JP2004232383A - 落橋防止用緩衝装置及び落橋防止緩衝構造 - Google Patents
落橋防止用緩衝装置及び落橋防止緩衝構造 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】地震等による大きな衝撃を減衰させることにより橋桁の落下を防止できると共に、衝撃を受けた後も交換する必要がなく継続して使用が可能な落橋防止用緩衝装置を提供する。
【解決手段】落橋防止用緩衝装置10は、単位緩衝部材11を複数重ね合わせて構成されている。単位緩衝部材は、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて配置された一対の平坦な板状部材12と、板状部材の間にてその板面内に接着固定されて板状部材間を連結すると共に内部に複数の空洞部18を有するゴム弾性体部17とを有している。空洞部は、ゴム弾性体部の厚さ方向の中間位置にて対向する板状部材に平行に両端側に貫通した貫通孔であり、互いに平行であると共に所定間隔を隔てて配設されている。
【選択図】 図1
【解決手段】落橋防止用緩衝装置10は、単位緩衝部材11を複数重ね合わせて構成されている。単位緩衝部材は、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて配置された一対の平坦な板状部材12と、板状部材の間にてその板面内に接着固定されて板状部材間を連結すると共に内部に複数の空洞部18を有するゴム弾性体部17とを有している。空洞部は、ゴム弾性体部の厚さ方向の中間位置にて対向する板状部材に平行に両端側に貫通した貫通孔であり、互いに平行であると共に所定間隔を隔てて配設されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋桁又は橋脚側に取り付けられて、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側相互間の衝突による衝撃を吸収する落橋防止用緩衝装置及び落橋防止緩衝構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の落橋防止用緩衝装置としては、例えば、特許文献1に示すように、ゴム製の緩衝体の裏面に取付部材が面一に埋め込まれて成形された一対の緩衝材が、互いに対向する端横桁と橋脚側に取付部材によって取り付けられて、各緩衝体が互いに対向するようにされたものが知られている。この緩衝装置によれば、緩衝材同士が当接することにより、大きな横揺れ時に、端横桁と落橋防止壁とが衝突した際の衝撃が吸収され、落橋防止壁の崩壊が防止されることにより橋桁の落下が防止されるようになっている。しかし、この緩衝装置の場合、対向する緩衝体が衝突による大きな衝撃を受けることにより、ゴム弾性体がハードニングを起こして、大きな変位を吸収できなくなる、という問題がある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献2に示すように、曲げ弾性率が200kgf/cm2以上の材料例えば樹脂あるいは金属等の硬質材料で成形された衝撃吸収材であって、衝撃負荷方向の壁構造の特定部分が最初に変形することで衝撃を吸収するものが知られている。しかし、この衝撃吸収材は、硬質の樹脂等で形成されているものであり、一旦大きな衝撃を受けると塑性変形するため、大きな衝撃を受けた衝撃吸収材については、その後の継続使用が困難になる。そのため、大地震等が起きた後には、衝撃吸収材を交換する必要があり、交換の手間及び部材コストが膨大になるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−18227号公報(第2頁、図1−図4)
【特許文献2】
特開平11−71714号公報(第5頁、図1−図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、地震等による大きな衝撃を減衰ることにより橋桁の落下を防止できると共に、衝撃を受けた後も交換する必要がなく継続して使用が可能な落橋防止用緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における対向する一方側の壁面に取り付けられて、対向する他方側の衝突による衝撃を吸収する落橋防止用緩衝装置であって、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて順次配置された複数の平坦な板状部材と、複数の板状部材の間にて、板状部材の対向する板面内に接着固定されて板状部材間を連結すると共に、内部に空洞部を有するゴム弾性体部とを設けたことにある。
【0007】
上記のように構成した請求項1の発明においては、大地震等により、緩衝装置が相手側から大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部が大きく圧縮されるが、ゴム弾性体部内部には空洞部が設けられていることにより、圧縮の程度が大きくなってもゴム弾性体部がハードニングを起こすことなく、衝撃を吸収することができる。また、ゴム弾性体部は、板状部材に挟まれると共に板状部材に接着されているため、大きな衝撃を受けても、座屈することなく弾性変形を維持できる。そのため、大きな衝撃を受けても、その後にゴム弾性体部はもとの状態に回復することができるので、緩衝装置の継続使用が可能である。
【0008】
また、上記請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、板状部材の板面に平行にかつゴム弾性体部を貫通して複数個設けられたことにある。このように、衝撃の加えられる板状部材の垂直方向に対して、複数の空洞部が、板状部材に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部の各部分において同等に受け止められる。そのため、ゴム弾性体部に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる。
【0009】
また、上記請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、円柱形状であることにある。このように、空洞部が、円柱形状であることにより、空洞部を囲むゴム弾性体部分に角がなくなるため、衝撃の入力により、空洞部を囲むゴム弾性体部分に局部的に大きな力が作用することなく均等に加えられるため、ゴム弾性体部の局部的な破損が防止される。
【0010】
また、上記請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2又は3に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、互いに平行であると共にその配列方向において板状部材の板面からの距離が交互に異なるジグザグ状に配列されたことにある。このように、空洞部を板面に対してジグザグに設けたことにより、空洞部が板面から同一距離で設けられた場合に比べて、同一のゴム弾性体部の厚みにおいて、部分的に剛性が弱く(バネが小さく)なることがなく、衝撃を減衰させる効果が高められる。
【0011】
また、上記請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1から4のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置において、一対の板状部材と、板状部材間に挟まれたゴム弾性体部とを設けた単位緩衝部材が複数個重ね合わされてなることにある。この場合は、中間の板状部材については、2枚が重ね合わされる。
このように、緩衝装置を、複数の単位緩衝部材を重ね合わせて構成することにより、加えられる衝撃の程度に応じて、設置場所毎に、単位衝撃部材の数を選択して重ね合せて対応することができる。
【0012】
また、上記請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1から5のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置において、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における他方側と対向する板状部材に緩衝部材を設けたことにある。これにより、衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、板状部材に設けられた緩衝部材に他方側の橋桁等が直接当接することにより、他方側の橋桁等の損傷が防止される。
【0013】
また、上記請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、対向する橋桁と橋桁又は橋脚側のいずれか一方の壁面に前記請求項1から5に記載の落橋防止用緩衝装置が取り付けられており、他方の壁面に落橋防止用緩衝装置と対向して別の緩衝部材が取り付けられていることにある。この落橋防止緩衝構造においては、請求項1から5に記載の落橋防止用緩衝装置により、衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、落橋防止用緩衝装置が対向する別の緩衝部材に衝突することにより、別の緩衝部材によって相手側の橋桁等の損傷が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態である落橋防止用緩衝装置(以下、緩衝装置と記す)を正面図により示し、図2は緩衝装置を構成する単位緩衝部材を斜視図により示し、さらに図3は緩衝装置の使用状態を正面図により示したものである。この落橋防止用緩衝装置10は、単位緩衝部材11を複数重ね合わせて構成されている。単位緩衝部材11は、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて配置された一対の平坦な板状部材12と、板状部材12の間にてその板面内に接着固定されて板状部材12間を連結すると共に内部に空洞部18を有するゴム弾性体部17とを有している。
【0015】
板状部材12は、長方形の金属板であり、その中心に板面からわずかに突出した位置合せ凸部13を設けており、また四隅に板面を貫通した取付孔14を設けている。位置合せ凸部13は、単位緩衝部材11の重ね合わせの位置決めに用いられ、従って、板状部材12の反対面側には位置合せ凸部13が嵌め合される位置合せ凹部(図示しない)が設けられている。板状部材12は、ゴム弾性体部17全体を挟むようになっており、ゴム弾性体部17より面積がわずかに大きくなっている。また、板状部材12は、橋脚側等への取り付け側の厚さがその他の部分の厚さの2倍程度例えば12mm程度にされている。
【0016】
ゴム弾性体部17は、板状部材12の外縁である4辺から内側にわずかに離れた位置から内側の長方形領域内に加硫成形により形成された直方体のブロック形状であり、例えば300mm×300mm×50mmの形状にされている。そして、ゴム弾性体部17は、厚さ方向の中間位置にて対向する一辺に平行に両端側に貫通した貫通孔である複数の空洞部18を設けている。空洞部18は、互いに平行であると共に所定間隔を隔てて配設されている。空洞部18の直径は、ゴム弾性体部17の厚さに対して1/4〜1/2の範囲にあることが好ましい。空洞部18の直径は、ゴム弾性体部17のハードニングの発生に関係しており、その大きさによってゴム弾性体部17の圧縮率が略30〜50%の範囲でハードニングが発生することが試験により明らかにされている。なお、ゴム弾性体部17の板状部材12への接着については、加硫接着に限らず、接着剤を用いた接着でもよい。また、ゴム弾性体部17の材質については、全てのゴム材料を用いることが可能であるが、特にIIR(ブチルゴム)、NR(天然ゴム)+アスファルト等が好適に使用される。
【0017】
緩衝装置10は、複数個の単位緩衝部材11を重ね合わせて、重ね合わされた板状部材12の取付孔14にボルト及びナット15を通して締付けることにより得られる。単位緩衝部材11の重ね合わせの個数については、用途に応じて決められるが、数個から10個程度までで選択される。緩衝装置10は、図3に示すように、一方の側の板状部材12の4つの取付孔14を橋脚1の突出部2の側面から突出したアンカーボルト(図示しない)にそれぞれ挿入してナットを螺着させることにより橋脚1の突出部2に固定され、橋脚1に取り付けた支承部材4に支持された橋桁3の側面に対向して配設される。
【0018】
上記構成の実施形態においては、大地震等により、緩衝装置10が相手側の橋桁3の衝突により大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部17が大きく圧縮されるが、ゴム弾性体部17内部には空洞部18が設けられていることにより、圧縮の程度が大きくなってもゴム弾性体がハードニングを起こすことなく衝撃が吸収される。さらに、大きな衝撃の発生した後、ゴム弾性体部17はもとの状態に回復することができる。また、ゴム弾性体部17は、板状部材12に挟まれると共に板状部材12に加硫接着されているため、大きな衝撃を受けても、座屈することなく弾性変形を維持できる。
【0019】
さらに、衝撃の加えられる板状部材12の垂直方向に対して、複数の空洞部18が、板状部材12に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部17の各部分において同等に受け止められる。そのため、ゴム弾性体部17に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる。また、空洞部18が、円柱形状であることにより、空洞部18を囲むゴム弾性体部分に角がなくなるため、大きな衝撃が加えられても、ゴム弾性体部17に局部的に大きな力が作用することなく均等に加えられる。そのため、ゴム弾性体部17の局部的な破損が防止され、その信頼性が確保される。
【0020】
その結果、本実施形態においては、緩衝装置10により、地震等による大きな衝撃を的確に受けることができ、橋脚等の破壊が確実に防止され、橋桁の落下が防止される。また、本実施形態においては、衝撃を受けた後も緩衝装置10を交換する必要がなくそのまま継続使用が可能であり、そのため、緩衝装置10の費用及びその交換のためのコストが大幅に削減される。
【0021】
また、上記緩衝装置10は、複数の単位緩衝部材11を重ね合わせてボルト止めにより固定して構成されているものであり、加えられる衝撃の加わる程度に応じて、設置場所毎に、自由に単位緩衝部材11の数を選択して重ね合せることができる。そのため、緩衝装置10は、用途等に応じた適正なコストで提供される。また、単位緩衝部材11の組み合わせはボルト止めにより簡易に行うことができるため、緩衝装置10の設置現場での組立も可能であり便利である。
【0022】
つぎに、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態に示した緩衝装置10は、複数の単位緩衝部材11を重ね合わせてボルト止めにより固定されて構成されているものであるが、変形例では、これに代えて、図4に示すように、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて順次配置された複数の板状部材12間に、その対向する板面内にゴム弾性体部17が加硫接着あるいは接着剤による接着により接着固定されて、複数段に構成されたものである。
【0023】
変形例では、緩衝装置10Aが複数の単位緩衝部材11を重ね合わせるものではないため、緩衝装置の設置現場での重ね合わせ作業は困難であり、予め大きな緩衝装置に形成する必要がある。そのため、異なった規格の多種類の製品に対応する場合は、製造及び設置の面で負担が大きくなる。しかし、中間の板状部材12を一枚にすることができるため、緩衝装置10Aの重量の削減とコスト削減が可能になるので、板状部材12とゴム弾性体部17の組み合わせの数が予め決められた規格品を量産する場合には、その効果が大きくなる。
【0024】
つぎに、第2実施形態について説明する。
本実施形態においては、図5に示すように、緩衝装置10Bのゴム弾性体部17に設けた複数の空洞部18が、互いに平行であると共に板状部材12の板面からの距離が交互に異なるジグザグ状に配列されたものである。このように、空洞部18が板面に対してジグザグに設けられたことにより、緩衝装置10Bにおいては、空洞部18が板面から同一距離で設けられた場合に比べて、同一のゴム弾性体部17厚みにおいて、部分的に剛性が弱く(バネが小さく)なることがなく、衝撃を減衰させる効果がさらに高められる。
【0025】
つぎに、第3実施形態について説明する。
本実施形態の緩衝装置10Cは、図6に示すように、一端側の板状部材12の外面にゴム弾性体等の薄板状の緩衝部材21が取り付けられている。緩衝装置10Cは、緩衝部材21が設けられた一端側の板状部材12に対して反対端側の板状部材12にて橋脚1の突出部2に取り付けられて、緩衝部材21が橋桁3に対向するようにされている。本実施形態においては、緩衝装置10Cにより、橋桁3からの衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、緩衝部材21に相手側の橋桁3が直接当接することにより、橋桁3の損傷が防止される。
【0026】
つぎに、第4実施形態について説明する。
本実施形態では、図7に示すように、橋脚1の突出部2の壁面に上記緩衝装置10が取り付けられており、これに対向して橋桁3の壁面にこれとは別個の例えばゴム弾性体等の緩衝部材23が取り付けられている落橋防止緩衝構造に関するものである。本実施形態の落橋防止緩衝構造においては、緩衝装置10により、橋桁3からの衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、緩衝装置10が、対向する橋桁3に設けられた別の緩衝部材23に衝突することにより、相手側の橋桁3の損傷が防止される。
【0027】
なお、上記緩衝装置10(10A,10B,10Cも同様)の取り付けについては、上記実施形態に代えて、橋桁3側に行われてもよい。さらに、緩衝装置10の取り付け位置については、図8に示すように、種々の位置がある。図8(a)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1の突出部2の橋桁3に対向する両側面に取り付けられる。また、図8(b)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1に突出して設けた落橋防止壁5の橋桁3の内側面に対向する側面に取り付けられる。さらに、図8(c)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1に突出して設けた落橋防止壁5と対向する橋桁3の内側面に取り付けられる。また、図8(d)に示す例は、両側及び中央に落橋防止壁5を立設した橋脚1の落橋防止壁5の対向面に緩衝装置10が取り付けられ、その間に橋桁3の突出部を配置したものである。その他、緩衝装置の取り付け位置については、これらに限らず、種々の取り付け態様が可能である。
【0028】
なお、上記各実施形態においては、緩衝装置は複数段で構成されているが、場合によっては、単位緩衝部材単独で構成することも可能である。その他、上記実施形態に示した落橋防止用緩衝装置については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0029】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、大地震等により、緩衝装置が相手側から大きな衝撃を受けても、ハードニングを起こすことなくまた座屈することなく衝撃を吸収することができる。その結果、請求項1の発明においては、橋脚等の破損を防止できることにより橋桁の落下を防止でき、さらに、衝撃があったときも、緩衝装置を交換する必要がなく、従って、装置コスト及び交換のコストが大幅に削減される。
【0030】
また、複数の空洞部が、板状部材に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部の各部分において同等に受け止められ、ゴム弾性体部に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる(請求項2の発明の効果)。さらに、空洞部を円柱形状とすることにより、ゴム弾性体部の局部的な破損が防止され、その耐久性が高められる(請求項3の発明の効果)。また、空洞部を板面に対してジグザグに設けたことにより、ゴム弾性体部による衝撃を減衰させる効果がさらに高められる(請求項4の発明の効果)。
【0031】
また、緩衝装置を、複数の単位緩衝部材を重ね合わせて構成することにより、加えられる衝撃の程度等に応じて容易に対応が可能であり、用途に応じて適正なコストで対応することができる(請求項5の発明の効果)。さらに、緩衝装置の一方の板状部材に緩衝部材を取り付けて、他方側の橋桁等に対向して配置したことにより、初期の衝撃において、緩衝部材により他方側の橋桁等の損傷が有効に防止される(請求項6の発明の効果)。また、緩衝装置が取り付けられた一方側の面と対向する他方側の面に別の緩衝部材が取り付けられたことにより、初期の衝撃において、別の緩衝部材により相手側の橋桁等の損傷が有効に防止される(請求項7の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図2】落橋防止用緩衝装置を構成する単位緩衝部材を示す斜視図である。
【図3】落橋防止用緩衝装置の使用状態を示す正面図である。
【図4】変形例である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図5】第2実施形態である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図6】第3実施形態である落橋防止用緩衝装置の使用状態を示す正面図である。
【図7】第4実施形態である落橋防止緩衝構造を示す正面図である。
【図8】落橋防止用緩衝装置の種々の取付位置を示す各正面図である。
【符号の説明】
1…橋脚、2…突出部、3…橋桁、5…落橋防止壁、10,10A,10B,10C…落橋防止用緩衝装置、11…単位緩衝部材、12…板状部材、14…取付孔、17…ゴム弾性体部、18…空洞部、21,23…緩衝部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋桁又は橋脚側に取り付けられて、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側相互間の衝突による衝撃を吸収する落橋防止用緩衝装置及び落橋防止緩衝構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の落橋防止用緩衝装置としては、例えば、特許文献1に示すように、ゴム製の緩衝体の裏面に取付部材が面一に埋め込まれて成形された一対の緩衝材が、互いに対向する端横桁と橋脚側に取付部材によって取り付けられて、各緩衝体が互いに対向するようにされたものが知られている。この緩衝装置によれば、緩衝材同士が当接することにより、大きな横揺れ時に、端横桁と落橋防止壁とが衝突した際の衝撃が吸収され、落橋防止壁の崩壊が防止されることにより橋桁の落下が防止されるようになっている。しかし、この緩衝装置の場合、対向する緩衝体が衝突による大きな衝撃を受けることにより、ゴム弾性体がハードニングを起こして、大きな変位を吸収できなくなる、という問題がある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献2に示すように、曲げ弾性率が200kgf/cm2以上の材料例えば樹脂あるいは金属等の硬質材料で成形された衝撃吸収材であって、衝撃負荷方向の壁構造の特定部分が最初に変形することで衝撃を吸収するものが知られている。しかし、この衝撃吸収材は、硬質の樹脂等で形成されているものであり、一旦大きな衝撃を受けると塑性変形するため、大きな衝撃を受けた衝撃吸収材については、その後の継続使用が困難になる。そのため、大地震等が起きた後には、衝撃吸収材を交換する必要があり、交換の手間及び部材コストが膨大になるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−18227号公報(第2頁、図1−図4)
【特許文献2】
特開平11−71714号公報(第5頁、図1−図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、地震等による大きな衝撃を減衰ることにより橋桁の落下を防止できると共に、衝撃を受けた後も交換する必要がなく継続して使用が可能な落橋防止用緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における対向する一方側の壁面に取り付けられて、対向する他方側の衝突による衝撃を吸収する落橋防止用緩衝装置であって、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて順次配置された複数の平坦な板状部材と、複数の板状部材の間にて、板状部材の対向する板面内に接着固定されて板状部材間を連結すると共に、内部に空洞部を有するゴム弾性体部とを設けたことにある。
【0007】
上記のように構成した請求項1の発明においては、大地震等により、緩衝装置が相手側から大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部が大きく圧縮されるが、ゴム弾性体部内部には空洞部が設けられていることにより、圧縮の程度が大きくなってもゴム弾性体部がハードニングを起こすことなく、衝撃を吸収することができる。また、ゴム弾性体部は、板状部材に挟まれると共に板状部材に接着されているため、大きな衝撃を受けても、座屈することなく弾性変形を維持できる。そのため、大きな衝撃を受けても、その後にゴム弾性体部はもとの状態に回復することができるので、緩衝装置の継続使用が可能である。
【0008】
また、上記請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、板状部材の板面に平行にかつゴム弾性体部を貫通して複数個設けられたことにある。このように、衝撃の加えられる板状部材の垂直方向に対して、複数の空洞部が、板状部材に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部の各部分において同等に受け止められる。そのため、ゴム弾性体部に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる。
【0009】
また、上記請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、円柱形状であることにある。このように、空洞部が、円柱形状であることにより、空洞部を囲むゴム弾性体部分に角がなくなるため、衝撃の入力により、空洞部を囲むゴム弾性体部分に局部的に大きな力が作用することなく均等に加えられるため、ゴム弾性体部の局部的な破損が防止される。
【0010】
また、上記請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2又は3に記載の落橋防止用緩衝装置において、空洞部が、互いに平行であると共にその配列方向において板状部材の板面からの距離が交互に異なるジグザグ状に配列されたことにある。このように、空洞部を板面に対してジグザグに設けたことにより、空洞部が板面から同一距離で設けられた場合に比べて、同一のゴム弾性体部の厚みにおいて、部分的に剛性が弱く(バネが小さく)なることがなく、衝撃を減衰させる効果が高められる。
【0011】
また、上記請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1から4のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置において、一対の板状部材と、板状部材間に挟まれたゴム弾性体部とを設けた単位緩衝部材が複数個重ね合わされてなることにある。この場合は、中間の板状部材については、2枚が重ね合わされる。
このように、緩衝装置を、複数の単位緩衝部材を重ね合わせて構成することにより、加えられる衝撃の程度に応じて、設置場所毎に、単位衝撃部材の数を選択して重ね合せて対応することができる。
【0012】
また、上記請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項1から5のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置において、互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における他方側と対向する板状部材に緩衝部材を設けたことにある。これにより、衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、板状部材に設けられた緩衝部材に他方側の橋桁等が直接当接することにより、他方側の橋桁等の損傷が防止される。
【0013】
また、上記請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、対向する橋桁と橋桁又は橋脚側のいずれか一方の壁面に前記請求項1から5に記載の落橋防止用緩衝装置が取り付けられており、他方の壁面に落橋防止用緩衝装置と対向して別の緩衝部材が取り付けられていることにある。この落橋防止緩衝構造においては、請求項1から5に記載の落橋防止用緩衝装置により、衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、落橋防止用緩衝装置が対向する別の緩衝部材に衝突することにより、別の緩衝部材によって相手側の橋桁等の損傷が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態である落橋防止用緩衝装置(以下、緩衝装置と記す)を正面図により示し、図2は緩衝装置を構成する単位緩衝部材を斜視図により示し、さらに図3は緩衝装置の使用状態を正面図により示したものである。この落橋防止用緩衝装置10は、単位緩衝部材11を複数重ね合わせて構成されている。単位緩衝部材11は、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて配置された一対の平坦な板状部材12と、板状部材12の間にてその板面内に接着固定されて板状部材12間を連結すると共に内部に空洞部18を有するゴム弾性体部17とを有している。
【0015】
板状部材12は、長方形の金属板であり、その中心に板面からわずかに突出した位置合せ凸部13を設けており、また四隅に板面を貫通した取付孔14を設けている。位置合せ凸部13は、単位緩衝部材11の重ね合わせの位置決めに用いられ、従って、板状部材12の反対面側には位置合せ凸部13が嵌め合される位置合せ凹部(図示しない)が設けられている。板状部材12は、ゴム弾性体部17全体を挟むようになっており、ゴム弾性体部17より面積がわずかに大きくなっている。また、板状部材12は、橋脚側等への取り付け側の厚さがその他の部分の厚さの2倍程度例えば12mm程度にされている。
【0016】
ゴム弾性体部17は、板状部材12の外縁である4辺から内側にわずかに離れた位置から内側の長方形領域内に加硫成形により形成された直方体のブロック形状であり、例えば300mm×300mm×50mmの形状にされている。そして、ゴム弾性体部17は、厚さ方向の中間位置にて対向する一辺に平行に両端側に貫通した貫通孔である複数の空洞部18を設けている。空洞部18は、互いに平行であると共に所定間隔を隔てて配設されている。空洞部18の直径は、ゴム弾性体部17の厚さに対して1/4〜1/2の範囲にあることが好ましい。空洞部18の直径は、ゴム弾性体部17のハードニングの発生に関係しており、その大きさによってゴム弾性体部17の圧縮率が略30〜50%の範囲でハードニングが発生することが試験により明らかにされている。なお、ゴム弾性体部17の板状部材12への接着については、加硫接着に限らず、接着剤を用いた接着でもよい。また、ゴム弾性体部17の材質については、全てのゴム材料を用いることが可能であるが、特にIIR(ブチルゴム)、NR(天然ゴム)+アスファルト等が好適に使用される。
【0017】
緩衝装置10は、複数個の単位緩衝部材11を重ね合わせて、重ね合わされた板状部材12の取付孔14にボルト及びナット15を通して締付けることにより得られる。単位緩衝部材11の重ね合わせの個数については、用途に応じて決められるが、数個から10個程度までで選択される。緩衝装置10は、図3に示すように、一方の側の板状部材12の4つの取付孔14を橋脚1の突出部2の側面から突出したアンカーボルト(図示しない)にそれぞれ挿入してナットを螺着させることにより橋脚1の突出部2に固定され、橋脚1に取り付けた支承部材4に支持された橋桁3の側面に対向して配設される。
【0018】
上記構成の実施形態においては、大地震等により、緩衝装置10が相手側の橋桁3の衝突により大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部17が大きく圧縮されるが、ゴム弾性体部17内部には空洞部18が設けられていることにより、圧縮の程度が大きくなってもゴム弾性体がハードニングを起こすことなく衝撃が吸収される。さらに、大きな衝撃の発生した後、ゴム弾性体部17はもとの状態に回復することができる。また、ゴム弾性体部17は、板状部材12に挟まれると共に板状部材12に加硫接着されているため、大きな衝撃を受けても、座屈することなく弾性変形を維持できる。
【0019】
さらに、衝撃の加えられる板状部材12の垂直方向に対して、複数の空洞部18が、板状部材12に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部17の各部分において同等に受け止められる。そのため、ゴム弾性体部17に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる。また、空洞部18が、円柱形状であることにより、空洞部18を囲むゴム弾性体部分に角がなくなるため、大きな衝撃が加えられても、ゴム弾性体部17に局部的に大きな力が作用することなく均等に加えられる。そのため、ゴム弾性体部17の局部的な破損が防止され、その信頼性が確保される。
【0020】
その結果、本実施形態においては、緩衝装置10により、地震等による大きな衝撃を的確に受けることができ、橋脚等の破壊が確実に防止され、橋桁の落下が防止される。また、本実施形態においては、衝撃を受けた後も緩衝装置10を交換する必要がなくそのまま継続使用が可能であり、そのため、緩衝装置10の費用及びその交換のためのコストが大幅に削減される。
【0021】
また、上記緩衝装置10は、複数の単位緩衝部材11を重ね合わせてボルト止めにより固定して構成されているものであり、加えられる衝撃の加わる程度に応じて、設置場所毎に、自由に単位緩衝部材11の数を選択して重ね合せることができる。そのため、緩衝装置10は、用途等に応じた適正なコストで提供される。また、単位緩衝部材11の組み合わせはボルト止めにより簡易に行うことができるため、緩衝装置10の設置現場での組立も可能であり便利である。
【0022】
つぎに、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態に示した緩衝装置10は、複数の単位緩衝部材11を重ね合わせてボルト止めにより固定されて構成されているものであるが、変形例では、これに代えて、図4に示すように、互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて順次配置された複数の板状部材12間に、その対向する板面内にゴム弾性体部17が加硫接着あるいは接着剤による接着により接着固定されて、複数段に構成されたものである。
【0023】
変形例では、緩衝装置10Aが複数の単位緩衝部材11を重ね合わせるものではないため、緩衝装置の設置現場での重ね合わせ作業は困難であり、予め大きな緩衝装置に形成する必要がある。そのため、異なった規格の多種類の製品に対応する場合は、製造及び設置の面で負担が大きくなる。しかし、中間の板状部材12を一枚にすることができるため、緩衝装置10Aの重量の削減とコスト削減が可能になるので、板状部材12とゴム弾性体部17の組み合わせの数が予め決められた規格品を量産する場合には、その効果が大きくなる。
【0024】
つぎに、第2実施形態について説明する。
本実施形態においては、図5に示すように、緩衝装置10Bのゴム弾性体部17に設けた複数の空洞部18が、互いに平行であると共に板状部材12の板面からの距離が交互に異なるジグザグ状に配列されたものである。このように、空洞部18が板面に対してジグザグに設けられたことにより、緩衝装置10Bにおいては、空洞部18が板面から同一距離で設けられた場合に比べて、同一のゴム弾性体部17厚みにおいて、部分的に剛性が弱く(バネが小さく)なることがなく、衝撃を減衰させる効果がさらに高められる。
【0025】
つぎに、第3実施形態について説明する。
本実施形態の緩衝装置10Cは、図6に示すように、一端側の板状部材12の外面にゴム弾性体等の薄板状の緩衝部材21が取り付けられている。緩衝装置10Cは、緩衝部材21が設けられた一端側の板状部材12に対して反対端側の板状部材12にて橋脚1の突出部2に取り付けられて、緩衝部材21が橋桁3に対向するようにされている。本実施形態においては、緩衝装置10Cにより、橋桁3からの衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、緩衝部材21に相手側の橋桁3が直接当接することにより、橋桁3の損傷が防止される。
【0026】
つぎに、第4実施形態について説明する。
本実施形態では、図7に示すように、橋脚1の突出部2の壁面に上記緩衝装置10が取り付けられており、これに対向して橋桁3の壁面にこれとは別個の例えばゴム弾性体等の緩衝部材23が取り付けられている落橋防止緩衝構造に関するものである。本実施形態の落橋防止緩衝構造においては、緩衝装置10により、橋桁3からの衝撃を吸収する効果が得られると共に、初期の衝撃において、緩衝装置10が、対向する橋桁3に設けられた別の緩衝部材23に衝突することにより、相手側の橋桁3の損傷が防止される。
【0027】
なお、上記緩衝装置10(10A,10B,10Cも同様)の取り付けについては、上記実施形態に代えて、橋桁3側に行われてもよい。さらに、緩衝装置10の取り付け位置については、図8に示すように、種々の位置がある。図8(a)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1の突出部2の橋桁3に対向する両側面に取り付けられる。また、図8(b)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1に突出して設けた落橋防止壁5の橋桁3の内側面に対向する側面に取り付けられる。さらに、図8(c)に示すように、緩衝装置10は、橋脚1に突出して設けた落橋防止壁5と対向する橋桁3の内側面に取り付けられる。また、図8(d)に示す例は、両側及び中央に落橋防止壁5を立設した橋脚1の落橋防止壁5の対向面に緩衝装置10が取り付けられ、その間に橋桁3の突出部を配置したものである。その他、緩衝装置の取り付け位置については、これらに限らず、種々の取り付け態様が可能である。
【0028】
なお、上記各実施形態においては、緩衝装置は複数段で構成されているが、場合によっては、単位緩衝部材単独で構成することも可能である。その他、上記実施形態に示した落橋防止用緩衝装置については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0029】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、大地震等により、緩衝装置が相手側から大きな衝撃を受けても、ハードニングを起こすことなくまた座屈することなく衝撃を吸収することができる。その結果、請求項1の発明においては、橋脚等の破損を防止できることにより橋桁の落下を防止でき、さらに、衝撃があったときも、緩衝装置を交換する必要がなく、従って、装置コスト及び交換のコストが大幅に削減される。
【0030】
また、複数の空洞部が、板状部材に平行に配置されていることにより、衝撃がゴム弾性体部の各部分において同等に受け止められ、ゴム弾性体部に局所的に過大な衝撃の加わる不都合が避けられ、より大きな衝撃に対応することが可能になる(請求項2の発明の効果)。さらに、空洞部を円柱形状とすることにより、ゴム弾性体部の局部的な破損が防止され、その耐久性が高められる(請求項3の発明の効果)。また、空洞部を板面に対してジグザグに設けたことにより、ゴム弾性体部による衝撃を減衰させる効果がさらに高められる(請求項4の発明の効果)。
【0031】
また、緩衝装置を、複数の単位緩衝部材を重ね合わせて構成することにより、加えられる衝撃の程度等に応じて容易に対応が可能であり、用途に応じて適正なコストで対応することができる(請求項5の発明の効果)。さらに、緩衝装置の一方の板状部材に緩衝部材を取り付けて、他方側の橋桁等に対向して配置したことにより、初期の衝撃において、緩衝部材により他方側の橋桁等の損傷が有効に防止される(請求項6の発明の効果)。また、緩衝装置が取り付けられた一方側の面と対向する他方側の面に別の緩衝部材が取り付けられたことにより、初期の衝撃において、別の緩衝部材により相手側の橋桁等の損傷が有効に防止される(請求項7の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図2】落橋防止用緩衝装置を構成する単位緩衝部材を示す斜視図である。
【図3】落橋防止用緩衝装置の使用状態を示す正面図である。
【図4】変形例である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図5】第2実施形態である落橋防止用緩衝装置を示す正面図である。
【図6】第3実施形態である落橋防止用緩衝装置の使用状態を示す正面図である。
【図7】第4実施形態である落橋防止緩衝構造を示す正面図である。
【図8】落橋防止用緩衝装置の種々の取付位置を示す各正面図である。
【符号の説明】
1…橋脚、2…突出部、3…橋桁、5…落橋防止壁、10,10A,10B,10C…落橋防止用緩衝装置、11…単位緩衝部材、12…板状部材、14…取付孔、17…ゴム弾性体部、18…空洞部、21,23…緩衝部材。
Claims (7)
- 互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における対向する一方側の壁面に取り付けられて、対向する他方側の衝突による衝撃を吸収する落橋防止用緩衝装置であって、
互いに平行状態で対向すると共に所定間隔を隔てて順次配置された複数の平坦な板状部材と、
前記複数の板状部材の間にて、該板状部材の対向する板面内に接着固定されて該板状部材間を連結すると共に、内部に空洞部を有するゴム弾性体部とを設けたことを特徴とする落橋防止用緩衝装置。 - 前記空洞部が、前記板状部材の板面に平行にかつ前記ゴム弾性体部を貫通して複数個設けられたことを特徴とする前記請求項1に記載の落橋防止用緩衝装置。
- 前記空洞部が、円柱形状であることを特徴とする前記請求項2に記載の落橋防止用緩衝装置。
- 前記空洞部が、互いに平行であると共にその配列方向において前記板状部材の板面からの距離が交互に異なるジグザグ状に配列されたことを特徴とする前記請求項2又は3に記載の落橋防止用緩衝装置。
- 一対の前記板状部材と、該板状部材間に挟まれた前記ゴム弾性体部とを設けた単位緩衝部材が複数個重ね合わされてなることを特徴とする前記請求項1から4のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置。
- 前記互いに対向する橋桁と橋桁、又は橋桁と橋脚側における他方側と対向する前記板状部材に緩衝部材を設けたことを特徴とする前記請求項1から5のいずれか1項に記載の落橋防止用緩衝装置。
- 対向する橋桁と橋桁又は橋脚側のいずれか一方の壁面に前記請求項1から5に記載の落橋防止用緩衝装置が取り付けられており、他方の壁面に該落橋防止用緩衝装置と対向して別の緩衝部材が取り付けられていることを特徴とする落橋防止緩衝構造。
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JP2003023821A JP2004232383A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 落橋防止用緩衝装置及び落橋防止緩衝構造 |
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CN110130210A (zh) * | 2019-05-31 | 2019-08-16 | 中铁二院工程集团有限责任公司 | 一种防落梁耗能装置的安装方法 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003023821A patent/JP2004232383A/ja active Pending
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