JP2004236174A - 色補正プロファイル作成装置、色補正プロファイル作成方法および色補正プロファイル作成プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】同じ入力画像データについての印刷であっても色域の境界付近の色はカラーマネジメントが有効に機能しなかった。
【解決手段】色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通する所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出して当該特定の色およびその周囲の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷し、このパッチの中で互いに同等の色を抽出し、当該抽出した色と特定の色とを対応づけて複数の印刷装置および印刷条件毎の色補正プロファイルとする。
【選択図】 図1
【解決手段】色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通する所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出して当該特定の色およびその周囲の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷し、このパッチの中で互いに同等の色を抽出し、当該抽出した色と特定の色とを対応づけて複数の印刷装置および印刷条件毎の色補正プロファイルとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は色補正プロファイル作成装置、色補正プロファイル作成方法および色補正プロファイル作成プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷装置においては印刷媒体や印刷装置の差異に依存せずにほぼ一定の色を出力する仕組みとして、カラーマネジメントを行っている。すなわち、入力画像データの色成分と出力画像データの色成分をLab(通常はL*a*b*等、*を付して表記するが本明細書では省略する。以下同じ。)等の機器非依存色空間内の座標に変換可能なプロファイルを予め保存しておく。プロファイルは印刷を実行する印刷媒体等、各種印刷条件に対応しており、印刷条件に合致したプロファイルを使用することにより、各種印刷条件での印刷結果で色を一致させることができる。(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】
特開2000−255034号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の印刷装置においては以下の問題があった。すなわち、入力画像を示す入力画像データと印刷装置で使用される出力画像データとでは表現可能な色が異なるので、色域の境界付近において入力画像データでは表現可能であるが出力画像データでは表現できない色について色域を圧縮するなどして色域マッピングを行っていた。しかし、一般には印刷装置や印刷条件が異なるとそれぞれの色域が異なるので、色域の圧縮率や圧縮対象となる色が異なり、同じ入力画像データについての印刷であっても色域の境界付近の色はカラーマネジメントが有効に機能せず、印刷装置や印刷条件毎に色が異なってしまっていた。特に、印刷業者等において同じ画像を複数の印刷装置で同時に印刷する際には、各印刷装置における色の差異が顕著に現れてしまう。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、色域境界付近の色について印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず一定の色で印刷を実行させるための色補正プロファイル作成装置、色補正プロファイル作成方法および色補正プロファイル作成プログラムの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明では従来の色変換プロファイルによる色変換を実行可能な構成において特定の色については色補正プロファイルによって色変換を行って、従来の色変換プロファイルでは色域マッピングによって圧縮等がなされる色であっても印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷がなされるようにする。すなわち、色補正プロファイルの作成に際して色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通の所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出し、この特定の色を印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷するよう変換するプロファイルとする。この色補正プロファイルは複数の印刷装置および印刷条件毎に作成される。より具体的には、以下の考え方に基づいて色補正プロファイルを作成する。
【0006】
すなわち、従来の色変換プロファイルにおいては所定色空間内の共通領域外に存在する特定の色が色域圧縮等によって本来の色と異なる色に置き換えられるので、まず、色変換を実施する以前に所定色空間内の共通領域外に存在する特定の色を抽出する。この結果、色補正プロファイルにて補正を行うべき色を特定することができる。さらに、この特定の色およびその周辺の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷する。従って、このパッチについて目視あるいは測色機による測色を行えば、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色と見なすことが可能なパッチを発見することができる。
【0007】
各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色と見なすことが可能なパッチを発見することができれば、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにおけるパッチを印刷するための色成分値の組み合わせと上記特定の色とを対応づけたプロファイルを上記色補正プロファイルとすることにより、印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷がなされるようにすることができる。すなわち、当該特定の色を色変換する際に印刷装置や印刷媒体等の印刷条件毎に作成された色補正プロファイルを参照することにより、当該特定の色がほぼ同等の色で印刷されるように色変換することができる。
【0008】
本発明を実現する一例としては、従来の色変換プロファイルを参照して色域境界およびその周辺の情報を収集し、特定の色を決定するとともに印刷装置および印刷条件のそれぞれにおいて同等の色を出力させるための色補正プロファイルを作成する構成が挙げられる。すなわち、色変換プロファイルは機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づけているので、任意の色成分値の組み合わせについて相互に対応づけることができる。従って、機器非依存色成分からなる色空間内の各色が上記特定の領域に存在するか否かを示す色域境界情報を取得することができる。
【0009】
さらに、各色変換プロファイルおよび色域境界情報を参照すれば、各色が複数の印刷装置および印刷条件での各色域に共通する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示す共通領域情報を取得することができる。本発明においては、この共通領域外の色を色補正プロファイルによって各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色になるように補正する。従って、色域の境界から所定の色差以内に存在して色域マッピングの際に圧縮等を受ける色について、印刷装置および印刷条件によらず一定の色にすることができる。
【0010】
色補正プロファイルの作成に際しては、共通領域外に相当する特定の色を補正対象色とし、この補正対象色を基にして特定の色を各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色に変換する色補正プロファイルを作成する。すなわち、補正対象色は、上記共通領域外に存在して色域マッピング時の圧縮等に影響を受ける色であり、この色およびその周辺の複数の色について実際に各印刷装置および印刷条件によって印刷を実行することにより、各印刷結果から互いに同等の色を発見することができる。そこで、色補正プロファイルにおいてこの色を印刷するための色成分値と上記特定の色とを対応づけることにより、本発明にかかる色補正プロファイルを作成することができる。
【0011】
本発明においては、複数の印刷装置および印刷条件における色の差異を補償する色補正プロファイルを予め作成する。従って、多数の印刷装置および印刷条件で同一の画像を印刷する場合に、印刷対象の画像を印刷して色を調整し、再び印刷を行ってさらに色を調整するといった試行印刷を多数の印刷装置および印刷条件において多数回繰り返す必要がなく、試行のために印刷用紙、インクを消費する必要がなく非常に低コストで色の補償を行うことができる。
【0012】
ここで、上記色変換プロファイルは機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づけるデータであれば良く、複数の色成分値の組み合わせを対応づけたテーブルデータや対応関係を規定した関数を示すデータ等を採用することができる。色補正プロファイルにおいても同様にテーブルデータや関数を示すデータ等を採用することができる。また、色変換プロファイルでは少なくとも機器非依存色成分からなる色空間中の色をインク色空間中の色に変換できればよいが、印刷装置(あるいは印刷制御装置)においてはディスプレイ等で表示する画像を示す画像データを印刷することが多いので、印刷装置のシステムとしてディスプレイ等で使用する色空間中の色を機器非依存色成分からなる色空間中の色に変換可能な色変換プロファイルを備えることが好ましい。かかる構成によれば、ディスプレイ等で表示する画像を印刷するに当たり、特定の色については色補正プロファイルを参照して印刷を実行し、複数の印刷装置および印刷条件において当該特定の色をほぼ同等の色で印刷させることができる。
【0013】
色域境界情報においては各色が色域の境界から所定の色差以内にある否か、すなわち、境界近傍の特定領域に存在するか否かを示すことができれば良く、種々の態様の情報を採用することができる。例えば、各色が上記特定の領域および色域外の領域に含まれるか否かをフラグで示すテーブルデータを採用することができる。ここで、各色としては色域全体をまんべんなく網羅する複数の色を採用しても良いし、補正対象色となる色あるいはその周辺の色のみを対象として色域境界情報としても良い。
【0014】
また、本発明においては、色域マッピングにおいて圧縮等がなされた色についてその色の変化を補償しているため、上記特定の領域を示す色域境界からの色差としても色域内で圧縮がなされた色を含む色域表面の所定領域を示すことができればよい。当該色差が色域境界から色域の内側に向けた所定の距離を指定していれば、その色差値を適宜調整することによって色域マッピングによって圧縮がなされた色が含まれる所定の領域を指定することができ、各色がこの領域内に存在するか否かを容易に判定することができる。むろん、色差値は予め決めておいても良いし、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で色差値を入力するためのUIを構成し、利用者の入力に基づいて決定しても良い。
【0015】
共通領域情報においては、各色が色補正プロファイルを作成する対象となる複数の印刷装置および印刷条件について共通の色域であって上記特定の領域外に相当する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示すことができれば良く、種々の態様の情報を採用することができる。例えば、各印刷装置および印刷条件毎に上記共通領域内の色を列挙した情報を採用することができる。すなわち、上記色域境界情報を参照すれば、上記特定の領域および色域外の領域のいずれにも含まれない色を特定することができ、さらに、印刷装置および印刷条件それぞれにおいて上記特定の領域および色域外の領域のいずれにも含まれない色を特定することによって共通領域内の色を特定することができる。従って、この色を列挙することによって共通領域情報とすることができる。
【0016】
共通領域は、上記特定の領域外に相当し、かつ複数の印刷装置および印刷条件のそれぞれにおける色域に共通の領域である。すなわち、この領域であれば複数の印刷装置および印刷条件の総てについて色域マッピングの際に圧縮等を受けていない色を抽出することができる。従って、この共通領域以外の領域に存在する色を補正対象色とすることによって、従来の色域マッピングであれば印刷装置および印刷条件毎に色が変動するおそれのある色を確実に補正対象とすることができる。
【0017】
補正対象色は共通領域外の色であり、共通領域以外に存在する総ての色を補正対象色としてもよいが、処理対象が多いと色補正プロファイルの作成にいたずらに時間がかかり、また、変換対象とならない不必要な色についてまで色補正プロファイルを作成しておいても意味がない。そこで、印刷対象の画像や色補正プロファイルの適用目的等に応じて適宜補正対象色を選定することが好ましい。
【0018】
その構成例としては、補正対象の画像を示す画像データを取得し、この画像データを分析する構成が挙げられる。すなわち、画像データを取得し、この画像データ内で上記特定の色を示す画素が所定の閾値より多数であるときに当該色を補正対象色とする。この構成により、画像内である程度の面積を占める色について印刷装置や印刷条件によらず一定の色で印刷を実行することが可能になる。むろん、閾値は予め決めておいても良いし、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で閾値を入力するためのUIを構成し、利用者の入力に基づいて決定しても良い。
【0019】
また、閾値としては画素数を示す値であっても良いし、画素が占める領域を指定する閾値、例えば、縦横の画素数を指定した閾値であっても良い。画素が占める領域を指定する閾値を利用する構成は、一定の色が一定の面積を占める画像について色補正プロファイルを適用する構成として好ましい。このような画像としては、例えばロゴや社名等のマークが挙げられる。すなわち、ロゴや社名等のマークは写真等と比較して小さな面積で細かく色が変動する場合が比較的少ないものの、厳密な色の管理が要求される場合がある。従って、一定の色が一定の面積を示す画像においてこの色を補正対象にすれば、重要な色について確実に色補正を実施可能な色補正プロファイルを作成することができる。
【0020】
さらに、補正対象の画像を示す画像データを取得し、この画像データ内で上記共通領域の外に存在する色を補正対象色としてもよい。この構成によれば、画像内で補正対象となりうる色の総てを容易に抽出することができる。むろん、上記閾値による判別と組み合わせれば、画像内から補正対象となりうる色を抽出した上で、閾値によって必要な色のみを抽出する構成にすることもできる。また、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で上記共通領域の外に存在する色を候補として表示しつつ色の指定を受け付けるUIを構成してもよい。
【0021】
印刷手段においては、複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等に見える色を発見できるよう、各印刷装置および印刷条件で複数の色パッチを印刷することができればよい。そのための構成としては、各印刷装置および印刷条件で補正対象色を印刷することに加え、当該補正対象色の色成分値を中心として各色成分値を変動させた複数の色を各印刷装置および印刷条件で印刷する構成を採用可能である。すなわち、補正対象色について印刷を行うと各印刷装置および印刷条件で相互に色が異なるが、その周囲の複数の色について印刷を行うと、そのいずれかは各印刷装置および印刷条件で同等の色になることが想定される。従って、補正対象色あるいはその周辺の色について印刷を行うと、複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等に見える色を容易に発見することができる。
【0022】
この構成においては、補正対象色を中心にしてその周囲の色についてパッチを印刷しているが、むろん、他の構成を採用しても良い。例えば、補正対象色から上記共通領域まで最短の色差となる色や補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる色を中心にしてその周囲の複数の色を印刷しても良い。これらの色は共通領域の境界上に存在する色である。共通領域上の色は上記複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて色域マッピング時の圧縮等の影響を受けていないので、複数の印刷装置および印刷条件の総てで表現できる。従って、この色の周辺において複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を容易かつ高速に発見することができる。
【0023】
また、補正対象色から上記共通領域まで最短の色差となる色は、補正対象色から最も近くに存在する共通領域上の色であるので、補正対象色を大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる色についても同様であり、この色は圧縮後の各色から最も近くに存在する共通領域上の色である。補正対象色が機器非依存色成分からなる色空間内で特定された場合でも印刷装置等の色域外あるいは色域境界周辺であった場合には色域マッピングによって圧縮されるので、上記補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる各色を中心にすれば圧縮後の色を大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。
【0024】
さらに、補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の各色から上記共通領域内の所定の色までの色差の和が最小となる色とその周辺の色についてパッチを印刷しても良い。当該色差の和が最小となる色は、圧縮後の色からの距離の和が最小かつ色域境界上に存在する色である。従って、色域マッピングによって補正対象色が各印刷装置および印刷条件毎に異なる複数の色になった場合に、これら複数の色のいずれをも大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。
【0025】
以上のように、各種の色を中心とし、その周辺の色を含めてパッチを印刷すればその中から複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等と見なすことのできる色を発見することができるが、1回ずつのパッチの印刷で発見できなかった場合は、周辺の色において色成分値の変化具合を変えて再度パッチを印刷しても良い。印刷後もパッチについては目視あるいは測色機によって同等であるか否かを判定することができる。
【0026】
目視によって判定した場合には、所定の入力装置によって各印刷装置および印刷条件毎にパッチを選択、入力するように構成し、この入力情報によって各印刷装置および印刷条件毎に上記同等の色を印刷させるための色成分値を取得すればよい。測色機によって判定する場合には、測色機によって測色した結果(各パッチの色彩値)を取得し、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにおけるパッチが相互に所定の色差以下になっていることを閾値によって判別することにより、同等であるか否かの判定をすることができる。そこで、この判定されたパッチを印刷する際に使用した色成分値を各印刷装置および印刷条件毎に取得する。以上のようにして各パッチを印刷するための色成分値を取得することができるので、色補正プロファイル生成手段において当該色成分値と上記特定の色とを対応づけることにより色補正プロファイルを生成することができる。
【0027】
ところで、上述した色補正プロファイル作成装置は、単独で実施される場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で他の方法とともに実施されることもあるなど、発明の思想としては各種の態様を含むものであって、適宜、変更可能である。また、上述した共通領域外に存在する特定の色を複数の印刷装置および印刷条件にて同等の色で印刷させる色補正プロファイルを作成する手法は、所定の手順に従って処理を進めていくうえで、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然である。したがって、本発明は方法としても適用可能であり、請求項11,請求項12にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。本発明を実施しようとする際に、色補正プロファイル作成装置にて所定のプログラムを実行させる場合もある。本発明は、そのプログラムとしても適用可能であり、請求項13,請求項14にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。
【0028】
むろん、請求項3〜請求項10に記載された構成を上記方法やプログラムに対応させることも可能であることは言うまでもない。また、いかなる記憶媒体もプログラムを提供するために使用可能である。例えば、磁気記録媒体や光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現される場合においても本発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込む形態のものも含まれる。さらに、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地なく同等である。
【0029】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御処理の概要:
(2)色補正プロファイル作成装置の構成:
(3)色補正プロファイル作成処理:
(3−1)色域境界情報の取得:
(3−2)共通領域情報の取得:
(3−3)パッチの出力:
(3−4)色補正プロファイルの作成:
(4)印刷制御処理の詳細:
(5)他の実施形態:
【0030】
(1)印刷制御処理の概要:
図1は、本発明にかかる色補正プロファイルを利用して印刷を実行する印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。本実施形態においては、PC10によって生成されたPSファイル11(ポストスクリプトファイル,ポストスクリプトはアドビシステムズの登録商標)をPC10で解析して印刷データを生成し、プリンタ20a〜20cに対して転送する。プリンタ20a〜20cでは、この印刷データに基づいて印刷を行う。PC10は印刷業者等が同じ画像を大量に印刷する際に利用され、同じ画像を異なるプリンタ20a〜20cで印刷し、また異なる印刷条件で印刷した場合であっても特定の色については同等の色で印刷されるようにしてある。尚、図1に示す例では、プリンタ20aとプリンタ20bは同一の機種(プリンタA)であり、プリンタ20cの機種(プリンタB)はプリンタ20a,20bと異なる。
【0031】
図1では、この印刷の一例を示しており、PSファイル11には”EPSON”というロゴマークを含む画像を印刷するための各種コマンドが記述されており、各画素の色をCMYK各色の階調値で指定している。また、プリンタ20a〜20cではCMYK各色のインク量を階調値で指定して色を表現している。これらのCMYKは機器依存色である。すなわち、PSファイル11の表色系とプリンタ20a〜20cの表色系が共通であるとしても、両者の意味する色は異なっている。
【0032】
そこで、両者は色変換プロファイルによって一旦Lab等の機器非依存色に変換され、このLab色空間内において両者が対応づけられる。しかし、ディスプレイで表示可能な色であってもプリンタ20a〜20cの色域外および色域境界付近に位置する色が存在し、これらの色は、通常、色域マッピングによってプリンタ20a〜20cの色域内に圧縮される。従って、各プリンタ20a〜20cにおいて個別の色変換プロファイルでカラーマネジメントを行ったとしてもプリンタ20a〜20cの色域外および色域境界付近の色は各プリンタ20a〜20cで出力色が異なってしまう。
【0033】
図1に示す例では、上記ロゴマークの色に各プリンタ20a〜20cの色域の境界付近の色を含んでおり、このようなロゴマークの印刷において上記従来の色変換プロファイルでは、各プリンタ20a〜20cにおいて各印刷条件a〜cでの印刷結果でロゴマークが同じ色になることを担保できない。そこで、本発明においては、各プリンタ20a〜20cにおいて各印刷条件毎に色補正プロファイルを作成し、この色補正プロファイルを参照して色変換を行いつつ印刷を行う。
【0034】
すなわち、プリンタ20aにおいて印刷条件aで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタA,印刷条件a用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行う。また、プリンタ20bにおいて印刷条件bで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタA,印刷条件b用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行い、プリンタ20cにおいて印刷条件cで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタB,印刷条件c用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行う。この色変換を行って各プリンタ20a〜20cにて印刷した印刷物P1〜P3においては、PSファイル11にて記述された通りのロゴマークが印刷され、また、このロゴマークの色は総て同等の色に見える。
【0035】
(2)色補正プロファイル作成装置の構成:
次に、上記色補正プロファイル作成処理を実現するための装置構成を説明する。色補正プロファイルを作成するためには、多くの演算処理を必要とし、また、作成後の色補正プロファイルは印刷実行の際に利用されるので、印刷を実行するPC10にて色補正プロファイルを作成するのが好ましい。PC10は汎用的なコンピュータによって実現可能である。すなわち、図示しないCPU,RAM,ROM等からなるプログラムの実行系やHDD等の固定記憶装置,プリンタ20a〜20cと接続可能にするI/F(インターフェイス)等を備えていればよい。
【0036】
図2は色補正プロファイル作成および色変換を行うためにPC10にて実現される印刷制御プログラム30の機能を示すブロック図である。PC10は、各種I/Fを介して各種機器とデータの授受を行う。すなわち、I/F12aを介してディスプレイ12,マウス13a,キーボード13bと接続されており、図示しない制御ドライバの制御によってディスプレイ12上に画像や各種UIを表示可能である。また、マウス13aやキーボード13bから入力される各種制御信号を解釈し、UI上の操作等を実施可能である。
【0037】
プリンタ20a〜20cはプリンタI/F14a〜14cを介してPC10に接続されている。このプリンタ20a〜20cでは上述のCMYKの各色インクを搭載可能であり、各色インクをノズルから吐出することによって印刷媒体上に画像を形成する。本実施形態においては、さらに、測色機I/F40aを介して測色機40と接続されており、測色機40によって測色したパッチの色彩値を取得することが可能である。HDD14には、ディスプレイ12で表示する画像の色を表現したCMYK表色系の色をLab表色系で表現した色に変換する色変換プロファイルである複数の印刷プロファイルA,B,,,,と、Lab表色系で表現した色をプリンタで使用するCMYK表色系で表現した色に変換するメディアプロファイルa,b,,,,が記憶されている。尚、各プロファイルではディスプレイやプリンタに依存する機器依存色と機器非依存色との変換をすることができれば良く、上記Lab表色系の他、XYZ表色系等、種々の表色系を使用可能である。
【0038】
印刷プロファイルA,B,,,,は一般にシミュレーションプロファイルと呼ばれており、印刷実行時に利用者が任意に選択可能である。メディアプロファイルa,b,,,,はプリンタの機種および印刷条件毎に作成されており、印刷実行時には印刷実行対象のプリンタ機種および印刷条件に対応したメディアプロファイルが選択される。HDD14にはさらに色補正プロファイルが記録される。色補正プロファイル1,2,,,,もプリンタの機種および印刷条件毎に作成される。
【0039】
本実施形態においては、印刷実行指示される度にプリンタの機種および印刷条件毎に色補正プロファイルを作成し、HDD14に記録し、記録した色補正プロファイルを適宜参照して印刷を実行する。尚、本実施形態において、印刷条件として挙げられる項目は印刷媒体の種類、解像度、ハーフトーン処理の手法である。すなわち、これらのいずれかが異なる場合には異なるメディアプロファイルa,b,,,,や色補正プロファイル1,2,,,,が作成される。また、これらのプロファイルにおいては、CMYK画像データを機器非依存色に変換可能なデータであれば良く、ルックアップテーブルやトーンカーブ等の関数が指定されたデータで構成することができる。色補正プロファイルとしては、補正を行う色のみを記憶しておいても良いし、印刷プロファイルあるいはメディアプロファイルに対して補正を行った部位を上書きしたデータを色補正プロファイルとしても良く、種々の構成を採用可能である。
【0040】
印刷制御プログラム30は、言語解析部31とプロファイル制御部32とカラーエンジン33とハーフトーン処理部34と印刷データ生成部35とを備えている。PSファイル11は図示しないフォトレタッチソフトウェアによって作成され、また、記録媒体等に保存されており、言語解釈部31に入力される。PSファイル11には印刷を実行させるプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルおよび画像記述コマンドが含まれており、各種情報は印刷実行指示を行った時点で図示しないPRTDRVにて特定される。むろん、各種情報を特定するための手法は様々であり、PSファイル11内に情報を記述することが必須というわけではない。例えば、複数のプリンタ接続されたプリンタサーバに対して印刷実行指示を行う際にプリンタドライバが通信によってプリンタの機種を特定する場合、プリンタサーバ側ではこの通信によってプリンタを特定することができる。
【0041】
本実施形態においては、複数台のプリンタで同時に印刷を実行可能であり、PSファイル11においては、プリンタの機体を示す情報によってプリンタを特定している。すなわち、プリンタの機種が同一であっても機体が異なれば異なる色補正プロファイルを使用するため、各機体を識別できるような情報がPSファイル11に含まれている。言語解釈部31は、PSファイル11に記述されたポストスクリプト言語を解釈するモジュールであり、上述のプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルを把握するとともに、画像記述コマンドを解析して印刷対象の文字や画像をドットマトリクス上の画素で構成し、各画素の色をCMYK各色の階調値で表現した入力CMYK画像データを作成する。
【0042】
本実施形態においては、この入力CMYK画像データに基づいて印刷を実行する前に、色補正プロファイル作成部32aが印刷対象のプリンタおよび印刷条件に適合した色補正プロファイルを作成する。作成された色補正プロファイルはHDD14に色補正プロファイル1,2,,,,として保存される。この色補正プロファイル1,2,,,,は、それぞれがいずれのプリンタおよび印刷条件に適合しているのかを示す情報を含んでいる。この色補正プロファイル作成部32aにおける処理の詳細は後述する。
【0043】
プロファイル選択部32bは、言語解釈部31からプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルを受け取るとともに解釈後の画像データを受け取り、印刷実行対象のプリンタおよび印刷条件に適合した印刷プロファイルとメディアプロファイルあるいは色補正プロファイルを選択し、画像データをカラーエンジン33に出力する。
【0044】
カラーエンジン33は、各プロファイルを参照して色変換を実施するモジュールである。PSファイル11に記述された画像を印刷する際には、まず印刷プロファイルを参照して画像の各画素の色を示すCMYK値をLab値に変換する。そして、メディアプロファイルを参照し、このLab値をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK値に変換する。色補正プロファイルを参照して印刷を行う場合には画像の各画素の色を示すCMYK値をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK値に変換する。
【0045】
尚、本実施形態において色補正プロファイル作成部32aが出力するパッチの色は、上記プリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値にて指定される。このようにして色を決定すれば、カラーエンジン33による色変換を経ることなく、各パッチの色を示すCMYK値を後述するハーフトーン処理部34に受け渡すのみでパッチを印刷することができる。むろん、色補正プロファイル作成時に、パッチの色をLab値にて指定しても良い。この構成ではLab値をCMYK値に変換してパッチを印刷することが可能であり、メディアプロファイルを参照してLab値をCMYK値に変換すればよい。
【0046】
また、パッチの色を上記ディスプレイ12で使用するCMYK表色系でのCMYK値にて指定しても良い。この場合、CMYK値をカラーエンジン33に入力し、印刷プロファイルを参照してこの色を一旦Lab値に変換し、さらに、メディアプロファイルを参照してこのLab値をプリンタで使用するCMYK値に変換する。この構成では、パッチを印刷する場合においても画像を印刷する場合においても、処理内容としては共通であり使用するプロファイルが異なるのみである。従って、パッチを印刷する場合においても画像を印刷する場合においてもカラーエンジン33という共通のモジュールを利用して処理を進めることができる。
【0047】
ハーフトーン処理部34は、上記パッチや画像の各画素のCMYK値をプリンタ20a〜20cにおける各画素でのインク吐出の有無を示すドットデータに変換するモジュールである。また、印刷データ生成部35は当該ドットデータに基づいて上記プリンタ20a〜20cにおける図示しないヘッド機構やノズルからのインク吐出機構を駆動するための印刷データを作成するモジュールである。作成された印刷データはプリンタI/F14a〜14cに対して出力され、各プリンタ20a〜20cは当該印刷データに基づいて上記パッチや画像を印刷する。
【0048】
(3)色補正プロファイル作成処理:
本実施形態においては、以上の構成にて印刷対象の画像に含まれる色であって色域境界および色域境界近傍の色をプリンタおよび印刷条件毎に変換するための色補正プロファイルを作成することにより、これらの総てにおいて同等の色で画像を出力することができる。そこで、以下においては、色補正プロファイルを作成する処理を図3に示すフローチャートに沿って説明する。色補正プロファイルを作成する処理は色補正プロファイル作成部32aによって実施され、補正対象色を特定するために色域の境界付近の色をプリンタおよび印刷条件の総てについて勘案しており、このために色域境界情報と共通領域情報を取得する。以下においては、まずこれらの情報を取得する様子を説明する。
【0049】
(3−1)色域境界情報の取得:
色域境界情報は各プリンタ20a〜20cおよび印刷条件毎に作成され、まずステップS100では、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図示しない所定のUIを上記ディスプレイ12上に表示する。利用者はこのUIを表示した状態で、上記マウス13aとキーボード13bとを操作して印刷対象のプリンタと印刷条件を指定する。すなわち、プリンタを指定するとともに上記解像度,印刷用紙の種類,ハーフトーン処理の手法を指定する。色補正プロファイル作成部32aはこれらの情報を取得する。
【0050】
ステップS105では、上記ステップS100で取得したプリンタおよび印刷条件についての色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2との指定を受け付ける。すなわち、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図示しない所定のUIを上記ディスプレイ12上に表示し、上記色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2との指定を受け付ける。利用者はこのUIを表示した状態で、上記マウス13aとキーボード13bとを操作して色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを入力する。
【0051】
ここで、色域境界管理値T1は色域の境界から色域の内側(ab平面の原点方向)に向けたLab色空間中の距離、すなわち色差を示している。また、カラー補正領域閾値T2は画素数を示す閾値であり、この閾値によって画像内の一定領域を占める領域のみを補正対象色とするものである。ステップS110,S115では、上記ステップS100,S105で取得した情報を利用して色域境界情報を取得する。このために、まずステップS110では、上記ステップS100で指定されたプリンタおよび印刷条件の総てについて色域境界情報を作成したか否かを判別する。同ステップS110にて総てについて色域境界情報を作成したと判別されるまで、ステップS115を繰り返す。
【0052】
図4は、ステップS115においてプリンタおよび印刷条件のそれぞれについて色域境界情報を作成する様子を説明する説明図である。同ステップS115においては、まずメディアプロファイルを参照してプリンタの色域の境界を確定する。メディアプロファイルはプリンタの機種および印刷条件に応じて予め規定されているので、上記ステップS100にて指定されたプリンタおよび印刷条件に適合するメディアプロファイルを取得して色域の境界を画定する。図4上部においてはプリンタA,印刷条件aについての色域を示しており、同図下部においてはプリンタB,印刷条件cについての色域を示している。
【0053】
メディアプロファイルにおいては、色域内の総ての色についてLab値とCMYK値とを対応づけているわけではなく、例えば、複数の参照点によって形成されるテーブルによって両者を対応づけているが、これら有限の参照点であっても色域の最外部の点を結ぶ曲線を考えるなどして色域の境界を決定することができる。すなわち、図4の上部に示すように参照点をLab色空間中にプロットすれば最外部に位置する色を特定することができ、この色同士を結ぶことによって色域境界を規定することができる。尚、図4においては、Lab色空間を所定のab平面で切断した状態を示しており、上部においてはプリンタA,印刷条件aの色域境界を実線で示し、下部においてはプリンタB,印刷条件cの色域境界を太実線で示している。
【0054】
図に示すように色域の境界を特定した後には、上記色域境界管理値T1を利用し、色域マッピング時に色が圧縮されるおそれのある色が含まれる特定の領域を決定する。本実施形態では、図4に示す色域の境界からその内側に向けて色差T1だけ離れた部位に境界を規定しこの境界と色域境界とに囲まれた領域を色の圧縮がなされる特定領域とする。図4の上部においては、各色域の境界より内側の破線および一点鎖線によって色域境界から色差T1だけ離れた部位の境界を示している。
【0055】
色域境界情報は、各色が色域の境界に存在するか、色域の境界と破線(あるいは一点鎖線)に囲まれた特定の領域に存在するか、破線(あるいは一点鎖線)より内側に存在するかを示す情報であり、本実施形態においては、メディアプロファイルから取得可能な全色についてこれらの情報を規定する。図4の右側には各プリンタおよび印刷条件についての色域境界情報を示している。色域境界情報は同図に示すようにテーブルデータであり、実際には複数のCMYK値の組み合わせがテーブルデータに登録されており、また、各色についてフラグfgによってその位置を示している。すなわち、フラグfgが”0”のときその色が破線あるいは一点鎖線より内側に存在し、フラグfgが”1”のときその色が上記特定の領域に存在し、フラグfgが”2”のときその色が色域の境界に存在することを示している。
【0056】
また、同図においては、プリンタで使用するCMYK表色系のCMYK値をCoMoYoKoとして示している。メディアプロファイルにおいてはLab値とプリンタで使用するCMYK表色系のCMYK値との対応関係を示しているので、上述のように色域境界と色域境界管理値T1とによってLab表色系で各色を評価したとしてもその色とCMYK値とを対応づけることによって、CoMoYoKo各色のフラグfgの値を決定することができる。
【0057】
一方、本実施形態における色域境界情報は、さらに、CoMoYoKoの各色と、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値を対応づけている。図4においてはディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値をCiMiYiKiとして示している。上述したPSファイル11に記述された画像の画像データにおいては、各画素の色を当該CiMiYiKi値で示している。
【0058】
従って、色域境界情報においてCiMiYiKiとCoMoYoKoとを対応づけておくことにより、PSファイル11に記述された画像の色が各プリンタおよび印刷条件での色域の境界に存在するか、色域の境界と破線あるいは一点鎖線に囲まれた特定の領域に存在するか、破線あるいは一点鎖線より内側に存在するかを把握することが可能になる。尚、CiMiYiKiとCoMoYoKoとを対応づけるためには印刷プロファイルを参照する。
【0059】
すなわち、印刷プロファイルを参照すれば、CiMiYiKi値とLab値とを対応づけることができるので、上記図4に示すCoMoYoKo値に対応するLab値を把握することにより、このLab値に対応するCiMiYiKiを容易に把握することができる。以上のようにして、ステップS110,S115でプリンタおよび印刷条件毎の色域境界情報を取得したら、この情報を図示しないRAMに記憶しておく。ステップS120では、これらの色域境界情報を利用して共通領域情報を取得する。
【0060】
(3−2)共通領域情報の取得:
図5は、図4に示す色域境界情報から共通領域情報を作成する様子を示す図である。共通領域は各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域であってプリンタおよび印刷条件毎の色域で重複する領域であり、共通領域情報は各色がこの共通領域に入るか否かを示すデータである。各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域を取得するためには、図5に示すようにLab空間中でプリンタおよび印刷条件のそれぞれについて上記色域境界情報を参照し、総てで共通する領域を特定すればよい。同図においては、この共通領域をハッチにて示している。
【0061】
具体的には、任意の色について色域境界情報の総てを逐次参照し、各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域に存在するか否かを判別し、総ての色域境界情報においてこの領域に含まれると判別された色について共通領域内の色であるとすればよい。図5に示す共通領域情報はフラグFogにて共通領域内に存在するか否かを示しており”1”が共通領域内、”0”が共通領域外を示している。尚、本実施形態においては、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCiMiYiKiについてフラグFogが対応づけられているが、むろん、印刷プロファイルやメディアプロファイルを参照すれば、対応するLab値やCoMoYoKo値を取得することができるので、これらの値についてフラグFogを対応づけておいても良い。
【0062】
(3−3)パッチの出力:
本実施形態においては、上述のようにして印刷対象画像に関わらず各色の共通領域情報を特定しておき、この色に基づいて印刷対象画像の特定の色を補正対象色として特定する。このために上記色補正プロファイル作成部32aは言語解釈部31から受け渡されたCMYK画像データを取得し、上記共通領域情報を参照しつつ各画素の色をスキャンして各色が上記共通領域内に存在するか否かを判別する。そして、共通領域内に存在する色を示す画素数を上記閾値T2と比較し、閾値T2を超える画素数を占める色を補正対象色の候補とする。色補正プロファイル作成部32aは、ここでも図示しない上記I/F12aを介して図示しない所定のUIをディスプレイ12上に表示し、このUIにおいて上記補正対象色の候補を選択可能に表示する(ステップS125)。
【0063】
ステップS130においては、このUIを介して補正対象色の指定を受け付ける。ここで、補正対象色を表示するUIとしては利用者に対して補正対象色を選択可能に表示することができれば良く、種々のUIを採用可能である。例えば、画像を表示するとともに補正対象色が占める部位を視認可能に示したり、補正対象の候補となる色を画面上に列記したりする構成等を採用可能である。また、本実施形態においては補正対象色を利用者が選択できるように構成しているが、むろん、自動で選択しても良い。例えば、上記閾値を超える画素数を占める色については総て補正対象色とする構成等を採用可能である。
【0064】
また、本実施形態においては、上記CiMiYiKi値について共通領域情報が特定されているため、補正対象色としてもディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値で特定するが、むろん、Lab値で特定しても良いし、上記プリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値で特定しても良い。
【0065】
補正対象色を選択した後には、当該補正対象色について印刷を実行するに際して、プリンタおよび印刷条件によらず一定の色になる色を特定するため、ステップS135〜ステップS165にてプリンタおよび印刷条件毎に複数のパッチを印刷する処理と色の探索を行う。すなわち、ステップS135では、上記PSファイル11にて指定されたプリンタおよび印刷条件の総てについて総ての補正対象色についてのパッチの出力が終了したか否かを判別し、同ステップS135にてプリンタおよび印刷条件の総てについてパッチの出力が終了したと判別されるまでステップS140,S145を繰り返す。
【0066】
ステップS140では、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図6に示すUIをディスプレイ12上に表示し、このUIにおいてパッチの出力方法の指示を受け付ける。このUIにおいては、CMYKの各色に加え、明度Lについて上記補正対象色における色彩値に対して加減する値とそのピッチおよび変動させる色の組み合わせを指定可能である。尚、本実施形態においては、パッチの色をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値で特定する。そこで、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値で特定された補正対象色をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値に変換し、変換後のCMYK値を中心にして色成分値を変動させる。具体的には、図6に示すM成分においては開始値が”5”,終了値が”15”,ピッチが”5”であるため、上記補正対象色のM成分に階調値”5”,”10”,”15”をそれぞれ加えるよう指定している。また、Y成分においては上記補正対象色のY成分に階調値”20”,”25”,”30”をそれぞれ加えるよう指定している。
【0067】
さらに、M成分とY成分とは組み合わせ1において双方が選択され(白丸が指定され)ている。この指定により、上記補正対象色の階調値に対してM成分をそれぞれ”5”,”10”,”15”に変動させながら、Y成分をそれぞれ”20”,”25”,”30”に変動させてパッチの階調値とする。尚、図6には同図上部に示す例において特定される階調値の増減結果を同図下部に()で示している。また、図6においては、明度Lについても階調値を調整可能であるが、明度Lは各色インク量を全体的に増減して調整しても良いし、メディアプロファイルを参照してパッチの色を示すCMYK値に対応するLab値を取得し、Lab空間中でLを調整するなど種々の構成を採用可能である。
【0068】
いずれにしても、図6に示すUIで補正対象色に対応するプリンタ20a〜20cでのCMYK値に対して増減するCMYK値(あるいはCMYK値と明度値)を特定した後には、増減して得られたCMYK値にて色を特定した出力パッチの画像データを生成し、ハーフトーン処理部34に出力する(ステップS145)。この結果、ハーフトーン処理部34および印刷データ生成部35における印刷データ生成処理を経て印刷データが各プリンタ20a〜20cに対して出力され、パッチが印刷される。尚、このパッチにおいては各CMYK値の増減量が把握できるようにして印刷する。
【0069】
ステップS135〜S145において総てのプリンタおよび印刷条件についてパッチを印刷した後には、上記測色機40によって各パッチを測色する。測色結果を示す色彩値は測色機I/F40aを介して入力され、異なるプリンタおよび印刷条件にて印刷した各パッチについて色彩値が相互に比較される(ステップS150)。この比較においては所定の閾値が予め用意されている。この閾値は、各色を同等と見なすことができる色差の値(例えば1)を示しており、この閾値より色差が小さなパッチの色同士を同等であるとする。
【0070】
ステップS155においては特定のプリンタおよび印刷条件においてパッチの再出力が必要であるか否かを判別する。すなわち、特定のプリンタおよび印刷条件での総ての印刷パッチが他のプリンタおよび印刷条件での印刷パッチと比較して上記閾値以下にならなかった場合には、当該特定のプリンタおよび印刷条件において上記同等と見なせる色が存在しない。そこで、ステップS155にて再出力が必要と判別し、ステップS160,S165にて階調値を変えて再度パッチを印刷する。ステップS160,S165における処理は上記ステップS140,S145と同じであるが、ここではステップS140,S145において指定した開始値,終了値,ピッチと異なる値を指定することになる。
【0071】
(3−4)色補正プロファイルの作成:
このようにして、特定のプリンタおよび印刷条件においても同等と見なすことができるパッチを発見するまで上記ステップS150以降の処理を繰り返す。ステップS155で特定のプリンタおよび印刷条件においてパッチの再出力が必要であると判別されないときには、全補正対象色について異なるプリンタおよび印刷条件のそれぞれにて同等と見なすことができるパッチが特定されているので、ステップS170ではこのパッチの入力を受け付ける。
【0072】
すなわち、色補正プロファイル作成部32aは上記I/F12aを介して図示しない所定のUIをディスプレイ12上に表示し、各補正対象色について各プリンタおよび印刷条件でのパッチの指定を受け付ける。これにより、補正対象色であるCiMiYiKi値に対応するCoMoYoKoに対して各色成分を増減した特定の値が取得されるが、各プリンタおよび印刷条件においてこの増減後の色成分値で印刷を行うと各プリンタおよび印刷条件の総てにおいて印刷色が同等となる。
【0073】
そこで、各プリンタおよび印刷条件において、補正対象色を示すCiMiYiKi値と上記増減後の色成分値とを対応づける。そして、各プリンタおよび印刷条件において総ての補正対象色を上記増減後の色成分値と対応づけたテーブルを作成し、当該プリンタおよび印刷条件における色補正プロファイルとして上記HDD14に記録する。色補正プロファイルにおいては、補正対象色と上記増減後の色成分値とを対応づけることができれば良く、種々の構成を採用可能である。
【0074】
図7は、色補正プロファイルの一例を示す図である。同図においては、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系でのCiMiYiKi値と上記増減後の色成分値CopMopYopKopとを対応づけたテーブルデータを採用している。すなわち、上記増減によって補正を受ける色はフラグfgpが”1”となって補正済みであることを示すとともに、補正対象色Ci0Mi0Yi0Ki0値に対応するCo0Mo0Yo0Ko0の各成分値を増減した値、例えば、Mo0+5,Yo0+20とされた値がテーブルデータとして登録されている。
【0075】
尚、この色補正プロファイルにおいては、上記PSファイル11にて指定されている印刷プロファイルを示す情報と、印刷条件を示す情報が合わせて記録される。従って、実際に画像を印刷する場合にはこの印刷プロファイルと印刷条件とを示す情報によってこれらを把握し、印刷プロファイルと印刷条件に適した色補正プロファイルを選択することができる。
【0076】
(4)印刷制御処理の詳細:
次に、上述のようにして作成した色補正プロファイルを利用して印刷を実行する際の印刷制御処理を図8に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。利用者がPC10を操作して図示しないフォトレタッチソフトウェア等にてPSファイル11を作成し、このPSファイル11についての印刷実行指示を行うことによって図8に示す印刷制御処理が開始される。印刷制御処理が開始されると、ステップS200にて言語解釈部31がPSファイル11を取得し、ステップS205にて当該PSファイル11に記述されたポストスクリプト言語を解釈する。
【0077】
この結果、印刷実行対象のプリンタおよび印刷時の解像度,印刷媒体の種類,印刷プロファイル,CMYK画像データが特定される。プリンタおよび印刷条件としてはそれぞれが異なった複数のものを指定し、同じ画像について複数のプリンタおよび印刷条件で印刷することが可能である。言語解釈によってプリンタおよび印刷条件を取得した後にはプロファイル選択部32bが起動し、ステップS210にて印刷環境に適した色補正プロファイルがHDD14に保存されているか否かを判別する。
【0078】
すなわち、色補正プロファイルと合わせて記録された情報を参照し、PSファイル11に記述された印刷プロファイルと印刷条件および印刷対象のプリンタに適合した色補正プロファイルが存在するか否かを判別する。ステップS210にて適合した色補正プロファイルが存在しないと判別されたときには、プロファイル選択部32bがステップS215にて上記プリンタおよび印刷条件に適合した印刷プロファイルとメディアプロファイルとを選択し、これらを示す情報とCMYK画像データをカラーエンジン33に対して出力する。カラーエンジン33は、CMYK画像データの各画素について印刷プロファイルを参照してCMYK値をLab値に変換し、さらにメディアプロファイルを参照してこのLab値をCMYK値に変換する。変換後のCMYK値はプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系の色成分値であり、この値はハーフトーン処理部34に受け渡される。
【0079】
ステップS210にて印刷プロファイルと印刷条件および印刷対象のプリンタに適合する色補正プロファイル(印刷環境に適した色補正プロファイル)が存在すると判別したときには、さらにステップS220で上記解釈後のCMYK画像データを参照し、各画素の色に上記色補正プロファイルで変換可能な色が存在するか否かを判別する。ここで、変換可能な色としては、色補正プロファイルにおいて上記フラグfgpが”1”となっているCi0Mi0Yi0Ki0値そのものであっても良いし、この色に近い色、例えば、色成分値の差が所定の閾値以下の色を変換可能であるとしても良い。
【0080】
ステップS220にて色補正プロファイルで変換可能な色が存在すると判別されないときには上記ステップS215以降の処理を行う。ステップS220にて色補正プロファイルで変換可能な色が存在すると判別されたときには、本発明にかかる色補正プロファイルでの色変換を適用可能である。そこで、プロファイル選択部32bは、ステップS225にて当該色補正プロファイルと印刷プロファイルとメディアプロファイルとを選択し、これらを示す情報とCMYK画像データをカラーエンジン33に対して出力する。
【0081】
カラーエンジン33においては、色補正プロファイルにて変換可能な色についてはそのCiMiYiKi値をCopMopYopKop値に変換する。色補正プロファイルにて変換不可能な色については印刷プロファイルとメディアプロファイルとによって色変換し、プリンタ20a〜20cで使用する表色系のCMYK値を取得する。変換後のCMYK値はハーフトーン処理部34に受け渡される。
【0082】
ハーフトーン処理部34は、受け渡されたCMYK値について各色毎にディザ処理や誤差拡散処理を行い、プリンタにおける各画素でインクを吐出するか否かを指定したドットデータを取得する。ここで、ディザ処理や誤差拡散処理は予めPSファイル11においてプリンタ毎の印刷条件として指定されており、この指定通りの処理を実施する。取得されたドットデータは印刷データ生成部35に受け渡され、印刷データ生成部35は各プリンタ毎にドットデータに基づいてヘッド機構やインク吐出機構を駆動するための印刷データを作成する。そして、作成した印刷データを適宜印刷対象のプリンタに対して出力する。この結果、PC10に接続されたプリンタ20a〜20c等で上記PSファイル11に記述された画像が印刷される。
【0083】
以上の処理によれば、PSファイル11に記述された画像内で色域境界付近の色であって色補正プロファイル作成時に補正対象色とされた色は、いずれのプリンタおよび印刷条件で印刷された場合であっても総て同等の色となる。従って、この色について非常に高精度のカラーマネジメントがなされることになる。以上のような色域境界付近の色は、カラーマネジメントを目的として採用されている従来の印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用した場合、プリンタ毎、印刷条件毎に異なった色で出力されることが多い。
【0084】
従来の印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用してこの色が複数のプリンタおよび印刷条件にて同等の色になるようにするためには、PSファイル11内の画像データ自体をプリンタ毎、印刷条件毎に変更したり、プロファイル自体を補正したりするために数多くの試行作業が必要であるため、非常に多くの作業工程やインク、印刷用紙を必要とするし、何ら指針無く調整しようとしても実際問題としてはほとんど不可能に近い。
【0085】
しかし、本発明においては、予め補正対象色についてパッチを印刷し、このパッチに基づいて複数のプリンタおよび印刷条件にて同等の色を出力するように色補正プロファイルを作成するので、上記印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用した調整と比較して作業工程やインク、印刷用紙を大幅に低減することができる。また、一旦色補正プロファイルを作成した後には、非常に容易に高精度のカラーマネジメントを行うことができる。
【0086】
(5)他の実施形態:
以上説明した実施形態は一例であり、複数のプリンタおよび印刷条件のそれぞれにおいて色域境界付近の色を同等の色で印刷するための構成を採用する限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、上記実施形態では、各プリンタ20a〜20cにてCMYKの4色のインクを利用する構成を説明したが、むろんインク色数は4色に限らず、ライトシアン,ライトマゼンタを加えた6色でも良いし、さらにダークイエローを加えた7色でも良い。むろん、4色,6色,7色のそれぞれを使用可能なプリンタが混在していても良い。かかる構成によれば、非常に広範囲のプリンタについて本発明を適用することができる。
【0087】
さらに、上記実施形態では入出力の画像データの表色系が双方ともCMYK表色系であったが、むろん他の表色系であっても良い。例えば、PSファイル11に記述された画像について各画素の色をRGB表色系で表現したRGB画像データを利用し、プロファイルによってCMYK表色系の色に色変換してCMYK画像データとしても良い。かかる構成によれば、汎用的な印刷に本発明を適用することができ、利用者の多様なニーズに応じることができる。
【0088】
また、上記色補正プロファイルの作成過程においては、PSファイル11に記述された画像の色をスキャンし、所定の閾値T2によって補正対象色を決定していたが、画像のスキャンを行うことなく補正対象色を決定しても良い。例えば、上記特定の領域に含まれる色の総てまたは一部を補正対象色としても良い。特定の領域に含まれる色の総てを補正対象色とした場合には、非常に汎用的な色補正プロファイルを作成することができる。特定の領域に含まれる色の一部や上記画像のスキャンを行う構成は、補正対象とする色がある程度限定されている場合に採用するのが好ましい。かかる構成によれば、必要充分な補正対象色についてのみ色補正プロファイルを作成することができ、作成作業の手間を抑えることができる。
【0089】
また、上記実施形態においては印刷制御処理において色補正プロファイルを選択する場合にステップS210,S220にて画像データの各画素と色補正プロファイルとを比較して色補正プロファイルで変換可能な色が存在するか否かを判別していた。かかる構成によれば、色補正プロファイル作成時にスキャンした画像と同一の画像でなくても色補正プロファイルを適用した色変換をすることができるが、むろん他の構成を採用することもできる。例えば、色補正プロファイルを作成する際にスキャン対象とした画像を記述したPSファイルのファイル名を保存しておき、印刷対象とされたPSファイルのファイル名を判別し、ファイル名が一致する場合に色補正プロファイルを適用する構成を採用しても良い。
【0090】
他にも、画像データの各画素の色成分値を取得するとともに色補正プロファイルに登録された補正対象色を抽出し、この補正対象色の画素数が上記閾値T2より多い場合に色補正プロファイルを参照した色変換を適用するようにしても良い。また、上記色補正プロファイルを作成する際に利用した色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを利用しても良い。
【0091】
色補正プロファイルの作成過程において補正対象色を特定した処理と同様の処理を行って特定された色がPSファイル11に記述された画像に含まれるときに色補正プロファイルを適用するようにしても良い。以上の構成により、補正が必要とならない色についてまで補正を行うことを防止することができ、冗長な処理を無くして高速に高精度のカラーマネジメントを実現することができる。尚、色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを利用する場合には、上記HDD14には色補正プロファイルとともにこれら色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを記憶しておく。
【0092】
さらに、上記印刷制御処理においてステップS210では印刷環境に適した色補正プロファイルが存在するか否かを判別し、存在しなければ従来と同様の処理、すなわち印刷プロファイルおよびメディアプロファイルを参照した色変換を実施するようにしていたが、他の構成を採用しても良い。例えば、適合する色補正プロファイルが存在しない旨をディスプレイ12上に表示し、このまま印刷するべきか中断すべきかを利用者に選択させる構成を採用しても良い。この構成によれば、適合する色補正プロファイルが存在しない場合に印刷を中断し、適合する色補正プロファイルを作成してから印刷を実施するようにすることができ、無駄な印刷を防止することができる。
【0093】
むろん、ステップS220でも同様であり、色補正プロファイルで変換可能な色が存在しない場合に、適合する色補正プロファイルが存在しない旨をディスプレイ12上に表示し、このまま印刷するべきか中断すべきかを利用者に選択させる構成を採用しても良い。この構成においても適合する色補正プロファイルが存在しない場合に印刷を中断し、適合する色補正プロファイルを作成してから印刷を実施するようにすることができ、無駄な印刷を防止することができる。また、このとき、上記共通領域情報色を参照して色域境界付近の色が画像データ内に含まれるか否かを判別し、色域境界付近の色が存在しないのであれば、上記ディスプレイ表示を行うことなくステップS215に移行するようにしても良い。
【0094】
さらに、上記閾値T2は画素数を比較するための閾値であったが、むろん、単に画素数を指定するのではなく、画像内の領域の大きさを特定する閾値であっても良い。例えば、1インチ×1インチという条件を閾値にしておけば、解像度が異なる場合であっても特定の補正対象色が一定の実印刷領域を占めるか否かを判定することができる。
【0095】
さらに、上記パッチの色成分値はUIによって選択するように構成していたが、むろん、他の構成を採用しても良い。例えば、補正対象色あるいは補正対象色の周辺に位置する色を中心として階調値を増減した色を自動で生成し、パッチの色としても良い。中心の選び方としても種々の選び方が採用可能であるが、上記共通領域の境界付近の色が好ましい。図9出力パッチの中心の色を決定する際の例を説明する図であり、Lab区間を所定の明度で切断したab平面を示している。
【0096】
同図においては、上記共通領域をハッチで示しており、同図Aにおいてはディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値として特定される補正対象色のLab値に基づいて上記中心の色を選ぶ例を示している。すなわち、補正対象色がディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値として特定されると、この色はLab色空間中の一点A0に該当する。また、共通領域は共通領域情報によって決まっており、この共通領域の境界上に存在する点であって上記点A0と最短の距離にある点A1を決定することができる。
【0097】
むろん、最短の距離といっても複数のパッチを印刷する以上、厳密に最短であることが必須とはならず、略最短の距離であっても良い。いずれにしても点A0から最短の距離にある共通領域上の点A1を決定し、パッチの中心の色とする構成より、点A0から大きく色を変動させずに中心となるパッチの色を特定することができる。また、共通領域上の色は、印刷対象となるプリンタおよび印刷条件の総てにおいて圧縮を受けることなく印刷可能な色であり、確実に出力可能な色であるため、この周囲の色でプリンタおよび印刷条件の総てで同等に見える色を探索すれば、非常に容易に目的の色を発見することができる。
【0098】
また、中心を選ぶ際に色域マッピング時の圧縮を考慮しても良い。すなわち、補正対象色が各プリンタおよび印刷条件における色域外および色域境界付近に相当する色である場合にはその色が色域マッピングによって他の色に変換される。例えば、図9の点B0が補正対象色として特定されたとしても、各プリンタおよび印刷条件毎のメディアプロファイルを作成する際に点B0が点B1やB2に圧縮され、異なる色とされる場合がある。
【0099】
そこで、圧縮後の各点B1,B2等から点Bnまでの距離の和が最小になるように点Bnを決定し、この点Bnが示す色をパッチの中心とする構成を採用しても良い。かかる構成によれば、各プリンタおよび印刷条件における圧縮後の色を大きく変動させずに中心となるパッチの色を特定することができる。また、印刷対象となるプリンタおよび印刷条件の総てにおいて圧縮を受けることなく印刷可能な色を中心の色としてパッチを印刷することができる。
【0100】
さらに、印刷されたパッチの中から各プリンタおよび印刷条件において同等に見える色を発見するに当たり、上記測色機40を利用することが必須というわけでもない。例えば、利用者の目視によって同等に見える色を見つけさせ、同等に見える色を入力するように構成する。かかる構成において、この入力に応じて同等に見える色を示す情報を取得すれば、色補正プロファイルを参照した印刷によって少なくとも利用者にとって同じに見える色で印刷を実行させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色補正プロファイルを利用した印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。
【図2】印刷制御プログラムの機能を示すブロック図である。
【図3】色補正プロファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図4】色域境界情報を作成する様子を説明する説明図である。
【図5】色域境界情報から共通領域情報を作成する様子を示す図である。
【図6】パッチの出力方法の指示を受け付けるUIを示す図である。
【図7】色補正プロファイルの一例を示す図である。
【図8】印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図9】出力パッチの中心の色を決定する際の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…PC、11…PSファイル、12…ディスプレイ、13a…マウス、13b…キーボード、14…HDD、20a〜20c…プリンタ、30…印刷制御プログラム、31…言語解析部、32…プロファイル制御部、32a…色補正プロファイル作成部、32b…プロファイル選択部、33…カラーエンジン、34…ハーフトーン処理部、35…印刷データ生成部、40…測色機、T1…色域境界管理値、T2…カラー補正領域閾値
【発明の属する技術分野】
本発明は色補正プロファイル作成装置、色補正プロファイル作成方法および色補正プロファイル作成プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷装置においては印刷媒体や印刷装置の差異に依存せずにほぼ一定の色を出力する仕組みとして、カラーマネジメントを行っている。すなわち、入力画像データの色成分と出力画像データの色成分をLab(通常はL*a*b*等、*を付して表記するが本明細書では省略する。以下同じ。)等の機器非依存色空間内の座標に変換可能なプロファイルを予め保存しておく。プロファイルは印刷を実行する印刷媒体等、各種印刷条件に対応しており、印刷条件に合致したプロファイルを使用することにより、各種印刷条件での印刷結果で色を一致させることができる。(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】
特開2000−255034号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の印刷装置においては以下の問題があった。すなわち、入力画像を示す入力画像データと印刷装置で使用される出力画像データとでは表現可能な色が異なるので、色域の境界付近において入力画像データでは表現可能であるが出力画像データでは表現できない色について色域を圧縮するなどして色域マッピングを行っていた。しかし、一般には印刷装置や印刷条件が異なるとそれぞれの色域が異なるので、色域の圧縮率や圧縮対象となる色が異なり、同じ入力画像データについての印刷であっても色域の境界付近の色はカラーマネジメントが有効に機能せず、印刷装置や印刷条件毎に色が異なってしまっていた。特に、印刷業者等において同じ画像を複数の印刷装置で同時に印刷する際には、各印刷装置における色の差異が顕著に現れてしまう。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、色域境界付近の色について印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず一定の色で印刷を実行させるための色補正プロファイル作成装置、色補正プロファイル作成方法および色補正プロファイル作成プログラムの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明では従来の色変換プロファイルによる色変換を実行可能な構成において特定の色については色補正プロファイルによって色変換を行って、従来の色変換プロファイルでは色域マッピングによって圧縮等がなされる色であっても印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷がなされるようにする。すなわち、色補正プロファイルの作成に際して色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通の所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出し、この特定の色を印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷するよう変換するプロファイルとする。この色補正プロファイルは複数の印刷装置および印刷条件毎に作成される。より具体的には、以下の考え方に基づいて色補正プロファイルを作成する。
【0006】
すなわち、従来の色変換プロファイルにおいては所定色空間内の共通領域外に存在する特定の色が色域圧縮等によって本来の色と異なる色に置き換えられるので、まず、色変換を実施する以前に所定色空間内の共通領域外に存在する特定の色を抽出する。この結果、色補正プロファイルにて補正を行うべき色を特定することができる。さらに、この特定の色およびその周辺の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷する。従って、このパッチについて目視あるいは測色機による測色を行えば、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色と見なすことが可能なパッチを発見することができる。
【0007】
各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色と見なすことが可能なパッチを発見することができれば、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにおけるパッチを印刷するための色成分値の組み合わせと上記特定の色とを対応づけたプロファイルを上記色補正プロファイルとすることにより、印刷装置や印刷媒体等の印刷条件によらず同等の色で印刷がなされるようにすることができる。すなわち、当該特定の色を色変換する際に印刷装置や印刷媒体等の印刷条件毎に作成された色補正プロファイルを参照することにより、当該特定の色がほぼ同等の色で印刷されるように色変換することができる。
【0008】
本発明を実現する一例としては、従来の色変換プロファイルを参照して色域境界およびその周辺の情報を収集し、特定の色を決定するとともに印刷装置および印刷条件のそれぞれにおいて同等の色を出力させるための色補正プロファイルを作成する構成が挙げられる。すなわち、色変換プロファイルは機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づけているので、任意の色成分値の組み合わせについて相互に対応づけることができる。従って、機器非依存色成分からなる色空間内の各色が上記特定の領域に存在するか否かを示す色域境界情報を取得することができる。
【0009】
さらに、各色変換プロファイルおよび色域境界情報を参照すれば、各色が複数の印刷装置および印刷条件での各色域に共通する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示す共通領域情報を取得することができる。本発明においては、この共通領域外の色を色補正プロファイルによって各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色になるように補正する。従って、色域の境界から所定の色差以内に存在して色域マッピングの際に圧縮等を受ける色について、印刷装置および印刷条件によらず一定の色にすることができる。
【0010】
色補正プロファイルの作成に際しては、共通領域外に相当する特定の色を補正対象色とし、この補正対象色を基にして特定の色を各印刷装置および印刷条件のそれぞれにて同等の色に変換する色補正プロファイルを作成する。すなわち、補正対象色は、上記共通領域外に存在して色域マッピング時の圧縮等に影響を受ける色であり、この色およびその周辺の複数の色について実際に各印刷装置および印刷条件によって印刷を実行することにより、各印刷結果から互いに同等の色を発見することができる。そこで、色補正プロファイルにおいてこの色を印刷するための色成分値と上記特定の色とを対応づけることにより、本発明にかかる色補正プロファイルを作成することができる。
【0011】
本発明においては、複数の印刷装置および印刷条件における色の差異を補償する色補正プロファイルを予め作成する。従って、多数の印刷装置および印刷条件で同一の画像を印刷する場合に、印刷対象の画像を印刷して色を調整し、再び印刷を行ってさらに色を調整するといった試行印刷を多数の印刷装置および印刷条件において多数回繰り返す必要がなく、試行のために印刷用紙、インクを消費する必要がなく非常に低コストで色の補償を行うことができる。
【0012】
ここで、上記色変換プロファイルは機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づけるデータであれば良く、複数の色成分値の組み合わせを対応づけたテーブルデータや対応関係を規定した関数を示すデータ等を採用することができる。色補正プロファイルにおいても同様にテーブルデータや関数を示すデータ等を採用することができる。また、色変換プロファイルでは少なくとも機器非依存色成分からなる色空間中の色をインク色空間中の色に変換できればよいが、印刷装置(あるいは印刷制御装置)においてはディスプレイ等で表示する画像を示す画像データを印刷することが多いので、印刷装置のシステムとしてディスプレイ等で使用する色空間中の色を機器非依存色成分からなる色空間中の色に変換可能な色変換プロファイルを備えることが好ましい。かかる構成によれば、ディスプレイ等で表示する画像を印刷するに当たり、特定の色については色補正プロファイルを参照して印刷を実行し、複数の印刷装置および印刷条件において当該特定の色をほぼ同等の色で印刷させることができる。
【0013】
色域境界情報においては各色が色域の境界から所定の色差以内にある否か、すなわち、境界近傍の特定領域に存在するか否かを示すことができれば良く、種々の態様の情報を採用することができる。例えば、各色が上記特定の領域および色域外の領域に含まれるか否かをフラグで示すテーブルデータを採用することができる。ここで、各色としては色域全体をまんべんなく網羅する複数の色を採用しても良いし、補正対象色となる色あるいはその周辺の色のみを対象として色域境界情報としても良い。
【0014】
また、本発明においては、色域マッピングにおいて圧縮等がなされた色についてその色の変化を補償しているため、上記特定の領域を示す色域境界からの色差としても色域内で圧縮がなされた色を含む色域表面の所定領域を示すことができればよい。当該色差が色域境界から色域の内側に向けた所定の距離を指定していれば、その色差値を適宜調整することによって色域マッピングによって圧縮がなされた色が含まれる所定の領域を指定することができ、各色がこの領域内に存在するか否かを容易に判定することができる。むろん、色差値は予め決めておいても良いし、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で色差値を入力するためのUIを構成し、利用者の入力に基づいて決定しても良い。
【0015】
共通領域情報においては、各色が色補正プロファイルを作成する対象となる複数の印刷装置および印刷条件について共通の色域であって上記特定の領域外に相当する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示すことができれば良く、種々の態様の情報を採用することができる。例えば、各印刷装置および印刷条件毎に上記共通領域内の色を列挙した情報を採用することができる。すなわち、上記色域境界情報を参照すれば、上記特定の領域および色域外の領域のいずれにも含まれない色を特定することができ、さらに、印刷装置および印刷条件それぞれにおいて上記特定の領域および色域外の領域のいずれにも含まれない色を特定することによって共通領域内の色を特定することができる。従って、この色を列挙することによって共通領域情報とすることができる。
【0016】
共通領域は、上記特定の領域外に相当し、かつ複数の印刷装置および印刷条件のそれぞれにおける色域に共通の領域である。すなわち、この領域であれば複数の印刷装置および印刷条件の総てについて色域マッピングの際に圧縮等を受けていない色を抽出することができる。従って、この共通領域以外の領域に存在する色を補正対象色とすることによって、従来の色域マッピングであれば印刷装置および印刷条件毎に色が変動するおそれのある色を確実に補正対象とすることができる。
【0017】
補正対象色は共通領域外の色であり、共通領域以外に存在する総ての色を補正対象色としてもよいが、処理対象が多いと色補正プロファイルの作成にいたずらに時間がかかり、また、変換対象とならない不必要な色についてまで色補正プロファイルを作成しておいても意味がない。そこで、印刷対象の画像や色補正プロファイルの適用目的等に応じて適宜補正対象色を選定することが好ましい。
【0018】
その構成例としては、補正対象の画像を示す画像データを取得し、この画像データを分析する構成が挙げられる。すなわち、画像データを取得し、この画像データ内で上記特定の色を示す画素が所定の閾値より多数であるときに当該色を補正対象色とする。この構成により、画像内である程度の面積を占める色について印刷装置や印刷条件によらず一定の色で印刷を実行することが可能になる。むろん、閾値は予め決めておいても良いし、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で閾値を入力するためのUIを構成し、利用者の入力に基づいて決定しても良い。
【0019】
また、閾値としては画素数を示す値であっても良いし、画素が占める領域を指定する閾値、例えば、縦横の画素数を指定した閾値であっても良い。画素が占める領域を指定する閾値を利用する構成は、一定の色が一定の面積を占める画像について色補正プロファイルを適用する構成として好ましい。このような画像としては、例えばロゴや社名等のマークが挙げられる。すなわち、ロゴや社名等のマークは写真等と比較して小さな面積で細かく色が変動する場合が比較的少ないものの、厳密な色の管理が要求される場合がある。従って、一定の色が一定の面積を示す画像においてこの色を補正対象にすれば、重要な色について確実に色補正を実施可能な色補正プロファイルを作成することができる。
【0020】
さらに、補正対象の画像を示す画像データを取得し、この画像データ内で上記共通領域の外に存在する色を補正対象色としてもよい。この構成によれば、画像内で補正対象となりうる色の総てを容易に抽出することができる。むろん、上記閾値による判別と組み合わせれば、画像内から補正対象となりうる色を抽出した上で、閾値によって必要な色のみを抽出する構成にすることもできる。また、PCや印刷装置に接続された表示装置と入力装置で上記共通領域の外に存在する色を候補として表示しつつ色の指定を受け付けるUIを構成してもよい。
【0021】
印刷手段においては、複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等に見える色を発見できるよう、各印刷装置および印刷条件で複数の色パッチを印刷することができればよい。そのための構成としては、各印刷装置および印刷条件で補正対象色を印刷することに加え、当該補正対象色の色成分値を中心として各色成分値を変動させた複数の色を各印刷装置および印刷条件で印刷する構成を採用可能である。すなわち、補正対象色について印刷を行うと各印刷装置および印刷条件で相互に色が異なるが、その周囲の複数の色について印刷を行うと、そのいずれかは各印刷装置および印刷条件で同等の色になることが想定される。従って、補正対象色あるいはその周辺の色について印刷を行うと、複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等に見える色を容易に発見することができる。
【0022】
この構成においては、補正対象色を中心にしてその周囲の色についてパッチを印刷しているが、むろん、他の構成を採用しても良い。例えば、補正対象色から上記共通領域まで最短の色差となる色や補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる色を中心にしてその周囲の複数の色を印刷しても良い。これらの色は共通領域の境界上に存在する色である。共通領域上の色は上記複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて色域マッピング時の圧縮等の影響を受けていないので、複数の印刷装置および印刷条件の総てで表現できる。従って、この色の周辺において複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を容易かつ高速に発見することができる。
【0023】
また、補正対象色から上記共通領域まで最短の色差となる色は、補正対象色から最も近くに存在する共通領域上の色であるので、補正対象色を大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる色についても同様であり、この色は圧縮後の各色から最も近くに存在する共通領域上の色である。補正対象色が機器非依存色成分からなる色空間内で特定された場合でも印刷装置等の色域外あるいは色域境界周辺であった場合には色域マッピングによって圧縮されるので、上記補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる各色を中心にすれば圧縮後の色を大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。
【0024】
さらに、補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の各色から上記共通領域内の所定の色までの色差の和が最小となる色とその周辺の色についてパッチを印刷しても良い。当該色差の和が最小となる色は、圧縮後の色からの距離の和が最小かつ色域境界上に存在する色である。従って、色域マッピングによって補正対象色が各印刷装置および印刷条件毎に異なる複数の色になった場合に、これら複数の色のいずれをも大きく変動させないようにしながら複数の印刷装置および印刷条件の総てで同等に見える色を探索することができる。
【0025】
以上のように、各種の色を中心とし、その周辺の色を含めてパッチを印刷すればその中から複数の印刷装置および印刷条件の総てにおいて同等と見なすことのできる色を発見することができるが、1回ずつのパッチの印刷で発見できなかった場合は、周辺の色において色成分値の変化具合を変えて再度パッチを印刷しても良い。印刷後もパッチについては目視あるいは測色機によって同等であるか否かを判定することができる。
【0026】
目視によって判定した場合には、所定の入力装置によって各印刷装置および印刷条件毎にパッチを選択、入力するように構成し、この入力情報によって各印刷装置および印刷条件毎に上記同等の色を印刷させるための色成分値を取得すればよい。測色機によって判定する場合には、測色機によって測色した結果(各パッチの色彩値)を取得し、各印刷装置および印刷条件のそれぞれにおけるパッチが相互に所定の色差以下になっていることを閾値によって判別することにより、同等であるか否かの判定をすることができる。そこで、この判定されたパッチを印刷する際に使用した色成分値を各印刷装置および印刷条件毎に取得する。以上のようにして各パッチを印刷するための色成分値を取得することができるので、色補正プロファイル生成手段において当該色成分値と上記特定の色とを対応づけることにより色補正プロファイルを生成することができる。
【0027】
ところで、上述した色補正プロファイル作成装置は、単独で実施される場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で他の方法とともに実施されることもあるなど、発明の思想としては各種の態様を含むものであって、適宜、変更可能である。また、上述した共通領域外に存在する特定の色を複数の印刷装置および印刷条件にて同等の色で印刷させる色補正プロファイルを作成する手法は、所定の手順に従って処理を進めていくうえで、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然である。したがって、本発明は方法としても適用可能であり、請求項11,請求項12にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。本発明を実施しようとする際に、色補正プロファイル作成装置にて所定のプログラムを実行させる場合もある。本発明は、そのプログラムとしても適用可能であり、請求項13,請求項14にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。
【0028】
むろん、請求項3〜請求項10に記載された構成を上記方法やプログラムに対応させることも可能であることは言うまでもない。また、いかなる記憶媒体もプログラムを提供するために使用可能である。例えば、磁気記録媒体や光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現される場合においても本発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込む形態のものも含まれる。さらに、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地なく同等である。
【0029】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御処理の概要:
(2)色補正プロファイル作成装置の構成:
(3)色補正プロファイル作成処理:
(3−1)色域境界情報の取得:
(3−2)共通領域情報の取得:
(3−3)パッチの出力:
(3−4)色補正プロファイルの作成:
(4)印刷制御処理の詳細:
(5)他の実施形態:
【0030】
(1)印刷制御処理の概要:
図1は、本発明にかかる色補正プロファイルを利用して印刷を実行する印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。本実施形態においては、PC10によって生成されたPSファイル11(ポストスクリプトファイル,ポストスクリプトはアドビシステムズの登録商標)をPC10で解析して印刷データを生成し、プリンタ20a〜20cに対して転送する。プリンタ20a〜20cでは、この印刷データに基づいて印刷を行う。PC10は印刷業者等が同じ画像を大量に印刷する際に利用され、同じ画像を異なるプリンタ20a〜20cで印刷し、また異なる印刷条件で印刷した場合であっても特定の色については同等の色で印刷されるようにしてある。尚、図1に示す例では、プリンタ20aとプリンタ20bは同一の機種(プリンタA)であり、プリンタ20cの機種(プリンタB)はプリンタ20a,20bと異なる。
【0031】
図1では、この印刷の一例を示しており、PSファイル11には”EPSON”というロゴマークを含む画像を印刷するための各種コマンドが記述されており、各画素の色をCMYK各色の階調値で指定している。また、プリンタ20a〜20cではCMYK各色のインク量を階調値で指定して色を表現している。これらのCMYKは機器依存色である。すなわち、PSファイル11の表色系とプリンタ20a〜20cの表色系が共通であるとしても、両者の意味する色は異なっている。
【0032】
そこで、両者は色変換プロファイルによって一旦Lab等の機器非依存色に変換され、このLab色空間内において両者が対応づけられる。しかし、ディスプレイで表示可能な色であってもプリンタ20a〜20cの色域外および色域境界付近に位置する色が存在し、これらの色は、通常、色域マッピングによってプリンタ20a〜20cの色域内に圧縮される。従って、各プリンタ20a〜20cにおいて個別の色変換プロファイルでカラーマネジメントを行ったとしてもプリンタ20a〜20cの色域外および色域境界付近の色は各プリンタ20a〜20cで出力色が異なってしまう。
【0033】
図1に示す例では、上記ロゴマークの色に各プリンタ20a〜20cの色域の境界付近の色を含んでおり、このようなロゴマークの印刷において上記従来の色変換プロファイルでは、各プリンタ20a〜20cにおいて各印刷条件a〜cでの印刷結果でロゴマークが同じ色になることを担保できない。そこで、本発明においては、各プリンタ20a〜20cにおいて各印刷条件毎に色補正プロファイルを作成し、この色補正プロファイルを参照して色変換を行いつつ印刷を行う。
【0034】
すなわち、プリンタ20aにおいて印刷条件aで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタA,印刷条件a用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行う。また、プリンタ20bにおいて印刷条件bで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタA,印刷条件b用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行い、プリンタ20cにおいて印刷条件cで上記ロゴマークを印刷する際にはPC10にてプリンタB,印刷条件c用に作成された色補正プロファイルを参照して色変換を行う。この色変換を行って各プリンタ20a〜20cにて印刷した印刷物P1〜P3においては、PSファイル11にて記述された通りのロゴマークが印刷され、また、このロゴマークの色は総て同等の色に見える。
【0035】
(2)色補正プロファイル作成装置の構成:
次に、上記色補正プロファイル作成処理を実現するための装置構成を説明する。色補正プロファイルを作成するためには、多くの演算処理を必要とし、また、作成後の色補正プロファイルは印刷実行の際に利用されるので、印刷を実行するPC10にて色補正プロファイルを作成するのが好ましい。PC10は汎用的なコンピュータによって実現可能である。すなわち、図示しないCPU,RAM,ROM等からなるプログラムの実行系やHDD等の固定記憶装置,プリンタ20a〜20cと接続可能にするI/F(インターフェイス)等を備えていればよい。
【0036】
図2は色補正プロファイル作成および色変換を行うためにPC10にて実現される印刷制御プログラム30の機能を示すブロック図である。PC10は、各種I/Fを介して各種機器とデータの授受を行う。すなわち、I/F12aを介してディスプレイ12,マウス13a,キーボード13bと接続されており、図示しない制御ドライバの制御によってディスプレイ12上に画像や各種UIを表示可能である。また、マウス13aやキーボード13bから入力される各種制御信号を解釈し、UI上の操作等を実施可能である。
【0037】
プリンタ20a〜20cはプリンタI/F14a〜14cを介してPC10に接続されている。このプリンタ20a〜20cでは上述のCMYKの各色インクを搭載可能であり、各色インクをノズルから吐出することによって印刷媒体上に画像を形成する。本実施形態においては、さらに、測色機I/F40aを介して測色機40と接続されており、測色機40によって測色したパッチの色彩値を取得することが可能である。HDD14には、ディスプレイ12で表示する画像の色を表現したCMYK表色系の色をLab表色系で表現した色に変換する色変換プロファイルである複数の印刷プロファイルA,B,,,,と、Lab表色系で表現した色をプリンタで使用するCMYK表色系で表現した色に変換するメディアプロファイルa,b,,,,が記憶されている。尚、各プロファイルではディスプレイやプリンタに依存する機器依存色と機器非依存色との変換をすることができれば良く、上記Lab表色系の他、XYZ表色系等、種々の表色系を使用可能である。
【0038】
印刷プロファイルA,B,,,,は一般にシミュレーションプロファイルと呼ばれており、印刷実行時に利用者が任意に選択可能である。メディアプロファイルa,b,,,,はプリンタの機種および印刷条件毎に作成されており、印刷実行時には印刷実行対象のプリンタ機種および印刷条件に対応したメディアプロファイルが選択される。HDD14にはさらに色補正プロファイルが記録される。色補正プロファイル1,2,,,,もプリンタの機種および印刷条件毎に作成される。
【0039】
本実施形態においては、印刷実行指示される度にプリンタの機種および印刷条件毎に色補正プロファイルを作成し、HDD14に記録し、記録した色補正プロファイルを適宜参照して印刷を実行する。尚、本実施形態において、印刷条件として挙げられる項目は印刷媒体の種類、解像度、ハーフトーン処理の手法である。すなわち、これらのいずれかが異なる場合には異なるメディアプロファイルa,b,,,,や色補正プロファイル1,2,,,,が作成される。また、これらのプロファイルにおいては、CMYK画像データを機器非依存色に変換可能なデータであれば良く、ルックアップテーブルやトーンカーブ等の関数が指定されたデータで構成することができる。色補正プロファイルとしては、補正を行う色のみを記憶しておいても良いし、印刷プロファイルあるいはメディアプロファイルに対して補正を行った部位を上書きしたデータを色補正プロファイルとしても良く、種々の構成を採用可能である。
【0040】
印刷制御プログラム30は、言語解析部31とプロファイル制御部32とカラーエンジン33とハーフトーン処理部34と印刷データ生成部35とを備えている。PSファイル11は図示しないフォトレタッチソフトウェアによって作成され、また、記録媒体等に保存されており、言語解釈部31に入力される。PSファイル11には印刷を実行させるプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルおよび画像記述コマンドが含まれており、各種情報は印刷実行指示を行った時点で図示しないPRTDRVにて特定される。むろん、各種情報を特定するための手法は様々であり、PSファイル11内に情報を記述することが必須というわけではない。例えば、複数のプリンタ接続されたプリンタサーバに対して印刷実行指示を行う際にプリンタドライバが通信によってプリンタの機種を特定する場合、プリンタサーバ側ではこの通信によってプリンタを特定することができる。
【0041】
本実施形態においては、複数台のプリンタで同時に印刷を実行可能であり、PSファイル11においては、プリンタの機体を示す情報によってプリンタを特定している。すなわち、プリンタの機種が同一であっても機体が異なれば異なる色補正プロファイルを使用するため、各機体を識別できるような情報がPSファイル11に含まれている。言語解釈部31は、PSファイル11に記述されたポストスクリプト言語を解釈するモジュールであり、上述のプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルを把握するとともに、画像記述コマンドを解析して印刷対象の文字や画像をドットマトリクス上の画素で構成し、各画素の色をCMYK各色の階調値で表現した入力CMYK画像データを作成する。
【0042】
本実施形態においては、この入力CMYK画像データに基づいて印刷を実行する前に、色補正プロファイル作成部32aが印刷対象のプリンタおよび印刷条件に適合した色補正プロファイルを作成する。作成された色補正プロファイルはHDD14に色補正プロファイル1,2,,,,として保存される。この色補正プロファイル1,2,,,,は、それぞれがいずれのプリンタおよび印刷条件に適合しているのかを示す情報を含んでいる。この色補正プロファイル作成部32aにおける処理の詳細は後述する。
【0043】
プロファイル選択部32bは、言語解釈部31からプリンタの機体,解像度,印刷用紙の種類,印刷プロファイルを受け取るとともに解釈後の画像データを受け取り、印刷実行対象のプリンタおよび印刷条件に適合した印刷プロファイルとメディアプロファイルあるいは色補正プロファイルを選択し、画像データをカラーエンジン33に出力する。
【0044】
カラーエンジン33は、各プロファイルを参照して色変換を実施するモジュールである。PSファイル11に記述された画像を印刷する際には、まず印刷プロファイルを参照して画像の各画素の色を示すCMYK値をLab値に変換する。そして、メディアプロファイルを参照し、このLab値をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK値に変換する。色補正プロファイルを参照して印刷を行う場合には画像の各画素の色を示すCMYK値をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK値に変換する。
【0045】
尚、本実施形態において色補正プロファイル作成部32aが出力するパッチの色は、上記プリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値にて指定される。このようにして色を決定すれば、カラーエンジン33による色変換を経ることなく、各パッチの色を示すCMYK値を後述するハーフトーン処理部34に受け渡すのみでパッチを印刷することができる。むろん、色補正プロファイル作成時に、パッチの色をLab値にて指定しても良い。この構成ではLab値をCMYK値に変換してパッチを印刷することが可能であり、メディアプロファイルを参照してLab値をCMYK値に変換すればよい。
【0046】
また、パッチの色を上記ディスプレイ12で使用するCMYK表色系でのCMYK値にて指定しても良い。この場合、CMYK値をカラーエンジン33に入力し、印刷プロファイルを参照してこの色を一旦Lab値に変換し、さらに、メディアプロファイルを参照してこのLab値をプリンタで使用するCMYK値に変換する。この構成では、パッチを印刷する場合においても画像を印刷する場合においても、処理内容としては共通であり使用するプロファイルが異なるのみである。従って、パッチを印刷する場合においても画像を印刷する場合においてもカラーエンジン33という共通のモジュールを利用して処理を進めることができる。
【0047】
ハーフトーン処理部34は、上記パッチや画像の各画素のCMYK値をプリンタ20a〜20cにおける各画素でのインク吐出の有無を示すドットデータに変換するモジュールである。また、印刷データ生成部35は当該ドットデータに基づいて上記プリンタ20a〜20cにおける図示しないヘッド機構やノズルからのインク吐出機構を駆動するための印刷データを作成するモジュールである。作成された印刷データはプリンタI/F14a〜14cに対して出力され、各プリンタ20a〜20cは当該印刷データに基づいて上記パッチや画像を印刷する。
【0048】
(3)色補正プロファイル作成処理:
本実施形態においては、以上の構成にて印刷対象の画像に含まれる色であって色域境界および色域境界近傍の色をプリンタおよび印刷条件毎に変換するための色補正プロファイルを作成することにより、これらの総てにおいて同等の色で画像を出力することができる。そこで、以下においては、色補正プロファイルを作成する処理を図3に示すフローチャートに沿って説明する。色補正プロファイルを作成する処理は色補正プロファイル作成部32aによって実施され、補正対象色を特定するために色域の境界付近の色をプリンタおよび印刷条件の総てについて勘案しており、このために色域境界情報と共通領域情報を取得する。以下においては、まずこれらの情報を取得する様子を説明する。
【0049】
(3−1)色域境界情報の取得:
色域境界情報は各プリンタ20a〜20cおよび印刷条件毎に作成され、まずステップS100では、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図示しない所定のUIを上記ディスプレイ12上に表示する。利用者はこのUIを表示した状態で、上記マウス13aとキーボード13bとを操作して印刷対象のプリンタと印刷条件を指定する。すなわち、プリンタを指定するとともに上記解像度,印刷用紙の種類,ハーフトーン処理の手法を指定する。色補正プロファイル作成部32aはこれらの情報を取得する。
【0050】
ステップS105では、上記ステップS100で取得したプリンタおよび印刷条件についての色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2との指定を受け付ける。すなわち、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図示しない所定のUIを上記ディスプレイ12上に表示し、上記色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2との指定を受け付ける。利用者はこのUIを表示した状態で、上記マウス13aとキーボード13bとを操作して色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを入力する。
【0051】
ここで、色域境界管理値T1は色域の境界から色域の内側(ab平面の原点方向)に向けたLab色空間中の距離、すなわち色差を示している。また、カラー補正領域閾値T2は画素数を示す閾値であり、この閾値によって画像内の一定領域を占める領域のみを補正対象色とするものである。ステップS110,S115では、上記ステップS100,S105で取得した情報を利用して色域境界情報を取得する。このために、まずステップS110では、上記ステップS100で指定されたプリンタおよび印刷条件の総てについて色域境界情報を作成したか否かを判別する。同ステップS110にて総てについて色域境界情報を作成したと判別されるまで、ステップS115を繰り返す。
【0052】
図4は、ステップS115においてプリンタおよび印刷条件のそれぞれについて色域境界情報を作成する様子を説明する説明図である。同ステップS115においては、まずメディアプロファイルを参照してプリンタの色域の境界を確定する。メディアプロファイルはプリンタの機種および印刷条件に応じて予め規定されているので、上記ステップS100にて指定されたプリンタおよび印刷条件に適合するメディアプロファイルを取得して色域の境界を画定する。図4上部においてはプリンタA,印刷条件aについての色域を示しており、同図下部においてはプリンタB,印刷条件cについての色域を示している。
【0053】
メディアプロファイルにおいては、色域内の総ての色についてLab値とCMYK値とを対応づけているわけではなく、例えば、複数の参照点によって形成されるテーブルによって両者を対応づけているが、これら有限の参照点であっても色域の最外部の点を結ぶ曲線を考えるなどして色域の境界を決定することができる。すなわち、図4の上部に示すように参照点をLab色空間中にプロットすれば最外部に位置する色を特定することができ、この色同士を結ぶことによって色域境界を規定することができる。尚、図4においては、Lab色空間を所定のab平面で切断した状態を示しており、上部においてはプリンタA,印刷条件aの色域境界を実線で示し、下部においてはプリンタB,印刷条件cの色域境界を太実線で示している。
【0054】
図に示すように色域の境界を特定した後には、上記色域境界管理値T1を利用し、色域マッピング時に色が圧縮されるおそれのある色が含まれる特定の領域を決定する。本実施形態では、図4に示す色域の境界からその内側に向けて色差T1だけ離れた部位に境界を規定しこの境界と色域境界とに囲まれた領域を色の圧縮がなされる特定領域とする。図4の上部においては、各色域の境界より内側の破線および一点鎖線によって色域境界から色差T1だけ離れた部位の境界を示している。
【0055】
色域境界情報は、各色が色域の境界に存在するか、色域の境界と破線(あるいは一点鎖線)に囲まれた特定の領域に存在するか、破線(あるいは一点鎖線)より内側に存在するかを示す情報であり、本実施形態においては、メディアプロファイルから取得可能な全色についてこれらの情報を規定する。図4の右側には各プリンタおよび印刷条件についての色域境界情報を示している。色域境界情報は同図に示すようにテーブルデータであり、実際には複数のCMYK値の組み合わせがテーブルデータに登録されており、また、各色についてフラグfgによってその位置を示している。すなわち、フラグfgが”0”のときその色が破線あるいは一点鎖線より内側に存在し、フラグfgが”1”のときその色が上記特定の領域に存在し、フラグfgが”2”のときその色が色域の境界に存在することを示している。
【0056】
また、同図においては、プリンタで使用するCMYK表色系のCMYK値をCoMoYoKoとして示している。メディアプロファイルにおいてはLab値とプリンタで使用するCMYK表色系のCMYK値との対応関係を示しているので、上述のように色域境界と色域境界管理値T1とによってLab表色系で各色を評価したとしてもその色とCMYK値とを対応づけることによって、CoMoYoKo各色のフラグfgの値を決定することができる。
【0057】
一方、本実施形態における色域境界情報は、さらに、CoMoYoKoの各色と、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値を対応づけている。図4においてはディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値をCiMiYiKiとして示している。上述したPSファイル11に記述された画像の画像データにおいては、各画素の色を当該CiMiYiKi値で示している。
【0058】
従って、色域境界情報においてCiMiYiKiとCoMoYoKoとを対応づけておくことにより、PSファイル11に記述された画像の色が各プリンタおよび印刷条件での色域の境界に存在するか、色域の境界と破線あるいは一点鎖線に囲まれた特定の領域に存在するか、破線あるいは一点鎖線より内側に存在するかを把握することが可能になる。尚、CiMiYiKiとCoMoYoKoとを対応づけるためには印刷プロファイルを参照する。
【0059】
すなわち、印刷プロファイルを参照すれば、CiMiYiKi値とLab値とを対応づけることができるので、上記図4に示すCoMoYoKo値に対応するLab値を把握することにより、このLab値に対応するCiMiYiKiを容易に把握することができる。以上のようにして、ステップS110,S115でプリンタおよび印刷条件毎の色域境界情報を取得したら、この情報を図示しないRAMに記憶しておく。ステップS120では、これらの色域境界情報を利用して共通領域情報を取得する。
【0060】
(3−2)共通領域情報の取得:
図5は、図4に示す色域境界情報から共通領域情報を作成する様子を示す図である。共通領域は各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域であってプリンタおよび印刷条件毎の色域で重複する領域であり、共通領域情報は各色がこの共通領域に入るか否かを示すデータである。各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域を取得するためには、図5に示すようにLab空間中でプリンタおよび印刷条件のそれぞれについて上記色域境界情報を参照し、総てで共通する領域を特定すればよい。同図においては、この共通領域をハッチにて示している。
【0061】
具体的には、任意の色について色域境界情報の総てを逐次参照し、各色域内の領域から上記特定の領域を除いた領域に存在するか否かを判別し、総ての色域境界情報においてこの領域に含まれると判別された色について共通領域内の色であるとすればよい。図5に示す共通領域情報はフラグFogにて共通領域内に存在するか否かを示しており”1”が共通領域内、”0”が共通領域外を示している。尚、本実施形態においては、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCiMiYiKiについてフラグFogが対応づけられているが、むろん、印刷プロファイルやメディアプロファイルを参照すれば、対応するLab値やCoMoYoKo値を取得することができるので、これらの値についてフラグFogを対応づけておいても良い。
【0062】
(3−3)パッチの出力:
本実施形態においては、上述のようにして印刷対象画像に関わらず各色の共通領域情報を特定しておき、この色に基づいて印刷対象画像の特定の色を補正対象色として特定する。このために上記色補正プロファイル作成部32aは言語解釈部31から受け渡されたCMYK画像データを取得し、上記共通領域情報を参照しつつ各画素の色をスキャンして各色が上記共通領域内に存在するか否かを判別する。そして、共通領域内に存在する色を示す画素数を上記閾値T2と比較し、閾値T2を超える画素数を占める色を補正対象色の候補とする。色補正プロファイル作成部32aは、ここでも図示しない上記I/F12aを介して図示しない所定のUIをディスプレイ12上に表示し、このUIにおいて上記補正対象色の候補を選択可能に表示する(ステップS125)。
【0063】
ステップS130においては、このUIを介して補正対象色の指定を受け付ける。ここで、補正対象色を表示するUIとしては利用者に対して補正対象色を選択可能に表示することができれば良く、種々のUIを採用可能である。例えば、画像を表示するとともに補正対象色が占める部位を視認可能に示したり、補正対象の候補となる色を画面上に列記したりする構成等を採用可能である。また、本実施形態においては補正対象色を利用者が選択できるように構成しているが、むろん、自動で選択しても良い。例えば、上記閾値を超える画素数を占める色については総て補正対象色とする構成等を採用可能である。
【0064】
また、本実施形態においては、上記CiMiYiKi値について共通領域情報が特定されているため、補正対象色としてもディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値で特定するが、むろん、Lab値で特定しても良いし、上記プリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値で特定しても良い。
【0065】
補正対象色を選択した後には、当該補正対象色について印刷を実行するに際して、プリンタおよび印刷条件によらず一定の色になる色を特定するため、ステップS135〜ステップS165にてプリンタおよび印刷条件毎に複数のパッチを印刷する処理と色の探索を行う。すなわち、ステップS135では、上記PSファイル11にて指定されたプリンタおよび印刷条件の総てについて総ての補正対象色についてのパッチの出力が終了したか否かを判別し、同ステップS135にてプリンタおよび印刷条件の総てについてパッチの出力が終了したと判別されるまでステップS140,S145を繰り返す。
【0066】
ステップS140では、色補正プロファイル作成部32aが上記I/F12aを介して図6に示すUIをディスプレイ12上に表示し、このUIにおいてパッチの出力方法の指示を受け付ける。このUIにおいては、CMYKの各色に加え、明度Lについて上記補正対象色における色彩値に対して加減する値とそのピッチおよび変動させる色の組み合わせを指定可能である。尚、本実施形態においては、パッチの色をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値で特定する。そこで、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値で特定された補正対象色をプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系のCMYK値に変換し、変換後のCMYK値を中心にして色成分値を変動させる。具体的には、図6に示すM成分においては開始値が”5”,終了値が”15”,ピッチが”5”であるため、上記補正対象色のM成分に階調値”5”,”10”,”15”をそれぞれ加えるよう指定している。また、Y成分においては上記補正対象色のY成分に階調値”20”,”25”,”30”をそれぞれ加えるよう指定している。
【0067】
さらに、M成分とY成分とは組み合わせ1において双方が選択され(白丸が指定され)ている。この指定により、上記補正対象色の階調値に対してM成分をそれぞれ”5”,”10”,”15”に変動させながら、Y成分をそれぞれ”20”,”25”,”30”に変動させてパッチの階調値とする。尚、図6には同図上部に示す例において特定される階調値の増減結果を同図下部に()で示している。また、図6においては、明度Lについても階調値を調整可能であるが、明度Lは各色インク量を全体的に増減して調整しても良いし、メディアプロファイルを参照してパッチの色を示すCMYK値に対応するLab値を取得し、Lab空間中でLを調整するなど種々の構成を採用可能である。
【0068】
いずれにしても、図6に示すUIで補正対象色に対応するプリンタ20a〜20cでのCMYK値に対して増減するCMYK値(あるいはCMYK値と明度値)を特定した後には、増減して得られたCMYK値にて色を特定した出力パッチの画像データを生成し、ハーフトーン処理部34に出力する(ステップS145)。この結果、ハーフトーン処理部34および印刷データ生成部35における印刷データ生成処理を経て印刷データが各プリンタ20a〜20cに対して出力され、パッチが印刷される。尚、このパッチにおいては各CMYK値の増減量が把握できるようにして印刷する。
【0069】
ステップS135〜S145において総てのプリンタおよび印刷条件についてパッチを印刷した後には、上記測色機40によって各パッチを測色する。測色結果を示す色彩値は測色機I/F40aを介して入力され、異なるプリンタおよび印刷条件にて印刷した各パッチについて色彩値が相互に比較される(ステップS150)。この比較においては所定の閾値が予め用意されている。この閾値は、各色を同等と見なすことができる色差の値(例えば1)を示しており、この閾値より色差が小さなパッチの色同士を同等であるとする。
【0070】
ステップS155においては特定のプリンタおよび印刷条件においてパッチの再出力が必要であるか否かを判別する。すなわち、特定のプリンタおよび印刷条件での総ての印刷パッチが他のプリンタおよび印刷条件での印刷パッチと比較して上記閾値以下にならなかった場合には、当該特定のプリンタおよび印刷条件において上記同等と見なせる色が存在しない。そこで、ステップS155にて再出力が必要と判別し、ステップS160,S165にて階調値を変えて再度パッチを印刷する。ステップS160,S165における処理は上記ステップS140,S145と同じであるが、ここではステップS140,S145において指定した開始値,終了値,ピッチと異なる値を指定することになる。
【0071】
(3−4)色補正プロファイルの作成:
このようにして、特定のプリンタおよび印刷条件においても同等と見なすことができるパッチを発見するまで上記ステップS150以降の処理を繰り返す。ステップS155で特定のプリンタおよび印刷条件においてパッチの再出力が必要であると判別されないときには、全補正対象色について異なるプリンタおよび印刷条件のそれぞれにて同等と見なすことができるパッチが特定されているので、ステップS170ではこのパッチの入力を受け付ける。
【0072】
すなわち、色補正プロファイル作成部32aは上記I/F12aを介して図示しない所定のUIをディスプレイ12上に表示し、各補正対象色について各プリンタおよび印刷条件でのパッチの指定を受け付ける。これにより、補正対象色であるCiMiYiKi値に対応するCoMoYoKoに対して各色成分を増減した特定の値が取得されるが、各プリンタおよび印刷条件においてこの増減後の色成分値で印刷を行うと各プリンタおよび印刷条件の総てにおいて印刷色が同等となる。
【0073】
そこで、各プリンタおよび印刷条件において、補正対象色を示すCiMiYiKi値と上記増減後の色成分値とを対応づける。そして、各プリンタおよび印刷条件において総ての補正対象色を上記増減後の色成分値と対応づけたテーブルを作成し、当該プリンタおよび印刷条件における色補正プロファイルとして上記HDD14に記録する。色補正プロファイルにおいては、補正対象色と上記増減後の色成分値とを対応づけることができれば良く、種々の構成を採用可能である。
【0074】
図7は、色補正プロファイルの一例を示す図である。同図においては、ディスプレイ12で使用するCMYK表色系でのCiMiYiKi値と上記増減後の色成分値CopMopYopKopとを対応づけたテーブルデータを採用している。すなわち、上記増減によって補正を受ける色はフラグfgpが”1”となって補正済みであることを示すとともに、補正対象色Ci0Mi0Yi0Ki0値に対応するCo0Mo0Yo0Ko0の各成分値を増減した値、例えば、Mo0+5,Yo0+20とされた値がテーブルデータとして登録されている。
【0075】
尚、この色補正プロファイルにおいては、上記PSファイル11にて指定されている印刷プロファイルを示す情報と、印刷条件を示す情報が合わせて記録される。従って、実際に画像を印刷する場合にはこの印刷プロファイルと印刷条件とを示す情報によってこれらを把握し、印刷プロファイルと印刷条件に適した色補正プロファイルを選択することができる。
【0076】
(4)印刷制御処理の詳細:
次に、上述のようにして作成した色補正プロファイルを利用して印刷を実行する際の印刷制御処理を図8に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。利用者がPC10を操作して図示しないフォトレタッチソフトウェア等にてPSファイル11を作成し、このPSファイル11についての印刷実行指示を行うことによって図8に示す印刷制御処理が開始される。印刷制御処理が開始されると、ステップS200にて言語解釈部31がPSファイル11を取得し、ステップS205にて当該PSファイル11に記述されたポストスクリプト言語を解釈する。
【0077】
この結果、印刷実行対象のプリンタおよび印刷時の解像度,印刷媒体の種類,印刷プロファイル,CMYK画像データが特定される。プリンタおよび印刷条件としてはそれぞれが異なった複数のものを指定し、同じ画像について複数のプリンタおよび印刷条件で印刷することが可能である。言語解釈によってプリンタおよび印刷条件を取得した後にはプロファイル選択部32bが起動し、ステップS210にて印刷環境に適した色補正プロファイルがHDD14に保存されているか否かを判別する。
【0078】
すなわち、色補正プロファイルと合わせて記録された情報を参照し、PSファイル11に記述された印刷プロファイルと印刷条件および印刷対象のプリンタに適合した色補正プロファイルが存在するか否かを判別する。ステップS210にて適合した色補正プロファイルが存在しないと判別されたときには、プロファイル選択部32bがステップS215にて上記プリンタおよび印刷条件に適合した印刷プロファイルとメディアプロファイルとを選択し、これらを示す情報とCMYK画像データをカラーエンジン33に対して出力する。カラーエンジン33は、CMYK画像データの各画素について印刷プロファイルを参照してCMYK値をLab値に変換し、さらにメディアプロファイルを参照してこのLab値をCMYK値に変換する。変換後のCMYK値はプリンタ20a〜20cで使用するCMYK表色系の色成分値であり、この値はハーフトーン処理部34に受け渡される。
【0079】
ステップS210にて印刷プロファイルと印刷条件および印刷対象のプリンタに適合する色補正プロファイル(印刷環境に適した色補正プロファイル)が存在すると判別したときには、さらにステップS220で上記解釈後のCMYK画像データを参照し、各画素の色に上記色補正プロファイルで変換可能な色が存在するか否かを判別する。ここで、変換可能な色としては、色補正プロファイルにおいて上記フラグfgpが”1”となっているCi0Mi0Yi0Ki0値そのものであっても良いし、この色に近い色、例えば、色成分値の差が所定の閾値以下の色を変換可能であるとしても良い。
【0080】
ステップS220にて色補正プロファイルで変換可能な色が存在すると判別されないときには上記ステップS215以降の処理を行う。ステップS220にて色補正プロファイルで変換可能な色が存在すると判別されたときには、本発明にかかる色補正プロファイルでの色変換を適用可能である。そこで、プロファイル選択部32bは、ステップS225にて当該色補正プロファイルと印刷プロファイルとメディアプロファイルとを選択し、これらを示す情報とCMYK画像データをカラーエンジン33に対して出力する。
【0081】
カラーエンジン33においては、色補正プロファイルにて変換可能な色についてはそのCiMiYiKi値をCopMopYopKop値に変換する。色補正プロファイルにて変換不可能な色については印刷プロファイルとメディアプロファイルとによって色変換し、プリンタ20a〜20cで使用する表色系のCMYK値を取得する。変換後のCMYK値はハーフトーン処理部34に受け渡される。
【0082】
ハーフトーン処理部34は、受け渡されたCMYK値について各色毎にディザ処理や誤差拡散処理を行い、プリンタにおける各画素でインクを吐出するか否かを指定したドットデータを取得する。ここで、ディザ処理や誤差拡散処理は予めPSファイル11においてプリンタ毎の印刷条件として指定されており、この指定通りの処理を実施する。取得されたドットデータは印刷データ生成部35に受け渡され、印刷データ生成部35は各プリンタ毎にドットデータに基づいてヘッド機構やインク吐出機構を駆動するための印刷データを作成する。そして、作成した印刷データを適宜印刷対象のプリンタに対して出力する。この結果、PC10に接続されたプリンタ20a〜20c等で上記PSファイル11に記述された画像が印刷される。
【0083】
以上の処理によれば、PSファイル11に記述された画像内で色域境界付近の色であって色補正プロファイル作成時に補正対象色とされた色は、いずれのプリンタおよび印刷条件で印刷された場合であっても総て同等の色となる。従って、この色について非常に高精度のカラーマネジメントがなされることになる。以上のような色域境界付近の色は、カラーマネジメントを目的として採用されている従来の印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用した場合、プリンタ毎、印刷条件毎に異なった色で出力されることが多い。
【0084】
従来の印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用してこの色が複数のプリンタおよび印刷条件にて同等の色になるようにするためには、PSファイル11内の画像データ自体をプリンタ毎、印刷条件毎に変更したり、プロファイル自体を補正したりするために数多くの試行作業が必要であるため、非常に多くの作業工程やインク、印刷用紙を必要とするし、何ら指針無く調整しようとしても実際問題としてはほとんど不可能に近い。
【0085】
しかし、本発明においては、予め補正対象色についてパッチを印刷し、このパッチに基づいて複数のプリンタおよび印刷条件にて同等の色を出力するように色補正プロファイルを作成するので、上記印刷プロファイルとメディアプロファイルのみを利用した調整と比較して作業工程やインク、印刷用紙を大幅に低減することができる。また、一旦色補正プロファイルを作成した後には、非常に容易に高精度のカラーマネジメントを行うことができる。
【0086】
(5)他の実施形態:
以上説明した実施形態は一例であり、複数のプリンタおよび印刷条件のそれぞれにおいて色域境界付近の色を同等の色で印刷するための構成を採用する限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、上記実施形態では、各プリンタ20a〜20cにてCMYKの4色のインクを利用する構成を説明したが、むろんインク色数は4色に限らず、ライトシアン,ライトマゼンタを加えた6色でも良いし、さらにダークイエローを加えた7色でも良い。むろん、4色,6色,7色のそれぞれを使用可能なプリンタが混在していても良い。かかる構成によれば、非常に広範囲のプリンタについて本発明を適用することができる。
【0087】
さらに、上記実施形態では入出力の画像データの表色系が双方ともCMYK表色系であったが、むろん他の表色系であっても良い。例えば、PSファイル11に記述された画像について各画素の色をRGB表色系で表現したRGB画像データを利用し、プロファイルによってCMYK表色系の色に色変換してCMYK画像データとしても良い。かかる構成によれば、汎用的な印刷に本発明を適用することができ、利用者の多様なニーズに応じることができる。
【0088】
また、上記色補正プロファイルの作成過程においては、PSファイル11に記述された画像の色をスキャンし、所定の閾値T2によって補正対象色を決定していたが、画像のスキャンを行うことなく補正対象色を決定しても良い。例えば、上記特定の領域に含まれる色の総てまたは一部を補正対象色としても良い。特定の領域に含まれる色の総てを補正対象色とした場合には、非常に汎用的な色補正プロファイルを作成することができる。特定の領域に含まれる色の一部や上記画像のスキャンを行う構成は、補正対象とする色がある程度限定されている場合に採用するのが好ましい。かかる構成によれば、必要充分な補正対象色についてのみ色補正プロファイルを作成することができ、作成作業の手間を抑えることができる。
【0089】
また、上記実施形態においては印刷制御処理において色補正プロファイルを選択する場合にステップS210,S220にて画像データの各画素と色補正プロファイルとを比較して色補正プロファイルで変換可能な色が存在するか否かを判別していた。かかる構成によれば、色補正プロファイル作成時にスキャンした画像と同一の画像でなくても色補正プロファイルを適用した色変換をすることができるが、むろん他の構成を採用することもできる。例えば、色補正プロファイルを作成する際にスキャン対象とした画像を記述したPSファイルのファイル名を保存しておき、印刷対象とされたPSファイルのファイル名を判別し、ファイル名が一致する場合に色補正プロファイルを適用する構成を採用しても良い。
【0090】
他にも、画像データの各画素の色成分値を取得するとともに色補正プロファイルに登録された補正対象色を抽出し、この補正対象色の画素数が上記閾値T2より多い場合に色補正プロファイルを参照した色変換を適用するようにしても良い。また、上記色補正プロファイルを作成する際に利用した色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを利用しても良い。
【0091】
色補正プロファイルの作成過程において補正対象色を特定した処理と同様の処理を行って特定された色がPSファイル11に記述された画像に含まれるときに色補正プロファイルを適用するようにしても良い。以上の構成により、補正が必要とならない色についてまで補正を行うことを防止することができ、冗長な処理を無くして高速に高精度のカラーマネジメントを実現することができる。尚、色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを利用する場合には、上記HDD14には色補正プロファイルとともにこれら色域境界管理値T1とカラー補正領域閾値T2とを記憶しておく。
【0092】
さらに、上記印刷制御処理においてステップS210では印刷環境に適した色補正プロファイルが存在するか否かを判別し、存在しなければ従来と同様の処理、すなわち印刷プロファイルおよびメディアプロファイルを参照した色変換を実施するようにしていたが、他の構成を採用しても良い。例えば、適合する色補正プロファイルが存在しない旨をディスプレイ12上に表示し、このまま印刷するべきか中断すべきかを利用者に選択させる構成を採用しても良い。この構成によれば、適合する色補正プロファイルが存在しない場合に印刷を中断し、適合する色補正プロファイルを作成してから印刷を実施するようにすることができ、無駄な印刷を防止することができる。
【0093】
むろん、ステップS220でも同様であり、色補正プロファイルで変換可能な色が存在しない場合に、適合する色補正プロファイルが存在しない旨をディスプレイ12上に表示し、このまま印刷するべきか中断すべきかを利用者に選択させる構成を採用しても良い。この構成においても適合する色補正プロファイルが存在しない場合に印刷を中断し、適合する色補正プロファイルを作成してから印刷を実施するようにすることができ、無駄な印刷を防止することができる。また、このとき、上記共通領域情報色を参照して色域境界付近の色が画像データ内に含まれるか否かを判別し、色域境界付近の色が存在しないのであれば、上記ディスプレイ表示を行うことなくステップS215に移行するようにしても良い。
【0094】
さらに、上記閾値T2は画素数を比較するための閾値であったが、むろん、単に画素数を指定するのではなく、画像内の領域の大きさを特定する閾値であっても良い。例えば、1インチ×1インチという条件を閾値にしておけば、解像度が異なる場合であっても特定の補正対象色が一定の実印刷領域を占めるか否かを判定することができる。
【0095】
さらに、上記パッチの色成分値はUIによって選択するように構成していたが、むろん、他の構成を採用しても良い。例えば、補正対象色あるいは補正対象色の周辺に位置する色を中心として階調値を増減した色を自動で生成し、パッチの色としても良い。中心の選び方としても種々の選び方が採用可能であるが、上記共通領域の境界付近の色が好ましい。図9出力パッチの中心の色を決定する際の例を説明する図であり、Lab区間を所定の明度で切断したab平面を示している。
【0096】
同図においては、上記共通領域をハッチで示しており、同図Aにおいてはディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値として特定される補正対象色のLab値に基づいて上記中心の色を選ぶ例を示している。すなわち、補正対象色がディスプレイ12で使用するCMYK表色系のCMYK値として特定されると、この色はLab色空間中の一点A0に該当する。また、共通領域は共通領域情報によって決まっており、この共通領域の境界上に存在する点であって上記点A0と最短の距離にある点A1を決定することができる。
【0097】
むろん、最短の距離といっても複数のパッチを印刷する以上、厳密に最短であることが必須とはならず、略最短の距離であっても良い。いずれにしても点A0から最短の距離にある共通領域上の点A1を決定し、パッチの中心の色とする構成より、点A0から大きく色を変動させずに中心となるパッチの色を特定することができる。また、共通領域上の色は、印刷対象となるプリンタおよび印刷条件の総てにおいて圧縮を受けることなく印刷可能な色であり、確実に出力可能な色であるため、この周囲の色でプリンタおよび印刷条件の総てで同等に見える色を探索すれば、非常に容易に目的の色を発見することができる。
【0098】
また、中心を選ぶ際に色域マッピング時の圧縮を考慮しても良い。すなわち、補正対象色が各プリンタおよび印刷条件における色域外および色域境界付近に相当する色である場合にはその色が色域マッピングによって他の色に変換される。例えば、図9の点B0が補正対象色として特定されたとしても、各プリンタおよび印刷条件毎のメディアプロファイルを作成する際に点B0が点B1やB2に圧縮され、異なる色とされる場合がある。
【0099】
そこで、圧縮後の各点B1,B2等から点Bnまでの距離の和が最小になるように点Bnを決定し、この点Bnが示す色をパッチの中心とする構成を採用しても良い。かかる構成によれば、各プリンタおよび印刷条件における圧縮後の色を大きく変動させずに中心となるパッチの色を特定することができる。また、印刷対象となるプリンタおよび印刷条件の総てにおいて圧縮を受けることなく印刷可能な色を中心の色としてパッチを印刷することができる。
【0100】
さらに、印刷されたパッチの中から各プリンタおよび印刷条件において同等に見える色を発見するに当たり、上記測色機40を利用することが必須というわけでもない。例えば、利用者の目視によって同等に見える色を見つけさせ、同等に見える色を入力するように構成する。かかる構成において、この入力に応じて同等に見える色を示す情報を取得すれば、色補正プロファイルを参照した印刷によって少なくとも利用者にとって同じに見える色で印刷を実行させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色補正プロファイルを利用した印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。
【図2】印刷制御プログラムの機能を示すブロック図である。
【図3】色補正プロファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図4】色域境界情報を作成する様子を説明する説明図である。
【図5】色域境界情報から共通領域情報を作成する様子を示す図である。
【図6】パッチの出力方法の指示を受け付けるUIを示す図である。
【図7】色補正プロファイルの一例を示す図である。
【図8】印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図9】出力パッチの中心の色を決定する際の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…PC、11…PSファイル、12…ディスプレイ、13a…マウス、13b…キーボード、14…HDD、20a〜20c…プリンタ、30…印刷制御プログラム、31…言語解析部、32…プロファイル制御部、32a…色補正プロファイル作成部、32b…プロファイル選択部、33…カラーエンジン、34…ハーフトーン処理部、35…印刷データ生成部、40…測色機、T1…色域境界管理値、T2…カラー補正領域閾値
Claims (14)
- 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する色補正プロファイル作成装置であって、
色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通する所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出して当該特定の色およびその周囲の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷し、このパッチの中で互いに同等の色を抽出し、当該抽出した色と上記特定の色とを対応づけて複数の印刷装置および印刷条件毎の色補正プロファイルとすることを特徴とする色補正プロファイル作成装置。 - 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する色補正プロファイル作成装置であって、
印刷装置および印刷条件毎に規定された上記色変換プロファイルを参照して各色が各印刷装置および印刷条件における各色域の境界から色域の内側へ向けた所定の色差以内にある特定の領域に存在するか否かを示す色域境界情報を取得する色域境界情報取得手段と、
上記色域境界情報を参照して各色が上記特定の領域外であって色補正プロファイルを作成する対象となる複数の印刷装置および印刷条件での各色域に共通する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示す共通領域情報を取得する共通領域情報取得手段と、
上記共通領域外に相当する上記特定の色を補正対象色として特定する補正対象色特定手段と、
同補正対象色およびその周辺の複数の色について上記各印刷装置および印刷条件での印刷を実行させる印刷手段と、
同印刷手段における各印刷結果の中で互いに同等の色を示す同等色情報を取得する同等色情報取得手段と、
印刷装置および印刷条件のそれぞれにおいて上記同等色情報が示す色と上記特定の色とを対応づけた色補正プロファイルを生成する色補正プロファイル生成手段とを具備することを特徴とする色補正プロファイル作成装置。 - 上記所定の色差は上記各印刷装置および印刷条件毎の各色変換プロファイルの作成時に色域マッピングによって圧縮がなされた色が含まれる所定の領域を示しており、上記色域境界情報は上記各色が上記特定の領域および色域外の領域に含まれるか否かを上記各印刷装置および印刷条件毎にフラグで示した情報であることを特徴とする上記請求項2に記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記共通領域情報は、上記各印刷装置および印刷条件毎に上記共通領域内の色を列挙した情報であることを特徴とする上記請求項2または請求項3のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記補正対象色特定手段は、補正対象となる画像を示す画像データを取得し当該画像データにて上記特定の色を示す画素が所定の閾値より多数であるときに当該色を補正対象色とすることを特徴とする上記請求項2〜請求項4のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記補正対象色特定手段は、補正対象となる画像を示す画像データを取得するとともに上記抽出された共通領域を参照して当該画像データが示す画素の色であって上記共通領域の外に位置する色を補正対象色とすることを特徴とする上記請求項2〜請求項5のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記印刷手段は、上記補正対象色と当該補正対象色の色成分値を中心として各色成分値を変動させた複数の色について印刷を実行させることを特徴とする上記請求項2〜請求項6のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記印刷手段は、上記補正対象色あるいは当該補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の色から上記共通領域まで最短の色差となる色と当該色の色成分値を中心として各色成分値を変動させた複数の色について印刷を実行させることを特徴とする上記請求項2〜請求項6のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記印刷手段は、上記補正対象色を色域マッピングによって圧縮した後の各色から上記共通領域内の所定の色までの色差の和が最小となる当該所定の色とこの色の色成分値を中心として各色成分値を変動させた複数の色について印刷を実行させることを特徴とする上記請求項2〜請求項6のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 上記同等色情報は、利用者が印刷結果を目視して所定の操作入力機器を介して同等に見える色を入力した入力情報あるいは測色機によって測色した結果色差が所定の閾値以下になっている色を同等の色であるとして入力された情報であることを特徴とする上記請求項2〜請求項9のいずれかに記載の色補正プロファイル作成装置。
- 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する色補正プロファイル作成方法であって、
色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通する所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出して当該特定の色およびその周囲の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷し、このパッチの中で互いに同等の色を抽出し、当該抽出した色と上記特定の色とを対応づけて複数の印刷装置および印刷条件毎の色補正プロファイルとすることを特徴とする色補正プロファイル作成方法。 - 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する色補正プロファイル作成方法であって、
印刷装置および印刷条件毎に規定された上記色変換プロファイルを参照して各色が各印刷装置および印刷条件における各色域の境界から色域の内側へ向けた所定の色差以内にある特定の領域に存在するか否かを示す色域境界情報を取得する色域境界情報取得工程と、
上記色域境界情報を参照して各色が上記特定の領域外であって色補正プロファイルを作成する対象となる複数の印刷装置および印刷条件での各色域に共通する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示す共通領域情報を取得する共通領域情報取得工程と、
上記共通領域外に相当する上記特定の色を補正対象色として特定する補正対象色特定工程と、
同補正対象色およびその周辺の複数の色について上記各印刷装置および印刷条件での印刷を実行させる印刷工程と、
同印刷工程における各印刷結果の中で互いに同等の色を示す同等色情報を取得する同等色情報取得工程と、
印刷装置および印刷条件のそれぞれにおいて上記同等色情報が示す色と上記特定の色とを対応づけた色補正プロファイルを生成する色補正プロファイル生成工程とを具備することを特徴とする色補正プロファイル作成方法。 - 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する機能をコンピュータに実現させる色補正プロファイル作成プログラムであって、
色補正プロファイルを適用する対象となる複数の印刷装置および印刷条件で共通する所定色空間内の共通領域の外側に存在する特定の色を抽出して当該特定の色およびその周囲の色について上記色変換プロファイルを参照した色変換を実施して複数の印刷装置および印刷条件でパッチを印刷し、このパッチの中で互いに同等の色を抽出し、当該抽出した色と上記特定の色とを対応づけて複数の印刷装置および印刷条件毎の色補正プロファイルとすることを特徴とする色補正プロファイル作成プログラム。 - 機器非依存色成分からなる色空間の各色成分値の組み合わせと印刷装置で使用するインク色に対応した色成分値の組み合わせとを対応づける色変換プロファイルを参照して色変換を行うに当たり特定の色についてこの色変換プロファイルと異なる変換を行うために参照される色補正プロファイルを作成する色補正プロファイル作成プログラムであって、
印刷装置および印刷条件毎に規定された上記色変換プロファイルを参照して各色が各印刷装置および印刷条件における各色域の境界から色域の内側へ向けた所定の色差以内にある特定の領域に存在するか否かを示す色域境界情報を取得する色域境界情報取得機能と、
上記色域境界情報を参照して各色が上記特定の領域外であって色補正プロファイルを作成する対象となる複数の印刷装置および印刷条件での各色域に共通する所定色空間内の共通領域に存在するか否かを示す共通領域情報を取得する共通領域情報取得機能と、
上記共通領域外に相当する上記特定の色を補正対象色として特定する補正対象色特定機能と、
同補正対象色およびその周辺の複数の色について上記各印刷装置および印刷条件での印刷を実行させる印刷機能と、
同印刷機能における各印刷結果の中で互いに同等の色を示す同等色情報を取得する同等色情報取得機能と、
印刷装置および印刷条件のそれぞれにおいて上記同等色情報が示す色と上記特定の色とを対応づけた色補正プロファイルを生成する色補正プロファイル生成機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする色補正プロファイル作成プログラム。
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