JP2004234463A - A/d変換データ入力システム - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力を極力低減しつつ、マイコンの外部に設けたA/D変換器を用いてA/D変換データを入力する。
【解決手段】マイコン2内に設けられたポートサンプリング回路9は、CPU5に代わってA/D変換器3を制御して変換データDcを入力するので、CPU5がスリープモードにある期間、CPU5はA/D変換器3への信号出力処理や入力サンプリング処理のために周期的にウェイクアップする必要がない。また、ポートサンプリング回路9は、サンプリングしてデータレジスタ15に格納された変換データDcと予め期待値データレジスタ18に設定された期待値データDeとを比較し、両データが不一致となった場合にウェイクアップ信号WKUPを出力するので、CPU5がスリープした状態でデータを監視できる。
【選択図】 図1
【解決手段】マイコン2内に設けられたポートサンプリング回路9は、CPU5に代わってA/D変換器3を制御して変換データDcを入力するので、CPU5がスリープモードにある期間、CPU5はA/D変換器3への信号出力処理や入力サンプリング処理のために周期的にウェイクアップする必要がない。また、ポートサンプリング回路9は、サンプリングしてデータレジスタ15に格納された変換データDcと予め期待値データレジスタ18に設定された期待値データDeとを比較し、両データが不一致となった場合にウェイクアップ信号WKUPを出力するので、CPU5がスリープした状態でデータを監視できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低消費電力動作モードで動作可能なマイクロコンピュータとその外部に設けられたA/D変換器とから構成されるA/D変換データ入力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1、2には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称す)の消費電力を低減する技術が開示されている。特許文献1に記載されたプロセッサは、その動作モードに応じてMOSトランジスタにより構成されるプロセッサ回路の基板バイアスを制御することにより高速動作かつ低消費電力を実現している。また、特許文献2に記載された入力回路は、マイコンの入力ポートに用いられるもので、当該入力ポートに接続されたスイッチ手段がオンした場合にそのオン信号を維持するとともに、間欠的にキャンセル信号を与えるようになっている。この場合、キャンセル信号を与えている時以外の消費電流を低減できる。
【0003】
なお、本願出願人は、先に出願した特願2002−094373号において、マイクロコンピュータのポート入力におけるCPUの負担を軽減する手段としてポートサンプリング回路を提案している。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第WO98/22863号パンフレット
【0005】
【特許文献2】
特開2001−109734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば車載電子制御装置に用いられるマイコンは、車載バッテリを電源として動作する。しかし、バッテリの容量は限られているため、マイコンの消費電力は制限を受けることになる。特にイグニッションスイッチがオフされた車両放置時にはバッテリが充電されることがないため、車載電子制御装置の消費電力を極力低減する必要があり、そのためCPUなど消費電力が大きい回路部分は低消費電力動作モード(スタンバイモード)とされる。
【0007】
一方において、車載電子制御装置に用いられるマイコンは、センサなどから多数のアナログ信号を入力しなければならない。CPUが通常動作モードにある場合は勿論であるが、低消費電力動作モードにある場合でも幾つかのアナログ信号を入力し監視することが必要である。このため、従来構成のマイコンのCPUは、たとえ低消費電力動作モードであっても、一定時間ごとに一時的に低消費電力動作モードから通常動作モードに復帰し、A/D変換器を動作させてデジタルデータを読み込む必要があった。しかし、たとえ一時的ではあっても間欠的にCPUが通常動作モードで動作すると、消費電力を十分に低減することができないため、更なる低消費電力化の一つの障害となっていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、消費電力を極力低減しつつ、マイコンの外部に設けたA/D変換器を用いてA/D変換データを入力することができるA/D変換データ入力システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、マイクロコンピュータ(マイコン)は、ポートサンプリング回路と称す回路を備えている。このポートサンプリング回路は、上述した特願2002−094373号に記載した回路構成と類似するもので、CPUが低消費電力動作モードにある場合であっても動作可能となっている。マイコンの外部には、変換制御信号に従ってA/D変換を実行し、変換終了後にマイコンの入力ポートに対しデジタルデータを出力するA/D変換器が設けられている。
【0010】
上記ポートサンプリング回路は、CPUが低消費電力動作モードにある場合において、入力ポートに与えられるA/D変換器からのデジタルデータ(変換データ)を予めCPU等により設定された条件に基づいて周期的にサンプリングデータレジスタにセットするので、CPUは、入力ポートのサンプリング処理のために周期的にウェイクアップ(通常動作モードに移行)する必要がなく低消費電力動作モードを維持できる。勿論、CPUが通常動作モードにある場合においてポートサンプリング回路を機能させてもよい。
【0011】
外部のA/D変換器が変換を実行するためには、変換制御信号が必要となる。そこで、ポートサンプリング回路は、CPUとは独立して出力ポートから変換制御信号を一時的にまたは周期的に出力する。これにより、マイコンは、CPUが低消費電力動作モードの状態を維持していても、A/D変換器の変換動作を制御することができる。
【0012】
さらに、ポートサンプリング回路は、サンプリングデータと予め設定された期待値データとを比較し、両データが所定の関係(例えば一致、不一致、所定範囲内、所定範囲外)となった場合にCPUに対し低消費電力動作モードから通常動作モードへの移行信号を出力するので、CPUは、この比較動作をするために周期的にウェイクアップする必要がなく低消費電力動作モードを維持できる。
【0013】
このようにポートサンプリング回路は、入出力ポートを介したデータの入出力およびデータの比較という限られた機能のみを持ち、ハードウェアで構成されているので、消費電力が非常に小さい構成とすることができる。そして、マイコンの持つ多くの機能のうちアナログ信号に関する監視機能のみを残して動作不要となった場合には、ポートサンプリング回路がCPUに代わって当該監視を実行するため、CPUを低消費電力動作モードに維持し続けることできる。CPUは、マイコンの中でも特に消費電力が大きいため、本システムを用いることにより消費電力を極力低減しつつA/D変換データを入力、監視することができる。
【0014】
請求項2に記載した手段によれば、A/D変換器も、外部から与えられるスタンバイ信号に応じて通常動作モードまたは低消費電力動作モードで動作する。この場合、A/D変換器は変換制御信号に加えスタンバイ信号が必要となるが、遅延手段がスタンバイ信号を遅延させて変換制御信号を生成するので、マイコンはA/D変換器を制御するために1つの出力ポートだけを備えればよい。そして、本手段では、マイコン側から次の変換制御信号が来るまでの間、A/D変換器も低消費電力動作モードに移行するので、マイコンとA/D変換器とが協調した低消費電力制御を実現でき、システム全体としての消費電力を一層低減することができる。
【0015】
請求項3に記載した手段によれば、遅延手段は受動素子により構成されているので、能動素子を用いる場合に比べ消費電力を低減できる。
【0016】
請求項4に記載した手段によれば、請求項2と同様に、A/D変換器は低消費電力動作モードで動作可能となる。本手段では、必要となる変換制御信号とスタンバイ信号とをマイコンが直接出力する。出力ポートは2つ必要となるが、外部の遅延手段は不要となる。本手段によっても、システム全体としての消費電力を低減することができる。
【0017】
請求項5に記載した手段によれば、ポートサンプリング回路は、サンプリングデータと期待値データとが異なったことを条件として移行信号を出力するので、期待値データに対するサンプリングデータの変化を検出できる。
【0018】
請求項6に記載した手段によれば、A/D変換器とマイコンとは、A/D変換データをパラレルのデータ形式で受け渡す。マイコンは、少なくともそのビット数以上の入力ポートを備えることにより、パラレルデータを同時にサンプリングすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るA/D変換データ入力システムを、車両(自動車)のボディ用ECU(Electronic Control Unit) に適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、ECU内の基板上に搭載されたマイクロコンピュータシステムの電気的構成を示している。このマイクロコンピュータシステム1(A/D変換データ入力システムに相当)は、ワンチップマイクロコンピュータ(マイコン)2と、このマイコン2に対し外付けされたA/D変換器3および遅延回路4とから構成されている。
【0020】
マイコン2は、CPU5を中心として構成され、その周辺回路としてメイン発振回路6、クロック制御回路7、CR発振回路8、ポートサンプリング回路9などを備えている。メイン発振回路6は、マイコン2の外部に接続される水晶発振子10を発振させてCPU5にクロック信号(システムクロック)を供給するものである。CR発振回路8は、マイコン2に電源が供給されている間、発振し続ける。
【0021】
クロック制御回路7は、CPU5によりアドレスバス11およびデータバス12を介してスリープ/ストップモードを開始させる指令が与えられると、メイン発振回路6に対してクロック停止信号を出力し、メイン発振回路6によるクロック信号の出力を停止させ、CPU5を通常動作モードからスリープ/ストップモード(低消費電力動作モードに相当)に設定するようになっている。また、クロック制御回路7は、ポートサンプリング回路9がウェイクアップ信号WKUPを出力すると、上記クロック停止信号の出力を中止してメイン発振回路6によるクロック信号の出力を再開させるようになっている。
【0022】
ここで、スリープモードとは、一旦移行した後クロック制御回路7に内蔵されているタイマにより所定時間(例えば5秒)が経過すると自動的に解除されるモードを言う。また、ストップモードとは、一旦移行すると外部においてウェイクアップ要因(ウェイクアップ信号WKUPなど)が発生するまで解除されないモードを言う。何れもCPU5の持っている機能のうち多くの機能(例えばポート入出力機能)を停止させることにより消費電力の低減を図るモードである。
【0023】
ポートサンプリング回路9は、ハードウェアで構成されており、CPU5の動作モードが通常動作モードにある場合およびスリープ/ストップモードにある場合において動作し続ける。ポートサンプリング回路9の入力制御部13は、CPU5によって予め設定された条件に基づいて、入力ポート14a〜14dに与えられるA/D変換器3からのA/D変換データ(以下、変換データDcと称す)を周期的にサンプリングし、それをCPU5が読み出し可能なデータレジスタ15にセットするものである。
【0024】
ポートサンプリング回路9の出力制御部16は、上記サンプリングタイミングに同期して出力ポート17からA/D変換器3に対するスタンバイ信号STBYを周期的に出力するようになっている。この場合、出力ポート17のLレベルからHレベルへの変化時点(後述するA/D変換器3のスタンバイモード解除時点:図3に示す時刻t1)から入力ポート14a〜14dのサンプリング時点(図3に示す時刻t4)までの時間をCPU5により設定することができるようになっている。
【0025】
さらに、ポートサンプリング回路9には、期待値データレジスタ18と比較回路19が設けられている。期待値データレジスタ18には、CPU5によって期待値データDeが書き込まれるようになっている。また、比較回路19は、データレジスタ15内に格納された変換データDcと期待値データレジスタ18に書き込まれた期待値データDeとを比較し、1ビットでも異なっている場合にはウェイクアップ信号WKUPを出力するようになっている。このウェイクアップ信号WKUPは、上記クロック制御回路7とCPU5に与えられる。スリープ/ストップモードにあるCPU5は、ウェイクアップ信号WKUPが入力されると通常動作モードに復帰するようになっている。
【0026】
一方、ICとして構成されているA/D変換器3は、クロック発振回路、トラック/ホールド回路、基準電圧発生回路、逐次比較A/D変換回路、出力制御回路、動作モード制御回路など(何れも図示せず)を備えている。図1では4ビットの分解能を有するものとして示しているが、更に多くのビット数を有するものであってもよい。そして、外部から与えられる変換スタート信号CONV(変換制御信号に相当)がLレベルからHレベルになると、例えば温度センサからの信号電圧VinをホールドしてA/D変換を開始する。変換中は、内部の変換フラグがHレベルとなっており、変換が終了すると変換データDc(=D0〜D3)がパラレルに出力されるようになっている。
【0027】
このA/D変換器3も、A/D変換を実行可能な通常動作モードの他に、低消費電力動作モード(スタンバイモード)で動作可能となっている。両モードの切り替えは、外部から与えられるスタンバイ信号STBYにより行われる。すなわち、スタンバイ信号STBYがLレベルの場合にはスタンバイモードとなって消費電流は例えば20μA程度にまで低減し、スタンバイ信号STBYがHレベルの場合には通常動作モードとなって消費電流は例えば3mA程度となる。変換スタート信号CONVをLレベルからHレベルにするのに先立ってスタンバイ信号STBYをHレベルにしておく必要がある。
【0028】
遅延回路4(遅延手段に相当)は、LCなどの受動素子から構成されており、変換スタート信号CONVを入力し、それに対し遅延時間Tdだけ遅れたスタンバイ信号STBYを出力するようになっている。受動素子の構成とすることにより、消費電力を抑える効果が期待できる。
【0029】
次に、本実施形態の作用について図2ないし図5も参照しながら説明する。 ボディ用ECUに搭載されたマイコン2内部のCPU5は、車両のイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされている場合には通常動作モードとされ、車両放置時などイグニッションスイッチがオフされている場合には、消費電力を低減するためスリープモードとされる。しかし、イグニッションスイッチがオフの状態であっても、ボディ用ECUは幾つかの信号例えば特定の温度センサからの信号を監視し続ける必要がある。そして、この信号データが予定(期待)したデータと異なった場合には、直ちに必要な処理を開始しなければならない。
【0030】
ポートサンプリング回路9は、消費電力の大きいCPU5に代わって当該監視を実行する。そのための準備として、CPU5はスリープモードに移行する前に、図4に示す処理を実行する。すなわち、CPU5は、ポートサンプリング回路9のデータレジスタ15から現在の変換データDcを読み出し(ステップS1)、その変換データDcをポートサンプリング回路9の期待値データレジスタ18に書き込む(ステップS2)。これが、今後マイコン2がサンプリングする変換データDcの期待値データDeとなる。
【0031】
続いて、CPU5は、比較回路19の動作(例えば複数回のデータ不一致で始めて不一致とみなすフィルタ動作)を設定する(ステップS3)。そして、ポートサンプリング回路9の入力制御部13による入力ポート14a〜14dのサンプリング間隔Tsを設定し(ステップS4)、さらにポートサンプリング回路9の出力制御部16による出力ポート17からの信号出力時間つまりスタンバイ信号STBYのパルス幅Twを設定する(ステップS5)。以上の処理およびその他必要な処理が終了した後、CPU5は通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0032】
図2は、CPU5がスリープモードに移行した後の、マイコン2の動作状態を示している。CPU5は、5秒(Tsより十分に長い)毎に一時的にスリープモードから通常動作モードに復帰し、所定の処理を実行した後再びスリープモードに移行する。ただし、この定期的な復帰が必要ない場合には、スリープモードに替えてストップモードに移行するようにしてもよい。CPU5がスリープモードにある間、ポートサンプリング回路9は、周期Tsで出力ポート17からA/D変換器3に対しスタンバイ信号STBYを出力し、これに同期してA/D変換器3から変換データDcをポート入力する。そして、変換データDcと期待値データDeとを比較し、1ビットでも異なっている場合にはCPU5をウェイクアップさせる。
【0033】
CPU5がウェイクアップしたときの割込み処理内容は、図5に示す通りである。すなわち、CPU5は、まずウェイクアップ要因を判定し(ステップT1)、上記データの不一致が要因か否かを判断する(ステップT2)。ここで、他の要因である場合には、その要因に関する図示しない処理を実行する。これに対し、変換データDcと期待値データDeとの不一致が要因である(YES)と判断すると、CPU5は、データレジスタ15から変換データDcを読み出して(ステップT3)、その変換データDcを用いて温度監視に関する処理を実行する(ステップT4)。
【0034】
図3は、マイコン2のポートサンプリング回路9とA/D変換器3との間の信号のタイミングを示している。ここに示す信号タイミングは、上述したようにサンプリング間隔Tsをもって周期的に繰り返される。ポートサンプリング回路9の出力制御部16は、まず出力ポート17から出力するスタンバイ信号STBYをLレベルからHレベルにする(時刻t1)。これにより、スタンバイモードにあったA/D変換器3は通常動作モードに移行し、その後スタンバイ信号STBYに対し時間Tdだけ遅れて変換スタート信号CONVがLレベルからHレベルに変化したことによりA/D変換を開始する(時刻t2)。そして、変換が終了すると変換データDc(D0〜D3)を出力する(時刻t3)。
【0035】
ポートサンプリング回路9の入力制御部13は、A/D変換が完了した時刻t3よりも後の時刻t4において、入力ポート14a〜14dに与えられる変換データDc(D0〜D3)をサンプリングし、それをデータレジスタ15に格納する。そして、比較回路19は、変換データDcと期待値データDeとを比較して不一致を条件にウェイクアップ信号WKUPを出力する。
【0036】
一方、出力制御部16は、スタンバイ信号STBYを出力した後時間Twが経過した時刻t5(時刻t4よりも後)においてスタンバイ信号STBYをHレベルからLレベルにする。これにより、A/D変換器3は再びスタンバイモードに移行し、その後時間Tdだけ遅れて変換スタート信号CONVがHレベルからLレベルに戻る(時刻t6)。そして、時刻t1からサンプリング間隔Tsが経過した時刻t7で、再びA/D変換器3が通常動作モードに移行する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のマイクロコンピュータシステム1は、マイコン2が外付けのA/D変換器3を制御して温度などのA/D変換データを収集するシステムである。そして、マイコン2内に設けられたポートサンプリング回路9は、CPU5に代わってA/D変換器3を制御して変換データDcを入力するので、CPU5が低消費電力動作モードにある期間、A/D変換器3への信号出力処理や入力サンプリング処理のためにCPU5自身が周期的にウェイクアップする必要がなくなる。
【0038】
ポートサンプリング回路9は、限られた機能のみを持ちハードウェアで構成されているのでCPU5に比べて消費電力が非常に小さく、CPU5が低消費電力動作モードにある場合および通常動作モードにある場合の何れにおいてもCPU5の処理負担を低減でき、以てシステム全体の消費電力を低減することができる。なお、低消費電力動作モードとしてストップモードを採用すれば、5秒ごとの自動ウェイクアップもなくなるため、さらに消費電力を低減できる。
【0039】
また、ポートサンプリング回路9は、サンプリングした変換データDcと予め設定された期待値データDeとを比較し、両データが不一致となった場合にウェイクアップ信号WKUPを出力するので、マイコン2は、CPU5をスリープモードに維持した状態で温度データなどの監視をすることができる。
【0040】
さらに、A/D変換器3も、マイコン2から与えられるスタンバイ信号STBYに応じて通常動作モードまたは低消費電力となるスタンバイモードで動作可能であって、A/D変換を実行する時だけ通常動作モードに制御されるので、マイコン2とA/D変換器3とが協調した低消費電力制御を実現でき、システム全体としての消費電力を一層低減することができる。
【0041】
この場合、A/D変換器3は変換スタート信号CONVに加えてスタンバイ信号STBYが必要となるが、遅延回路4がスタンバイ信号STBYを遅延させて変換スタート信号CONVを生成するので、マイコン2はA/D変換器3の制御用ポートとして1つの出力ポート17だけを準備すればよい。
【0042】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
期待値データレジスタ18に設定する期待値データDeは、CPU5が低消費電力動作モードに移行する直前の変換データDcに限られず、監視対象とするデータの性質やウェイクアップ条件等に応じて適宜設定すればよい。
比較回路19は、変換データDcと期待値データDeとを比較した結果、複数のビット或いは所定ビットが異なっている場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。また、変換データDcと期待値データDeとが一致した場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。さらに、変換データDcがバイナリ値として期待値データDeよりも大きい場合或いは小さい場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。
【0043】
CPU5が低消費電力動作モードにある場合においてのみポートサンプリング回路9を動作させるように構成してもよい。
遅延回路4を設ける代わりに、マイコン2が変換スタート信号CONVに加えてスタンバイ信号STBYを出力するように構成してもよい。
スタンバイモードを有していないA/D変換器を用いることもでき、その場合には、マイコン2が変換スタート信号CONVを出力するように構成すればよい。
【0044】
遅延回路4は、消費電力を低減するために受動素子で構成することが望ましいが、低消費電力の能動素子を用いて構成してもよい。
マイクロコンピュータシステム1は、ボディ用ECUの制御に限らず他のECUの制御、或いは車両に限らず低消費電力動作が必要とされる種々のシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すマイクロコンピュータシステムの電気的構成図
【図2】スリープモードに移行した後のマイコンの動作状態を示す図
【図3】マイコンのポートサンプリング回路とA/D変換器との間の信号タイミングを示す図
【図4】CPUがスリープモードに移行する前に実行する処理内容を示すフローチャート
【図5】CPUがウェイクアップしたときの処理内容を示すフローチャート
【符号の説明】
1はマイクロコンピュータシステム(A/D変換データ入力システム)、2はマイクロコンピュータ、3はA/D変換器、4は遅延回路(遅延手段)、5はCPU、9はポートサンプリング回路、14a〜14dは入力ポート、17は出力ポートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低消費電力動作モードで動作可能なマイクロコンピュータとその外部に設けられたA/D変換器とから構成されるA/D変換データ入力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1、2には、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称す)の消費電力を低減する技術が開示されている。特許文献1に記載されたプロセッサは、その動作モードに応じてMOSトランジスタにより構成されるプロセッサ回路の基板バイアスを制御することにより高速動作かつ低消費電力を実現している。また、特許文献2に記載された入力回路は、マイコンの入力ポートに用いられるもので、当該入力ポートに接続されたスイッチ手段がオンした場合にそのオン信号を維持するとともに、間欠的にキャンセル信号を与えるようになっている。この場合、キャンセル信号を与えている時以外の消費電流を低減できる。
【0003】
なお、本願出願人は、先に出願した特願2002−094373号において、マイクロコンピュータのポート入力におけるCPUの負担を軽減する手段としてポートサンプリング回路を提案している。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第WO98/22863号パンフレット
【0005】
【特許文献2】
特開2001−109734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば車載電子制御装置に用いられるマイコンは、車載バッテリを電源として動作する。しかし、バッテリの容量は限られているため、マイコンの消費電力は制限を受けることになる。特にイグニッションスイッチがオフされた車両放置時にはバッテリが充電されることがないため、車載電子制御装置の消費電力を極力低減する必要があり、そのためCPUなど消費電力が大きい回路部分は低消費電力動作モード(スタンバイモード)とされる。
【0007】
一方において、車載電子制御装置に用いられるマイコンは、センサなどから多数のアナログ信号を入力しなければならない。CPUが通常動作モードにある場合は勿論であるが、低消費電力動作モードにある場合でも幾つかのアナログ信号を入力し監視することが必要である。このため、従来構成のマイコンのCPUは、たとえ低消費電力動作モードであっても、一定時間ごとに一時的に低消費電力動作モードから通常動作モードに復帰し、A/D変換器を動作させてデジタルデータを読み込む必要があった。しかし、たとえ一時的ではあっても間欠的にCPUが通常動作モードで動作すると、消費電力を十分に低減することができないため、更なる低消費電力化の一つの障害となっていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、消費電力を極力低減しつつ、マイコンの外部に設けたA/D変換器を用いてA/D変換データを入力することができるA/D変換データ入力システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、マイクロコンピュータ(マイコン)は、ポートサンプリング回路と称す回路を備えている。このポートサンプリング回路は、上述した特願2002−094373号に記載した回路構成と類似するもので、CPUが低消費電力動作モードにある場合であっても動作可能となっている。マイコンの外部には、変換制御信号に従ってA/D変換を実行し、変換終了後にマイコンの入力ポートに対しデジタルデータを出力するA/D変換器が設けられている。
【0010】
上記ポートサンプリング回路は、CPUが低消費電力動作モードにある場合において、入力ポートに与えられるA/D変換器からのデジタルデータ(変換データ)を予めCPU等により設定された条件に基づいて周期的にサンプリングデータレジスタにセットするので、CPUは、入力ポートのサンプリング処理のために周期的にウェイクアップ(通常動作モードに移行)する必要がなく低消費電力動作モードを維持できる。勿論、CPUが通常動作モードにある場合においてポートサンプリング回路を機能させてもよい。
【0011】
外部のA/D変換器が変換を実行するためには、変換制御信号が必要となる。そこで、ポートサンプリング回路は、CPUとは独立して出力ポートから変換制御信号を一時的にまたは周期的に出力する。これにより、マイコンは、CPUが低消費電力動作モードの状態を維持していても、A/D変換器の変換動作を制御することができる。
【0012】
さらに、ポートサンプリング回路は、サンプリングデータと予め設定された期待値データとを比較し、両データが所定の関係(例えば一致、不一致、所定範囲内、所定範囲外)となった場合にCPUに対し低消費電力動作モードから通常動作モードへの移行信号を出力するので、CPUは、この比較動作をするために周期的にウェイクアップする必要がなく低消費電力動作モードを維持できる。
【0013】
このようにポートサンプリング回路は、入出力ポートを介したデータの入出力およびデータの比較という限られた機能のみを持ち、ハードウェアで構成されているので、消費電力が非常に小さい構成とすることができる。そして、マイコンの持つ多くの機能のうちアナログ信号に関する監視機能のみを残して動作不要となった場合には、ポートサンプリング回路がCPUに代わって当該監視を実行するため、CPUを低消費電力動作モードに維持し続けることできる。CPUは、マイコンの中でも特に消費電力が大きいため、本システムを用いることにより消費電力を極力低減しつつA/D変換データを入力、監視することができる。
【0014】
請求項2に記載した手段によれば、A/D変換器も、外部から与えられるスタンバイ信号に応じて通常動作モードまたは低消費電力動作モードで動作する。この場合、A/D変換器は変換制御信号に加えスタンバイ信号が必要となるが、遅延手段がスタンバイ信号を遅延させて変換制御信号を生成するので、マイコンはA/D変換器を制御するために1つの出力ポートだけを備えればよい。そして、本手段では、マイコン側から次の変換制御信号が来るまでの間、A/D変換器も低消費電力動作モードに移行するので、マイコンとA/D変換器とが協調した低消費電力制御を実現でき、システム全体としての消費電力を一層低減することができる。
【0015】
請求項3に記載した手段によれば、遅延手段は受動素子により構成されているので、能動素子を用いる場合に比べ消費電力を低減できる。
【0016】
請求項4に記載した手段によれば、請求項2と同様に、A/D変換器は低消費電力動作モードで動作可能となる。本手段では、必要となる変換制御信号とスタンバイ信号とをマイコンが直接出力する。出力ポートは2つ必要となるが、外部の遅延手段は不要となる。本手段によっても、システム全体としての消費電力を低減することができる。
【0017】
請求項5に記載した手段によれば、ポートサンプリング回路は、サンプリングデータと期待値データとが異なったことを条件として移行信号を出力するので、期待値データに対するサンプリングデータの変化を検出できる。
【0018】
請求項6に記載した手段によれば、A/D変換器とマイコンとは、A/D変換データをパラレルのデータ形式で受け渡す。マイコンは、少なくともそのビット数以上の入力ポートを備えることにより、パラレルデータを同時にサンプリングすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るA/D変換データ入力システムを、車両(自動車)のボディ用ECU(Electronic Control Unit) に適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、ECU内の基板上に搭載されたマイクロコンピュータシステムの電気的構成を示している。このマイクロコンピュータシステム1(A/D変換データ入力システムに相当)は、ワンチップマイクロコンピュータ(マイコン)2と、このマイコン2に対し外付けされたA/D変換器3および遅延回路4とから構成されている。
【0020】
マイコン2は、CPU5を中心として構成され、その周辺回路としてメイン発振回路6、クロック制御回路7、CR発振回路8、ポートサンプリング回路9などを備えている。メイン発振回路6は、マイコン2の外部に接続される水晶発振子10を発振させてCPU5にクロック信号(システムクロック)を供給するものである。CR発振回路8は、マイコン2に電源が供給されている間、発振し続ける。
【0021】
クロック制御回路7は、CPU5によりアドレスバス11およびデータバス12を介してスリープ/ストップモードを開始させる指令が与えられると、メイン発振回路6に対してクロック停止信号を出力し、メイン発振回路6によるクロック信号の出力を停止させ、CPU5を通常動作モードからスリープ/ストップモード(低消費電力動作モードに相当)に設定するようになっている。また、クロック制御回路7は、ポートサンプリング回路9がウェイクアップ信号WKUPを出力すると、上記クロック停止信号の出力を中止してメイン発振回路6によるクロック信号の出力を再開させるようになっている。
【0022】
ここで、スリープモードとは、一旦移行した後クロック制御回路7に内蔵されているタイマにより所定時間(例えば5秒)が経過すると自動的に解除されるモードを言う。また、ストップモードとは、一旦移行すると外部においてウェイクアップ要因(ウェイクアップ信号WKUPなど)が発生するまで解除されないモードを言う。何れもCPU5の持っている機能のうち多くの機能(例えばポート入出力機能)を停止させることにより消費電力の低減を図るモードである。
【0023】
ポートサンプリング回路9は、ハードウェアで構成されており、CPU5の動作モードが通常動作モードにある場合およびスリープ/ストップモードにある場合において動作し続ける。ポートサンプリング回路9の入力制御部13は、CPU5によって予め設定された条件に基づいて、入力ポート14a〜14dに与えられるA/D変換器3からのA/D変換データ(以下、変換データDcと称す)を周期的にサンプリングし、それをCPU5が読み出し可能なデータレジスタ15にセットするものである。
【0024】
ポートサンプリング回路9の出力制御部16は、上記サンプリングタイミングに同期して出力ポート17からA/D変換器3に対するスタンバイ信号STBYを周期的に出力するようになっている。この場合、出力ポート17のLレベルからHレベルへの変化時点(後述するA/D変換器3のスタンバイモード解除時点:図3に示す時刻t1)から入力ポート14a〜14dのサンプリング時点(図3に示す時刻t4)までの時間をCPU5により設定することができるようになっている。
【0025】
さらに、ポートサンプリング回路9には、期待値データレジスタ18と比較回路19が設けられている。期待値データレジスタ18には、CPU5によって期待値データDeが書き込まれるようになっている。また、比較回路19は、データレジスタ15内に格納された変換データDcと期待値データレジスタ18に書き込まれた期待値データDeとを比較し、1ビットでも異なっている場合にはウェイクアップ信号WKUPを出力するようになっている。このウェイクアップ信号WKUPは、上記クロック制御回路7とCPU5に与えられる。スリープ/ストップモードにあるCPU5は、ウェイクアップ信号WKUPが入力されると通常動作モードに復帰するようになっている。
【0026】
一方、ICとして構成されているA/D変換器3は、クロック発振回路、トラック/ホールド回路、基準電圧発生回路、逐次比較A/D変換回路、出力制御回路、動作モード制御回路など(何れも図示せず)を備えている。図1では4ビットの分解能を有するものとして示しているが、更に多くのビット数を有するものであってもよい。そして、外部から与えられる変換スタート信号CONV(変換制御信号に相当)がLレベルからHレベルになると、例えば温度センサからの信号電圧VinをホールドしてA/D変換を開始する。変換中は、内部の変換フラグがHレベルとなっており、変換が終了すると変換データDc(=D0〜D3)がパラレルに出力されるようになっている。
【0027】
このA/D変換器3も、A/D変換を実行可能な通常動作モードの他に、低消費電力動作モード(スタンバイモード)で動作可能となっている。両モードの切り替えは、外部から与えられるスタンバイ信号STBYにより行われる。すなわち、スタンバイ信号STBYがLレベルの場合にはスタンバイモードとなって消費電流は例えば20μA程度にまで低減し、スタンバイ信号STBYがHレベルの場合には通常動作モードとなって消費電流は例えば3mA程度となる。変換スタート信号CONVをLレベルからHレベルにするのに先立ってスタンバイ信号STBYをHレベルにしておく必要がある。
【0028】
遅延回路4(遅延手段に相当)は、LCなどの受動素子から構成されており、変換スタート信号CONVを入力し、それに対し遅延時間Tdだけ遅れたスタンバイ信号STBYを出力するようになっている。受動素子の構成とすることにより、消費電力を抑える効果が期待できる。
【0029】
次に、本実施形態の作用について図2ないし図5も参照しながら説明する。 ボディ用ECUに搭載されたマイコン2内部のCPU5は、車両のイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされている場合には通常動作モードとされ、車両放置時などイグニッションスイッチがオフされている場合には、消費電力を低減するためスリープモードとされる。しかし、イグニッションスイッチがオフの状態であっても、ボディ用ECUは幾つかの信号例えば特定の温度センサからの信号を監視し続ける必要がある。そして、この信号データが予定(期待)したデータと異なった場合には、直ちに必要な処理を開始しなければならない。
【0030】
ポートサンプリング回路9は、消費電力の大きいCPU5に代わって当該監視を実行する。そのための準備として、CPU5はスリープモードに移行する前に、図4に示す処理を実行する。すなわち、CPU5は、ポートサンプリング回路9のデータレジスタ15から現在の変換データDcを読み出し(ステップS1)、その変換データDcをポートサンプリング回路9の期待値データレジスタ18に書き込む(ステップS2)。これが、今後マイコン2がサンプリングする変換データDcの期待値データDeとなる。
【0031】
続いて、CPU5は、比較回路19の動作(例えば複数回のデータ不一致で始めて不一致とみなすフィルタ動作)を設定する(ステップS3)。そして、ポートサンプリング回路9の入力制御部13による入力ポート14a〜14dのサンプリング間隔Tsを設定し(ステップS4)、さらにポートサンプリング回路9の出力制御部16による出力ポート17からの信号出力時間つまりスタンバイ信号STBYのパルス幅Twを設定する(ステップS5)。以上の処理およびその他必要な処理が終了した後、CPU5は通常動作モードからスリープモードに移行する。
【0032】
図2は、CPU5がスリープモードに移行した後の、マイコン2の動作状態を示している。CPU5は、5秒(Tsより十分に長い)毎に一時的にスリープモードから通常動作モードに復帰し、所定の処理を実行した後再びスリープモードに移行する。ただし、この定期的な復帰が必要ない場合には、スリープモードに替えてストップモードに移行するようにしてもよい。CPU5がスリープモードにある間、ポートサンプリング回路9は、周期Tsで出力ポート17からA/D変換器3に対しスタンバイ信号STBYを出力し、これに同期してA/D変換器3から変換データDcをポート入力する。そして、変換データDcと期待値データDeとを比較し、1ビットでも異なっている場合にはCPU5をウェイクアップさせる。
【0033】
CPU5がウェイクアップしたときの割込み処理内容は、図5に示す通りである。すなわち、CPU5は、まずウェイクアップ要因を判定し(ステップT1)、上記データの不一致が要因か否かを判断する(ステップT2)。ここで、他の要因である場合には、その要因に関する図示しない処理を実行する。これに対し、変換データDcと期待値データDeとの不一致が要因である(YES)と判断すると、CPU5は、データレジスタ15から変換データDcを読み出して(ステップT3)、その変換データDcを用いて温度監視に関する処理を実行する(ステップT4)。
【0034】
図3は、マイコン2のポートサンプリング回路9とA/D変換器3との間の信号のタイミングを示している。ここに示す信号タイミングは、上述したようにサンプリング間隔Tsをもって周期的に繰り返される。ポートサンプリング回路9の出力制御部16は、まず出力ポート17から出力するスタンバイ信号STBYをLレベルからHレベルにする(時刻t1)。これにより、スタンバイモードにあったA/D変換器3は通常動作モードに移行し、その後スタンバイ信号STBYに対し時間Tdだけ遅れて変換スタート信号CONVがLレベルからHレベルに変化したことによりA/D変換を開始する(時刻t2)。そして、変換が終了すると変換データDc(D0〜D3)を出力する(時刻t3)。
【0035】
ポートサンプリング回路9の入力制御部13は、A/D変換が完了した時刻t3よりも後の時刻t4において、入力ポート14a〜14dに与えられる変換データDc(D0〜D3)をサンプリングし、それをデータレジスタ15に格納する。そして、比較回路19は、変換データDcと期待値データDeとを比較して不一致を条件にウェイクアップ信号WKUPを出力する。
【0036】
一方、出力制御部16は、スタンバイ信号STBYを出力した後時間Twが経過した時刻t5(時刻t4よりも後)においてスタンバイ信号STBYをHレベルからLレベルにする。これにより、A/D変換器3は再びスタンバイモードに移行し、その後時間Tdだけ遅れて変換スタート信号CONVがHレベルからLレベルに戻る(時刻t6)。そして、時刻t1からサンプリング間隔Tsが経過した時刻t7で、再びA/D変換器3が通常動作モードに移行する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のマイクロコンピュータシステム1は、マイコン2が外付けのA/D変換器3を制御して温度などのA/D変換データを収集するシステムである。そして、マイコン2内に設けられたポートサンプリング回路9は、CPU5に代わってA/D変換器3を制御して変換データDcを入力するので、CPU5が低消費電力動作モードにある期間、A/D変換器3への信号出力処理や入力サンプリング処理のためにCPU5自身が周期的にウェイクアップする必要がなくなる。
【0038】
ポートサンプリング回路9は、限られた機能のみを持ちハードウェアで構成されているのでCPU5に比べて消費電力が非常に小さく、CPU5が低消費電力動作モードにある場合および通常動作モードにある場合の何れにおいてもCPU5の処理負担を低減でき、以てシステム全体の消費電力を低減することができる。なお、低消費電力動作モードとしてストップモードを採用すれば、5秒ごとの自動ウェイクアップもなくなるため、さらに消費電力を低減できる。
【0039】
また、ポートサンプリング回路9は、サンプリングした変換データDcと予め設定された期待値データDeとを比較し、両データが不一致となった場合にウェイクアップ信号WKUPを出力するので、マイコン2は、CPU5をスリープモードに維持した状態で温度データなどの監視をすることができる。
【0040】
さらに、A/D変換器3も、マイコン2から与えられるスタンバイ信号STBYに応じて通常動作モードまたは低消費電力となるスタンバイモードで動作可能であって、A/D変換を実行する時だけ通常動作モードに制御されるので、マイコン2とA/D変換器3とが協調した低消費電力制御を実現でき、システム全体としての消費電力を一層低減することができる。
【0041】
この場合、A/D変換器3は変換スタート信号CONVに加えてスタンバイ信号STBYが必要となるが、遅延回路4がスタンバイ信号STBYを遅延させて変換スタート信号CONVを生成するので、マイコン2はA/D変換器3の制御用ポートとして1つの出力ポート17だけを準備すればよい。
【0042】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
期待値データレジスタ18に設定する期待値データDeは、CPU5が低消費電力動作モードに移行する直前の変換データDcに限られず、監視対象とするデータの性質やウェイクアップ条件等に応じて適宜設定すればよい。
比較回路19は、変換データDcと期待値データDeとを比較した結果、複数のビット或いは所定ビットが異なっている場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。また、変換データDcと期待値データDeとが一致した場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。さらに、変換データDcがバイナリ値として期待値データDeよりも大きい場合或いは小さい場合にウェイクアップ信号WKUPを出力する構成としてもよい。
【0043】
CPU5が低消費電力動作モードにある場合においてのみポートサンプリング回路9を動作させるように構成してもよい。
遅延回路4を設ける代わりに、マイコン2が変換スタート信号CONVに加えてスタンバイ信号STBYを出力するように構成してもよい。
スタンバイモードを有していないA/D変換器を用いることもでき、その場合には、マイコン2が変換スタート信号CONVを出力するように構成すればよい。
【0044】
遅延回路4は、消費電力を低減するために受動素子で構成することが望ましいが、低消費電力の能動素子を用いて構成してもよい。
マイクロコンピュータシステム1は、ボディ用ECUの制御に限らず他のECUの制御、或いは車両に限らず低消費電力動作が必要とされる種々のシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すマイクロコンピュータシステムの電気的構成図
【図2】スリープモードに移行した後のマイコンの動作状態を示す図
【図3】マイコンのポートサンプリング回路とA/D変換器との間の信号タイミングを示す図
【図4】CPUがスリープモードに移行する前に実行する処理内容を示すフローチャート
【図5】CPUがウェイクアップしたときの処理内容を示すフローチャート
【符号の説明】
1はマイクロコンピュータシステム(A/D変換データ入力システム)、2はマイクロコンピュータ、3はA/D変換器、4は遅延回路(遅延手段)、5はCPU、9はポートサンプリング回路、14a〜14dは入力ポート、17は出力ポートである。
Claims (6)
- 入力ポート、出力ポート、これら入出力ポートを制御するポートサンプリング回路、および通常動作モードと低消費電力動作モードで動作可能なCPUを備えたマイクロコンピュータと、
当該マイクロコンピュータの外部に設けられ、前記出力ポートから与えられる変換制御信号に従ってA/D変換を実行し、変換終了後に前記入力ポートに対しデジタルデータを出力するA/D変換器とから構成され、
前記ポートサンプリング回路は、ハードウェアで構成され、少なくとも前記CPUが低消費電力動作モードにある場合において、予め設定された条件に基づいて前記入力ポートに与えられる前記A/D変換器からのデジタルデータを周期的にサンプリングして前記CPUが読み出し可能なデータレジスタにセットするとともに、当該サンプリングタイミングに同期して前記出力ポートから前記変換制御信号を出力し、さらに、前記サンプリングデータと予め設定された期待値データとを比較し、両データが所定の関係となったことを条件として前記CPUに対し低消費電力動作モードから通常動作モードへの移行信号を出力するように構成されていることを特徴とするA/D変換データ入力システム。 - 前記A/D変換器は、外部から与えられるスタンバイ信号に応じて通常動作モードまたは低消費電力動作モードで動作するように構成され、
前記マイクロコンピュータのポートサンプリング回路は、前記サンプリングタイミングに同期して前記出力ポートから前記変換制御信号に替えて前記スタンバイ信号を出力し、
前記マイクロコンピュータと前記A/D変換器との間に、前記スタンバイ信号を遅延させて前記変換制御信号を生成する遅延手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のA/D変換データ入力システム。 - 前記遅延手段は、受動素子により構成されていることを特徴とする請求項2記載のA/D変換データ入力システム。
- 前記A/D変換器は、外部から与えられるスタンバイ信号に応じて通常動作モードまたは低消費電力動作モードで動作するように構成され、
前記マイクロコンピュータのポートサンプリング回路は、前記サンプリングタイミングに同期して前記出力ポートから前記変換制御信号に加え前記スタンバイ信号を出力することを特徴とする請求項1記載のA/D変換データ入力システム。 - 前記ポートサンプリング回路は、前記サンプリングデータと前記期待値データとが異なったことを条件として前記移行信号を出力することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のA/D変換データ入力システム。
- 前記A/D変換器は、変換したデジタルデータをパラレルデータとして出力し、
前記マイクロコンピュータは、前記パラレルデータを全ビット同時にサンプリングするのに十分な数の入力ポートを備えていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のA/D変換データ入力システム。
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