JP2004231427A - 光ファイバの線引き方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】材料ロスを減少させて歩留まりの低下を防止することのできる光ファイバの線引き方法およびその装置を提供する。
【解決手段】母材の先端を加熱して溶融・紡糸し、種落し工程で製造された紡糸に樹脂をコーティングして引き取り装置16で引き取った後低速で巻き取り機18に巻取って口出しした後、線速を製造線速まで上昇させて線引きを行う際に、種落し時及び口出し時の炉温Tdを設定線引き温度T0よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】母材の先端を加熱して溶融・紡糸し、種落し工程で製造された紡糸に樹脂をコーティングして引き取り装置16で引き取った後低速で巻き取り機18に巻取って口出しした後、線速を製造線速まで上昇させて線引きを行う際に、種落し時及び口出し時の炉温Tdを設定線引き温度T0よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバの線引き方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ファイバ母材を加熱・溶融して光ファイバを得る線引き方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、光ファイバ母材を加熱炉にセットして、光ファイバ母材の先端を加熱・溶融して紡糸し、ある程度まで細径化する。この光ファイバに被覆をコーティングして硬化させた後、キャプスタンにより低速で引き取る。その後、光ファイバの外径が一定となるようにキャプスタン、母材送りを制御し、更に、線引き張力が一定となるように加熱炉の温度を調整し(口出し工程)、調整終了後に線引き速度を上げて製造線速範囲となった段階で製品取りを開始する(製品工程)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−239039号公報(第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、口出し工程において加熱炉の温度を上げて線引き張力を低くしすぎると、光ファイバ母材の先端から線ブレが発生して断線に至り、線引き不能の状態になる場合がある。例えば、諸特性を得るために製造線速で100gの線引き張力を必要とする場合には、口出し工程において線ブレの発生が無いため、加熱炉の温度を調整して線引き張力の条件確認を行うことができる。ところが、例えば20gの線引き張力が必要な場合における高速線引き(800m/分以上)の場合には、口出し工程時に所望の張力とするために加熱炉の温度を調整すると、低線引き張力故、線ブレにより断線し線引き不能となる場合がある。この場合は、現状線速上昇後に炉温調整をする為、調整時のファイバは材料ロスとなり、これは線引き速度が速いほど多く、著しく歩留まりを低下させる要因となっている。
【0005】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、材料ロスを減少させて歩留まりの低下を防止することのできる光ファイバの線引き方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項1に記載したように、光ファイバ母材の先端を加熱炉で加熱・溶融して、先端の一部を落下させる種落し工程と、線引きされた光ファイバを引き取り装置で引き取る口出し工程と、前記光ファイバの巻取り線速定常の製造線速迄上昇し、かつ、安定させる線速上昇工程と、前記加熱炉の炉温Tを所定の線引き温度T0とし、光ファイバの製品取りを行う製品取り工程とを有し、前記種落し工程および口出し工程を、前記加熱炉炉温Tを前記線引き温度T0よりも低い温度Tdで開始し、前記線速上昇工程中に前記線引き温度T0迄、前記炉温Tを上昇させることを特徴としている。
【0007】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、種落し及び口出し時の炉温を設定線引き温度よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0008】
また、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項2に記載したように、請求項1に記載した光ファイバの線引き方法において、前記低い温度Tdを前記線引き温度T0の85%〜95%の範囲内で設定することを特徴としている。
【0009】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、種落し及び口出し時温度を設定線引き温度の85%〜95%の範囲内で設定することにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0010】
また、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項3に記載したように、請求項1または2に記載した光ファイバの線引き方法において、前記製造線速の25%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.3(T0―Td)≦T≦Td+0.4(T0―Td)とし、製造線速の74%〜76%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.95(T0―Td)≦T≦T0にすることを特徴としている。
【0011】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、製造線速の25%に達するまでに口出し時温度から設定線引き温度の温度差の30%〜40%を戻し、さらに製造線速の74%〜76%に達するまでに、口出し温度から設定線引き温度の温度差の95%〜100%に戻すことにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバの線引き方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は線引き装置を示す構成図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る光ファイバの線引き装置10では、上部に母材供給部20が設けられており、光ファイバ母材11を把持する母材把持手段21がモータ22およびボールネジ23のような移動手段により下降自在に設けられている。このモータ22は、制御部12の制御により作動して、光ファイバ母材11の下降速度を調整可能となっている。母材供給部20の下方には、光ファイバ母材11の下部を溶融するための加熱炉13が設けられており、加熱炉13の下側には溶融されて紡糸された光ファイバ11aの外径を測定する外径測定器14が設けられている。この外径測定器14により測定された外径は、制御部12にフィードバックされる。
【0014】
外径測定器14の下方には、光ファイバ11aに1次被覆となる樹脂としての紫外線硬化型樹脂を塗布する第1樹脂塗布装置30aと、塗布された樹脂を硬化させる第1紫外線照射装置31aが設けられており、その下側には2次被覆となる紫外線硬化型樹脂を塗布する第2樹脂塗布装置30bと、塗布された樹脂を硬化させる第2紫外線照射装置31bが設けられている。また、被覆された光ファイバ11aを引取るためのローラ15および引き取り装置であるキャプスタン16が設けられており、さらに巻取るためのローラ17および巻取り装置である巻取りボビン18が設けられている。なお、キャプスタン16及び巻取り回転は、制御部12によって制御され、線速が制御されている。
【0015】
従って、母材供給部20の母材把持手段21をモータ22により下降させて、光ファイバ母材11を加熱炉13に供給する。加熱炉13で加熱された光ファイバ母材11の先端は、溶融して細径化されて加熱炉13から出てくる。外径測定器14は加熱炉13から出てきた光ファイバ11aの外径を測定し、制御部12に測定信号をフィードバックする。制御部12では、測定された外径の大きさに基づいて光ファイバ11aが所定の外径となるように、モータ22を制御して光ファイバ母材11の下降速度を調整すると共に、加熱炉13およびキャプスタン16を制御して温度および線速を制御する。
【0016】
光ファイバ11aは、第1樹脂塗布装置30aによって紫外線硬化型樹脂を塗布され、第1紫外線照射装置31aによって樹脂を硬化させて1次被覆を形成する。次いで、第2樹脂塗布装置30bによって紫外線硬化型樹脂を塗布され、第2紫外線照射装置31bによって樹脂を硬化させて2次被覆を形成して光ファイバ11aを形成する。光ファイバ11aは、ローラ15を介してキャプスタン16により引取られ、さらにローラ17を介して巻取りボビン18に巻取られる。なお、制御部12はキャプスタン16及び巻取り回転を制御して、所定の線速が得られるようになっている。
【0017】
次に、本発明に係る光ファイバの線引き方法について説明する。図2は制御部12による炉温の制御およびキャプスタン16による線引き速度の制御を示すタイムチャートである。
【0018】
図2に示すように、光ファイバの線引きにおいては、光ファイバ母材11の先端を加熱して溶融・紡糸する種落し工程と、種落し工程で製造された紡糸に樹脂をコーティングしてキャプスタン16で引き取った後低速で巻き取りボビン18に巻取る口出し工程と、口出し工程後線速を製造線速まで上昇させる線速上昇工程と、線速上昇工程後製造線速および設定線引き温度で製品取りを行う製品取り工程から構成される。
【0019】
図2に示すように、制御部12は加熱炉13を制御して、種落し工程及び口出し工程を、設定線引き温度T0よりも低い温度Tdで開始し、その後線速上昇工程中に炉温を設定線引き温度T0まで上昇させる。
【0020】
従って、第1の方法として、例えば、製造線速をVf、口出し時の線速をVsとすると、線速上昇時に(T0−Td)/(α×Vf−Vs)の割合で加熱炉13の炉温を上昇させる。
これにより、オーバーシュートを防止して製造線速Vfまで上昇することができる。また、線速上昇完了時には、所望の線引き張力を得ることができる。ここで、ファイバ母材11の外径および製造線速Vfに対応して、係数α(0<α<1)の最適化が必要である。また、線引き張力の微調整が必要な場合もあるが、歩留まりの低下を防止することができる。
【0021】
なお、設定線引き温度T0(2185℃)に対する比率を種々に変化させた口出し時温度Td(=種落とし温度)の場合について、種落しから口出し工程が完了する迄に要する時間を比較して次表に示した。また、表1の値をグラフにして図3に示した。なお、光ファイバ母材11の外径は70mmである。
【表1】
【0022】
その結果、口出し時温度Tdは、設定線引き温度T0の85%〜95%の範囲内で設定した場合には、設定線引き温度T0から口出しを開始した場合よりも時間を短縮することができるので、この範囲に設定するのが望ましい。また、製造線速Vfの25%に達するまでに口出し時温度Tdから設定線引き温度T0の温度差の30%〜40%を戻し、さらに製造線速Vfの74%〜76%に達するまでに、口出し温度Tdと設定線引き温度T0との温度差の95%〜100%に戻すのが望ましい。
【0023】
また、第2の方法としては、口出し時の炉温Tdと所望の炉温T0との差ΔT=T0−Tdを、線速0m/分から製造線速Vfまでの区間を数分割して、ある線速区間まではβ・ΔTだけ上昇させるようにすることもできる。
これにより、オーバーシュートを起こすことなく製造線速Vfまで上昇することができ、且つ所望の線引き張力を得ることができる。ここで、母材外径および製造線速Vfに応じて、炉温上昇の区間β(0<β<1)の係数の最適化および製造線速Vfまでの区間分割数の決定が必要である。また、線引き張力の微調整が必要の場合もあるが、歩留まりの低下を防止することができる。
【0024】
次に、具体的なケースについて説明する。
(実施例1)
設定炉温T0=2185℃、口出し炉温Td=0.95×T0=2075℃、製造線速Vf=800m/分、口出し線速Vs=100m/分の条件で、従来の方法および本発明の方法においてT0まで戻すトリガを製造線速Vfの20%(=160m/分)とした場合の線速および炉温の変化を求め、図4に結果を示した。
【0025】
(実施例2)
本発明の第1の方法において、αを0.75と設定した場合の線速および炉温の変化を求め、図5に結果を示した。
【0026】
(実施例3)
本発明の第2の方法において、▲1▼製造線速Vfの0%〜25%の区間で0.4(T0−Td)、▲2▼25%〜50%の区間で0.4(T0−Td)、▲3▼50%〜75%の区間で0.15(T0−Td)、▲4▼75%〜Vfの区間で0.05(T0−Td)とした場合の線速および炉温の変化を求め、図6に結果を示した。
【0027】
すなわち、図4に示した従来の方法による場合には、炉温の上昇が急激であるため、安定するまでに時間を要することが分かる。このため、材料ロスが多くなっている。一方、本発明に係る方法による場合には、図5に示したように温度上昇がゆっくりの場合および図6に示したように温度上昇を2段階で行った場合には、炉温が早く安定するので材料ロスを減少させることができる。
【0028】
以上、前述した光ファイバの線引き方法によれば、種落し時及び、口出し時の炉温Tdを設定線引き温度T0よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止することができる。これに伴い、材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0029】
なお、本発明の光ファイバの線引き方法は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる光ファイバの線引き方法によれば、種落し及び口出し時の炉温を設定線引き温度よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの線引き装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】制御部による炉温の制御およびキャプスタンによる線引き速度の制御を示すタイムチャートである。
【図3】種落し、口出し工程温度の設定線引き温度に対する比率を変化させたときの種落しから口出し迄の時間を示すグラフである。
【図4】従来の線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【図6】本発明に係る別の線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 線引き装置
11 母材
11a 光ファイバ
12 制御部
13 加熱炉
16 キャプスタン(引き取り装置)
18 巻取りボビン(巻き取り機)
20 母材供給部
T0 設定線引き温度
Td 口出し時温度
Vf 製造線速
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバの線引き方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ファイバ母材を加熱・溶融して光ファイバを得る線引き方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、光ファイバ母材を加熱炉にセットして、光ファイバ母材の先端を加熱・溶融して紡糸し、ある程度まで細径化する。この光ファイバに被覆をコーティングして硬化させた後、キャプスタンにより低速で引き取る。その後、光ファイバの外径が一定となるようにキャプスタン、母材送りを制御し、更に、線引き張力が一定となるように加熱炉の温度を調整し(口出し工程)、調整終了後に線引き速度を上げて製造線速範囲となった段階で製品取りを開始する(製品工程)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−239039号公報(第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、口出し工程において加熱炉の温度を上げて線引き張力を低くしすぎると、光ファイバ母材の先端から線ブレが発生して断線に至り、線引き不能の状態になる場合がある。例えば、諸特性を得るために製造線速で100gの線引き張力を必要とする場合には、口出し工程において線ブレの発生が無いため、加熱炉の温度を調整して線引き張力の条件確認を行うことができる。ところが、例えば20gの線引き張力が必要な場合における高速線引き(800m/分以上)の場合には、口出し工程時に所望の張力とするために加熱炉の温度を調整すると、低線引き張力故、線ブレにより断線し線引き不能となる場合がある。この場合は、現状線速上昇後に炉温調整をする為、調整時のファイバは材料ロスとなり、これは線引き速度が速いほど多く、著しく歩留まりを低下させる要因となっている。
【0005】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、材料ロスを減少させて歩留まりの低下を防止することのできる光ファイバの線引き方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項1に記載したように、光ファイバ母材の先端を加熱炉で加熱・溶融して、先端の一部を落下させる種落し工程と、線引きされた光ファイバを引き取り装置で引き取る口出し工程と、前記光ファイバの巻取り線速定常の製造線速迄上昇し、かつ、安定させる線速上昇工程と、前記加熱炉の炉温Tを所定の線引き温度T0とし、光ファイバの製品取りを行う製品取り工程とを有し、前記種落し工程および口出し工程を、前記加熱炉炉温Tを前記線引き温度T0よりも低い温度Tdで開始し、前記線速上昇工程中に前記線引き温度T0迄、前記炉温Tを上昇させることを特徴としている。
【0007】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、種落し及び口出し時の炉温を設定線引き温度よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0008】
また、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項2に記載したように、請求項1に記載した光ファイバの線引き方法において、前記低い温度Tdを前記線引き温度T0の85%〜95%の範囲内で設定することを特徴としている。
【0009】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、種落し及び口出し時温度を設定線引き温度の85%〜95%の範囲内で設定することにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0010】
また、本発明にかかる光ファイバの線引き方法は、請求項3に記載したように、請求項1または2に記載した光ファイバの線引き方法において、前記製造線速の25%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.3(T0―Td)≦T≦Td+0.4(T0―Td)とし、製造線速の74%〜76%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.95(T0―Td)≦T≦T0にすることを特徴としている。
【0011】
このように構成された光ファイバの線引き方法においては、製造線速の25%に達するまでに口出し時温度から設定線引き温度の温度差の30%〜40%を戻し、さらに製造線速の74%〜76%に達するまでに、口出し温度から設定線引き温度の温度差の95%〜100%に戻すことにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバの線引き方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は線引き装置を示す構成図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る光ファイバの線引き装置10では、上部に母材供給部20が設けられており、光ファイバ母材11を把持する母材把持手段21がモータ22およびボールネジ23のような移動手段により下降自在に設けられている。このモータ22は、制御部12の制御により作動して、光ファイバ母材11の下降速度を調整可能となっている。母材供給部20の下方には、光ファイバ母材11の下部を溶融するための加熱炉13が設けられており、加熱炉13の下側には溶融されて紡糸された光ファイバ11aの外径を測定する外径測定器14が設けられている。この外径測定器14により測定された外径は、制御部12にフィードバックされる。
【0014】
外径測定器14の下方には、光ファイバ11aに1次被覆となる樹脂としての紫外線硬化型樹脂を塗布する第1樹脂塗布装置30aと、塗布された樹脂を硬化させる第1紫外線照射装置31aが設けられており、その下側には2次被覆となる紫外線硬化型樹脂を塗布する第2樹脂塗布装置30bと、塗布された樹脂を硬化させる第2紫外線照射装置31bが設けられている。また、被覆された光ファイバ11aを引取るためのローラ15および引き取り装置であるキャプスタン16が設けられており、さらに巻取るためのローラ17および巻取り装置である巻取りボビン18が設けられている。なお、キャプスタン16及び巻取り回転は、制御部12によって制御され、線速が制御されている。
【0015】
従って、母材供給部20の母材把持手段21をモータ22により下降させて、光ファイバ母材11を加熱炉13に供給する。加熱炉13で加熱された光ファイバ母材11の先端は、溶融して細径化されて加熱炉13から出てくる。外径測定器14は加熱炉13から出てきた光ファイバ11aの外径を測定し、制御部12に測定信号をフィードバックする。制御部12では、測定された外径の大きさに基づいて光ファイバ11aが所定の外径となるように、モータ22を制御して光ファイバ母材11の下降速度を調整すると共に、加熱炉13およびキャプスタン16を制御して温度および線速を制御する。
【0016】
光ファイバ11aは、第1樹脂塗布装置30aによって紫外線硬化型樹脂を塗布され、第1紫外線照射装置31aによって樹脂を硬化させて1次被覆を形成する。次いで、第2樹脂塗布装置30bによって紫外線硬化型樹脂を塗布され、第2紫外線照射装置31bによって樹脂を硬化させて2次被覆を形成して光ファイバ11aを形成する。光ファイバ11aは、ローラ15を介してキャプスタン16により引取られ、さらにローラ17を介して巻取りボビン18に巻取られる。なお、制御部12はキャプスタン16及び巻取り回転を制御して、所定の線速が得られるようになっている。
【0017】
次に、本発明に係る光ファイバの線引き方法について説明する。図2は制御部12による炉温の制御およびキャプスタン16による線引き速度の制御を示すタイムチャートである。
【0018】
図2に示すように、光ファイバの線引きにおいては、光ファイバ母材11の先端を加熱して溶融・紡糸する種落し工程と、種落し工程で製造された紡糸に樹脂をコーティングしてキャプスタン16で引き取った後低速で巻き取りボビン18に巻取る口出し工程と、口出し工程後線速を製造線速まで上昇させる線速上昇工程と、線速上昇工程後製造線速および設定線引き温度で製品取りを行う製品取り工程から構成される。
【0019】
図2に示すように、制御部12は加熱炉13を制御して、種落し工程及び口出し工程を、設定線引き温度T0よりも低い温度Tdで開始し、その後線速上昇工程中に炉温を設定線引き温度T0まで上昇させる。
【0020】
従って、第1の方法として、例えば、製造線速をVf、口出し時の線速をVsとすると、線速上昇時に(T0−Td)/(α×Vf−Vs)の割合で加熱炉13の炉温を上昇させる。
これにより、オーバーシュートを防止して製造線速Vfまで上昇することができる。また、線速上昇完了時には、所望の線引き張力を得ることができる。ここで、ファイバ母材11の外径および製造線速Vfに対応して、係数α(0<α<1)の最適化が必要である。また、線引き張力の微調整が必要な場合もあるが、歩留まりの低下を防止することができる。
【0021】
なお、設定線引き温度T0(2185℃)に対する比率を種々に変化させた口出し時温度Td(=種落とし温度)の場合について、種落しから口出し工程が完了する迄に要する時間を比較して次表に示した。また、表1の値をグラフにして図3に示した。なお、光ファイバ母材11の外径は70mmである。
【表1】
【0022】
その結果、口出し時温度Tdは、設定線引き温度T0の85%〜95%の範囲内で設定した場合には、設定線引き温度T0から口出しを開始した場合よりも時間を短縮することができるので、この範囲に設定するのが望ましい。また、製造線速Vfの25%に達するまでに口出し時温度Tdから設定線引き温度T0の温度差の30%〜40%を戻し、さらに製造線速Vfの74%〜76%に達するまでに、口出し温度Tdと設定線引き温度T0との温度差の95%〜100%に戻すのが望ましい。
【0023】
また、第2の方法としては、口出し時の炉温Tdと所望の炉温T0との差ΔT=T0−Tdを、線速0m/分から製造線速Vfまでの区間を数分割して、ある線速区間まではβ・ΔTだけ上昇させるようにすることもできる。
これにより、オーバーシュートを起こすことなく製造線速Vfまで上昇することができ、且つ所望の線引き張力を得ることができる。ここで、母材外径および製造線速Vfに応じて、炉温上昇の区間β(0<β<1)の係数の最適化および製造線速Vfまでの区間分割数の決定が必要である。また、線引き張力の微調整が必要の場合もあるが、歩留まりの低下を防止することができる。
【0024】
次に、具体的なケースについて説明する。
(実施例1)
設定炉温T0=2185℃、口出し炉温Td=0.95×T0=2075℃、製造線速Vf=800m/分、口出し線速Vs=100m/分の条件で、従来の方法および本発明の方法においてT0まで戻すトリガを製造線速Vfの20%(=160m/分)とした場合の線速および炉温の変化を求め、図4に結果を示した。
【0025】
(実施例2)
本発明の第1の方法において、αを0.75と設定した場合の線速および炉温の変化を求め、図5に結果を示した。
【0026】
(実施例3)
本発明の第2の方法において、▲1▼製造線速Vfの0%〜25%の区間で0.4(T0−Td)、▲2▼25%〜50%の区間で0.4(T0−Td)、▲3▼50%〜75%の区間で0.15(T0−Td)、▲4▼75%〜Vfの区間で0.05(T0−Td)とした場合の線速および炉温の変化を求め、図6に結果を示した。
【0027】
すなわち、図4に示した従来の方法による場合には、炉温の上昇が急激であるため、安定するまでに時間を要することが分かる。このため、材料ロスが多くなっている。一方、本発明に係る方法による場合には、図5に示したように温度上昇がゆっくりの場合および図6に示したように温度上昇を2段階で行った場合には、炉温が早く安定するので材料ロスを減少させることができる。
【0028】
以上、前述した光ファイバの線引き方法によれば、種落し時及び、口出し時の炉温Tdを設定線引き温度T0よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止することができる。これに伴い、材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【0029】
なお、本発明の光ファイバの線引き方法は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかる光ファイバの線引き方法によれば、種落し及び口出し時の炉温を設定線引き温度よりも低い温度に設定することにより、線ブレを防止して早く安定することができる。これにより、製品取りまでの時間を短縮することができると共に材料ロスを減少させて歩留まりの改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの線引き装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】制御部による炉温の制御およびキャプスタンによる線引き速度の制御を示すタイムチャートである。
【図3】種落し、口出し工程温度の設定線引き温度に対する比率を変化させたときの種落しから口出し迄の時間を示すグラフである。
【図4】従来の線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【図5】本発明に係る線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【図6】本発明に係る別の線引き方法における線速および炉温の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 線引き装置
11 母材
11a 光ファイバ
12 制御部
13 加熱炉
16 キャプスタン(引き取り装置)
18 巻取りボビン(巻き取り機)
20 母材供給部
T0 設定線引き温度
Td 口出し時温度
Vf 製造線速
Claims (3)
- 光ファイバ母材の先端を加熱炉で加熱・溶融して、先端の一部を落下させる種落し工程と、線引きされた光ファイバを引き取り装置で引き取る口出し工程と、前記光ファイバの巻取り線速定常の製造線速迄上昇し、かつ、安定させる線速上昇工程と、前記加熱炉の炉温Tを所定の線引き温度T0とし、光ファイバの製品取りを行う製品取り工程とを有し、前記種落し工程および口出し工程を、前記加熱炉炉温Tを前記線引き温度T0よりも低い温度Tdで開始し、前記線速上昇工程中に前記線引き温度T0迄、前記炉温Tを上昇させることを特徴とする光ファイバの線引き方法。
- 前記低い温度Tdを前記線引き温度T0の85%〜95%の範囲内で設定することを特徴とする請求項1に記載した光ファイバの線引き方法。
- 前記製造線速の25%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.3(T0―Td)≦T≦Td+0.4(T0―Td)とし、製造線速の74%〜76%に達するまでに、前記炉温TをTd+0.95(T0―Td)≦T≦T0にすることを特徴とする請求項1または2に記載した光ファイバの線引き方法。
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JP2010248033A (ja) * | 2009-04-16 | 2010-11-04 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ用ガラス母材の延伸方法 |
JP2011144087A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-07-28 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 光ファイバの線引き方法 |
WO2022224798A1 (ja) * | 2021-04-23 | 2022-10-27 | 住友電気工業株式会社 | 光ファイバの製造方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018617A patent/JP2004231427A/ja active Pending
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