JP2004235822A - 同期追従回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の同期追従回路の低速又は高速フェージング下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる同期追従回路を提供する。
【解決手段】位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応して高速フェージング環境下では位相差平均化時間を長くし、低速フェージング環境下では位相差平均化時間を短くして、平均化部に出力する平均化制御部と、比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有する同期追従回路である。
【選択図】 図1
【解決手段】位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応して高速フェージング環境下では位相差平均化時間を長くし、低速フェージング環境下では位相差平均化時間を短くして、平均化部に出力する平均化制御部と、比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有する同期追従回路である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散通信に基づくCDMA移動通信方式の受信機で用いられる主要技術である同期追従回路に係り、特に移動速度に応じて同期追従性能を向上できる同期追従回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、スペクトル拡散技術は符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)を用いたデジタル移動通信をはじめ、様々な分野に利用されるようになってきている。このスペクトル拡散技術を用いた通信では、送信器側で疑似ランダムな符号系列(拡散符号)を用いて変調を行い、受信器側での復調処理において、送信側と同一の符号系列および同一の位相を用いて復調を行う必要がある。すなわち、スペクトル拡散通信を行う場合には、受信側で拡散符号の同期をとらなければならない。
【0003】
この符号同期には、同期捕捉と同期追従(又は同期保持、同期追跡とも言う)の2つの段階があり、同期捕捉とは、通信の最初に同期状態を確立するものであり、同期追従は、同期確立後にその同期状態が変調や雑音の影響で失われないように監視・修正を行って同期を維持するものである。
一般的に同期捕捉は、マッチドフィルタやスライディング相関器を用いて、受信信号と拡散符号の相関ピークを見つけることにより、同期位相を求める作業である。
【0004】
また、同期追従の代表的な回路としては、遅延ロックループ(Delay Locked Loop:DLL)回路と呼ばれる回路が用いられている。DLL回路では、同期位相に対して、若干進んだ位相の系列(Early)と若干遅れた位相の系列(Late)の2つの系列により逆拡散を行い、この2つの逆拡散シンボルの絶対値の差を求め、その値によって系列の位相を制御する回路であり、マルチパス環境下や高速移動時におけるRAKE受信を効率的に行うために、受信タイミングを正確に捕捉できる技術である。
【0005】
ここで、従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路について図3を使って説明する。図3は、従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路の構成ブロック図である。従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路は、Main相関器1と、Late相関器2と、Early相関器3と、電力化部20及び電力化部21と、減算器22と、平均化部23と、拡散符号発生部16′と、遅延器17と、遅延器18とから構成されている。
【0006】
従来のDLL回路の各部について説明する。Main相関器1は、オーバサンプリングレートで動作し、複素受信ベースバンド信号と入力される拡散符号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果を出力する相関器である。
【0007】
Late相関器2は、オーバサンプリングレートで動作し、Main相関器1に供給される基準位相の拡散符号に対して位相の遅れたLate拡散符号で、複素受信ベースバンド信号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果(Late複素相関値)を出力する相関器である。Early相関器3は、オーバサンプリングレートで動作し、Main相関器1に供給される基準位相の拡散符号に対して位相の進んだEarly拡散符号で、複素受信ベースバンド信号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果(Early複素相関値)を出力する相関器である。
【0008】
電力化部20は、Late相関器2からのLate複素相関値を電力化し、Late相関電力値を出力する電力化部である。電力化部21は、Early相関器3からのEarly複素相関値を電力化し、Early相関電力値を出力する電力化部である。
【0009】
減算器22は、電力化部20が出力するLate相関電力値と電力化部21が出力するEarly相関電力値との差分を求め、相関電力差を出力する減算器である。平均化部23は、減算器22からの相関電力差を平均化し、平均化された相関電力差を出力するもので、相関電力差には誤差成分が含まれているため、平均化することによって雑音による急峻な変動を低減するためのものである。
【0010】
拡散符号発生部16′は、平均化部23からの平均化された相関電力差を入力し、相関電力差の大小関係により同期ずれを検出して、相関電力差を打ち消すように拡散符号の発生位相を1サンプル単位で補正しながら、拡散符号を発生させて出力するものである。遅延器17は、拡散符号発生部16′から出力される拡散符号を1サンプル遅延させて出力するものである。遅延器18は、遅延器17で1サンプル遅延された拡散符号を更に1サンプル遅延させて出力するものである。
【0011】
従来のDLL回路の動作は、拡散符号発生部16′で発生された拡散符号がEarly拡散符号としてEarly相関器3に供給されて、Early相関器3で複素受信信号との相関が取られてEarly複素相関値が出力され、電力化部21で電力化されてEarly相関電力値が出力される。
【0012】
一方、拡散符号発生部16′で発生された拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延され、更に遅延器18で1サンプル遅延されてLate拡散符号としてLate相関器2に供給されて、Late相関器2で複素受信信号との相関が取られてLate複素相関値が出力され、電力化部20で電力化されてLate相関電力値が出力される。
【0013】
電力化部20からのLate相関電力値と電力化部21からのEarly相関電力値は、減算器22で減算されて相関電力差が出力され、平均化部23で平均化されて平均化された相関電力差が出力され、拡散符号発生部16′で相関電力差の大小関係により同期ずれが検出されて、相関電力差を打ち消すように拡散符号の発生位相がサンプル単位で補正されながら、拡散符号が発生されて出力されるようになっている。
【0014】
上記動作のフィードバック制御によって発生位相が補正されて拡散符号発生部16′から出力される拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延されて基準位相の拡散符号としてMain相関器1に供給され、Main相関器1で複素受信信号との相関が取られ、相関結果が逆拡散された受信信号として出力されるようになっている。
【0015】
そして、CDMA移動通信方式の受信機では、上記従来のDLL回路がRAKE受信フィンガ毎に用意されて、独立にチップ同期を保持するようにパスを追従するようになっていた。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−313590号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のDLL回路を用いた同期追従回路では、低速のフェージング環境下においては、長区間に渡り受信レベルの落ち込みが発生するために既存パスが消失して、実際には位相ずれを起こしていないにも関わらず拡散符号の発生位相を補正してしまうような位相の誤制御が発生するという問題点があった。
【0018】
また、高速のフェージング環境下においては、同期保持限界を超えた際にサンプルずれ(スリップ)を引き起こし、S/N比が高い通信状態が良好な領域においても、同期追従不能による誤りが発生するエラーフロア現象が発生するという問題点があった。
【0019】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、低速又は高速フェージング下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる同期追従回路を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、前記基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、前記基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、前記位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、前記算出された閾値と前記平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、前記位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、前記移動速度推定値に対応して高速フェージング環境下では位相差平均化時間を長くし、低速フェージング環境下では位相差平均化時間を短くして、前記平均化部に出力する平均化制御部と、前記比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有することを特徴とする
【0021】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、同期追従回路において、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、
進み相関値と遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、算出された閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有するものなので、位相状態情報から移動速度を推定し、推定された移動速度に基づく平均化時間で位相差の平均化を行うことによって、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められ、それによって、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができる。
【0022】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、同期追従回路において、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、
進み相関値と遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、算出された閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定して、移動速度推定値を出力すると共に、推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、移動速度推定部からの位相制御サンプル数の単位で、比較器からの位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有するものなので、位相状態情報から移動速度を推定し、推定された移動速度に基づく平均化時間で位相差の平均化を行い、更に推定された移動速度に基づく位相制御サンプル数の単位で拡散符号の発生位相を制御することによって、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速移動の場合に短時間で同期追従することができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0024】
上位概念的に説明すれば、本発明に係る同期追従回路は、基準位相より進んだ拡散符号による進み相関値と基準位相より遅れた拡散符号による遅れ相関値との位相差を求め、移動速度に応じて制御される平均化時間で平均化を行い、進み相関値と遅れ相関値との位相和に基づく閾値と平均化された位相差との比較によって位相ずれを検出し、検出した位相ずれから移動速度を推定し、更に推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して、位相制御サンプル数の単位で拡散符号の発生位相を制御するものなので、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できるものである。
【0025】
機能実現手段で説明すれば、本発明に係る同期追従回路は、基準位相より進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相より遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、進み相関値と前記遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される移動速度に応じて制御される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定して、移動速度推定値を出力すると共に、推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、位相制御サンプル数の単位で、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有し、移動速度に応じた位相差の平均化時間を制御し、更に移動速度に応じて位相制御サンプル数を制御するものなので、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できるものである。
【0026】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1の各部との対応を示すと基準相関値取得手段は、拡散符号発生部16、遅延器17,Main相関器1に相当し、進み相関値取得手段は、拡散符号発生部16、Early相関器3,複素乗算器5,同相化誤差補正部7に相当し、遅れ相関値取得手段は、拡散符号発生部16、遅延器17,遅延器18,Late相関器2,複素乗算器4,同相化誤差補正部6に相当し、閾値取得手段は、加算器8,平均化部10,乗算器12に相当している。
【0027】
本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成について、図1を使って説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成ブロック図である。尚、図3と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。本実施の形態のに係る同期追従回路は、図1に示すように、従来のDLL回路と同様の部分として、Main相関器1と、Late相関器2と、Early相関器3と、遅延器17と、遅延器18とから構成され、更に本発明の特徴部分として、複素乗算器4,5と、同相化誤差補正部6,7と、加算器8,9と、平均化部10,11と、乗算器12と、比較器13と、移動速度推定部14と、平均化制御部15と、拡散符号発生部16とが設けられている。
【0028】
次に、本発明の同期追従回路を構成する各部について説明する。遅延器17、遅延器18は、従来と同様のもので、拡散符号発生部16から出力される拡散符号を1サンプル(オーバサンプル)ずつ遅延させて出力するものである。その結果、遅延器17から出力される拡散符号が基準位相φの拡散符号であり、拡散符号発生部16から出力される拡散符号が基準位相φに対してΔφだけ進んだ(φ+Δφ)のEarly拡散符号であり、遅延器18から出力される拡散符号が基準位相φに対してΔφだけ遅れた(φ−Δφ)のLate拡散符号となる。尚、位相ずれΔφは、拡散符号の1ビット周期/オーバサンプル数となる。
【0029】
Main相関器1、Late相関器2、Early相関器3は、従来と同様のもので、オーバサンプリングレートで動作し、複素受信ベースバンド信号と入力される拡散符号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果を出力する一般的な相関器である。Main相関器1は、基準位相φの拡散符号との相関を取って相関結果を基準相関値として出力し、Late相関器2は、Δφだけ遅れた(φ−Δφ)のLate拡散符号との相関を取ってLate(遅れ)複素相関値を出力し、Early相関器3はΔφだけ進んだ(φ+Δφ)のEarly拡散符号との相関を取ってEarly(進み)複素相関値を出力するものである。
【0030】
複素乗算器4又は複素乗算器5は、Late相関器2からのLate複素相関値、又はEarly相関器3からのEarly複素相関値と、外部から入力される伝送路推定値との複素乗算を行うもので、その結果、入力される複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去し、コヒーレントな相関値を出力するものである。
【0031】
ここで、外部から入力される伝送路推定値とは、共通パイロットチャネル(Common PIlot Channel:CPICH)に一定間隔毎に含まれる既知のパイロット信号を用いて内挿補間などで求めた位相補償量のことで、位相補償量を求める技術は、検波回路等で一般的に実現されているものである。
【0032】
また、同相軸上に帰着するように位相回転を除去するとは、CPICHのシンボルパターン(I,Q)=(0,0)から信号配置図の第一象限(1,1)に伝送路推定値を用いて回転を戻すのではなく、更に45度回転させて、I軸上(√2,0)に回転を戻すことである。これにより、図3に示した従来のDLL回路における電力化部20,21を構成から省くことができるものである。即ち、本発明の同期追従回路では、複素乗算器4及び複素乗算器5の働きによって、Early,Lateの各複素相関値を電力ではなく、振幅で扱うことになる。
【0033】
同相化誤差補正部6及び同相化誤差補正部7は、周波数オフセットの影響により同相軸上に帰着できずに直交軸(Q相)上に漏れこんだ振幅成分を補正するもので、具体的には、入力される複素信号について(I+|Q|)の演算を行うものである。尚、図1に示した同期追従回路では、同相化誤差補正部6からの補正されたコヒーレントなEarly相関値が請求項の進み相関値に相当し、同相化誤差補正部7からの補正されたコヒーレントなLate相関値が請求項の遅れ相関値に相当している。
【0034】
加算器8は、同相化誤差補正部6からの補正されたコヒーレントなEarly相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなLate相関値を加算して位相和(E+L)を出力するものである。減算器9は、同相化誤差補正部6からの補正されたEarly相関値と同相化誤差補正部7からのLate相関値を減算して位相差(E−L)を出力するものである。
【0035】
平均化部10は、加算器8から出力される位相和(E+L)に対して指数重み付け平均化し、平均化位相和(E+L)aveを出力するもので、本発明の特徴部分として、外部から入力される平均化時間にわたって平均化を行うものである。平均化部11は、減算器9から出力される位相差(E−L)に対して指数重み付け平均化し、平均化位相差(E−L)aveを出力するもので、本発明の特徴部分として、外部から入力される平均化時間にわたって平均化を行うものである。
尚、平均化部10又は平均化部11における平均化時間の制御に詳細は、後述する。
【0036】
乗算器12は、平均化部10から出力される平均化位相和(E+L)aveと、外部から入力される規格化係数α(0<α<1)の乗算を行い規格化閾値(E+L)thrを出力するものである。ここで、ここで出力される規格化閾値は、位相制御を行うか否か(位相ずれ有り無し)を判断するための位相差振幅の閾値とする値であり、(E+L)thr=α・(E+L)aveである。尚、規格化係数αの値は、経験的に求められる値であり、具体例については、後述する。
【0037】
比較器13は、乗算器12からの規格化閾値と、平均化部11からの平均化位相差との比較(大小判定)により、位相遅れ(−1)、位相進み(+1)、位相ずれなし(0)の3値判定を行うものであり、位相制御周期毎に判定結果を位相状態情報として出力するものである。
【0038】
ここで、位相和と位相差のレベルに対応する位相制御動作について、図2を使って説明する。図2は、本発明の同期追従回路における位相制御動作原理を示す説明図である。
受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがない(又は位相ずれが小さく位相制御を施す必要がない)場合には、Main系、Late系、Early系の各相関値の関係は、図2(b)に示すように、相関値推移グラフにおけるピークがMainになり、LateとEarlyは、ほぼ同一の値となる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)に近い値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、−Thr≦Early−Late≦Thrの場合には、位相ずれ無し(0)と判断されて、位相制御の必要無しとする。
【0039】
それに対して、受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがあり、位相遅れが発生している場合には、図2(a)に示すように、Main、Late、Earlyの各相関値の関係が左(位相ずれマイナス方向)にずれているので、相関値はLate<Earlyとなる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)より大きい値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、Early−Late>Thrの場合には、位相遅れが発生している(−1)と判断されて、位相遅れを解消する位相制御が必要とする。
【0040】
逆に、受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがあり、位相進みが発生している場合には、図2(c)に示すように、Main、Late、Earlyの各相関値の関係が右(位相ずれプラス方向)にずれているので、相関値はLate>Earlyとなる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)より小さい値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、Early−Late<−Thrの場合には、位相進みが発生している(+1)と判断されて、位相進みを解消する位相制御が必要とする。
【0041】
移動速度推定部14は、位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)から、移動速度を推定して移動速度推定値を出力すると共に、推定した移動速度に応じて1回の位相制御で変動させるサンプル数(位相制御サンプル数)を決定して出力するものである。
【0042】
ここで、移動速度の推定方法は、位相制御周期毎に位相遅れ、位相進み、位相ずれなしのそれぞれの回数をカウントし、位相遅れ回数(又は位相進み回数)と位相ずれなし回数の制御比率を長区間で平均化して移動速度を推定するものである。具体的には、位相ずれなしの回数に対して位相遅れ(又は位相進み)の回数が多いと、移動速度は速いと推定できるし、位相ずれなしの回数に対して位相遅れ(又は位相進み)の回数が少ないと、移動速度は遅いと推定できる。
【0043】
次に、推定された移動速度に応じた位相制御サンプル数の決定方法について説明する。
従来のDLL回路の拡散符号発生部16′における拡散符号発生の位相制御の単位は、1サンプル(オーバサンプル)であり、拡散符号の1ビット周期/オーバサンプル数となって、遅延器17,18における遅延位相と同様Δφであった。しかし、位相制御周期毎にΔφずつしか制御できないと、高速移動時の位相ずれには追従できない可能性が高い。
【0044】
そこで、本発明では、予め移動速度閾値を設定しておき、例えば、高速移動状況下で推定した移動速度が移動速度閾値を越えた場合には、位相制御サンプル数を△φから例えば2×△φに変更する。逆に低速移動となって移動速度閾値を下回った場合には、2×△φから△φに変更する。
【0045】
このように一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を最小単位の1(×△φ)で固定せず、n(×△φ)(n=1〜オーバサンプル数)として、nの値(位相制御サンプル数)を推定された移動速度のレベルにより決定してする。
【0046】
尚、位相制御サンプル数nは、頻繁に変更すると、拡散符号発生部16における拡散符号発生タイミングの変更動作による発振が発生してしまうので、ある程度の保護段数回連続してから更新するよう制御する。この位相制御サンプル数nの更新タイミングの制御は、移動速度推定部14で行っても良いし、拡散符号発生部16で行っても良い。
【0047】
平均化制御部15は、入力される移動速度推定値からフェージング周波数を求め、それに応じた位相和及び位相差の平均化時間を各々決定し、位相和平均化時間を平均化部10に出力してフィードバックし、また位相差平均化時間を平均化部11に出力してフィードバックするものである。
【0048】
ここで、平均化時間の具体的な制御概念について説明する。通常、移動速度の値からフェージング周波数は一意に求められるものである。即ち、移動速度が速いとフェージングによる受信レベルの変化が急峻で、フェージング周波数は、大きくなり、逆に移動速度が遅いとフェージングによる受信レベルの変化はゆっくりで、フェージング周波数は、小さくなる。
【0049】
そして、フェージング周波数が小さい場合は、受信レベルが長区間にわたってゆっくり落ち込むので、位相差の平均化時間を大きくする必要があり、一方、フェージング周波数が大きい場合には、受信レベルが急峻に落ち込むので、平均化時間は逆に小さくする必要がある。
【0050】
一方、位相和の平均化時間については、位相和が規格化係数を乗算して規格化閾値を決定するために用いられるもので、最終的に位相制御の必要性の有り無しを判断する基準として用いられるという性格から、フェージング周波数の大小に関わらず長区間で平均化することによって、位相和の値のダイナミックな変動成分を減少させたほうがよいことになる。よって、推定された移動速度に応じた位相和の平均化時間の制御は行わず、固定としても良い。
【0051】
尚、位相和、位相差の平均化時間の値は、経験的に求められる値であり、具体例については、後述する。
【0052】
拡散符号発生部16は、比較器13から出力される位相状態情報を受けて、移動速度推定部14から出力される位相制御サンプル数単位で、拡散符号の発生位相を補正しながら、拡散符号を発生させて出力するものである。
【0053】
次に、本発明の同期追従回路における動作について、図1を使って説明する。本発明の同期追従回路では、拡散符号発生部16で発生された拡散符号がEarly拡散符号としてEarly相関器3に供給されて、Early相関器3で複素受信信号との相関が取られてEarly複素相関値が出力され、複素乗算器5で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算が為され、更に同相化誤差補正部7で直交軸上に漏れこんだ振幅成分が補正されて同相成分のみのコヒーレントなEarly相関値が出力される。
【0054】
一方、拡散符号発生部16で発生された拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延され、更に遅延器18で1サンプル遅延されてLate拡散符号としてLate相関器2に供給されて、Late相関器2で複素受信信号との相関が取られてLate複素相関値が出力され、複素乗算器4で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算が為され、更に同相化誤差補正部6で直交軸上に漏れこんだ振幅成分が補正されて同相成分のみのコヒーレントなLate相関値が出力される。
【0055】
同相化誤差補正部6からのコヒーレントなLate相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなEarly相関値は、加算器8で加算されて位相和(E+L)が出力され、平均化部10で平均化制御部15から入力される平均化時間にわたって指数重み付け平均化され、平均化位相和(E+L)aveが出力され、乗算器12で外部から入力される規格化係数αとの乗算が行われて規格化閾値(E+L)thrが出力される。
【0056】
一方、同相化誤差補正部6からのコヒーレントなLate相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなEarly相関値は、減算器9で減算されて位相差(E−L)が出力され、平均化部11で平均化制御部15から入力される平均化時間にわたって指数重み付け平均化され、平均化位相差(E−L)aveが出力される。
【0057】
そして、比較器13において、乗算器12からの規格化閾値と、平均化部11からの平均化位相差との比較で、位相遅れ(−1)、位相進み(+1)、位相ずれなし(0)の3値判定が行われ、位相制御周期毎に判定結果の位相状態情報が出力され、移動速度推定部14及び拡散符号発生部16に入力される。
【0058】
移動速度推定部14では、比較器13から位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)を用いて移動速度が推定されて移動速度推定値が平均化制御部15に出力され、更に推定された移動速度に応じて1回の位相制御で変動させるサンプル数(位相制御サンプル数)が決定されて拡散符号発生部16に出力される。
【0059】
そして、移動速度推定部14から出力される移動速度推定値は平均化制御部15に入力され、平均化制御部15で移動速度推定値からフェージング周波数が求められ、それに応じた位相和及び位相差の平均化時間が各々決定されて、位相和平均化時間が平均化部10にフィードバックされ、位相差平均化時間が平均化部11にフィードバックされるようになっている。
【0060】
この、移動速度に応じた位相和及び位相差の平均化時間制御、特に位相差の平均化時間制御により、移動速度推定部14から出力される移動速度推定値と予め設定された速度閾値を比較し、一定の閾値より速度が遅い場合は低速フェージング環境下と判断し、一定の閾値より速度が速い場合は高速フェージング環境下と判断する。低速フェージング環境下では位相差平均時間を長くし、高速フェージング環境下では位相差平均時間を短くすることで、低速フェージング環境下における、受信レベルの落ち込みにより既存パスが消失して位相誤制御を招くという問題点を解決するものである。
【0061】
また、拡散符号発生部16では、比較器13から位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)がフィードバックされて、位相状態情報に応じて拡散符号の発生位相を制御する際に、移動速度推定部14から入力される位相制御サンプル数の単位で位相を遅らせたり進めたりして補正され、拡散符号の発生位相が制御されながら、拡散符号が発生されて出力されるようになっている。
【0062】
この、移動速度に応じた位相制御サンプル数の制御により、高速フェージング環境下では一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を増やし、低速フェージング環境下では一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を減らすことで、高速フェージング環境下における同期保持限界を超えてサンプルずれを引き起こすという問題点を解決するものである。
【0063】
上記動作のフィードバック制御によって発生位相が補正されて拡散符号発生部16から出力される拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延されて基準位相の拡散符号としてMain相関器1に供給され、Main相関器1で複素受信信号との相関が取られ、相関結果が逆拡散された受信信号として出力されるようになっている。
【0064】
尚、図1に示した構成では、Late相関器2から出力されたLate複素相関値又はEarly相関器3から出力されたEarly複素相関値に対して、各々複素乗算器4,5及び同相化誤差補正部6,7によって、同相軸上に帰着するように位相回転を除去し、同相軸上に帰着できずに直交軸(Q相)上に漏れこんだ振幅成分を補正してLate相関値又はEarly相関値を求めているが、図3に示した従来のDLL回路における電力化部20,21を用いてLate相関値又はEarly相関値を求める構成であっても構わない。
【0065】
本発明の同期追従回路によれば、基準位相より進んだ拡散符号によるEarly相関値と基準位相より遅れた拡散符号によるLate相関値との位相差を平均化部11で平均化し、比較器13において平均化した位相差について閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部14で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、平均化制御部15で推定された移動速度に基づいて、平均化部11における平均化時間を制御するので、移動速度が遅い場合は位相差の平均化時間を長くし、移動速度が速い場合は位相差の平均化時間を長くして、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められ、それによって、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、従来の特に低速フェージング環境下における、受信レベルの落ち込みにより既存パスが消失して位相誤制御を招くという問題点を解決することができる効果がある。
【0066】
また、本発明の同期追従回路によれば、移動速度推定部14で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、拡散符号発生部16では、当該位相制御サンプル数を単位として、比較器13からの位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正するので、移動速度が速い場合は位相制御サンプル数を増やし、移動速度が遅い場合は位相制御サンプル数を減らして、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、特に高速フェージング環境下において短時間で同期追従できるため、従来の高速フェージング環境下おいて同期保持限界を超えてサンプルずれを引き起こすという問題点を解決することができる効果がある。
【0067】
本発明の同期追従回路は、上記2つの移動速度に応じた位相制御により、移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できる効果がある。
【0068】
本発明の同期追従回路では、基準位相より進んだ拡散符号によるEarly相関値及び基準位相より遅れた拡散符号によるLate相関値に対して、複素乗算器4,5で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算を行って、複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去して同相成分のみのコヒーレントな相関値を取得し、当該相関値を用いて位相差及び位相和を求めて拡散符号の位相制御を行うので、従来のDLL回路における電力化部20,21を構成から省いて、構成を簡略化できる効果がある。
【0069】
また、本発明の同期追従回路では、複素乗算器4,5で求めた複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去して同相成分のみのコヒーレントな相関値に対して、更に同相化誤差補正部6,7で直交軸上に漏れこんだ振幅成分を補正するので、取得する相関値の精度を向上して、正確な位相差を取得することができ、その結果正確な位相ずれ判定を行うことができる効果がある。
【0070】
また、本発明の同期追従回路をCDMA移動通信方式の受信機に用いると、マルチパス環境下では低速から高速のフェージングのパスが混在しているので、各々のパスに対してフェージング周波数(移動速度)に応じた平均化処理を施すことにより同期追従性が向上し、その結果RAKE受信が効率よく実行でき、受信機における受信特性を向上できる効果がある。
【発明の効果】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と、遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を平均化部で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で比較器からの位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、拡散符号発生部では、当該位相制御サンプル数を単位として、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正する同期追従回路としているので、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速フェージング下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【0071】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を、平均化部で推定される移動速度に対応する平均化時間で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、平均化制御部で推定された移動速度に基づいて平均化部における平均化時間を制御する同期追従回路としているので、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことによって、特に低速フェージング環境下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【0072】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と、遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を、平均化部で推定される移動速度に対応する平均化時間で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、平均化制御部で推定された移動速度に基づいて平均化部における平均化時間を制御し、拡散符号発生部では、当該位相制御サンプル数を単位として、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正する同期追従回路としているので、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速フェージング下で生じる問題点を解決し、更に移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことによって、特に低速フェージング環境下で生じる問題点を解決し、双方の技術によって移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成ブロック図である。
【図2】本発明の同期追従回路における位相制御動作原理を示す説明図である。
【図3】従来の同期追従回路の構成例である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散通信に基づくCDMA移動通信方式の受信機で用いられる主要技術である同期追従回路に係り、特に移動速度に応じて同期追従性能を向上できる同期追従回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、スペクトル拡散技術は符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)を用いたデジタル移動通信をはじめ、様々な分野に利用されるようになってきている。このスペクトル拡散技術を用いた通信では、送信器側で疑似ランダムな符号系列(拡散符号)を用いて変調を行い、受信器側での復調処理において、送信側と同一の符号系列および同一の位相を用いて復調を行う必要がある。すなわち、スペクトル拡散通信を行う場合には、受信側で拡散符号の同期をとらなければならない。
【0003】
この符号同期には、同期捕捉と同期追従(又は同期保持、同期追跡とも言う)の2つの段階があり、同期捕捉とは、通信の最初に同期状態を確立するものであり、同期追従は、同期確立後にその同期状態が変調や雑音の影響で失われないように監視・修正を行って同期を維持するものである。
一般的に同期捕捉は、マッチドフィルタやスライディング相関器を用いて、受信信号と拡散符号の相関ピークを見つけることにより、同期位相を求める作業である。
【0004】
また、同期追従の代表的な回路としては、遅延ロックループ(Delay Locked Loop:DLL)回路と呼ばれる回路が用いられている。DLL回路では、同期位相に対して、若干進んだ位相の系列(Early)と若干遅れた位相の系列(Late)の2つの系列により逆拡散を行い、この2つの逆拡散シンボルの絶対値の差を求め、その値によって系列の位相を制御する回路であり、マルチパス環境下や高速移動時におけるRAKE受信を効率的に行うために、受信タイミングを正確に捕捉できる技術である。
【0005】
ここで、従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路について図3を使って説明する。図3は、従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路の構成ブロック図である。従来の同期追従回路の代表的な構成例であるDLL回路は、Main相関器1と、Late相関器2と、Early相関器3と、電力化部20及び電力化部21と、減算器22と、平均化部23と、拡散符号発生部16′と、遅延器17と、遅延器18とから構成されている。
【0006】
従来のDLL回路の各部について説明する。Main相関器1は、オーバサンプリングレートで動作し、複素受信ベースバンド信号と入力される拡散符号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果を出力する相関器である。
【0007】
Late相関器2は、オーバサンプリングレートで動作し、Main相関器1に供給される基準位相の拡散符号に対して位相の遅れたLate拡散符号で、複素受信ベースバンド信号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果(Late複素相関値)を出力する相関器である。Early相関器3は、オーバサンプリングレートで動作し、Main相関器1に供給される基準位相の拡散符号に対して位相の進んだEarly拡散符号で、複素受信ベースバンド信号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果(Early複素相関値)を出力する相関器である。
【0008】
電力化部20は、Late相関器2からのLate複素相関値を電力化し、Late相関電力値を出力する電力化部である。電力化部21は、Early相関器3からのEarly複素相関値を電力化し、Early相関電力値を出力する電力化部である。
【0009】
減算器22は、電力化部20が出力するLate相関電力値と電力化部21が出力するEarly相関電力値との差分を求め、相関電力差を出力する減算器である。平均化部23は、減算器22からの相関電力差を平均化し、平均化された相関電力差を出力するもので、相関電力差には誤差成分が含まれているため、平均化することによって雑音による急峻な変動を低減するためのものである。
【0010】
拡散符号発生部16′は、平均化部23からの平均化された相関電力差を入力し、相関電力差の大小関係により同期ずれを検出して、相関電力差を打ち消すように拡散符号の発生位相を1サンプル単位で補正しながら、拡散符号を発生させて出力するものである。遅延器17は、拡散符号発生部16′から出力される拡散符号を1サンプル遅延させて出力するものである。遅延器18は、遅延器17で1サンプル遅延された拡散符号を更に1サンプル遅延させて出力するものである。
【0011】
従来のDLL回路の動作は、拡散符号発生部16′で発生された拡散符号がEarly拡散符号としてEarly相関器3に供給されて、Early相関器3で複素受信信号との相関が取られてEarly複素相関値が出力され、電力化部21で電力化されてEarly相関電力値が出力される。
【0012】
一方、拡散符号発生部16′で発生された拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延され、更に遅延器18で1サンプル遅延されてLate拡散符号としてLate相関器2に供給されて、Late相関器2で複素受信信号との相関が取られてLate複素相関値が出力され、電力化部20で電力化されてLate相関電力値が出力される。
【0013】
電力化部20からのLate相関電力値と電力化部21からのEarly相関電力値は、減算器22で減算されて相関電力差が出力され、平均化部23で平均化されて平均化された相関電力差が出力され、拡散符号発生部16′で相関電力差の大小関係により同期ずれが検出されて、相関電力差を打ち消すように拡散符号の発生位相がサンプル単位で補正されながら、拡散符号が発生されて出力されるようになっている。
【0014】
上記動作のフィードバック制御によって発生位相が補正されて拡散符号発生部16′から出力される拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延されて基準位相の拡散符号としてMain相関器1に供給され、Main相関器1で複素受信信号との相関が取られ、相関結果が逆拡散された受信信号として出力されるようになっている。
【0015】
そして、CDMA移動通信方式の受信機では、上記従来のDLL回路がRAKE受信フィンガ毎に用意されて、独立にチップ同期を保持するようにパスを追従するようになっていた。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−313590号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のDLL回路を用いた同期追従回路では、低速のフェージング環境下においては、長区間に渡り受信レベルの落ち込みが発生するために既存パスが消失して、実際には位相ずれを起こしていないにも関わらず拡散符号の発生位相を補正してしまうような位相の誤制御が発生するという問題点があった。
【0018】
また、高速のフェージング環境下においては、同期保持限界を超えた際にサンプルずれ(スリップ)を引き起こし、S/N比が高い通信状態が良好な領域においても、同期追従不能による誤りが発生するエラーフロア現象が発生するという問題点があった。
【0019】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、低速又は高速フェージング下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる同期追従回路を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、前記基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、前記基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、前記位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、前記算出された閾値と前記平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、前記位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、前記移動速度推定値に対応して高速フェージング環境下では位相差平均化時間を長くし、低速フェージング環境下では位相差平均化時間を短くして、前記平均化部に出力する平均化制御部と、前記比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有することを特徴とする
【0021】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、同期追従回路において、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、
進み相関値と遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、算出された閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有するものなので、位相状態情報から移動速度を推定し、推定された移動速度に基づく平均化時間で位相差の平均化を行うことによって、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められ、それによって、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができる。
【0022】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、同期追従回路において、基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、
進み相関値と遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、算出された閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定して、移動速度推定値を出力すると共に、推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、移動速度推定部からの位相制御サンプル数の単位で、比較器からの位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有するものなので、位相状態情報から移動速度を推定し、推定された移動速度に基づく平均化時間で位相差の平均化を行い、更に推定された移動速度に基づく位相制御サンプル数の単位で拡散符号の発生位相を制御することによって、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速移動の場合に短時間で同期追従することができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0024】
上位概念的に説明すれば、本発明に係る同期追従回路は、基準位相より進んだ拡散符号による進み相関値と基準位相より遅れた拡散符号による遅れ相関値との位相差を求め、移動速度に応じて制御される平均化時間で平均化を行い、進み相関値と遅れ相関値との位相和に基づく閾値と平均化された位相差との比較によって位相ずれを検出し、検出した位相ずれから移動速度を推定し、更に推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して、位相制御サンプル数の単位で拡散符号の発生位相を制御するものなので、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できるものである。
【0025】
機能実現手段で説明すれば、本発明に係る同期追従回路は、基準位相より進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、基準位相より遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、進み相関値と前記遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、進み相関値と遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、位相差を外部から入力される移動速度に応じて制御される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、閾値と平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、位相状態情報から移動速度を推定して、移動速度推定値を出力すると共に、推定された移動速度に対応づけて1回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定して出力する移動速度推定部と、移動速度推定値に対応する位相差の平均化時間を決定して、平均化部に出力する平均化制御部と、位相制御サンプル数の単位で、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有し、移動速度に応じた位相差の平均化時間を制御し、更に移動速度に応じて位相制御サンプル数を制御するものなので、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められて正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、更に移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、その結果移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できるものである。
【0026】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1の各部との対応を示すと基準相関値取得手段は、拡散符号発生部16、遅延器17,Main相関器1に相当し、進み相関値取得手段は、拡散符号発生部16、Early相関器3,複素乗算器5,同相化誤差補正部7に相当し、遅れ相関値取得手段は、拡散符号発生部16、遅延器17,遅延器18,Late相関器2,複素乗算器4,同相化誤差補正部6に相当し、閾値取得手段は、加算器8,平均化部10,乗算器12に相当している。
【0027】
本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成について、図1を使って説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成ブロック図である。尚、図3と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。本実施の形態のに係る同期追従回路は、図1に示すように、従来のDLL回路と同様の部分として、Main相関器1と、Late相関器2と、Early相関器3と、遅延器17と、遅延器18とから構成され、更に本発明の特徴部分として、複素乗算器4,5と、同相化誤差補正部6,7と、加算器8,9と、平均化部10,11と、乗算器12と、比較器13と、移動速度推定部14と、平均化制御部15と、拡散符号発生部16とが設けられている。
【0028】
次に、本発明の同期追従回路を構成する各部について説明する。遅延器17、遅延器18は、従来と同様のもので、拡散符号発生部16から出力される拡散符号を1サンプル(オーバサンプル)ずつ遅延させて出力するものである。その結果、遅延器17から出力される拡散符号が基準位相φの拡散符号であり、拡散符号発生部16から出力される拡散符号が基準位相φに対してΔφだけ進んだ(φ+Δφ)のEarly拡散符号であり、遅延器18から出力される拡散符号が基準位相φに対してΔφだけ遅れた(φ−Δφ)のLate拡散符号となる。尚、位相ずれΔφは、拡散符号の1ビット周期/オーバサンプル数となる。
【0029】
Main相関器1、Late相関器2、Early相関器3は、従来と同様のもので、オーバサンプリングレートで動作し、複素受信ベースバンド信号と入力される拡散符号との相関を取って逆拡散を行い、相関結果を出力する一般的な相関器である。Main相関器1は、基準位相φの拡散符号との相関を取って相関結果を基準相関値として出力し、Late相関器2は、Δφだけ遅れた(φ−Δφ)のLate拡散符号との相関を取ってLate(遅れ)複素相関値を出力し、Early相関器3はΔφだけ進んだ(φ+Δφ)のEarly拡散符号との相関を取ってEarly(進み)複素相関値を出力するものである。
【0030】
複素乗算器4又は複素乗算器5は、Late相関器2からのLate複素相関値、又はEarly相関器3からのEarly複素相関値と、外部から入力される伝送路推定値との複素乗算を行うもので、その結果、入力される複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去し、コヒーレントな相関値を出力するものである。
【0031】
ここで、外部から入力される伝送路推定値とは、共通パイロットチャネル(Common PIlot Channel:CPICH)に一定間隔毎に含まれる既知のパイロット信号を用いて内挿補間などで求めた位相補償量のことで、位相補償量を求める技術は、検波回路等で一般的に実現されているものである。
【0032】
また、同相軸上に帰着するように位相回転を除去するとは、CPICHのシンボルパターン(I,Q)=(0,0)から信号配置図の第一象限(1,1)に伝送路推定値を用いて回転を戻すのではなく、更に45度回転させて、I軸上(√2,0)に回転を戻すことである。これにより、図3に示した従来のDLL回路における電力化部20,21を構成から省くことができるものである。即ち、本発明の同期追従回路では、複素乗算器4及び複素乗算器5の働きによって、Early,Lateの各複素相関値を電力ではなく、振幅で扱うことになる。
【0033】
同相化誤差補正部6及び同相化誤差補正部7は、周波数オフセットの影響により同相軸上に帰着できずに直交軸(Q相)上に漏れこんだ振幅成分を補正するもので、具体的には、入力される複素信号について(I+|Q|)の演算を行うものである。尚、図1に示した同期追従回路では、同相化誤差補正部6からの補正されたコヒーレントなEarly相関値が請求項の進み相関値に相当し、同相化誤差補正部7からの補正されたコヒーレントなLate相関値が請求項の遅れ相関値に相当している。
【0034】
加算器8は、同相化誤差補正部6からの補正されたコヒーレントなEarly相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなLate相関値を加算して位相和(E+L)を出力するものである。減算器9は、同相化誤差補正部6からの補正されたEarly相関値と同相化誤差補正部7からのLate相関値を減算して位相差(E−L)を出力するものである。
【0035】
平均化部10は、加算器8から出力される位相和(E+L)に対して指数重み付け平均化し、平均化位相和(E+L)aveを出力するもので、本発明の特徴部分として、外部から入力される平均化時間にわたって平均化を行うものである。平均化部11は、減算器9から出力される位相差(E−L)に対して指数重み付け平均化し、平均化位相差(E−L)aveを出力するもので、本発明の特徴部分として、外部から入力される平均化時間にわたって平均化を行うものである。
尚、平均化部10又は平均化部11における平均化時間の制御に詳細は、後述する。
【0036】
乗算器12は、平均化部10から出力される平均化位相和(E+L)aveと、外部から入力される規格化係数α(0<α<1)の乗算を行い規格化閾値(E+L)thrを出力するものである。ここで、ここで出力される規格化閾値は、位相制御を行うか否か(位相ずれ有り無し)を判断するための位相差振幅の閾値とする値であり、(E+L)thr=α・(E+L)aveである。尚、規格化係数αの値は、経験的に求められる値であり、具体例については、後述する。
【0037】
比較器13は、乗算器12からの規格化閾値と、平均化部11からの平均化位相差との比較(大小判定)により、位相遅れ(−1)、位相進み(+1)、位相ずれなし(0)の3値判定を行うものであり、位相制御周期毎に判定結果を位相状態情報として出力するものである。
【0038】
ここで、位相和と位相差のレベルに対応する位相制御動作について、図2を使って説明する。図2は、本発明の同期追従回路における位相制御動作原理を示す説明図である。
受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがない(又は位相ずれが小さく位相制御を施す必要がない)場合には、Main系、Late系、Early系の各相関値の関係は、図2(b)に示すように、相関値推移グラフにおけるピークがMainになり、LateとEarlyは、ほぼ同一の値となる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)に近い値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、−Thr≦Early−Late≦Thrの場合には、位相ずれ無し(0)と判断されて、位相制御の必要無しとする。
【0039】
それに対して、受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがあり、位相遅れが発生している場合には、図2(a)に示すように、Main、Late、Earlyの各相関値の関係が左(位相ずれマイナス方向)にずれているので、相関値はLate<Earlyとなる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)より大きい値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、Early−Late>Thrの場合には、位相遅れが発生している(−1)と判断されて、位相遅れを解消する位相制御が必要とする。
【0040】
逆に、受信した複素受信ベースバンド信号と基準位相の拡散符号とに位相ずれがあり、位相進みが発生している場合には、図2(c)に示すように、Main、Late、Earlyの各相関値の関係が右(位相ずれプラス方向)にずれているので、相関値はLate>Earlyとなる。よって位相差(Early−Late)は、0(ゼロ)より小さい値になるはずであり、位相和から求めた閾値Thr=(Early+Late)*αを基準にして、Early−Late<−Thrの場合には、位相進みが発生している(+1)と判断されて、位相進みを解消する位相制御が必要とする。
【0041】
移動速度推定部14は、位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)から、移動速度を推定して移動速度推定値を出力すると共に、推定した移動速度に応じて1回の位相制御で変動させるサンプル数(位相制御サンプル数)を決定して出力するものである。
【0042】
ここで、移動速度の推定方法は、位相制御周期毎に位相遅れ、位相進み、位相ずれなしのそれぞれの回数をカウントし、位相遅れ回数(又は位相進み回数)と位相ずれなし回数の制御比率を長区間で平均化して移動速度を推定するものである。具体的には、位相ずれなしの回数に対して位相遅れ(又は位相進み)の回数が多いと、移動速度は速いと推定できるし、位相ずれなしの回数に対して位相遅れ(又は位相進み)の回数が少ないと、移動速度は遅いと推定できる。
【0043】
次に、推定された移動速度に応じた位相制御サンプル数の決定方法について説明する。
従来のDLL回路の拡散符号発生部16′における拡散符号発生の位相制御の単位は、1サンプル(オーバサンプル)であり、拡散符号の1ビット周期/オーバサンプル数となって、遅延器17,18における遅延位相と同様Δφであった。しかし、位相制御周期毎にΔφずつしか制御できないと、高速移動時の位相ずれには追従できない可能性が高い。
【0044】
そこで、本発明では、予め移動速度閾値を設定しておき、例えば、高速移動状況下で推定した移動速度が移動速度閾値を越えた場合には、位相制御サンプル数を△φから例えば2×△φに変更する。逆に低速移動となって移動速度閾値を下回った場合には、2×△φから△φに変更する。
【0045】
このように一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を最小単位の1(×△φ)で固定せず、n(×△φ)(n=1〜オーバサンプル数)として、nの値(位相制御サンプル数)を推定された移動速度のレベルにより決定してする。
【0046】
尚、位相制御サンプル数nは、頻繁に変更すると、拡散符号発生部16における拡散符号発生タイミングの変更動作による発振が発生してしまうので、ある程度の保護段数回連続してから更新するよう制御する。この位相制御サンプル数nの更新タイミングの制御は、移動速度推定部14で行っても良いし、拡散符号発生部16で行っても良い。
【0047】
平均化制御部15は、入力される移動速度推定値からフェージング周波数を求め、それに応じた位相和及び位相差の平均化時間を各々決定し、位相和平均化時間を平均化部10に出力してフィードバックし、また位相差平均化時間を平均化部11に出力してフィードバックするものである。
【0048】
ここで、平均化時間の具体的な制御概念について説明する。通常、移動速度の値からフェージング周波数は一意に求められるものである。即ち、移動速度が速いとフェージングによる受信レベルの変化が急峻で、フェージング周波数は、大きくなり、逆に移動速度が遅いとフェージングによる受信レベルの変化はゆっくりで、フェージング周波数は、小さくなる。
【0049】
そして、フェージング周波数が小さい場合は、受信レベルが長区間にわたってゆっくり落ち込むので、位相差の平均化時間を大きくする必要があり、一方、フェージング周波数が大きい場合には、受信レベルが急峻に落ち込むので、平均化時間は逆に小さくする必要がある。
【0050】
一方、位相和の平均化時間については、位相和が規格化係数を乗算して規格化閾値を決定するために用いられるもので、最終的に位相制御の必要性の有り無しを判断する基準として用いられるという性格から、フェージング周波数の大小に関わらず長区間で平均化することによって、位相和の値のダイナミックな変動成分を減少させたほうがよいことになる。よって、推定された移動速度に応じた位相和の平均化時間の制御は行わず、固定としても良い。
【0051】
尚、位相和、位相差の平均化時間の値は、経験的に求められる値であり、具体例については、後述する。
【0052】
拡散符号発生部16は、比較器13から出力される位相状態情報を受けて、移動速度推定部14から出力される位相制御サンプル数単位で、拡散符号の発生位相を補正しながら、拡散符号を発生させて出力するものである。
【0053】
次に、本発明の同期追従回路における動作について、図1を使って説明する。本発明の同期追従回路では、拡散符号発生部16で発生された拡散符号がEarly拡散符号としてEarly相関器3に供給されて、Early相関器3で複素受信信号との相関が取られてEarly複素相関値が出力され、複素乗算器5で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算が為され、更に同相化誤差補正部7で直交軸上に漏れこんだ振幅成分が補正されて同相成分のみのコヒーレントなEarly相関値が出力される。
【0054】
一方、拡散符号発生部16で発生された拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延され、更に遅延器18で1サンプル遅延されてLate拡散符号としてLate相関器2に供給されて、Late相関器2で複素受信信号との相関が取られてLate複素相関値が出力され、複素乗算器4で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算が為され、更に同相化誤差補正部6で直交軸上に漏れこんだ振幅成分が補正されて同相成分のみのコヒーレントなLate相関値が出力される。
【0055】
同相化誤差補正部6からのコヒーレントなLate相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなEarly相関値は、加算器8で加算されて位相和(E+L)が出力され、平均化部10で平均化制御部15から入力される平均化時間にわたって指数重み付け平均化され、平均化位相和(E+L)aveが出力され、乗算器12で外部から入力される規格化係数αとの乗算が行われて規格化閾値(E+L)thrが出力される。
【0056】
一方、同相化誤差補正部6からのコヒーレントなLate相関値と同相化誤差補正部7からのコヒーレントなEarly相関値は、減算器9で減算されて位相差(E−L)が出力され、平均化部11で平均化制御部15から入力される平均化時間にわたって指数重み付け平均化され、平均化位相差(E−L)aveが出力される。
【0057】
そして、比較器13において、乗算器12からの規格化閾値と、平均化部11からの平均化位相差との比較で、位相遅れ(−1)、位相進み(+1)、位相ずれなし(0)の3値判定が行われ、位相制御周期毎に判定結果の位相状態情報が出力され、移動速度推定部14及び拡散符号発生部16に入力される。
【0058】
移動速度推定部14では、比較器13から位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)を用いて移動速度が推定されて移動速度推定値が平均化制御部15に出力され、更に推定された移動速度に応じて1回の位相制御で変動させるサンプル数(位相制御サンプル数)が決定されて拡散符号発生部16に出力される。
【0059】
そして、移動速度推定部14から出力される移動速度推定値は平均化制御部15に入力され、平均化制御部15で移動速度推定値からフェージング周波数が求められ、それに応じた位相和及び位相差の平均化時間が各々決定されて、位相和平均化時間が平均化部10にフィードバックされ、位相差平均化時間が平均化部11にフィードバックされるようになっている。
【0060】
この、移動速度に応じた位相和及び位相差の平均化時間制御、特に位相差の平均化時間制御により、移動速度推定部14から出力される移動速度推定値と予め設定された速度閾値を比較し、一定の閾値より速度が遅い場合は低速フェージング環境下と判断し、一定の閾値より速度が速い場合は高速フェージング環境下と判断する。低速フェージング環境下では位相差平均時間を長くし、高速フェージング環境下では位相差平均時間を短くすることで、低速フェージング環境下における、受信レベルの落ち込みにより既存パスが消失して位相誤制御を招くという問題点を解決するものである。
【0061】
また、拡散符号発生部16では、比較器13から位相制御周期毎に入力される位相状態情報(位相遅れ、位相進み、位相ずれなし)がフィードバックされて、位相状態情報に応じて拡散符号の発生位相を制御する際に、移動速度推定部14から入力される位相制御サンプル数の単位で位相を遅らせたり進めたりして補正され、拡散符号の発生位相が制御されながら、拡散符号が発生されて出力されるようになっている。
【0062】
この、移動速度に応じた位相制御サンプル数の制御により、高速フェージング環境下では一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を増やし、低速フェージング環境下では一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を減らすことで、高速フェージング環境下における同期保持限界を超えてサンプルずれを引き起こすという問題点を解決するものである。
【0063】
上記動作のフィードバック制御によって発生位相が補正されて拡散符号発生部16から出力される拡散符号は、遅延器17で1サンプル遅延されて基準位相の拡散符号としてMain相関器1に供給され、Main相関器1で複素受信信号との相関が取られ、相関結果が逆拡散された受信信号として出力されるようになっている。
【0064】
尚、図1に示した構成では、Late相関器2から出力されたLate複素相関値又はEarly相関器3から出力されたEarly複素相関値に対して、各々複素乗算器4,5及び同相化誤差補正部6,7によって、同相軸上に帰着するように位相回転を除去し、同相軸上に帰着できずに直交軸(Q相)上に漏れこんだ振幅成分を補正してLate相関値又はEarly相関値を求めているが、図3に示した従来のDLL回路における電力化部20,21を用いてLate相関値又はEarly相関値を求める構成であっても構わない。
【0065】
本発明の同期追従回路によれば、基準位相より進んだ拡散符号によるEarly相関値と基準位相より遅れた拡散符号によるLate相関値との位相差を平均化部11で平均化し、比較器13において平均化した位相差について閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部14で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、平均化制御部15で推定された移動速度に基づいて、平均化部11における平均化時間を制御するので、移動速度が遅い場合は位相差の平均化時間を長くし、移動速度が速い場合は位相差の平均化時間を長くして、移動速度に起因するフェージング特性に応じた平均化により適正な位相差が求められ、それによって、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことができ、従来の特に低速フェージング環境下における、受信レベルの落ち込みにより既存パスが消失して位相誤制御を招くという問題点を解決することができる効果がある。
【0066】
また、本発明の同期追従回路によれば、移動速度推定部14で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、拡散符号発生部16では、当該位相制御サンプル数を単位として、比較器13からの位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正するので、移動速度が速い場合は位相制御サンプル数を増やし、移動速度が遅い場合は位相制御サンプル数を減らして、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることができ、特に高速フェージング環境下において短時間で同期追従できるため、従来の高速フェージング環境下おいて同期保持限界を超えてサンプルずれを引き起こすという問題点を解決することができる効果がある。
【0067】
本発明の同期追従回路は、上記2つの移動速度に応じた位相制御により、移動速度に関わらず、正確な同期ずれを検出し、高速に同期追従を行うことにより、同期追従性能を向上できる効果がある。
【0068】
本発明の同期追従回路では、基準位相より進んだ拡散符号によるEarly相関値及び基準位相より遅れた拡散符号によるLate相関値に対して、複素乗算器4,5で外部から入力される伝送路推定値との複素乗算を行って、複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去して同相成分のみのコヒーレントな相関値を取得し、当該相関値を用いて位相差及び位相和を求めて拡散符号の位相制御を行うので、従来のDLL回路における電力化部20,21を構成から省いて、構成を簡略化できる効果がある。
【0069】
また、本発明の同期追従回路では、複素乗算器4,5で求めた複素相関値を同相軸上に帰着するように位相回転を除去して同相成分のみのコヒーレントな相関値に対して、更に同相化誤差補正部6,7で直交軸上に漏れこんだ振幅成分を補正するので、取得する相関値の精度を向上して、正確な位相差を取得することができ、その結果正確な位相ずれ判定を行うことができる効果がある。
【0070】
また、本発明の同期追従回路をCDMA移動通信方式の受信機に用いると、マルチパス環境下では低速から高速のフェージングのパスが混在しているので、各々のパスに対してフェージング周波数(移動速度)に応じた平均化処理を施すことにより同期追従性が向上し、その結果RAKE受信が効率よく実行でき、受信機における受信特性を向上できる効果がある。
【発明の効果】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と、遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を平均化部で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で比較器からの位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、拡散符号発生部では、当該位相制御サンプル数を単位として、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正する同期追従回路としているので、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速フェージング下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【0071】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を、平均化部で推定される移動速度に対応する平均化時間で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、平均化制御部で推定された移動速度に基づいて平均化部における平均化時間を制御する同期追従回路としているので、移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことによって、特に低速フェージング環境下で生じる問題点を解決し、移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【0072】
本発明によれば、進み相関値取得手段で取得した進み相関値と、遅れ相関値取得手段で取得した遅れ相関値との位相差を、平均化部で推定される移動速度に対応する平均化時間で平均化し、比較器で平均化した位相差と位相和に基づく閾値との閾値判定を行って、位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの位相状態情報を求め、移動速度推定部で位相状態情報を用いて移動速度を推定し、更に推定された移動速度に応じて一回の位相制御で変動させる位相制御サンプル数を決定し、平均化制御部で推定された移動速度に基づいて平均化部における平均化時間を制御し、拡散符号発生部では、当該位相制御サンプル数を単位として、位相状態情報に従って拡散符号の発生位相を補正する同期追従回路としているので、移動速度に応じたスピードで適切な基準同期位相に追従させることによって、特に高速フェージング下で生じる問題点を解決し、更に移動速度に関わらず正確な位相ずれ(同期ずれ)の検出を行うことによって、特に低速フェージング環境下で生じる問題点を解決し、双方の技術によって移動速度に応じた制御を施すことにより、移動速度に関わらず同期追従性能を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る同期追従回路の構成ブロック図である。
【図2】本発明の同期追従回路における位相制御動作原理を示す説明図である。
【図3】従来の同期追従回路の構成例である。
Claims (1)
- 基準位相の拡散符号による基準相関値を取得する基準相関値取得手段と、
前記基準位相の拡散符号に対して位相の進んだ拡散符号による進み相関値を取得する進み相関値取得手段と、前記基準位相の拡散符号に対して位相の遅れた拡散符号による遅れ相関値を取得する遅れ相関値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を加算した位相和に基づく閾値を算出する閾値取得手段と、前記進み相関値と前記遅れ相関値を減算して位相差を出力する減算器と、前記位相差を外部から入力される平均化時間で重み付け平均化する平均化部と、前記算出された閾値と前記平均化された位相差との比較により位相遅れ、位相進み、位相ずれなしの3値判定を行って判定結果を位相状態情報として出力する比較器と、前記位相状態情報から移動速度を推定し、移動速度推定値を出力する移動速度推定部と、前記移動速度推定値に対応して高速フェージング環境下では位相差平均化時間を長くし、低速フェージング環境下では位相差平均化時間を短くして、前記平均化部に出力する平均化制御部と、前記比較器からの位相状態情報に従って1サンプル数単位で拡散符号の発生位相を制御しながら拡散符号を出力する拡散符号発生部とを有することを特徴とする同期追従回路。
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JP (1) | JP2004235822A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4827845B2 (ja) * | 2005-07-29 | 2011-11-30 | パナソニック株式会社 | マルチキャリア通信における無線通信基地局装置、無線通信移動局装置、および、パイロット信号系列割当方法 |
JP2015507402A (ja) * | 2011-12-16 | 2015-03-05 | クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated | 選択可能な電力モードを有するデバイスにおける電力節約技術 |
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2003
- 2003-01-29 JP JP2003020189A patent/JP2004235822A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4827845B2 (ja) * | 2005-07-29 | 2011-11-30 | パナソニック株式会社 | マルチキャリア通信における無線通信基地局装置、無線通信移動局装置、および、パイロット信号系列割当方法 |
JP2015507402A (ja) * | 2011-12-16 | 2015-03-05 | クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated | 選択可能な電力モードを有するデバイスにおける電力節約技術 |
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