JP2004230322A - 酸性ガス吸収除去剤およびこれを使用した酸性ガス吸収処理装置もしくは燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】窒素酸化物・イオウ酸化物などの酸性ガスを吸収除去する長寿命の酸性ガス吸収除去剤を実現することを課題とする。
【解決手段】酸性ガス吸収除去剤10は、硫酸カルシウム6、水酸化カルシウム7、活性炭8、不定形炭素9を主成分した原材料の混練成型物であり、混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素元素が0.5〜6部の酸素欠陥性カルシウム材料である。その組成を最適化した酸素欠陥性カルシウム材料であるため、寿命に優れた酸性ガス吸収除去特性を示す。
【選択図】 図1
【解決手段】酸性ガス吸収除去剤10は、硫酸カルシウム6、水酸化カルシウム7、活性炭8、不定形炭素9を主成分した原材料の混練成型物であり、混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素元素が0.5〜6部の酸素欠陥性カルシウム材料である。その組成を最適化した酸素欠陥性カルシウム材料であるため、寿命に優れた酸性ガス吸収除去特性を示す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物・イオウ酸化物などの酸性ガスを吸収除去する長寿命の酸性ガス吸収除去剤と、これを使用した酸性ガス吸収処理装置もしくは燃料電池システムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒素酸化物・イオウ酸化物などの酸性ガスを吸収除去する除去剤が知られている。図9は、従来の酸性ガス吸収除去剤の構成図であり、1は硫酸カルシウム、2は水酸化カルシウム、3は活性炭、4は不定形炭素、5はナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩である。そして、その化合物中の硫酸根に対するナトリウムまたはカリウムの比がモル比で0.2〜2であり、かつ硫酸カルシウムの原料中に配合割合が15〜40重量%であるとしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の酸性ガス吸収除去剤として、アルカリ金属もしくはアルカリ金属土類金属の水酸化物や炭酸塩などのアルカリと、硫酸カルシウムなどのセメント材と、粉末活性炭からなる混練成型物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2778031号公報
【特許文献2】
特開昭52−123987号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の酸性ガス吸収除去剤は、窒素酸化物・イオウ酸化物の吸収除去特性と強度には優れているが、吸収除去寿命の更なる向上が必要という課題があった。
【0006】
本発明は、前記する従来の問題を解決し、吸収除去寿命に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭、不定形炭素を主成分した原材料の混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素材料が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料の酸性ガス吸収除去剤とした。
【0008】
水酸化カルシウムが、アルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを一層効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことより、吸収除去寿命に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭、不定形炭素を主成分した原材料の混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素材料が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料の酸性ガス吸収除去剤とした。
【0010】
水酸化カルシウムが、アルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを一層効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことより、吸収除去寿命に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸性ガス吸収除去剤に用いる不定形炭素が、300〜550℃で分解する有機性結合材であるとした。300〜550℃で分解する有機性結合材だと、構成する他材料への影響が小さく、しかも酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、酸性ガスである二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の酸性ガス吸収除去剤に用いる不定形炭素が、非イオン性の水溶性セルロースエーテルであるとした。
【0013】
不定形炭素が、非イオン性の水溶性セルロースエーテルであるため、構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の混練成型物が、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の原材料がさらに混合された混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対して、ナトリウムまたはカリウムの元素が0.002〜5の酸素欠陥性材料であるとした。
【0015】
ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の原材料がさらに混合された混練成型物であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを一層長期間吸収除去できる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混練成型物は、混練成型物を非酸化性雰囲気下において300〜550℃で熱処理されて得られるとした。
【0017】
非酸化性雰囲気下において300〜550℃で焼成すると、構成する他材料への影響が小さく、しかも酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガス吸収容量に一層優れる酸性ガス吸収除去剤が得られる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の混練成型物が、熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬されるとした。
【0019】
熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬すると、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の混練成型物が、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着されるとした。
【0021】
これは、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着することにより、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を大いに果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができるためである。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有する気体が流れる気体流路に配置した処理装置であり、前記酸性ガス吸収除去剤は、−20〜120℃雰囲気温度で接触させることにより気体中の酸性ガスを除去する酸性ガス吸収処理装置とした。
【0023】
酸性ガス吸収除去剤は、温度−20〜120℃雰囲気という最適温度に保持されているため、優れた酸性ガス吸収容量を有する。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に配置した燃料電池システムとした。
【0025】
酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、二酸化イオウガスを除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制される。また、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた空気が、イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が弱アルカリ性して劣化が抑制される効果が生じる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の燃料電池システムにおいて、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に、水分を加湿する加湿手段を配置し、前記加湿手段の上流側に酸性ガス吸収除去剤を配置した構成とした。
【0027】
アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた加湿空気が、水素イオンを伝導させるために酸性となった高分子系の水素イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が中性化して劣化が一層抑制される効果が生じる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
(実施例1)
図1は本発明の第1実施例である酸性ガス吸収除去剤の構成図である。この酸性ガス吸収除去剤10は、硫酸カルシウム6、水酸化カルシウム7、活性炭8、不定形炭素9を主成分した原材料の混練成型物である。そして、混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素元素が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料としている。
【0030】
本発明の試作を行った。活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)に、水を混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中350℃で数時間焼成して硬化させて、本発明の酸性ガス吸収除去剤を得た。この本発明品をX線マイクロアナライザーにて元素分析し、その構成材料の重量比を算出した。
【0031】
一方、酸性ガスとして二酸化窒素ガスを使用しその濃度が50ppmになる様に調製した空気8リットル/分を、本発明の酸性ガス吸収除去剤5ccを充填した流通式反応装置において、室温20℃で接触させて反応させ、接触反応後の二酸化窒素ガス濃度の過渡変化を測定した。そして、反応後の二酸化窒素ガス濃度の過渡変化から、二酸化窒素ガスの吸収除去量を算出し、酸性ガス吸収除去剤1cc当りの吸収容量に換算した。なお以後、酸性ガス吸収除去剤の吸収容量は、この方法を用いて求めた。
【0032】
この様にして得た酸性ガス吸収除去剤の構成材料比率と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係を整理して纏めた。その関係を図2に示す。図2(a)は、カルシウム元素とイオウ元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図であり、炭素元素をパラメータとして整理している。図2(b)は、炭素元素とイオウ元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図であり、カルシウム元素をパラメータとして整理している。
【0033】
図2からわかる様に、酸性ガス吸収除去剤においてその重量比が、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部であり炭素元素が0.5〜6部の組成であると、二酸化窒素ガスの吸収容量が70mg以上となり、優れた二酸化窒素ガスの吸収容量を発揮することがわかる。
【0034】
また、本発明の酸性ガス吸収除去剤においてその重量比がイオウ元素の1部に対して炭素元素が0.5〜6部であり、カルシウムが2〜60部の組成であると、二酸化窒素ガスの吸収容量が80mg以上であるため、従来品や参考品と比較して、優れた二酸化窒素ガス吸収容量であることがわかる。
【0035】
なお比較のため、従来例である特許登録番号第2778031号公報に記載された酸性ガス吸収除去剤の二酸化窒素ガスの吸収容量を測定したところ45mgであった。また参考として、活性炭の二酸化窒素ガスの吸収容量を測定したところ2mgであった。
【0036】
この優れた二酸化窒素ガス吸収容量は、イオウ元素に対して二酸化窒素ガスを吸収して固定する役目の水酸化カルシウムの量と空気中から二酸化窒素ガスを吸着して水酸化カルシウムに伝達する役目を果たす活性炭や不定形炭素などの炭素成分の量と、の比を最適化したために得られたと思われる。一方、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2部未満であると、二酸化窒素ガスを吸収除去する水酸化カルシウムの量が少ないため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。逆に、カルシウム元素が60部を超えると、二酸化窒素ガスを吸着して水酸化カルシウムに伝達する役目を果たす活性炭や不定形炭素と量との相対比が小さくなるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。この関係は、イオウ元素の1部に対する炭素元素の関係でも同様であり、炭素元素が0.5部未満もしくは6部を超えると、両者の相対比が最適でなくなるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。
【0037】
また、得られた酸性ガス吸収除去剤は、化学量論的にみて酸素分子が不足した酸素欠陥性カルシウム材料であった。この酸性ガス吸収除去剤が二酸化窒素ガス吸収容量に優れる理由は、酸素欠陥性カルシウム材料であることにも起因していた。また、この酸性ガス吸収除去剤は、その重量比でイオウ元素の1部に対して、アルミニウム元素を0.3〜3部、好ましくは0.5〜2部さらに追加した材料組成にすると、酸性ガス除去率が一層優れた材料となった。これは、塩基性度を増加させる酸化アルミニウムのさらなる追加により、塩基性度の増加した酸化アルミニウム含有酸素欠陥性カルシウム材料が得られるためと思われる。
【0038】
(実施例2)
実施例2は、不定形炭素として使用する有機性結合材の熱分解特性について検討した。検討した有機性結合材は、非イオン性の水溶性セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エポキシ、アクリルの5種類である。その熱分解性特性は、熱天秤装置を用いて測定し、温度を上昇された際の材料の重量変化を測定することで求めた。そして、採取した材料が熱分解してその重量が減少し、その100%が消滅して無くなる温度を求めた。そして、この熱分解温度を、窒素ガス雰囲気中で焼成する焼成温度として活用して、酸性ガス吸収除去剤を得た。酸性ガス吸収除去剤は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材に、水を混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中で数時間焼成して硬化させたものである。この酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部の組成からなる酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0039】
図3は、有機性結合材の熱分解温度と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。不定形炭素として300〜550℃で分解する有機性結合材を用いた酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れることがわかる。
【0040】
この理由を説明する。550℃を超える熱分解特性を有する有機性結合材だと、窒素ガス雰囲気中で焼成して有機性結合材を熱分解して消滅させる際に、焼成温度を550℃以上にする必要がありこの高温焼成だと、二酸化窒素ガスを吸収して固定する水酸化カルシウムも同時に熱分解してしまう問題が生じるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が低下した。一方、300℃未満の熱分解特性を有する有機性結合材だと、結合性に乏しいので強度が弱く脆いうえに、窒素ガス雰囲気中で焼成する際に化学量論的に酸素分子が不足しにくいので、効果的に二酸化窒素ガスを吸収して固定する酸素欠陥性カルシウム材料が得られがたく、二酸化窒素ガスの吸収容量が低下していた。その点、300〜550℃で分解する有機性結合材だと、酸性ガス吸収除去剤を構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた。
【0041】
(実施例3)
実施例3は、不定形炭素として使用する有機性結合材の選定を行った。前述の実施例2の様に、不定形炭素としては、300〜550℃で分解する有機性結合材が最適である。そこで、この熱分解特性を満足する有機性結合材について検討を行った。
【0042】
検討した有機性結合材の種別とその熱分解温度は、以下の通りである。第1は、非イオン性の水溶性セルロースエーテルでありその熱分解温度は300℃。第2は、アクリル樹脂でありその熱分解温度は400℃。第3は、ポリビニルアルコールでありその熱分解温度は550℃。図3に記載した様に、熱分解温度が300℃である非イオン性の水溶性セルロースエーテルは、他の有機性結合材と比較して、優れた二酸化窒素ガスの吸収容量を示し、有機性結合材として最適であった。
【0043】
(実施例4)
実施例4は、混練成型物にナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種をさらに混合した酸性ガス吸収除去剤について検討した。
【0044】
酸性ガス吸収除去剤は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)に、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種をさらに混合して、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウムの元素がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0045】
図4は、ナトリウムまたはカリウムの元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。その重量比がイオウ元素の1部に対して、ナトリウムまたはカリウムの元素が0.002〜5部の酸素欠陥性材料である酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量に優れることがわかる。
【0046】
この理由を説明する。この優れた二酸化窒素ガス吸収容量は、二酸化窒素ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を果たすナトリウムまたはカリウムの元素の量が、最適範囲に有るためと思われる。その点、イオウ元素の1部に対してその元素が0.002部未満であると、二酸化窒素ガスを吸収除去する役目のアルカリ量が少ないため、二酸化窒素ガス吸収容量が小さくなり、逆に、その元素が5部を超えると、その役目のアルカリ量が多いため二酸化窒素ガス吸収容量が小さくなると思われる。
【0047】
(実施例5)
実施例5は、混練成型物を非酸化性雰囲気中で焼成する焼成温度について検討した。
【0048】
混練成型物は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)と、この組成物にさらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物(II)からなる。そして、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中で数時間焼成して硬化させたものである。焼成した酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、組成物(I)はイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、組成物(II)はこの組成にナトリウムまたはカリウム元素がさらに1部検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0049】
図5は、非酸化性雰囲気焼成温度と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。
【0050】
非酸化性雰囲気中300〜550℃で焼成した酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量に優れることがわかる。
【0051】
この理由を説明する。550℃を超える温度で焼成すると、二酸化窒素ガスを吸収し固定する水酸化カルシウムも同時に熱分解してしまう問題が生じるため、二酸化窒素ガス吸収容量が低下すると思われる。一方、300℃未満の熱分解特性を有する有機性結合材だと、窒素ガス雰囲気中で焼成する際に化学量論的に酸素分子が不足しにくいので、効果的に二酸化窒素ガスを吸収して固定する酸素欠陥性カルシウム材料が得られがたく、二酸化窒素ガス吸収容量が低下すると思われる。その点、300〜550℃で焼成すると、酸性ガス吸収除去剤を構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガス吸収容量に優れると思われる。
【0052】
(実施例6)
実施例6は、混練成型物を熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬される方法について検討した。
【0053】
混練成型物は、組成物(I)と組成物(II)の2種類からなる。組成物(I)は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物である。組成物(II)は、さらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物である。
【0054】
そして、この組成物を水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この組成物(I)は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。この組成物(II)は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウム元素が1部さらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。この熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した酸性ガス吸収除去剤の二酸化窒素ガス吸収容量を(表1)に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量が大きいことがわかる。
【0057】
これは、熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬すると、酸性ガスを吸収固定する酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るためである。そのため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0058】
なお、熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬することにより、イオウ元素の1部に対してナトリウムまたはカリウムの元素の1部がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料が得られた。
【0059】
(実施例7)
実施例7は、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着した酸性ガス吸収除去剤について検討した。
【0060】
混練成型物は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)と、この組成物にさらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物(II)からなる。そして、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この組成物(I)および組成物(II)の組成は、前述の実施例6に記載した通りである。また、必要に応じて、熱処理した混練成型物には、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した。
【0061】
その後、この混練成型物に含水ジルコニウム塩の水溶液を添着して酸性ガス吸収除去剤を得た。
【0062】
酸性ガス吸収除去剤の、二酸化窒素ガスの吸収容量を(表2)に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
含水ジルコニウム塩の水溶液を添着した酸性ガス吸収除去剤は、酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガスの吸収容量が大きくなっていることがわかる。
【0065】
これは、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着することにより、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を大いに果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができるためである。
【0066】
(実施例8)
実施例8の構成図とその効果特性図を図6に示す。図6(a)は、酸性ガス吸収処理装置の構成図であり、図6(b)は雰囲気温度とこれら酸性ガス吸収容量の関係図である。酸性ガス吸収除去剤10を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有した気体が流れる気体流路11に配置して接触させることにより、気体中のこれら酸性ガスを除去する酸性ガス吸収処理装置12としている。
【0067】
酸性ガスの吸収容量の検討に使用した酸性ガス吸収除去剤は、実施例1で製造した材料を使用した。即ち、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)であり、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。
【0068】
酸性ガス吸収除去剤は、温度−20〜120℃雰囲気の気体中と接触させることにより、気体中の二酸化窒素ガスや二酸化イオウガスを効果的に吸収除去することがわかる。
【0069】
これは、酸性ガス吸収除去剤が温度−20〜120℃雰囲気という最適温度に保持されているためである。一方、−20℃未満だと温度が低いので酸性ガスが充分に吸収除去されないし、120℃を超えると温度が高いので酸性ガス吸収除去剤が熱劣化して酸性ガスが吸収除去されないため、酸性ガス吸収容量の低下が行った。なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0070】
(実施例9)
実施例9は、酸性ガス吸収除去剤を燃料電池システムに応用した際の効果を検討した。図7は、その構成図である。燃料電池システム13は、水素イオンを伝導するイオン伝導性電解質膜14の片面に形成した空気極15に空気を供給する空気流路16の入口に、酸性ガス吸収除去剤10が配置されている。空気に混入している二酸化イオウガスは、酸性ガス吸収除去剤10により吸収除去されて綺麗な空気となって空気極15と接触し、空気出口から排出される。一方、水素イオン伝導性電解質膜14の反対面には、燃料極18が形成されており、水素供給手段19から供給される水素による電池反応で、電圧が発生する様にしている。
【0071】
酸性ガス吸収除去剤10は、実施例1で製造した材料を使用した。即ち、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)を、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この製法で得られた材料は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウムの元素がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0072】
本発明1は、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜に、カーボンブラックに触媒の白金粒子を担持した構成の燃料極および空気極の電極を使用した80℃動作タイプである。
【0073】
本発明2は、安定化ジルコニアからなる金属酸化物系の酸素イオン伝導性電解質膜に、Sr置換したLaMnO3からなる金属酸化物系の燃料極および白金の空気極を使用した700℃動作タイプである。なお、この燃料電池システムは、水素でなく都市ガスを燃料とするタイプである。
【0074】
比較例として酸性ガス吸収除去剤を配置していないタイプ、参考例として酸性ガス吸収除去剤として活性炭を配置したタイプも同時に評価した。これら酸性ガス吸収除去剤は、二酸化イオウガス100ppmを3時間流入してもその除去率が100%を維持する様に、その使用量を適正化している。
【0075】
二酸化イオウガス100ppmを混合した空気を流入した際の流入初期電圧値と3時間流入後電圧値を測定し、この値から3時間電圧値の初期電圧値に対する低下率を算出した。(表3)は、その検討結果である。
【0076】
【表3】
【0077】
本発明は、燃料電池システムの電解質および電極の材質に関わらず、酸性ガス吸収除去剤を配置することで、電圧値の低下率が小さいことがわかる。この理由は2点有り、以下詳細に説明する。第1点は、酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、イオウ酸化物が除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制されるためである。第2点は、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた空気が、イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が、弱アルカリ化して劣化が抑制されるためと推定される。この第2の理由は、酸性ガス吸収除去剤を配置して二酸化イオウガスを100%除去した本発明品と、活性炭を使用して二酸化イオウガスを100%除去した参考品との電圧値低下率を比較した場合、本発明品の酸性ガス吸収除去剤は参考例の活性炭と比較して、電圧値低下率が小さいことから明白である。
【0078】
なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0079】
(実施例10)
実施例10は、酸性ガス吸収除去剤を燃料電池システムに応用した際に、その効果がより発揮される燃料電池システムの構成を検討した。その構成図を、図8に示す。検討に用いた燃料電池システム13は、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜20に、カーボンブラックに触媒の白金粒子を担持した構成の燃料極18および空気極15の電極を、使用したタイプである。この燃料電池システムの空気極15に空気を供給する空気流路16に、水分を加湿する加湿手段21を配置し、この加湿手段21の上流側に酸性ガス吸収除去剤10を配置した。加湿手段21は、水分を透過させる高分子膜を空気流路の壁面に配置した構成の加湿器であり、壁面に配置した水分透過性高分子膜を介して水分が、空気が流れる空気流路に排出される。このことで、水分結露する程度まで空気極を加湿した。
【0080】
酸性ガス吸収除去剤10は、実施例9と同じ製法で得られる材料である。なお、二酸化イオウガス100ppmを3時間流入してもその除去率が100%を維持する様に、その使用量を適正化している。
【0081】
比較例として加湿手段を配置していないタイプ、参考例として活性炭を使用したイオウ酸化物100%除去材と加湿手段を配置したタイプ、も同時に評価した。
【0082】
二酸化イオウガス100ppmを混合した空気を流入した際の、流入初期電圧値と3時間流入後電圧値を測定し、この値から3時間電圧値の初期電圧値に対する低下率を算出した。(表4)は、その検討結果である。
【0083】
【表4】
【0084】
本発明は、加湿することで、電圧値の低下率が小さいことがわかる。この理由は2点有り、以下詳細に説明する。第1点は、酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、硫黄酸化物が除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化硫黄ガスによって劣化することが抑制されるためである。第2点は、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた加湿空気が、水素イオンを伝導させるために弱酸性となった水素イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が一層中性化して劣化が一層抑制されるためと推定される。この第2の理由は、硫黄酸化物除去材を配置してSO2ガスを100%除去した本発明品と、活性炭を使用してSO2ガスを100%除去した比較品と、の電圧値低下率を比較した場合、本発明品の酸性ガス吸収除去剤は参考例の活性炭と比較して、電圧値低下率が小さいことから明白である。
【0085】
なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の酸性ガス吸収除去剤は、水酸化カルシウムを使用したアルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物や硫黄酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことにより、吸収除去寿命に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0087】
また、この酸性ガス吸収除去剤を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有する気体が流れる気体流路に配置した処理装置とすると、−20〜120℃温度雰囲気で優れた酸性ガス吸収容量を有する酸性ガス吸収処理装置が実現できる。
【0088】
さらに、酸性ガス吸収除去剤を、イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に、空気を供給する空気流路に配置した燃料電池システムとすると、二酸化イオウガスを除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の構成図
【図2】(a)本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(カルシウム元素と硫黄元素の重量比と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
(b)本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(炭素元素とイオウ元素の重量比と二酸化窒素ガスの吸収容量の関係図)
【図3】本発明の実施例2おける酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(有機性結合材の熱分解温度と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図4】本発明の実施例4における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(ナトリウムまたはカリウムの元素の重量比と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図5】本発明の実施例5における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(非酸化性雰囲気焼成温度と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図6】(a)本発明の実施例8における酸性ガス吸収処理装置の構成図
(b)本発明の実施例8における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(雰囲気温度と酸性ガス吸収容量の関係図)
【図7】本発明の実施例9における燃料電池システムの構成図
【図8】本発明の実施例10における燃料電池システムの構成図
【図9】従来の酸性ガス吸収除去剤の構成図
【符号の説明】
6 硫酸カルシウム
7 水酸化カルシウム
8 活性炭
9 不定形炭素
10 酸性ガス吸収除去剤
11 気体流路
12 酸性ガス吸収処理装置
13 燃料電池システム
14 イオン伝導性電解質膜
15 空気極
16 空気流路
20 水素イオン伝導性電解質膜
21 加湿手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物・イオウ酸化物などの酸性ガスを吸収除去する長寿命の酸性ガス吸収除去剤と、これを使用した酸性ガス吸収処理装置もしくは燃料電池システムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒素酸化物・イオウ酸化物などの酸性ガスを吸収除去する除去剤が知られている。図9は、従来の酸性ガス吸収除去剤の構成図であり、1は硫酸カルシウム、2は水酸化カルシウム、3は活性炭、4は不定形炭素、5はナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩である。そして、その化合物中の硫酸根に対するナトリウムまたはカリウムの比がモル比で0.2〜2であり、かつ硫酸カルシウムの原料中に配合割合が15〜40重量%であるとしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の酸性ガス吸収除去剤として、アルカリ金属もしくはアルカリ金属土類金属の水酸化物や炭酸塩などのアルカリと、硫酸カルシウムなどのセメント材と、粉末活性炭からなる混練成型物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2778031号公報
【特許文献2】
特開昭52−123987号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の酸性ガス吸収除去剤は、窒素酸化物・イオウ酸化物の吸収除去特性と強度には優れているが、吸収除去寿命の更なる向上が必要という課題があった。
【0006】
本発明は、前記する従来の問題を解決し、吸収除去寿命に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭、不定形炭素を主成分した原材料の混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素材料が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料の酸性ガス吸収除去剤とした。
【0008】
水酸化カルシウムが、アルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを一層効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことより、吸収除去寿命に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭、不定形炭素を主成分した原材料の混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素材料が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料の酸性ガス吸収除去剤とした。
【0010】
水酸化カルシウムが、アルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを一層効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことより、吸収除去寿命に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸性ガス吸収除去剤に用いる不定形炭素が、300〜550℃で分解する有機性結合材であるとした。300〜550℃で分解する有機性結合材だと、構成する他材料への影響が小さく、しかも酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、酸性ガスである二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の酸性ガス吸収除去剤に用いる不定形炭素が、非イオン性の水溶性セルロースエーテルであるとした。
【0013】
不定形炭素が、非イオン性の水溶性セルロースエーテルであるため、構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の混練成型物が、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の原材料がさらに混合された混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対して、ナトリウムまたはカリウムの元素が0.002〜5の酸素欠陥性材料であるとした。
【0015】
ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の原材料がさらに混合された混練成型物であるため、窒素酸化物やイオウ酸化物などの酸性ガスを一層長期間吸収除去できる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混練成型物は、混練成型物を非酸化性雰囲気下において300〜550℃で熱処理されて得られるとした。
【0017】
非酸化性雰囲気下において300〜550℃で焼成すると、構成する他材料への影響が小さく、しかも酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガス吸収容量に一層優れる酸性ガス吸収除去剤が得られる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の混練成型物が、熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬されるとした。
【0019】
熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬すると、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の混練成型物が、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着されるとした。
【0021】
これは、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着することにより、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を大いに果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができるためである。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有する気体が流れる気体流路に配置した処理装置であり、前記酸性ガス吸収除去剤は、−20〜120℃雰囲気温度で接触させることにより気体中の酸性ガスを除去する酸性ガス吸収処理装置とした。
【0023】
酸性ガス吸収除去剤は、温度−20〜120℃雰囲気という最適温度に保持されているため、優れた酸性ガス吸収容量を有する。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に配置した燃料電池システムとした。
【0025】
酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、二酸化イオウガスを除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制される。また、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた空気が、イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が弱アルカリ性して劣化が抑制される効果が生じる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の燃料電池システムにおいて、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に、水分を加湿する加湿手段を配置し、前記加湿手段の上流側に酸性ガス吸収除去剤を配置した構成とした。
【0027】
アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた加湿空気が、水素イオンを伝導させるために酸性となった高分子系の水素イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が中性化して劣化が一層抑制される効果が生じる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
(実施例1)
図1は本発明の第1実施例である酸性ガス吸収除去剤の構成図である。この酸性ガス吸収除去剤10は、硫酸カルシウム6、水酸化カルシウム7、活性炭8、不定形炭素9を主成分した原材料の混練成型物である。そして、混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素元素が0.5〜6部である酸素欠陥性カルシウム材料としている。
【0030】
本発明の試作を行った。活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)に、水を混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中350℃で数時間焼成して硬化させて、本発明の酸性ガス吸収除去剤を得た。この本発明品をX線マイクロアナライザーにて元素分析し、その構成材料の重量比を算出した。
【0031】
一方、酸性ガスとして二酸化窒素ガスを使用しその濃度が50ppmになる様に調製した空気8リットル/分を、本発明の酸性ガス吸収除去剤5ccを充填した流通式反応装置において、室温20℃で接触させて反応させ、接触反応後の二酸化窒素ガス濃度の過渡変化を測定した。そして、反応後の二酸化窒素ガス濃度の過渡変化から、二酸化窒素ガスの吸収除去量を算出し、酸性ガス吸収除去剤1cc当りの吸収容量に換算した。なお以後、酸性ガス吸収除去剤の吸収容量は、この方法を用いて求めた。
【0032】
この様にして得た酸性ガス吸収除去剤の構成材料比率と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係を整理して纏めた。その関係を図2に示す。図2(a)は、カルシウム元素とイオウ元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図であり、炭素元素をパラメータとして整理している。図2(b)は、炭素元素とイオウ元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図であり、カルシウム元素をパラメータとして整理している。
【0033】
図2からわかる様に、酸性ガス吸収除去剤においてその重量比が、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部であり炭素元素が0.5〜6部の組成であると、二酸化窒素ガスの吸収容量が70mg以上となり、優れた二酸化窒素ガスの吸収容量を発揮することがわかる。
【0034】
また、本発明の酸性ガス吸収除去剤においてその重量比がイオウ元素の1部に対して炭素元素が0.5〜6部であり、カルシウムが2〜60部の組成であると、二酸化窒素ガスの吸収容量が80mg以上であるため、従来品や参考品と比較して、優れた二酸化窒素ガス吸収容量であることがわかる。
【0035】
なお比較のため、従来例である特許登録番号第2778031号公報に記載された酸性ガス吸収除去剤の二酸化窒素ガスの吸収容量を測定したところ45mgであった。また参考として、活性炭の二酸化窒素ガスの吸収容量を測定したところ2mgであった。
【0036】
この優れた二酸化窒素ガス吸収容量は、イオウ元素に対して二酸化窒素ガスを吸収して固定する役目の水酸化カルシウムの量と空気中から二酸化窒素ガスを吸着して水酸化カルシウムに伝達する役目を果たす活性炭や不定形炭素などの炭素成分の量と、の比を最適化したために得られたと思われる。一方、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2部未満であると、二酸化窒素ガスを吸収除去する水酸化カルシウムの量が少ないため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。逆に、カルシウム元素が60部を超えると、二酸化窒素ガスを吸着して水酸化カルシウムに伝達する役目を果たす活性炭や不定形炭素と量との相対比が小さくなるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。この関係は、イオウ元素の1部に対する炭素元素の関係でも同様であり、炭素元素が0.5部未満もしくは6部を超えると、両者の相対比が最適でなくなるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が小さくなった。
【0037】
また、得られた酸性ガス吸収除去剤は、化学量論的にみて酸素分子が不足した酸素欠陥性カルシウム材料であった。この酸性ガス吸収除去剤が二酸化窒素ガス吸収容量に優れる理由は、酸素欠陥性カルシウム材料であることにも起因していた。また、この酸性ガス吸収除去剤は、その重量比でイオウ元素の1部に対して、アルミニウム元素を0.3〜3部、好ましくは0.5〜2部さらに追加した材料組成にすると、酸性ガス除去率が一層優れた材料となった。これは、塩基性度を増加させる酸化アルミニウムのさらなる追加により、塩基性度の増加した酸化アルミニウム含有酸素欠陥性カルシウム材料が得られるためと思われる。
【0038】
(実施例2)
実施例2は、不定形炭素として使用する有機性結合材の熱分解特性について検討した。検討した有機性結合材は、非イオン性の水溶性セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エポキシ、アクリルの5種類である。その熱分解性特性は、熱天秤装置を用いて測定し、温度を上昇された際の材料の重量変化を測定することで求めた。そして、採取した材料が熱分解してその重量が減少し、その100%が消滅して無くなる温度を求めた。そして、この熱分解温度を、窒素ガス雰囲気中で焼成する焼成温度として活用して、酸性ガス吸収除去剤を得た。酸性ガス吸収除去剤は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材に、水を混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中で数時間焼成して硬化させたものである。この酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部の組成からなる酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0039】
図3は、有機性結合材の熱分解温度と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。不定形炭素として300〜550℃で分解する有機性結合材を用いた酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れることがわかる。
【0040】
この理由を説明する。550℃を超える熱分解特性を有する有機性結合材だと、窒素ガス雰囲気中で焼成して有機性結合材を熱分解して消滅させる際に、焼成温度を550℃以上にする必要がありこの高温焼成だと、二酸化窒素ガスを吸収して固定する水酸化カルシウムも同時に熱分解してしまう問題が生じるため、二酸化窒素ガスの吸収容量が低下した。一方、300℃未満の熱分解特性を有する有機性結合材だと、結合性に乏しいので強度が弱く脆いうえに、窒素ガス雰囲気中で焼成する際に化学量論的に酸素分子が不足しにくいので、効果的に二酸化窒素ガスを吸収して固定する酸素欠陥性カルシウム材料が得られがたく、二酸化窒素ガスの吸収容量が低下していた。その点、300〜550℃で分解する有機性結合材だと、酸性ガス吸収除去剤を構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた。
【0041】
(実施例3)
実施例3は、不定形炭素として使用する有機性結合材の選定を行った。前述の実施例2の様に、不定形炭素としては、300〜550℃で分解する有機性結合材が最適である。そこで、この熱分解特性を満足する有機性結合材について検討を行った。
【0042】
検討した有機性結合材の種別とその熱分解温度は、以下の通りである。第1は、非イオン性の水溶性セルロースエーテルでありその熱分解温度は300℃。第2は、アクリル樹脂でありその熱分解温度は400℃。第3は、ポリビニルアルコールでありその熱分解温度は550℃。図3に記載した様に、熱分解温度が300℃である非イオン性の水溶性セルロースエーテルは、他の有機性結合材と比較して、優れた二酸化窒素ガスの吸収容量を示し、有機性結合材として最適であった。
【0043】
(実施例4)
実施例4は、混練成型物にナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種をさらに混合した酸性ガス吸収除去剤について検討した。
【0044】
酸性ガス吸収除去剤は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)に、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種をさらに混合して、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウムの元素がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0045】
図4は、ナトリウムまたはカリウムの元素の重量比と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。その重量比がイオウ元素の1部に対して、ナトリウムまたはカリウムの元素が0.002〜5部の酸素欠陥性材料である酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量に優れることがわかる。
【0046】
この理由を説明する。この優れた二酸化窒素ガス吸収容量は、二酸化窒素ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を果たすナトリウムまたはカリウムの元素の量が、最適範囲に有るためと思われる。その点、イオウ元素の1部に対してその元素が0.002部未満であると、二酸化窒素ガスを吸収除去する役目のアルカリ量が少ないため、二酸化窒素ガス吸収容量が小さくなり、逆に、その元素が5部を超えると、その役目のアルカリ量が多いため二酸化窒素ガス吸収容量が小さくなると思われる。
【0047】
(実施例5)
実施例5は、混練成型物を非酸化性雰囲気中で焼成する焼成温度について検討した。
【0048】
混練成型物は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)と、この組成物にさらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物(II)からなる。そして、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中で数時間焼成して硬化させたものである。焼成した酸性ガス吸収除去剤は、X線マイクロアナライザーにて元素分析したところ、組成物(I)はイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、組成物(II)はこの組成にナトリウムまたはカリウム元素がさらに1部検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0049】
図5は、非酸化性雰囲気焼成温度と、二酸化窒素ガス吸収容量の関係図である。
【0050】
非酸化性雰囲気中300〜550℃で焼成した酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量に優れることがわかる。
【0051】
この理由を説明する。550℃を超える温度で焼成すると、二酸化窒素ガスを吸収し固定する水酸化カルシウムも同時に熱分解してしまう問題が生じるため、二酸化窒素ガス吸収容量が低下すると思われる。一方、300℃未満の熱分解特性を有する有機性結合材だと、窒素ガス雰囲気中で焼成する際に化学量論的に酸素分子が不足しにくいので、効果的に二酸化窒素ガスを吸収して固定する酸素欠陥性カルシウム材料が得られがたく、二酸化窒素ガス吸収容量が低下すると思われる。その点、300〜550℃で焼成すると、酸性ガス吸収除去剤を構成する他材料への影響が小さく、酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガス吸収容量に優れると思われる。
【0052】
(実施例6)
実施例6は、混練成型物を熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬される方法について検討した。
【0053】
混練成型物は、組成物(I)と組成物(II)の2種類からなる。組成物(I)は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物である。組成物(II)は、さらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物である。
【0054】
そして、この組成物を水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この組成物(I)は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。この組成物(II)は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウム元素が1部さらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。この熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した酸性ガス吸収除去剤の二酸化窒素ガス吸収容量を(表1)に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガス吸収容量が大きいことがわかる。
【0057】
これは、熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬すると、酸性ガスを吸収固定する酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るためである。そのため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0058】
なお、熱処理した混練成型物に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬することにより、イオウ元素の1部に対してナトリウムまたはカリウムの元素の1部がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料が得られた。
【0059】
(実施例7)
実施例7は、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着した酸性ガス吸収除去剤について検討した。
【0060】
混練成型物は、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)と、この組成物にさらにナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種を混合した組成物(II)からなる。そして、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この組成物(I)および組成物(II)の組成は、前述の実施例6に記載した通りである。また、必要に応じて、熱処理した混練成型物には、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液を浸漬した。
【0061】
その後、この混練成型物に含水ジルコニウム塩の水溶液を添着して酸性ガス吸収除去剤を得た。
【0062】
酸性ガス吸収除去剤の、二酸化窒素ガスの吸収容量を(表2)に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
含水ジルコニウム塩の水溶液を添着した酸性ガス吸収除去剤は、酸性ガス吸収除去剤は、二酸化窒素ガスの吸収容量が大きくなっていることがわかる。
【0065】
これは、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着することにより、酸性ガスが水酸化カルシウムに吸収固定することを手助けする役目を大いに果たす酸素欠陥性カルシウム材料が良好に出来るため、二酸化窒素ガスの吸収容量に優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができるためである。
【0066】
(実施例8)
実施例8の構成図とその効果特性図を図6に示す。図6(a)は、酸性ガス吸収処理装置の構成図であり、図6(b)は雰囲気温度とこれら酸性ガス吸収容量の関係図である。酸性ガス吸収除去剤10を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有した気体が流れる気体流路11に配置して接触させることにより、気体中のこれら酸性ガスを除去する酸性ガス吸収処理装置12としている。
【0067】
酸性ガスの吸収容量の検討に使用した酸性ガス吸収除去剤は、実施例1で製造した材料を使用した。即ち、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)であり、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。
【0068】
酸性ガス吸収除去剤は、温度−20〜120℃雰囲気の気体中と接触させることにより、気体中の二酸化窒素ガスや二酸化イオウガスを効果的に吸収除去することがわかる。
【0069】
これは、酸性ガス吸収除去剤が温度−20〜120℃雰囲気という最適温度に保持されているためである。一方、−20℃未満だと温度が低いので酸性ガスが充分に吸収除去されないし、120℃を超えると温度が高いので酸性ガス吸収除去剤が熱劣化して酸性ガスが吸収除去されないため、酸性ガス吸収容量の低下が行った。なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0070】
(実施例9)
実施例9は、酸性ガス吸収除去剤を燃料電池システムに応用した際の効果を検討した。図7は、その構成図である。燃料電池システム13は、水素イオンを伝導するイオン伝導性電解質膜14の片面に形成した空気極15に空気を供給する空気流路16の入口に、酸性ガス吸収除去剤10が配置されている。空気に混入している二酸化イオウガスは、酸性ガス吸収除去剤10により吸収除去されて綺麗な空気となって空気極15と接触し、空気出口から排出される。一方、水素イオン伝導性電解質膜14の反対面には、燃料極18が形成されており、水素供給手段19から供給される水素による電池反応で、電圧が発生する様にしている。
【0071】
酸性ガス吸収除去剤10は、実施例1で製造した材料を使用した。即ち、活性炭と水酸化カルシウムと硫酸カルシウムと不定形炭素となる各種の有機性結合材(水溶性セルロースエーテルを使用)の組成物(I)を、水とともに混合して混練してハニカム状に押出成型し、乾燥後にこのハニカム成型品を窒素ガス雰囲気中300℃で数時間焼成して硬化させたものである。この製法で得られた材料は、イオウ元素の1部に対してカルシウム元素が40部で炭素元素が2部、これらにナトリウムまたはカリウムの元素がさらに検出される酸素欠陥性カルシウム材料であった。
【0072】
本発明1は、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜に、カーボンブラックに触媒の白金粒子を担持した構成の燃料極および空気極の電極を使用した80℃動作タイプである。
【0073】
本発明2は、安定化ジルコニアからなる金属酸化物系の酸素イオン伝導性電解質膜に、Sr置換したLaMnO3からなる金属酸化物系の燃料極および白金の空気極を使用した700℃動作タイプである。なお、この燃料電池システムは、水素でなく都市ガスを燃料とするタイプである。
【0074】
比較例として酸性ガス吸収除去剤を配置していないタイプ、参考例として酸性ガス吸収除去剤として活性炭を配置したタイプも同時に評価した。これら酸性ガス吸収除去剤は、二酸化イオウガス100ppmを3時間流入してもその除去率が100%を維持する様に、その使用量を適正化している。
【0075】
二酸化イオウガス100ppmを混合した空気を流入した際の流入初期電圧値と3時間流入後電圧値を測定し、この値から3時間電圧値の初期電圧値に対する低下率を算出した。(表3)は、その検討結果である。
【0076】
【表3】
【0077】
本発明は、燃料電池システムの電解質および電極の材質に関わらず、酸性ガス吸収除去剤を配置することで、電圧値の低下率が小さいことがわかる。この理由は2点有り、以下詳細に説明する。第1点は、酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、イオウ酸化物が除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制されるためである。第2点は、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた空気が、イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が、弱アルカリ化して劣化が抑制されるためと推定される。この第2の理由は、酸性ガス吸収除去剤を配置して二酸化イオウガスを100%除去した本発明品と、活性炭を使用して二酸化イオウガスを100%除去した参考品との電圧値低下率を比較した場合、本発明品の酸性ガス吸収除去剤は参考例の活性炭と比較して、電圧値低下率が小さいことから明白である。
【0078】
なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0079】
(実施例10)
実施例10は、酸性ガス吸収除去剤を燃料電池システムに応用した際に、その効果がより発揮される燃料電池システムの構成を検討した。その構成図を、図8に示す。検討に用いた燃料電池システム13は、フッ化炭素の主鎖に側鎖としてプロトン供与性のスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜20に、カーボンブラックに触媒の白金粒子を担持した構成の燃料極18および空気極15の電極を、使用したタイプである。この燃料電池システムの空気極15に空気を供給する空気流路16に、水分を加湿する加湿手段21を配置し、この加湿手段21の上流側に酸性ガス吸収除去剤10を配置した。加湿手段21は、水分を透過させる高分子膜を空気流路の壁面に配置した構成の加湿器であり、壁面に配置した水分透過性高分子膜を介して水分が、空気が流れる空気流路に排出される。このことで、水分結露する程度まで空気極を加湿した。
【0080】
酸性ガス吸収除去剤10は、実施例9と同じ製法で得られる材料である。なお、二酸化イオウガス100ppmを3時間流入してもその除去率が100%を維持する様に、その使用量を適正化している。
【0081】
比較例として加湿手段を配置していないタイプ、参考例として活性炭を使用したイオウ酸化物100%除去材と加湿手段を配置したタイプ、も同時に評価した。
【0082】
二酸化イオウガス100ppmを混合した空気を流入した際の、流入初期電圧値と3時間流入後電圧値を測定し、この値から3時間電圧値の初期電圧値に対する低下率を算出した。(表4)は、その検討結果である。
【0083】
【表4】
【0084】
本発明は、加湿することで、電圧値の低下率が小さいことがわかる。この理由は2点有り、以下詳細に説明する。第1点は、酸性ガス吸収除去剤を空気流路中に配置することにより、硫黄酸化物が除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化硫黄ガスによって劣化することが抑制されるためである。第2点は、アルカリ材が混合された酸性ガス吸収除去剤を空気と接触させることで、弱アルカリ性を帯びた加湿空気が、水素イオンを伝導させるために弱酸性となった水素イオン伝導性電解質膜に接触し、このことで電解質が一層中性化して劣化が一層抑制されるためと推定される。この第2の理由は、硫黄酸化物除去材を配置してSO2ガスを100%除去した本発明品と、活性炭を使用してSO2ガスを100%除去した比較品と、の電圧値低下率を比較した場合、本発明品の酸性ガス吸収除去剤は参考例の活性炭と比較して、電圧値低下率が小さいことから明白である。
【0085】
なお、この結果は、実施例2〜実施例7で製造した材料でも同様であった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の酸性ガス吸収除去剤は、水酸化カルシウムを使用したアルカリ性の酸素欠陥性カルシウム材料であるため、窒素酸化物や硫黄酸化物などの酸性ガスを長期間吸収除去できる。しかも、活性炭が併用されているため、酸性ガスを効果的に捕捉除去して水酸化カルシウムに吸収固定させることができる。またさらに、硫酸カルシウムや不定形炭素を混合しその量を最適化した混練成型物であるので、強度に優れている。これらのことにより、吸収除去寿命に一層優れた酸性ガス吸収除去剤を得ることができる。
【0087】
また、この酸性ガス吸収除去剤を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有する気体が流れる気体流路に配置した処理装置とすると、−20〜120℃温度雰囲気で優れた酸性ガス吸収容量を有する酸性ガス吸収処理装置が実現できる。
【0088】
さらに、酸性ガス吸収除去剤を、イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に、空気を供給する空気流路に配置した燃料電池システムとすると、二酸化イオウガスを除去された空気が空気極に供給され、燃料電池システムの電解質および電極が二酸化イオウガスによって劣化することが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の構成図
【図2】(a)本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(カルシウム元素と硫黄元素の重量比と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
(b)本発明の実施例1における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(炭素元素とイオウ元素の重量比と二酸化窒素ガスの吸収容量の関係図)
【図3】本発明の実施例2おける酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(有機性結合材の熱分解温度と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図4】本発明の実施例4における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(ナトリウムまたはカリウムの元素の重量比と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図5】本発明の実施例5における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(非酸化性雰囲気焼成温度と二酸化窒素ガス吸収容量の関係図)
【図6】(a)本発明の実施例8における酸性ガス吸収処理装置の構成図
(b)本発明の実施例8における酸性ガス吸収除去剤の効果特性図(雰囲気温度と酸性ガス吸収容量の関係図)
【図7】本発明の実施例9における燃料電池システムの構成図
【図8】本発明の実施例10における燃料電池システムの構成図
【図9】従来の酸性ガス吸収除去剤の構成図
【符号の説明】
6 硫酸カルシウム
7 水酸化カルシウム
8 活性炭
9 不定形炭素
10 酸性ガス吸収除去剤
11 気体流路
12 酸性ガス吸収処理装置
13 燃料電池システム
14 イオン伝導性電解質膜
15 空気極
16 空気流路
20 水素イオン伝導性電解質膜
21 加湿手段
Claims (10)
- 硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭、不定形炭素を主成分とした混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対してカルシウム元素が2〜60部と炭素元素が0.5〜6部とからなる酸素欠陥性カルシウム材料である酸性ガス吸収除去剤。
- 不定形炭素が、300〜550℃で分解する有機性結合材である請求項1記載の酸性ガス吸収除去剤。
- 不定形炭素が、非イオン性の水溶性セルロースエーテルである請求項2記載の酸性ガス吸収除去剤。
- ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩もしくは水酸化物の少なくとも1種をさらに混合した混練成型物であり、前記混練成型物で検出される材料は、その重量比がイオウ元素の1部に対して、ナトリウムまたはカリウムの元素が0.002〜5部の酸素欠陥性材料であるとした請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤。
- 混練成型物が、非酸化性雰囲気下において300〜550℃で熱処理される請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤。
- 混練成型物は、熱処理した後に、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物もしくは炭酸塩の水溶液に浸漬される請求項5記載の酸性ガス吸収除去剤。
- 混練成型物は、含水ジルコニウム塩の水溶液を添着される請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、ニ酸化窒素もしくは二酸化イオウを含有する気体が流れる気体流路に配置した処理装置であり、前記酸性ガス吸収除去剤は、−20〜120℃の雰囲気温度で接触させることにより気体中の前記酸性ガスを除去する酸性ガス吸収処理装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸性ガス吸収除去剤を、イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に配置した燃料電池システム。
- フッ化炭素の主鎖に側鎖としてスルホン基が付いた高分子系の水素イオン伝導性電解質膜の片面に形成した空気極に空気を供給する空気流路に、水分を加湿する加湿手段を配置し、前記加湿手段の上流側に酸性ガス吸収除去剤を配置した請求項9記載の燃料電池システム。
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