JP2004233199A - 官能基導入反応生成物の反応率分析方法 - Google Patents

官能基導入反応生成物の反応率分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】末端に水酸基を有する高分子化合物を原料とし、その末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応における反応率を求める方法において、微量の残存ヒドロキシル体でも精度良く定量できるとともに、異なる分子量の不純物を同時に定量できる分析方法を提供する。
【解決手段】末端に水酸基を有し分子量が1000〜100000の高分子化合物を原料として、該末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応で、GPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いて残存する末端水酸基含有高分子化合物を定量することにより、官能基導入反応生成物の反応率を求めることを特徴とする分析方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、末端に水酸基を有する高分子化合物を原料とし、その末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応における反応率を求める分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医薬用途を目的とした高分子化合物の開発が盛んに行われている。そのひとつとして生理活性蛋白質、酵素などの薬物安定化に利用される修飾剤としての末端変性ポリオキシアルキレン化合物があるが、これを用いた製剤を開発する際、製剤の均質性や薬物との高い反応性が要求されることから、活性基の導入反応率が高いものでなければならない。また製剤の均質性に関する問題から、目的分子量の二倍量体、三倍量体などの不純物含有量が低いものが要求されている。また、このような高分子化合物の製造工程における中間体の末端官能基導入反応の反応率や高分子量の不純物含量も重要となる。
このような高分子化合物の末端官能基導入反応の反応率を求める方法として、未反応のヒドロキシル体を定量する方法がある。
ヒドロキシル体を定量する方法としては、滴定による水酸基価を求める方法がよく知られている。この方法は、水酸基価を測定する目的で用いられるが、分子量既知の化合物について測定した場合、ヒドロキシル体の含有量を求めることができる。水酸基価は規定の方法に基づき1gの試料に含まれる遊離の水酸基をアセチル化するために必要な酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。
しかし、この方法では、試料の分子量が大きくなるほど水酸基価は小さい値となるため、相対的な誤差が大きくなり信頼性のある分析値が得られないという問題点がある。すなわち、高分子化合物の末端反応率を求める際に、含まれる微量の末端ヒドロキシル体を定量する場合は非常に誤差が大きくなる。
微量に含有するヒドロキシル体を高感度で検出する方法として、分析試料に発色基を持つラベル化試薬を反応させ、逆相系や順相系の液体クロマトグラフィーで分離し、UV検出器で検出する方法がある(非特許文献1)。また、分離法として薄層クロマトグラフィーを用いたものもある(非特許文献2)。しかし、上述の方法のうち、逆相系や順相系の液体クロマトグラフィーでヒドロキシル体を定量する方法では、分子量が50〜500である低分子化合物のヒドロキシル体が対象化合物であるため、高分子量化合物には適していない。特に異なる分子量の高分子化合物が混在する場合、これらの化合物を分離するのは困難である。また、薄層クロマトグラフィーによりヒドロキシル体を定量する方法は、特に高分子化合物の場合、分離度の再現性や精度が悪く、また適当なRf値を持たないなどの問題点がある。
【0003】
【非特許文献1】Journal of Chromatography, 237 (1982) 399−406
【非特許文献2】Fresenius Z. Anal. Chem. 309, 201−208 (1981)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、末端に水酸基を有する高分子化合物を原料とし、その末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応における反応率を求める方法において、上記のような従来の分析方法の課題を解決し、微量の残存ヒドロキシル体でも精度良く定量できるとともに、異なる分子量の不純物を同時に定量できる分析方法を提供することを目的とする。
【0005】
【発明の解決するための手段】
すなわち、本発明は、末端に水酸基を有し分子量が1000〜100000の高分子化合物を原料として、該末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応で、GPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いて残存する末端水酸基含有高分子化合物を定量することにより、官能基導入反応生成物の反応率を求めることを特徴とする分析方法である。
さらには、末端官能基導入反応の反応率を求める分析方法が
(a)検量線用標準体として官能基導入反応の原料化合物にイソシアネートラベル化試薬でラベル化を行ったものについてGPC測定を行い、得られるRIのクロマトグラムのピーク面積に対するUVまたは蛍光のクロマトグラムのピーク面積比を反応時間に対してプロットすることにより検量線を作成し、
(b)同様に官能基導入反応生成物にラベル化を行い、液体クロマトグラフィーで分析を行い、得られたRIピーク面積に対するUVまたは蛍光のピーク面積比から(a)で作成した検量線を用いて残存する末端水酸基含有高分子化合物の定量を行う
ことを特徴とする請求項1記載の分析方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明の分析方法の対象となる官能基導入反応生成物(1)としては、末端に水酸基を有する高分子化合物を原料とし、その末端をイソシアネートで反応しない官能基を導入した化合物である限り特に限定されない。
【0007】
原料となる高分子化合物は、直鎖状または分枝状でもよい。具体的にはポリオキシアルキレン、ポリメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコールなどの化合物が挙げられる。
好ましくは水酸基を1〜8個持つポリオキシアルキレン基を有する化合物であり、このオキシアルキレン基は炭素数2〜18で、1種または2種以上が付加されていてもよい。2種以上のオキシアルキレン基が付加するときのその付加状態は、ブロック状でもランダム状でもよい。
特に好ましくは水酸基を1個持つ直鎖状ポリオキシアルキレン化合物、または末端に一つ以上の水酸基を持つ3本〜8本の鎖状構造を持つ分岐状ポリオキシアルキレン化合物が挙げられる。
【0008】
また、分子量は1000〜100000で、好ましくは2000〜50000、より好ましくは5000〜30000である。例えば片末端にヒドロキシル基を持つ直鎖状ポリオキシアルキレン化合物の分子量が1000より大きいと、水酸基価を用いた方法では、精度が低くなることが予想される。
【0009】
原料である高分子化合物の末端水酸基に導入する、イソシアネートと反応しない官能基としては、水酸基の酸素原子に結合する官能基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、メタリル基、エチニル基、などのアルキル基またはアルケニル基;ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、ジブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジオクチルフェニル基、ジノニルフェニル基、p−ニトロベンジル基、シンナミル基、5−ジベンゾスベリル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基などのアリール基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−(イソプロポキシ)エチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、ベンジルオキシメチル基、などのアルコキシアルキル基;メチルチオメチル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、などのアルキルチオアルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、などのアルキルシリル基またはアリールシリル基;ジメチルアミノアルキル基、メチルエチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基、ジプロピルアミノアルキル基、ジイソプロピルアミノアルキル基などの第3級アミノアルキル基;シアノメチル基、シアノエチル基、p−シアノベンジル基などのシアノアルキル基またはシアノアリール基が挙げられる。
隣接または近接するヒドロキシル基に導入する官能基、例えば1,2−ジオール、1,3−ジオールを持つ化合物の水酸基に導入する官能基としては、1−t−ブチルエチルケタール基、1−フェニルエチルケタール基、イソプロピリデンケタール基、シクロペンチリデンケタール基、シクロヘキシリデンケタール基、シクロヘプチリデンケタール基、などの環状ケタール基が挙げられる。
中でも好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基、シアノエチル基であり、より好ましくはメチル基、シアノエチル基である。
これらの官能基導入反応としては、公知の方法を用いて行うことができる。具体的にはエーテル化、シリルエーテル化、シアノアルキル化などがあげられる。
【0010】
本発明の分析方法においては、官能基導入反応生成物(1)のラベル化を行うため、有機溶媒に溶解させ、触媒としてジブチルチンジラウレートを添加し、イソシアネートラベル化試薬を反応させ、生成した官能基導入反応生成物(1)のラベル化体(1’)を得る。
また、検量線用標準体は、官能基導入反応生成物(1)の原料である高分子化合物(2)を用いて、同様の方法でラベル化を行い、原料である高分子化合物(2)のラベル化体(2’)を得る。
有機溶媒としては、官能基導入反応生成物(1)が可溶で、またイソシアネートと反応しない溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン等が挙げられ、好ましくは塩化メチレンである。使用量は任意であるが、(1)成分の1.5〜4重量倍が望ましい。ラベル化試薬として用いるイソシアネートは水と反応するため、有機溶媒は脱水処理を行ってから用いる。
【0011】
イソシアネート試薬としては、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、アントラセニルイソシアネート、パラニトロフェニルイソシアネート、ジニトロフェニルイソシアネート等の紫外吸収または蛍光吸収を持つ芳香族官能基を持つモノイソシアネート化合物を用いる。また、イソシアネート試薬添加量は(1)成分の5〜10等量であるのが望ましい。
ジブチルチンジラウレートの添加量は、任意であるが、(1)成分の0.01〜0.03重量倍であるのが望ましい。
【0012】
反応温度は任意であるが、通常は25℃から、使用する有機溶媒の沸点までであり、好ましくは25〜60℃である。反応時間も任意であるが、反応の終点は分析対象化合物によって異なるため、反応時間を予め確認しておいて行うことが好ましい。反応時間の測定方法は、以下のように行う。反応溶液の一部を反応途中でサンプリングし、GPC測定により得られるRIのクロマトグラムのピーク面積に対するUVまたは蛍光のクロマトグラムのピーク面積比を反応時間に対してプロットし、その値が飽和した点とする。なお、イソシアネートは反応系内の水と容易に反応するので、系内を窒素気流下または窒素雰囲気下にしておくことが望ましい。
【0013】
次に、(1)成分のラベル化体を精製するため、ラベル化反応により得られた反応溶液の不溶分を濾過しながら、適当な有機溶媒に再沈殿させ、これを濾別、乾燥する。
得られた反応溶液を再沈殿させる有機溶媒としては、(1)成分が溶解しにくく、ジブチルチンジラウレートおよびイソシアネート試薬が可溶であれば任意であるが、具体的にはジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ヘキサン等を挙げることができ、これらを単一溶媒として用いるか、これらを混合して用いるか、または(1)成分の可溶性溶媒と不溶性溶媒を混合して用いても良い。この場合、可溶性溶媒として酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、トルエンなどが挙げられる。
【0014】
本分析方法では(1)成分のラベル化体(1’)を溶離液で1mg/mL溶液として調製する。また、(2)成分および(2)成分のラベル化体(2’)について、同様に溶離液で1mg/mL溶液とにそれぞれ調製し、それらを混合して検量線用標準溶液を調製する。混合比は、(1)成分中の反応率(%)として推測される値から算出される残存未反応末端水酸基含有高分子化合物の含量(%)をもとに、(2)成分濃度が、その値を定量するのに適当となるような3〜5点とする。反応率を測定する(1’)成分および検量線用標準溶液についてそれぞれ調製したサンプルを、高速液体クロマトグラフィー装置を用いて測定する。
サンプルの注入方法としては、シリンジ法やバルブループ法などがあげられ、特に限定されないが、通常注入量は1〜100μl程度で行うことができ、50〜100μl程度が好ましい。
【0015】
分離カラムは、通常長さ5〜30cm、内径2〜10mm程度のステンレス製のものを用いることができ、この中に分離のためのゲル浸透クロマトグラフィー充填剤を充填することができる。
ゲル浸透クロマトグラフィー充填剤は、通常、シリカ系のゲルや、有機ポリマー系ゲルを用いることができる。有機ポリマー系ゲルとしては、溶離液が有機溶媒のときポリスチレンゲル、ポリメチルメタクリレートゲル等、水溶媒のときポリビニルアルコールゲルカラム、ポリアクリルアミドゲル、ポリヒドロキシエチルメタクリレートゲル等を挙げることができる。
【0016】
溶離液としては、ゲルを十分膨潤させ、低粘性で分析試料が可溶な溶媒が良く、有機系溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いることができる。水系溶媒として、塩を水に溶かして用いる。
高速液体クロマトグラフィーに際しての溶離液の流量(溶出速度)は任意であり、特に限定されず、またカラム内径によっても大きく異なるが、例えば内径2〜4.6mmのカラムを使用する場合では、0.3〜3ml/分程度で行うことができる。
高速液体クロマトグラフィーに際してのカラム温度は特に限定されないが,通常、室温〜溶離液液体沸点の範囲とすることができる。しかし、特にゲル浸透クロマトグラフィーは温度の影響を受けやすく、一般に温度が上がればカラム効率がよくなるので,カラム恒温槽を用いて室温〜40℃程度の範囲とすることが好ましい。
【0017】
高速液体クロマトグラフィーに使用する光学検出器は示差屈折検出器(RI)と、紫外吸収検出器(UV)または蛍光検出器を併用する。イソシアネートラベル化試薬の芳香族官能基の紫外または蛍光吸収強度によって、UVおよび蛍光検出器のうち適切な検出器を用いる。
以上の分析条件を用いて測定した場合、次のようなクロマトグラムが得られる。
まず、(1)成分のRIクロマトグラムでは、主ピークが(1)成分および(1)成分中の未反応末端水酸基含有高分子化合物の総量として現れる。一方、UVまたは蛍光クロマトグラムでは、RI検出器クロマトグラムの主ピークとほぼ同じ保持時間を持つピークが、(1)成分中に未反応末端水酸基含有高分子化合物が残存するとき、その量に相当して現れる。また、UV(蛍光)クロマトグラムでは、イソシアネート体およびイソシアネート体由来物質、ジブチルチンジラウレートなどが試料中に残存している場合、主ピークより遅い保持時間に現れるが、これらは低分子量であり、ピークが完全に分離するため主ピークの定量を妨害することはない。また、(1)成分中に不純物として異なる分子量の高分子または低分子化合物が含まれている場合でも、その分子量に相当する保持時間を持つため、ピークが分離して主ピークの定量を妨害することはない。
次に、検量線用標準溶液のRIクロマトグラムでは、主ピークは、原料化合物(2)成分およびラベル化体(2’)の総量として現れる。この主ピークは各濃度の標準溶液のいずれもほぼ同じ面積で現れる。一方、UVまたは蛍光クロマトグラムでは、RI検出器クロマトグラムの主ピークとほぼ同じ保持時間に、(2)成分の濃度(%)に相当するピークが現れる。
【0018】
以上のクロマトグラムから、(1)成分中の未反応末端水酸基含有高分子化合物の含有量は次のように算出する。
まず、それぞれの検量線用標準溶液の分析から得られたクロマトグラムのUVまたは蛍光/RI面積比を縦軸(y)に、それぞれの標準溶液中の(2)成分濃度(%)を横軸(x)に取り、回帰直線y=a×x+bを得る。次に(1)成分のクロマトグラムから得られた主ピークのUVまたは蛍光/RI面積比を、作成した検量線に代入し、未反応体の末端水酸基含有高分子化合物の含量(m%)を算出し、(100−m)(%)として反応率を求める。
本分析方法では原料化合物中に主成分の分子量と異なる分子量の末端水酸基含有化合物が含まれている場合、それらの総面積で検量線を作成し、各分子量の総量として反応率を求めることが可能である。また、不純物それぞれの分子量において検量線を作成することにより、各分子量の反応率をそれぞれ求めることも可能である。
また、反応原料化合物中にはないが、異なる分子量の末端水酸基含有化合物が官能基導入反応生成物中に含まれている場合、それらの分子量が既知であれば、すでに作成した検量線の回帰直線式を分子量補正したものを用いて、反応率を求めることが可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、微量の水酸基含有化合物を精度良く定量できることにより、高分子量化合物の誘導体化反応における反応率を高い精度で求められるとともに、異なる分子量の不純物を同時に定量することができ、非常に有用な分析方法である。
【0020】
【実施例】
本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明する。
実施例1
メトキシポリエチレングリコール(a)1000g(分子量5000、0.2モル)をアセトニトリル2000g(200重量%対原料)に溶解し、10%NaOH水溶液6g(0.6重量%対原料)を入れ、窒素ガス気流下、かき混ぜながら30℃に保持した。ついで、アクリロニトリル45g(0.85モル、425モル%対原料の水酸基)とアセトニトリル180gとをあらかじめ混合したものを滴下ロートに入れ、30±5℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成した後、アルカリ吸着剤(キョーワード700 協和化学工業(株)、商品名)を30g入れ、30分間同温度でかき混ぜた後、加圧濾過して触媒を除去した。ついで、未反応のアクリロニトリルおよび溶剤のアセトニトリルを670〜4000Pa(5〜30mmHg)の減圧下、窒素ガスを吹き込みながら120±5℃で留去して、970gのシアノエチル化メトキシポリエチレングリコール(b)を得た。
次の操作により、上記化合物の末端シアノエチル化反応の反応率を測定した。得られたシアノエチル化メトキシポリエチレングリコール(b)2gを塩化メチレン5mLに溶解し、ジブチルチンジラウレート50mg、1−ナフチルイソシアネート290mLを加え、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。ついで、反応溶液の不溶分を濾過しながら、氷冷したヘキサン/酢酸エチル(容量比2/1)100mL中に滴下した。生成する白色粉体を吸引ろ過にてろ別後、真空乾燥してナフチルカルバメート化体(b’)を得た。検量線用に末端シアノエチル化反応の原料であるメトキシポリエチレングリコール(a)も同様に反応し、ナフチルカルバメート化体(a’)を得た。
【0021】
メトキシポリエチレングリコール(a)と、ナフチルカルバメート化したメトキシポリエチレングリコール(a’)の1mg/mLDMF溶液をそれぞれ調製し、それらを混合して(a)成分が0.5、1、2、5、10重量%のDMF溶液となるように検量線用標準溶液を作成した。同様にシアノエチル化メトキシポリエチレングリコールのナフチルカルバメート化体(b’)についても、1mg/mLDMF溶液を測定試料として調製した。これらのGPC測定を以下の測定条件で行った。
<測定条件>
GPC装置 LC−10A((株)島津製作所製)
カラム PL gel MIXED−D(ポリマーラボラトリー) ×2
溶離液 DMF(特級)
カラム温度 65℃
流速 0.7mL/min
検出器 RIおよびUV(310nm)
サンプル濃度 1mg/mLDMF
インジェクション量 100μL
検量線用標準溶液の(a’)濃度(%)を横軸(x軸)に、RIクロマトグラムでメインピークとなる保持時間を持つピークのUV/RI面積比を縦軸(y軸)にとり、回帰直線を作成したところ、y=0.0788x+0.0015(相関係数=0.9999)が得られた。また、RIのクロマトグラムから、この反応原料(a)はメインピーク以外に異なる分子量の副生成物ピークは見られなかった。検量線を図1に示す。
測定試料のクロマトグラムから得られたメインピークUV/RI面積比をこの回帰直線式に代入し、未反応の末端水酸基含有高分子化合物含量(%)を求め、この値を100%から引くことにより末端官能基導入反応の反応率を算出した。
上記の方法で、繰り返し5回反応率測定を行ったときの、測定試料のUV/RI面積比、反応率(%)および相対標準偏差を以下に示す。
【0022】
【表1】
Figure 2004233199
【0023】
比較例1
実施例1のシアノエチル化反応率を水酸基価から算出した。水酸基価の測定は日本薬局方(第14改正)一般試験法65.油脂試験法、水酸基価に準じて行った。
上記の方法について、繰り返し5回測定を行ったときの、測定試料の水酸基価、反応率(%)および相対標準偏差を以下に示す。
【0024】
【表2】
Figure 2004233199
【0025】
実施例2
メトキシポリエチレングリコール(C)900g(分子量30000、0.030mol)をトルエン3.5kgに溶解し、還流脱水を行った後、40℃にてトリエチルアミン60.6kg(5モル当量)を加え、塩化メタンスルホン酸10.3kg(3モル当量)を滴下し,反応(38℃、8hrs)を行った。ろ過によりトリエチルアミン塩を除去後、ナトリウムメトキシド32.4kg(5モル当量)を加え、メチル化反応(70℃、8hrs)を行った。過剰の塩基をアルカリ吸着剤(キョ−ワード700)162kg(ナトリウムメトキシドに対して500重量%)で吸着処理し、ろ過により吸着剤をろ過した。ろ液に酢酸エチルを加え、ヘキサンにより晶析することによりジメトキシポリエチレングリコール(d)を得た。
次の操作により、上記化合物の末端メチル化反応の反応率を測定した。
得られたジメトキシポリエチレングリコール(d)0.5gをジブチルチンジラウレートの塩化メチレン溶液(4mg/mL)2.0mLに溶解し、1−ナフチルイソシアネート70mLを加え、窒素雰囲気下、2時間室温で攪拌、溶解した。ついで、反応溶液の不溶分を濾過しながら、氷冷したヘキサン/酢酸エチル(容積比1/1)30mL中に滴下した。生成した白色粉体を吸引ろ過にてろ別後、真空乾燥してナフチルカルバメート化体を得た。検量線用にメチル封鎖反応の原料であるメトキシポリエチレングリコール(c)も同様にナフチルカルバメート化を行った。
メトキシポリエチレングリコール(c)とナフチルカルバメート化したメトキシポリエチレングリコール(c’)の1mg/mLDMF溶液をそれぞれ調製し、それらを混合して(c)成分が1、3、5、10、20重量%のDMF溶液となるように検量線用標準溶液を作成した。同様にジメトキシポリエチレングリコール(d)のナフチルカルバメート化体(d’)についても、1mg/mLDMF溶液を測定試料として調製した。これらのGPC測定を実施例1と同じ測定条件で行った。
【0026】
検量線用標準溶液の(c’)濃度(%)を横軸(x軸)に、RIクロマトグラムでメインピークとなる保持時間を持つピークのUV/RI面積比を縦軸(y軸)にとり、回帰直線を作成したところ、y=0.0143x−0.0008(相関係数=1.0000)(メインピーク回帰直線式)が得られた。また、RIのクロマトグラムから、この反応原料(a)はその製造時に副生する二倍分子量のポリエチレングリコールを約3%含んでいたので、検量線用標準溶液の(c’)濃度(%)に対する二倍分子量体(Mw60000)ピークのUV/RI面積比について回帰直線を作成し、y=0.0069x−0.0029(相関係数=0.9999)が得られた(二倍分子量体回帰直線式)。
測定試料のクロマトグラムから得られたメインピークのUV/RI面積比をメインピーク回帰直線式に代入し、未反応末端水酸基含有高分子化合物含量(m%)を算出し、(100−m)(%)から末端反応率を算出した。一方、二倍分子量体の末端反応率(%)は、測定試料のそれぞれのクロマトグラムにおける二倍分子量体ピークのUV/RI面積比を二倍分子量体回帰直線式に代入して求めた未反応水酸基含量(n%)を算出して、(100−n)(%)により算出した。
上記の方法について、繰り返し5回反応率測定を行ったときの、メインピークUV/RI面積比、反応率(%)および相対標準偏差、さらに二倍分子量体の反応率(%)を以下に示す。
【0027】
【表3】
Figure 2004233199
【0028】
比較例2
実施例2のメチル封鎖反応率を水酸基価から算出した。水酸基価の測定は日本薬局方(第14改正)一般試験法65.油脂試験法、水酸基価に準じて行った。
上記の方法について、繰り返し5回測定を行ったときの、水酸基価、反応率(%)および相対標準偏差を以下に示す。
【0029】
【表4】
Figure 2004233199
【0030】
以上の結果から、分析値の精度の指標となる相対標準偏差を比較すると、本分析方法の方が水酸基価法よりも高い精度が得られた。また、本分析方法では、検量線を各分子量で作成することにより、二倍分子量体の定量も同時に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で求めた末端水酸基含有高分子化合物含量の検量線

Claims (2)

  1. 末端に水酸基を有し分子量が1000〜100000の高分子化合物を原料として、該末端にイソシアネートと反応しない官能基を導入する反応で、GPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いて残存する末端水酸基含有高分子化合物を定量することにより、官能基導入反応生成物の反応率を求めることを特徴とする分析方法。
  2. 末端官能基導入反応の反応率を求める分析方法が
    (a)検量線用標準体として官能基導入反応の原料化合物にイソシアネートラベル化試薬でラベル化を行ったものについてGPC測定を行い、得られるRIのクロマトグラムのピーク面積に対するUVまたは蛍光のクロマトグラムのピーク面積比を反応時間に対してプロットすることにより検量線を作成し、
    (b)同様に官能基導入反応生成物にラベル化を行い、液体クロマトグラフィーで分析を行い、得られたRIピーク面積に対するUVまたは蛍光のピーク面積比から(a)で作成した検量線を用いて残存する末端水酸基含有高分子化合物の定量を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の分析方法。
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