JP2004237405A - 薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺を除去しつつ保持することができる薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の環状溝部12が形成された搭置枠2と、前記搭置枠2に対向して配置され、かつ、前記環状溝部12に対向して複数の環状の中空体23を前記環状溝部12側に突出可能に設けた押え枠3とを備え、前記中空体23を、外側に配置された中空体23から内側に配置された中空体23に向かう順序で、対向する環状溝部12側にそれぞれ突出させて、中空体23により薄板状の基板材料31の外周部を順次各環状溝部12に押し込むように構成した。
【選択図】 図3
【解決手段】複数の環状溝部12が形成された搭置枠2と、前記搭置枠2に対向して配置され、かつ、前記環状溝部12に対向して複数の環状の中空体23を前記環状溝部12側に突出可能に設けた押え枠3とを備え、前記中空体23を、外側に配置された中空体23から内側に配置された中空体23に向かう順序で、対向する環状溝部12側にそれぞれ突出させて、中空体23により薄板状の基板材料31の外周部を順次各環状溝部12に押し込むように構成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄い基板などを保持する薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法に関し、特に搭置枠に支持されていない薄板の中央部が自重によって撓むことがなく、しかも薄板自体がもっている皺を除去することができる薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路基板や液晶パネル用ガラス基板さらには半導体ウェハーなど、薄い基板を位置精度良く保持することが求められている。この場合、基板材料の中央部を加工したり、他の基板材料と位置合わせするなどの必要から、特に基板の外周部のみを保持したいことがある。
【0003】
このような要望に応えるために、図6に示すように、半導体ウェハー101の外周部を基板保持部102によって保持し、基板保持部102に設けられた吸着溝103とそれに連結された気体吸引手段により半導体ウェハー101を基板保持部102に吸着するとともに、中心部に設けられた凹部104に気体などを充満して、半導体ウェハー101の自重による撓みを補正するように構成した基板保持装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、図7に示すように、回路基板の構成部材である基板材料111にレーザ光112を照射して多数の導通用ビア孔113を形成する際に、基板材料111の両端部を機械的に複数の爪114で挟持し、基板材料111の両端部を互いに反対方向S1、S2方向に引っ張ることで基板材料111の撓みや皺を除去するように構成した基板保持装置も知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−266242号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すような基板保持装置では、気体を凹部104に充満する手段により、半導体ウェハー101を撓みなく平坦に保持するためには、緻密な圧力調整機構が必要になり、また、保持すべき基板材料がフィルムなどの薄板である場合には、基板材料自体に皺が生じていることがあるため、前記吸着手段ではこの皺を除去することができず、レーザ光などによるビア孔形成時に、ビア孔の形状に歪みを生じたり、ビア孔の位置精度が低下するという課題があった。
【0007】
また、図7に示すような基板保持装置では、基板材料111の両端部を爪114で挟持して、互いに反対方向に引っ張ることで基板材料111の撓みや皺を除去することは可能である。しかしながら、ビア孔113を形成した後に、基板材料111の架張力を解除した状態では、基板材料111が引っ張られて伸延されている状態から、元の状態(大きさ)に戻っているため、ビア位置が変化することになる。ここで、基板材料111が一様に変化するものであれば、あらかじめ変化量を見越してビア孔を形成する位置を補正することができる。しかし、爪114で挟持しいる部分とそうでない部分では基板材料111への架張力が異なり、架張力を解除した後の基板材料111の寸法変化にバラツキを生じるため、ビア孔113の形成位置を適正に補正することは困難である。このことからビア孔の加工位置精度が低下するという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は前記課題を解決するもので、薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の薄板保持装置は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠と、前記搭置枠に対向して配置され、かつ、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠とからなるものである。
【0010】
この構成によれば、搭置枠に複数の環状の溝部を形成するとともに、搭置枠に対向して配置される押え枠には、溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けたので、搭置枠に薄板を載せて押え枠と搭置枠とにより薄板を押えた状態で、押え枠に設けた複数の環状の突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させることにより、薄板は、その外周部における最も外側に位置する部位から順に溝部に押し込まれることで、薄板に充分かつ均一なテンションをかけることができて、薄板を撓みなく保持することができるとともに薄板の皺を除去しつつ保持することができ、従来の技術のように、薄板に皺が残った状態になったり、あるいは薄板に不均一なテンションがかかることがない。
【0011】
したがって、薄板を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持することができる薄板保持装置を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記構成において、前記搭置枠に形成された複数の環状の溝部と、押え枠に形成された複数の環状の突起部は、それぞれ同心状に形成されているものである。
【0012】
この構成によれば、複数の環状の溝部と複数の環状の突起部とが同心状に形成されていることで、薄板により均一にテンションをかけることができる。
また、請求項3に記載の発明、前記構成において、前記溝部は、薄板の外周形状に応じて、その外周形状と略相似した形状に形成されているものである。
【0013】
この構成によれば、溝部の外周形状が薄板の外周形状と略相似した形状に形成されていることで、薄板により均一にテンションをかけることができ、また、薄板を搭置枠に対して作業性よく着脱することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記構成において、前記溝部の縁部は、丸みをもった形状に形成されているものである。
この構成によれば、薄板をより容易に溝部に押し込み易くなり、薄板の皺をより良好に除去することができるとともに、薄板をより撓みが少ない状態で保持することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記構成において、前記突起部は中空体からなり、それぞれの中空体には流体を供給してこの中空体を溝部側に突出させる流体供給手段を設けたものである。
【0016】
この構成によれば、中空体に供給する流体の量を調整することにより、薄板にかかるテンションを容易に調整することができる。
また、本発明の薄板保持方法は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板を載せ、次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記薄板を押え、しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記薄板の外周部を順次各溝部に押し込むものである。
【0017】
この構成によれば、容易に薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる。
また、本発明の基板の製造方法は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板状の基板材料を載せ、次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記基板材料を押え、しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記基板材料の外周部を順次各溝部に押し込み、次いで、前記基板材料に所定の加工を行なうものである。
【0018】
この構成によれば、基板材料を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持して、顕微鏡やCCDカメラを使用した位置合わせ、あるいはレーザ光を用いたビア孔の形成などの所定の加工を行なうことができ、精度が良好な基板を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態における薄板保持装置を構成する搭置枠であって、(a)はその平面図、(b)はその断面図を示し、図2は同薄板保持装置を構成する押え枠であって、(a)はそれを下方から見た平面図、(b)はその断面図である。図3は同薄板保持装置を用いて薄板を保持する工程を示す断面図であり、図4は同薄板保持装置の部分拡大図である。
【0020】
この薄板保持装置1は、図1、図2に示すように、搭置枠2と、この搭置枠2上に対向して配置される押え枠3とを備えている。
搭置枠2は、四角形の薄板を搭置するために、アルミニウムなどからなる四角形の枠体から形成されている。そして、この搭置枠2の上面が薄板の外周部を搭置する薄板搭置面11になっており、この薄板搭置面11には、3つの略四角形の環状溝部12(12a、12b、12c)が等間隔で同心状に形成されている。これらの環状溝部12は、その4辺が直線で形成されるとともに、4辺を結ぶ四角部が円弧状の曲線12dにより形成されている。この円弧状の曲線12dは、例えば、半径約20mmの曲線により形成されている。また、前記環状溝部12は、図4に示すように、その縁部が丸みをもつように円弧状の曲線12eにより形成されている。この円弧状の曲線12eは、例えば半径1mmの円弧状の曲線により形成されている。さらに、搭置枠2の中央部には、加工エリアとなる開口部13が形成されている。
【0021】
また、押え枠3は、搭置枠2と同様に、アルミニウムなどからなる四角形の枠体から形成されている。この押え枠3の搭置枠2に対向する押え面21には、前記環状溝部12と対向する位置に3つの環状凹部22(22a、22b、22c)が形成されており(図3(a)参照)、この環状凹部22にはそれぞれ搭置枠2側に突出する環状の中空体(突起部)23(23a、23b、23c)が埋設されている。この中空体23は、ゴムなどの弾性体から形成されており、その中空部には、それぞれ独立して連通する給気管24(24a、24b、24c)を備えている。これらの給気管24は、それぞれ圧力調整弁(図示しない)と開閉弁(図示しない)を介し、圧縮空気を供給する圧縮空気源(図示しない)に接続されている。これにより、各中空体23の中空部に、圧力調整弁で所定圧力に調整された空気が開閉弁を開けることで個別に供給される。つまり、各中空体23への給気は、個別に制御し得るように構成されている。また、各中空体23には、図示されていない排気管が設けられており、この排気管から圧縮空気を排出されるように構成されている。さらに、押え枠3の中央部には、前記搭置枠2の開口部13と対向して、加工エリアとなる押え枠3の開口部25が形成されている。
【0022】
以上のような構成を有する薄板保持装置も用いた薄板保持方法および基板の製造方法について、図3に基づいて説明する。
まず、図3(a)に示すように、薄板保持装置1の搭置枠2の薄板搭置面11上に薄板状の基板材料31の外周部が位置するように、例えば厚み0.1mmのプリント基板の構成部材である基板材料31をセットする。
【0023】
この基板材料31は、例えばアラミド不織布あるいはガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた構成であり、その基板材料31の製造工程では熱や圧力による加工応力等により、図3(a)に示すように皺が発生している場合が多い。
【0024】
次いで、図3(b)に示すように、押え枠3の押え面21内において最も外側に配置された中空体23aの中空部に給気管24aを介して圧縮空気を給気することにより、所定圧力を加えて膨らませて、環状溝部12a側に突出させる。これにより、基板材料31の外周部における最も外側の部位が、中空体23aにより対応する環状溝部12aに押し込まれて、中空体23aと環状溝部12aとの間に所定のテンションで挟持され、開口部13上に位置する基板材料31の皺がある程度延ばされるとともに、基板材料31の自重による撓みがある程度減少する。
【0025】
しかし、この状態では、図6に示す従来の装置における単なる吸着による保持と同様に、基板材料31に入った皺と基板材料31の自重による撓みを充分延ばすことができず、まだ皺と撓みは残った状態になっている。
【0026】
そこで、図3(c)に示すように、前記中空体23aによる供給を続けて基板材料31が環状溝部12aに押し込まれている状態で、さらに、前記中空体23aの内側に配置された中空体23bに給気管24bから給気を開始する。これにより、基板材料31の前記部位よりも内側の部位が環状溝部12bに押し込まれて、基板材料31にさらに高いテンションが付与される。そのため、基板材料31の皺がさらに延ばされるとともに、基板材料31の撓みがさらに減少する。
【0027】
次いで、図2(d)に示すように、記中空体23a、23bによる供給を続けて基板材料31が環状溝部12a、12bに押し込まれている状態で、さらに、前記中空体23bよりも内側に配置された中空体23cに給気管24cから給気を開始する。これにより、基板材料31のさらに内側の部位が環状溝部12cに押し込まれて、基板材料31にさらに高いテンションが付与される。そのため、基板材料31の皺が略完全に延ばされるとともに、基板材料31の撓みがなくなり、基板材料31が平面精度良く保持された状態となる。
【0028】
そして、この状態で基板材料31にレーザ光などによる孔加工などの所定の加工を施すことにより、基板が得られる。得られた基板は、中空体23から排気管を介して圧縮空気を抜いた後、薄板保持装置1から外される。
【0029】
本実施の形態によれば、搭置枠2の薄板搭置面11に3つの環状溝部12(12a、12b、12c)を形成するとともに、押え枠3の押え面21には、前記環状溝部12に対応する3つの環状の中空体23(23a、23b、23c)を設け、外側に配置された中空体23aから順次脹らませて、基板材料31を、外側に配置された対向する環状溝部12aに順次押し込むようにしたので、基板材料31に均一なテンションを充分に付与することができて、保持しようとする基板材料31の皺や撓みが略完全に除去された平面精度が良好な状態で、薄板保持装置1に保持することができる。
【0030】
したがって、基板材料31全体に皺や撓みがなく均一なテンションがかかった状態で、基板材料31にレーザ光などによる孔加工などの所定の加工を施すことができるため、歪みのない孔形状の孔などを位置精度よく形成することができ、位置精度の良好な基板を得ることができる。
【0031】
また、環状溝部12の4辺を結ぶ四角部を円弧状の曲線12dにより形成したので、基板材料31が環状溝部12の四角部でも容易に押し込まれ、基板材料31の面内に均一にテンションをかけることができ、基板材料31を平面精度よく保持することができる。
【0032】
また、環状溝部12の縁部は、円弧状の曲線12eにより形成したので、基板材料31をより容易に環状溝部12に押し込み易くなり、基板材料31の皺をより良好に除去することができるとともに、基板材料31をより撓みのない状態で保持することができる。
【0033】
本実施の形態では、中空体23に対する給気動作自体は積算的に行われるものとして説明を行ったが、これに限定する必要はない。つまり、図3(a)から(d)に示す動作においては、中空体23a、23bおよび23cは開始動作において、連続するようになっているが、例えば、図3(c)に示す状態で、中空体23bによる環状溝部12bへの基板材料31の押し込みが充分確保されている場合は、中空体12aの中空部への圧縮空気の供給を停止してもよく、また、図3(d)に示す状態で、中空体23cによる環状溝部12cへの基板材料31の押し込みが充分確保されている場合は、中空体23a、23bの各中空部への圧縮空気の供給を停止してもよい。つまり、給気管24による中空体23の中空部への給気動作は、開始時に最も外側に配置された中空体23aから最も内側に配置された中空体23cに向けて順次動作するようにするならば、その間の動作制御はどのような形態をとってもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、3つの環状溝部12および中空体23は、それぞれ搭置される基板材料31の外形形状に合わせて四角形に形成するとともに、同心状に等間隔で配置した場合について説明したが、これらの数をさらに増減したり、不等間隔に配置してもよく、また、環状溝部12の溝幅を変えたり、あるは、環状溝部12と中空体23の形状を変えたりしてもよい。また、中空体23の中空部に給気する流体の圧力を中空体23毎にそれぞれ変えたりしてもよい。
【0035】
また、環状溝部12および中空体23は、搭置される基板材料31の形状に応じて四角形のみならず、四角形以外の多角形あるいは円形などにしてもよく、この場合、環状溝部12および中空体23は、基板材料31の外形を構成する曲線、折れ線、または直線に応じて、これと略相似した曲線、折れ線、または直線により形成することが好ましい。
【0036】
次に、本発明の他の実施の形態について、図5に基づいて説明する。
図5は本発明の他の実施の形態における薄板保持装置を示す断面図である。なお、図5においては、前記実施の形態と共通の機能を有するものについては、符号のみを付し、その説明は省略した。
【0037】
この薄板保持装置1においては、搭置枠2は前記実施の形態と同様に形成されている。そして、押え枠3には、薄板搭置面11に設けられた環状溝部12に対向して、環状の加圧溝部41(41a、41b、41c)が形成されており、それぞれの加圧溝部41には、独立した圧縮空気を供給する給気管24(24a、24b、24c)が連通している。そして、押え枠3の搭置枠2との押え面には、ゴムなどからなる弾性板42が貼り付けられている。つまり、この実施の形態においては、3つの加圧溝部41と弾性板42とから突起部を形成したものである。
【0038】
この構成の薄板保持装置において、例えば、環状溝部12aに対向する加圧溝部41aに給気管24aより圧縮空気を供給して所定圧力を加えると、弾性板42の加圧溝部41aに対応する部分が膨らみ、この部分が環状溝部12aに突出した状態となる。これにより、基板材料31の外周部における最も外側に位置する部位が環状溝部12aに押し込まれて、開口部13上に位置する基板材料31の中央部の皺がある程度延ばされるとともに、撓みが減少する。同様にして給気管24b、24cに順次圧縮圧空を供給することで、加圧溝部41b、41cが順次脹らみ、それにより基板材料1の前記部位よりも内側に位置する各部位が環状溝部12b、12cにそれぞれ押し込まれて、基板材料31に均一なテンションが充分に付与される。そのため、基板材料31の皺が略完全に延ばされるとともに、基板材料31の撓みがなくなり、基板材料31が平面精度良く保持された状態となる。
【0039】
したがって、この実施の形態においても、前記実施の形態と同様に、基板材料31全体に皺や撓みがなく均一なテンションがかかった状態で、基板材料31にレーザ光などにより孔加工することができるため、歪みのない孔形状の孔を位置精度よく形成することができる。
【0040】
また、前記各実施の形態では、薄板として厚み0.1mmの基板材料31を保持する場合について述べたが、基板材料31の厚みはこれに限定されないことは勿論である。
【0041】
さらに、本発明における薄板保持装置は、前記基板材料よりもさらに薄いフィルムや液晶パネル用のガラス基板あるいは半導体ウェハーなどの剛性の異なる薄板などにも適用することができ、または回路基板などにも保持することが可能であり、これらを良好に保持した状態で、顕微鏡やCCDカメラなどを使った位置合わせなども、作業精度よく行なうことができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、搭置枠に複数の環状の溝部を形成するとともに、搭置枠に対向して配置される押え枠には、溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けたので、搭置枠に薄板を載せて押え枠と搭置枠とにより薄板を押えた状態で、押え枠に設けた複数の環状の突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させることにより、薄板は、その外周部における最も外側に位置する部位から順に溝部に押し込まれることで、薄板に充分かつ均一なテンションをかけることができて、薄板を撓みなく保持することができるとともに薄板の皺を除去しつつ保持することができ、従来の技術のように、薄板に皺が残った状態になったり、あるいは薄板に不均一なテンションがかかることがない。
【0043】
したがって、薄板を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持することができる薄板保持装置を提供することができる。
また、前記複数の環状の溝部と複数の環状の突起部とを同心状に形成することで、薄板により均一にテンションをかけることができる。
【0044】
また、前記溝部の外周形状を薄板の外周形状と略相似した形状に形成することで、薄板により均一にテンションをかけることができ、また、薄板を搭置枠に対して作業性よく着脱することができる。
【0045】
また、前記溝部の縁部を丸みをもった形状に形成することで、薄板をより容易に溝部に押し込み易くなり、薄板の皺をより良好に除去することができるとともに、薄板をより撓みが少ない状態で保持することができる。
【0046】
また、前記突起部を中空体から形成するとともに、中空体には流体を供給してこの中空体を溝部側に突出させる流体供給手段を設けたことで、中空体に供給する流体の量を調整することにより、薄板にかかるテンションを容易に調整することができる。
【0047】
さらに、本発明の薄板保持方法によれば、容易に薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる。
さらにまた、本発明の基板の製造方法によれば、基板材料を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持して、所定の加工を行なうことができ、精度が良好な基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における薄板保持装置を構成する搭置枠であって、(a)はその平面図、(b)はその断面図を示す。
【図2】同薄板保持装置を構成する押え枠であって、(a)はそれを下方から見た平面図、(b)はその断面図を示す。
【図3】同薄板保持装置を用いて薄板を保持する工程を示す断面図である。
【図4】同薄板保持装置の部分拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における薄板保持装置を示す断面図である。
【図6】従来の基板保持装置であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図を示す。
【図7】従来の他の基板保持装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 薄板保持装置
2 搭置枠
3 押え枠
11 薄板搭置面
12、12a、12b、12c 環状溝部
12d 円弧状の曲線
12e 円弧状の曲線
13 開口部
21 押え面
22、22a、22b、22c 環状凹部
23、23a、23b、23c 中空体
24、24a、24b、24c 給気管
25 開口部
31 基板材料
41、41a、41b、41c 加圧溝部
42 弾性板
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄い基板などを保持する薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法に関し、特に搭置枠に支持されていない薄板の中央部が自重によって撓むことがなく、しかも薄板自体がもっている皺を除去することができる薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路基板や液晶パネル用ガラス基板さらには半導体ウェハーなど、薄い基板を位置精度良く保持することが求められている。この場合、基板材料の中央部を加工したり、他の基板材料と位置合わせするなどの必要から、特に基板の外周部のみを保持したいことがある。
【0003】
このような要望に応えるために、図6に示すように、半導体ウェハー101の外周部を基板保持部102によって保持し、基板保持部102に設けられた吸着溝103とそれに連結された気体吸引手段により半導体ウェハー101を基板保持部102に吸着するとともに、中心部に設けられた凹部104に気体などを充満して、半導体ウェハー101の自重による撓みを補正するように構成した基板保持装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、図7に示すように、回路基板の構成部材である基板材料111にレーザ光112を照射して多数の導通用ビア孔113を形成する際に、基板材料111の両端部を機械的に複数の爪114で挟持し、基板材料111の両端部を互いに反対方向S1、S2方向に引っ張ることで基板材料111の撓みや皺を除去するように構成した基板保持装置も知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−266242号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すような基板保持装置では、気体を凹部104に充満する手段により、半導体ウェハー101を撓みなく平坦に保持するためには、緻密な圧力調整機構が必要になり、また、保持すべき基板材料がフィルムなどの薄板である場合には、基板材料自体に皺が生じていることがあるため、前記吸着手段ではこの皺を除去することができず、レーザ光などによるビア孔形成時に、ビア孔の形状に歪みを生じたり、ビア孔の位置精度が低下するという課題があった。
【0007】
また、図7に示すような基板保持装置では、基板材料111の両端部を爪114で挟持して、互いに反対方向に引っ張ることで基板材料111の撓みや皺を除去することは可能である。しかしながら、ビア孔113を形成した後に、基板材料111の架張力を解除した状態では、基板材料111が引っ張られて伸延されている状態から、元の状態(大きさ)に戻っているため、ビア位置が変化することになる。ここで、基板材料111が一様に変化するものであれば、あらかじめ変化量を見越してビア孔を形成する位置を補正することができる。しかし、爪114で挟持しいる部分とそうでない部分では基板材料111への架張力が異なり、架張力を解除した後の基板材料111の寸法変化にバラツキを生じるため、ビア孔113の形成位置を適正に補正することは困難である。このことからビア孔の加工位置精度が低下するという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は前記課題を解決するもので、薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる薄板保持装置および薄板保持方法並びに基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の薄板保持装置は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠と、前記搭置枠に対向して配置され、かつ、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠とからなるものである。
【0010】
この構成によれば、搭置枠に複数の環状の溝部を形成するとともに、搭置枠に対向して配置される押え枠には、溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けたので、搭置枠に薄板を載せて押え枠と搭置枠とにより薄板を押えた状態で、押え枠に設けた複数の環状の突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させることにより、薄板は、その外周部における最も外側に位置する部位から順に溝部に押し込まれることで、薄板に充分かつ均一なテンションをかけることができて、薄板を撓みなく保持することができるとともに薄板の皺を除去しつつ保持することができ、従来の技術のように、薄板に皺が残った状態になったり、あるいは薄板に不均一なテンションがかかることがない。
【0011】
したがって、薄板を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持することができる薄板保持装置を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記構成において、前記搭置枠に形成された複数の環状の溝部と、押え枠に形成された複数の環状の突起部は、それぞれ同心状に形成されているものである。
【0012】
この構成によれば、複数の環状の溝部と複数の環状の突起部とが同心状に形成されていることで、薄板により均一にテンションをかけることができる。
また、請求項3に記載の発明、前記構成において、前記溝部は、薄板の外周形状に応じて、その外周形状と略相似した形状に形成されているものである。
【0013】
この構成によれば、溝部の外周形状が薄板の外周形状と略相似した形状に形成されていることで、薄板により均一にテンションをかけることができ、また、薄板を搭置枠に対して作業性よく着脱することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記構成において、前記溝部の縁部は、丸みをもった形状に形成されているものである。
この構成によれば、薄板をより容易に溝部に押し込み易くなり、薄板の皺をより良好に除去することができるとともに、薄板をより撓みが少ない状態で保持することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記構成において、前記突起部は中空体からなり、それぞれの中空体には流体を供給してこの中空体を溝部側に突出させる流体供給手段を設けたものである。
【0016】
この構成によれば、中空体に供給する流体の量を調整することにより、薄板にかかるテンションを容易に調整することができる。
また、本発明の薄板保持方法は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板を載せ、次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記薄板を押え、しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記薄板の外周部を順次各溝部に押し込むものである。
【0017】
この構成によれば、容易に薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる。
また、本発明の基板の製造方法は、複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板状の基板材料を載せ、次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記基板材料を押え、しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記基板材料の外周部を順次各溝部に押し込み、次いで、前記基板材料に所定の加工を行なうものである。
【0018】
この構成によれば、基板材料を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持して、顕微鏡やCCDカメラを使用した位置合わせ、あるいはレーザ光を用いたビア孔の形成などの所定の加工を行なうことができ、精度が良好な基板を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態における薄板保持装置を構成する搭置枠であって、(a)はその平面図、(b)はその断面図を示し、図2は同薄板保持装置を構成する押え枠であって、(a)はそれを下方から見た平面図、(b)はその断面図である。図3は同薄板保持装置を用いて薄板を保持する工程を示す断面図であり、図4は同薄板保持装置の部分拡大図である。
【0020】
この薄板保持装置1は、図1、図2に示すように、搭置枠2と、この搭置枠2上に対向して配置される押え枠3とを備えている。
搭置枠2は、四角形の薄板を搭置するために、アルミニウムなどからなる四角形の枠体から形成されている。そして、この搭置枠2の上面が薄板の外周部を搭置する薄板搭置面11になっており、この薄板搭置面11には、3つの略四角形の環状溝部12(12a、12b、12c)が等間隔で同心状に形成されている。これらの環状溝部12は、その4辺が直線で形成されるとともに、4辺を結ぶ四角部が円弧状の曲線12dにより形成されている。この円弧状の曲線12dは、例えば、半径約20mmの曲線により形成されている。また、前記環状溝部12は、図4に示すように、その縁部が丸みをもつように円弧状の曲線12eにより形成されている。この円弧状の曲線12eは、例えば半径1mmの円弧状の曲線により形成されている。さらに、搭置枠2の中央部には、加工エリアとなる開口部13が形成されている。
【0021】
また、押え枠3は、搭置枠2と同様に、アルミニウムなどからなる四角形の枠体から形成されている。この押え枠3の搭置枠2に対向する押え面21には、前記環状溝部12と対向する位置に3つの環状凹部22(22a、22b、22c)が形成されており(図3(a)参照)、この環状凹部22にはそれぞれ搭置枠2側に突出する環状の中空体(突起部)23(23a、23b、23c)が埋設されている。この中空体23は、ゴムなどの弾性体から形成されており、その中空部には、それぞれ独立して連通する給気管24(24a、24b、24c)を備えている。これらの給気管24は、それぞれ圧力調整弁(図示しない)と開閉弁(図示しない)を介し、圧縮空気を供給する圧縮空気源(図示しない)に接続されている。これにより、各中空体23の中空部に、圧力調整弁で所定圧力に調整された空気が開閉弁を開けることで個別に供給される。つまり、各中空体23への給気は、個別に制御し得るように構成されている。また、各中空体23には、図示されていない排気管が設けられており、この排気管から圧縮空気を排出されるように構成されている。さらに、押え枠3の中央部には、前記搭置枠2の開口部13と対向して、加工エリアとなる押え枠3の開口部25が形成されている。
【0022】
以上のような構成を有する薄板保持装置も用いた薄板保持方法および基板の製造方法について、図3に基づいて説明する。
まず、図3(a)に示すように、薄板保持装置1の搭置枠2の薄板搭置面11上に薄板状の基板材料31の外周部が位置するように、例えば厚み0.1mmのプリント基板の構成部材である基板材料31をセットする。
【0023】
この基板材料31は、例えばアラミド不織布あるいはガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた構成であり、その基板材料31の製造工程では熱や圧力による加工応力等により、図3(a)に示すように皺が発生している場合が多い。
【0024】
次いで、図3(b)に示すように、押え枠3の押え面21内において最も外側に配置された中空体23aの中空部に給気管24aを介して圧縮空気を給気することにより、所定圧力を加えて膨らませて、環状溝部12a側に突出させる。これにより、基板材料31の外周部における最も外側の部位が、中空体23aにより対応する環状溝部12aに押し込まれて、中空体23aと環状溝部12aとの間に所定のテンションで挟持され、開口部13上に位置する基板材料31の皺がある程度延ばされるとともに、基板材料31の自重による撓みがある程度減少する。
【0025】
しかし、この状態では、図6に示す従来の装置における単なる吸着による保持と同様に、基板材料31に入った皺と基板材料31の自重による撓みを充分延ばすことができず、まだ皺と撓みは残った状態になっている。
【0026】
そこで、図3(c)に示すように、前記中空体23aによる供給を続けて基板材料31が環状溝部12aに押し込まれている状態で、さらに、前記中空体23aの内側に配置された中空体23bに給気管24bから給気を開始する。これにより、基板材料31の前記部位よりも内側の部位が環状溝部12bに押し込まれて、基板材料31にさらに高いテンションが付与される。そのため、基板材料31の皺がさらに延ばされるとともに、基板材料31の撓みがさらに減少する。
【0027】
次いで、図2(d)に示すように、記中空体23a、23bによる供給を続けて基板材料31が環状溝部12a、12bに押し込まれている状態で、さらに、前記中空体23bよりも内側に配置された中空体23cに給気管24cから給気を開始する。これにより、基板材料31のさらに内側の部位が環状溝部12cに押し込まれて、基板材料31にさらに高いテンションが付与される。そのため、基板材料31の皺が略完全に延ばされるとともに、基板材料31の撓みがなくなり、基板材料31が平面精度良く保持された状態となる。
【0028】
そして、この状態で基板材料31にレーザ光などによる孔加工などの所定の加工を施すことにより、基板が得られる。得られた基板は、中空体23から排気管を介して圧縮空気を抜いた後、薄板保持装置1から外される。
【0029】
本実施の形態によれば、搭置枠2の薄板搭置面11に3つの環状溝部12(12a、12b、12c)を形成するとともに、押え枠3の押え面21には、前記環状溝部12に対応する3つの環状の中空体23(23a、23b、23c)を設け、外側に配置された中空体23aから順次脹らませて、基板材料31を、外側に配置された対向する環状溝部12aに順次押し込むようにしたので、基板材料31に均一なテンションを充分に付与することができて、保持しようとする基板材料31の皺や撓みが略完全に除去された平面精度が良好な状態で、薄板保持装置1に保持することができる。
【0030】
したがって、基板材料31全体に皺や撓みがなく均一なテンションがかかった状態で、基板材料31にレーザ光などによる孔加工などの所定の加工を施すことができるため、歪みのない孔形状の孔などを位置精度よく形成することができ、位置精度の良好な基板を得ることができる。
【0031】
また、環状溝部12の4辺を結ぶ四角部を円弧状の曲線12dにより形成したので、基板材料31が環状溝部12の四角部でも容易に押し込まれ、基板材料31の面内に均一にテンションをかけることができ、基板材料31を平面精度よく保持することができる。
【0032】
また、環状溝部12の縁部は、円弧状の曲線12eにより形成したので、基板材料31をより容易に環状溝部12に押し込み易くなり、基板材料31の皺をより良好に除去することができるとともに、基板材料31をより撓みのない状態で保持することができる。
【0033】
本実施の形態では、中空体23に対する給気動作自体は積算的に行われるものとして説明を行ったが、これに限定する必要はない。つまり、図3(a)から(d)に示す動作においては、中空体23a、23bおよび23cは開始動作において、連続するようになっているが、例えば、図3(c)に示す状態で、中空体23bによる環状溝部12bへの基板材料31の押し込みが充分確保されている場合は、中空体12aの中空部への圧縮空気の供給を停止してもよく、また、図3(d)に示す状態で、中空体23cによる環状溝部12cへの基板材料31の押し込みが充分確保されている場合は、中空体23a、23bの各中空部への圧縮空気の供給を停止してもよい。つまり、給気管24による中空体23の中空部への給気動作は、開始時に最も外側に配置された中空体23aから最も内側に配置された中空体23cに向けて順次動作するようにするならば、その間の動作制御はどのような形態をとってもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、3つの環状溝部12および中空体23は、それぞれ搭置される基板材料31の外形形状に合わせて四角形に形成するとともに、同心状に等間隔で配置した場合について説明したが、これらの数をさらに増減したり、不等間隔に配置してもよく、また、環状溝部12の溝幅を変えたり、あるは、環状溝部12と中空体23の形状を変えたりしてもよい。また、中空体23の中空部に給気する流体の圧力を中空体23毎にそれぞれ変えたりしてもよい。
【0035】
また、環状溝部12および中空体23は、搭置される基板材料31の形状に応じて四角形のみならず、四角形以外の多角形あるいは円形などにしてもよく、この場合、環状溝部12および中空体23は、基板材料31の外形を構成する曲線、折れ線、または直線に応じて、これと略相似した曲線、折れ線、または直線により形成することが好ましい。
【0036】
次に、本発明の他の実施の形態について、図5に基づいて説明する。
図5は本発明の他の実施の形態における薄板保持装置を示す断面図である。なお、図5においては、前記実施の形態と共通の機能を有するものについては、符号のみを付し、その説明は省略した。
【0037】
この薄板保持装置1においては、搭置枠2は前記実施の形態と同様に形成されている。そして、押え枠3には、薄板搭置面11に設けられた環状溝部12に対向して、環状の加圧溝部41(41a、41b、41c)が形成されており、それぞれの加圧溝部41には、独立した圧縮空気を供給する給気管24(24a、24b、24c)が連通している。そして、押え枠3の搭置枠2との押え面には、ゴムなどからなる弾性板42が貼り付けられている。つまり、この実施の形態においては、3つの加圧溝部41と弾性板42とから突起部を形成したものである。
【0038】
この構成の薄板保持装置において、例えば、環状溝部12aに対向する加圧溝部41aに給気管24aより圧縮空気を供給して所定圧力を加えると、弾性板42の加圧溝部41aに対応する部分が膨らみ、この部分が環状溝部12aに突出した状態となる。これにより、基板材料31の外周部における最も外側に位置する部位が環状溝部12aに押し込まれて、開口部13上に位置する基板材料31の中央部の皺がある程度延ばされるとともに、撓みが減少する。同様にして給気管24b、24cに順次圧縮圧空を供給することで、加圧溝部41b、41cが順次脹らみ、それにより基板材料1の前記部位よりも内側に位置する各部位が環状溝部12b、12cにそれぞれ押し込まれて、基板材料31に均一なテンションが充分に付与される。そのため、基板材料31の皺が略完全に延ばされるとともに、基板材料31の撓みがなくなり、基板材料31が平面精度良く保持された状態となる。
【0039】
したがって、この実施の形態においても、前記実施の形態と同様に、基板材料31全体に皺や撓みがなく均一なテンションがかかった状態で、基板材料31にレーザ光などにより孔加工することができるため、歪みのない孔形状の孔を位置精度よく形成することができる。
【0040】
また、前記各実施の形態では、薄板として厚み0.1mmの基板材料31を保持する場合について述べたが、基板材料31の厚みはこれに限定されないことは勿論である。
【0041】
さらに、本発明における薄板保持装置は、前記基板材料よりもさらに薄いフィルムや液晶パネル用のガラス基板あるいは半導体ウェハーなどの剛性の異なる薄板などにも適用することができ、または回路基板などにも保持することが可能であり、これらを良好に保持した状態で、顕微鏡やCCDカメラなどを使った位置合わせなども、作業精度よく行なうことができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように本発明によれば、搭置枠に複数の環状の溝部を形成するとともに、搭置枠に対向して配置される押え枠には、溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けたので、搭置枠に薄板を載せて押え枠と搭置枠とにより薄板を押えた状態で、押え枠に設けた複数の環状の突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させることにより、薄板は、その外周部における最も外側に位置する部位から順に溝部に押し込まれることで、薄板に充分かつ均一なテンションをかけることができて、薄板を撓みなく保持することができるとともに薄板の皺を除去しつつ保持することができ、従来の技術のように、薄板に皺が残った状態になったり、あるいは薄板に不均一なテンションがかかることがない。
【0043】
したがって、薄板を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持することができる薄板保持装置を提供することができる。
また、前記複数の環状の溝部と複数の環状の突起部とを同心状に形成することで、薄板により均一にテンションをかけることができる。
【0044】
また、前記溝部の外周形状を薄板の外周形状と略相似した形状に形成することで、薄板により均一にテンションをかけることができ、また、薄板を搭置枠に対して作業性よく着脱することができる。
【0045】
また、前記溝部の縁部を丸みをもった形状に形成することで、薄板をより容易に溝部に押し込み易くなり、薄板の皺をより良好に除去することができるとともに、薄板をより撓みが少ない状態で保持することができる。
【0046】
また、前記突起部を中空体から形成するとともに、中空体には流体を供給してこの中空体を溝部側に突出させる流体供給手段を設けたことで、中空体に供給する流体の量を調整することにより、薄板にかかるテンションを容易に調整することができる。
【0047】
さらに、本発明の薄板保持方法によれば、容易に薄板を撓みなく保持することができるとともに、薄板の皺などを除去しつつ保持することができる。
さらにまた、本発明の基板の製造方法によれば、基板材料を撓みや皺のない平面精度良好な状態で保持して、所定の加工を行なうことができ、精度が良好な基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における薄板保持装置を構成する搭置枠であって、(a)はその平面図、(b)はその断面図を示す。
【図2】同薄板保持装置を構成する押え枠であって、(a)はそれを下方から見た平面図、(b)はその断面図を示す。
【図3】同薄板保持装置を用いて薄板を保持する工程を示す断面図である。
【図4】同薄板保持装置の部分拡大図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における薄板保持装置を示す断面図である。
【図6】従来の基板保持装置であって、(a)はその斜視図、(b)はその断面図を示す。
【図7】従来の他の基板保持装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 薄板保持装置
2 搭置枠
3 押え枠
11 薄板搭置面
12、12a、12b、12c 環状溝部
12d 円弧状の曲線
12e 円弧状の曲線
13 開口部
21 押え面
22、22a、22b、22c 環状凹部
23、23a、23b、23c 中空体
24、24a、24b、24c 給気管
25 開口部
31 基板材料
41、41a、41b、41c 加圧溝部
42 弾性板
Claims (7)
- 複数の環状の溝部が形成された搭置枠と、
前記搭置枠に対向して配置され、かつ、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠とからなる
薄板保持装置。 - 前記搭置枠に形成された複数の環状の溝部と、押え枠に形成された複数の環状の突起部は、それぞれ同心状に形成されている請求項1記載の薄板保持装置。
- 前記溝部は、薄板の外周形状に応じて、その外周形状と略相似した形状に形成されている請求項1または2記載の薄板保持装置。
- 前記溝部の縁部は、丸みをもった形状に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の薄板保持装置。
- 前記突起部は中空体からなり、それぞれの中空体には流体を供給してこの中空体を溝部側に突出させる流体供給手段が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の薄板保持装置。
- 複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板を載せ、
次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記薄板を押え、
しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記薄板の外周部を順次各溝部に押し込む
薄板保持方法。 - 複数の環状の溝部が形成された搭置枠に、薄板状の基板材料を載せ、
次いで、前記溝部に対向して複数の環状の突起部を溝部側に突出可能に設けた押え枠と、前記搭置枠とにより、前記基板材料を押え、
しかる後に、前記突起部を、外側に配置された突起部から内側に配置された突起部に向かう順序で、対向する溝部側にそれぞれ突出させて、突起部により前記基板材料の外周部を順次各溝部に押し込み、
次いで、前記基板材料に所定の加工を行なう
基板の製造方法。
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Cited By (3)
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