JP2004229106A - 傾動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モニターテレビのディスプレイ装置を台部に対して起倒可能に支持する際に、液晶ディスプレイ装置の使用角度範囲におけるフリクショントルクと、それ以外の時の傾斜角度におけるフリクショントルクと異ならしめた傾動装置を提供する。
【解決手段】モニターテレビのディスプレイ装置のような被傾動体を台部に対して傾動させる傾動装置であって、この傾動装置を、シャフト3と、このシャフト3に対し回動可能に取り付けたブラケットと、このブラケット4と前記シャフトの間に設けたフリクション機構5とから成るフリクションヒンジBで構成し、このフリクション機構5を前記ディスプレイ装置の使用時における通常のフリクショントルクと、前記ディスプレイ装置の梱包時における強いフリクショントルクとを2段階に分けて創出できるように構成することにより、前記モニターテレビの搬送時における安全性を高める。
【選択図】 図3
【解決手段】モニターテレビのディスプレイ装置のような被傾動体を台部に対して傾動させる傾動装置であって、この傾動装置を、シャフト3と、このシャフト3に対し回動可能に取り付けたブラケットと、このブラケット4と前記シャフトの間に設けたフリクション機構5とから成るフリクションヒンジBで構成し、このフリクション機構5を前記ディスプレイ装置の使用時における通常のフリクショントルクと、前記ディスプレイ装置の梱包時における強いフリクショントルクとを2段階に分けて創出できるように構成することにより、前記モニターテレビの搬送時における安全性を高める。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶テレビやモニターテレビ或は液晶表示パネルやプラズマテレビのような被傾動体を台部に対してディスプレイ装置を角度調節する際に用いて好適な傾動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の傾動装置として、以下の公知文献に示されたものが公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2000−249133号公開特許公報
【特許文献2】特開2000−257324号公開特許公報
【0004】
これらの公知構成の傾動装置は、いずれもディスプレイ装置の使用角度において必要な回転トルクを創出するトーションスプリングを用いているため使用角度以外の傾斜角度ではトーションスプリングの回転トルクが大きすぎてディスプレイ装置を台部に対して安定的に停止保持させておくことができなかった。
【0005】
また、フリクション機構はディスプレイ装置のどの傾斜角度においても一定の回転トルクを創出する構成のものであり、ディスプレイ装置の傾斜角度によって回転トルクを変化させる構成のものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶ディスプレイ装置を採用したとくにモニターテレビは、運搬時に梱包体積を少なくするために、該液晶ディスプレイ装置を台部に対して90°折り曲げた状態で梱包することが求められており、傾動装置自体が液晶ディスプレイ装置を台部に対して90°折り曲げた状態で安定的にロック保持させる機能を有することが求められている。
【0007】
この発明の目的は、モニターテレビのディスプレイ装置を台部に対して起倒可能に支持する際に、液晶ディスプレイ装置の使用角度範囲におけるフリクショントルクと、それ以外の時の傾斜角度におけるフリクショントルクと異ならしめた傾動装置を提供せんとするにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明は、モニターテレビのディスプレイ装置のような被傾動体を台部に対して傾動させる傾動装置であって、この傾動装置を、シャフトと、このシャフトに対し回動可能に取り付けたブラケットと、このブラケットと前記シャフトの間に設けたフリクション機構とから成るフリクションヒンジで構成し、このフリクション機構を前記ディスプレイ装置の使用時における通常のフリクショントルクと、前記ディスプレイ装置の梱包時における強いフリクショントルクとを2段階に分けて創出できるように構成することにより、前記モニターテレビの搬送時における安全性を高めたことを特徴とする。
【0009】
その際にこの発明は、前記フリクション機構を、前記ブラケットの一方の側に圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた第1固定フリクションワッシャーと、前記ブラケットの他方の側に取り付けた外周に切欠部を設けて成る回転フリクションワッシャーと、この回転フリクションワッシャーに圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた前記回転フリクションワッシャーの回転角度によって前記切欠部に嵌入する状態を離脱して前記回転フリクションワッシャーと圧接する状態を形成するフリクション凸部を有する第2固定ワッシャーを有するもので構成するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面はこの発明の一実施の形態を示し、図1において指示記号Aは被傾動体の一例としてのモニターテレビ、指示記号1のものはこのモニターテレビAの液晶ディスプレイ装置から成るディスプレイ装置であり、指示記号2のものはこのディスプレイ装置1を支える台部である。この発明に係るモニターテレビの傾動装置は、液晶ディスプレイ装置から成るディスプレイ装置1を台部2に対し起倒或は傾動可能に連結するものであって、図2に示したように、左右一対のフリクションヒンジB,Cから構成されるものである。
【0011】
この左右一対のフリクションヒンジB,Cは、左右対称のものであるので、以下左側のフリクションヒンジBの構成について説明する。
【0012】
図面によれば、とくに図1乃至図2において、台部2上にはシャフト3が取り付けられており、このシャフト3に回動可能にブラケット4が取り付けられ、このブラケット4にディスプレイ装置1が取り付けられている。
【0013】
シャフト3は、図2乃至図7に示したように、台部2上に固着する断面略半円形状を呈した大径の取付部3aと、ブラケット4及びフリクション機構5を設けた中径の変形軸部3bと小径の変形軸部3cとから成り、小径の変形軸部3cの自由端側には雄ネジ部3dが設けられている。中径の変形軸部3bには、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔6aを係合挿通させて縁部にストッパー片6bを曲設したストッパーワッシャー6が取り付けられており、以下順次左側へ第1固定フリクションワッシャー7、ブラケット4、このブラケットに固定された回転フリクションワッシャー8、第2固定フリクションワッシャー9、複数の皿ばね10、押え用ワッシャー11の順で、各々の変形挿通孔7a、円形挿通孔4a、円形挿通孔8a、変形挿通孔9a、複数の円形挿通孔10a、及び変形挿通孔11aにシャフト3の小径の変形軸部3cを挿通させつつ配設されている。
【0014】
そして、シャフト3の雄ネジ部3dには、締付ナット12が捻子着され、皿ばね10を介してブラケット4の側と回転フリクションワッシャー8の一側に、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9を押圧させている。
【0015】
即ち、回転フリクションワッシャー8は、ブラケット4側に円形挿通孔4aを挟んで設けたボス部4b,4bに係合孔8b,8bを嵌合させることにより該ブラケット4と一体化されており、ブラケット4と共に回転するが、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9は、シャフト3の小径の変形軸部3cを各々の変形挿通孔へ通すことによって係合固定されているため、ブラケット4と共に回転しない。
【0016】
尤も、ここのところは、ボス部を第2固定フリクションワッシャー9に設け、係合孔をブラケット4側に設けても良い。さらにブラケット4を台部2上へ固定し、シャフト3側へディスプレイ装置1を取り付けた場合には、ブラケット4と回転フリクションワッシャー8は非回転となり、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9は回転することになる。したがって、このような場合には、回転フリクションワッシャー8を回転フリクションワッシャーと読み替え、第1及び第2固定フリクションワッシャー7,9を、第1及び第2回転フリクションワッシャーと読み替えることになる。
【0017】
回転フリクションワッシャー8の外周には、幅の広い切欠部8c,8cと幅の狭い切欠部8d,8dが互いに対向位置に180°間隔で一対ずつ設けられており、第2固定フリクションワッシャー9の方には、この切欠部8c,8c・8d,8dに嵌り込む位置に一対のフリクション凸部9c,9cを有する突片9b,9bが設けられている。
【0018】
そして、第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cは、ブラケット4に取り付けたディスプレイ装置1が、台部2に対して直立した90°の位置から前方へ5°後方へ25°傾動する範囲において幅の広い切欠部8c,8cの中に位置し、25°からディスプレイ装置1がさらに後方へ倒されると、フリクション凸部9c,9cは回転フリクションワッシャー8の切欠部を設けないフリクション発生部8f,8fと圧接し、水平位置になると、今度は幅の狭い切欠部8d,8d内へ嵌り込むように構成されている。尚、ここのところは、幅の狭い切欠部を省略しても良い。
【0019】
尚、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9には、小径の孔又は切欠から成る油溜部7b,7b・9d,9dが設けられ、第1固定フリクションワッシャー7とブラケット4の圧接部、及び第2固定フリクションワッシャー9と回転フリクションワッシャー8の圧接部との間には、図示してないがグリスのような潤滑剤が塗布されている。
【0020】
さらに、ブラケット4の縁部には、ストッパーワッシャー6のストッパー片6bを嵌合させる切欠部4cが形成されている。
【0021】
したがって、図1に実線で示したように、モニターテレビAの使用時において、台部2に対しディスプレイ装置1を直立状態か、或は前後に若干傾動させる場合には、実施の形態のものは前傾角度は直立状態から5°まで、後傾角度は25°までの間は、ディスプレイ装置1と共に回動するブラケット4に固定された回転フリクションワッシャー8の幅の広い切欠部8c,8cの中に第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが位置しているので、通常のフリクショントルクが第1固定フリクションワッシャー7及びブラケット4の圧接摺動面と、回転フリクションワッシャー8及び第2固定フリクションワッシャー9の圧接摺動面との間に創出され、ディスプレイ装置1は、フリーストップに停止保持される。
【0022】
モニターテレビAを梱包すべく、ディスプレイ装置1を図1に想像線で示したように台部2に対し水平状態に倒すべく、25°からさらに後方へ傾けると、第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが、幅の広い切欠部8c,8cを脱して回転フリクションワッシャー8のフリクション発生部8f,8fと圧接状態となるので、強いフリクショントルクが発生するが、さらに後方へ押していくと、図1に想像線で示したように、台部2に対してディスプレイ装置1が水平状態になったところで、回転フリクションワッシャー8の幅の狭い切欠部8d,8dへ第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが嵌入することによって停止し、この水平位置よりディスプレイ装置1を上下方向へ回動させようとすると、フリクション凸部9c,9cが幅の狭い切欠部8d,8dより脱出する際の抵抗に遭遇するので、この水平位置で安定することになり、梱包して運搬中に台部2とディスプレイ装置1の位置がずれてしまうことはない。
【0023】
尚、ディスプレイ装置1は、液晶ディスプレイ装置に限定されず、プラズマテレビのプラズマディスプレイ装置、液晶テレビの液晶ディスプレイ装置を始めとする各種公知のディスプレイ装置や液晶表示パネルを被傾動体として含むものである。
【0024】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。
【0025】
請求項1のように構成すると、モニターテレビの使用時において、ディスプレイ装置を操作者が見やすい傾斜角度に安定停止保持させておくことができる上に、梱包時にはディスプレイ装置を台部に対して強いフリクショントルクを必要とする嵩張らない角度に傾斜させ、かつ、その傾斜位置で安定停止保持させておくことができるので、運搬時の揺れや振動でディスプレイ装置が台部に対して動いてしまうことにより、破損してしまうのを有効に防止することができるという効果を奏し得る。
【0026】
請求項2のように構成すると、モニターテレビの使用時には第2固定フリクションワッシャーのフリクション凸部が回転フリクションワッシャーに設けた幅の広い切欠部内に嵌入されていることから、ディスプレイ装置を台部に対し見易い角度で保持するだけの通常のフリクショントルクを創出し、梱包時には、第2固定ワッシャーのフリクション凸部が回転フリクションワッシャーに圧接したり、幅の狭い切欠部内に嵌入することによって強いフリクショントルクを創出したり、ロックされたりすることができるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る傾動装置を用いたモニターテレビを模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示したモニターテレビに用いている傾動装置の正面図である。
【図3】図2に示した傾動装置を構成するフリクションヒンジの拡大正面図である。
【図4】図3に示したフリクションヒンジの動作を説明する左側面図である。
【図5】図2に示したフリクションヒンジのフリクション機構を説明する縦断面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図3に対応し、図6の状態からブラケットを90°時計方向へ回転させた状態の説明図である。
【図8】図6の状態における各部材の位置を示す分解図である。
【図9】ストッパーワッシャーの側面図と正面図である。
【図10】第1固定フリクションワッシャーの側面図である。
【図11】押え用ワッシャーの側面図である。
【符号の説明】
A モニターテレビ
B フリクションヒンジ
C フリクションヒンジ
1 ディスプレイ装置
2 台部
3 シャフト
3a 取付部
3b 中径の変形軸部
3c 小径の変形軸部
3d 雄ネジ部
4 ブラケット
4a 円形挿通孔
4b ボス部
4c 切欠部
5 フリクション機構
6 ストッパーワッシャー
6a 変形挿通孔
6b ストッパー片
7 第1固定フリクションワッシャー
7a 変形挿通孔
7b 油溜部
8 回転フリクションワッシャー
8a 円形挿通孔
8b 係合孔
8c 切欠部
8d 切欠部
8e トルク挿通片
8f フリクション発生部
9 第2固定フリクションワッシャー
9a 変形挿通孔
9b 突片
9c フリクション凸部
9d 油溜部
10 皿ばね
10a 円形挿通孔
11 押え用ワッシャー
11a 変形挿通孔
12 締付ナット
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶テレビやモニターテレビ或は液晶表示パネルやプラズマテレビのような被傾動体を台部に対してディスプレイ装置を角度調節する際に用いて好適な傾動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の傾動装置として、以下の公知文献に示されたものが公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2000−249133号公開特許公報
【特許文献2】特開2000−257324号公開特許公報
【0004】
これらの公知構成の傾動装置は、いずれもディスプレイ装置の使用角度において必要な回転トルクを創出するトーションスプリングを用いているため使用角度以外の傾斜角度ではトーションスプリングの回転トルクが大きすぎてディスプレイ装置を台部に対して安定的に停止保持させておくことができなかった。
【0005】
また、フリクション機構はディスプレイ装置のどの傾斜角度においても一定の回転トルクを創出する構成のものであり、ディスプレイ装置の傾斜角度によって回転トルクを変化させる構成のものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶ディスプレイ装置を採用したとくにモニターテレビは、運搬時に梱包体積を少なくするために、該液晶ディスプレイ装置を台部に対して90°折り曲げた状態で梱包することが求められており、傾動装置自体が液晶ディスプレイ装置を台部に対して90°折り曲げた状態で安定的にロック保持させる機能を有することが求められている。
【0007】
この発明の目的は、モニターテレビのディスプレイ装置を台部に対して起倒可能に支持する際に、液晶ディスプレイ装置の使用角度範囲におけるフリクショントルクと、それ以外の時の傾斜角度におけるフリクショントルクと異ならしめた傾動装置を提供せんとするにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明は、モニターテレビのディスプレイ装置のような被傾動体を台部に対して傾動させる傾動装置であって、この傾動装置を、シャフトと、このシャフトに対し回動可能に取り付けたブラケットと、このブラケットと前記シャフトの間に設けたフリクション機構とから成るフリクションヒンジで構成し、このフリクション機構を前記ディスプレイ装置の使用時における通常のフリクショントルクと、前記ディスプレイ装置の梱包時における強いフリクショントルクとを2段階に分けて創出できるように構成することにより、前記モニターテレビの搬送時における安全性を高めたことを特徴とする。
【0009】
その際にこの発明は、前記フリクション機構を、前記ブラケットの一方の側に圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた第1固定フリクションワッシャーと、前記ブラケットの他方の側に取り付けた外周に切欠部を設けて成る回転フリクションワッシャーと、この回転フリクションワッシャーに圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた前記回転フリクションワッシャーの回転角度によって前記切欠部に嵌入する状態を離脱して前記回転フリクションワッシャーと圧接する状態を形成するフリクション凸部を有する第2固定ワッシャーを有するもので構成するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面はこの発明の一実施の形態を示し、図1において指示記号Aは被傾動体の一例としてのモニターテレビ、指示記号1のものはこのモニターテレビAの液晶ディスプレイ装置から成るディスプレイ装置であり、指示記号2のものはこのディスプレイ装置1を支える台部である。この発明に係るモニターテレビの傾動装置は、液晶ディスプレイ装置から成るディスプレイ装置1を台部2に対し起倒或は傾動可能に連結するものであって、図2に示したように、左右一対のフリクションヒンジB,Cから構成されるものである。
【0011】
この左右一対のフリクションヒンジB,Cは、左右対称のものであるので、以下左側のフリクションヒンジBの構成について説明する。
【0012】
図面によれば、とくに図1乃至図2において、台部2上にはシャフト3が取り付けられており、このシャフト3に回動可能にブラケット4が取り付けられ、このブラケット4にディスプレイ装置1が取り付けられている。
【0013】
シャフト3は、図2乃至図7に示したように、台部2上に固着する断面略半円形状を呈した大径の取付部3aと、ブラケット4及びフリクション機構5を設けた中径の変形軸部3bと小径の変形軸部3cとから成り、小径の変形軸部3cの自由端側には雄ネジ部3dが設けられている。中径の変形軸部3bには、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔6aを係合挿通させて縁部にストッパー片6bを曲設したストッパーワッシャー6が取り付けられており、以下順次左側へ第1固定フリクションワッシャー7、ブラケット4、このブラケットに固定された回転フリクションワッシャー8、第2固定フリクションワッシャー9、複数の皿ばね10、押え用ワッシャー11の順で、各々の変形挿通孔7a、円形挿通孔4a、円形挿通孔8a、変形挿通孔9a、複数の円形挿通孔10a、及び変形挿通孔11aにシャフト3の小径の変形軸部3cを挿通させつつ配設されている。
【0014】
そして、シャフト3の雄ネジ部3dには、締付ナット12が捻子着され、皿ばね10を介してブラケット4の側と回転フリクションワッシャー8の一側に、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9を押圧させている。
【0015】
即ち、回転フリクションワッシャー8は、ブラケット4側に円形挿通孔4aを挟んで設けたボス部4b,4bに係合孔8b,8bを嵌合させることにより該ブラケット4と一体化されており、ブラケット4と共に回転するが、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9は、シャフト3の小径の変形軸部3cを各々の変形挿通孔へ通すことによって係合固定されているため、ブラケット4と共に回転しない。
【0016】
尤も、ここのところは、ボス部を第2固定フリクションワッシャー9に設け、係合孔をブラケット4側に設けても良い。さらにブラケット4を台部2上へ固定し、シャフト3側へディスプレイ装置1を取り付けた場合には、ブラケット4と回転フリクションワッシャー8は非回転となり、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9は回転することになる。したがって、このような場合には、回転フリクションワッシャー8を回転フリクションワッシャーと読み替え、第1及び第2固定フリクションワッシャー7,9を、第1及び第2回転フリクションワッシャーと読み替えることになる。
【0017】
回転フリクションワッシャー8の外周には、幅の広い切欠部8c,8cと幅の狭い切欠部8d,8dが互いに対向位置に180°間隔で一対ずつ設けられており、第2固定フリクションワッシャー9の方には、この切欠部8c,8c・8d,8dに嵌り込む位置に一対のフリクション凸部9c,9cを有する突片9b,9bが設けられている。
【0018】
そして、第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cは、ブラケット4に取り付けたディスプレイ装置1が、台部2に対して直立した90°の位置から前方へ5°後方へ25°傾動する範囲において幅の広い切欠部8c,8cの中に位置し、25°からディスプレイ装置1がさらに後方へ倒されると、フリクション凸部9c,9cは回転フリクションワッシャー8の切欠部を設けないフリクション発生部8f,8fと圧接し、水平位置になると、今度は幅の狭い切欠部8d,8d内へ嵌り込むように構成されている。尚、ここのところは、幅の狭い切欠部を省略しても良い。
【0019】
尚、第1固定フリクションワッシャー7と第2固定フリクションワッシャー9には、小径の孔又は切欠から成る油溜部7b,7b・9d,9dが設けられ、第1固定フリクションワッシャー7とブラケット4の圧接部、及び第2固定フリクションワッシャー9と回転フリクションワッシャー8の圧接部との間には、図示してないがグリスのような潤滑剤が塗布されている。
【0020】
さらに、ブラケット4の縁部には、ストッパーワッシャー6のストッパー片6bを嵌合させる切欠部4cが形成されている。
【0021】
したがって、図1に実線で示したように、モニターテレビAの使用時において、台部2に対しディスプレイ装置1を直立状態か、或は前後に若干傾動させる場合には、実施の形態のものは前傾角度は直立状態から5°まで、後傾角度は25°までの間は、ディスプレイ装置1と共に回動するブラケット4に固定された回転フリクションワッシャー8の幅の広い切欠部8c,8cの中に第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが位置しているので、通常のフリクショントルクが第1固定フリクションワッシャー7及びブラケット4の圧接摺動面と、回転フリクションワッシャー8及び第2固定フリクションワッシャー9の圧接摺動面との間に創出され、ディスプレイ装置1は、フリーストップに停止保持される。
【0022】
モニターテレビAを梱包すべく、ディスプレイ装置1を図1に想像線で示したように台部2に対し水平状態に倒すべく、25°からさらに後方へ傾けると、第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが、幅の広い切欠部8c,8cを脱して回転フリクションワッシャー8のフリクション発生部8f,8fと圧接状態となるので、強いフリクショントルクが発生するが、さらに後方へ押していくと、図1に想像線で示したように、台部2に対してディスプレイ装置1が水平状態になったところで、回転フリクションワッシャー8の幅の狭い切欠部8d,8dへ第2固定フリクションワッシャー9のフリクション凸部9c,9cが嵌入することによって停止し、この水平位置よりディスプレイ装置1を上下方向へ回動させようとすると、フリクション凸部9c,9cが幅の狭い切欠部8d,8dより脱出する際の抵抗に遭遇するので、この水平位置で安定することになり、梱包して運搬中に台部2とディスプレイ装置1の位置がずれてしまうことはない。
【0023】
尚、ディスプレイ装置1は、液晶ディスプレイ装置に限定されず、プラズマテレビのプラズマディスプレイ装置、液晶テレビの液晶ディスプレイ装置を始めとする各種公知のディスプレイ装置や液晶表示パネルを被傾動体として含むものである。
【0024】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。
【0025】
請求項1のように構成すると、モニターテレビの使用時において、ディスプレイ装置を操作者が見やすい傾斜角度に安定停止保持させておくことができる上に、梱包時にはディスプレイ装置を台部に対して強いフリクショントルクを必要とする嵩張らない角度に傾斜させ、かつ、その傾斜位置で安定停止保持させておくことができるので、運搬時の揺れや振動でディスプレイ装置が台部に対して動いてしまうことにより、破損してしまうのを有効に防止することができるという効果を奏し得る。
【0026】
請求項2のように構成すると、モニターテレビの使用時には第2固定フリクションワッシャーのフリクション凸部が回転フリクションワッシャーに設けた幅の広い切欠部内に嵌入されていることから、ディスプレイ装置を台部に対し見易い角度で保持するだけの通常のフリクショントルクを創出し、梱包時には、第2固定ワッシャーのフリクション凸部が回転フリクションワッシャーに圧接したり、幅の狭い切欠部内に嵌入することによって強いフリクショントルクを創出したり、ロックされたりすることができるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る傾動装置を用いたモニターテレビを模式的に示す側面図である。
【図2】図1に示したモニターテレビに用いている傾動装置の正面図である。
【図3】図2に示した傾動装置を構成するフリクションヒンジの拡大正面図である。
【図4】図3に示したフリクションヒンジの動作を説明する左側面図である。
【図5】図2に示したフリクションヒンジのフリクション機構を説明する縦断面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図3に対応し、図6の状態からブラケットを90°時計方向へ回転させた状態の説明図である。
【図8】図6の状態における各部材の位置を示す分解図である。
【図9】ストッパーワッシャーの側面図と正面図である。
【図10】第1固定フリクションワッシャーの側面図である。
【図11】押え用ワッシャーの側面図である。
【符号の説明】
A モニターテレビ
B フリクションヒンジ
C フリクションヒンジ
1 ディスプレイ装置
2 台部
3 シャフト
3a 取付部
3b 中径の変形軸部
3c 小径の変形軸部
3d 雄ネジ部
4 ブラケット
4a 円形挿通孔
4b ボス部
4c 切欠部
5 フリクション機構
6 ストッパーワッシャー
6a 変形挿通孔
6b ストッパー片
7 第1固定フリクションワッシャー
7a 変形挿通孔
7b 油溜部
8 回転フリクションワッシャー
8a 円形挿通孔
8b 係合孔
8c 切欠部
8d 切欠部
8e トルク挿通片
8f フリクション発生部
9 第2固定フリクションワッシャー
9a 変形挿通孔
9b 突片
9c フリクション凸部
9d 油溜部
10 皿ばね
10a 円形挿通孔
11 押え用ワッシャー
11a 変形挿通孔
12 締付ナット
Claims (2)
- モニターテレビのディスプレイ装置のような被傾動体を台部に対して傾動させる傾動装置であって、この傾動装置を、シャフトと、このシャフトに対し回動可能に取り付けたブラケットと、このブラケットと前記シャフトの間に設けたフリクション機構とから成るフリクションヒンジで構成し、このフリクション機構を前記ディスプレイ装置の使用時における通常のフリクショントルクと、前記ディスプレイ装置の梱包時における強いフリクショントルクとを2段階に分けて創出できるように構成することにより、前記モニターテレビの搬送時における安全性を高めたことを特徴とする、傾動装置。
- 前記フリクション機構を、前記ブラケットの一方の側に圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた第1固定フリクションワッシャーと、前記ブラケットの他方の側に取り付けた外周に切欠部を設けて成る回転フリクションワッシャーと、この回転フリクションワッシャーに圧接させて前記シャフトに拘束させつつ設けた前記回転フリクションワッシャーの回転角度によって前記切欠部に嵌入する状態を離脱して前記回転フリクションワッシャーと圧接する状態を形成するフリクション凸部を有する第2固定ワッシャーを有するもので構成したことを特徴とする、請求項1に記載の傾動装置。
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