JP2004230980A - 車両用液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】補助液圧室の液圧によってマスタピストンが前進作動しないときには、補助ピストンを直接マスタピストンに当接させて前進駆動する液圧ブレーキ装置において、ブレーキ操作部材の非操作時に補助ピストンに対しリフレッシュ作動を行い得るようにする。
【解決手段】液圧源PSの出力液圧をブレーキ操作部材(2)の操作に応じて調圧して補助液圧室C2に導入し、マスタピストン11を前進駆動してマスタ液圧室C1からブレーキ液圧を出力する装置において、筒状部材13における前進方向の受圧有効面積を有する部分(13a)と後退方向の受圧有効面積を有する部分(13b)との間に液圧源PSの出力液圧を付与する。このときの筒状部材に対する液圧の変化に応じて筒状部材を補助ピストン12に対して摺動させて、補助ピストンに対しリフレッシュ作動を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】液圧源PSの出力液圧をブレーキ操作部材(2)の操作に応じて調圧して補助液圧室C2に導入し、マスタピストン11を前進駆動してマスタ液圧室C1からブレーキ液圧を出力する装置において、筒状部材13における前進方向の受圧有効面積を有する部分(13a)と後退方向の受圧有効面積を有する部分(13b)との間に液圧源PSの出力液圧を付与する。このときの筒状部材に対する液圧の変化に応じて筒状部材を補助ピストン12に対して摺動させて、補助ピストンに対しリフレッシュ作動を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車輪ブレーキ機構のホイールシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ブレーキ装置に関し、特に、マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動し、例えば液圧源の失陥時には補助ピストンを介して直接マスタピストンを駆動し得るように構成した車両用液圧ブレーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動するように構成した装置は、例えば下記の特許文献1に開示されている。この特許文献1には、「ブースタ本体に前後動可能に収容され、マスタシリンダのマスタピストン後面との間にブースト室を画成する制御ピストンと、この制御ピストンに前後動可能に収容されて前面をブースト室に連通させ、且つ所定の前進位置で制御ピストンに当接する弁ピストンと、同じく制御ピストンに前後動可能に収容されると共に操作部材に連結され、弁ピストンの後面との間に反力室を画成する反力ピストンと、反力室に蓄圧室を連通させるストロークアキュムレータと」を備えた流体圧倍力装置が開示されている。
【0003】
更に、下記の特許文献1には、ブースト室(16)の液圧が、マスタピストン(7r)の背面に作用して前進作動すると共に、制御ピストン(15)の前面にも作用し、後方への押圧力とセットばね(20)の弾発力により制御ピストン(15)が当初の後退限に保持される旨記載されている(特許文献1の公報第6頁下段)。そして、油圧源(54)に失陥が生じたときには、ブレーキペダル(1)を踏込めば反力ピストン(23)が前進し、これに伴い直ちに弁ピストン(22)が前進し、その肩部(22b)が弁室体(29)に当接して制御ピストン(15)が前進する旨記載されている(特許文献1の公報第7頁下段)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−45459号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の制御ピストン(15)は前述の補助ピストンに対応し、本願では後者を用いるが、この補助ピストン(制御ピストン15)は常時は後方(入力側)に付勢されており実質的に固定された状態にある。このため、例えば経年変化で、万一補助ピストンが摺動不能の状態になると、例えば上記の油圧源の失陥時に補助ピストンが作動しないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動するように構成し、補助液圧室の液圧によってマスタピストンが前進作動しないときには、補助ピストンを直接マスタピストンに当接させてマスタピストンを前進駆動し得るように構成する車両用液圧ブレーキ装置において、少なくともブレーキ操作部材の非操作時に、補助ピストンに対してリフレッシュ作動を行い得るように構成することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、所定の液圧を発生して出力する液圧源と、ハウジング内の前方にマスタ液圧室を形成するマスタピストン、及び前記ハウジング内で前記マスタピストンの後方に配置し前方に補助液圧室を形成する補助ピストンを有し、前記液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して前記補助液圧室に導入し、前記補助ピストンを後方に付勢して初期位置に保持すると共に、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンを前進駆動して前記マスタ液圧室からブレーキ液圧を出力するマスタシリンダとを備え、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンが前進作動しないときには、前記補助ピストンを直接前記マスタピストンに当接させて前進駆動するように構成した車両用液圧ブレーキ装置において、前記ハウジング内の前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に液密的摺動自在に配設し、前進方向の受圧有効面積と後退方向の受圧有効面積との間に所定の差を設けた筒状部材を備え、該筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に前記液圧源の出力液圧を付与し得るように構成すると共に、前記筒状部材に対する液圧の変化に応じて前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成したものである。
【0008】
例えば、前記筒状部材の前進方向の受圧有効面積を後退方向の受圧有効面積より小に設定することとすれば、前記液圧源の出力液圧が前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に付与されると前記筒状部材が後退する。而して、補助ピストンが摺動困難な状態に陥る前に、前記液圧源の出力液圧を前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に付与することにより、前記筒状部材は前記補助ピストンに対して後退方向に駆動されるので、確実に分離されて摺動可能となる。即ち、補助ピストンのリフレッシュ作動が行なわれる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、ブレーキ液を略大気圧下で貯蔵するリザーバを備えると共に、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記リザーバとの連通を遮断し前記液圧源に連通する第1の状態と、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記液圧源との連通を遮断し前記リザーバに連通する第2の状態とを切り換える切換手段を備えたものとするとよい。尚、この切換手段は、例えば、前記部分と前記液圧源との連通を断続制御する電磁開閉弁もしくは比例電磁弁と、前記部分と前記リザーバとの連通を断続制御する電磁開閉弁もしくは比例電磁弁によって構成することができる。
【0010】
上記請求項1又は2に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項3に記載のように、前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に配置する環状シール部材を備え、前記補助ピストンの軸に平行な前記環状シール部材の幅と略等しい距離を、前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成するとよい。
【0011】
上記請求項1、2又は3に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項4に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装し前記筒状部材を前進方向及び後退方向の一方の方向に付勢する付勢手段を備え、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に付与する液圧が所定圧以下になったときに、前記筒状部材が前進方向及び後退方向の他方の方向に移動するように、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積及び後退方向の受圧有効面積と前記付勢手段の付勢力を設定するように構成するとよい。
【0012】
上記請求項4に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、前記付勢手段は、請求項5に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する環状の皿ばねとするとよい。あるいは、請求項6に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する圧縮コイルスプリングとしてもよい。そして、請求項7に記載のように、前記所定圧は略零に設定するとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置を示すもので、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル2の操作に応じて液圧を発生する液圧発生装置PGを備え、その出力液圧が各車輪のホイールシリンダ(代表して図1にWCで表わす)に供給され、制動力が付与される。本実施形態の液圧発生装置PGは、ブレーキペダル2に対する操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧源PSを備えている。この液圧源PSは、電子制御装置ECUによって制御される電動モータMと、この電動モータMによって駆動される液圧ポンプHPを備え、その入力側が大気圧リザーバRS(以下、単にリザーバRSという)に連通接続され、出力側がアキュムレータACに連通接続されている。本実施形態では出力側に圧力センサP1が接続されており、電子制御装置ECUによって圧力センサP1の検出圧力が監視される。この監視結果に基づき、アキュムレータACの液圧が所定の上限値と下限値の間の圧力に維持されるように、電子制御装置ECUにより電動モータMが制御される。
【0014】
液圧発生装置PGの本体を構成するシリンダハウジング1(以下、単にハウジング1という)内には、内径が異なる孔1a,1b,1c,1d,1e,1f,1gから成る段付シリンダ孔が形成されており、この中にマスタピストン11、補助ピストン12、筒状部材13及び入力ピストン3が収容されている。ハウジング1の孔1bの内面には環状カップ形状のシール部材S1及びS2が配置され、これに有底筒体のマスタピストン11が液密的摺動自在に嵌合されている。また、孔1d及び1eの段付孔の内面には筒状部材13が液密的摺動自在に嵌合されている。
【0015】
本実施形態の筒状部材13は、前方(図1の左方)に小径のランド部13aを有すると共に後方に大径のランド部13bを有し、前方のランド部13aの外周側及び内周側には夫々環状のシール部材S3及びS4が配置され、後方のランド部13bの外周側及び内周側には夫々環状のシール部材S5及びS6が配置されている。そして、この筒状部材13に、シール部材S4及びS6を介して補助ピストン12が液密的摺動自在に嵌合されている。更に、孔1fの内面に環状のシール部材S7が配置され、これに入力ピストン3が液密的摺動自在に嵌合されている。尚、ハウジング1は、図1では説明を容易にするため一体として示したが、実際には複数のシリンダ部材が組み合わされて構成される。
【0016】
また、図1では省略したが、マスタピストン11の前方(尚、図1の左方を前方とする。以下、同様)に別のマスタピストンが配置されており、マスタピストン11による出力ブレーキ液圧が第1の液圧系のホイールシリンダ(代表してWCで表わす)に供給され、別のマスタピストンによる出力ブレーキ液圧が第2の液圧系のホイールシリンダ(図示せず)に供給されるように構成されている。
【0017】
図1に示すように、ハウジング1の孔1a内の、マスタピストン11及びシール部材S1と別のマスタピストン(図示せず)との間にマスタ液圧室C1が形成されると共に、筒状部材13前方のシール部材S4及び補助ピストン12とマスタピストン11及びシール部材S2との間に補助液圧室C2が形成されている。而して、ハウジング1の前方部分にマスタシリンダMCが構成されている。更に、ハウジング1内の補助ピストン12の後方、即ちシール部材S6とシール部材S7との間にドレイン室C6が形成されており、このドレイン室C6は連通孔1rを介してリザーバRSと連通すると共に、連通孔12bを介して補助ピストン12内の低圧室C7と連通している。
【0018】
一方,筒状部材13のランド部13aとランド部13bとの間には駆動液圧室C4及びC5が形成されている。これら駆動液圧室C4及びC5は連通孔13dを介して連通しており、駆動液圧室C4は連通孔1pを介して液圧源PSに連通接続されているので、液圧源PSの出力液圧は駆動液圧室C4及びC5に供給される。従って、筒状部材13のランド部13aに前進方向の受圧有効面積が形成され、ランド部13bに後退方向の受圧有効面積が形成され、図1に示すように筒状部材13の前後が略大気圧にあるときに、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C4及びC5に供給されると、受圧有効面積の差に応じた後方への駆動力が筒状部材13に付与される。而して、筒状部材13における前進方向の受圧有効面積を有する部分(ランド部13a)と後退方向の受圧有効面積を有する部分(ランド部13b)との間に駆動液圧室C4及びC5が郭成されている。
【0019】
更に、筒状部材13の後端面とハウジング1の孔1eの段部との間に、付勢手段たる環状の皿ばね14が介装されており、筒状部材13は前方に付勢されている。従って、後述するように、補助ピストン12のリフレッシュ作動後、筒状部材13を確実に初期位置に復帰させることができる。
【0020】
そして、補助ピストン12は上記の筒状部材13内に液密的摺動自在に嵌合されており、通常は(後述するリターンスプリング8の付勢力及び/又は補助液圧室C2内の液圧によって)図1に示す初期位置に保持されるが、例えば液圧源PSが失陥しその出力液圧が消失したときには、ブレーキペダル2が操作されると入力ピストン3によって補助ピストン12が直接駆動され前方に移動する。
【0021】
補助ピストン12内には、スプール弁機構の調圧弁RGが収容されており、その構成部材であるスプール6の前方に調圧室C3が形成されると共に、スプール6の後方に低圧室C7が形成されており、調圧室C3は少なくとも孔12cを介して補助液圧室C2に連通し、低圧室C7は入力ピストン3の孔3b及び補助ピストン12の孔12bを介してドレイン室C6に連通している。そして、調圧室C3はスプール6を介して駆動液圧室C5又は低圧室C7に連通するように構成されている。この低圧室C7内には、入力ピストン3に加えられるブレーキ操作力を、プレート5を介してスプール6に伝達すると共にブレーキ操作力に応じたストロークを入力ピストン3に付与する圧縮スプリング4が収容されている。
【0022】
尚、本実施形態では省略したが、プレート5に代えて、ブレーキペダル2に対するブレーキ操作力と調圧弁RGの出力液圧との相関を調整する分配装置を配置し、ストロークシミュレータを構成するとよい。また、圧縮スプリング4に代えて、ゴム、空気ばね等の弾性部材を用いることとしてもよい。
【0023】
本実施形態の調圧弁RGにおいては、リターンスプリングとして機能する圧縮スプリング7が調圧室C3内に収容されており、その付勢力によってスプール6が後方に押圧されている。尚、圧縮スプリング7の取付荷重は圧縮スプリング4の取付荷重より大に設定され、ブレーキペダル2が操作されていないときには、図1に示す状態が維持されるように構成されている。上記の低圧室C7はドレイン室C6を介して液圧源PSの入力側と共にリザーバRSに接続されており、リザーバRS内の略大気圧のブレーキ液がドレイン室C6及び低圧室C7に充填されている。一方、駆動液圧室C5(及びC4)は液圧源PSのアキュムレータACに接続されており、液圧源PSの出力液圧が供給されるので高圧室となる。
【0024】
而して、図1に示すようにスプール6が後端の初期位置にあるときには、調圧室C3はスプール6を介して低圧室C7に連通し、更に連通孔3bを介してドレイン室C6に連通しているので、リザーバRS内と同様略大気圧となっている。入力ピストン3が前方に移動し、これに伴いスプール6が前進して調圧室C3が低圧室C7から遮断された状態となると、調圧室C3内は出力保持状態となる。更にスプール6が前進すると、調圧室C3は、スプール6、補助ピストン12及び駆動液圧室C4及びC5を介して液圧源PSと連通するので、液圧源PSの出力液圧が調圧室C3内に供給されて昇圧し、出力増加状態となる。このように、補助ピストン12に対するスプール6の相対移動の繰り返しによって、調圧室C3内の液圧が所定の圧力に調整され、この結果、調圧室C3に連通する補助液圧室C2が同圧力に調整されるように構成されている。即ち、補助ピストン12の連通孔12cを介して(マスタピストン11と補助ピストン12の間が離隔した後は、連通孔12cに加え、補助ピストン12先端の開口部を介して)調圧室C3が補助液圧室C2に連通しているので、調圧室C3及び補助液圧室C2内は等しい液圧であり、この液圧によってマスタピストン11が前進駆動される。
【0025】
一方、マスタ液圧室C1内には、リターンスプリングとして機能する圧縮スプリング8が収容されており、この付勢力によってマスタピストン11の後端面が補助ピストン12の前端面に押接されている。即ち、図1に示すようにマスタピストン11が後端の初期位置にあるときには、マスタピストン11のスカート部に形成された連通孔11aとハウジング1に形成された連通孔1qがリザーバRSと連通し、マスタ液圧室C1はリザーバRS内と同様略大気圧となっている。マスタピストン11が前進すると、そのスカート部によって連通孔1qが遮蔽され、リザーバRSとの連通が遮断される。而して、この状態で更にマスタピストン11が前進するとマスタ液圧室C1内の液圧が上昇し、マスタ液圧室C1からブレーキ液圧が出力され、この出力液圧がホイールシリンダWCに供給される。
【0026】
上記の構成になる本実施形態の液圧ブレーキ装置において、先ず液圧発生装置PGの作動を説明すると、ブレーキペダル2が非操作状態にあるときには、入力ピストン3及び調圧弁RGのスプール6は図1に示す状態にある。即ち、圧縮スプリング7の付勢力によってスプール6が補助ピストン12に押接されており、この状態では、調圧室C3と駆動液圧室C5との連通は遮断され、調圧室C3は低圧室C7に連通している(出力減少状態)。而して、調圧室C3は低圧室C7を介してリザーバRSに連通し略大気圧とされており、補助液圧室C2もこれと同圧であるので、マスタピストン11は図1に示す初期位置に維持される。
【0027】
ブレーキペダル2に踏力が付与されると、入力ピストン3、圧縮スプリング4、プレート5及びスプール6を介してブレーキ操作力が伝達され、先ず圧縮スプリング4及び7が圧縮されつつスプール6が駆動されて前進する。このとき、圧縮スプリング4がストロークシミュレータとして機能する。更に、圧縮スプリング7の付勢力に抗してブレーキペダル2に踏力が付与され、スプール6が前進駆動されて調圧室C3(及び補助液圧室C2)が駆動液圧室C4(及びC5)及び低圧室C7(及びドレーン室C6)の何れとも連通しない位置となると、出力保持状態となる。更にブレーキペダル2に踏力が付与されてスプール6が前進すると、調圧室C3と低圧室C7との連通が遮断された状態で、調圧室C3が駆動液圧室C4と連通し、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C5(及び駆動液圧室C4)及びスプール6を介して調圧室C3(及び補助液圧室C2)に供給され、出力増加状態となる。
【0028】
而して、図1に示す状態でブレーキペダル2が操作されると、調圧弁RGによって、液圧源PSの出力液圧が、入力ピストン3から圧縮スプリング4を介してスプール6に伝達される力に応じた液圧に調整されて調圧室C3及び補助液圧室C2の液圧とされ、この液圧によってマスタピストン11(及び図示しない別のマスタピストン)が前進駆動され、マスタピストン11が補助ピストン12から離隔する。これにより、マスタ液圧室C1(及び図示しない別のマスタ液圧室)からブレーキ操作力に応じた液圧がホイールシリンダWCに供給されると共に、ストロークシミュレータの圧縮スプリング4が圧縮され、入力ピストン3ひいてはブレーキペダル2に対しブレーキ操作力に応じたストロークが付与される。
【0029】
そして、液圧発生装置PGの作動中、例えば万一液圧源PSが失陥した場合には、液圧源PSの出力液圧が調圧室C3に供給されない。従って、ブレーキペダル2が操作されると圧縮スプリング4が圧縮され、入力ピストン3の円筒部3aの先端が補助ピストン12に当接し、ブレーキペダル2の操作力が直接補助ピストン12に伝達される。これにより、補助ピストン12が直接前進駆動され、更にこれに当接するマスタピストン11が前進駆動され、マスタ液圧室C1からブレーキ液圧が出力される。
【0030】
上記の構成に成る液圧ブレーキ装置においては、補助ピストン12のリフレッシュ作動が以下のように行なわれる。即ち、図1に示す停止状態であるときには筒状部材13の前後は略大気圧にあり、この状態で液圧源PSが駆動されると、液圧源PSの出力液圧は駆動液圧室C4及びC5に供給され、ランド部13a及び13bの受圧有効面積の差によって後方への駆動力が筒状部材13に付与され、皿ばね14の付勢力に抗して筒状部材13が後退する。この結果、図2に示すように皿ばね14が圧縮された状態となり、筒状部材13は後端位置に保持される。そして、液圧源PSの作動が停止されると、駆動液圧室C4及びC5内のブレーキ液がスプール6を介して少しずつ低圧室C7に流出するので駆動液圧室C4及びC5内の液圧が漸減する。この結果、駆動液圧室C4及びC5内が略大気圧となると、皿ばね14の付勢力によって筒状部材13は図1に示す前端位置(初期位置)に戻される。而して、この間の筒状部材13の前後移動によって、補助ピストン12のリフレッシュ作動が行なわれる。
【0031】
尚、上記の補助ピストン12に対するリフレッシュ作動時の筒状部材13の移動距離は、少なくとも補助ピストン12に対して摺動抵抗となるシール部材S4及びS6の(補助ピストン12の軸方向の)幅で、例えば各シール部材を収容する溝の幅と略等しい距離に設定することが望ましい。
【0032】
図3は本発明の他の実施形態を示すもので、付勢手段として、図1の皿ばね14に代えて、圧縮コイルスプリング15を装着することとしたものである。その他の構成は図1に示す実施形態と同様であるので、図1の符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
また、図4は本発明の更に他の実施形態を示すもので、前述の液圧源PS及び電子制御装置ECUと共に、以下の電磁開閉弁が配設され、切換手段CHが構成されている。即ち、図4に示すように、液圧源PSと駆動液圧室C4を接続する液圧路に2ポート2位置の常開の電磁開閉弁NOが介装されており、非励磁時には図4に示す開位置にあって、液圧源PSと駆動液圧室C4とが連通されており、励磁時には閉位置とされてその連通が遮断される。また、駆動液圧室C4とリザーバRSとを接続する液圧路には、2ポート2位置の常閉の電磁開閉弁NCが介装されており、非励磁時には図4に示す閉位置にあって、駆動液圧室C4とリザーバRSとの連通が遮断されており、励磁時には開位置とされて連通する。
【0034】
従って、上記の電磁開閉弁NC及びNOから成る切換手段CHは、駆動液圧室C4とリザーバRSとの連通を遮断すると共に液圧源PSと駆動液圧室C4を連通する第1の状態と、液圧源PSと駆動液圧室C4との連通を遮断すると共に駆動液圧室C4とリザーバRSを連通する第2の状態とを切り換えることができる。尚、電磁開閉弁NC及びNOを統合して、単一の電磁切換弁を構成することとしてもよい。また、電磁開閉弁NC及びNOに代えて比例電磁弁を用いることとしてもよく、比例電磁弁を用いた場合には、応答時間を任意に設定することができ、駆動液圧室C4に供給される液圧を任意に設定することができる。
【0035】
図4に示す液圧ブレーキ装置においては、運転者がブレーキペダル2を操作していないときに、補助ピストン12のリフレッシュ作動が以下のように行なわれる。即ち、ブレーキペダル2が操作されていない作動待機状態には、切換手段CHは第1の状態にあって電磁開閉弁NC,NOは図4に示す状態で、液圧源PSが作動状態とされる。これにより、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C4に付与されるので、筒状部材13は後退駆動され、図2に示す状態と同じ状態となる。このように筒状部材13を後退駆動させた後、所定時間後、電磁開閉弁NOが励磁されて閉位置とされた後に、電磁開閉弁NCが励磁されて開位置とされ、切換手段CHが第2の状態とされる。これにより、駆動液圧室C4への液圧源PSの出力液圧の付与が停止され、代わって、駆動液圧室C4はリザーバRSに連通し略大気圧とされるので、皿ばね14の付勢力によって筒状部材13は前進駆動される。
【0036】
この結果、補助ピストン12に対し筒状部材13が所定距離(例えばシール部材C4又はC6の幅)を往復動し、補助ピストン12のリフレッシュ作動が完了する。この後、電磁開閉弁NOが非励磁とされて閉位置とされた後、電磁開閉弁NCが非励磁とされて開位置とされ、駆動液圧室C4は液圧源PSに連通し、作動待機状態に戻される。このように、本実施形態においては、液圧源PSの作動、非作動によるリフレッシュ作動に留まらず、切換手段CHの作動によって適宜筒状部材13を駆動することができ、補助ピストン12のリフレッシュ作動を任意に行なうことができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下に記載の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の車両用液圧ブレーキ装置においては、筒状部材への液圧源の出力液圧の付与及び付勢手段の付勢力によって、補助ピストンに対して筒状部材を後退及び前進駆動させるように構成されているので、補助ピストンが摺動困難な状態に陥る前に、筒状部材によって補助ピストンのリフレッシュ作動を適切に行うことができる。従って、補助液圧室の液圧によってマスタピストンが前進作動しないときには、補助ピストンを直接マスタピストンに当接させて確実にマスタピストンを前進駆動することができる。
【0038】
また、補助ピストン駆動手段を、請求項2に記載のように切換手段を備えたものとすれば、この切換手段を例えば電磁開閉弁によって構成し、筒状部材による補助ピストンのリフレッシュ作動を任意に行なうことができる。
【0039】
そして、筒状部材の移動距離を、請求項3に記載のように設定すれば、筒状部材の作動は最小距離に押えることができるので、簡単な構成で実現でき、安価な装置とすることができる。
【0040】
更に、請求項4に記載のように構成すれば、確実に筒状部材を駆動し補助ピストンのリフレッシュ作動を行なうことができる。特に、付勢手段を請求項5又は6に記載のように構成すれば、簡単な構成で実現でき、一層安価な装置とすることができる。更に、請求項7に記載のように設定すれば、補助ピストンのリフレッシュ作動を行なった後、確実に筒状部材を初期位置に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材を後退駆動したときの同装置の一部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
PG 液圧発生装置, PS 液圧源, RG 調圧弁, RS リザーバ,
1 ハウジング, 2 ブレーキペダル, 3 入力ピストン,
6 スプール, 11 マスタピストン, 12 補助ピストン,
C1 マスタ液圧室, C2 補助液圧室, C3 調圧室,
C4,C5 駆動液圧室, C6 ドレイン室, C7 低圧室,
CH 切換手段, NO,NC 電磁開閉弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車輪ブレーキ機構のホイールシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ブレーキ装置に関し、特に、マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動し、例えば液圧源の失陥時には補助ピストンを介して直接マスタピストンを駆動し得るように構成した車両用液圧ブレーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動するように構成した装置は、例えば下記の特許文献1に開示されている。この特許文献1には、「ブースタ本体に前後動可能に収容され、マスタシリンダのマスタピストン後面との間にブースト室を画成する制御ピストンと、この制御ピストンに前後動可能に収容されて前面をブースト室に連通させ、且つ所定の前進位置で制御ピストンに当接する弁ピストンと、同じく制御ピストンに前後動可能に収容されると共に操作部材に連結され、弁ピストンの後面との間に反力室を画成する反力ピストンと、反力室に蓄圧室を連通させるストロークアキュムレータと」を備えた流体圧倍力装置が開示されている。
【0003】
更に、下記の特許文献1には、ブースト室(16)の液圧が、マスタピストン(7r)の背面に作用して前進作動すると共に、制御ピストン(15)の前面にも作用し、後方への押圧力とセットばね(20)の弾発力により制御ピストン(15)が当初の後退限に保持される旨記載されている(特許文献1の公報第6頁下段)。そして、油圧源(54)に失陥が生じたときには、ブレーキペダル(1)を踏込めば反力ピストン(23)が前進し、これに伴い直ちに弁ピストン(22)が前進し、その肩部(22b)が弁室体(29)に当接して制御ピストン(15)が前進する旨記載されている(特許文献1の公報第7頁下段)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−45459号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の制御ピストン(15)は前述の補助ピストンに対応し、本願では後者を用いるが、この補助ピストン(制御ピストン15)は常時は後方(入力側)に付勢されており実質的に固定された状態にある。このため、例えば経年変化で、万一補助ピストンが摺動不能の状態になると、例えば上記の油圧源の失陥時に補助ピストンが作動しないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、マスタピストンの後方に補助ピストンを配設し、液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して補助ピストン前方の補助液圧室に導入し、この補助液圧室の液圧によってマスタピストンを駆動するように構成し、補助液圧室の液圧によってマスタピストンが前進作動しないときには、補助ピストンを直接マスタピストンに当接させてマスタピストンを前進駆動し得るように構成する車両用液圧ブレーキ装置において、少なくともブレーキ操作部材の非操作時に、補助ピストンに対してリフレッシュ作動を行い得るように構成することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、所定の液圧を発生して出力する液圧源と、ハウジング内の前方にマスタ液圧室を形成するマスタピストン、及び前記ハウジング内で前記マスタピストンの後方に配置し前方に補助液圧室を形成する補助ピストンを有し、前記液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して前記補助液圧室に導入し、前記補助ピストンを後方に付勢して初期位置に保持すると共に、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンを前進駆動して前記マスタ液圧室からブレーキ液圧を出力するマスタシリンダとを備え、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンが前進作動しないときには、前記補助ピストンを直接前記マスタピストンに当接させて前進駆動するように構成した車両用液圧ブレーキ装置において、前記ハウジング内の前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に液密的摺動自在に配設し、前進方向の受圧有効面積と後退方向の受圧有効面積との間に所定の差を設けた筒状部材を備え、該筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に前記液圧源の出力液圧を付与し得るように構成すると共に、前記筒状部材に対する液圧の変化に応じて前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成したものである。
【0008】
例えば、前記筒状部材の前進方向の受圧有効面積を後退方向の受圧有効面積より小に設定することとすれば、前記液圧源の出力液圧が前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に付与されると前記筒状部材が後退する。而して、補助ピストンが摺動困難な状態に陥る前に、前記液圧源の出力液圧を前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に付与することにより、前記筒状部材は前記補助ピストンに対して後退方向に駆動されるので、確実に分離されて摺動可能となる。即ち、補助ピストンのリフレッシュ作動が行なわれる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、ブレーキ液を略大気圧下で貯蔵するリザーバを備えると共に、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記リザーバとの連通を遮断し前記液圧源に連通する第1の状態と、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記液圧源との連通を遮断し前記リザーバに連通する第2の状態とを切り換える切換手段を備えたものとするとよい。尚、この切換手段は、例えば、前記部分と前記液圧源との連通を断続制御する電磁開閉弁もしくは比例電磁弁と、前記部分と前記リザーバとの連通を断続制御する電磁開閉弁もしくは比例電磁弁によって構成することができる。
【0010】
上記請求項1又は2に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項3に記載のように、前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に配置する環状シール部材を備え、前記補助ピストンの軸に平行な前記環状シール部材の幅と略等しい距離を、前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成するとよい。
【0011】
上記請求項1、2又は3に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、請求項4に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装し前記筒状部材を前進方向及び後退方向の一方の方向に付勢する付勢手段を備え、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に付与する液圧が所定圧以下になったときに、前記筒状部材が前進方向及び後退方向の他方の方向に移動するように、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積及び後退方向の受圧有効面積と前記付勢手段の付勢力を設定するように構成するとよい。
【0012】
上記請求項4に記載の車両用液圧ブレーキ装置において、前記付勢手段は、請求項5に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する環状の皿ばねとするとよい。あるいは、請求項6に記載のように、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する圧縮コイルスプリングとしてもよい。そして、請求項7に記載のように、前記所定圧は略零に設定するとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置を示すもので、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル2の操作に応じて液圧を発生する液圧発生装置PGを備え、その出力液圧が各車輪のホイールシリンダ(代表して図1にWCで表わす)に供給され、制動力が付与される。本実施形態の液圧発生装置PGは、ブレーキペダル2に対する操作とは無関係に所定の液圧を発生し出力する液圧源PSを備えている。この液圧源PSは、電子制御装置ECUによって制御される電動モータMと、この電動モータMによって駆動される液圧ポンプHPを備え、その入力側が大気圧リザーバRS(以下、単にリザーバRSという)に連通接続され、出力側がアキュムレータACに連通接続されている。本実施形態では出力側に圧力センサP1が接続されており、電子制御装置ECUによって圧力センサP1の検出圧力が監視される。この監視結果に基づき、アキュムレータACの液圧が所定の上限値と下限値の間の圧力に維持されるように、電子制御装置ECUにより電動モータMが制御される。
【0014】
液圧発生装置PGの本体を構成するシリンダハウジング1(以下、単にハウジング1という)内には、内径が異なる孔1a,1b,1c,1d,1e,1f,1gから成る段付シリンダ孔が形成されており、この中にマスタピストン11、補助ピストン12、筒状部材13及び入力ピストン3が収容されている。ハウジング1の孔1bの内面には環状カップ形状のシール部材S1及びS2が配置され、これに有底筒体のマスタピストン11が液密的摺動自在に嵌合されている。また、孔1d及び1eの段付孔の内面には筒状部材13が液密的摺動自在に嵌合されている。
【0015】
本実施形態の筒状部材13は、前方(図1の左方)に小径のランド部13aを有すると共に後方に大径のランド部13bを有し、前方のランド部13aの外周側及び内周側には夫々環状のシール部材S3及びS4が配置され、後方のランド部13bの外周側及び内周側には夫々環状のシール部材S5及びS6が配置されている。そして、この筒状部材13に、シール部材S4及びS6を介して補助ピストン12が液密的摺動自在に嵌合されている。更に、孔1fの内面に環状のシール部材S7が配置され、これに入力ピストン3が液密的摺動自在に嵌合されている。尚、ハウジング1は、図1では説明を容易にするため一体として示したが、実際には複数のシリンダ部材が組み合わされて構成される。
【0016】
また、図1では省略したが、マスタピストン11の前方(尚、図1の左方を前方とする。以下、同様)に別のマスタピストンが配置されており、マスタピストン11による出力ブレーキ液圧が第1の液圧系のホイールシリンダ(代表してWCで表わす)に供給され、別のマスタピストンによる出力ブレーキ液圧が第2の液圧系のホイールシリンダ(図示せず)に供給されるように構成されている。
【0017】
図1に示すように、ハウジング1の孔1a内の、マスタピストン11及びシール部材S1と別のマスタピストン(図示せず)との間にマスタ液圧室C1が形成されると共に、筒状部材13前方のシール部材S4及び補助ピストン12とマスタピストン11及びシール部材S2との間に補助液圧室C2が形成されている。而して、ハウジング1の前方部分にマスタシリンダMCが構成されている。更に、ハウジング1内の補助ピストン12の後方、即ちシール部材S6とシール部材S7との間にドレイン室C6が形成されており、このドレイン室C6は連通孔1rを介してリザーバRSと連通すると共に、連通孔12bを介して補助ピストン12内の低圧室C7と連通している。
【0018】
一方,筒状部材13のランド部13aとランド部13bとの間には駆動液圧室C4及びC5が形成されている。これら駆動液圧室C4及びC5は連通孔13dを介して連通しており、駆動液圧室C4は連通孔1pを介して液圧源PSに連通接続されているので、液圧源PSの出力液圧は駆動液圧室C4及びC5に供給される。従って、筒状部材13のランド部13aに前進方向の受圧有効面積が形成され、ランド部13bに後退方向の受圧有効面積が形成され、図1に示すように筒状部材13の前後が略大気圧にあるときに、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C4及びC5に供給されると、受圧有効面積の差に応じた後方への駆動力が筒状部材13に付与される。而して、筒状部材13における前進方向の受圧有効面積を有する部分(ランド部13a)と後退方向の受圧有効面積を有する部分(ランド部13b)との間に駆動液圧室C4及びC5が郭成されている。
【0019】
更に、筒状部材13の後端面とハウジング1の孔1eの段部との間に、付勢手段たる環状の皿ばね14が介装されており、筒状部材13は前方に付勢されている。従って、後述するように、補助ピストン12のリフレッシュ作動後、筒状部材13を確実に初期位置に復帰させることができる。
【0020】
そして、補助ピストン12は上記の筒状部材13内に液密的摺動自在に嵌合されており、通常は(後述するリターンスプリング8の付勢力及び/又は補助液圧室C2内の液圧によって)図1に示す初期位置に保持されるが、例えば液圧源PSが失陥しその出力液圧が消失したときには、ブレーキペダル2が操作されると入力ピストン3によって補助ピストン12が直接駆動され前方に移動する。
【0021】
補助ピストン12内には、スプール弁機構の調圧弁RGが収容されており、その構成部材であるスプール6の前方に調圧室C3が形成されると共に、スプール6の後方に低圧室C7が形成されており、調圧室C3は少なくとも孔12cを介して補助液圧室C2に連通し、低圧室C7は入力ピストン3の孔3b及び補助ピストン12の孔12bを介してドレイン室C6に連通している。そして、調圧室C3はスプール6を介して駆動液圧室C5又は低圧室C7に連通するように構成されている。この低圧室C7内には、入力ピストン3に加えられるブレーキ操作力を、プレート5を介してスプール6に伝達すると共にブレーキ操作力に応じたストロークを入力ピストン3に付与する圧縮スプリング4が収容されている。
【0022】
尚、本実施形態では省略したが、プレート5に代えて、ブレーキペダル2に対するブレーキ操作力と調圧弁RGの出力液圧との相関を調整する分配装置を配置し、ストロークシミュレータを構成するとよい。また、圧縮スプリング4に代えて、ゴム、空気ばね等の弾性部材を用いることとしてもよい。
【0023】
本実施形態の調圧弁RGにおいては、リターンスプリングとして機能する圧縮スプリング7が調圧室C3内に収容されており、その付勢力によってスプール6が後方に押圧されている。尚、圧縮スプリング7の取付荷重は圧縮スプリング4の取付荷重より大に設定され、ブレーキペダル2が操作されていないときには、図1に示す状態が維持されるように構成されている。上記の低圧室C7はドレイン室C6を介して液圧源PSの入力側と共にリザーバRSに接続されており、リザーバRS内の略大気圧のブレーキ液がドレイン室C6及び低圧室C7に充填されている。一方、駆動液圧室C5(及びC4)は液圧源PSのアキュムレータACに接続されており、液圧源PSの出力液圧が供給されるので高圧室となる。
【0024】
而して、図1に示すようにスプール6が後端の初期位置にあるときには、調圧室C3はスプール6を介して低圧室C7に連通し、更に連通孔3bを介してドレイン室C6に連通しているので、リザーバRS内と同様略大気圧となっている。入力ピストン3が前方に移動し、これに伴いスプール6が前進して調圧室C3が低圧室C7から遮断された状態となると、調圧室C3内は出力保持状態となる。更にスプール6が前進すると、調圧室C3は、スプール6、補助ピストン12及び駆動液圧室C4及びC5を介して液圧源PSと連通するので、液圧源PSの出力液圧が調圧室C3内に供給されて昇圧し、出力増加状態となる。このように、補助ピストン12に対するスプール6の相対移動の繰り返しによって、調圧室C3内の液圧が所定の圧力に調整され、この結果、調圧室C3に連通する補助液圧室C2が同圧力に調整されるように構成されている。即ち、補助ピストン12の連通孔12cを介して(マスタピストン11と補助ピストン12の間が離隔した後は、連通孔12cに加え、補助ピストン12先端の開口部を介して)調圧室C3が補助液圧室C2に連通しているので、調圧室C3及び補助液圧室C2内は等しい液圧であり、この液圧によってマスタピストン11が前進駆動される。
【0025】
一方、マスタ液圧室C1内には、リターンスプリングとして機能する圧縮スプリング8が収容されており、この付勢力によってマスタピストン11の後端面が補助ピストン12の前端面に押接されている。即ち、図1に示すようにマスタピストン11が後端の初期位置にあるときには、マスタピストン11のスカート部に形成された連通孔11aとハウジング1に形成された連通孔1qがリザーバRSと連通し、マスタ液圧室C1はリザーバRS内と同様略大気圧となっている。マスタピストン11が前進すると、そのスカート部によって連通孔1qが遮蔽され、リザーバRSとの連通が遮断される。而して、この状態で更にマスタピストン11が前進するとマスタ液圧室C1内の液圧が上昇し、マスタ液圧室C1からブレーキ液圧が出力され、この出力液圧がホイールシリンダWCに供給される。
【0026】
上記の構成になる本実施形態の液圧ブレーキ装置において、先ず液圧発生装置PGの作動を説明すると、ブレーキペダル2が非操作状態にあるときには、入力ピストン3及び調圧弁RGのスプール6は図1に示す状態にある。即ち、圧縮スプリング7の付勢力によってスプール6が補助ピストン12に押接されており、この状態では、調圧室C3と駆動液圧室C5との連通は遮断され、調圧室C3は低圧室C7に連通している(出力減少状態)。而して、調圧室C3は低圧室C7を介してリザーバRSに連通し略大気圧とされており、補助液圧室C2もこれと同圧であるので、マスタピストン11は図1に示す初期位置に維持される。
【0027】
ブレーキペダル2に踏力が付与されると、入力ピストン3、圧縮スプリング4、プレート5及びスプール6を介してブレーキ操作力が伝達され、先ず圧縮スプリング4及び7が圧縮されつつスプール6が駆動されて前進する。このとき、圧縮スプリング4がストロークシミュレータとして機能する。更に、圧縮スプリング7の付勢力に抗してブレーキペダル2に踏力が付与され、スプール6が前進駆動されて調圧室C3(及び補助液圧室C2)が駆動液圧室C4(及びC5)及び低圧室C7(及びドレーン室C6)の何れとも連通しない位置となると、出力保持状態となる。更にブレーキペダル2に踏力が付与されてスプール6が前進すると、調圧室C3と低圧室C7との連通が遮断された状態で、調圧室C3が駆動液圧室C4と連通し、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C5(及び駆動液圧室C4)及びスプール6を介して調圧室C3(及び補助液圧室C2)に供給され、出力増加状態となる。
【0028】
而して、図1に示す状態でブレーキペダル2が操作されると、調圧弁RGによって、液圧源PSの出力液圧が、入力ピストン3から圧縮スプリング4を介してスプール6に伝達される力に応じた液圧に調整されて調圧室C3及び補助液圧室C2の液圧とされ、この液圧によってマスタピストン11(及び図示しない別のマスタピストン)が前進駆動され、マスタピストン11が補助ピストン12から離隔する。これにより、マスタ液圧室C1(及び図示しない別のマスタ液圧室)からブレーキ操作力に応じた液圧がホイールシリンダWCに供給されると共に、ストロークシミュレータの圧縮スプリング4が圧縮され、入力ピストン3ひいてはブレーキペダル2に対しブレーキ操作力に応じたストロークが付与される。
【0029】
そして、液圧発生装置PGの作動中、例えば万一液圧源PSが失陥した場合には、液圧源PSの出力液圧が調圧室C3に供給されない。従って、ブレーキペダル2が操作されると圧縮スプリング4が圧縮され、入力ピストン3の円筒部3aの先端が補助ピストン12に当接し、ブレーキペダル2の操作力が直接補助ピストン12に伝達される。これにより、補助ピストン12が直接前進駆動され、更にこれに当接するマスタピストン11が前進駆動され、マスタ液圧室C1からブレーキ液圧が出力される。
【0030】
上記の構成に成る液圧ブレーキ装置においては、補助ピストン12のリフレッシュ作動が以下のように行なわれる。即ち、図1に示す停止状態であるときには筒状部材13の前後は略大気圧にあり、この状態で液圧源PSが駆動されると、液圧源PSの出力液圧は駆動液圧室C4及びC5に供給され、ランド部13a及び13bの受圧有効面積の差によって後方への駆動力が筒状部材13に付与され、皿ばね14の付勢力に抗して筒状部材13が後退する。この結果、図2に示すように皿ばね14が圧縮された状態となり、筒状部材13は後端位置に保持される。そして、液圧源PSの作動が停止されると、駆動液圧室C4及びC5内のブレーキ液がスプール6を介して少しずつ低圧室C7に流出するので駆動液圧室C4及びC5内の液圧が漸減する。この結果、駆動液圧室C4及びC5内が略大気圧となると、皿ばね14の付勢力によって筒状部材13は図1に示す前端位置(初期位置)に戻される。而して、この間の筒状部材13の前後移動によって、補助ピストン12のリフレッシュ作動が行なわれる。
【0031】
尚、上記の補助ピストン12に対するリフレッシュ作動時の筒状部材13の移動距離は、少なくとも補助ピストン12に対して摺動抵抗となるシール部材S4及びS6の(補助ピストン12の軸方向の)幅で、例えば各シール部材を収容する溝の幅と略等しい距離に設定することが望ましい。
【0032】
図3は本発明の他の実施形態を示すもので、付勢手段として、図1の皿ばね14に代えて、圧縮コイルスプリング15を装着することとしたものである。その他の構成は図1に示す実施形態と同様であるので、図1の符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
また、図4は本発明の更に他の実施形態を示すもので、前述の液圧源PS及び電子制御装置ECUと共に、以下の電磁開閉弁が配設され、切換手段CHが構成されている。即ち、図4に示すように、液圧源PSと駆動液圧室C4を接続する液圧路に2ポート2位置の常開の電磁開閉弁NOが介装されており、非励磁時には図4に示す開位置にあって、液圧源PSと駆動液圧室C4とが連通されており、励磁時には閉位置とされてその連通が遮断される。また、駆動液圧室C4とリザーバRSとを接続する液圧路には、2ポート2位置の常閉の電磁開閉弁NCが介装されており、非励磁時には図4に示す閉位置にあって、駆動液圧室C4とリザーバRSとの連通が遮断されており、励磁時には開位置とされて連通する。
【0034】
従って、上記の電磁開閉弁NC及びNOから成る切換手段CHは、駆動液圧室C4とリザーバRSとの連通を遮断すると共に液圧源PSと駆動液圧室C4を連通する第1の状態と、液圧源PSと駆動液圧室C4との連通を遮断すると共に駆動液圧室C4とリザーバRSを連通する第2の状態とを切り換えることができる。尚、電磁開閉弁NC及びNOを統合して、単一の電磁切換弁を構成することとしてもよい。また、電磁開閉弁NC及びNOに代えて比例電磁弁を用いることとしてもよく、比例電磁弁を用いた場合には、応答時間を任意に設定することができ、駆動液圧室C4に供給される液圧を任意に設定することができる。
【0035】
図4に示す液圧ブレーキ装置においては、運転者がブレーキペダル2を操作していないときに、補助ピストン12のリフレッシュ作動が以下のように行なわれる。即ち、ブレーキペダル2が操作されていない作動待機状態には、切換手段CHは第1の状態にあって電磁開閉弁NC,NOは図4に示す状態で、液圧源PSが作動状態とされる。これにより、液圧源PSの出力液圧が駆動液圧室C4に付与されるので、筒状部材13は後退駆動され、図2に示す状態と同じ状態となる。このように筒状部材13を後退駆動させた後、所定時間後、電磁開閉弁NOが励磁されて閉位置とされた後に、電磁開閉弁NCが励磁されて開位置とされ、切換手段CHが第2の状態とされる。これにより、駆動液圧室C4への液圧源PSの出力液圧の付与が停止され、代わって、駆動液圧室C4はリザーバRSに連通し略大気圧とされるので、皿ばね14の付勢力によって筒状部材13は前進駆動される。
【0036】
この結果、補助ピストン12に対し筒状部材13が所定距離(例えばシール部材C4又はC6の幅)を往復動し、補助ピストン12のリフレッシュ作動が完了する。この後、電磁開閉弁NOが非励磁とされて閉位置とされた後、電磁開閉弁NCが非励磁とされて開位置とされ、駆動液圧室C4は液圧源PSに連通し、作動待機状態に戻される。このように、本実施形態においては、液圧源PSの作動、非作動によるリフレッシュ作動に留まらず、切換手段CHの作動によって適宜筒状部材13を駆動することができ、補助ピストン12のリフレッシュ作動を任意に行なうことができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下に記載の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の車両用液圧ブレーキ装置においては、筒状部材への液圧源の出力液圧の付与及び付勢手段の付勢力によって、補助ピストンに対して筒状部材を後退及び前進駆動させるように構成されているので、補助ピストンが摺動困難な状態に陥る前に、筒状部材によって補助ピストンのリフレッシュ作動を適切に行うことができる。従って、補助液圧室の液圧によってマスタピストンが前進作動しないときには、補助ピストンを直接マスタピストンに当接させて確実にマスタピストンを前進駆動することができる。
【0038】
また、補助ピストン駆動手段を、請求項2に記載のように切換手段を備えたものとすれば、この切換手段を例えば電磁開閉弁によって構成し、筒状部材による補助ピストンのリフレッシュ作動を任意に行なうことができる。
【0039】
そして、筒状部材の移動距離を、請求項3に記載のように設定すれば、筒状部材の作動は最小距離に押えることができるので、簡単な構成で実現でき、安価な装置とすることができる。
【0040】
更に、請求項4に記載のように構成すれば、確実に筒状部材を駆動し補助ピストンのリフレッシュ作動を行なうことができる。特に、付勢手段を請求項5又は6に記載のように構成すれば、簡単な構成で実現でき、一層安価な装置とすることができる。更に、請求項7に記載のように設定すれば、補助ピストンのリフレッシュ作動を行なった後、確実に筒状部材を初期位置に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材を後退駆動したときの同装置の一部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る車両用液圧ブレーキ装置において、ブレーキペダルが非操作状態で、筒状部材及び補助ピストンが非作動状態の同装置の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
PG 液圧発生装置, PS 液圧源, RG 調圧弁, RS リザーバ,
1 ハウジング, 2 ブレーキペダル, 3 入力ピストン,
6 スプール, 11 マスタピストン, 12 補助ピストン,
C1 マスタ液圧室, C2 補助液圧室, C3 調圧室,
C4,C5 駆動液圧室, C6 ドレイン室, C7 低圧室,
CH 切換手段, NO,NC 電磁開閉弁
Claims (7)
- 所定の液圧を発生して出力する液圧源と、ハウジング内の前方にマスタ液圧室を形成するマスタピストン、及び前記ハウジング内で前記マスタピストンの後方に配置し前方に補助液圧室を形成する補助ピストンを有し、前記液圧源の出力液圧をブレーキ操作部材の操作に応じて調圧して前記補助液圧室に導入し、前記補助ピストンを後方に付勢して初期位置に保持すると共に、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンを前進駆動して前記マスタ液圧室からブレーキ液圧を出力するマスタシリンダとを備え、前記補助液圧室の液圧によって前記マスタピストンが前進作動しないときには、前記補助ピストンを直接前記マスタピストンに当接させて前進駆動するように構成した車両用液圧ブレーキ装置において、前記ハウジング内の前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に液密的摺動自在に配設し、前進方向の受圧有効面積と後退方向の受圧有効面積との間に所定の差を設けた筒状部材を備え、該筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に前記液圧源の出力液圧を付与し得るように構成すると共に、前記筒状部材に対する液圧の変化に応じて前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成したことを特徴とする車両用液圧ブレーキ装置。
- ブレーキ液を略大気圧下で貯蔵するリザーバを備えると共に、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記リザーバとの連通を遮断し前記液圧源に連通する第1の状態と、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間を、前記液圧源との連通を遮断し前記リザーバに連通する第2の状態とを切り換える切換手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記補助ピストンの外周面と前記ハウジングの内面との間に配置する環状シール部材を備え、前記補助ピストンの軸に平行な前記環状シール部材の幅と略等しい距離を、前記筒状部材が前記補助ピストンに対して摺動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装し前記筒状部材を前進方向及び後退方向の一方の方向に付勢する付勢手段を備え、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積を有する部分と後退方向の受圧有効面積を有する部分との間に付与する液圧が所定圧以下になったときに、前記筒状部材が前進方向及び後退方向の他方の方向に移動するように、前記筒状部材における前進方向の受圧有効面積及び後退方向の受圧有効面積と前記付勢手段の付勢力を設定することを特徴とする請求項1、2又は3記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記付勢手段が、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する環状の皿ばねであることを特徴とする請求項4記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記付勢手段が、前記筒状部材と前記ハウジングとの間に介装する圧縮コイルスプリングであることを特徴とする請求項4記載の車両用液圧ブレーキ装置。
- 前記所定圧を略零に設定することを特徴とする請求項4、5又は6記載の車両用液圧ブレーキ装置。
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Cited By (1)
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-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020154A patent/JP2004230980A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN109562753A (zh) * | 2017-03-30 | 2019-04-02 | 日立建机株式会社 | 作业机械及作业机械的制动方法 |
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