JP2004230359A - 溶液の混合器およびこれを用いた浄水器 - Google Patents

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Abstract

【課題】通水中の液体Aに溶剤Bの溶液Cを適切な量で混合する混合器であって、使用開始時にカートリッジ内の空気を円滑に排除することができる混合器およびこれを用いた浄水器を提供する。
【解決手段】液体Aの入口18と出口19の間にカートリッジ収容室16を形成し、このカートリッジ収容室16にカートリッジ20を収容し、カートリッジ20はカートリッジ本体21とキャップ22を有し、キャップ22に注出口24および希釈室25を設け、キャップ22をカートリッジ本体21に被着したとき希釈室25がカートリッジ本体21に侵入してカートリッジ本体21内に残っている空気を排除するようにした
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体Aに微量の溶液Cを混入するのに適した混合器、および水道水に含まれる残留塩素を中和するため塩素中和用の溶液を水道水に注入して残留塩素を除去するようにした浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献】国際公開公報 WO 01/08539
水道水には雑菌を滅菌・消毒するため塩素が混入されているが、水道水に含まれる残留塩素(特に次亜塩素酸HOClなどの遊離残留塩素)はカルキ臭を発したり、水の味を低下させたり、人の肌や毛髪に悪影響を及ぼすといわれている。
このようなことから本出願人は、「国際公開公報 WO 01/08539」で提案したように、アスコルビン酸(ビタミンC)を用いて残留塩素を中和し、残留塩素の活性を低減させるようにした給水手段を発明した。
この給水手段は、通水路に収容したカートリッジにビタミンC粉末を充填しておき、通水により注出口からカートリッジ内に水を導入してビタミンC粉末を溶解し、このビタミンC水溶液を上記注出口を通じて微量ずつ放出して水道水に混ぜることで水道水の残留塩素を除去するものである。
この場合、ビタミンCの水溶液は水道水より比重が大きいので、カートリッジ内のビタミンC水溶液が底に沈む傾向があり、したがってカートリッジの下部に注出口を開口した場合は、通水を止めている間にこの注出口よりビタミンC水溶液が通水路に漏れ出し、無駄に流出してしまう。このため、注出口はカートリッジの上部、好ましくは上端面に開設するのが望まれる。また、注出口をカートリッジの上部に開口すれば、カートリッジ内の空気が上に集まるので最初に使うときにカートリッジ内の空気を放出する、いわゆる空気抜きが円滑に行えるという利点もある。
一方、このようなカートリッジは、上部に開設した注出口から水道水を導入し、この水道水がカートリッジ内部のビタミンCを溶解して水溶液を作り、この水溶液を上記注出口から徐放するものであるため、カートリッジ上部では外から侵入する水で水溶液の濃度が薄くなる傾向がある。水道水に残留している塩素濃度に対し、最適な量のビタミンC水溶液を混ぜてやるためには、カートリッジ内のビタミンC水溶液の濃度、特に注出口近傍における濃度を適宜のレベルに維持してやる必要がある。このようなことから、先の提案では、カートリッジの上部に希釈室を作って水溶液の濃度をコントロールするとともに、水流によってカートリッジを回転させ、かつカートリッジ内に磁力を利用した攪拌子を収容し、通水路側の本体に、磁力により上記攪拌子の動きを拘束する吸引子を設けた攪拌構造を提案している。
このような構造にすると、通水に伴いカートリッジが回転し、同時に吸引子の吸引力で攪拌子の動きを拘束するから、カートリッジ内の水溶液が攪拌され、しかも注出口近傍で水溶液が希釈されるので水溶液の濃度を適度なレベルに保つことができ、この結果、水道水の残留塩素濃度に見合った水溶液を抽出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記原理の給水手段を、浄水器やシャワーヘッドに適用した場合、浄水器やシャワーヘッドは商品として流通する過程ではカートリッジに水が入っていなく、塩素中和剤を粉末又は顆粒の形態で取り扱っている。したがって、購入した使用者が最初に使用を始めるとき、カートリッジ内部の空気を排除する必要がある。この空気抜きは、前記した通り、カートリッジ上面に開口した注出口より行うが、この注出口は水溶液の注出量をコントロールするために小さな孔に設定されており、したがって空気が円滑に排除されず、この空気抜きに手間を要するといった問題がある。
【0004】
本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、通水中の液体Aに、溶剤Bの溶液Cを液体Aの流量に見合った適切な量で混合する混合器であって、使用開始時にカートリッジ内の空気を円滑に排除することができる混合器およびこれを用いた浄水器を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、液体Aの入口および出口を備え、これら入口と出口との間にカートリッジ収容室が形成された混合器本体と、上記カートリッジ収容室に脱着可能に収容され、上部に注出口が開口されるとともに内部に溶剤Bが収容され、上記注出口を通じて内部に液体Aが侵入することにより上記溶剤Bを溶解して溶液Cを作るとともに、この溶液Cを上記注出口よりカートリッジ収容室に注出して液体Aに混入させるカートリッジと、を備え、上記カートリッジは、上端が開放され内部に上記溶剤Bが収容されるカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に脱着可能に取り付けられて上端開放部を閉塞するとともに上端に前記注出口が開口されたキャップと、このキャップの内側に設けられ、上記注出口に連通するとともに底部に上記カートリッジ本体の内部と連通する連通孔を開口し、上記キャップをカートリッジ本体に取り付けた場合にカートリッジの内部に挿入される所定の容積を有する希釈室と、を具備した溶液の混合器が提供される。
ここで溶剤Bは、例えばビタミンC(アスコルビン酸)などのような塩素中和剤や、芳香剤・弱酸化剤・弱アルカリ剤・皮膚化粧水・入浴剤・保湿剤・洗髪剤などを含み、その形態は、粉末や顆粒もしくはペレット形状をなしていて、水やお湯などを含む溶液Aに溶解可能である。
【0006】
このような構成によると、カートリッジに溶剤Bを装填するとき、カートリッジ本体内に溶剤Bと水または溶液Cを充填し、このカートリッジ本体にキャップを被着すればキャップの内側に設けた希釈室がカートリッジ本体に入り込んでカートリッジ本体内の空気を排除する。したがって、予めカートリッジ本体内に残留する空気量を希釈室の容積分以下にすべくカートリッジ本体内の水位を調節しておけば、キャップを被冠すると同時にカートリッジ本体内の空気を排除することができる。
このようなカートリッジを混合器本体のカートリッジ収容室に収容し、水道水などの液体Aを入口を通じてカートリッジ収容室に流すと、カートリッジ収容室の液体Aの一部は、カートリッジの上部に開口した注出口を通じて希釈室に侵入し、同時に希釈室内の溶液Cが注出口よりカートリッジ収容室に注出される。よってこの溶液Cがカートリッジ収容室の液体Aに混ざり、このようにして溶液Cの混合された液体Aが出口より放出される。
そして、上記希釈室では注出口より侵入した液体Aと連通孔から補充された高い濃度の溶液Cが混ざり合って希釈され、この希釈された溶液Cが上記注出口より放出されるようになる。
【0007】
本発明の好ましい態様として、混合器本体の入口はカートリッジ収容室の接線方向に開口してこの入口より流入した液体Aがカートリッジ収容室で旋回流を発生するとともに、カートリッジ本体の周壁に羽根を設け、この羽根が上記旋回流を受けることにより上記カートリッジがカートリッジ収容室内で回転される溶液の混合器が提供される。
このような構成の場合、水道水などの液体Aを入口を通じてカートリッジ収容室内に供給すると、上記入口がカートリッジ収容室に対し接線方向に開口しているのでカートリッジ収容室内で旋回流が発生する。これに対し、カートリッジの周壁に羽根を設けてあるので、この羽根が上記旋回流を受け、よってカートリッジが回転する。このため、大型のカートリッジであっても確実に回転し、カートリッジ内の溶液Cを攪拌することができる。
【0008】
他の好ましい態様として、上記カートリッジ内に磁石または磁性体を有する攪拌子を移動自在に収容し、上記混合器本体に上記攪拌子の移動を拘束する磁性体または磁石からなる吸引子を設けた溶液の混合器が提供される。
この場合は、カートリッジの回転とともに攪拌子が吸引子の磁力作用で回転を抑えられるので、攪拌子がカートリッジ内の溶液Cが回転するのを妨害し、よってカートリッジ内の溶液Cが攪拌される。これにより、カートリッジ内の溶液Cに濃度差を生じるのが防止され、希釈室内で適度な濃度の溶液Cを作ることができる。
【0009】
更に、本発明の他の好ましい態様は、カートリッジ収容室およびカートリッジはそれぞれ少なくとも一部がカートリッジに収容した溶剤Bが外から見えるようになっていることであり、これによりカートリッジ内に残っている溶剤Bの残量を外から視認でき、溶剤Bの補充時期を知ることができる。
なお、外部から中が見える構造としては、透明、着色透明、または半透明などであってよく、要するに外から内部が視認できる状態であればよい。
また本発明は、上記混合器を、浄水器において水道水に含まれる残留塩素を中和する浄化部に適用し、液体Aが残留塩素を含んだ水道水であり、溶剤BがビタミンCなどの塩素中和剤にすれば、既存の浄水器と同様の使い方で水道水の残留塩素の浄化に有効である。
なお、浄水器とは、一般家庭の台所で使用される蛇口直結型を始め、ビルトイン型などを含む。
さらに、本発明の混合器は、ビタミンCを用いた水道水の塩素除去器として、旅館、ホテル、飲食店、または美容院、理容院等の蛇口、洗面所、頭髪洗い台などの浄水器、その他シャワーヘッドなどにも使用可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明について、一実施例を図面にもとづき説明する。
図1は蛇口直結型浄水器の流路系統を模式的に示す図であり、図2は本発明の混合器に相当する残留塩素を除去する浄化部の断面図、図3はその横断面図、図4はカートリッジの構造を示す図、図5はキャップを外した状態のカートリッジの断面図である。
図1において、1は浄水器本体であり、連結具2を介して水道蛇口3に取り付けられる。浄水器本体1には切換弁4が設けられており、この切換弁4は外部のハンドル(レバー)5によって操作される。また、切換弁4の下方には、本体1の下面に開口してストレート吐出口6およびシャワー吐出口7が形成されている。
浄水器本体1の側方(図1では左側)には、浄化部10が連設されている。浄化部10には、本発明の溶液混合器が適用されており、これについては後で詳しく説明する。この浄化部10は、水道水(原水)に含まれる残留塩素を中和して水道水を浄化する作用を奏する。上記浄化部10は浄水器本体1に設けた上記切換弁4に対し原水送り通路8および浄水戻り通路9を介して連通されている。原水送り通路8は原水を切換弁4から浄化部10に送る往路であり、浄水戻り通路9は上記浄化部10で浄化された浄水を切換弁4に戻す復路である。
【0011】
上記切換弁4は、詳細な構造についての説明を省略するが、ハンドル5を操作して原水ストレート、原水シャワー、浄水ストレートおよび浄水シャワーの4種に切り換え可能になっている。
すなわち、ハンドル5を操作して切換弁4を原水ストレートの位置にすると、水道蛇口3の原水が切換弁4を経てストレート吐出口6に導かれ、これによりストレート吐出口6から原水が水の束の状態で吐出する。
また、ハンドル5を操作して切換弁4を原水シャワーの位置に動かすと、蛇口3から導かれた原水が切換弁4を経てシャワー吐出口7に導かれ、これによりシャワー吐出口7より原水がシャワー状に広がって噴出される。
さらに、ハンドル5を操作して切換弁4を浄水ストレートの位置に動かすと、水道蛇口3の原水が切換弁4を経て原水送り通路8に送られ、これにより原水が浄化部10で浄化される。この浄水は浄水戻り通路9を経てストレート吐出口6に戻され、このストレート吐出口6より浄水がストレート吐出される。
そしてまた、ハンドル5を操作して切換弁4を浄水シャワーの位置に動かすと、蛇口3から流入した原水が切換弁4を経て原水送り通路8に送られ、浄化部10で浄化される。この浄水は浄水戻り通路9を経てシャワー吐出口7に戻され、このシャワー吐出口7よりシャワー状に吐出される。
【0012】
上記浄化部10は本発明の混合器に相当し、その詳細を図2ないし図5にもとづき説明する。
図2および図3において、11は混合器本体であり、この混合器本体11は円筒形の本体ボディ12、この本体ボディ12の上部開放端を閉塞する本体カバー13と、本体ボディ12に対し一体的にかつ液密に取り付けられた底板14とで構成されている。これら本体ボディ12および本体カバー13および底板14はそれぞれ合成樹脂にて形成されており、特に本体ボディ12はアクリルやABSなどの透明樹脂にて形成されていて内部が透けて見えるようになっている。
本体ボディ12は、外側ボディ12aと内側ボディ12bとで二重壁構造をなしており、これら外側ボディ12aと内側ボディ12bとの間に浄水の流出通路15を形成しているとともに、内側ボディ12bの内部にカートリッジ収容室16を構成している。また、本体カバー13も外側カバー13aと内側カバー13bとで二重壁構造をなしており、これら外側カバー13aと内側カバー13bの間に浄水流出経路17を形成している。この流出経路17は上記本体ボディ12の流出通路15に連通している。そして、本体カバー13は本体ボディ12に対しねじ込み式に結合されており、よってこの本体カバー13は本体ボディ12に対し取り外し可能になっている。
上記本体ボディ13を形成する内側ボディ13bには上記カートリッジ収容室16に開口する原水入口18が形成されている。この原水入口18は、前記原水送り通路8に連通するものであり、上記カートリッジ収容室16に対し、図3に示すように、概略接線方向に開口している。したがって、原水送り通路8より送られてきた原水(水道水=液体A)は、この原水入口18よりカートリッジ収容室16に流入し、このときカートリッジ収容室16内で旋回流を生じる。
また、本体カバー13を構成する内側カバー13bには浄水出口19が開口されており、この浄水出口19は前記流出経路15に連通している。なお、浄水出口19の開口面積は原水入口18の開口面積より小さくなっており、これによりカートリッジ収容室16内で水の圧力が高くなるように設定されている。
浄水器本体1側から原水送り通路8を通じて原水が送られてくると、この原水は原水入口18を経てカートリッジ収容室16内に流入し、このカートリッジ収容室16内で旋回流を生じ、このカートリッジ収容室16内の水は浄水出口19を経て流出経路17、流出通路19を通じて浄水戻り通路8より浄水器本体1側に戻されるようになっている。
【0013】
カートリッジ収容室116内には、カートリッジ20が回転自在に収容されている。カートリッジ20は、ボトル形のカートリッジ本体21とキャップ22からなり、それぞれ透明樹脂にて形成されている。カートリッジ本体21は、下部の大径胴部と上部の小径首部を備え、胴部の周壁に多数の羽根23…を形成してある。これら羽根23…は、上記カートリッジ収容室16で発生する旋回流を受け、これによりカートリッジ20が回転するようになっている。
キャップ21は、上記カートリッジ本体21の上端開口部に対しねじ込み式に脱着可能に被着されており、その頂面に注出口24を開口している。注出口243は、開口面積が非常に小さく形成されており、例えば直径1.0mm以下、具体的には0.8mm程度に形成されている。
また、このキャップ21には、その内側に希釈室25が設けられている。この希釈室25は、所定容積を有する円筒形の部屋になっており、希釈室25の底壁には連通孔26が形成されている。この連通孔26はカートリッジ本体21に連通するもので、開口面積が非常に小さく形成されており、例えば直径1.0mm以下、具体的には0.3mm程度に形成されている。
このため、カートリッジ本体21は、連通孔26、希釈室25および注出口24を通じてカートリッジ収容室16に通じている。
上記希釈室25はキャップ22の内側に、カートリッジ本体21の内部に向かって形成されており、キャップ22をカートリッジ本体21にねじ込んだとき、この希釈室25はカートリッジ本体21の首部内面に沿ってピストンのごとく所定量侵入するようになっている。なお、希釈室25の側壁には空気抜き孔25a…が設けられている。
そして、このカートリッジ本体21内には、塩素中和剤としてビタミンC(溶剤B)が収容される。ビタミンCは粉末または顆粒の形態で収容されており、使用中に上記注出口24から侵入する水道水によって溶解し、カートリッジ本体21内でビタミンC水溶液(溶液C)を作るようになっている。
【0014】
カートリッジ20の下端および上端には、それぞれ軸受け部27,28が形成されている。下部の軸受け部27はカートリッジ本体21の底部に設けられており、上部の軸受け部28はキャップ22の上面に立設した複数の支持脚29…の上部に形成されている。これら軸受け部27、28にはそれぞれ鋼製のボール30が嵌合されている。これら軸受け部27、28は、前記混合器本体11の本体ボディ12および本体カバー13に取り付けた支持軸31,32により回転自在に支持されるようになっている。このため、カートリッジ20はカートリッジ収容室16内で回転可能になっている。
なお、キャップ22の上面には、上部軸受け部28を支える支持脚29…の近傍に、所定の角度を有してガイドフィン33…が設けられており、これらガイドフィン33…はカートリッジ20が回転するとき、カートリッジ収容室16内の水を注出口24に強制的に向かわせる案内作用をするようになっている。なお、これらガイドフィン33…に代わり、前記支持脚29に角度をつけて立ち上げ形成することで、上記フィンの作用をさせてもよい。
【0015】
さらに、カートリッジ20内には、カートリッジ本体21内と希釈室25内に、それぞれ攪拌子34、35が収容されている。これら攪拌子34、35は、磁石36または磁性体を樹脂ケースに収容したもので、それぞれカートリッジ本体21内および希釈室25内で自由に移動できるようになっている。これに対し、前記混合器本体11の内側カバー13bには、吸引子37が取り付けられている。この吸引子37は磁石または磁性体からなり、上記攪拌子34,35を磁力で引き寄せる作用をもつ。このため、攪拌子34、35は吸引子37との吸引作用でカートリッジ20の内面側に引き寄せられ、カートリッジ本体21内および希釈室25内で自由な動きが規制されるようになっている。なお、吸引子37は可能な限りカートリッジ20に近づけて配置されている。
【0016】
このような構造の浄水器について、特にその浄化部10の作用を説明する。
浄水器を使用する前にカートリッジ20にビタミンCの粉末Bと水を入れる。カートリッジ20にビタミンC粉末Bおよび水を入れるには、混合器本体11の本体カバー13を本体ボディ12から外し、本体ボディ12を開けてカートリッジ収容室16よりカートリッジ20を取り出す。
混合器本体11の外部でカートリッジ20のキャップ22を外し、カートリッジ本体21内にビタミンCの粉末Bおよび水を注入する。カートリッジ本体21内にビタミンCの粉末Bおよび水を入れると、ビタミンCの粉末Bは水に溶けるのでビタミンC水溶液Cが出来る。
但し、ビタミンCの粉末は水に対し、約1対3の割合で溶解するので、カートリッジ本体21に満杯にビタミンC粉末Bを入れ、次に水を満杯に注入した場合、ビタミンC粉末は約1/3が溶けて飽和水溶液を作り、残り約2/3の粉末は溶けずに残る。
カートリッジ本体21にビタミンC粉末Bおよび水を入れるとき、水面がカートリッジ本体21の小径首部の所定高さに達するようにしておく。この水面高さは、希釈室25の底が沈むに充分なレベルとする。カートリッジ本体21内に攪拌子35を収容し、このカートリッジ本体21の開口部にキャップ22を被せる。キャップ22をねじ込むと、キャップ22に形成した希釈室25がカートリッジ本体21の首部に習動しつつ侵入し、首部に残っている空気および首部に達していた水を押しのける。このため首部に残っている空気が連通孔26および空気抜き孔25a…を通じて希釈室25内に逃げ、注出口24を通じて外に排除される。すなわち、キャップ22を取り付けるとき、カートリッジ本体21に残っていた空気が希釈室25の侵入に伴って外部に強制的に押し出され、これによりカートリッジ本体21の空気抜きがなされる。
このような準備が終わると、カートリッジ20をカートリッジ収容室16に入れ、本体カバー13を被せる。これによりカートリッジ20は上下の支持軸32,31により回転自在に支えられる。
【0017】
浄水器を使用するべく蛇口3を開き、切換弁4の切換により水道原水Aを原水送り通路8から浄化部10へ送ると、浄化部10では、原水入口18よりカートリッジ収容室16内に原水が流入する。このとき旋回流が生じ、この旋回流はカートリッジ20に形成した羽根23…に当たるのでカートリッジ20は支持軸31、32を中心にして回転する。
この回転中、カートリッジ収容室16内を流れる原水Aの動圧力が働いて原水Aの一部がカートリッジ20の上端面に開口した注出口24よりカートリッジ20内に侵入する。注出口24よりカートリッジ20内に原水Aが侵入すると、この侵入量に応じてカートリッジ20内のビタミンC水溶液Cが注出口24より流出する。このとき、キャップ22の上面にガイドフィン33…を設けてあるから、カートリッジ20の回転に伴いガイドフィン33…が原水Aを注入口24に呼び込み、よって注出口24より原水Aが円滑に流入する。
ところで、水道水に含まれる残留塩素に対し、これを化学的に中和するのに必要なビタミンCの量は化学反応から求めることができるが、残留塩素を除去するのに必要なビタミンCの量は極微量であってよい。このような微量のビタミンC水溶液を注出口24より徐放するには注出口24の開口面積を小さくすればよいが、注出口24の大きさは加工の制約を受けるため小さくするには限度がある。大きな注出口24よりビタミンCの水溶液Cを飽和濃度の状態で注出させると、水溶液Cの注出量は残留塩素に対して過剰に混合されるようになるため、カートリッジ20内のビタミンCが短時間に消費されてしまう。そこで、カートリッジ20内でビタミンC水溶液Cを一旦希釈することが望ましい。
本実施例では、キャップ22に希釈室25を設け、注出口24より入った原水Aを希釈室25に導き、上記侵入量に応じて希釈室25内のビタミンC水溶液Cを注出口24より流出させるようになっている。また、希釈室25では下部に形成した連通孔26より薄い水溶液がカートリッジ本体21内に入り、このカートリッジ本体21内の濃い水溶液が希釈室25に流れる。したがって、希釈室25では注出口24より入ってくる原水と、カートリッジ本体21内から補充される水溶液が混ざって適度な濃度の水溶液に希釈する。この希釈された水溶液が注出口24より流出することになる。
【0018】
ところで、キャップ22をカートリッジ本体21に被せたとき希釈室25が空気を排除するとはいえども、希釈室25には若干空気が残っている。この空気は軽いので希釈室25内の上部に貯まっているが、上記注出口24から侵入した水がこの空気を押し出し、この空気は注出口24より排出される。注出口24をカートリッジ20上端に形成した理由は、このような空気抜きを円滑に行わせることにもある。
このような空気抜きが終わると、前記した通り、希釈室25で希釈された水溶液Cが注出口24を通じてカートリッジ収容室16に注出される。
カートリッジ収容室16では、注出された水溶液Cがカートリッジ収容室16内を流れる水道水に混ざり、拡散して水道水に含まれている残留塩素と接触する。この接触によりビタミンCと残留塩素が化学反応を生じ、残留塩素を不活性な塩素化合物に中和する。すなわち、残留塩素の活性を無くし、残留塩素が除去されたと同様な水道水、つまり浄水に変える。
このようにして残留塩素が無くなった浄水は、カートリッジ収容室16の上端に開口した浄水出口19より本体カバー13の流出経路17、本体ボディ12の流出通路15を経て、浄水戻り通路9から浄水器本体1側のストレート吐出口6又はシャワー吐出口7に送られ、この吐出口より吐出される。
【0019】
一方、カートリッジ20内では、希釈室25から濃度の薄い水溶液が連通孔26を通じてカートリッジ本体21内に流れこみ、この水がカートリッジ本体21内で末だ溶解せずに残っているビタミンCの粉末Bを溶かし、飽和水溶液をつくる。したがって、ビタミンCの粉末Bが残っている限り、カートリッジ本体21内で水溶液Cを作り出し、この水溶液を希釈室25へ補充する。よって、ビタミンCの粉末Bが無くなるまで残留塩素を不活性な塩素化合物に中和する浄化作用が行える。粉末Bが残っているか否かは、浄化部10の外部から視認することができ、無くなっているのを確認したら、カートリッジ20にビタミンCの粉末Bを補充すればよい。
ビタミンCの補充は、前記したのと同様に、本体カバー13を本体ボディ12から外し、本体ボディ12を開けてカートリッジ収容室16よりカートリッジ20を取り出す。そして、混合器本体11の外部でカートリッジ20のキャップ22を外し、カートリッジ本体21内にビタミンCの粉末Bおよび水を注入することで行う。
【0020】
ところで、ビタミンC粉末Bおよび水溶液Cは水より比重が大きいので、カートリッジ20が回転しない場合は、カートリッジ20の底に沈む傾向がある。このため、カートリッジ20を回転させずに注出口24から原水Aを導入した場合は、カートリッジ20内の上部に原水が留まり、カートリッジ20の上部では水溶液が希薄になり、やがて原水のみが貯まる。よって、水溶液の注出が円滑に行われなくなる。
これに対しカートリッジ20を回転させてやると、内部のビタミンC粉末Bおよび水溶液Cが連れ回りし、ビタミンC粉末Bおよび水溶液Cは水より比重が多きので遠心力を受けてカートリッジ20の内壁側に押しやられる。これとともに、希釈室25およびカートリッジ本体21内に収容した攪拌子34、35が本体カバー13に取り付けた吸引子37に引き寄せられ、攪拌子34、35の連れ回り回転が阻止される。すなわち、カートリッジ20が回転し、これに伴い粉末Bおよび水溶液Cも回転しようとするが攪拌子34,35は連れ回り回転を阻止され、したがって攪拌子34,35は粉末Bおよび水溶液Cの回転を阻害する。このためカートリッジ本体21内および希釈室25内でそれぞれ水溶液Cの攪拌が生じ、これがそれぞれ水溶液Cの上下方向の濃度差を無くする。よって、注出口24より原水が侵入したとき、これに応じて希釈室25で適度に希釈された水溶液Cが注出口24から流出し、原水の浄化作用をなす。
【0021】
カートリッジ20の寿命を長くする、つまりビタミンC粉末Bの補充頻度を少なくするにはカートリッジ20にビタミンCの粉末Bを多量に充填すればよいが、このようにするとカートリッジ20の外径、高さともに大きなり、カートリッジ20の重量も大きくなり、回転し難くなる。
本実施例では、カートリッジ収容室16に流入する原水の入口18をカートリッジ収容室16に対し接線方向に向けて開口したので、カートリッジ収容室16内に自然な旋回流が強制的に発生する。そして、カートリッジ20には羽根23…を形成したから、これら羽根23…が上記旋回流を受け、これによりカートリッジ20を確実に回転させることができる。特に、カートリッジ本体21の大径胴部に羽根23…を形成したので、大きな回転トルクが発生し、よって大形で大重量のカートリッジ20であっても確実に回転する。また、一般に浄水器は低水量で使用されることが多いが、上記のような旋回流および羽根23…を用いれば、低水量であってもカートリッジ20の回転を可能にする。なお、原水入口18の開口を絞ると、ジェット噴射による旋回流が発生するので、カートリッジ20の回転が一層円滑になる。
【0022】
なお、本発明の混合器は、浄水器の浄化部10に使用することに限らず、溶剤Cを溶かしてなる溶液Bを液体Aに微小量ずつ徐放して混合させるような混合器に適用可能であり、シャワーヘッドなどにも使用可能である。
また、上記実施例では、混合器本体10の本体ボディ12および本体カバー13をそれぞれ二重壁構造にして各流出通路15および流出経路17を形成したが、浄水出口19と浄水戻り通路9を直接接続してもよく、このようにすれば本体ボディ12および本体カバー13をそれぞれ二重壁構造にしなくてもよくなり、構造が簡素化する。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明によれば、カートリッジのキャップに希釈室を設け、この希釈室がカートリッジ本体内に侵入するようにしたので、キャップをカートリッジ本体に被着すれば希釈室がカートリッジ本体に入り込んでカートリッジ本体内の空気を排除する。したがって、キャップを被冠すると同時にカートリッジ本体内の空気を排除することができ、カートリッジに残っている空気の排除が簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、蛇口直結型浄水器の流路系統を模式的に示す図
【図2】同実施例における本発明の混合器に相当する浄化部の断面図
【図3】同実施例の浄化部の横断面図
【図4】同実施例のカートリッジの構造を示すもので、A図は上面図、B図は断面図、C図はB図中のX−X線に沿う断面図
【図5】同実施例のカートリッジであって、カートリッジ本体とキャップを外した状態の断面図
【符号の説明】
1…浄水器本体
3…水道蛇口
4…切換弁
5…ハンドル
6…ストレート吐出口
7…シャワー吐出口
10…浄化部
11…混合器本体
12…本体ボディ
13…本体カバー
16…カートリッジ収容室
18…原水入口
19…浄水出口
20…カートリッジ
21…カートリッジ本体
22…キャップ
23…羽根
24…注出口
25…希釈室
26…連通孔
31、32…支持軸
34,35…攪拌子
36…吸引子

Claims (5)

  1. 液体Aの入口および出口を備え、これら入口と出口との間にカートリッジ収容室が形成された混合器本体と、
    上記カートリッジ収容室に脱着可能に収容され、上部に注出口が開口されるとともに内部に溶剤Bが収容され、上記注出口を通じて内部に液体Aが侵入することにより上記溶剤Bを溶解して溶液Cを作るとともに、この溶液Cを上記注出口よりカートリッジ収容室に注出して液体Aに混入させるカートリッジと、を備え、
    上記カートリッジは、
    上端が開放され内部に上記溶剤Bが収容されるカートリッジ本体と、
    このカートリッジ本体に脱着可能に取り付けられて上端開放部を閉塞するとともに上端に前記注出口が開口されたキャップと、
    このキャップの内側に設けられ、上記注出口に連通するとともに底部に上記カートリッジ本体の内部と連通する連通孔を開口し、上記キャップをカートリッジ本体に取り付けた場合にカートリッジの内部に挿入される所定の容積を有する希釈室と、
    を具備したことを特徴とする溶液の混合器。
  2. 混合器本体の入口はカートリッジ収容室の接線方向に開口してこの入口より流入した液体Aがカートリッジ収容室で旋回流を発生するとともに、カートリッジ本体の周壁に羽根を設け、この羽根が上記旋回流を受けることにより上記カートリッジがカートリッジ収容室内で回転されることを特徴とする請求項1に記載の溶液の混合器。
  3. 上記カートリッジ内に磁石または磁性体を有する攪拌子を移動自在に収容し、上記混合器本体に上記攪拌子の移動を拘束する磁性体または磁石からなる吸引子を設けたことを特徴とする請求項2に記載の溶液の混合器。
  4. カートリッジ収容室およびカートリッジは、それぞれ少なくとも一部がカートリッジに収容した溶剤Bが外から見えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に記載の溶液の混合器。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一に記載の溶液の混合器を、残留塩素を中和する浄化部に用いた浄水器であり、上記液体Aが残留塩素を含んだ水道水であり、溶剤Bが塩素中和剤であることを特徴とする浄水器。
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