JP2004231632A - 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から簡易な操作で高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得る。
【解決手段】本発明の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させることを特徴とする。媒体として例えば水性媒体を使用できる。前記水性媒体には、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒などが含まれる。前記水性媒体はアルカリ性水性溶媒であってもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させることを特徴とする。媒体として例えば水性媒体を使用できる。前記水性媒体には、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒などが含まれる。前記水性媒体はアルカリ性水性溶媒であってもよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種工業原料、特に染料、顔料、樹脂(液晶ポリマー等)などの原料として有用な6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸は、通常、コルベ・シュミット反応により得られた粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を水、水/アルコール系溶剤等の溶媒から再結晶することにより製品化されている。しかし、従来の製造法では6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の純度や取り扱い性に問題があった。国際公開公報WO01/14307には、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に柱状晶と鱗片晶という2種類の結晶形が存在し、鱗片晶は製品の取り扱い性が悪いと記載されている。
【0003】
そして、前記国際公開公報には、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を水性媒体に溶解し、ここへ3−ヒドロキシ−2,7−ナフトエ酸の種結晶(種晶)を添加するか、又は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の柱状晶を種晶として添加し、冷却して純度の高い6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の柱状晶を得る方法が開示されている。しかし、この方法では、種晶の添加操作、種晶の管理や添加量、添加条件等の管理が必要となり工程管理が煩雑化する。
【0004】
【特許文献1】
国際公開公報WO01/14307
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、種晶を添加するという煩雑な操作を行わなくても、高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全には溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させると、驚くべきことに、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させた状態から結晶を析出させる場合と比較してより高純度の製品を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させることを特徴とする6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法を提供する。
【0008】
前記媒体として例えば水性媒体を使用できる。水性媒体には、例えば、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒などが含まれる。前記水性媒体はアルカリ性水性溶媒であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸としては、コルベ・シュミット法など一般的な方法で製造したものを用いることができる。粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸は、通常、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を80重量%以上含み、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸(=3−ヒドロキシ−2,7−ナフトエ酸)、未反応β−ナフトールなどを不純物として含有している。粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶形としては特に制限されず、2種の結晶形の何れか一方、それらの混合物や不定形であってもよい。
【0010】
本発明で用いる媒体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を晶析可能な溶媒であれば特に限定されず、水性媒体及び非水性媒体の何れであってもよい。水性媒体には、水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が含まれる。水溶性有機溶媒としては、水と均一な溶液を形成しうる有機溶媒(例えば、水に対する溶解度が10g/100g−水以上である有機溶媒、好ましくは水と如何なる割合でも混和しうる有機溶媒)であればよく、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール(1価のC1−4アルコール)、エチレングリコール等の多価アルコールなどの水溶性アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどの水溶性の環状又は鎖状エーテル;アセトニトリルなどの水溶性ニトリル;酢酸などの水溶性カルボン酸などが例示される。水と併用する水溶性有機溶媒は1種であってもよく2種以上であってもよい。
【0011】
水性媒体としては、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒が好ましく、中でも水、又は水と低級アルコール(とりわけメタノール)との混合溶媒が特に好ましい。
【0012】
水と水溶性有機溶媒(例えば水溶性アルコールなど)との混合溶媒を用いる場合、その混合比は特に限定されないが、水100重量部に対して、水溶性有機溶媒を例えば5〜300重量部、特に20〜150重量部程度用いるのが好適である。
【0013】
前記水性媒体はアルカリ性水性媒体であってもよい。アルカリ性水性媒体は、前記水性媒体(水、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒)に、塩基性成分を添加することにより調製できる。塩基性成分としては、無機塩基及び有機塩基の何れであってもよく、その代表的な例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属有機酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。
【0014】
アルカリ性水性媒体を用いる場合の塩基性成分の濃度は、例えば0.001〜0.2規定、好ましくは0.01〜0.05規定である。
【0015】
前記非水性媒体としては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール(1価のC1−4アルコール);エチレングリコールなどの多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどの環状又は鎖状エーテル;アセトニトリルなどのニトリル;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチルなどのエステル;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサンなどのシクロアルカン;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが例示される。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0016】
本発明の方法においては、媒体へ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を投入し、通常適当な温度に加熱して、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態とする。媒体の使用量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜20重量部程度である。加熱温度は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない温度であればよく、使用する媒体の種類や量、混合溶媒の場合には各溶媒の存在割合、及び目的とする精製度等により適宜選択できるが、一般には、媒体として水のみを用いる場合は100〜200℃(好ましくは100℃以上180℃未満、さらに好ましくは100℃以上160℃未満)、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は50〜180℃(好ましくは55℃以上75℃未満)、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は20〜100℃(好ましくは20〜80℃)の範囲である。媒体を加熱する際、圧力を加えてもよく、その圧力は使用する媒体の種類および割合等により異なるが、好ましくは0.2〜1.0MPa(ゲージ圧)程度である。
【0017】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液において、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は精製度を上げるためには少ない方が有利であるが、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が全く無く完全に溶解している場合にも不純物(例えば、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸など)が結晶中に混入しやすい。これらの点を考慮すると、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、用いた粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の全量に対して、好ましくは0.1〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜40重量%であり、特に1〜20重量%程度であるのが好適である。
【0018】
未溶解の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、例えば、次のようにして規定できる。使用する水性媒体又は非水性媒体に粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を添加して、完全には溶解しない適当な温度に加熱し、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得る。これを約30分間保持した後、同温度で濾過して得られる結晶又は濾液の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより分析して6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の未溶解量を求める。同様の測定を数種類の温度に対して行って、溶解温度−未溶解量の関係を得る。この関係を利用すれば、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の未溶解量を溶解温度によって規定することができる。
【0019】
未溶解の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を含む混合液は、結晶を析出させる前に、所定温度(例えば、媒体として水のみを用いる場合は100〜200℃、好ましくは100℃以上180℃未満、さらに好ましくは100℃以上160℃未満、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は50〜180℃、好ましくは55℃以上75℃未満、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は20〜100℃、好ましくは20〜80℃)で所定時間保持しておくのが好ましい。その保持時間は特に制限はないが、例えば、昇温終了後から10分〜10時間、好ましくは15分〜2時間である。
【0020】
本発明の方法では、上記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液(懸濁液)から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を析出させる。結晶を析出させる際、種晶の添加は不要であるが、必要に応じて添加することもできる。結晶の析出は、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液を例えば冷却することにより行われる。なお、結晶を析出させる際、必要に応じて前記混合液を濃縮してもよい。また、混合液を緩やかに撹拌しながら結晶を析出させてもよい。
【0021】
冷却により結晶を析出させる場合の冷却速度(温度の下降速度)は、特に制限はなく、精製度と生産効率を考慮して適宜設定できるが、通常、0.1℃/分〜5℃/分程度である。所定温度まで冷却した混合液(結晶を含むスラリー)は、当該温度で、撹拌下又は静止下で熟成するのが好ましい。熟成温度は、特に限定的ではなく、後の濾過分別操作の温度等に応じて適宜設定できるが、媒体として水のみを用いる場合は20〜120℃(好ましくは20〜100℃)、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は20〜100℃(好ましくは20〜50℃)、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は0〜80℃(好ましくは0〜50℃)の範囲が適当である。熟成時間は結晶の析出状態によって任意に設定すればよいが、一般には5〜180分である。
【0022】
析出した結晶は、常套の手段により洗浄、濾過、乾燥させることにより製品化される。より具体的には、例えば、析出した結晶を水で洗浄し、濾布を用いて遠心濾過し、熱風乾燥機または真空乾燥機により乾燥することにより、精製6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得ることができる。なお、より高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が必要な場合には、得られた結晶をさらに同様の操作に付して繰り返し精製すればよい。
【0023】
本発明で得られる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶は柱状晶であることが多く、柱状晶と鱗片晶との混合晶であることもある。上記方法により、98重量%以上、特に99重量%以上の高純度品を得ることができ、99.9重量%を超える純度のものを取得することも可能である。こうして得られる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製品は、各種工業原料、特に染料、顔料、樹脂(液晶ポリマー等)などの原料として使用できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、上記のように粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させるので、種晶を添加するという煩雑な操作を行わなくても、高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を製造することができる。
【0025】
なお、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させた場合に、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全に溶解した均一溶液から結晶を析出させる場合と比較してより高純度の製品が得られる理由は、必ずしも明確ではないが、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完全に溶解した均一溶液から析出する結晶は不純物である3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸等を取り込んで成長しやすいのに対し、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液から成長する結晶は不純物を取り込まずに成長しやすいためであると推察される。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び不純物は高速液体クロマトグラフィーにより分析した。分析条件は以下の通りである。
溶媒:アセトニトリル(A液)と、1リットルの水に1ミリリットルのリン酸(nakalai tesque社製の試薬特級リン酸)を添加した水溶液(B液)とを、表1に示される流量(ml/分)で用いた。A液とB液との総量の流量は1ml/分である。
カラム:Wakosil−II5C18 HG
検出器:UV 270nm
【0027】
【表1】
【0028】
実施例1
コルベ・シュミット法により製造し、酸析により粗精製された粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:98重量%、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.10重量%)100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、50℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。これを、50℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。次いで、これを同温度でろ過して、精製品88.9重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。なお、冷却前の懸濁液中の未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の仕込量の66.7重量%であった。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.03重量%
【0029】
比較例1
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、80℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完溶させ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸溶液を得た。これを、80℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。
これを同温度でろ過して、精製品85.0重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.1重量%
【0030】
実施例2
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、74.5℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。これを、74.5℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。次いで、これを同温度でろ過して、精製品86.3重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。なお、冷却前の懸濁液中の未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の仕込量の6.2重量%であった。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.01重量%
【0031】
実施例3
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部及び水900重量部をオートクレーブに仕込み、撹拌しながら132℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。この懸濁液を132℃で30分間、撹拌下に保持したのち、1.4℃/分の速度で90℃まで冷却し、同温度で熱時濾過して、精製品84重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.03重量%
【0032】
比較例2
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部及び水900重量部をオートクレーブに仕込み、撹拌しながら150℃に昇温して粗−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完溶させ、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸水溶液を得た。この水溶液を150℃で30分間、撹拌下に保持したのち、1.4℃/分の速度で95℃まで冷却し、同温度で熱時濾過して、精製品84重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.10重量%
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種工業原料、特に染料、顔料、樹脂(液晶ポリマー等)などの原料として有用な6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸は、通常、コルベ・シュミット反応により得られた粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を水、水/アルコール系溶剤等の溶媒から再結晶することにより製品化されている。しかし、従来の製造法では6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の純度や取り扱い性に問題があった。国際公開公報WO01/14307には、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に柱状晶と鱗片晶という2種類の結晶形が存在し、鱗片晶は製品の取り扱い性が悪いと記載されている。
【0003】
そして、前記国際公開公報には、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を水性媒体に溶解し、ここへ3−ヒドロキシ−2,7−ナフトエ酸の種結晶(種晶)を添加するか、又は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の柱状晶を種晶として添加し、冷却して純度の高い6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の柱状晶を得る方法が開示されている。しかし、この方法では、種晶の添加操作、種晶の管理や添加量、添加条件等の管理が必要となり工程管理が煩雑化する。
【0004】
【特許文献1】
国際公開公報WO01/14307
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、種晶を添加するという煩雑な操作を行わなくても、高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全には溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させると、驚くべきことに、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させた状態から結晶を析出させる場合と比較してより高純度の製品を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させることを特徴とする6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法を提供する。
【0008】
前記媒体として例えば水性媒体を使用できる。水性媒体には、例えば、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒などが含まれる。前記水性媒体はアルカリ性水性溶媒であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸としては、コルベ・シュミット法など一般的な方法で製造したものを用いることができる。粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸は、通常、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を80重量%以上含み、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸(=3−ヒドロキシ−2,7−ナフトエ酸)、未反応β−ナフトールなどを不純物として含有している。粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶形としては特に制限されず、2種の結晶形の何れか一方、それらの混合物や不定形であってもよい。
【0010】
本発明で用いる媒体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を晶析可能な溶媒であれば特に限定されず、水性媒体及び非水性媒体の何れであってもよい。水性媒体には、水、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が含まれる。水溶性有機溶媒としては、水と均一な溶液を形成しうる有機溶媒(例えば、水に対する溶解度が10g/100g−水以上である有機溶媒、好ましくは水と如何なる割合でも混和しうる有機溶媒)であればよく、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール(1価のC1−4アルコール)、エチレングリコール等の多価アルコールなどの水溶性アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどの水溶性の環状又は鎖状エーテル;アセトニトリルなどの水溶性ニトリル;酢酸などの水溶性カルボン酸などが例示される。水と併用する水溶性有機溶媒は1種であってもよく2種以上であってもよい。
【0011】
水性媒体としては、(i)水、(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒が好ましく、中でも水、又は水と低級アルコール(とりわけメタノール)との混合溶媒が特に好ましい。
【0012】
水と水溶性有機溶媒(例えば水溶性アルコールなど)との混合溶媒を用いる場合、その混合比は特に限定されないが、水100重量部に対して、水溶性有機溶媒を例えば5〜300重量部、特に20〜150重量部程度用いるのが好適である。
【0013】
前記水性媒体はアルカリ性水性媒体であってもよい。アルカリ性水性媒体は、前記水性媒体(水、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒)に、塩基性成分を添加することにより調製できる。塩基性成分としては、無機塩基及び有機塩基の何れであってもよく、その代表的な例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属有機酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。
【0014】
アルカリ性水性媒体を用いる場合の塩基性成分の濃度は、例えば0.001〜0.2規定、好ましくは0.01〜0.05規定である。
【0015】
前記非水性媒体としては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール(1価のC1−4アルコール);エチレングリコールなどの多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどの環状又は鎖状エーテル;アセトニトリルなどのニトリル;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチルなどのエステル;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサンなどのシクロアルカン;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが例示される。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0016】
本発明の方法においては、媒体へ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を投入し、通常適当な温度に加熱して、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態とする。媒体の使用量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜20重量部程度である。加熱温度は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない温度であればよく、使用する媒体の種類や量、混合溶媒の場合には各溶媒の存在割合、及び目的とする精製度等により適宜選択できるが、一般には、媒体として水のみを用いる場合は100〜200℃(好ましくは100℃以上180℃未満、さらに好ましくは100℃以上160℃未満)、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は50〜180℃(好ましくは55℃以上75℃未満)、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は20〜100℃(好ましくは20〜80℃)の範囲である。媒体を加熱する際、圧力を加えてもよく、その圧力は使用する媒体の種類および割合等により異なるが、好ましくは0.2〜1.0MPa(ゲージ圧)程度である。
【0017】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液において、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は精製度を上げるためには少ない方が有利であるが、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が全く無く完全に溶解している場合にも不純物(例えば、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸など)が結晶中に混入しやすい。これらの点を考慮すると、未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、用いた粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の全量に対して、好ましくは0.1〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜40重量%であり、特に1〜20重量%程度であるのが好適である。
【0018】
未溶解の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、例えば、次のようにして規定できる。使用する水性媒体又は非水性媒体に粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を添加して、完全には溶解しない適当な温度に加熱し、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得る。これを約30分間保持した後、同温度で濾過して得られる結晶又は濾液の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより分析して6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の未溶解量を求める。同様の測定を数種類の温度に対して行って、溶解温度−未溶解量の関係を得る。この関係を利用すれば、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の未溶解量を溶解温度によって規定することができる。
【0019】
未溶解の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を含む混合液は、結晶を析出させる前に、所定温度(例えば、媒体として水のみを用いる場合は100〜200℃、好ましくは100℃以上180℃未満、さらに好ましくは100℃以上160℃未満、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は50〜180℃、好ましくは55℃以上75℃未満、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は20〜100℃、好ましくは20〜80℃)で所定時間保持しておくのが好ましい。その保持時間は特に制限はないが、例えば、昇温終了後から10分〜10時間、好ましくは15分〜2時間である。
【0020】
本発明の方法では、上記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液(懸濁液)から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を析出させる。結晶を析出させる際、種晶の添加は不要であるが、必要に応じて添加することもできる。結晶の析出は、前記6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全には溶解しない状態の混合液を例えば冷却することにより行われる。なお、結晶を析出させる際、必要に応じて前記混合液を濃縮してもよい。また、混合液を緩やかに撹拌しながら結晶を析出させてもよい。
【0021】
冷却により結晶を析出させる場合の冷却速度(温度の下降速度)は、特に制限はなく、精製度と生産効率を考慮して適宜設定できるが、通常、0.1℃/分〜5℃/分程度である。所定温度まで冷却した混合液(結晶を含むスラリー)は、当該温度で、撹拌下又は静止下で熟成するのが好ましい。熟成温度は、特に限定的ではなく、後の濾過分別操作の温度等に応じて適宜設定できるが、媒体として水のみを用いる場合は20〜120℃(好ましくは20〜100℃)、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合は20〜100℃(好ましくは20〜50℃)、非水性媒体(水を併用しない)を用いる場合は0〜80℃(好ましくは0〜50℃)の範囲が適当である。熟成時間は結晶の析出状態によって任意に設定すればよいが、一般には5〜180分である。
【0022】
析出した結晶は、常套の手段により洗浄、濾過、乾燥させることにより製品化される。より具体的には、例えば、析出した結晶を水で洗浄し、濾布を用いて遠心濾過し、熱風乾燥機または真空乾燥機により乾燥することにより、精製6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得ることができる。なお、より高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が必要な場合には、得られた結晶をさらに同様の操作に付して繰り返し精製すればよい。
【0023】
本発明で得られる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶は柱状晶であることが多く、柱状晶と鱗片晶との混合晶であることもある。上記方法により、98重量%以上、特に99重量%以上の高純度品を得ることができ、99.9重量%を超える純度のものを取得することも可能である。こうして得られる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製品は、各種工業原料、特に染料、顔料、樹脂(液晶ポリマー等)などの原料として使用できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、上記のように粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させるので、種晶を添加するという煩雑な操作を行わなくても、高純度の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を製造することができる。
【0025】
なお、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させた場合に、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が完全に溶解した均一溶液から結晶を析出させる場合と比較してより高純度の製品が得られる理由は、必ずしも明確ではないが、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完全に溶解した均一溶液から析出する結晶は不純物である3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸等を取り込んで成長しやすいのに対し、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液から成長する結晶は不純物を取り込まずに成長しやすいためであると推察される。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び不純物は高速液体クロマトグラフィーにより分析した。分析条件は以下の通りである。
溶媒:アセトニトリル(A液)と、1リットルの水に1ミリリットルのリン酸(nakalai tesque社製の試薬特級リン酸)を添加した水溶液(B液)とを、表1に示される流量(ml/分)で用いた。A液とB液との総量の流量は1ml/分である。
カラム:Wakosil−II5C18 HG
検出器:UV 270nm
【0027】
【表1】
【0028】
実施例1
コルベ・シュミット法により製造し、酸析により粗精製された粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:98重量%、3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.10重量%)100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、50℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。これを、50℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。次いで、これを同温度でろ過して、精製品88.9重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。なお、冷却前の懸濁液中の未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の仕込量の66.7重量%であった。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.03重量%
【0029】
比較例1
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、80℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完溶させ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸溶液を得た。これを、80℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。
これを同温度でろ過して、精製品85.0重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.1重量%
【0030】
実施例2
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部、メタノール325重量部、及び水325重量部を容器に仕込み、74.5℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。これを、74.5℃で30分間保持したのちに、0.5℃/分の速度で25℃まで冷却し、その温度で30分間熟成させた。次いで、これを同温度でろ過して、精製品86.3重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。なお、冷却前の懸濁液中の未溶解6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の量は、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の仕込量の6.2重量%であった。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.01重量%
【0031】
実施例3
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部及び水900重量部をオートクレーブに仕込み、撹拌しながら132℃に昇温して粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の懸濁液を得た。この懸濁液を132℃で30分間、撹拌下に保持したのち、1.4℃/分の速度で90℃まで冷却し、同温度で熱時濾過して、精製品84重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.03重量%
【0032】
比較例2
実施例1と同じ粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸100重量部及び水900重量部をオートクレーブに仕込み、撹拌しながら150℃に昇温して粗−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を完溶させ、粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸水溶液を得た。この水溶液を150℃で30分間、撹拌下に保持したのち、1.4℃/分の速度で95℃まで冷却し、同温度で熱時濾過して、精製品84重量部を得た。得られた結晶の組成は以下のとおりである。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸:>99.9重量%
3−ヒドロキシナフタレン−2,7−ジカルボン酸:0.10重量%
Claims (4)
- 粗6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を媒体に完全に溶解させない状態から6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の結晶を析出させることを特徴とする6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法。
- 媒体が水性媒体である請求項1記載の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法。
- 水性媒体が、(i)水、又は(ii)水と水溶性アルコール及び水溶性ケトンからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒との混合溶媒である請求項2記載の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法。
- 水性媒体がアルカリ性水性溶媒である請求項2又は3記載の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の精製法。
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2003
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