JP2004106372A - スクリーン張設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】版枠の厚さ寸法のばらつきに拘わらず容易且つ確実にスクリーンを張り付け得る方法を提供する。
【解決手段】載置台24が上昇させられることによってその上面に載せられた版枠12がスクリーン10を押し上げると、そのスクリーン10に与えられている張力に応じた押圧力がその版枠12を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なそのエアーマット30の上面は、その版枠12に押圧されることで弾性的に凹まされる。このとき、版枠12の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠12ほどスクリーン10を高く押し上げる結果として、その版枠12を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得るエアーマット30は、厚さ寸法の厚い版枠12が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされ、版枠12の上面が略一平面上に位置させられる。
【選択図】 図7
【解決手段】載置台24が上昇させられることによってその上面に載せられた版枠12がスクリーン10を押し上げると、そのスクリーン10に与えられている張力に応じた押圧力がその版枠12を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なそのエアーマット30の上面は、その版枠12に押圧されることで弾性的に凹まされる。このとき、版枠12の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠12ほどスクリーン10を高く押し上げる結果として、その版枠12を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得るエアーマット30は、厚さ寸法の厚い版枠12が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされ、版枠12の上面が略一平面上に位置させられる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷版を製造するに際して版枠にそのスクリーンを張設する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば厚膜スクリーン印刷等に用いられるスクリーン印刷版は、例えば、矩形を成す版枠の一面に張り付けられたスクリーンに、感光性乳剤を塗布し、露光および現像処理を施して開口パターンを形成することによって製造される。上記版枠は例えばアルミニウム合金やステンレス鋼等で構成され、スクリーンは、ステンレス鋼等の金属繊維或いはポリエステルやナイロン等の合成樹脂繊維等が平織に織られたものが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−253044号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
版枠にスクリーンを張り付けるに際しては、例えば、版枠を紗張り機の載置台上に載せると共に、その版枠の上方に所定の張力を与えたスクリーンを配置し、版枠がスクリーンを僅かに押し上げる程度の高さまで載置台を上昇させた状態で、その版枠の一面に合成樹脂接着剤等を用いてスクリーンを接着する。このスクリーンの張設作業は、一般に、同じスクリーンを張り付ける複数個の版枠を載置台上に並べて行われる。このとき、スクリーンを版枠に接着する際にそれらの密着状態が不十分であると、張り付け後にスクリーンが剥がれ易い。そのため、複数個の版枠に同時にスクリーンを張り付ける場合には、全ての版枠にスクリーンが密着させられるように、その版枠の上面を一平面上に位置させる必要がある。
【0005】
しかしながら、多数の版枠が載せられる広い載置台の上面を平坦に保つことは困難である。また、版枠にも製造時期や製造業者の相違、或いは使用中の磨耗等に起因して厚さ寸法のばらつきがある。そのため、必ずしも版枠の上面を一平面上に位置させ得ない問題があった。例えば、同一仕様で製造した版枠であっても、15(mm)程度の厚さ寸法のもので2(mm)程度のばらつきがあるので、上述したようなスクリーンの歪みが生じ得るのである。この対策として、スクリーンの上に重石を載せて密着性を高めることが行われているが、個々の版枠の密着状態を確認しつつ重石を載せる必要があるので、この作業は極めて煩雑である。しかも、スクリーンに付与されている張力がその重石で変化させられるので、所期の張力を得ることが困難になると共に、張力変化に起因する歪みがスクリーンに生じ得る不都合もある。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、版枠の厚さ寸法のばらつきに拘わらず容易且つ確実にスクリーンを張り付け得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、スクリーン印刷版を製造するために版枠の一面にスクリーンを張設する方法であって、(a)押圧力に従って局部的且つ弾性的に変形可能な載置面に複数個の版枠を載せる版枠載置工程と、(b)所定の張力を与えたスクリーンをそれら複数個の版枠の上方で支持するスクリーン支持工程と、(c)前記載置面を前記複数個の版枠で前記スクリーンが押し上げられる所定の高さ位置まで上昇させる載置面上昇工程と、(d)前記所定の高さ位置において前記スクリーンを前記複数個の版枠の各々に接着する接着工程とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、載置面が上昇させられることによってその載置面に載せられた版枠がスクリーンを押し上げると、そのスクリーンに与えられている張力に応じた押圧力がその版枠を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なその載置面は、その版枠に押圧されることで弾性的に変形すなわち凹まされる。このとき、版枠の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠ほどスクリーンを高く押し上げる結果として、その版枠を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得る載置面は、厚さ寸法の厚い版枠が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされる。この結果、複数個の版枠はその厚さ寸法のばらつきに拘わらずその上面が略一平面上に位置することとなるので、容易且つ確実にスクリーンを張り付けることができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記載置面は、所定の厚さ寸法を備えた発泡ポリウレタンの一面で構成されたものである。このようにすれば、発泡ポリウレタンは容易に弾性変形させられ且つ復元性に富むので、版枠の上面を一層確実に一平面上に位置させることが容易であると共に、多数回の繰り返し利用が可能である利点がある。
【0010】
また、好適には、前記載置面は、気体の供給および排出が可能な気密空間を内部に備えた袋体、例えばエアーマットの一面で構成されたものである。このようにすれば、内部に封入された気体の圧力やその封入状態での初期厚み等を、版枠の大きさや厚さ寸法、或いはそのばらつきの範囲等に応じて適宜調節することにより、スクリーンに押付けられた際に、その上面を一平面上に位置させることが容易である。
【0011】
また、好適には、前記載置面上昇工程は、前記載置面が弾性変形可能な範囲内でその載置面を上昇させるものである。すなわち、載置面の弾性変形可能な厚さ(高さ)寸法範囲は、載置される複数個の版枠の厚さ寸法のばらつきを考慮して、それらの上面が一平面上に位置する前に載置面の弾性変形不可能な部分が生じないように定められる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のスクリーン張設方法を適用してスクリーン10が版枠12に張り付けられた厚膜スクリーン印刷用のスクリーン印刷版(以下、印刷版という)14の全体を示す斜視図である。
【0014】
上記のスクリーン10は、例えばステンレス鋼製の金属細線或いはナイロン、ポリエステル等の合成樹脂製の細線を縦糸および横糸として400メッシュ(#400)程度の目に織られた紗厚が52(μm)程度のメッシュ(網)である。このスクリーン10には、例えば0.8〜0.85(mm)程度の張力が付与されている。スクリーン10には、印刷上問題となるような歪みは何ら存在せず、付与されている張力も略全面で一様である。なお、上記張力は、例えば、株式会社トープロテック社製のSTG−75G型テンションゲージを用いて測定した値である。
【0015】
また、上記の版枠12は、例えば軽合金等から成るものであって、対辺が互いに平行な4辺により囲まれた矩形枠であって、例えば一辺が200〜300(mm)程度の長さ寸法と、14〜16(mm)程度の厚さ寸法とを有している。図2に示されるように、前記のスクリーン10は、この版枠12の一面にエポキシ樹脂等の接着剤16を用いて固着されており、その外周縁部全体がその版枠12に密着させられている。
【0016】
また、上記の図2に示されるように、スクリーン10の全面には、例えば感光性樹脂を塗布して露光および現像処理を施すことにより所定の開口パターンを有する樹脂膜18が固着されている。この樹脂膜18は、印刷時において厚膜印刷ペーストを通過させないレジスト層として機能するものであるが、本実施例を理解するために必要ではないので、詳細については説明を省略する。
【0017】
以上のように構成された製版10は、版枠12にスクリーン10を張り付けて、そのスクリーン10に樹脂を固着して樹脂膜18を設けることで製造される。これらのうちスクリーン10の張り付けは、例えば図3、図4に示される紗張り機20を用い、図6に示される工程に従って行われる。
【0018】
上記の図3、図4において、紗張り機20には平面形状が略矩形を成し且つ上面が略平坦な載置台24が備えられている。載置台24は、スクリーン10を張り付けようとする1個或いは複数個の版枠12が載せられるものである。図3においては8個の版枠12が載せられている状態を示した。この載置台24は、鉛直方向に沿って伸びる複数本のねじ軸26で支持されている。そのため、昇降モータ28によってそれら複数本のねじ軸26が同期して回転駆動されることにより、載置台24は、その上面が水平に保たれたまま上下に移動させられる。
【0019】
また、上記載置台24の上面には、その略全面を覆うエアマット30が載せられており、更に、そのエアマット30上には、版枠12よりもやや大きい平面形状を有する複数枚の平板32が載せられており、複数個の版枠12は、各々がこの平板32上に載せられている。すなわち、版枠12は、載置台24上にエアマット30および平板32を介して載せられているのである。本実施例においては、このエアマット30の上面が実質的に載置面として機能する。
【0020】
図5(a)は、上記のエアマット30の全体を示す平面図であり、(b)はそのb−b視断面においてその断面構造を説明する図である。図において、エアマット30は、例えば弾力性のあるビニール等から成るものであって、前記の図3において破線で示される複数個の版枠12全体の外周縁に略沿った階段状の輪郭形状を備えている。また、エアマット30は、外周縁が気密に閉じられ且つ内周部が(b)に示されるように中空とされた袋体である。外周縁の複数箇所には、空気流入口34および空気排出口36が設けられており、内部の空気圧を調節できるようになっている。このため、エアマット30は、その表面が押圧されると、内部の空気圧に応じた弾性率を以てその押圧された部分が弾性的に凹まされる(変形させられる)ので、その上に載せられた版枠12を弾性的に支持することとなる。なお、図においては、右方に3個の流入口34を、左方に2個の排出口36をそれぞれ示しているが、これらの配置や個数は内部における適当な空気流通が得られるように適宜定められる。
【0021】
また、平板32は、(a)における下端部に例示する位置に載せられるようになっているが、その周囲には、例えば全体として矩形を成す複数個の溶着点38が形成されている。エアマット30は、8個の版枠12が載せられるように構成されており、溶着点38は、それら8個の版枠12の各々が乗せられる位置毎に設けられているのである。なお、溶着点38の相互間隔は、その相互間を容易に空気が流通し得るように定められている。また、その内側にも例えば4つの溶着点40が設けられている。これら溶着点38,40は、エアマット30内の空気圧を十分に高くしたときにも、内周部が過度に膨らむことを防止するためのものである。これにより、エアマット30は、内部の空気圧の如何に拘わらず略平坦な袋状に保たれている。
【0022】
また、上記平板32は、例えば梱包材等に用いられるものであって段ボールと同様な断面形状を備えたプラスチック製波板である。このような平板32がエアマット30上に配置され且つその上に載せられた版枠12によって押圧されると、エアマット30が容易に弾性変形させられるものであるため、全体が略平坦に保たれたまま殆ど変形させられることなく押下げられる。これにより、版枠12からの押圧力がその平板32の全体に略一様に分散した状態でエアマット30に伝達されるので、版枠12がエアマット30を局部的に押圧して凹ませ延いては版枠12が水平面に対して傾くことが好適に防止される。
【0023】
図3、図4に戻って、紗張り機20の載置台24の周囲には、そのやや上方の位置において、その四辺に沿った外周側位置に4本のチャック42が備えられている。チャック42は、載置台24に載せられた版枠12にスクリーン10を張り付けるに際して、これに所定の張力を与えた状態で保持するためのものである。これらチャック42は何れも長手状を成し、その長手方向の複数箇所に、締め付け方向が上下方向となる向きに固定された万力44を備えている。その万力44の一対の口金部分にはチャック42を構成する上側挟圧部材46および下側挟圧部材48が取り付けられており、ハンドル50を回転させてそれら挟圧部材46,48を相互に接近させることにより、それらの対向面に固着された断面波形のゴム製当接部材52,54でスクリーン10が両面から挟まれることとなる。
【0024】
また、紗張り機20の本体フレーム56には、張力付与モータ58によって軸心回りに回転させられる複数本のねじ軸60が備えられており、前記のチャック42は何れもそのねじ軸60に螺合されている。そのため、チャック42は、そのネジ軸60の回転に従ってその長手方向の前後に移動させられるので、対向して位置するチャック42が相互に離隔させられると、それに挟持されたスクリーン10にその移動量に応じた張力が与えられることとなる。スクリーン10は、このようにして所定の張力を与えられ且つ載置台24上に載せられた版枠12の上方で支持されるのである。
【0025】
上記のような紗張り機20を用いてスクリーン10を版枠12に張り付けるに際しては、先ず、図6に示す版枠載置工程62において、スクリーン10を張り付けようとする複数個例えば8個の版枠12が、エアーマット30および平板32が載せられた紗張り機20の載置台24上の所定位置に載せられる。なお、エアーマット30には、載せられる版枠12の大きさや質量、或いは張り付けられるスクリーン10に付与される張力等を考慮して定められた例えば0.4〜0.5(MPa)空気圧となるように、内部に空気が供給されている。
【0026】
次いで、スクリーン支持工程64においては、スクリーン10をチャック42で挟持して外周側に引張ることにより、例えば0.7(mm)程度の所定の張力Tpを付与した状態でその載置台24の上方において保持する。このとき、載置台24は例えば下端位置まで下降させられており、スクリーン10と版枠12とが相互に隔てられた状態にある。図7(a)〜(d)は、スクリーン張設の実施状態を説明するための模式図であり、これらの図のうち(a)が、上記のスクリーン10を保持した段階を示している。
【0027】
次いで、載置台上昇工程66では、載置台24が所定の高さ位置まで上昇させられる。図7(b)は載置台24の上昇が完了した時点を示している。図に示されるように、上記所定の高さ位置は、載置台24上に載せられた版枠12でスクリーン10が僅かに、例えば2〜5(mm)程度だけ押し上げられる程度に設定されている。なお、載置台24上の複数個の版枠12は、その製造時期や使用中の消耗等に起因して、その厚さ寸法(図における上下方向の寸法)にばらつきがある。そのため、版枠12の上面は一様な高さ位置には位置していない。この結果、図7(b)に示されるように、スクリーン10は厚い版枠12によって相対的に高く押し上げられることとなるので、相対的に薄い版枠12にはスクリーン10が密着していない。
【0028】
上記のようにして版枠12に押し上げられたスクリーン10は、それに作用する張力に抗して引張られることとなるので、その張力に基づく復元力すなわちスクリーン10を(a)に示されるような水平に張られた状態に戻そうとする力が発生する。この復元力は、スクリーン10の変形量が大きいほどすなわち相対的に高く押し上げられた位置ほど強くなるため、(b)において左側に示されるような厚い版枠12ほど、これに働く押下げ方向の力が大きくなる。
【0029】
このとき、版枠12は、容易に弾性変形させられるエアマット30に平板32を介して載せられているため、押圧された版枠12はエアマット30を弾性的に凹ませつつ押下げられる。このエアマット30の変形量は、版枠12から作用する押圧力が大きいほど大きくなるため、スクリーン10から作用する押圧力の大きな厚い版枠12は、相対的に薄い版枠12に比較してエアマット30を大きく凹ませつつ押下げられる。そのため、その上面が他の相対的に薄い版枠12と略同一の高さ位置まで下降させられ、複数個の版枠12の上面が全て略一平面上に位置することとなる。この結果、スクリーン10は、全ての版枠12の上面に密着させられるのである。すなわち、載置面が弾性変形させられることにより、厚さ寸法のばらつきに拘わらず版枠12の上面が一平面上に位置することとなる。図7(c)は、このように版枠12がスクリーン10の復元力に基づいて押下げられた状態を示している。本実施例においては、エアーマット30の上面が弾性変形可能な載置面を構成している。
【0030】
なお、載置台24の上昇量延いては版枠12によるスクリーン10の押し上げ量は、上記のようにして版枠12によって弾性的に凹まされたエアーマット30が、その弾性的な変形の限界に達していることのないように定められている。
【0031】
図6に戻って、接着工程68においては、例えば、上記のようにして版枠12に密着させられたスクリーン10の上から接着剤を塗布することにより、その版枠12にスクリーン10を接着する。図7(d)は、この段階を示している。そして、切断工程70において版枠12の外側にはみ出しているスクリーン10を切除することにより、一連のスクリーン張設工程が終了する。この後、スクリーン10が張り付けられた版枠12をアルカリ等を用いて脱脂し、更に溶剤、洗剤、水等を用いて洗浄した後、感光性乳剤を塗布して露光、現像等の一連のパターン形成工程を実施することにより、前記の印刷版14が得られる。
【0032】
要するに、本実施例においては、載置台24が上昇させられることによってその上面に載せられた版枠12がスクリーン10を押し上げると、そのスクリーン10に与えられている張力に応じた押圧力がその版枠12を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なそのエアーマット30の上面すなわち載置面は、その版枠12に押圧されることで弾性的に凹まされる。このとき、版枠12の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠12ほどスクリーン10を高く押し上げる結果として、その版枠12を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得るエアーマット30は、厚さ寸法の厚い版枠12が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされる。この結果、載置台24に載せられた複数個の版枠12はその厚さ寸法のばらつきに拘わらずその上面が略一平面上に位置することとなるので、容易且つ確実にスクリーン10を張り付けることができる。
【0033】
図8は、前記のエアーマット30に代わって載置台24上に載せて用いられ得る薄板72を示す断面図である。薄板72は、例えば発泡ポリウレタン等から成るものであって、30(mm)程度の一様な厚さ寸法を備えている。この薄板72は、その表面が容易且つ局部的に弾性変形可能であるので、前記のエアーマット30を用いた場合と同様に版枠12を載せてスクリーン10に押し付けた際に、複数個の版枠12の上面を、その厚さ寸法のばらつきにも拘わらず一平面上に位置させることができる。
【0034】
なお、上記の図8において、薄板72の表面には、ゴム平板74が載せられている。このゴム平板74は、発泡ポリウレタンから成る薄板72の局所的な変形を緩和するために、前記の平板32と同様な目的で載せられたものである。ゴム平板74は、例えば1(mm)程度の厚さ寸法を備えたものが用いられる。
【0035】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0036】
例えば、実施例においては、弾性的に変形可能な載置面が実質的にエアーマット30や発泡ポリウレタンから成る薄板72の表面で構成されていたが、押圧力に従って局所的且つ弾性的に変形可能な他の材料で構成しても差し支えない。例えば、比較的硬度の低いゴム材料製の薄板や、軟質樹脂等を用いることができる。
【0037】
また、本発明の効果を得るためには、載置面が版枠12毎にその厚さ寸法に応じた高さ位置に変位すれば足りるので、載置面自身が弾性変形不能な金属材料や木材等で構成されているものであっても、その載置面が版枠12が載せられる部分毎に分割されてばね等で支持された構成とすることもできる。
【0038】
また、実施例においては、載置台24に8個の版枠12が載せられ、それらに同時にスクリーン10が張り付けられる場合について説明したが、少なくとも2個以上の版枠12に同時にスクリーン10が張り付けられるのであれば、その個数に拘わらず本発明を同様に適用することができる。
【0039】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン張設方法を適用して製造されたスクリーン印刷版の構成を説明する図である。
【図2】図1の印刷版の断面構造を説明する図である。
【図3】図1のスクリーン印刷版にスクリーンを張り付けるための紗張り機の構造を示す平面図である。
【図4】図3の紗張り機の断面構造を説明するための図である。
【図5】(a)は図3の紗張り機に備えられたエアマットの構造を説明する平面図であり、(b)はその断面の要部を説明する図である。
【図6】図1のスクリーン印刷版のスクリーン張設方法を説明するための工程図である。
【図7】(a)〜(d)は、図6に示す製造工程の要部段階における版枠の処理状況を説明するための模式図である。
【図8】図3に示す紗張り機においてエアマットに代えて用いられ得る薄板部材の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
10:スクリーン
12:版枠
14:スクリーン印刷版
24:載置台
30:エアーマット
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷版を製造するに際して版枠にそのスクリーンを張設する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば厚膜スクリーン印刷等に用いられるスクリーン印刷版は、例えば、矩形を成す版枠の一面に張り付けられたスクリーンに、感光性乳剤を塗布し、露光および現像処理を施して開口パターンを形成することによって製造される。上記版枠は例えばアルミニウム合金やステンレス鋼等で構成され、スクリーンは、ステンレス鋼等の金属繊維或いはポリエステルやナイロン等の合成樹脂繊維等が平織に織られたものが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−253044号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
版枠にスクリーンを張り付けるに際しては、例えば、版枠を紗張り機の載置台上に載せると共に、その版枠の上方に所定の張力を与えたスクリーンを配置し、版枠がスクリーンを僅かに押し上げる程度の高さまで載置台を上昇させた状態で、その版枠の一面に合成樹脂接着剤等を用いてスクリーンを接着する。このスクリーンの張設作業は、一般に、同じスクリーンを張り付ける複数個の版枠を載置台上に並べて行われる。このとき、スクリーンを版枠に接着する際にそれらの密着状態が不十分であると、張り付け後にスクリーンが剥がれ易い。そのため、複数個の版枠に同時にスクリーンを張り付ける場合には、全ての版枠にスクリーンが密着させられるように、その版枠の上面を一平面上に位置させる必要がある。
【0005】
しかしながら、多数の版枠が載せられる広い載置台の上面を平坦に保つことは困難である。また、版枠にも製造時期や製造業者の相違、或いは使用中の磨耗等に起因して厚さ寸法のばらつきがある。そのため、必ずしも版枠の上面を一平面上に位置させ得ない問題があった。例えば、同一仕様で製造した版枠であっても、15(mm)程度の厚さ寸法のもので2(mm)程度のばらつきがあるので、上述したようなスクリーンの歪みが生じ得るのである。この対策として、スクリーンの上に重石を載せて密着性を高めることが行われているが、個々の版枠の密着状態を確認しつつ重石を載せる必要があるので、この作業は極めて煩雑である。しかも、スクリーンに付与されている張力がその重石で変化させられるので、所期の張力を得ることが困難になると共に、張力変化に起因する歪みがスクリーンに生じ得る不都合もある。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、版枠の厚さ寸法のばらつきに拘わらず容易且つ確実にスクリーンを張り付け得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、スクリーン印刷版を製造するために版枠の一面にスクリーンを張設する方法であって、(a)押圧力に従って局部的且つ弾性的に変形可能な載置面に複数個の版枠を載せる版枠載置工程と、(b)所定の張力を与えたスクリーンをそれら複数個の版枠の上方で支持するスクリーン支持工程と、(c)前記載置面を前記複数個の版枠で前記スクリーンが押し上げられる所定の高さ位置まで上昇させる載置面上昇工程と、(d)前記所定の高さ位置において前記スクリーンを前記複数個の版枠の各々に接着する接着工程とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、載置面が上昇させられることによってその載置面に載せられた版枠がスクリーンを押し上げると、そのスクリーンに与えられている張力に応じた押圧力がその版枠を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なその載置面は、その版枠に押圧されることで弾性的に変形すなわち凹まされる。このとき、版枠の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠ほどスクリーンを高く押し上げる結果として、その版枠を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得る載置面は、厚さ寸法の厚い版枠が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされる。この結果、複数個の版枠はその厚さ寸法のばらつきに拘わらずその上面が略一平面上に位置することとなるので、容易且つ確実にスクリーンを張り付けることができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記載置面は、所定の厚さ寸法を備えた発泡ポリウレタンの一面で構成されたものである。このようにすれば、発泡ポリウレタンは容易に弾性変形させられ且つ復元性に富むので、版枠の上面を一層確実に一平面上に位置させることが容易であると共に、多数回の繰り返し利用が可能である利点がある。
【0010】
また、好適には、前記載置面は、気体の供給および排出が可能な気密空間を内部に備えた袋体、例えばエアーマットの一面で構成されたものである。このようにすれば、内部に封入された気体の圧力やその封入状態での初期厚み等を、版枠の大きさや厚さ寸法、或いはそのばらつきの範囲等に応じて適宜調節することにより、スクリーンに押付けられた際に、その上面を一平面上に位置させることが容易である。
【0011】
また、好適には、前記載置面上昇工程は、前記載置面が弾性変形可能な範囲内でその載置面を上昇させるものである。すなわち、載置面の弾性変形可能な厚さ(高さ)寸法範囲は、載置される複数個の版枠の厚さ寸法のばらつきを考慮して、それらの上面が一平面上に位置する前に載置面の弾性変形不可能な部分が生じないように定められる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のスクリーン張設方法を適用してスクリーン10が版枠12に張り付けられた厚膜スクリーン印刷用のスクリーン印刷版(以下、印刷版という)14の全体を示す斜視図である。
【0014】
上記のスクリーン10は、例えばステンレス鋼製の金属細線或いはナイロン、ポリエステル等の合成樹脂製の細線を縦糸および横糸として400メッシュ(#400)程度の目に織られた紗厚が52(μm)程度のメッシュ(網)である。このスクリーン10には、例えば0.8〜0.85(mm)程度の張力が付与されている。スクリーン10には、印刷上問題となるような歪みは何ら存在せず、付与されている張力も略全面で一様である。なお、上記張力は、例えば、株式会社トープロテック社製のSTG−75G型テンションゲージを用いて測定した値である。
【0015】
また、上記の版枠12は、例えば軽合金等から成るものであって、対辺が互いに平行な4辺により囲まれた矩形枠であって、例えば一辺が200〜300(mm)程度の長さ寸法と、14〜16(mm)程度の厚さ寸法とを有している。図2に示されるように、前記のスクリーン10は、この版枠12の一面にエポキシ樹脂等の接着剤16を用いて固着されており、その外周縁部全体がその版枠12に密着させられている。
【0016】
また、上記の図2に示されるように、スクリーン10の全面には、例えば感光性樹脂を塗布して露光および現像処理を施すことにより所定の開口パターンを有する樹脂膜18が固着されている。この樹脂膜18は、印刷時において厚膜印刷ペーストを通過させないレジスト層として機能するものであるが、本実施例を理解するために必要ではないので、詳細については説明を省略する。
【0017】
以上のように構成された製版10は、版枠12にスクリーン10を張り付けて、そのスクリーン10に樹脂を固着して樹脂膜18を設けることで製造される。これらのうちスクリーン10の張り付けは、例えば図3、図4に示される紗張り機20を用い、図6に示される工程に従って行われる。
【0018】
上記の図3、図4において、紗張り機20には平面形状が略矩形を成し且つ上面が略平坦な載置台24が備えられている。載置台24は、スクリーン10を張り付けようとする1個或いは複数個の版枠12が載せられるものである。図3においては8個の版枠12が載せられている状態を示した。この載置台24は、鉛直方向に沿って伸びる複数本のねじ軸26で支持されている。そのため、昇降モータ28によってそれら複数本のねじ軸26が同期して回転駆動されることにより、載置台24は、その上面が水平に保たれたまま上下に移動させられる。
【0019】
また、上記載置台24の上面には、その略全面を覆うエアマット30が載せられており、更に、そのエアマット30上には、版枠12よりもやや大きい平面形状を有する複数枚の平板32が載せられており、複数個の版枠12は、各々がこの平板32上に載せられている。すなわち、版枠12は、載置台24上にエアマット30および平板32を介して載せられているのである。本実施例においては、このエアマット30の上面が実質的に載置面として機能する。
【0020】
図5(a)は、上記のエアマット30の全体を示す平面図であり、(b)はそのb−b視断面においてその断面構造を説明する図である。図において、エアマット30は、例えば弾力性のあるビニール等から成るものであって、前記の図3において破線で示される複数個の版枠12全体の外周縁に略沿った階段状の輪郭形状を備えている。また、エアマット30は、外周縁が気密に閉じられ且つ内周部が(b)に示されるように中空とされた袋体である。外周縁の複数箇所には、空気流入口34および空気排出口36が設けられており、内部の空気圧を調節できるようになっている。このため、エアマット30は、その表面が押圧されると、内部の空気圧に応じた弾性率を以てその押圧された部分が弾性的に凹まされる(変形させられる)ので、その上に載せられた版枠12を弾性的に支持することとなる。なお、図においては、右方に3個の流入口34を、左方に2個の排出口36をそれぞれ示しているが、これらの配置や個数は内部における適当な空気流通が得られるように適宜定められる。
【0021】
また、平板32は、(a)における下端部に例示する位置に載せられるようになっているが、その周囲には、例えば全体として矩形を成す複数個の溶着点38が形成されている。エアマット30は、8個の版枠12が載せられるように構成されており、溶着点38は、それら8個の版枠12の各々が乗せられる位置毎に設けられているのである。なお、溶着点38の相互間隔は、その相互間を容易に空気が流通し得るように定められている。また、その内側にも例えば4つの溶着点40が設けられている。これら溶着点38,40は、エアマット30内の空気圧を十分に高くしたときにも、内周部が過度に膨らむことを防止するためのものである。これにより、エアマット30は、内部の空気圧の如何に拘わらず略平坦な袋状に保たれている。
【0022】
また、上記平板32は、例えば梱包材等に用いられるものであって段ボールと同様な断面形状を備えたプラスチック製波板である。このような平板32がエアマット30上に配置され且つその上に載せられた版枠12によって押圧されると、エアマット30が容易に弾性変形させられるものであるため、全体が略平坦に保たれたまま殆ど変形させられることなく押下げられる。これにより、版枠12からの押圧力がその平板32の全体に略一様に分散した状態でエアマット30に伝達されるので、版枠12がエアマット30を局部的に押圧して凹ませ延いては版枠12が水平面に対して傾くことが好適に防止される。
【0023】
図3、図4に戻って、紗張り機20の載置台24の周囲には、そのやや上方の位置において、その四辺に沿った外周側位置に4本のチャック42が備えられている。チャック42は、載置台24に載せられた版枠12にスクリーン10を張り付けるに際して、これに所定の張力を与えた状態で保持するためのものである。これらチャック42は何れも長手状を成し、その長手方向の複数箇所に、締め付け方向が上下方向となる向きに固定された万力44を備えている。その万力44の一対の口金部分にはチャック42を構成する上側挟圧部材46および下側挟圧部材48が取り付けられており、ハンドル50を回転させてそれら挟圧部材46,48を相互に接近させることにより、それらの対向面に固着された断面波形のゴム製当接部材52,54でスクリーン10が両面から挟まれることとなる。
【0024】
また、紗張り機20の本体フレーム56には、張力付与モータ58によって軸心回りに回転させられる複数本のねじ軸60が備えられており、前記のチャック42は何れもそのねじ軸60に螺合されている。そのため、チャック42は、そのネジ軸60の回転に従ってその長手方向の前後に移動させられるので、対向して位置するチャック42が相互に離隔させられると、それに挟持されたスクリーン10にその移動量に応じた張力が与えられることとなる。スクリーン10は、このようにして所定の張力を与えられ且つ載置台24上に載せられた版枠12の上方で支持されるのである。
【0025】
上記のような紗張り機20を用いてスクリーン10を版枠12に張り付けるに際しては、先ず、図6に示す版枠載置工程62において、スクリーン10を張り付けようとする複数個例えば8個の版枠12が、エアーマット30および平板32が載せられた紗張り機20の載置台24上の所定位置に載せられる。なお、エアーマット30には、載せられる版枠12の大きさや質量、或いは張り付けられるスクリーン10に付与される張力等を考慮して定められた例えば0.4〜0.5(MPa)空気圧となるように、内部に空気が供給されている。
【0026】
次いで、スクリーン支持工程64においては、スクリーン10をチャック42で挟持して外周側に引張ることにより、例えば0.7(mm)程度の所定の張力Tpを付与した状態でその載置台24の上方において保持する。このとき、載置台24は例えば下端位置まで下降させられており、スクリーン10と版枠12とが相互に隔てられた状態にある。図7(a)〜(d)は、スクリーン張設の実施状態を説明するための模式図であり、これらの図のうち(a)が、上記のスクリーン10を保持した段階を示している。
【0027】
次いで、載置台上昇工程66では、載置台24が所定の高さ位置まで上昇させられる。図7(b)は載置台24の上昇が完了した時点を示している。図に示されるように、上記所定の高さ位置は、載置台24上に載せられた版枠12でスクリーン10が僅かに、例えば2〜5(mm)程度だけ押し上げられる程度に設定されている。なお、載置台24上の複数個の版枠12は、その製造時期や使用中の消耗等に起因して、その厚さ寸法(図における上下方向の寸法)にばらつきがある。そのため、版枠12の上面は一様な高さ位置には位置していない。この結果、図7(b)に示されるように、スクリーン10は厚い版枠12によって相対的に高く押し上げられることとなるので、相対的に薄い版枠12にはスクリーン10が密着していない。
【0028】
上記のようにして版枠12に押し上げられたスクリーン10は、それに作用する張力に抗して引張られることとなるので、その張力に基づく復元力すなわちスクリーン10を(a)に示されるような水平に張られた状態に戻そうとする力が発生する。この復元力は、スクリーン10の変形量が大きいほどすなわち相対的に高く押し上げられた位置ほど強くなるため、(b)において左側に示されるような厚い版枠12ほど、これに働く押下げ方向の力が大きくなる。
【0029】
このとき、版枠12は、容易に弾性変形させられるエアマット30に平板32を介して載せられているため、押圧された版枠12はエアマット30を弾性的に凹ませつつ押下げられる。このエアマット30の変形量は、版枠12から作用する押圧力が大きいほど大きくなるため、スクリーン10から作用する押圧力の大きな厚い版枠12は、相対的に薄い版枠12に比較してエアマット30を大きく凹ませつつ押下げられる。そのため、その上面が他の相対的に薄い版枠12と略同一の高さ位置まで下降させられ、複数個の版枠12の上面が全て略一平面上に位置することとなる。この結果、スクリーン10は、全ての版枠12の上面に密着させられるのである。すなわち、載置面が弾性変形させられることにより、厚さ寸法のばらつきに拘わらず版枠12の上面が一平面上に位置することとなる。図7(c)は、このように版枠12がスクリーン10の復元力に基づいて押下げられた状態を示している。本実施例においては、エアーマット30の上面が弾性変形可能な載置面を構成している。
【0030】
なお、載置台24の上昇量延いては版枠12によるスクリーン10の押し上げ量は、上記のようにして版枠12によって弾性的に凹まされたエアーマット30が、その弾性的な変形の限界に達していることのないように定められている。
【0031】
図6に戻って、接着工程68においては、例えば、上記のようにして版枠12に密着させられたスクリーン10の上から接着剤を塗布することにより、その版枠12にスクリーン10を接着する。図7(d)は、この段階を示している。そして、切断工程70において版枠12の外側にはみ出しているスクリーン10を切除することにより、一連のスクリーン張設工程が終了する。この後、スクリーン10が張り付けられた版枠12をアルカリ等を用いて脱脂し、更に溶剤、洗剤、水等を用いて洗浄した後、感光性乳剤を塗布して露光、現像等の一連のパターン形成工程を実施することにより、前記の印刷版14が得られる。
【0032】
要するに、本実施例においては、載置台24が上昇させられることによってその上面に載せられた版枠12がスクリーン10を押し上げると、そのスクリーン10に与えられている張力に応じた押圧力がその版枠12を押下げる方向に作用する。そのため、局部的且つ弾性的に変形可能なそのエアーマット30の上面すなわち載置面は、その版枠12に押圧されることで弾性的に凹まされる。このとき、版枠12の厚さ寸法にばらつきがあると、厚さ寸法の厚い版枠12ほどスクリーン10を高く押し上げる結果として、その版枠12を押下げる方向の押圧力が大きくなるので、局部的に弾性変形し得るエアーマット30は、厚さ寸法の厚い版枠12が載せられた部分ほど相対的に大きく凹まされる。この結果、載置台24に載せられた複数個の版枠12はその厚さ寸法のばらつきに拘わらずその上面が略一平面上に位置することとなるので、容易且つ確実にスクリーン10を張り付けることができる。
【0033】
図8は、前記のエアーマット30に代わって載置台24上に載せて用いられ得る薄板72を示す断面図である。薄板72は、例えば発泡ポリウレタン等から成るものであって、30(mm)程度の一様な厚さ寸法を備えている。この薄板72は、その表面が容易且つ局部的に弾性変形可能であるので、前記のエアーマット30を用いた場合と同様に版枠12を載せてスクリーン10に押し付けた際に、複数個の版枠12の上面を、その厚さ寸法のばらつきにも拘わらず一平面上に位置させることができる。
【0034】
なお、上記の図8において、薄板72の表面には、ゴム平板74が載せられている。このゴム平板74は、発泡ポリウレタンから成る薄板72の局所的な変形を緩和するために、前記の平板32と同様な目的で載せられたものである。ゴム平板74は、例えば1(mm)程度の厚さ寸法を備えたものが用いられる。
【0035】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0036】
例えば、実施例においては、弾性的に変形可能な載置面が実質的にエアーマット30や発泡ポリウレタンから成る薄板72の表面で構成されていたが、押圧力に従って局所的且つ弾性的に変形可能な他の材料で構成しても差し支えない。例えば、比較的硬度の低いゴム材料製の薄板や、軟質樹脂等を用いることができる。
【0037】
また、本発明の効果を得るためには、載置面が版枠12毎にその厚さ寸法に応じた高さ位置に変位すれば足りるので、載置面自身が弾性変形不能な金属材料や木材等で構成されているものであっても、その載置面が版枠12が載せられる部分毎に分割されてばね等で支持された構成とすることもできる。
【0038】
また、実施例においては、載置台24に8個の版枠12が載せられ、それらに同時にスクリーン10が張り付けられる場合について説明したが、少なくとも2個以上の版枠12に同時にスクリーン10が張り付けられるのであれば、その個数に拘わらず本発明を同様に適用することができる。
【0039】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン張設方法を適用して製造されたスクリーン印刷版の構成を説明する図である。
【図2】図1の印刷版の断面構造を説明する図である。
【図3】図1のスクリーン印刷版にスクリーンを張り付けるための紗張り機の構造を示す平面図である。
【図4】図3の紗張り機の断面構造を説明するための図である。
【図5】(a)は図3の紗張り機に備えられたエアマットの構造を説明する平面図であり、(b)はその断面の要部を説明する図である。
【図6】図1のスクリーン印刷版のスクリーン張設方法を説明するための工程図である。
【図7】(a)〜(d)は、図6に示す製造工程の要部段階における版枠の処理状況を説明するための模式図である。
【図8】図3に示す紗張り機においてエアマットに代えて用いられ得る薄板部材の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
10:スクリーン
12:版枠
14:スクリーン印刷版
24:載置台
30:エアーマット
Claims (1)
- スクリーン印刷版を製造するために版枠の一面にスクリーンを張設する方法であって、
押圧力に従って局部的且つ弾性的に変形可能な載置面に複数個の版枠を載せる版枠載置工程と、
所定の張力を与えたスクリーンをそれら複数個の版枠の上方で支持するスクリーン支持工程と、
前記載置面を前記複数個の版枠で前記スクリーンが押し上げられる所定の高さ位置まで上昇させる載置面上昇工程と、
前記所定の高さ位置において前記スクリーンを前記複数個の版枠の各々に接着する接着工程と
を、含むことを特徴とするスクリーン張設方法。
Priority Applications (1)
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JP2002272903A JP2004106372A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | スクリーン張設方法 |
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JP (1) | JP2004106372A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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ITUD20080166A1 (it) * | 2008-07-17 | 2010-01-18 | Nuova Fima S P A Societa Uniperson Ale | Procedimento e dispositivo per la realizzazione di un cliche' di stampa |
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-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002272903A patent/JP2004106372A/ja active Pending
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