである。

Claims (1)

  1. 合成樹脂フィルムの片面に、エチレン含有量が5〜25質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する接着剤層を設けたことを特徴とする表面保護シート。
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