JP2004234132A - 粒状物体の検査装置およびその検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検査対象である薬剤2は検査台3に載置され、透過照明を行う照明装置4により照明される。撮像装置1により撮像された薬剤2の画像は二値化され、デジタル画像解析判定手段13は、二値画像に対して以下の処理を行う。すなわち、二値画像において薬剤2に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置した後、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化を行い、次に、参照点のグループと二値画像内における薬剤2の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより薬剤2に関する検査項目を検査する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形の薬剤のような粒状物体の外観検査を行う粒状物体の検査装置およびその検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、医療現場において1回の服用時に複数種類あるいは複数個の薬剤を投与するように処方する場合には、患者が薬剤の種類や個数を間違えることを防止するために、1回分ずつの薬剤を硫酸紙や樹脂フィルムのような包装材により包装して分包として患者に提供するようになってきている。薬剤には用量を間違えたり混用して服用したりすると危険な薬もあるから、薬剤の仕分け作業は人手によって行わねばならないと法律によって定められているが、仕分け作業を誤る場合も考えられるから、薬剤を包装するための分包機には、包装する薬剤の種別および個数を検査する機能が要求される。
【0003】
この種の機能を実現するために画像処理を利用した各種検査装置が提案されている。たとえば、薬剤のような粒状物体の個数を計数する技術としては、薬剤が互いに接触しないよう間隔を開けて配置した状態で薬剤を撮像し、得られた画像二値化した後にラベリング処理を行ってラベリングされた領域の個数を計数する技術が知られている。しかしながら、この技術では、薬剤を互いに接触しないように間隔を開けて配置することを保証しなければならず、薬剤を分離して配置する装置が必要になったり、薬剤を分離して配置する作業が必要になったりするという問題がある。
【0004】
これに対して、二値化した画像の連結成分について輪郭線を追跡する際に輪郭線上の画素のつながり方向を表すチェインコードを記録し、チェインコードの変化によって薬剤同士の重なりによって生じる接点を抽出し、さらにペアとなる接点を作成するとともに、ペアとなる接点間を相互に連結する境界線によって個々の錠剤の画像に分断する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、包装された薬剤を透過照明を用いて撮像した画像から薬剤の存在部位に対応するマスクを形成し、さらにスリット光を斜め方向照射したときに生じる縞模様のうち薬剤部分のみの画像をマスクによって抽出し、縞模様の不連続点を薬剤の輪郭とみなす技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、包装された薬剤にX線のような透過線を照射し、薬剤を透過線に対して相対的に移動させることによって透過線が薬剤を透過する際の透過量を透過線に対する薬剤の位置に対応付け、透過量の変化パターンによって薬剤の個数を計数する技術、透過線の透過量に基づいて薬剤の3次元形状を求め、事前に登録された正しい薬剤の寸法情報と照合することにより薬剤の個数・種別・異物混入・薬剤割れなどを検査する技術も知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−200770号公報(第4頁、図2)
【特許文献2】
特開平7−204253号公報(第2−3頁、図4−5)
【特許文献3】
特開2000−135268号公報(第7−8頁、第9頁、図10、46)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各特許文献に記載の技術を用いることによって複数個の薬剤が接触していても互いに別の薬剤と認識して計数することが可能になる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、クローバ型の錠剤や切り込みのある錠剤のように輪郭線にチェインコードの変化が大きい凹み部分が形成されるような薬剤では、1個の薬剤を複数個の薬剤に分割して認識する可能性があり、各薬剤を正しく分離できない場合がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、2個の照明装置が必要であるから比較的高コストになるという問題があり、またスリット光を照射したときの画像が必要であって、半透明の包装材を用いる場合などでは薬剤に対応した正しい縞模様が得られないから包装材の種類に関する制限が多いという問題もある。
【0010】
さらに、特許文献3に記載の技術では、透過線に対して薬剤を相対的に移動させることになるから、比較的高コストになるという問題があり、特に薬剤の3次元形形状を用いる場合には、計測および照合に長い処理時間を要するという問題もある。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、簡単な装置で静止画像を撮像するだけで、複数個の粒状物体が接触した画像から種々形状の各粒状物体を分離することが可能である粒状物体の検査装置およびその検査方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1ないし請求項22の発明は粒状物体の検査装置に関する。
【0013】
請求項1の発明は、検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備え、デジタル画像解析判定手段は、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置する機能と、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化の機能と、参照点のグループと前記デジタル画像内における前記粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査する機能とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記デジタル画像が、前記撮像装置により撮像された画像の濃度に関して二値化した二値画像であることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記個別領域のうち縦または横の幅寸法が最小である個別領域に前記参照点が少なくとも2個設定されるように参照点を配置することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に対して規定した距離だけ内側に前記参照点を設定することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、前記個別領域の輪郭線に生じる凹み部分に対して前記連結線分が前記個別領域の内側を通過するように、前記参照点と輪郭線との距離を設定することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に沿って規定した間隔で前記参照点を設定することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、前記塊領域の内側に位置する格子点を起点として複数の方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点と輪郭線との距離が最短になる方向の線上に参照点を設定することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、前記塊領域の内側に位置する格子点を起点として各格子点ごとに定めた1つの方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点から輪郭線を探索する方向の線上に参照点を設定することを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の曲率が規定値より大きい部位の両側近傍の所定の距離に前記参照点を設定することを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点ごとに前記連結線分の上の点か否かを判定し、当該輪郭点が連結線分の上の点であるときには当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点の座標が前記連結線分の両端の参照点の間の座標であって、かつ当該輪郭点の座標を当該連結線分の式に代入して等式が成立するときに、当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする。
【0024】
請求項12の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上に複数個の区分点を設定するとともに隣接する区分点間を結ぶ区分線分を設定し、前記連結線分と区分線分とが交差しているときに前記連結線分が前記塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする。
【0025】
請求項13の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記参照点ごとに他の参照点との間の連結線分が前記塊領域の内側のみを通過する本数を計数し、当該本数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過する参照点をすべて抽出するとともに抽出したすべての参照点の組合せで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たす参照点を前記グループとする処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すことを特徴とする。
【0026】
請求項14の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記参照点の全組合せを行列要素とする正方行列に対して各参照点間の連結線分が前記塊領域の外側を通過するか否かを行列要素に対応付けて格納し、各参照点ごとに連結線分が塊領域の内側のみを通過している行列要素の個数を求め、当該個数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過するすべての参照点の組合せからなる部分行列を前記正方行列から生成し、当該部分行列の行列要素のすべてで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たすときに当該部分行列の要素である参照点を前記グループとし、グループとなった参照点を前記正方行列の行および列から除いた部分行列を生成する処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すことを特徴とする。
【0027】
請求項15の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に沿って異なるグループに属する2個の参照点を抽出し、当該2個の参照点の間の輪郭線において曲率が最大である部位を隣接する前記個別領域の境界線上の部位と判断することを特徴とする。
【0028】
請求項16の発明では、請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の内側に背景と同じ画素値の領域が存在するときに穴領域として検出し、穴領域の輪郭線が滑らかに連続しているときに当該穴領域を埋めることを特徴とする。
【0029】
請求項17の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域における輪郭線の近傍の画素を除去する縮小処理を行った後に前記参照点を設定することを特徴とする。
【0030】
請求項18の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、前記個別領域の形状に関する特徴量を用いて粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断の少なくとも一方を前記検査項目として検査することを特徴とする。
【0031】
請求項19の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記デジタル画像解析判定手段は、検査対象となる粒状物体のテンプレートに前記個別領域をパターンマッチングすることにより粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断と粒状物体の良否判定との少なくとも1つを前記検査項目として検査することを特徴とする。
【0032】
請求項20の発明は、検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備える検査装置により粒状物体に関する検査項目を検査する粒状物体の検査方法であって、デジタル画像解析判定手段では、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置した後、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化を行い、次に、参照点のグループと前記デジタル画像内における前記粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査することを特徴とする。
【0033】
本発明の検査装置は、透過照明または落射照明などの比較的簡単な照明を用いかつ静止画像を撮像するだけであるから、特殊かつ高価な装置を用いることなく、汎用的かつ安価な機器によって構成することが可能になる。しかも、複数個の粒状物体が接触している場合でも各粒状物体に一対一に対応したグループを生成することができるから、粒状物体の個数を計数することは容易であり、さらには粒状物体の分離に際して連結線分が塊領域の外側を通るか否かの判断を用いるから、連結線分の端点となる参照点の位置を適宜に設定すれば、大きさや形状が異なっていたり多少の凹み部分を持っていたりする粒状物体が混在していても、粒状物体を正しく分離して個数の計数が可能になる。また、透過照明を用いることによって粒状物体を包む包装材が透明ではなく半透明であるような場合でも本発明の技術を適用できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に説明する各実施形態では、図1に示す装置を用い、撮像装置1により撮像した画像信号の濃淡情報に関する信号値を適宜の閾値で二値化した二値画像により粒状物体2の認識を行う。ただし、画像信号を二値化せずにA/D変換によって多値化することによって濃淡画像を生成してもよい。濃淡画像を用いると微分処理などを適用することが可能であるから、認識精度を向上させることが可能である。また、検査台3に載置した粒状物体2に光を照射するにあたって、検査台3に対して撮像装置1の反対側から光を照射する透過照明用の照明装置4を用いる例を示すが、粒状物体2として白色の粒状物体を黒色の検査台に載せる場合のように粒状物体の色が背景色とは明確に区別できる場合には、検査台3に対して照明装置1と同じ側から光を照射する落射照明用の照明装置を採用することも可能である。さらに、粒状物体2の例として錠剤やカプセルのような固形の薬剤を示すが、他の粒状物体であっても輪郭線の形状の認識に本発明の技術を適用可能である。
【0035】
図1に示す装置は、認識の対象物である粒状物体としての薬剤2を載置する検査台3を備え、検査台3の上方には薬剤2を撮像するためにTVカメラからなる撮像装置1が配置される。検査台3は半透明の合成樹脂板であって拡散透過性を有しており、検査台3の下方には検査台3を全面に亘って輝度むらなく照明することができる照明装置4が配置される。つまり、薬剤2が検査台3に載置されていない状態において検査台3には輝度むらが生じないことが望ましいから、照明装置4において輝度むらを生じない構成を採用するとともに、検査台3に拡散透過性を持たせることによって、輝度むらを抑制している。
【0036】
撮像装置1により撮像される画像は、薬剤2が不透明であれば薬剤2に対応する部位が暗く薬剤2の背景が明るくなるから薬剤2のシルエットを含む画像になり、薬剤2が透明であれば、薬剤2の中央部が厚く、周辺部ほど薄くなっている形状を透過する光の屈折作用により、薬剤2の中央部が明るく周辺部が暗い画像になる。ここに、透明な薬剤2としては、ゼリー状の薬剤2や内部に液体を封じたカプセル状の薬剤2などがある。このように、薬剤2が不透明か透明かにかかわらず、薬剤2の輪郭と背景との間には比較的大きな輝度差が生じるから、撮像装置1から出力される画像信号の濃淡情報に関する信号値を二値化手段11を用いて適宜の閾値で二値化することにより、錠剤2の輪郭と背景とを分離することが可能になる。撮像装置1から出力された画像信号を二値化手段11で二値化することにより得られる二値画像は、画素値が0と1との二値のみからなるデジタル画像であるから、このデジタル画像はRAMからなるデジタル画像記憶手段12に格納される。デジタル画像記憶手段12は、二値画像の記憶だけではなく後述する各種画像処理の際の作業用の記憶領域としても用いられる。デジタル画像記憶手段12に格納された二値画像はマイクロコンピュータからなるデジタル画像解析判定手段13に入力され、以下の各実施形態において説明する処理が施されることによって、薬剤2の形状、寸法、個数の認識が行われる。デジタル画像解析判定手段13には、CRTや液晶ディスプレイからなるモニタ装置14が接続され、モニタ装置14には、撮像装置1で撮像した画像、二値化手段11で二値化した二値画像、デジタル画像解析判定手段13による認識結果などを表示することが可能になっている。
【0037】
なお、以下に説明する実施形態では、組み合わせるべき複数個の薬剤2を検査台3の上に載置し、撮像装置1により撮像される複数個の薬剤2の画像から検査台3の上の薬剤2が正しい組合せか否かを判断するのであって、組み合わせるべき薬剤2は最終的には包装材によって1包みに包装される。ここで、包装材が透明ないし半透明であって薬剤2を撮像装置1により撮像したときに包装材による包装を行っていない場合と同様の画像を得ることが可能である場合には、あらかじめ包装材で包装した薬剤2を検査台3に載置することも可能である。
【0038】
以下では具体例を用いて本発明の実施形態におけるデジタル画像解析判定手段13の動作を説明する。ここでは、図3(a)に示すように、薬剤2として、円形の錠剤T1、楕円形の糖衣錠T2、カプセルT3、クローバ型の錠剤T4、長円形の錠剤T5の5個の薬剤2を検査台3に載置する場合を想定する。なお、薬剤2の各形状は平面形状である。上述したように、透過照明を行うから撮像装置1により撮像された画像内では5個の薬剤2に対応する部位は暗くなり薬剤2の背景は明るくなる。つまり、撮像装置2から出力される画像信号においては薬剤2のシルエットが得られる。
【0039】
二値化手段11では撮像装置2から出力される画像信号の濃淡情報に関する信号値を適宜の閾値で二値化するから、たとえば閾値よりも暗い部位の画素値を0とし、閾値よりも明るい部位の画素値を1とすれば、二値画像では薬剤2に対応する部位の画素値が0、薬剤2に対応しない部位の画素値が1になる。図示例では錠剤T1,T2,T4がいずれもカプセルT3に接触しているから、二値画像では、図3(b)のように、錠剤T1,T2,T4とカプセルT3とに対応する連続した1つの領域(以下では、「塊領域」という)D1が形成され、個々の錠剤T1,T2,T4とカプセルT3とを区別することができなくなる。一方、個々の薬剤2を画像によって認識するには、塊領域D1から個々の薬剤2を分離することが必要である。なお、錠剤T5は単体で1つの塊領域D2を形成する。要するに、塊領域は二値画像において、8近傍(3×3画素の領域の中心の画素に着目したときの残りの画素)のうちのいずれかの画素値が0である画素の集合であって、8近傍のすべての画素値が1である画素によって区分されている領域になる。
【0040】
そこで、複数の薬剤2が接触している場合に二値画像内で形成される塊領域D1から個々の薬剤2を分離して認識するために、本実施形態ではデジタル画像解析判定手段13において以下の処理を行っている。すなわち、二値化手段11において二値化されることにより得られた二値画像について、まず塊領域D1,D2の輪郭線の近傍における適宜の画素を参照点に設定する。参照点は塊領域D1,D2の輪郭線の上の部位、または輪郭線に対して数画素内側の部位に設定される。
【0041】
ここに、図4(a)に示すように、図形I1の輪郭線に凹みがなければ、輪郭線の近傍に設定したすべての参照点P1〜P5について、参照点P1〜P5の間を相互に結ぶ線分である連結線分s(1−2),s(1−3),……,s(4−5)は図形I1の内側を存在するという法則が一般に成立する。なお、連結線分s(m−n)は、参照点Pmと参照点Pnとの間を結ぶ線分を意味する。上述した法則は輪郭線に若干の凹みがあったとしても凹みが大きくなければ多くの場合に成立するが、図4(b)に示すように、図形I2の輪郭線に比較的大きい凹みがあれば、参照点P1〜P6のうちのいずれかについて、連結線分s(1−2),s(1−3),……,s(5−6)が図形I2の外側を通ることになる。以下の説明では、図形の輪郭線の近傍に設定した参照点の間を結ぶ連結線分が図形の内部のみを通る場合に、当該連結線分の端点である2つの参照点は「領域内連結性」を有するといい、参照点の間を結ぶ連結線分が一部でも図形の外側を通る場合には2つの参照点は「領域内連結性」を持たないという。ここにおいて、一般的な薬剤2の輪郭線には大きな凹みはないが、図3(a)に示すクローバ型の錠剤T4や、半分に割って服用可能な切り込みを有する錠剤のように、若干の凹みを有した薬剤2もあるから、この種の薬剤2における凹み部分が領域内連結性の有無の判断に影響しないように、既知の凹み部分の形状や寸法に応じて輪郭線よりも内側に参照点を設定するのである。
【0042】
本実施形態では、上述した領域内連結性の有無を利用することによって、図3(b)に示した二値画像における塊領域D1,D2から個別の薬剤2に対応する領域(以下では、「個別領域」という)E1〜E5を分離する処理を行う。つまり、図5に示すように、各個別領域E1〜E5に複数個ずつの参照点P1〜P13が設定されるような設定方法で参照点P1〜P13を設定し、連結線分s(1−2),s(1−3),……,s(12−13)のうち塊領域D1,D2の内側のみを通る連結線分s(1−3),s(1−5),s(2−6),s(2−8),s(3−5),s(4−9),s(6−8),s(7−10),s(7−11),s(10−11),s(12−13)を抽出する。抽出した連結線分s(m−n)の両端点となる参照点P1〜P13は領域内連結性を有しており、領域内連結性を有する2個の参照点P1〜P13は1つの個別領域E1〜E5に含まれる。ここで、領域内連結性を有する各参照点P1〜P13のうち同じ個別領域E1〜E5に属するもの同士をグループ化すれば、グループG1〜G5の個数が個別領域E1〜E5の個数に一致する。
【0043】
グループ化に際しては、領域内連結性を有する参照点P1〜P13であって他の連結線分s(m−n)と共用される参照点P1〜P13を抽出する。このような参照点P1〜P13を端点に持つ連結線分s(m−n)は1つの個別領域E1〜E5に属することになる。上述の例で言えば、参照点P1,P3,P5は、連結線分s(1−3),s(1−5),s(3−5)のうちの各2本でそれぞれ共用されているのであって、参照点P1,P3,P5は1つのグループG1になり、参照点P1,P3,P5のグループG1に対応する個別領域はE4になる。また、参照点P4,P9は、連結線分s(4−9)のみの端点になっているが、領域内連結性を有しているから1つのグループG2になる。参照点P4,P9のグループG2に対応する個別領域はE1になる。同様にして、参照点P7,P10,P11のグループG3は個別領域E3に対応し、参照点P12,P13のグループG4は個別領域E2に対応し、参照点P2,P6,P8のグループG5は個別領域E5に対応する。このようにして、図5に示す例では、参照点(P1,P3,P5)のグループG1、参照点(P2,P6,P8)のグループG2、参照点(P4,P9)のグループG3、参照点(P7,P10,P11)のグループG4、参照点(P12,P13)のグループG5の5個のグループに分離することが可能になる。つまり、塊領域D1,D2を5個の個別領域E1〜E5に分離することが可能になる。
【0044】
上述した手順における各処理過程についてさらに詳しく説明する。上述したように、二値画像における塊領域から個別領域を分離するには、まず塊領域の輪郭線の近傍である適宜の位置に参照点を設定することが要求される。参照点は基本的には分離しようとする各個別領域ごとに複数個ずつ必要であるが、塊領域のどの部位が個別領域になるかは不明であるから、参照点の位置を決める処理は個別領域の分離において重要な処理になる。
【0045】
参照点を設定する第1の技術としては、塊領域Dの輪郭線Lを抽出する輪郭線追跡を行い、図6に示すように、輪郭線追跡の際に輪郭線Lの上で所定画素の間隔で仮参照点p1〜p13を設定し、さらに各仮参照点p1〜p13を通る輪郭線Lの法線上で輪郭線Lの内側に処理距離だけ離れた部位にそれぞれ参照点P1〜P13を設定する技術がある。輪郭線追跡の技術は周知であるが、簡単に説明すると、まず二値画像内でラスタ走査を行うとともに画素値が背景から塊領域Dに変化する変化点を求める。ここで、二値画像内では隣接する画素値が1から0に変化する点が変化点になるから、輪郭線Lとしては画素値が0である点とする。このようにして最初に得られた画素を追跡開始点とし、追跡開始点から、たとえば時計回りに輪郭線L上の画素を追跡する。輪郭線Lの追跡は周知技術を用いる。輪郭線Lを追跡する技術の一例を示すと、輪郭線Lを時計回りに追跡する場合であれば、輪郭線Lの上で着目する画素の8近傍の画素のうちで追跡済みの画素に対して時計回りに隣接する画素から始めて時計回りに並ぶ各画素の画素値を求め、着目する画素と同じ画素値の画素が出現すれば、当該画素を次に追跡する画素とする。たとえば、着目する画素(画素値は0になる)に対して左隣りの画素が前に追跡した画素であるものとし、着目する画素の8近傍のうち左上および上の画素が着目する画素とは異なる画素値(つまり、画素値は1になる)であるとすれば、次に追跡する画素は右上の画素になる。このような処理を繰り返し、追跡開始点に戻れば、輪郭線Lの追跡が終了する。輪郭線Lを追跡する技術として、上述の技術は一例であって、他の周知技術を用いることができるのは言うまでもない。
【0046】
輪郭線Lを追跡する際には輪郭線Lの上の画素を1画素ずつ辿ることになるから、輪郭線Lの上の画素を規定した画素ごとに仮参照点p1〜p13として設定し、仮参照点p1〜p13を通る輪郭線Lの法線上で規定の画素数分(たとえば、3〜5画素)だけ塊領域Dの内側に参照点P1〜P13を設定する。輪郭線Lの法線の方向は、たとえば仮参照点p1〜p13の8近傍の画素の画素値から求めた微分値を正接とする方向であって塊領域Dの内向き方向として求めることができる。上述のように輪郭線Lよりもやや内側に参照点P1〜P13を設定することによって、輪郭線Lに多少の凹みがあっても参照点P1〜P13を結ぶ連結線分s(m−n)が塊領域Dの外に出る可能性を低減することができる。つまり、個別領域が輪郭線Lに凹みを有する形状であっても個別領域を分離できる可能性が高くなる。したがって、仮参照点p1〜p13と参照点P1〜P13との距離は、分離すべき個別領域の輪郭線Lの形状(つまりは、薬剤2の形状)に応じて適宜に設定される。第1の技術においては、塊領域Dの輪郭線Lの全長は不明であるから、輪郭線Lの上を追跡する際に規定した画素ごとに仮参照点p1〜p13を設定すると、輪郭線Lを1周したときの最後の仮参照点と最初の仮参照点とは他の仮参照点の間隔とは異なる可能性があるが、仮参照点を等間隔に設定しているのは仮参照点を適宜に分散させるためであって、必ずしも等間隔である必要はないから、一部の仮参照点の間隔にずれがあることは動作に影響しない。
【0047】
参照点を輪郭線Lの近傍に設定する第2の技術として、輪郭線Lの上の画素を追跡しない技術を採用することもできる。すなわち、図7に示すように、二値画像において一定の間隔の格子GRを設定し、二値画像内の格子点q1〜q12のうち塊領域D1の内側に存在する格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10について、図8に示すように、それぞれ有限個の方向(図示例では8方向)について輪郭線Lとの交点を探索する。このようにして求めた交点のうち各格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10にもっとも近い交点を仮参照点とし、各仮参照点の近傍であって塊領域Dの内側にそれぞれ参照点P3,P4,P5,P7,P8,P9,P10を設定する。参照点P3,P4,P5,P7,P8,P9,P10は、仮参照点を探索する方向の線上で仮参照点に対して規定した画素分だけ塊領域Dの内側に設定する。このように格子GRを利用する技術を採用すると、輪郭線Lを追跡する場合に比較すると、塊領域Dの輪郭線Lの上のすべての点を抽出する必要がないから、データの処理量が少なくなり参照点の決定に要する時間を短縮することが可能になる。
【0048】
上述した第2の技術では、各格子点q1〜q12についてそれぞれ8方向について輪郭線Lとの交点を仮参照点として探索しているが、図9のように塊領域Dの内側に存在する格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10ごとに決めた1方向についてのみ輪郭線Lとの交点を仮参照点として探索してもよい。この場合、各格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10のラスタ走査の順で探索方向を時計回りに90度ずつ回転させるなどすればよい。たとえば、図示例では格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10の順に探索方向が上、右、下、左、上、右、下になる。この技術を用いれば、上記の各格子点q1〜q12についてそれぞれ8方向に探索することが不要となり、処理時間の短縮化が図れるとともに各格子点q3,q4,q5,q7,q8,q9,q10に対応する参照点P3,P4,P5,P7,P8,P9,P10を適度に分散させて決定することができる(なお、図中では格子点q5,q10に対応する参照点P5,P10は図外になるので示していない)。
【0049】
本実施形態では、2個ずつの参照点の領域内連結性の有無によって個別領域を分離するから、異なる個別領域に含まれる参照点同士には領域内連結性がないほうが望ましい。つまり、連結線分が個別領域同士の接触部分を通過しないように参照点を配置することが望ましく、このことから個別領域同士の接触部分の近傍に参照点を配置することが望ましいと言える。そこで、塊領域Dの輪郭線Lを抽出し、この輪郭線Lの各部位の曲率を求めるとともに、図10に示すように、輪郭線Lの曲率が規定した閾値を超える部位C1〜C7は個別領域同士が接触している部位の候補であると判断して、当該部位C1〜C7に対して規定の関係となる近傍部位に参照点P1〜P14を設定してもよい。各部位C1〜C7に対しては2個ずつの参照点P1〜P14を設定するのであって、各部位C1〜C7ごとにその両側近傍の所定の距離範囲の輪郭線部分を円弧で近似し、その円弧の略中央から曲率中心方向に向けて法線を立て、この法線上で輪郭線Lから塊領域Dに規定した距離だけ内側の部位に参照点P1〜P14を設定する。このようにして各部位C1〜C7ごとに2個ずつの参照点P1〜P14が設定されるのであって、曲率が大きい部位C1〜C7(図示例では部位C1,C2,C7)では参照点P1〜P14(図示例では参照点P1,P2,P3,P4,P13,P14)を結ぶ連結線分が塊領域Dの外側を通るから、個別領域E1〜E5の分離が容易になる。
【0050】
なお、参照点の個数については、仮に個別領域が独立している場合には各個別領域に1個ずつ参照点を設定すればどの参照点間にも領域内連結性が生じることはなく、あるいはまた、個別領域同士に連続した部分があっても参照点間に領域内連結性が生じないように参照点を設定することができるのであれば各個別領域に1個ずつ参照点を設定するだけでも塊領域を各個別領域に分離することが可能と考えられる。しかしながら、前者の仮定には個別領域に連続部分が生じないことを保証する別途の構成が必要であって、これが保証できるのであれば二値画像から個別領域を分離する理由がないから、個別領域を分離する処理は不要であり、後者の仮定には塊領域の中で個別領域に対応する部位がすでに知られていることが必要であって、個別領域が不明である塊領域から個別領域を分離して抽出するという目的とは矛盾しているから、結局、各個別領域にそれぞれ1個ずつ参照点を設定することはできない。
【0051】
また、異なる個別領域に属する2個の参照点が領域内連結性を有する可能性を完全に排除することは困難であるから、異なる個別領域に設定した任意の2個の参照点について領域内連結性を持たない参照点の組み合わせが必ず含まれるようにしなければ個別領域を正しく分離することができない。言い換えると、参照点の個数が少ない場合には、異なる個別領域に属する参照点のすべての組合せについて領域内連結性を有する組合せになる可能性があり、結果的に2個の個別領域を1個の個別領域と誤認する可能性が生じる。
【0052】
上述のような事情に鑑みれば、各個別領域ごとに十分に多くの参照点を設定することが望ましいと言える。したがって、上述した第1の技術では、輪郭線を探索して設定される仮参照点の間隔を、予測される最小の個別領域の外周長さよりも十分に小さく設定することが望ましい。また、上述した第2の技術では、格子点の間隔を、予測される最小の個別領域の幅よりも十分小さく設定することが望ましい。そして、第1の技術と第2の技術とにおいて、予測される縦または横の幅寸法が最小である個別領域に対して参照点が少なくとも2個設定されるようにすることで誤認識をなくすことができる。
【0053】
上述のようにして参照点が設定された後には、デジタル画像解析判定手段13において、各参照点の組合せにおける領域内連結性の有無を判断する。つまり、すべての参照点の組合せについて領域内連結性の有無を評価する。ここでは、図11のように塊領域D1,D2に対して参照点P1〜P15が設定されているものとする。上述したように各参照点P1〜P15ごとに他の参照点P1〜P15との間に連結線分s(m−n)を設定し、各連結線分s(m−n)が塊領域D1,D2の内側のみを通るか否かを判断する。領域内連結性の有無は二値画像を用いて判断するから、連結線分s(m−n)の上のすべての画素の画素値が塊領域D1,D2の画素値と一致するか否かを判断すればよい。つまり、連結線分s(m−n)の上の画素がすべて0であれば、この連結線分s(m−n)の端点である2個の参照点の組は領域内連結性を有することになる。たとえば、図11において参照点P1に着目すれば、連結線分s(1−n)のうち、2本の連結線分s(1−2),s(1−3)だけが塊領域D1の内側のみを通っている。つまり、参照点P1,P2の組と、参照点P1,P3の組とは領域内連結性を有する。
【0054】
各2個の参照点P1〜P15の組について領域内連結性の有無を判断するにあたっては、上述のように連結線分s(m−n)の上の画素値によって判断する構成のほか、連結線分s(m−n)と輪郭線Lとの交点の有無を判断する構成を採用してもよい。つまり、上述したように、参照点P1〜P15の設定に際して塊領域D1,D2の輪郭線Lを追跡する処理を行った場合には、輪郭線Lの上の画素が抽出されているから、輪郭線Lの上の画素と他の画素とに異なる画素値を与えた輪郭線画像(たとえば、輪郭線Lの上の画素の画素値を1、他の画素の画素値を0に設定する)を生成し、連結線分s(m−n)の上で画素値が1になる画素が存在すれば、連結線分s(m−n)が輪郭線Lと交差したことを意味するから、この連結線分s(m−n)の端点である参照点P1〜P15の組には領域内連結性がないと判断するのである。
【0055】
輪郭線Lと連結線分s(m−n)とが交差するか否かを判断するにあたっては、連結線分s(m−n)の式を求めて連結線分s(m−n)の上の画素の座標を計算によって求めるとともに、当該座標のうち輪郭線画像における輪郭線Lの座標に一致する画素が存在するか否かを判断することが考えられる。しかしながら、輪郭線画像を格納するためにメモリの容量が大きくなるだけではなく、参照点の個数が多くなると連結線分s(m−n)の本数が多くなるから、連結線分s(m−n)の上の画素の座標を求める演算だけでも膨大な処理が必要になる上に、輪郭線画像を格納したメモリにアクセスして求めた各画素の座標を輪郭線Lの上の画素の座標とそれぞれ照合しなければならないから、処理速度が遅くなり、アクセスタイムの速い高価なメモリが必要になる。そこで、輪郭線Lの各画素の座標ごとに、すべての連結線分s(m−n)の式に当て嵌めて輪郭線Lと連結線分s(m−n)との交差を検証する方法を採用するのが望ましい。この方法を採用すれば、連結線分s(m−n)の上の画素の座標を求める必要がなく、既知である輪郭線Lの上の画素の座標を各連結線分s(m−n)の式に代入するだけの演算になるから、演算量が比較的少なくなる上にメモリのアクセス回数が少なくなり、連結線分s(m−n)と輪郭線Lとの交差の有無を判定する処理の高速化が期待できる。
【0056】
連結線分s(m−n)と輪郭線Lとの交差の有無を判断する技術について、図11に基づいてさらに詳しく説明する。ここでは、輪郭線Lの上のすべての画素の座標はすでに求められているものとする。また、輪郭線Lの上の任意の画素である輪郭点Pcの座標を(cx、cy)とする。任意の2個の参照点Pm,Pn(1≦m,n≦15)を結ぶ連結線分s(m−n)が輪郭線Lと交差するか否かの判断、つまり領域内連結性の有無の判断は以下の手順で行う。ここに、参照点Pm,Pnの座標をそれぞれ(xm,ym),(xn,yn)とする。
【0057】
まず、画像のX方向およびY方向の辺を有し、2個の参照点Pm,Pnを対角線の両端とする長方形を仮想し、この長方形に輪郭点Pcが含まれるか否かを判断する。つまり、
MIN(xm、xn)≦cx≦MAX(xm,xn)
MIN(ym,yn)≦cy≦MAX(ym,yn)
がともに成立するか否かを判断する。ただし、MIN(a,b)はaとbとのうちの小さいほう、MAX(a,b)はaとbとのうちの大きいほうを意味する。要するに、上記長方形は連結線分s(m−n)を対角線とするから、輪郭点Pcが上述の長方形になければ連結線分s(m−n)と交差しないことは自明であって、上記長方形に含まれない輪郭点Pcは連結線分s(m−n)とは交差しない点として以下の処理の対象から除外する。言い換えると、連結線分s(m−n)を表す直線の式の適用領域を参照点Pm,Pnの間に限定する条件を設定したことになる。
【0058】
次に、上記長方形内に輪郭点Pcが含まれる場合には、連結線分s(m−n)を表す式に輪郭点Pcの座標(cx,cy)を代入する。ここで等号が成立するときには、この輪郭点Pcは連結線分s(m−n)の上にあることを意味するから、連結線分s(m−n)と輪郭線Lとが交差することになり、参照点Pm,Pnとの組には領域内連結性がないと判断することができる。なお、座標値は離散値であるから、一致・不一致の判断には1画素分の誤差は許容する。すべての連結線分s(m−n)について上述の処理を行った後、輪郭線Lに沿って次の輪郭点Pcに同処理を繰り返し、すべての輪郭点Pcについて同処理を行う。このようにして、連結線分s(m−n)と輪郭線Lとの交差の判断によって、容量が比較的少なくアクセスタイムの比較的遅いメモリを用いながらも比較的短時間で参照点Pm,Pnの間の領域内連結性の有無を判断することができる。
【0059】
ところで、上述した技術をさらに高速化するには、図12に示すように、輪郭線Lの上で輪郭線Lに沿って適宜の区分点ri(1≦i≦18)を設定し、隣接する区分点riの間を結ぶ区分線分S(i,(i+1))と連結線分s(m−n)とが交差するか否かを判断するようにしてもよい。区分点riの間隔を比較的小さく設定すれば、区分線分S(i,(i+1))の集合によって輪郭線Lを多角形近似したことになるから、連結線分s(m−n)と区分線分S(i,(i+1))との交差の有無は、連結線分s(m−n)と輪郭線Lとの交差の有無を判断したことと等価に扱うことが可能になる。つまり、連結線分s(m−n)と区分線分S(i,(i+1))とが交差するときには、連結線分s(m−n)の端点である参照点Pm,Pnには領域内連結性がないと判断する。ここに、区分点riの設定には多角形近似として周知の技術を用いることが可能であるが、本実施形態のように既知の粒状物体(薬剤2)を判別する場合には、輪郭線Lの曲率が大きい部位に区分点riを設け、他の部位には適当な間隔で区分点riを設けるようにしてもよい。この技術では連結線分s(m−n)と区分線分S(i,(i+1))との交差の判定が必要であって、連結線分s(m−n)に輪郭点Pcを代入する技術に比較すると複雑な演算が必要になるが、区分線分S(i,(i+1))の本数は輪郭点Pcの個数に比較して相当に少ないから、直線の式から座標を演算する回数をより少なくして高速な処理が可能になる。
【0060】
なお、連結線分s(m−n)は輪郭線Lと1回でも交差すれば、連結線分s(m−n)の端点である参照点Pm,Pnの間には領域内連結性がないと判断できるので、連結線分s(m−n)に関して領域内連結性がないと判断した時点で、当該連結線分s(m−n)に関して、他の輪郭点Pcとの一致あるいは区分線分S(i,(i+1))との交差の判定を打ち切るようにすれば、一層の高速化が可能になる。たとえば、図12に示す例では区分線分S(1,2)から始めて時計回りに連結線分s(m−n)との交差を順に判定するとすれば、区分線分S(2,3)と連結線分s(1−2),s(2−3)とが交差するから、この時点で連結線分s(1−2),s(2−3)の各端点である参照点P1,P2の組および参照点P2,P3の組にはいすれも領域内連結性がないと判断される。そこで、次の区分線分S(3,4)から以降については連結線分s(1−2),s(2−3)との交差については考慮する必要がなく、連結線分s(1−3)との交差のみを判定すればよく、結果的に処理の大幅な効率化が期待できる。
【0061】
上述のようにして、連結線分s(m−n)の端点である各2個ずつの参照点Pm,Pnの各組について領域内連結性をそれぞれ判断した後には、領域内連結性を有する参照点Pm,Pnの組についてグループ化を行う。要するに、各参照点Pm,Pnが同じ個別領域E1〜E5に含まれるか否かの評価を行う。この評価のために、各参照点Pm,Pnの組について領域内連結性の有無を図13のような対応表にまとめる。図13において縦横に参照点Pm,Pnを配列してあり、参照点Pm,Pnの交点は連結線分s(m−n)に相当する。参照点Pm,Pnが領域内連結性を有する場合は参照点Pm,Pnの交点には○と表記し、領域内連結性を持たない参照点Pm,Pnの交点には×と表記してある。また、各参照点はそれ自身に領域内連結性があるものとする。さらに、図13では各参照点P1〜P15ごとに領域内連結性を有する参照点P1〜P15の個数を領域内連結性の点数として対応表の右端に示している。たとえば、参照点P1については参照点P2,P3との間に領域内連結性があり、また参照点P1自身も領域内連結性があるものとして数えるから、参照点P1について領域内連結性の点数は3点になる。
【0062】
このような対応表は、マイコンからなるデジタル画像解析判定手段13において、通常はRAMで構成されるデジタル画像記憶手段12上に確保した行列領域に設定される。各行列要素(m,n)は連結線分s(m−n)に相当し、各行列要素(m,n)に0と1との値を与えることによって、連結線分s(m−n)の端点である参照点Pm,Pnの間の領域内連結性の有無を表すことができる。たとえば、対象となる塊画像に設定した参照点Piの個数がN個である場合には、N×N個の正方行列を記憶する行列領域を確保し、行列要素(m,n)に対応する連結線分s(m−n)の端点Pm,Pnの組が領域内連結性を有しているときには行列要素(m,n)に1を設定し、領域内連結性を持たないときには行列要素(m,n)に0を設定する。なお、図13において対角成分は、同一の参照点Pm,Pnに対応する領域内連結性の有無を表しているから同一値になる。言い換えると、各参照点Pm,Pnの領域内連結性の有無を判定する際には、各参照点Pm,Pnの組の一方から連結線分s(m,n)を設定して領域内連結性を一度判定すれば、他方から連結線分s(n,m)を設定して領域内連結性を判定する必要はなく、それだけ領域内連結性の有無の判定に要する時間を短縮することが可能になる。たとえば、参照点P1について参照点P2との領域内連結性の有無を判定した後には、参照点P2について参照点P1との領域内連結性の有無を判定する必要がないということである。
【0063】
上述した対応表に基づいて、領域内連結性を有する参照点Pm,Pnのグループ化を行う。つまり、1つのグループに属する参照点には領域内連結性があり、かつ領域内連結性を有する参照点は必ずいずれかのグループに属するように以下の手順でグループ化を行う。まず、対応表において領域内連結性の点数を参照し、どのグループにも属していない参照点のうちで、領域内連結性の点数が最少である参照点を抽出する。図13においては、参照点P1,P5,P6,P12,P13,P14,P15に対する領域内連結性の点数がいずれも3点であるから、これらの参照点P1,P5,P6,P12,P13,P14,P15を参照点群U1とする。このようにして求めた参照点群U1の各参照点P1,P5,P6,P12,P13,P14,P15について、相互に領域内連結性を有する参照点を順に求め、相互に領域内連結性を有する参照点を1つのグループとして扱う。つまり、グループとして扱う参照点は単に領域内連結性を有するだけではなく、相互に領域内連結性を有することが要求される。相互に領域内連結性があるとは、参照点群U1から選択した1つの参照点について対応表から領域内連結性を有する参照点を抽出し、選択した参照点と領域内連結性を有する参照点とのみからなる部分行列を生成したときに、この部分行列の中の行列要素の値がすべて1(表では○で表している)であることを意味する。言い換えると、1つのグループに含まれるすべての参照点は領域内連結性を有しており、任意の2個の参照点間に領域内連結性がなければ、互いに異なるグループに属するとみなされるのである。
【0064】
たとえば、図13においては参照点群U1について参照点P1から始めると、参照点P1に対して領域内連結性を有する参照点はP2,P3になるから、参照点P1,P2,P3のみからなる部分行列を生成すると図14のようになる。図14によれば行列要素のすべての値が1(表では○で表している)であるから、これらの3個の参照点P1,P2,P3は相互に領域内連結性を有することになる。このように相互に領域内連結性を有するときには1つのグループとするのであって、ここでは、参照点P1,P2,P3からなるグループをG1とする。
【0065】
参照点P1,P2,P3は1つのグループG1をなすことがわかったから、次には、図15のように対応表から参照点P1,P2,P3を除いた部分行列を生成する。
【0066】
図15についても図13と同様の処理を行う。つまり、参照点群U1から次の参照点として選択したP5について、領域内連結性を有する参照点であるP6,P7を抽出し、参照点P5,P6,P7からなる図16のような部分行列を生成する。ここで、参照点P5,P6の組および参照点P5,P7の組にはそれぞれ領域内連結性があるが、参照点P6,P7には領域内連結性がないから、図16に示した部分行列の中で各参照点P5,P6,P7について、あらためて領域内連結性の点数を計数し、点数が最少になる参照点P6,P7についてそれぞれ参照点P5との部分行列を生成する。参照点P5,P6のみを含む部分行列は図17のようになり、図17の行列要素の値はすべて1になるから、参照点P5,P6は相互に領域内連結性があると判断して1つのグループG2として扱う。参照点P5,P7からなる部分行列では行列要素の値に0が含まれるから、参照点P5,P7には相互に領域内連結性はないと判断する。
【0067】
上述のようにして参照点P5,P6もグループG2をなすと判定されるから、次には図15から参照点P5,P6も除いた部分行列を生成する。つまり、元の対応表から参照点P1,P2,P3,P5,P6を除いた図18のような部分行列を生成する。
【0068】
参照点群U1において図18に残った参照点P12,P13,P14,P15のうち、次にグループ化の対象となるのは参照点P12であるから、上述した処理と同様にして参照点P12に関する領域内連結性を有する参照点P10,P11を抽出する。参照点P10,P11,P12は相互に領域内連結性を有するから、参照点P10,P11,P12からなるグループG3を生成する。
【0069】
次に、P1,P2,P3,P5,P6,P10,P11,P12を除外し、図19のようにP4,P7,P8,P9,P13,P14,P15からなる部分行列を生成する。参照点群U1について次の参照点はP13であるから、P13について相互に領域内連結性がある参照点P13,P14,P15を抽出しグループG4とする。
【0070】
グループG4を生成すると、図20のように参照点P4,P7,P8,P9が残り、これらの参照点P4,P7,P8,P9では相互に領域内連結性を有しているから、参照点P4,P7,P8,P9をグループG5とする。
【0071】
上述のようにしてすべての参照点P1〜P15がいずれかのグループG1〜G5に属するようになれば、グループ化の処理を終了する。
【0072】
上述した手順によって参照点P1〜P15をグループ化すると、各グループG1〜G5と各参照点P1〜P15との関係は図21のようになる。図から明らかなように、塊領域D1において複数の個別領域E1〜E4が結合しており、異なる個別領域E1〜E4に含まれる参照点P1〜P15の一部は領城内連結性を有しているにもかかわらず(たとえば、個別領域E4の参照点P2は個別領域E3の参照点P7,P8との間に領域内連結性がある)、グループG1〜G5の個数が個別領域E1〜D5の個数に一致しており、しかも各グルーブG1〜G5に属する参照点P1〜P15は各個別領域E1〜E5に属するように正しく分割される。
【0073】
なお、上述したように、各個別領域のそれぞれについて1個ずつの参照点を設定することは不可能であるが、いずれかの個別領域について参照点が1個しか含まれない場合は生じうる。たとえば、各個別領域の輪郭線の長さが既知であるときに(つまり、画像内に含まれる粒状物体が既知であるときに)、個別領域のうちで輪郭線の長さが最小である個別領域に対して、輪郭線に沿って設定する参照点の間隔を小さくすれば、輪郭線の長さが最小である個別領域の中には1個の参照点が設定されることは保証されるものの、2個以上の参照点が設定される保証はない。図11に示す例で言えば、個別領域E2には参照点P6があっても参照点P5が設定されていない可能性もある。上述した例のように、1つのグループG1〜G5には最低でも2個の参照点P1〜P15が含まれるようにするのが望ましいが、1つの個別領域E1〜E5に1個の参照点P1〜P15しか設定されていない場合もあるから、1個の参照点しか含まないグループが生成されることも許容するのが望ましい。ただし、この場合には当該参照点が隣接する個別領域内のどの参照点とも領域内連結性がないという条件を満たさなければ、正しいグループを生成することができないから、たとえば図11で参照点P5がない場合には、参照点P6が他のどのグループにも属さない参照点として最後まで残った場合に参照点P6だけを含む1つのグループを生成する。要するに、グループ化の処理の際に、どのグループにも属さない参照点であって他の参照点とは領域内連結性を持たない単独の参照点が残った場合には、この参照点も1つのグループを構成するものとして扱うのである。
【0074】
なお、上述したグループ化の処理手順において、領域内連結性の点数が最少である参照点から順にグループ化を行っているのは、他の個別領域に属する参照点との間で偶然に領域内連結性を有している場合に、グループの候補となる参照点群に対応する部分行列を生成し、部分行列のすべての行列要素の値が0でなければ、部分行列の範囲内でさらに領域内連結性の点数が最少になる参照点に対応する部分行列を生成するという、再帰的な処理を行うためである(上述の例では図15〜図17を生成する手順に対応する)。
【0075】
この理由をさらに詳しく説明するために、図22に示すように、塊領域Dにおいて異なる個別領域E1,E2に設定された比較的多くの参照点P1〜P7が領域内連結性を有するような場合を想定する。図22に示す例では、領域内連結性に関する対応表が図23のようになる。
【0076】
ここで、領域内連結性の点数が最少である参照点から順にグループ化を行うのではなく、領域内連結性の点数が最大である参照点から順にグループ化を行うと仮定すると、まず参照点P1について領域内連結性を有する参照点P2,P3,P4,P6,P7を抽出し、図24に示す部分行列を生成することになる。この部分行列には行列要素の値が0ではないものが含まれているから、図24の部分行列からさらに部分行列を生成することが必要であるが、図24の部分行列において領域内連結性の点数が最大である参照点はP1であるから、図24からは部分行列を生成することができず、結局、再帰的な処理を継続することができなくなる。
【0077】
これに対して、本実施形態では、領域内連結性の点数が最少である参照点から順にグループ化を行うようにしているから、図23に対しては先ず参照点P3が抽出され、図25のように参照点P1,P2,P3,P4を含む部分行列が生成される。
【0078】
図25では値が0ではない行列要素が含まれているから、領域内連結性の点数が最少である参照点P2に着目し、参照点P1,P2,P3からなる部分行列を生成する。つまり、図26のような部分行列が生成され、すべての行列要素の値が0になる部分行列を得ることができる。要するに、すべての行列要素の値が0になるまで再帰的に処理を繰り返すことによって、領城内連結性のない参照点の組み合わせを排除でき、相互に領域内連結性のある参照点を正しくグループ化することができる。
【0079】
さらに、領域内連結性の点数の少ない参照点は他の個別領域に設定した参照点との間で領域内連結性を有する可能性が低いから、このような参照点を優先してグループ化を行うことによって誤分割の可能性を低減することができる。たとえば、図22に示す例では、領域内連結性の点数のもっとも多い参照点P1については、参照点P1を含む個別領域E1とは異なる個別領域E2に含まれる3個の参照点P4,P6,P7との間に領域内連結性を有しているのに対して、領域内連結性の点数が最少である参照点P3については、参照点P3を含む個別領域E1とは異なる個別領域E2に含まれる1個の参照点P4との間に領域内連結性を有しているのみであり、不要な参照点をグループから除外するのが容易になる。
【0080】
上述のように、薬剤2を撮像してから個別領域をグループ化する処理を図2にまとめて示す。すなわち、撮像装置1により撮像された画像は、まず二値化手段11により二値化され(S1)、デジタル画像記憶手段12に格納される。デジタル画像解析判定手段13は、デジタル画像記憶手段12に格納された二値画像を読み出し、二値画像に含まれる塊領域の輪郭線の近傍に適数個の参照点を設定する(S2)。参照点の設定後には、各2個ずつの参照点の間の領域内連結性を判断し対応表を生成する(S3)。ここで、参照点をグループ化したときにグループごとに付与するグループ番号nと、参照点を領域内連結性の点数ごとに群化する際の参照点群番号jとを初期化する(S4)。
【0081】
対応表が生成された後には、まずどのグループにも属していない参照点の中から領域内連結性の点数が最少である参照点群Ujを生成する(S5)。参照点を区別する参照点番号iを初期化し(S6)、参照点番号iの参照点が参照点群Ujに含まれるか否かを判断する(S7)。着目する参照点が参照点群Ujに含まれていない場合には、参照点番号iをインクリメントして(S8)、次の参照点について参照点群Ujに含まれるか否かを判断する(S7)。参照点が参照点群Ujに含まれるときには、当該参照点がいずれかのグループに属しているか否かを判断し(S9)、どのグループにも属していない場合に、当該参照点について相互に領域内連結性を有する参照点を抽出し、相互に領域内連結性を有する参照点を1つのグループとする(S10)。こうして1つのグループが形成されると、グループに属する参照点を対応表から除去し、グループ番号をインクリメントする(S11)。さらに、残った参照点の個数が参照点番号iよりも大きいときには(S12)、参照点番号iをインクリメントし(S8)、ステップS7からステップS11の処理を繰り返す。なお、ステップS9において着目する参照点がすでに他のグループに属しているときには、参照点番号iをインクリメントしてステップS7に戻る。上述の処理によって、各参照点をグループ化し、グループに属していない参照点の個数が参照点番号iよりも少なくなれば、どのグループにも属していない参照点が残っているか否かを判定し(S13)、参照点が残っている場合には、参照点群番号jをインクリメントして(S14)、残っている参照点のうち領域内連結性の点数が次に大きい参照点群について参照点群Ujを生成し(S5)、再びステップS6からステップS12の処理を行う。以上の処理は、すべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで続けられる。
【0082】
上述した処理手順によって粒状物体である薬剤2の個数はグループの個数に一致するから、薬剤2の個数を計数することが可能になる。ここで、薬剤2の剤形についても判別することができれば、ひとまとめにする複数個の薬剤2を誤って混在させる可能性をより低減できると考えられる。そこで、以下では、剤形が円形錠剤かカプセルかなどの種別を判別するために、各個別領域の輪郭線を分離する技術について説明する。要するに、グループについて境界を正確に求めることにより、個別領域を各別に分離するのである。
【0083】
以下では、図21のようにグループG1〜G5を形成した場合を例として説明する。この場合、塊領域D2に対しては1個のグループG4が存在するだけであるから、塊領域D2は1個の個別領域E5を形成しているものとして、以下の処理から除外する。グループ化の後に個別領域E1〜E4の境界を決定するには、まず輪郭線Lを追跡し、塊領域D1の輪郭線Lの形状を抽出する(参照点の設定の際に輪郭線追跡を行う場合には、参照点P1〜P12の設定時に求めた輪郭線Lの形状を用いてもよい)。次に、図27に示すように、輪郭線Lの上であって参照点P1〜P12にもっとも近い判定点R1〜R12を設定する。次に、輪郭線Lに沿って各判定点R1〜R12がどのグループG1〜G3,G5に属するのかを求める。さらに、輪郭線Lに沿って隣り合う判定点R1〜R12であって、かつ異なるグループG1〜G3,G5に属する判定点R1〜R12のペアを抽出する。たとえば、図27に示す例では、判定点R3,R4のペア、判定点R4,R5のペア、判定点R6,R7のペア、判定点R8,R10のペア、判定点R12,R9のペア、判定点R9,R1のペアの6ペアになる。このようにして求めた判定点R1〜R12のペアの間において輪郭線Lの曲率を求め、曲率が最大になる位置を各グループG1〜G3,G5に対応する個別領域の境界点B1〜B6とする。各境界点B1〜B6のうちで同グループG1〜G3,G5の間である2個ずつの境界点B1〜B6を結ぶ線分を境界線とし、各個別領域E1〜E4を境界線によって分離する。つまり、図示例では境界点B1,B6はグループG1,G5の間にあり、境界点B2,B3はグループG2,G5の間にあり、境界点B4,B5はグループG3,G5の間にあるから、境界点B1,B6の間と、境界点B2,B3の間と、境界点B4,B5の間とにそれぞれ境界線を設定する。このように設定した境界線により塊領域D1を分割すれば、図28に示すように、塊領域D1を各個別領域E1〜E4にほぼ正確に分割することが可能になる。
【0084】
塊領域D1を個別領域E1〜E4に分割した後には、個別領域E1〜E5の形状に関する特徴量(面積、幅、高さ、輪郭線の曲率分布など)に基づいて剤形を判別し、薬剤2の種別ごとの個数を計数したり、種別の間違いや異物の混入の検査が可能になる。
【0085】
さらに精度よく薬剤2の種別を判別するには、検査台3に載置する薬剤2を撮像装置1により撮像した画像をテンプレートとして登録しておき、上述のようにして個別領域E1〜E4を分割した後に、各個別領域E1〜E5をテンプレートとパターンマッチングすることによって薬剤2の種別を判定してもよい。このようなテンプレートを用いると、薬剤2の種別ごとの個数を検査したり、種別の間違いや異物の混入の検査が可能になるだけではなく、薬剤2の割れなどの良否検査も可能になる。
【0086】
上述した処理は粒状物体が一様に不透明であるという仮定で説明したが、実際には透明である薬剤2(ソフトタブレットと称するゼリー状の薬剤2や透明なカプセルに液体を封じた薬剤2など)や、粒状物体の外周に囲まれる部位に孔が存在する薬剤2(服用時に喉に詰まっても窒息することがないように中央部に孔を設けているドーナツ状の薬剤2など)がある。これらの薬剤2についても上述した処理を可能とするためには、二値画像において各薬剤2の内側となる部位の画素値を0に設定しておく前処理が必要である。
【0087】
いま、透明な薬剤2について考察すると、透過照明を行う照明装置4を用いると、光の屈折によって薬剤2の中央部が明るくなり外周部のみが暗くなったドーナツ状のシルエットが形成される。また、上述のように中央部に孔を設けた薬剤2においても同様なシルエットが形成される。この種の薬剤2を撮像装置1で撮像し、二値画像を生成すると、図29に示すように、1個の個別領域Eの内側に背景と同じ値を持つ穴領域Hが形成されることになる。つまり、個別領域Eの輪郭線Lの近傍に参照点P1,P2を設定すると、両参照点P1,P2を結ぶ連結線分s(1−2)が穴領域Hを通過するから、両参照点P1,P2の間には領域内連結性がなく、上述した処理を行うと参照点P1,P2を1つのグループとして扱うことができなくなる。つまり、1つの個別領域Eの中に背景と同じ値の穴領域Hが存在する場合には、上述した処理手順のみでは個別領域Eを正しく抽出することができない。
【0088】
そこで、個別領域Eの中に穴領域Hが生じるような薬剤2が存在することを考慮し、以下のように二値画像から穴領域Hを除去する前処理を行う。ここで、複数個の薬剤2が互いに接触しているような場合には、図30(a)に示すように、複数個(図示例では4個)の個別領域E1〜E4からなる塊領域Dが形成され個別領域E1〜E4に囲まれた穴領域H2が形成されることがあるから、塊領域Dの中の穴領域H1,H2として、1つの個別領域E1の内側の穴領域H1と、個別領域E1〜E4に囲まれた穴領域H2とが生じる。つまり、穴領域H1を除去するには、1つの個別領域E1の内側の穴領域H1であるか、個別領域E1〜E4に囲まれた穴領域H2であるかを識別することが必要である。
【0089】
まず、塊領域Dの中に穴領域H1,H2が存在するか否かを、輪郭線を抽出するとともに輪郭線の内側の画素値を判別することによって識別する。つまり、輪郭線によって囲まれる図形の内側の画素値が1(つまり、背景と同じ画素値)であれば、この輪郭線に囲まれた領域は穴領域H1,H2と判別することができる。図30(a)からわかるように、上述した理由によって個別領域E1の内側に形成される穴領域H1は単純な円形や楕円形になり滑らかに連続しているのに対して、複数個の個別領域E1〜E4に囲まれることによって形成された穴領域H2の輪郭線には輪郭線上を順次追跡したときの曲率の変化が不連続となる複数個の曲率不連続点F1〜F4が形成される。この性質を利用すれば、穴領域H1,H2の輪郭線上を順次追跡し、輪郭線の所定の間隔ごとの曲率を調べ、曲率不連続点F1〜F4の有無を判別することで、穴領域H1,H2の種類を識別することが可能であるから、個別領域E1の内側である穴領域H1については、図30(b)のように輪郭線の内側の画素の値を0(つまり、個別領域E1〜E4の他の部位の値)にし、穴領域H1を除去する。このような前処理を行うことによって、上述した処理手順で個別領域E1〜E4を分離することが可能になる。
【0090】
ところで、薬剤2を包装材により包装した状態で撮像する場合では、包装材の表面反射によって1個の個別領域に複数個の小さな穴領域がノイズとして生じることがあり、また包装材の表面に汚れがあると汚れの部分が個別領域と同じ画素値を持ちノイズになることもある。この種のノイズの影響を除外するために、塊領域とともにその中に含まれる穴領域を検出し、既知である薬剤2の寸法および予測される穴領域の寸法を考慮し、小さな塊領域および穴領域をノイズとみなして除去するのが望ましい。
【0091】
上述した処理手順では、薬剤2の接触部位の長さが短いほど異なる個別領域に跨る連結線分が形成される可能性が低減し、結果的に個別領域の分離が容易になって誤認識の可能性を低減することができる。そこで、図31(a)のように複数個の個別領域E1〜E4が連続した塊領域Dが形成されているときには、あらかじめ縮小処理(つまり、輪郭線Lを所定の画素分だけ塊領域Dの内側にずらす処理)を行うことによって、図31(b)のように個別領域E1〜E4の接触部位の長さを小さくしておくことが望ましい。このような処理を行うことにより、塊領域Dから個別領域E1〜E4を分離する際の信頼性が向上する。
【0092】
【発明の効果】
請求項1の発明は、検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備え、デジタル画像解析判定手段は、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置する機能と、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化の機能と、参照点のグループとデジタル画像内における粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査する機能とを備えるものであり、複数個の粒状物体に対応する個別領域が接触して塊領域が形成されている場合であっても、塊領域が複数個の個別領域からなるものであるか否かをグループの個数で容易に判別することができる。しかも、透過照明または落射照明などの比較的簡単な照明を用いかつ静止画像を撮像するだけであるから、特殊かつ高価な装置を用いることなく、汎用的かつ安価な機器によって構成することが可能になる。その上、粒状物体の分離に際して連結線分が塊領域の外側を通るか否かの判断を用いるから、連結線分の端点となる参照点の位置を適宜に設定すれば、大きさや形状が異なっていたり多少の凹み部分を持っていたりする粒状物体が混在していても、粒状物体を正しく分離して個数の計数が可能になる。さらに、塊領域の輪郭線の形状を細かく解析したり処理時間のかかるパターンマッチング処理を画像の全体に対して行う必要もなく、少数の参照点について連結線分が塊領域の外側を通過するか否かの評価のみで、塊領域が複数個の個別領域からなるものであるか否かを短時間で判断することができる。
【0093】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、デジタル画像が、撮像装置により撮像された画像の濃度に関して二値化した二値画像であるから、多値画像を用いる場合に比較して処理が簡単であり、処理時間の一層の短縮を図ることができる。
【0094】
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、個別領域のうち縦または横の幅寸法が最小である個別領域に参照点が少なくとも2個設定されるように参照点を配置するから、各個別領域ごとに必要十分な個数の参照点を設定することができ、塊領域を構成する個別領域の個数を誤認識する可能性を低減できる。
【0095】
請求項4の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線に対して規定した距離だけ内側に参照点を設定するので、輪郭線に凹み部分が存在するような粒状物体が含まれている場合でも各粒状物体を正しく認識することができる。
【0096】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、個別領域の輪郭線に生じる凹み部分に対して連結線分が個別領域の内側を通過するように、参照点と輪郭線との距離を設定するから、検査対象である粒状物体の大きさや粒状物体の輪郭線に生じる凹み部分の大きさに応じて参照点の位置を調節することになり、結果的に個別領域の個数を誤認識する可能性を低減することができる。
【0097】
請求項6の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線に沿って規定した間隔で参照点を設定するので、参照点を適切に配置することができる。
【0098】
請求項7の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、塊領域の内側に位置する格子点を起点として複数の方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点と輪郭線との距離が最短になる方向の線上に参照点を設定するので、輪郭線の追跡が不要であり塊領域の面積が比較的大きい場合でも高速な処理が期待できる。
【0099】
請求項8の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、塊領域の内側に位置する格子点を起点として各格子点ごとに定めた1つの方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点から輪郭線を探索する方向の線上に参照点を設定するので、参照点を設定する処理が単純であって、参照点の個数が比較的少ないときには特に高速な処理が期待できる。
【0100】
請求項9の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線の曲率が規定値より大きい部位の両側近傍の所定の距離に参照点を設定するので、隣接する個別領域に含まれる参照点との間の連結線分が塊領域内のみを通過する可能性を低減することができ、塊領域から個別領域を分離する際の信頼性を向上することができる。
【0101】
請求項10の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点ごとに連結線分の上の点か否かを判定し、当該輪郭点が連結線分の上の点であるときには当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断するので、参照点を結ぶ連結線分の上の全画素の座標を求める必要がなく、結果的に連結線分が塊領域の外を通過するか否かの判定のための処理に対する負荷が小さくなり高速な処理が期待できる。すなわち、参照点間を結ぶ連結線分が塊領域の内側のみを通過するか否かを判断するために、連結線分上のすべての画素について画素値を判断するとすれば、連結線分の式に基づいて連結線分の上の各画素の座標を求める必要があり、この場合には、(連結線分の本数)×(連結線分の上の画素数)に相当する回数だけ座標演算を行うとともに画素値の判定を行うことが必要であって、多くの時間を費やすことになる。これに対して、請求項10の発明では、輪郭線の上の輪郭点が参照点間を結ぶ連結線分の上に位置するときには、当該連結線分の端点である参照点の組には領城内連結性がないと判定するだけであるから、演算量を大幅に低減することが可能になる。
【0102】
請求項11の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点の座標が連結線分の両端の参照点の間の座標であって、かつ当該輪郭点の座標を当該連結線分の式に代入して等式が成立するときに、当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断するので、連結線分の式に対して輪郭点の座標を代入するだけの単純な演算で連結線分が塊領域の外側を通過するか否かの判断が可能になり、演算量を大幅に低減することができる。
【0103】
請求項12の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線の上に複数個の区分点を設定するとともに隣接する区分点間を結ぶ区分線分を設定し、連結線分と区分線分とが交差しているときに連結線分が塊領域の外側を通過すると判断するので、塊領域の輪郭線を区分線分からなる多角形で近似したことになり、輪郭線の上の輪郭点について1点ずつ判断する場合に比較すると短時間での判断が可能になる。
【0104】
請求項13の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、参照点ごとに他の参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過する本数を計数し、当該本数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過する参照点をすべて抽出するとともに抽出したすべての参照点の組合せで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たす参照点をグループとする処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すものであり、この処理を行うことによって、仮に異なる個別領域に含まれる参照点の間を結ぶ連結線分が塊領域の外側を通過しない場合であっても、すべての参照点の組合せで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たす参照点をグループとする処理を行うことによって、参照点を正しくグループ化することができる。
【0105】
請求項14の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、参照点の全組合せを行列要素とする正方行列に対して各参照点間の連結線分が塊領域の外側を通過するか否かを行列要素に対応付けて格納し、各参照点ごとに連結線分が塊領域の内側のみを通過している行列要素の個数を求め、当該個数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過するすべての参照点の組合せからなる部分行列を正方行列から生成し、当該部分行列の行列要素のすべてで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たすときに当該部分行列の要素である参照点をグループとし、グループとなった参照点を正方行列の行および列から除いた部分行列を生成する処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すものであり、仮に異なる個別領域に含まれる参照点の間を結ぶ連結線分が塊領域の外側を通過しない場合であっても、すべての参照点の組合せで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たす参照点をグループとする処理を行うことによって、参照点を正しくグループ化することができる。しかも、連結線分に対応した行列要素を持つ行列を用いるから、グループ化の処理が単純化される。
【0106】
請求項15の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線に沿って異なるグループに属する2個の参照点を抽出し、当該2個の参照点の間の輪郭線において曲率が最大である部位を隣接する個別領域の境界線上の部位と判断するので、個別領域を分割するための境界線を容易に設定することができ、塊領域を個別領域に分割する処理を正確かつ容易に行うことができる。
【0107】
請求項16の発明では、請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域の輪郭線の内側に背景と同じ画素値の領域が存在するときに穴領域として検出し、穴領域の輪郭線が滑らかに連続しているときに当該穴領域を埋めるので、複数の個別領域に囲まれて形成されているような穴領域と個別領域の内側に形成される穴領域とを区別し、個別領域の内側の穴領域のみを埋めることができるから、粒状物体が透明であったりドーナツ状であったりしても、個別領域を正しく切り出すことが可能になる。
【0108】
請求項17の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、塊領域における輪郭線の近傍の画素を除去する縮小処理を行った後に参照点を設定するので、隣接する個別領域の接続部位の長さを小さくすることになり、異なる個別傾城に含まれる参照点の間で連結線分が塊領域の内側のみを通過する可能性を低減し、結果的に個別領域の分割の信頼性を向上させることができる。
【0109】
請求項18の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、個別領域の形状に関する特徴量を用いて粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断の少なくとも一方を検査項目として検査するので、参照点を用いて分割した各個別領域に対応する粒状物体に関して個数検査や種別検査を容易に行うことができる。
【0110】
請求項19の発明では、請求項1または請求項2の発明において、デジタル画像解析判定手段は、検査対象となる粒状物体のテンプレートに個別領域をパターンマッチングすることにより粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断と粒状物体の良否判定との少なくとも1つを検査項目として検査するので、参照点を用いて分割した各個別領域に対応する粒状物体に関して個数検査や種別検査や良否判定を容易に行うことができる。
【0111】
請求項20の発明は、検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備える検査装置により粒状物体に関する検査項目を検査する粒状物体の検査方法であって、デジタル画像解析判定手段では、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置した後、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化を行い、次に、参照点のグループとデジタル画像内における粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査することを特徴としており、複数個の粒状物体に対応する個別領域が接触して塊領域が形成されている場合であっても、塊領域が複数個の個別領域からなるものであるか否かをグループの個数で容易に判別することができる。しかも、透過照明または落射照明などの比較的簡単な照明を用いかつ静止画像を撮像するだけであるから、特殊かつ高価な装置を用いることなく、汎用的かつ安価な機器によって構成することが可能になる。その上、粒状物体の分離に際して連結線分が塊領域の外側を通るか否かの判断を用いるから、連結線分の端点となる参照点の位置を適宜に設定すれば、大きさや形状が異なっていたり多少の凹み部分を持っていたりする粒状物体が混在していても、粒状物体を正しく分離して個数の計数が可能になる。さらに、塊領域の輪郭線の形状を細かく解析したり処理時間のかかるパターンマッチング処理を画像の全体に対して行う必要もなく、少数の参照点について連結線分が塊領域の外側を通過するか否かの評価のみで、塊領域が複数個の個別領域からなるものであるか否かを短時間で判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】同上におけるグループ化の技術を説明する流れ図である。
【図3】(a)は撮像装置により撮像した画像を示す図、(b)は二値画像を示す図である。
【図4】本発明の原理説明図である。
【図5】本発明の概念を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態における参照点の設定例を示す説明図である。
【図7】同上において格子を用いた参照点の設定方法を示す説明図である。
【図8】同上において格子を用いた参照点の設定例を示す説明図である。
【図9】同上において格子を用いた参照点の他の設定例を示す説明図である。
【図10】同上における参照点の別の設定例を示す説明図である。
【図11】同上における領域内連結性の評価方法を示す説明図である。
【図12】同上における領域内連結性の他の評価方法を示す説明図である。
【図13】同上においてグループ化に用いる対応表を示す図である。
【図14】同上において相互に領域内連結性を有することを確認するための部分行列を示す図である。
【図15】同上においてグループ化の過程で用いる部分行列を示す図である。
【図16】同上においてグループ化の過程で用いる部分行列を示す図である。
【図17】同上において相互に領域内連結性を有することを確認するための部分行列を示す図である。
【図18】同上においてグループ化の過程で用いる部分行列を示す図である。
【図19】同上においてグループ化の過程で用いる部分行列を示す図である。
【図20】同上において相互に領域内連結性を有することを確認するための部分行列を示す図である。
【図21】同上においてグループ化の概念を説明する図である。
【図22】同上に用いる処理手順の正当性を説明する図である。
【図23】図22に示す例での対応表を示す図である。
【図24】比較例で用いる部分行列を示す図である。
【図25】図22に示す例でのグループ化の過程で用いる部分行列を示す図である。
【図26】図22に示す例において相互に領域内連結性を有することを確認するための部分行列を示す図である。
【図27】本発明の実施例において個別領域の分割方法を示す図である。
【図28】同上において個別領域を分割した状態を示す図である。
【図29】同上において穴領域を生じる例を示す図である。
【図30】同上において穴領域を生じる場合の前処理の例を示す説明図である。
【図31】同上において信頼性を向上させるための前処理の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 撮像装置
2 薬剤
3 検査台
4 照明装置
11 二値化手段
12 デジタル画像記憶手段
13 デジタル画像解析判定手段
Claims (20)
- 検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備え、デジタル画像解析判定手段は、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置する機能と、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化の機能と、参照点のグループと前記デジタル画像内における前記粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査する機能とを備えることを特徴とする粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像が、前記撮像装置により撮像された画像の濃度に関して二値化した二値画像であることを特徴とする請求項1記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記個別領域のうち縦または横の幅寸法が最小である個別領域に前記参照点が少なくとも2個設定されるように参照点を配置することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に対して規定した距離だけ内側に前記参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記個別領域の輪郭線に生じる凹み部分に対して前記連結線分が前記個別領域の内側を通過するように、前記参照点と輪郭線との距離を設定することを特徴とする請求項4記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に沿って規定した間隔で前記参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、前記塊領域の内側に位置する格子点を起点として複数の方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点と輪郭線との距離が最短になる方向の線上に参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記デジタル画像の画面内に一定間隔の格子点を設定し、前記塊領域の内側に位置する格子点を起点として各格子点ごとに定めた1つの方向に輪郭線を探索するとともに、各格子点から輪郭線を探索する方向の線上に参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の曲率が規定値より大きい部位の両側近傍の所定の距離に前記参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点ごとに前記連結線分の上の点か否かを判定し、当該輪郭点が連結線分の上の点であるときには当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上の点である各輪郭点の座標が前記連結線分の両端の参照点の間の座標であって、かつ当該輪郭点の座標を当該連結線分の式に代入して等式が成立するときに、当該連結線分が塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の上に複数個の区分点を設定するとともに隣接する区分点間を結ぶ区分線分を設定し、前記連結線分と区分線分とが交差しているときに前記連結線分が前記塊領域の外側を通過すると判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記参照点ごとに他の参照点との間の連結線分が前記塊領域の内側のみを通過する本数を計数し、当該本数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過する参照点をすべて抽出するとともに抽出したすべての参照点の組合せで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たす参照点を前記グループとする処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記参照点の全組合せを行列要素とする正方行列に対して各参照点間の連結線分が前記塊領域の外側を通過するか否かを行列要素に対応付けて格納し、各参照点ごとに連結線分が塊領域の内側のみを通過している行列要素の個数を求め、当該個数の少ない参照点から始めて、当該参照点との間の連結線分が塊領域の内側のみを通過するすべての参照点の組合せからなる部分行列を前記正方行列から生成し、当該部分行列の行列要素のすべてで連結線分が塊領域の内側のみを通るという条件を満たすときに当該部分行列の要素である参照点を前記グループとし、グループとなった参照点を前記正方行列の行および列から除いた部分行列を生成する処理を行い、当該処理をすべての参照点がいずれかのグループに属するようになるまで繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線に沿って異なるグループに属する2個の参照点を抽出し、当該2個の参照点の間の輪郭線において曲率が最大である部位を隣接する前記個別領域の境界線上の部位と判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域の輪郭線の内側に背景と同じ画素値の領域が存在するときに穴領域として検出し、穴領域の輪郭線が滑らかに連続しているときに当該穴領域を埋めることを特徴とする請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記塊領域における輪郭線の近傍の画素を除去する縮小処理を行った後に前記参照点を設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、前記個別領域の形状に関する特徴量を用いて粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断の少なくとも一方を前記検査項目として検査することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 前記デジタル画像解析判定手段は、検査対象となる粒状物体のテンプレートに前記個別領域をパターンマッチングすることにより粒状物体の種別を判断するとともに、粒状物体の種別ごとの個数の計数と粒状物体の種別の間違いの判断と粒状物体の良否判定との少なくとも1つを前記検査項目として検査することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒状物体の検査装置。
- 検査対象である粒状物体を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された画像の濃度に関してデジタル化したデジタル画像を記憶するデジタル画像記億手段と、デジタル画像内において複数個の粒状物体に対応する領域が互いに接触しているときに各粒状物体に対応する領域を分割する機能を有した画像解析判定手段とを備える検査装置により粒状物体に関する検査項目を検査する粒状物体の検査方法であって、デジタル画像解析判定手段では、デジタル画像において粒状物体に対応する塊領域の輪郭線の近傍部位に複数個の参照点を分散して配置した後、互いに他の参照点同士を連結した連結線分を生成したときにどの連結線分も塊領域の外を通らない参照点の組合せを1つのグループとしてすべての参照点にグループを対応付けるグループ化を行い、次に、参照点のグループと前記デジタル画像内における前記粒状物体の画像領域である個別領域とを一対一に対応付けることにより粒状物体に関する検査項目を検査することを特徴とする粒状物体の検査方法。
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