JP2004229436A - 永久磁石劣化センサ、永久磁石モータ - Google Patents
永久磁石劣化センサ、永久磁石モータ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ロータあるいはステータに永久磁石を配置した永久磁石モータにおける永久磁石の特性劣化を検知することができる永久磁石特性劣化センサ、ロータあるいはステータに配置した永久磁石の特性劣化を検知可能な永久磁石モータを提供する。
【解決手段】永久磁石モータ1は、ステータ2及びロータ3を有し、ロータ3には、等しい周方向ピッチで8つの永久磁石32を備える。この永久磁石32の側部には、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する超磁歪素子5を備える。この超磁歪素子5は、永久磁石32の有する残留磁束密度の変化に影響されて伸びるので、これを非接触型変位センサ6で測定することで、永久磁石32の特性劣化による磁束密度の低下を検知することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】永久磁石モータ1は、ステータ2及びロータ3を有し、ロータ3には、等しい周方向ピッチで8つの永久磁石32を備える。この永久磁石32の側部には、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する超磁歪素子5を備える。この超磁歪素子5は、永久磁石32の有する残留磁束密度の変化に影響されて伸びるので、これを非接触型変位センサ6で測定することで、永久磁石32の特性劣化による磁束密度の低下を検知することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータに永久磁石を配置した永久磁石モータにおける永久磁石の特性劣化を検知する永久磁石劣化センサ、永久磁石の特性劣化を検知可能な永久磁石モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を配置したロータに対し、このロータを囲むステータに回転磁界を発生させ、この回転磁界と永久磁石との吸引及び反発によってロータを回転させる永久磁石モータが知られている。あるいは、ステータに永久磁石を配置し、ロータに生じさせた磁極との吸引、反発によって、ロータを回転させる永久磁石モータが知られている。このような永久磁石モータでは、磁束密度の大きな永久磁石を使用することによって、誘導モータなどのように、永久磁石を持たないモータに対して、小型で強力なモータとすることができる。
【0003】
永久磁石が発生する磁束密度は、ある範囲内では、外部の磁界に比例して変化する。このため、外部の磁界が除去されれば、元の磁束密度に復帰する。しかし、外部の磁界が永久磁石の形成する磁束と逆向きで、その大きさがある程度以上になると、もはや外部の磁界を除去しても永久磁石の発生する磁束密度は元に戻らず、不可逆的に以前より小さな値となる。これを減磁という。ロータやステータに用いられた永久磁石に減磁が生じると、モータの初期の性能が発揮できなくなるので、永久磁石モータは、減磁が起こらない条件で駆動することが望まれる。
【0004】
ところで、この減磁が生じない磁界の上限値(保磁力)は、一般に温度によって変化する。例えば、永久磁石としてフェライト系磁石を用いる場合、永久磁石の温度が高くなると保持力が低下し、減磁つまり特性劣化が生じる。このため、永久磁石の温度に応じた駆動を行うための装置として、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【0005】
このうち、特許文献1は、ベクトル制御される永久磁石形回転電機において、永久磁石の温度を計測または推定する手段を有し、温度変化による永久磁石の鎖交磁束の変化を、d軸電流の制御により補正する制御方式を提案している。しかしながら、永久磁石の温度を如何にして計測あるいは推定するのかについて詳細な言及がない。
【0006】
また、特許文献2は、永久磁石の温度を検出する温度検出手段と、励磁電流上限算出手段と、トルク指令に基づく励磁電流の大きさが励磁電流の上限値以下となるようにトルク指令を修正するトルク指令修正手段とを有する制御装置を提案している。そしてこの特許文献2では、温度検出手段として、永久磁石の温度を検出する温度検出器が挙げられているが、具体的に永久磁石の温度を測定する手法についての言及がない。なお、ステータとロータの温度の差が小さい場合、あるいは両者に相関がある場合には、ステータ温度に基づいて永久磁石の温度を推定することもできる旨が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−224812号公報(第2頁参照)
【特許文献2】
特開平09−289799号公報(第3頁、図4参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載のように、ステータ温度から永久磁石の温度を推定する場合、その応答性が極めて遅い問題がある。永久磁石の温度が上昇とすると、その後、ロータの温度が上昇する。さらに、ステータとロータとの間には間隙が存在しているから、温度を伝えにくいこの間隙を経由してステータの温度が上昇する。このような経路を取るため、ステータ温度が永久磁石の温度に追従するには長い時間が掛かるからである。ところで、モータが軽負荷で高速回転している場合には、永久磁石での渦電流損が大きくなってステータに比して温度が上がりやすい。このため、永久磁石の保護のため、永久磁石を減磁が生じない温度に保とうとすると、応答の遅れを見込んで、ステータの温度が低い状態でコイル電流に制限を与える必要がある。一方、モータを高負荷で運転している場合には、銅損が大きくなり、ステータの温度が高くなりやすく、永久磁石の温度は比較的低いままとなる。この場合にも、上述のような制御が働くので、永久磁石の温度の観点から見れば、十分余裕のある状態でコイル電流に制限が与えられるため、モータの本来の特性を十分発揮できない。このように、特許文献1及び2に記載の内容では、永久磁石の温度を適切に推定算出することができず、従って、永久磁石の劣化を防止することができない。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであって、ロータあるいはステータに永久磁石を配置した永久磁石モータにおける永久磁石の特性劣化を検知することができる永久磁石特性劣化センサ、ロータあるいはステータに配置した永久磁石の特性劣化を検知可能な永久磁石モータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータにおける上記永久磁石の劣化を検知する永久磁石劣化センサであって、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、を備える永久磁石劣化センサである。
【0011】
本発明の永久磁石劣化センサは、超磁歪材料からなる変形部材と変形検知手段とを有する。このうち、永久磁石の近傍など、その位置における磁界の強さが永久磁石の残留磁束密度の変化に影響される位置に変形部材が配置されると、超磁歪材料からなる変形部材は、磁界の強さに応じて変形する。
一般にロータが回転すると、電磁石で形成される磁束により、変形部材の配置位置における磁界に強さが変動するため、超磁歪材料からなる変形部材は、それに応じて伸縮等の周期的な変形を生じる。そのほか、永久磁石の温度上昇により、永久磁石の残留磁束密度が減少するので、磁界の強さが永久磁石の温度上昇と共に徐々にシフトするため、超磁歪材料からなる変形部材も、周期的な変形をしつつ、変位量が徐々にドリフトする。
【0012】
従って、変位量のドリフトの大きさが所定の値を超えた場合、あるいは、変位量のドリフトにより、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような小さなあるいは大きな変位量の出力が周期的に得られた場合や、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような範囲で変位量が変動する
場合などには、永久磁石の温度が上がりすぎて、特性劣化(減磁)を生じる虞れがあると判断できる。かくして、永久磁石の特性劣化を検知することができる。
しかも、変形部材の変位量のドリフトは、永久磁石の温度上昇に伴う特性変化に対応して生じる。このため、従来技術のようにステータの温度から永久磁石の温度を推定する場合よりも、正確に、且つ早い応答で永久磁石の温度や特定劣化を検知することができる。
かくして、このセンサを用いれば、永久磁石の特性劣化(減磁)をより早く検知し、警告を行ったり、特性劣化の起こらない範囲でこのモータを動作させるように、モータ駆動の制御を行うことができる。
【0013】
なお、変形部材をなす超磁歪材料としては、Tb−Dy−Feなどの材料が挙げられる。また、変形部材の変位を測定する変位検知手段としては、変形部材の変位を検知できるものであればいずれのものでも良いが、レーザ変位計や静電容量式変位計などの非接触式変位計が挙げられる。また、変形部材をその変形の方向(例えば伸縮方向)に付勢するバネなどの弾性部材と、弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサによって構成しても良い。
【0014】
さらに、上記永久磁石劣化センサであって、前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである永久磁石劣化センサとすると良い。
【0015】
非接触型変位センサで変形部材の変形を検知するので、ロータが回転して振動等の生じやすいモータにおいても適切に変形を検知することができる。また、変形部材や変形検知手段の配置の自由度が大きい。
【0016】
さらに、上記永久磁石劣化センサであって、前記変形検知手段は、前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える永久磁石劣化センサとすると良い。
【0017】
変形検知手段は、変形部材をその変形方向(例えば伸縮方向)に付勢する弾性部材を有する。例えば、変形部材をその変形方向に押圧したり、引っ張ったりする弾性部材を有する。このため、磁界の変化によって、変形部材が変形すると、弾性部材の付勢力が変化する。この付勢力の変化を荷重センサで検知すれば、変位部材の変位、さらには永久磁石の温度変化や特性劣化の程度を知ることができる。
この変形検知手段は、バネ等の弾性部材と歪みゲージなどを用いた荷重センサを用いれば構成できるから、安価に構成することができる。
なお、弾性部材としては、変形部材を永久磁石の残留磁束密度の変化によって生じる変形の方向に付勢可能な弾性部材で有ればよく、例えば、バネやゴムなどを用いることができる。さらに、具体的には、例えば、軸方向に伸縮する棒状の変形部材に対し、この棒状の変形部材と同軸に配置されたコイルバネであって、その軸方向に圧縮あるいは伸長されることによって、変形部材を付勢するコイルバネが挙げられる。
また、荷重センサとしては、弾性部材の持つ付勢力を適切に検知できる荷重センサであればいずれのものでも良いが、例えば、歪みゲージを用いた荷重センサが挙げられる。
【0018】
他の解決手段は、ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータであって、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、を備える永久磁石モータである。
【0019】
本発明の永久磁石モータは、超磁歪材料からなる変形部材と変形検知手段とを有する。このうち変形部材は、永久磁石の近傍など、その位置における磁界の強さが永久磁石の残留磁束密度の変化に影響される位置に配置されているので、超磁歪材料からなる変形部材は、磁界の強さに応じて変形する。
一般にロータが回転すると、電磁石で形成される磁束により、変形部材の配置位置における磁界に強さが変動するため、超磁歪材料からなる変形部材は、それに応じて伸縮等の周期的な変形を生じる。そのほか、永久磁石の温度上昇により、永久磁石の残留磁束密度が減少するので、磁界の強さが永久磁石の温度上昇と共に徐々にシフトするため、超磁歪材料からなる変形部材も、周期的な変形をしつつ、変位量が徐々にドリフトする。
【0020】
従って、変位量のドリフトの大きさが所定の値を超えた場合、あるいは、変位量のドリフトにより、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような大きな変位量の出力が周期的に得られた場合や、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような範囲で変位量が変動した場合などには、永久磁石の温度が上がりすぎて、特性劣化(減磁)を生じる虞れがあると判断できる。かくして、永久磁石の特性劣化や温度上昇を検知することができる。
しかも、変形部材の変位量のドリフトは、永久磁石の温度上昇に伴う特性変化に対応して生じる。このため、従来技術のようにステータの温度から永久磁石の温度を推定する場合よりも、正確に、且つ早い応答で永久磁石の温度上昇や特定劣化を検知することができる。
かくして、このモータでは、永久磁石の特性劣化(減磁)をより早く検知し、警告を行ったり、特性劣化の起こらない範囲でこのモータを動作させるように、モータ駆動の制御を行うことができる。
【0021】
なお、変形部材の配置位置は、永久磁石の近傍とは限らず、永久磁石の残留磁束密度が変化することによって、その位置における磁界の強さが変化するような位置であればよい。但し、永久磁石の近傍が特に好ましい。他の永久磁石や電機子による影響が少なくなるため、その永久磁石の温度変化をより適切に検知できるからである。具体的には、例えば、一方面をN極、他方面をS極とした板状の永久磁石において、その一方面及び他方面に直交する側面に沿って棒状の変形部材を配置する場合などが挙げられる。
【0022】
さらに、上記永久磁石モータであって、
前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである永久磁石モータとすると良い。
【0023】
本発明のモータでは、非接触型変位センサで変形部材の変形を検知するので、ロータが回転して振動が発生しても、適切に変形を検知することができる。また、非接触であるため、変形部材や変形検知手段の配置の自由度が大きい。
【0024】
さらに、上記永久磁石モータであって、前記変形検知手段は、前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える永久磁石モータとすると良い。
【0025】
本発明のモータでは、変形検知手段は、変形部材をその変形方向に付勢する弾性部材を有する。例えば、変形部材をその変形方向に押圧したり、引っ張ったりする弾性部材を有する。このため、磁界の変化によって、変形部材が変形すると、弾性部材の付勢力が変化する。この付勢力の変化を荷重センサで検知すれば、変位部材の変位、さらには永久磁石の温度変化や特性劣化の程度を検知できる。
また、この変形検知手段は、バネ等の弾性部材と歪みゲージなどを用いた荷重センサや歪みセンサとを用いれば構成できるから、安価に構成することができる。
【0026】
さらに、上記いずれか1項に記載の永久磁石モータであって、前記複数の永久磁石が、前記ロータに配置されてなり、前記変形部材も、上記ロータに配置されてなる永久磁石モータとすると良い。
【0027】
ロータに永久磁石を配置した永久磁石モータでは、ロータの回転と共に永久磁石も回転するため、このように回転している状態で永久磁石の特性劣化や温度変化を測定するのは困難であった。
本発明では、測定しにくいロータ内の永久磁石の特性劣化や温度変化を、変形部材の変形の大きさに変換しているので、ロータ内で変形部材の変形を測定する、あるいは、外部から非接触で変形部材の変形を測定するなどをすれば足りるから、測定容易である。
【0028】
さらに、上記永久磁石モータであって、前記変形検知手段も、前記ロータに配置されてなり、上記変形検知手段からの出力信号を外部に送り出す信号送出機構を備える永久磁石モータとすると良い。
【0029】
本発明のモータでは、変形検知手段もロータに配置されてなるが、信号送出機構を備えるので、変形検知手段からの出力信号を外部に送り出すことができ、この出力信号を用いて、永久磁石の昇温警告や運転停止等の処置を執ることができる。
なお、信号送出機構としては、ロータを挿通するシャフトの回りに設けた整流子と、これに接触するブラシとが挙げられる。また、シャフトの回りに設けたスリップリングを用いることもできる。
また、変形検知手段の性質によっては、信号送出機構と同様な機構を用いて、外部から変形検知手段の駆動に要する電力を供給することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1及び図2に示すモータ1は、ステータ2、ロータ3、及びロータ3を挿通するシャフト4を有する。このうち、ステータ2は、12ヶの内歯部22を有し多数の電磁鋼板を積層してなるステータコア21と、各々の内歯部22に導線を巻回してなる12ヶのステータコイル23(図1では図示しない。図2参照)とを有する。
【0031】
一方、ロータ3は、多数の電磁鋼板を積層してなる、リング状のロータコア31を有する。ロータコア31のうち周縁近傍には、等角度間隔(所定の周方向ピッチ)に配置され、シャフト4の軸線4Xに沿う方向(図2中上下方向)にこのロータコア31を貫通する8ヶのスロット31Sが形成されており、このスロット31S内にその板圧方向に着磁された板状の永久磁石32が挿入、固定されている。さらに、このスロット31S内で永久磁石32の側方には、超磁歪材料(例えばTb−Dy−Fe)からなる円筒状の超磁歪素子5が挿入され、固定されている。永久磁石32及びステータコイル23は、この超磁歪素子5の配置位置に磁界を生じさせる。この超磁歪素子5は、図3に示す特性を有しており、外部磁界が掛かると伸縮する。その歪み量(磁歪量)は外部磁界の強さに応じて変化し、外部磁界Hが30kA/mのときには、磁歪量△Lは40μmに達する。従って、永久磁石32による磁界が掛かると、超磁歪素子5はその軸方向(図2中、上下方向)伸びる。また、ロータ3の回転により、ステータコイル23による磁界(弱め磁界)が周期的に掛かると、超磁歪素子5はそれに応じて、その軸方向(図2中、上下方向)に伸縮する。
【0032】
また、このロータコア31を挟むようにロータエンドプレート33,34が配置されている。ロータコア31及びロータエンドプレート33,34は、シャフト4に圧入され、それらの内周面31N,33N,34Nがシャフト4の外周に密着することによって、各々シャフト4に固定されている。
ロータエンドプレート33には、上述の超磁歪素子5の変位(磁歪量)△Lを測定するため、レーザ式の非接触変位センサ6を固定するための固定孔33Cが形成されている。超磁歪素子5は下端5Dがロータエンドプレート34に固定されているので、外部磁界Hの変化による磁歪量△Lの変化は、上端5Uに現れる。従って、非接触変位センサ6で上端5Uの変位を測定することで、磁歪量△Lを測定することができる。
また、シャフト4には、整流子41が装着されており、非接触変位センサ6からの変位信号6SGは、信号線61を通じて整流子41に伝えられ、ブラシ42を通じて外部に取り出される。なお、非接触変位センサ6を駆動する電力は、これとは逆に、別途、ブラシ及び整流子を通じて外部から供給される。
【0033】
次いで、このモータ1における永久磁石32の特性劣化や温度計測について、図4、図5を参照して説明する。上述したように、超磁歪素子5は、永久磁石32が発生する磁束によって伸びている。また、超磁歪素子5は、ステータコイル23によって発生する弱め磁界にも影響を受ける。但し、超磁歪素子5に対するステータコイル23による弱め磁界の影響は、ロータ3の回転と共に変化する。即ち、図4(a)において左側に示すように、永久磁石32とステータ2の内歯部22及びステータコア23とが正対する場合には、永久磁石32の発生する磁界が大きく弱められて、超磁歪素子5にかかる外部磁界の大きさは小さくなる。一方、図4(a)において右側に示すように、永久磁石32に対して、内歯部22及びステータコア23がずれた位置にある場合には、弱め磁界の影響を受けず、永久磁石32で発生する磁界は弱められないので、超磁歪素子5に掛かる外部磁界の大きさが大きくなる。このように、ロータ3の回転によって、超磁歪素子5が受ける外部磁界に強さが周期的に変化するため、図4(b)に示すように、超磁歪素子5の磁歪量△Lも周期的に変化する。
そこで、この磁歪量△Lを非接触変位センサ6で計測すると、図5に示すように、出力電圧Vが2〜4Vの範囲で変化する。
【0034】
ところで、永久磁石32の温度が高くなると、さらには、永久磁石32の特性劣化が生じると、永久磁石32で発生する磁界の強さが徐々に低下する。すると、永久磁石32による磁界によって超磁歪素子5の伸びている磁歪量△Lが徐々に小さくなる。従って、図4(a)において破線で示すように、超磁歪素子5で受ける外部磁界の強さが全体的に低下するので、図4(b)において破線で示すように、超磁歪素子5の磁歪量△Lも全体的に低下する(ドリフトする)。
すると、図5に破線で示すように、非接触変位センサ6では、出力電圧Vが1.5〜3.5Vの範囲で変化するようになる。このように、永久磁石32の温度が上昇し、さらには、その特性が劣化して残留磁束密度が低下すると、非接触変位センサ6における出力も徐々に低下する。
【0035】
そこで、永久磁石32の特性に応じ、例えば、磁歪量△L=10μm以下、非接触変位センサ6の出力電圧V=1V以下となった場合、具体的には、周期的にV=1V以下となる場合には、永久磁石32の特性劣化が生じ始めたと解して、モータ1の駆動パターン(ステータコイル23に流すコイル電流の大きさや位相など)を変化させ、弱め界磁によるこれ以上の永久磁石32の特性劣化を防ぐようにすることができる。
また、出力電圧Vが周期的に所定の値(例えば1.2V)よりも小さな値となる場合には、永久磁石32の温度が上がりすぎていると解して、同様に、モータ1の駆動パターンを変化させ、温度上昇による永久磁石32の熱減磁を防ぐようにすることもできる。逆に、出力電圧から、永久磁石32の温度を推定し、この温度で制御することもできる。
【0036】
(実施形態2)
次いで、本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。上述した実施形態1では、超磁歪素子5を永久磁石32に隣接して配置、固定し、超磁歪素子5の磁歪量△Lを、非接触変位センサ6によって検知した。これに対し、本実施形態2では、超磁歪素子51の磁歪量△Lをコイルバネ72によって荷重に変換し、これを荷重センサ73で測定することにより、磁歪量△Lを間接的に計測することで、超磁歪素子5の磁歪量△L、さらには、永久磁石32の特性劣化や温度を推定する点で異なる。しかし残余の点は、実施形態1と同様であるので、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については、記載を省略あるいは簡略化する。
【0037】
本実施形態2にかかるモータ11は、実施形態1に記載のモータ1とほぼ同様の、内歯形状のステータ2及び永久磁石32が周縁近傍に配置されたロータ3を有する(図1参照)。但し、本実施形態2では、変位センサ6は用いない。以降は、図6に示す本実施形態2にかかるモータ11の要部について説明する。
【0038】
本実施形態2では、永久磁石32の側部に、変位−荷重変換機構7を配置する(図1参照)。具体的には、永久磁石32の側部に超磁歪素子51とコイルバネ72を非磁性材(具体的にはアルミニウム)からなる非磁性体管71内に挿入し、さらに荷重センサ73を挿入し、コイルバネ72に当接させる。ロータエンドプレート35に形成したボルト孔35Cに挿通したボルト74により、荷重センサ73を軸方向(図6中、下方向)に押圧する。これにより、超磁歪素子51が、コイルバネ72を通じて押圧される。
【0039】
前述した実施形態1と同様にして、超磁歪素子51が伸縮すると、コイルバネ72が伸縮し、それに応じて、荷重センサ73にかかる荷重が変化する。従って、この荷重センサ73の出力は、超磁歪素子51の変位に応じて変化する。
なお、非磁性体管71は、超磁歪素子51、コイルバネ72、及び荷重センサ73を整列させるための管であり、磁界に影響を与えないため、非磁性材料から構成されている。
【0040】
荷重センサ73からの出力は、信号線731を通じて、実施形態1と同様、シャフト4に装着された整流子41に伝えられ、さらに、ブラシ42を通じて外部に取り出される。なお、荷重センサ73を駆動する電力は、これとは逆に、別途、ブラシ及び整流子を通じて外部から供給される。
【0041】
この実施形態2においても、超磁歪素子51は、永久磁石32が発生する磁束によって伸びている。また、超磁歪素子51は、ステータコイル23によって発生する弱め磁界にも影響を受ける。但し、超磁歪素子51に対するステータコイル23による弱め磁界の影響は、ロータ3の回転と共に周期的に変化するため、超磁歪素子51の磁歪量△Lも周期的に変化する(図4(a)参照)。そこで、この磁歪量△Lに対応する荷重を荷重センサ73で計測すると、所定範囲で変化する。
【0042】
これに対し、永久磁石32の温度が高くなると、さらには、永久磁石32の特性劣化が生じると、永久磁石32で発生する磁界の強さが低下するので、永久磁石32による磁界によって超磁歪素子51の伸びている磁歪量△Lが小さくなる。従って、超磁歪素子51で受ける外部磁界の強さが全体的に低下するので、超磁歪素子51の磁歪量△Lも全体的に低下する(図4(a)の破線参照)。
すると、これに対応する荷重も変化するので、荷重センサ73の出力範囲が変化(低下)する。
【0043】
そこで、例えば、荷重センサ73の出力が周期的に所定値以下となる場合には、永久磁石32の特性劣化が生じ始めたと解して、モータ1の駆動パターン(ステータコイル23に流すコイル電流の大きさや位相など)を変化させ、弱め界磁によるこれ以上の永久磁石32の特性劣化を防ぐようにすることができる。
同様に、荷重センサ73の出力が周期的に他の所定値以下となる場合には、永久磁石32の温度が上がりすぎていると解して、同様に、モータ1の駆動パターンを変化させ、温度上昇による永久磁石32の熱減磁を防ぐようにすることもできる。
逆に、出力電圧から、永久磁石32の温度を推定することもできる。この場合には、荷重センサ73の出力から、永久磁石32の温度を推定し、この温度で制御することもできる。
なお、コイルバネ72にも、銅系金属などの非磁性材を用いるのが好ましい。
【0044】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態1,2では、周期的に変動する変位センサ6の出力あるいは荷重センサ72の出力を持ち、これらが所定値を周期的に下回る場合に、永久磁石32の特性劣化が生じ始めていると判断した。しかし、変位センサ6や荷重センサ72の出力を時間的に平均し、あるいは積分して、直流成分である永久磁石32が発生する磁界による超磁歪素子5,51の磁歪量のみを取り出し、これを用いて、永久磁石32の特性劣化が生じ始めているか否か、あるいは永久磁石の温度について、判断をするようにしても良い。
【0045】
さらに、実施形態1においては、非接触変位センサ6として、レーザ式変位計を用いたが、超磁歪素子5の変位(磁歪量△L)を測定できるものであれば良く、静電容量式、超音波式など、各種の測定方式による変位計を採用することができる。
また、実施形態1,2においては、超磁歪素子5,51は、棒状形状を有し、その軸方向に伸縮した変位(磁歪量)を計測し、あるい荷重に変換した。しかし、超磁歪素子の他方向への変形(径方向への変形)を用いたり、超磁歪素子を他の形状(例えば、円板状、弓状)に成形し、径方向への変形や屈曲変形などを用いることもできる。
【0046】
また、実施形態1においては、非接触変位センサ6を回転するロータ3(ロータエンドプレート3に固定し、変位センサ6からの変位信号6SGを、信号送出機構である整流子41及びブラシ42を用いて外部に取り出した。しかし、これ以外に機構を用いることもでき、例えば、スリップリングを用いることもできる。また、無線通信あるいは光通信によって出力を外部に取り出すこともできる。
また、変位センサ6を回転しない部材に取り付け、別途シャフトに取り付けたレゾルバなどにより回転角を検出して、超磁歪素子5の変位量をロータ3の回転に同期して計測するようにすることもできる。このようにすると、変位センサ6からの変位出力を容易に得ることができる利点がある。
また、上記実施形態1,2では、永久磁石32がロータ3に配置形成されたタイプのモータ1,11について説明したが、ステータに永久磁石を配置したモータについても、本発明を適用することができる。この場合には、変位センサや荷重センサの出力を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1,2にかかるモータの概要を説明する説明図であり、シャフトの軸線方向からステータ及びロータを見た状態を示す。但し、ロータはエンドプレートを外した状態であり、ステータは内歯に巻いたコイルを省略した状態について示す。
【図2】実施形態1にかかるモータのO−A縦断面図である。
【図3】超磁歪素子の特性を示し、加えられた磁界と発生する変位との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は、ステータの磁極とロータの永久磁石との位置関係と、超磁歪素子が受ける磁束密度の関係を示す説明図であり、(b)は超磁歪素子の磁歪量を示す説明図である。
【図5】実施形態1にかかり、超磁歪素子の磁歪量と変位計の出力電圧との関係を示す説明図である。
【図6】実施形態2にかかるモータの概要を説明する説明である。
【符号の説明】
1,11 モータ
2 ステータ
21 ステータコア
22 内歯部
23 ステータコイル
3 ロータ
31 ロータコア
32 永久磁石
33,34,35 ロータエンドプレート
33C 固定孔
35C ボルト孔
4 シャフト
4X (シャフトの)軸線
41 整流子
42 ブラシ
5,51 超磁歪素子(変形部材)
5D 下端
5U 上端
6 非接触型変位センサ(変位検知手段)
61 信号線
6SG 変位信号
7 変位−荷重変換機構
71 非磁性体管
72 コイルバネ(弾性部材)
73 荷重センサ(変位検知手段)
731 信号線
74 ボルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータに永久磁石を配置した永久磁石モータにおける永久磁石の特性劣化を検知する永久磁石劣化センサ、永久磁石の特性劣化を検知可能な永久磁石モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を配置したロータに対し、このロータを囲むステータに回転磁界を発生させ、この回転磁界と永久磁石との吸引及び反発によってロータを回転させる永久磁石モータが知られている。あるいは、ステータに永久磁石を配置し、ロータに生じさせた磁極との吸引、反発によって、ロータを回転させる永久磁石モータが知られている。このような永久磁石モータでは、磁束密度の大きな永久磁石を使用することによって、誘導モータなどのように、永久磁石を持たないモータに対して、小型で強力なモータとすることができる。
【0003】
永久磁石が発生する磁束密度は、ある範囲内では、外部の磁界に比例して変化する。このため、外部の磁界が除去されれば、元の磁束密度に復帰する。しかし、外部の磁界が永久磁石の形成する磁束と逆向きで、その大きさがある程度以上になると、もはや外部の磁界を除去しても永久磁石の発生する磁束密度は元に戻らず、不可逆的に以前より小さな値となる。これを減磁という。ロータやステータに用いられた永久磁石に減磁が生じると、モータの初期の性能が発揮できなくなるので、永久磁石モータは、減磁が起こらない条件で駆動することが望まれる。
【0004】
ところで、この減磁が生じない磁界の上限値(保磁力)は、一般に温度によって変化する。例えば、永久磁石としてフェライト系磁石を用いる場合、永久磁石の温度が高くなると保持力が低下し、減磁つまり特性劣化が生じる。このため、永久磁石の温度に応じた駆動を行うための装置として、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【0005】
このうち、特許文献1は、ベクトル制御される永久磁石形回転電機において、永久磁石の温度を計測または推定する手段を有し、温度変化による永久磁石の鎖交磁束の変化を、d軸電流の制御により補正する制御方式を提案している。しかしながら、永久磁石の温度を如何にして計測あるいは推定するのかについて詳細な言及がない。
【0006】
また、特許文献2は、永久磁石の温度を検出する温度検出手段と、励磁電流上限算出手段と、トルク指令に基づく励磁電流の大きさが励磁電流の上限値以下となるようにトルク指令を修正するトルク指令修正手段とを有する制御装置を提案している。そしてこの特許文献2では、温度検出手段として、永久磁石の温度を検出する温度検出器が挙げられているが、具体的に永久磁石の温度を測定する手法についての言及がない。なお、ステータとロータの温度の差が小さい場合、あるいは両者に相関がある場合には、ステータ温度に基づいて永久磁石の温度を推定することもできる旨が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−224812号公報(第2頁参照)
【特許文献2】
特開平09−289799号公報(第3頁、図4参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載のように、ステータ温度から永久磁石の温度を推定する場合、その応答性が極めて遅い問題がある。永久磁石の温度が上昇とすると、その後、ロータの温度が上昇する。さらに、ステータとロータとの間には間隙が存在しているから、温度を伝えにくいこの間隙を経由してステータの温度が上昇する。このような経路を取るため、ステータ温度が永久磁石の温度に追従するには長い時間が掛かるからである。ところで、モータが軽負荷で高速回転している場合には、永久磁石での渦電流損が大きくなってステータに比して温度が上がりやすい。このため、永久磁石の保護のため、永久磁石を減磁が生じない温度に保とうとすると、応答の遅れを見込んで、ステータの温度が低い状態でコイル電流に制限を与える必要がある。一方、モータを高負荷で運転している場合には、銅損が大きくなり、ステータの温度が高くなりやすく、永久磁石の温度は比較的低いままとなる。この場合にも、上述のような制御が働くので、永久磁石の温度の観点から見れば、十分余裕のある状態でコイル電流に制限が与えられるため、モータの本来の特性を十分発揮できない。このように、特許文献1及び2に記載の内容では、永久磁石の温度を適切に推定算出することができず、従って、永久磁石の劣化を防止することができない。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであって、ロータあるいはステータに永久磁石を配置した永久磁石モータにおける永久磁石の特性劣化を検知することができる永久磁石特性劣化センサ、ロータあるいはステータに配置した永久磁石の特性劣化を検知可能な永久磁石モータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータにおける上記永久磁石の劣化を検知する永久磁石劣化センサであって、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、を備える永久磁石劣化センサである。
【0011】
本発明の永久磁石劣化センサは、超磁歪材料からなる変形部材と変形検知手段とを有する。このうち、永久磁石の近傍など、その位置における磁界の強さが永久磁石の残留磁束密度の変化に影響される位置に変形部材が配置されると、超磁歪材料からなる変形部材は、磁界の強さに応じて変形する。
一般にロータが回転すると、電磁石で形成される磁束により、変形部材の配置位置における磁界に強さが変動するため、超磁歪材料からなる変形部材は、それに応じて伸縮等の周期的な変形を生じる。そのほか、永久磁石の温度上昇により、永久磁石の残留磁束密度が減少するので、磁界の強さが永久磁石の温度上昇と共に徐々にシフトするため、超磁歪材料からなる変形部材も、周期的な変形をしつつ、変位量が徐々にドリフトする。
【0012】
従って、変位量のドリフトの大きさが所定の値を超えた場合、あるいは、変位量のドリフトにより、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような小さなあるいは大きな変位量の出力が周期的に得られた場合や、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような範囲で変位量が変動する
場合などには、永久磁石の温度が上がりすぎて、特性劣化(減磁)を生じる虞れがあると判断できる。かくして、永久磁石の特性劣化を検知することができる。
しかも、変形部材の変位量のドリフトは、永久磁石の温度上昇に伴う特性変化に対応して生じる。このため、従来技術のようにステータの温度から永久磁石の温度を推定する場合よりも、正確に、且つ早い応答で永久磁石の温度や特定劣化を検知することができる。
かくして、このセンサを用いれば、永久磁石の特性劣化(減磁)をより早く検知し、警告を行ったり、特性劣化の起こらない範囲でこのモータを動作させるように、モータ駆動の制御を行うことができる。
【0013】
なお、変形部材をなす超磁歪材料としては、Tb−Dy−Feなどの材料が挙げられる。また、変形部材の変位を測定する変位検知手段としては、変形部材の変位を検知できるものであればいずれのものでも良いが、レーザ変位計や静電容量式変位計などの非接触式変位計が挙げられる。また、変形部材をその変形の方向(例えば伸縮方向)に付勢するバネなどの弾性部材と、弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサによって構成しても良い。
【0014】
さらに、上記永久磁石劣化センサであって、前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである永久磁石劣化センサとすると良い。
【0015】
非接触型変位センサで変形部材の変形を検知するので、ロータが回転して振動等の生じやすいモータにおいても適切に変形を検知することができる。また、変形部材や変形検知手段の配置の自由度が大きい。
【0016】
さらに、上記永久磁石劣化センサであって、前記変形検知手段は、前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える永久磁石劣化センサとすると良い。
【0017】
変形検知手段は、変形部材をその変形方向(例えば伸縮方向)に付勢する弾性部材を有する。例えば、変形部材をその変形方向に押圧したり、引っ張ったりする弾性部材を有する。このため、磁界の変化によって、変形部材が変形すると、弾性部材の付勢力が変化する。この付勢力の変化を荷重センサで検知すれば、変位部材の変位、さらには永久磁石の温度変化や特性劣化の程度を知ることができる。
この変形検知手段は、バネ等の弾性部材と歪みゲージなどを用いた荷重センサを用いれば構成できるから、安価に構成することができる。
なお、弾性部材としては、変形部材を永久磁石の残留磁束密度の変化によって生じる変形の方向に付勢可能な弾性部材で有ればよく、例えば、バネやゴムなどを用いることができる。さらに、具体的には、例えば、軸方向に伸縮する棒状の変形部材に対し、この棒状の変形部材と同軸に配置されたコイルバネであって、その軸方向に圧縮あるいは伸長されることによって、変形部材を付勢するコイルバネが挙げられる。
また、荷重センサとしては、弾性部材の持つ付勢力を適切に検知できる荷重センサであればいずれのものでも良いが、例えば、歪みゲージを用いた荷重センサが挙げられる。
【0018】
他の解決手段は、ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータであって、超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、を備える永久磁石モータである。
【0019】
本発明の永久磁石モータは、超磁歪材料からなる変形部材と変形検知手段とを有する。このうち変形部材は、永久磁石の近傍など、その位置における磁界の強さが永久磁石の残留磁束密度の変化に影響される位置に配置されているので、超磁歪材料からなる変形部材は、磁界の強さに応じて変形する。
一般にロータが回転すると、電磁石で形成される磁束により、変形部材の配置位置における磁界に強さが変動するため、超磁歪材料からなる変形部材は、それに応じて伸縮等の周期的な変形を生じる。そのほか、永久磁石の温度上昇により、永久磁石の残留磁束密度が減少するので、磁界の強さが永久磁石の温度上昇と共に徐々にシフトするため、超磁歪材料からなる変形部材も、周期的な変形をしつつ、変位量が徐々にドリフトする。
【0020】
従って、変位量のドリフトの大きさが所定の値を超えた場合、あるいは、変位量のドリフトにより、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような大きな変位量の出力が周期的に得られた場合や、ドリフトが生じないと仮定した場合には得られないような範囲で変位量が変動した場合などには、永久磁石の温度が上がりすぎて、特性劣化(減磁)を生じる虞れがあると判断できる。かくして、永久磁石の特性劣化や温度上昇を検知することができる。
しかも、変形部材の変位量のドリフトは、永久磁石の温度上昇に伴う特性変化に対応して生じる。このため、従来技術のようにステータの温度から永久磁石の温度を推定する場合よりも、正確に、且つ早い応答で永久磁石の温度上昇や特定劣化を検知することができる。
かくして、このモータでは、永久磁石の特性劣化(減磁)をより早く検知し、警告を行ったり、特性劣化の起こらない範囲でこのモータを動作させるように、モータ駆動の制御を行うことができる。
【0021】
なお、変形部材の配置位置は、永久磁石の近傍とは限らず、永久磁石の残留磁束密度が変化することによって、その位置における磁界の強さが変化するような位置であればよい。但し、永久磁石の近傍が特に好ましい。他の永久磁石や電機子による影響が少なくなるため、その永久磁石の温度変化をより適切に検知できるからである。具体的には、例えば、一方面をN極、他方面をS極とした板状の永久磁石において、その一方面及び他方面に直交する側面に沿って棒状の変形部材を配置する場合などが挙げられる。
【0022】
さらに、上記永久磁石モータであって、
前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである永久磁石モータとすると良い。
【0023】
本発明のモータでは、非接触型変位センサで変形部材の変形を検知するので、ロータが回転して振動が発生しても、適切に変形を検知することができる。また、非接触であるため、変形部材や変形検知手段の配置の自由度が大きい。
【0024】
さらに、上記永久磁石モータであって、前記変形検知手段は、前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える永久磁石モータとすると良い。
【0025】
本発明のモータでは、変形検知手段は、変形部材をその変形方向に付勢する弾性部材を有する。例えば、変形部材をその変形方向に押圧したり、引っ張ったりする弾性部材を有する。このため、磁界の変化によって、変形部材が変形すると、弾性部材の付勢力が変化する。この付勢力の変化を荷重センサで検知すれば、変位部材の変位、さらには永久磁石の温度変化や特性劣化の程度を検知できる。
また、この変形検知手段は、バネ等の弾性部材と歪みゲージなどを用いた荷重センサや歪みセンサとを用いれば構成できるから、安価に構成することができる。
【0026】
さらに、上記いずれか1項に記載の永久磁石モータであって、前記複数の永久磁石が、前記ロータに配置されてなり、前記変形部材も、上記ロータに配置されてなる永久磁石モータとすると良い。
【0027】
ロータに永久磁石を配置した永久磁石モータでは、ロータの回転と共に永久磁石も回転するため、このように回転している状態で永久磁石の特性劣化や温度変化を測定するのは困難であった。
本発明では、測定しにくいロータ内の永久磁石の特性劣化や温度変化を、変形部材の変形の大きさに変換しているので、ロータ内で変形部材の変形を測定する、あるいは、外部から非接触で変形部材の変形を測定するなどをすれば足りるから、測定容易である。
【0028】
さらに、上記永久磁石モータであって、前記変形検知手段も、前記ロータに配置されてなり、上記変形検知手段からの出力信号を外部に送り出す信号送出機構を備える永久磁石モータとすると良い。
【0029】
本発明のモータでは、変形検知手段もロータに配置されてなるが、信号送出機構を備えるので、変形検知手段からの出力信号を外部に送り出すことができ、この出力信号を用いて、永久磁石の昇温警告や運転停止等の処置を執ることができる。
なお、信号送出機構としては、ロータを挿通するシャフトの回りに設けた整流子と、これに接触するブラシとが挙げられる。また、シャフトの回りに設けたスリップリングを用いることもできる。
また、変形検知手段の性質によっては、信号送出機構と同様な機構を用いて、外部から変形検知手段の駆動に要する電力を供給することもできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1及び図2に示すモータ1は、ステータ2、ロータ3、及びロータ3を挿通するシャフト4を有する。このうち、ステータ2は、12ヶの内歯部22を有し多数の電磁鋼板を積層してなるステータコア21と、各々の内歯部22に導線を巻回してなる12ヶのステータコイル23(図1では図示しない。図2参照)とを有する。
【0031】
一方、ロータ3は、多数の電磁鋼板を積層してなる、リング状のロータコア31を有する。ロータコア31のうち周縁近傍には、等角度間隔(所定の周方向ピッチ)に配置され、シャフト4の軸線4Xに沿う方向(図2中上下方向)にこのロータコア31を貫通する8ヶのスロット31Sが形成されており、このスロット31S内にその板圧方向に着磁された板状の永久磁石32が挿入、固定されている。さらに、このスロット31S内で永久磁石32の側方には、超磁歪材料(例えばTb−Dy−Fe)からなる円筒状の超磁歪素子5が挿入され、固定されている。永久磁石32及びステータコイル23は、この超磁歪素子5の配置位置に磁界を生じさせる。この超磁歪素子5は、図3に示す特性を有しており、外部磁界が掛かると伸縮する。その歪み量(磁歪量)は外部磁界の強さに応じて変化し、外部磁界Hが30kA/mのときには、磁歪量△Lは40μmに達する。従って、永久磁石32による磁界が掛かると、超磁歪素子5はその軸方向(図2中、上下方向)伸びる。また、ロータ3の回転により、ステータコイル23による磁界(弱め磁界)が周期的に掛かると、超磁歪素子5はそれに応じて、その軸方向(図2中、上下方向)に伸縮する。
【0032】
また、このロータコア31を挟むようにロータエンドプレート33,34が配置されている。ロータコア31及びロータエンドプレート33,34は、シャフト4に圧入され、それらの内周面31N,33N,34Nがシャフト4の外周に密着することによって、各々シャフト4に固定されている。
ロータエンドプレート33には、上述の超磁歪素子5の変位(磁歪量)△Lを測定するため、レーザ式の非接触変位センサ6を固定するための固定孔33Cが形成されている。超磁歪素子5は下端5Dがロータエンドプレート34に固定されているので、外部磁界Hの変化による磁歪量△Lの変化は、上端5Uに現れる。従って、非接触変位センサ6で上端5Uの変位を測定することで、磁歪量△Lを測定することができる。
また、シャフト4には、整流子41が装着されており、非接触変位センサ6からの変位信号6SGは、信号線61を通じて整流子41に伝えられ、ブラシ42を通じて外部に取り出される。なお、非接触変位センサ6を駆動する電力は、これとは逆に、別途、ブラシ及び整流子を通じて外部から供給される。
【0033】
次いで、このモータ1における永久磁石32の特性劣化や温度計測について、図4、図5を参照して説明する。上述したように、超磁歪素子5は、永久磁石32が発生する磁束によって伸びている。また、超磁歪素子5は、ステータコイル23によって発生する弱め磁界にも影響を受ける。但し、超磁歪素子5に対するステータコイル23による弱め磁界の影響は、ロータ3の回転と共に変化する。即ち、図4(a)において左側に示すように、永久磁石32とステータ2の内歯部22及びステータコア23とが正対する場合には、永久磁石32の発生する磁界が大きく弱められて、超磁歪素子5にかかる外部磁界の大きさは小さくなる。一方、図4(a)において右側に示すように、永久磁石32に対して、内歯部22及びステータコア23がずれた位置にある場合には、弱め磁界の影響を受けず、永久磁石32で発生する磁界は弱められないので、超磁歪素子5に掛かる外部磁界の大きさが大きくなる。このように、ロータ3の回転によって、超磁歪素子5が受ける外部磁界に強さが周期的に変化するため、図4(b)に示すように、超磁歪素子5の磁歪量△Lも周期的に変化する。
そこで、この磁歪量△Lを非接触変位センサ6で計測すると、図5に示すように、出力電圧Vが2〜4Vの範囲で変化する。
【0034】
ところで、永久磁石32の温度が高くなると、さらには、永久磁石32の特性劣化が生じると、永久磁石32で発生する磁界の強さが徐々に低下する。すると、永久磁石32による磁界によって超磁歪素子5の伸びている磁歪量△Lが徐々に小さくなる。従って、図4(a)において破線で示すように、超磁歪素子5で受ける外部磁界の強さが全体的に低下するので、図4(b)において破線で示すように、超磁歪素子5の磁歪量△Lも全体的に低下する(ドリフトする)。
すると、図5に破線で示すように、非接触変位センサ6では、出力電圧Vが1.5〜3.5Vの範囲で変化するようになる。このように、永久磁石32の温度が上昇し、さらには、その特性が劣化して残留磁束密度が低下すると、非接触変位センサ6における出力も徐々に低下する。
【0035】
そこで、永久磁石32の特性に応じ、例えば、磁歪量△L=10μm以下、非接触変位センサ6の出力電圧V=1V以下となった場合、具体的には、周期的にV=1V以下となる場合には、永久磁石32の特性劣化が生じ始めたと解して、モータ1の駆動パターン(ステータコイル23に流すコイル電流の大きさや位相など)を変化させ、弱め界磁によるこれ以上の永久磁石32の特性劣化を防ぐようにすることができる。
また、出力電圧Vが周期的に所定の値(例えば1.2V)よりも小さな値となる場合には、永久磁石32の温度が上がりすぎていると解して、同様に、モータ1の駆動パターンを変化させ、温度上昇による永久磁石32の熱減磁を防ぐようにすることもできる。逆に、出力電圧から、永久磁石32の温度を推定し、この温度で制御することもできる。
【0036】
(実施形態2)
次いで、本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。上述した実施形態1では、超磁歪素子5を永久磁石32に隣接して配置、固定し、超磁歪素子5の磁歪量△Lを、非接触変位センサ6によって検知した。これに対し、本実施形態2では、超磁歪素子51の磁歪量△Lをコイルバネ72によって荷重に変換し、これを荷重センサ73で測定することにより、磁歪量△Lを間接的に計測することで、超磁歪素子5の磁歪量△L、さらには、永久磁石32の特性劣化や温度を推定する点で異なる。しかし残余の点は、実施形態1と同様であるので、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については、記載を省略あるいは簡略化する。
【0037】
本実施形態2にかかるモータ11は、実施形態1に記載のモータ1とほぼ同様の、内歯形状のステータ2及び永久磁石32が周縁近傍に配置されたロータ3を有する(図1参照)。但し、本実施形態2では、変位センサ6は用いない。以降は、図6に示す本実施形態2にかかるモータ11の要部について説明する。
【0038】
本実施形態2では、永久磁石32の側部に、変位−荷重変換機構7を配置する(図1参照)。具体的には、永久磁石32の側部に超磁歪素子51とコイルバネ72を非磁性材(具体的にはアルミニウム)からなる非磁性体管71内に挿入し、さらに荷重センサ73を挿入し、コイルバネ72に当接させる。ロータエンドプレート35に形成したボルト孔35Cに挿通したボルト74により、荷重センサ73を軸方向(図6中、下方向)に押圧する。これにより、超磁歪素子51が、コイルバネ72を通じて押圧される。
【0039】
前述した実施形態1と同様にして、超磁歪素子51が伸縮すると、コイルバネ72が伸縮し、それに応じて、荷重センサ73にかかる荷重が変化する。従って、この荷重センサ73の出力は、超磁歪素子51の変位に応じて変化する。
なお、非磁性体管71は、超磁歪素子51、コイルバネ72、及び荷重センサ73を整列させるための管であり、磁界に影響を与えないため、非磁性材料から構成されている。
【0040】
荷重センサ73からの出力は、信号線731を通じて、実施形態1と同様、シャフト4に装着された整流子41に伝えられ、さらに、ブラシ42を通じて外部に取り出される。なお、荷重センサ73を駆動する電力は、これとは逆に、別途、ブラシ及び整流子を通じて外部から供給される。
【0041】
この実施形態2においても、超磁歪素子51は、永久磁石32が発生する磁束によって伸びている。また、超磁歪素子51は、ステータコイル23によって発生する弱め磁界にも影響を受ける。但し、超磁歪素子51に対するステータコイル23による弱め磁界の影響は、ロータ3の回転と共に周期的に変化するため、超磁歪素子51の磁歪量△Lも周期的に変化する(図4(a)参照)。そこで、この磁歪量△Lに対応する荷重を荷重センサ73で計測すると、所定範囲で変化する。
【0042】
これに対し、永久磁石32の温度が高くなると、さらには、永久磁石32の特性劣化が生じると、永久磁石32で発生する磁界の強さが低下するので、永久磁石32による磁界によって超磁歪素子51の伸びている磁歪量△Lが小さくなる。従って、超磁歪素子51で受ける外部磁界の強さが全体的に低下するので、超磁歪素子51の磁歪量△Lも全体的に低下する(図4(a)の破線参照)。
すると、これに対応する荷重も変化するので、荷重センサ73の出力範囲が変化(低下)する。
【0043】
そこで、例えば、荷重センサ73の出力が周期的に所定値以下となる場合には、永久磁石32の特性劣化が生じ始めたと解して、モータ1の駆動パターン(ステータコイル23に流すコイル電流の大きさや位相など)を変化させ、弱め界磁によるこれ以上の永久磁石32の特性劣化を防ぐようにすることができる。
同様に、荷重センサ73の出力が周期的に他の所定値以下となる場合には、永久磁石32の温度が上がりすぎていると解して、同様に、モータ1の駆動パターンを変化させ、温度上昇による永久磁石32の熱減磁を防ぐようにすることもできる。
逆に、出力電圧から、永久磁石32の温度を推定することもできる。この場合には、荷重センサ73の出力から、永久磁石32の温度を推定し、この温度で制御することもできる。
なお、コイルバネ72にも、銅系金属などの非磁性材を用いるのが好ましい。
【0044】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態1,2では、周期的に変動する変位センサ6の出力あるいは荷重センサ72の出力を持ち、これらが所定値を周期的に下回る場合に、永久磁石32の特性劣化が生じ始めていると判断した。しかし、変位センサ6や荷重センサ72の出力を時間的に平均し、あるいは積分して、直流成分である永久磁石32が発生する磁界による超磁歪素子5,51の磁歪量のみを取り出し、これを用いて、永久磁石32の特性劣化が生じ始めているか否か、あるいは永久磁石の温度について、判断をするようにしても良い。
【0045】
さらに、実施形態1においては、非接触変位センサ6として、レーザ式変位計を用いたが、超磁歪素子5の変位(磁歪量△L)を測定できるものであれば良く、静電容量式、超音波式など、各種の測定方式による変位計を採用することができる。
また、実施形態1,2においては、超磁歪素子5,51は、棒状形状を有し、その軸方向に伸縮した変位(磁歪量)を計測し、あるい荷重に変換した。しかし、超磁歪素子の他方向への変形(径方向への変形)を用いたり、超磁歪素子を他の形状(例えば、円板状、弓状)に成形し、径方向への変形や屈曲変形などを用いることもできる。
【0046】
また、実施形態1においては、非接触変位センサ6を回転するロータ3(ロータエンドプレート3に固定し、変位センサ6からの変位信号6SGを、信号送出機構である整流子41及びブラシ42を用いて外部に取り出した。しかし、これ以外に機構を用いることもでき、例えば、スリップリングを用いることもできる。また、無線通信あるいは光通信によって出力を外部に取り出すこともできる。
また、変位センサ6を回転しない部材に取り付け、別途シャフトに取り付けたレゾルバなどにより回転角を検出して、超磁歪素子5の変位量をロータ3の回転に同期して計測するようにすることもできる。このようにすると、変位センサ6からの変位出力を容易に得ることができる利点がある。
また、上記実施形態1,2では、永久磁石32がロータ3に配置形成されたタイプのモータ1,11について説明したが、ステータに永久磁石を配置したモータについても、本発明を適用することができる。この場合には、変位センサや荷重センサの出力を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1,2にかかるモータの概要を説明する説明図であり、シャフトの軸線方向からステータ及びロータを見た状態を示す。但し、ロータはエンドプレートを外した状態であり、ステータは内歯に巻いたコイルを省略した状態について示す。
【図2】実施形態1にかかるモータのO−A縦断面図である。
【図3】超磁歪素子の特性を示し、加えられた磁界と発生する変位との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は、ステータの磁極とロータの永久磁石との位置関係と、超磁歪素子が受ける磁束密度の関係を示す説明図であり、(b)は超磁歪素子の磁歪量を示す説明図である。
【図5】実施形態1にかかり、超磁歪素子の磁歪量と変位計の出力電圧との関係を示す説明図である。
【図6】実施形態2にかかるモータの概要を説明する説明である。
【符号の説明】
1,11 モータ
2 ステータ
21 ステータコア
22 内歯部
23 ステータコイル
3 ロータ
31 ロータコア
32 永久磁石
33,34,35 ロータエンドプレート
33C 固定孔
35C ボルト孔
4 シャフト
4X (シャフトの)軸線
41 整流子
42 ブラシ
5,51 超磁歪素子(変形部材)
5D 下端
5U 上端
6 非接触型変位センサ(変位検知手段)
61 信号線
6SG 変位信号
7 変位−荷重変換機構
71 非磁性体管
72 コイルバネ(弾性部材)
73 荷重センサ(変位検知手段)
731 信号線
74 ボルト
Claims (8)
- ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータにおける上記永久磁石の劣化を検知する永久磁石劣化センサであって、
超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、
上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、
を備える永久磁石劣化センサ。 - 請求項1に記載の永久磁石劣化センサであって、
前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである
永久磁石劣化センサ。 - 請求項1に記載の永久磁石劣化センサであって、
前記変形検知手段は、
前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、
上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える
永久磁石劣化センサ。 - ステータ、及びロータを有し、上記ステータ及びロータのいずれかに所定の周方向ピッチで配置された複数の永久磁石を備えるモータであって、
超磁歪材料からなり磁界の強さに応じて変形する変形部材であって、その配置位置における磁界の強さが、上記複数の永久磁石のうち少なくともいずれかの永久磁石の有する残留磁束密度の変化に影響される位置に配置された変形部材と、
上記変形部材の変形を検知する変形検知手段と、
を備える永久磁石モータ。 - 請求項4に記載の永久磁石モータであって、
前記変形検知手段は、前記変形部材の変形を非接触で検知する非接触型変位センサである
永久磁石モータ。 - 請求項4に記載の永久磁石モータであって、
前記変形検知手段は、
前記変形部材を前記変形の方向に付勢する弾性部材と、
上記弾性部材の付勢力の変化を検知する荷重センサと、を備える
永久磁石モータ。 - 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石モータであって、
前記複数の永久磁石が、前記ロータに配置されてなり、
前記変形部材も、上記ロータに配置されてなる
永久磁石モータ。 - 請求項7に記載の永久磁石モータであって、
前記変形検知手段も、前記ロータに配置されてなり、
上記変形検知手段からの出力信号を外部に送り出す信号送出機構を備える
永久磁石モータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003015722A JP2004229436A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 永久磁石劣化センサ、永久磁石モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003015722A JP2004229436A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 永久磁石劣化センサ、永久磁石モータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004229436A true JP2004229436A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32903387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003015722A Pending JP2004229436A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 永久磁石劣化センサ、永久磁石モータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004229436A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015002155A1 (ja) * | 2013-07-03 | 2015-01-08 | 日産自動車株式会社 | 磁石温度推定装置および磁石温度推定方法 |
JP2015091139A (ja) * | 2013-11-04 | 2015-05-11 | 株式会社ジェイテクト | 回転電機用ロータおよびその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-24 JP JP2003015722A patent/JP2004229436A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
WO2015002155A1 (ja) * | 2013-07-03 | 2015-01-08 | 日産自動車株式会社 | 磁石温度推定装置および磁石温度推定方法 |
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