JP2004237449A - 木質容器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含水率が10%〜30%程度に乾燥した木片チップ1を180℃〜250℃に加熱されたオス型2a及びメス型2bとからなるトレイ形状の金型2の空隙3内に投入し、120秒間、1000knで加圧して全体の板厚が空隙3の1/2以下と成るように成形した木質容器の製造方法。前記木片チップが厚さ1mm〜10mmの薄板単板から裁断されたものである。前記木片チップが、厚さ・長さ・幅が同一寸法の立方体、または厚さ1mm〜10mm、長さ1mm〜500mm、幅1mm〜500mmに裁断したものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品やその他の包装用として使用される容器に関し、特に天然木、植物繊維を裁断したチップ状のものを接着剤を使用することなく熱圧成形して生成する木質容器及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000―43003号
【特許文献2】特開平11―114906号
【0003】
近年、ゴミ問題、環境問題の意識が高まり、食品または包装用のトレイは発泡スチロールなど石油系化学樹脂を使わない方向で検討されつつあり、土中に埋設しても腐り、焼却してもダイオキシンが発生しない木質トレイが色々と検討されるようになってきている。
【0004】
また日本国内産のスギの備蓄量は年々増加しているのに伴い、間伐材が産出されているが、需要は低迷しているのが実状である。その有効利用の一環としてさまざまな木質容器が提案されており、一般的に木材をスライスし積層した単板を熱圧プレスして製造されている。
【0005】
そしてそのほとんどは成形する際、その材質が軟性に乏しいため割れや亀裂が生じやすくある一定の形状のものしか製造できないという問題がある。例えば特許文献1(特開2000―43003号)のものは、木材を薄くスライスした複数枚の単板を接着して積層単板とし、さらに積層単板の接着剤を硬化させた後、蒸気を照射し、その後に成形しており成形工程が複雑となる問題がある。
【0006】
また特許文献2(特開平11―114906号)のものは、繊維方向が互いに交差するように積層した2枚の木材スライス単板を接着剤で貼り合わせて積層板を作成し、その積層板を常温下に冷圧した後、高周波をかけて加熱・加圧成形している。やはり成形工程が複雑で、製造コストがかかりすぎるためスギ木材を有効利用しても、市場に出まわる安価な発砲スチロールトレイとは著しく価格の開きがあり消費者に受け入れられ難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術に開示されるように木材は、ゴムや金属と異なり延性や展性に富む材料ではない。そのため一定限度以上の変形が生じるようなものは変形量の大きな部分で亀裂や割れが生じ商品にならない。そのため従来の木質容器のほとんどが成形加工するに当たって接着剤を使用した積層単板を使っている。そのため廃棄処理が困難であり、食品用の容器としての利用は衛生上問題がある。
【0008】
本発明の目的は、木材、特にスギの間伐材を利用し、接着剤を一切使用せず、成形工程が簡単で、安価な木製容器を製造できる技術を確立することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴は、含水率が10%〜30%程度に乾燥した木片チップ1を180℃〜250℃に加熱されたオス型2a及びメス型2bとからなるトレイ形状の金型2の空隙3内に投入し、120秒間、1000knで加圧して全体の板厚が空隙3の1/2以下と成るように接着剤を使用せずに成形して木質容器を製造することにある。
【0010】
第2の特徴は、前記木片チップが厚さ1mm〜10mmの薄板単板から裁断されたものであることを特徴とする。
【0011】
第3の特徴は、前記木片チップが、厚さ・長さ・幅が同一寸法の立方体、または厚さ1mm〜10mm、長さ1mm〜500mm、幅1mm〜500mmに裁断したものであることを特徴とする。
【0012】
第4の特徴は、本発明の木質容器を接着剤を使用せずに前記第1〜第3の特徴に基づく製法で成形したことにある。
【0013】
本発明に係る木質トレイの材料として使用できる樹種としては、針葉樹、広葉樹、竹皮等、特に種類を限定しないが、その中でも特に比重が小さく材質が柔らかいスギ材が曲げ加工の容易さの点から適している。またスギ材には防菌作用を有する抽出成分が含まれており、木材の持つ高い吸湿性と相俟ってラップなどで密閉されたトレイ内部の抗菌および調湿機能が得られるので食品用の容器材料としては最適である。
【0014】
本発明で使用する木片チップは、厚さ1mm〜10mmの薄板を種々の形に裁断したものを用いるが、板厚を上記範囲としたのは、板厚が1mm未満だと熱圧成形するときに余りに薄すぎてチップ間ののめり込み効果が得られず、また板厚が10mmを超えると板状にスライスされた木片チップは曲げ剛性が高く加熱による軟化が不均一となり成形が困難になるからである。
【0015】
また含水率を10%〜30%としたのは、10%以下では曲げ剛性が高くなり加工が困難になり、含水率が30%以上の生材状態では熱圧時に発生する水蒸気をうまく逃してやらないとチップが破裂するからである。また高含水率の場合は、水分を蒸発させるために余分なエネルギーが必要なばかりでなく製品が黒ずんでしまうことがある。また含水率が高い状態で保管している間に雑菌などが繁殖する恐れがある。従って含水率10%〜30%が好適である。
【0016】
また金型の加熱温度は、リグニンの軟化点である130℃以上であれば良いが、木片チップ同士を接合させるためには180℃〜250℃の温度が必要である。特に200℃〜250℃まで加熱するとほとんどの雑菌を死滅させることができる。従って食品用の容器として用いる場合、衛生面で有益である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は本発明の製造方法により生成された木質トレイを示す斜視図、図2は三辺がほぼ同じ立法体に裁断された木片チップの斜視図、図3は図2の木片チップを金型内へ投入した状態を示す正断面図、図4は同じ厚みで長さ・幅が違う寸法の多角形に裁断された木片チップの斜視図、図5は図4の木片チップを金型内へ投入した状態を示す正断面図である。
【0018】
【実施例1】
本発明では、先ずスギの間伐材を1.5mmの厚さにスライス加工して得られた板材を自然乾燥または人工乾燥により含水率が10%〜30%程度に乾燥した後、図2に示すような厚み・長さ・幅が1.5mmの立方体の木片チップ1に裁断する。そして図3に示すようにこの木片チップ1を熱圧プレス機にセットされ、180℃〜250℃に加熱されたオス型2a及びメス型2bとからなる金型2の空隙3(20mm)内に投入する。そして120秒間、1000knで加圧して接着剤を使用せずに図1のような全体の板厚が空隙の1/2以下(10mm未満)の深絞りの木質トレイを成形する。
【0019】
【実施例2】
また木片チップ1は、前記実施例1の正立方体に限らず、図4に示すような厚さ1mm〜10mm、長さ1mm〜500mm、幅1mm〜500mmの範囲でさまざまな形に裁断したものを使用して木質トレイ4の肌目を変化させるようにしても良い。例えば、材厚1.5mm・上底20mm・下底30mm・高さ20mmの台形のもの、底辺30mm・高さ30mmの三角形のもの等さまざまな形としても良い。そしてこの木片チップ1を図5に示すように金型内に投入し、実施例1と同様の条件で熱圧成形して深絞りの木質トレイ4を成形する。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は原料として接着剤を使用していないので土中に埋設して腐らせたり、再資源としての有効利用も可能であり、焼却といった廃棄処理も容易に行えることができる。また熱圧成形する原料を木片チップとしたから、従来のようにシート状にしたり、複数枚の単板を接着する等の製造工程を用いる必要がなくコストの軽減につながり、発泡スチロール製容器、ダンボール容器、木製容器と同等、若しくはそれ以下の価格で生成する事ができる。
【0021】
さらに木材単板をチップ状に裁断したものを熱圧成形するのであらゆる形状の容器の形成が可能であり、また成形された製品の割れ、ゆがみが生じることが無いなどの効果がある。
【0022】
そしてスギの間伐材を利用することができるので治山事業にも大きく貢献することができる。また成形時に高温過熱することで木片チップの雑菌等が殺菌され、食品用の容器としても衛生上高い安全性が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により生成された木質トレイを示す斜視図。
【図2】正立法体に裁断された木片チップの斜視図である。
【図3】図2の木片チップを金型内へ投入した状態を示す正断面図である。
【図4】同じ厚みで長さ・幅が違う寸法の多角形に裁断された木片チップの斜視図である。
【図5】図4の木片チップを金型内へ投入した状態を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 木片チップ
2 金型
3 空隙
4 木質トレイ
Claims (4)
- 含水率が10%〜30%程度に乾燥した木片チップ(1)を180℃〜250℃に加熱されたオス型(2a)及びメス型(2b)とからなるトレイ形状の金型(2)の空隙(3)内に投入し、120秒間、1000knで加圧して全体の板厚が空隙(3)の1/2以下と成るように接着剤を使用せずに成形したことを特徴とする木質容器の製造方法。
- 前記木片チップ(1)が厚さ1mm〜10mmの薄板単板から裁断されたものであることを特徴とする請求項1記載の木質容器の製造方法。
- 前記木片チップ(1)が、厚さ・長さ・幅が同一寸法の立方体、または厚さ1mm〜10mm、長さ1mm〜500mm、幅1mm〜500mmに裁断したものであることを特徴とする請求項1記載の木質容器の製造方法。
- 請求項1〜請求項3に記載の製法で成形されたことを特徴とする木質容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003025775A JP2004237449A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 木質容器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003025775A JP2004237449A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 木質容器およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004237449A true JP2004237449A (ja) | 2004-08-26 |
Family
ID=32953975
Family Applications (1)
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JP2003025775A Pending JP2004237449A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 木質容器およびその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004237449A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100910915B1 (ko) | 2006-03-24 | 2009-08-05 | 가부시키가이샤 신린시겐리요우소쿠신겐쿠쇼 | 목제용기 |
-
2003
- 2003-02-03 JP JP2003025775A patent/JP2004237449A/ja active Pending
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KR100910915B1 (ko) | 2006-03-24 | 2009-08-05 | 가부시키가이샤 신린시겐리요우소쿠신겐쿠쇼 | 목제용기 |
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