JP2004227861A - 軸状被加熱物の加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】軸状被加熱物Wの全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体10と、円筒状抵抗発熱体10をその周りから誘導加熱する誘導円形コイル20と、誘導円形コイル20を円筒状抵抗発熱体10に沿って連続的に移動させる移動機構30とを備えており、円筒状抵抗発熱体10を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイル20を用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構30を動作させ、これを通じて軸状被加熱物W上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軸状被加熱物を熱処理するのに利用される軸状被加熱物の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸状被加熱物を熱処理するに当たり、図5(A)に示すような基本構成を有する装置が使用される場合がある。図中Wは軸状被加熱物、80は軸状被加熱物Wの全体を加熱する多段ヒータ、90は多段ヒータ80を構成するヒータ81、82、83への電力量を各々調節するため電力調節部である。まず、ヒータ81、82、83の全てに交流を通電すると、軸状被加熱物Wの外表面が予備加熱される。このときの軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンは図5(B)に示す通りである。その後、ヒータ81、82、83に与える各電力をこの順番で順次最大に変化させると、軸状被加熱物Wの外表面上の最高ピーク点が順番に移行する。このときの軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンは図5(C)に示す通りである。このような過程を経て軸状被加熱物が熱処理される(関連する装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。)
【0003】
【特許文献1】
特開平6−69141号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒータ81、82、83を上下方向に並べた構造の多段ヒータ90を用いて軸状被加熱物Wを加熱している以上、ヒータ81、82、83に与える電力をこの順番に最大にしても、軸状被加熱物Wの表面上の最高温度点が図5(C)に示す通り軸方向に一定とはならずヒータ81、82、83のピッチ間隔に応じて波うつ形になる。即ち、軸状被加熱物W上の最高温度点を軸方向に連続的に推移させることが不可能であり、この点が軸状被加熱物Wに対して所望の熱処理を行う上で大きな問題となっている。
【0005】
本発明は上記した背景の下で創作されたものであり、その目的とするところは、従来装置に内在する問題を抜本的に解消することが可能な軸状被加熱物の加熱装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の軸状被加熱物の加熱装置は、軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルを円筒状抵抗発熱体に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構を動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっている。
【0007】
具体的には、軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱するカーボン製の円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体を不活性ガス又は減圧の下に置くために円筒状抵抗発熱体を収容する石英菅と、石英菅外に配置されており且つ円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルを円筒状抵抗発熱体及び石英菅に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構を動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成にすると良い。
【0008】
好ましくは、円筒状抵抗発熱体上における誘導円形コイル直下の誘導加熱領域の幅を狭くするためのシールドリングが誘導円形コイルの反移動方向側の付近に配設されており、移動機構を用いてシールドリングを円筒状抵抗発熱体に対して誘導円形コイルとともに相対移動させる構成にすることが望ましい。この場合、誘導円形コイルに対するシールドリングの位置関係が調整可能な構成にすることがより望ましい。
【0009】
本発明の別の軸状被加熱物の加熱装置は、軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルの反移動方向側の付近に配設され且つ円筒状抵抗発熱体に向けてその周りから冷却媒体を噴射する環状冷却ジャケットと、誘導円形コイル及び環状冷却ジャケットを円筒状抵抗発熱体に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構及び環状冷却ジャケットを動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっている。
【0010】
具体的には、円筒状抵抗発熱体として二珪化モリブデン製のものを用いるようにすると良い。
【0011】
好ましくは、環状冷却ジャケットは電磁シールドに適した素材を用いて作製されており、円筒状抵抗発熱体上における誘導円形コイル直下の誘導加熱領域の幅を狭くするためのシールドリングを兼ねるようにすることが望ましい。この場合、誘導円形コイルに対する環状冷却ジャケットの位置関係が調整可能な構成にすることがより望ましい。
【0012】
上記した軸状被加熱物の加熱装置の円筒状抵抗発熱体は、より好ましくは、放熱し易い箇所の付近の部分の厚みがそれ以外の部分に比べて薄くするようにすることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は第1の実施の形態を説明するための図であって、(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【0014】
第1の実施の形態に係る軸状被加熱物の加熱装置は図1に示すような構成となっている。同装置は、軸状被加熱物Wの全体をその周りから間接的に加熱するカーボン製の円筒状抵抗発熱体10と、円筒状抵抗発熱体10を不活性ガス(ここでは窒素ガス等を用いている)下に置くために円筒状抵抗発熱体10を収容する透明の石英菅1と、石英菅1外に配置されており且つ円筒状抵抗発熱体10をその周りから誘導加熱する誘導円形コイル20と、誘導円形コイル20を円筒状抵抗発熱体10及び石英菅1に沿って連続的に移動させる移動機構30とを備えている。最も特徴的であるのは、円筒状抵抗発熱体10を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイル20を用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構30を動作させ、これを通じて軸状被加熱物W上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる基本構成になっている点である。以下、各部の詳細について説明する。
【0015】
円筒状抵抗発熱体10は、軸状被加熱物Wに比べて大きな内径を有した円筒体であって、ここでは軸状被加熱物Wに比べて若干長いものが用いられている。円筒状抵抗発熱体10の外表面上の上端、下端付近には、商用周波数の単相電流を生成する電源50に接続するための給電端子11、12が設けられている。給電端子11、12は円筒状抵抗発熱体10の全体に均一した電流が流れるように図1中に示すように円筒状抵抗発熱体10の軸芯を基準とした対称位置に配置されている。
【0016】
円筒状抵抗発熱体10としてカーボン製のものを用いたのは、低温域から高温域にかけての電気的特性が優れており、誘導円形コイル20により誘導加熱が行われても何ら支障がないので、同装置には最も理想的な発熱体だからである。ここでは軸状被加熱物Wを1000℃以上の高温で熱処理することを想定しており、このような高温で大気中に置いたときには酸化して厚みが薄くなるとともに寿命が極端に短くなることから、ここでは石英菅1の中に配置している。石英菅1内には窒素等の不活性ガスが流されている。
【0017】
なお、石英菅1の内の空気を抜いて軸状被加熱物Wを減圧下で熱処理するようにしてもかまわない。また、円筒状抵抗発熱体10自体の材質や軸状被加熱物Wの熱処理温度との関係で、円筒状抵抗発熱体10が容易に酸化しないときには石英菅1を省略するようにしても良い。
【0018】
誘導円形コイル20は、円筒状抵抗発熱体10の外径に比べて少し大きな内径を有した環状体であって、ここでは銅製のパイプを円状に湾曲して作製されたものを用いている。移動機構30に連結された状態で、高周波電源30に電気接続されるとともに図外の冷却用配管に接続されている。冷却用配管を通じて供給された冷却水が誘導円形コイル20の内部を流通してその温度上昇が防止されている。
【0019】
移動機構30はボールネジ機構やモータが組み合わされたものであって、モータの回転運動をボールネジ機構により直線運動に変換し、誘導円形コイル20を図示矢印方向に移動させる構成となっている。
【0020】
高周波電源40は円筒状抵抗発熱体10を誘導加熱するための数十KHzの高周波電流を生成するインバータ電源であって、高周波電流を誘導円形コイル20に供給するようになっている。
【0021】
なお、移動機構30、高周波電源40及び電源50に対してシーケンス制御を行うシーケンサ等については図示省略されている。
【0022】
以下、同装置の動作について説明する。まず、円筒状抵抗発熱体10の内部に軸状被加熱物Wを配置する。この状態で、図外のスイッチがオンにされると、電源50が動作する。この結果、円筒状抵抗発熱体10が通電され発熱し(直接抵抗加熱)、円筒状抵抗発熱体10の輻射により軸状被加熱物10が加熱される(間接抵抗加熱)。即ち、軸状被加熱物10の予備加熱が行われる。このときの軸状被加熱物10の温度をT1(図1(B)参照)とし、円筒状抵抗発熱体10の温度をT1’(T1’>T1)とする。
【0023】
円筒状抵抗発熱体10に通電してから所定時間経過後に高周波電源40が動作する。この結果、誘導円形コイル20に高周波電流が供給され、円筒状抵抗発熱体10のうち誘導円形コイル20に対向した部分の周辺が誘導加熱される。このときの軸状被加熱物10の当該部分の周辺の温度をT2(T2>T1)とし(図1(B)参照。)、円筒状抵抗発熱体10の当該部分の周辺の温度をT2’(T2’>T2)とする。このように円筒状抵抗発熱体10を予め直接抵抗加熱したときの温度T1’に比べて高い温度(T2’)に誘導円形コイル20により部分的に誘導加熱される。
【0024】
その後、誘導円形コイル20に高周波電流が供給された状態で、高周波電源40が動作してから所定時間経過後に移動機構30が動作する。この結果、誘導円形コイル20が円筒状抵抗発熱体10に沿って図示矢印の方向に連続的に移動する。すると、円筒状抵抗発熱体10上の最高温度領域(温度T2’)が軸方向に連続的に推移する。これに伴って、軸状被加熱物Wの最高温度領域(温度T2)が軸方向に連続的に推移する。よって、軸状被加熱物Wに対して所望の熱処理(を行うことが可能になる。ここでいう熱処理として、例えば、光ファイバ母材の焼結上の処理等がある。しかも従来装置による場合とは異なり、たとえ誘導円形コイル20に大電流を流したとしても、その構造上、特別な絶縁設計を施す必要がない。
【0025】
なお、高周波電源40や移動機構30を動作させるタイミング、誘導円形コイル20を移動させる速度、その移動のパターン等については、軸状被加熱物W及び円筒状抵抗発熱体10の熱容量等を考慮して適宜設定すれば良い。また、移動機構30により円筒状抵抗発熱体10を軸状被加熱物Wとともに誘導円形コイル20に対して移動させるようにしても良い。さらに、電源50、高周波電源40及び移動機構30を一斉に動作させるようにしても良い。これらの点は後述する第2の実施の形態についても同様である。
【0026】
次に、第1の実施の形態の変形例を図2を参照して説明する。図2(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【0027】
この変形例においては、シールドリング70が誘導円形コイル20の反移動方向側の付近に配設されており、移動機構30を用いてシールドリング70を円筒状抵抗発熱体10に対して誘導円形コイル20とともに移動させるようにしている。
【0028】
シールドリング70は、誘導円形コイル20と略同じ大きさの環状体であって、ここでは銅製のパイプを円状に湾曲して作製されたものを用いており、移動機構30に取り付けられている。具体的には、ボルト等を用いて機構移動機構30に位置調整可能に取り付けられている。これにより誘導円形コイル20に対する環状冷却ジャケット60の位置関係、ここではシールドリング70と誘導円形コイル20との距離間隔が各々調整可能になっている。
【0029】
シールドリング70は、誘導円形コイル20の近くの上方位置に配置されていることから、この付近の電磁界の広がりが抑制され、そのため円筒状抵抗発熱体10上における誘導円形コイル20直下の誘導加熱領域の幅が狭くなり、温度パターンの山が急峻になって改善される(図2(B)参照)。この点で軸状被加熱物Wに対して一層望ましい熱処理を行うことが可能になる。また、軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンについては、誘導円形コイル20に対するシールドリング70の位置関係の調整を通じて微調整することが可能であり、この点でも所望の熱処理を行う上でメリットがある。
【0030】
次に、第1の実施の形態の別の変形例を図3を参照して説明する。図3は軸状被加熱物の加熱装置のうち円筒状抵抗発熱体の断面図である。
【0031】
給電端子11、12には熱伝導の高い銅製の配線ラインが接続されるので、円筒状抵抗発熱体10’のうち給電端子11、12の付近が一番放熱し易いと言える。この変形例においては、円筒状抵抗発熱体10’のうち放熱し易い箇所、即ち、給電端子11、12の付近の部分111、112の厚みがそれ以外の部分に比べて薄くされている。円筒状抵抗発熱体10’には均一に電流が流れるものの、厚みの薄くされた部分は他の部分に比べて発熱量が大きくなるので、結果として、予熱加熱時の円筒状抵抗発熱体10’、ひいては軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンが均一化される。
【0032】
このように予熱加熱時の軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンが均一である状態の下で、上記したように誘導円形コイル20により円筒状抵抗発熱体10’の誘導加熱が行われ、軸状被加熱物Wの最高温度領域(温度T2)が軸方向に連続的に推移することになる。即ち、温度T2が常に安定し、この点で軸状被加熱物Wに対して一層望ましい熱処理を行うことが可能になる。
【0033】
なお、上記変形例においては、円筒状抵抗発熱体10’の内周面を切り欠いて部分111、112としたが、その代わりに外周面に同様の切り欠くようにしてもかまわない。また、円筒状抵抗発熱体10’の内周面のうち温度の低い部分に切り欠きを形成する代わりに、温度が高い部分の内周面又は外周面に突起を形成するようにしてもかまわない。この場合であっても円筒状抵抗発熱体10’の当該部分の断面積が大きくなり、発熱量が他の部分に比べて低下する結果、上記と全く同様の結果が得られる。
【0034】
以下、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。図4(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【0035】
第2の実施の形態に係る軸状被加熱物の加熱装置は図4に示すような構成となっている。即ち、軸状被加熱物Wの全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体10’’と、円筒状抵抗発熱体10’’をその周りから誘導加熱する誘導円形コイル20と、誘導円形コイル20の反移動方向側の付近に配設され且つ円筒状抵抗発熱体に向けてその周りから冷却媒体を噴射する環状冷却ジャケット60と、誘導円形コイル20及び環状冷却ジャケット60を円筒状抵抗発熱体10’’に沿って連続的に移動させる移動機構30とを備えている。そして、円筒状抵抗発熱体10’’を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイル20を用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構30及び環状冷却ジャケット60を動作させ、これを通じて軸状被加熱物W上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっている。第1の実施の形態と同一部品については同一の部品番号を用いて表して説明を省略し、異なる部分を中心として以下説明する。
【0036】
第2の実施の形態においては、冷却ガスを円筒状抵抗発熱体10’’に直接噴射させていることから、円筒状抵抗発熱体10’’等を石英菅1に入れた状態で加熱することは困難である。そのため、ここでは円筒状抵抗発熱体10’’として大気中で1000℃以上の高温に耐え得る二珪化モリブデン製(ここではMoSi2 に鉄・クロム・アルミを添加して製造されたもの) を用いている。即ち、軸状被加熱物W及び円筒状抵抗発熱体10’’を大気下に置き、この状態で軸状被加熱物W等を加熱するようにようにしている。
【0037】
環状冷却ジャケット60は、誘導円形コイル20と略同じ大きさの環状体であって、ここでは銅製のパイプを円状に湾曲して作製されたものを用いており、誘導円形コイル20と所定間隔を開けて平行になるように移動機構30に取り付け付けられている。具体的には、ボルト等を用いて機構移動機構30に位置調整可能に取り付けられており、これにより誘導円形コイル20に対する環状冷却ジャケット60の位置関係、ここでは環状冷却ジャケット60と誘導円形コイル20との距離間隔が調整可能になっている。
【0038】
環状冷却ジャケット60は、移動機構30に連結された状態で図外の冷却ガス用配管に接続されている。冷却ガス用配管を通じて供給された冷却ガス(ここでは窒素ガス等)が環状冷却ジャケット60の内部を流通し、その内面に周方向に複数形成された噴射口から冷却ガスが円筒状抵抗発熱体10’’に向けて真っ直ぐに噴射するようになっている。
【0039】
冷却ガス用配管の途中に設けられた図外のバルブは上記シーケンサ等により開閉制御され、移動機構30が動作した時点で開状態にされるようになっている。そのため、円筒状抵抗発熱体10’’に対する誘導円形コイル20による誘導加熱と環状冷却ジャケット60の動作による強制冷却とが同時に行われる。
【0040】
環状冷却ジャケット60については、誘導円形コイル20の反移動方向側の上側付近に位置しているので、円筒状抵抗発熱体10’’のうち誘導円形コイル20に対向している現時点の最高温度領域ではなく、その直前の最高温度領域、言い換えると、誘導円形コイル20が通り過ぎて温度が徐々に低下している領域に向けて冷却ガスが噴射され、当該領域が強制冷却される。これにより円筒状抵抗発熱体10’’ 上の誘導円形コイル20直下の誘導加熱領域の幅が狭くなる。
【0041】
しかも環状冷却ジャケット60は電磁シールドに適した銅材を用いて作製されており、シールドリングを兼ねていることから、これにより円筒状抵抗発熱体10’’上の誘導円形コイル20直下の誘導加熱領域の幅が更に狭くなる。これらの結果、温度パターンの山が急峻になって改善される(図4(B)参照)。その結果、第1の実施の形態等に比べ、、軸状被加熱物Wに対して一層望ましい熱処理を行うことが可能になる。また、軸状被加熱物Wの軸方向の温度パターンについては、誘導円形コイル20に対する環状冷却ジャケット60の位置関係の調整を通じて微調整することが可能であり、この点でも所望の熱処理を行う上でメリットがある。ここでいう熱処理として、例えば、光ファイバ母材の焼結上の処理等がある。
【0042】
なお、第2の実施の形態においても図3に示す例と全く同様に円筒状抵抗発熱体10’’のうち放熱し易い箇所の厚みをそれ以外の部分に比べて薄くするようにするようにことが望ましい。
【0043】
なお、本発明の軸状被加熱物の加熱装置は第1及び2の実施の形態に限定されず、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構を動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっている限り、どのような形態をとっても良く、円筒状抵抗発熱体等の構造、材質、供給電圧等については適宜設計変更すれば良い。
【0044】
【発明の効果】
以上、本発明に係る軸状被加熱物の加熱装置による場合、軸状被加熱物上の最高温度点を軸方向に連続的に推移させることが可能な構成となっているので、軸状被加熱物に対して高品位な熱処理を施すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための図であって、(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の変形例を説明するための図であって、(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の別の変形例を説明するための図であって、円筒状抵抗発熱体の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明するための図であって、(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【図5】従来例を説明するための図であって、(A)は軸状被加熱物の加熱装置の模式的構成図、(B)(C)は軸状被加熱物の軸方向の温度パターンを示す図である。
【符号の説明】
W 軸状被加熱物
1 石英菅
10 円筒状抵抗発熱体
20 誘導円形コイル
30 移動機構
40 高周波電源
50 電源
Claims (9)
- 軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルを円筒状抵抗発熱体に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構を動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱するカーボン製の円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体を不活性ガス又は減圧の下に置くために円筒状抵抗発熱体を収容する石英菅と、石英菅外に配置されており且つ円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルを円筒状抵抗発熱体及び石英菅に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構を動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項1又は2記載の軸状被加熱物の加熱装置において、円筒状抵抗発熱体上における誘導円形コイル直下の誘導加熱領域の幅を狭くするためのシールドリングが誘導円形コイルの反移動方向側の付近に配設されており、移動機構を用いてシールドリングを円筒状抵抗発熱体に対して誘導円形コイルとともに相対移動させる構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項3記載の軸状被加熱物の加熱装置において、誘導円形コイルに対するシールドリングの位置関係が調整可能な構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 軸状被加熱物の全体をその周りから間接的に加熱する円筒状抵抗発熱体と、円筒状抵抗発熱体をその周りから誘導加熱する誘導円形コイルと、誘導円形コイルの反移動方向側の付近に配設され且つ円筒状抵抗発熱体に向けてその周りから冷却媒体を噴射する環状冷却ジャケットと、誘導円形コイル及び環状冷却ジャケットを円筒状抵抗発熱体に沿って連続的に相対移動させる移動機構とを備えており、円筒状抵抗発熱体を予め直接抵抗加熱したときの温度に比べて高い温度に誘導円形コイルを用いて部分的に誘導加熱させ、この状態で移動機構及び環状冷却ジャケットを動作させ、これを通じて軸状被加熱物上の最高温度領域を軸方向に連続的に推移させる構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項5記載の軸状被加熱物において、円筒状抵抗発熱体として二珪化モリブデン製のものが用いられていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項5又は6記載の軸状被加熱物の加熱装置において、環状冷却ジャケットは電磁シールドに適した素材を用いて作製されており、円筒状抵抗発熱体上における誘導円形コイル直下の誘導加熱領域の幅を狭くするためのシールドリングを兼ねていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項5、6又は7記載の軸状被加熱物の加熱装置において、誘導円形コイルに対する環状冷却ジャケットの位置関係が調整可能な構成となっていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
- 請求項1乃至8記載の軸状被加熱物の加熱装置において、円筒状抵抗発熱体は、放熱し易い箇所の付近の部分の厚みがそれ以外の部分に比べて薄くされていることを特徴とする軸状被加熱物の加熱装置。
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JP4029932B2 (ja) | 2008-01-09 |
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