JP2004226918A - カラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料、カラーフィルター及びカラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な工程を必要とせず、粒状性に優れ、さらに光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有するカラーフィルターを製造するカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料を提供する。さらに、高品位なカラーフィルター及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも1層の非感光性の親水性コロイド層を塗設し、少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。さらに、この感光材料を、パターン露光し、発色現像処理及び脱銀処理するカラーフィルターの製造方法、及びこの方法で製造されたカラーフィルター。
【選択図】 なし
【解決手段】光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも1層の非感光性の親水性コロイド層を塗設し、少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。さらに、この感光材料を、パターン露光し、発色現像処理及び脱銀処理するカラーフィルターの製造方法、及びこの方法で製造されたカラーフィルター。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複雑な工程を必要とせずに、粒状性に優れ、光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有し、保存安定性に優れたカラーフィルターを製造するのに適したハロゲン化銀感光材料およびこれを用いるカラーフィルターの製造方法、並びにカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターはブラウン管表示用カラーフェイスプレート、複写用光電変換素子プレート、単管式カラーテレビカメラ用フィルター、液晶を用いたフラットパネルディスプレー、カラー固体撮像素子等に用いられている。通常用いられるカラーフィルターは、赤色、緑色及び青色の三原色が規則的に配列して構成されるが、必要に応じて四色あるいはそれ以上の色相からなるものである。例えば撮像管用カラーフィルターや液晶表示装置用カラーフィルターでは、種々の目的で黒色のパターン(ブラックマトリックス)が必要とされる。赤色、緑色、青色の具体的な配列法にはモザイク、ストライプ、デルタ配列などがあり、必要に応じて選択できる。
【0003】
従来から知られているカラーフィルターの製造方法としては、蒸着法、染着法、印刷法、顔料分散法、電着法、レジスト電着転写法等がある。しかしながら、これらの方法で得られたカラーフィルターは、複雑な製造工程を必要とし、また、ピンホールや傷が生じ易いという欠点を持っている。
【0004】
これらの欠点を解消するため、ハロゲン化銀カラー感光材料を使用して製造する方法が提案されている。しかしながら、例えば、特許文献1に記載の方法では、少なくとも3回発色現像する必要があり、処理方法が簡単とは言い難いものであった。一方、1回の発色現像で製造できるものの、ブラックマトリックスを実質的な黒にするために、ハロゲン化銀カラー感光材料に黒補正層を導入する方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらの赤外感光性を有する黒補正層を導入する方法では、微細なブラックマトリックスを描画した際に境界が滲んでしまうという欠点が明らかになった。また、赤外増感色素を用いることにより、露光前のハロゲン化銀感光材料の保存安定性を悪化させるという問題を有していることが分かった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−6342号公報
【特許文献2】
特開平8−314080号公報
【特許文献3】
特開平10−177111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、前記の問題点を克服し、複雑な工程を必要とせず、量産適性があり、画質、特に粒状性に優れ、さらに光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有するカラーフィルターを安価に製造するカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料を提供することにある。さらに本発明は、上記のような高品位なカラーフィルターならびにその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明の目的は、以下の手段で達成できることを見出した。
(1)光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも1層の非感光性の親水性コロイド層を塗設したハロゲン化銀感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層であることを特徴とするカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(2)前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、ブラックマトリックスの透過濃度が2.5以上の実質的な黒色となるように補正する色素形成カプラーを含有する層であることを特徴とする(1)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(3)前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、450nm以上の波長域に感光性を有するいずれのハロゲン化銀乳剤層よりも支持体から離れた位置に存在することを特徴とする(1)または(2)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(4)少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が少なくとも一種の8族、9族または10族元素の塩を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(5)前記8族、9族または10族元素の塩の含有量が、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルであることを特徴とする(4)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(6)前記8族、9族または10族元素がイリジウム、ロジウム、オスミウムまたは白金であることを特徴とする(4)または(5)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀感光材料を、パターン露光し、発色現像処理及び脱銀処理して、青色、緑色及び赤色のピクセルパターンを有するものとしたことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
(8)(7)項に記載の方法で製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に述べる。
【0009】
本発明のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料は、光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも一層の非感光性の親水性コロイド層を塗設され、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層であるハロゲン化銀感光材料である。
まず最初に、本発明で好ましく使用されるハロゲン化銀乳剤について説明する。
本発明の感光材料に使用できるハロゲン化銀粒子は、塩化銀、沃塩化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀であるが、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤は塩化銀含有率が30モル%以上であることが好ましい。さらに好ましくは塩化銀含有率が50モル%以上である。沃化銀含有率は、2モル%以下が好ましいが、より好ましくは1モル%以下である。さらに好ましくは、0.5モル%以下である。本発明で使用されるハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型であっても、内部潜像型であってもよい。内部潜像型乳剤は、造核剤や光カブラセとを組み合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表面で異なるハロゲン組成を持っている多重構造粒子であってもよい。また、エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀乳剤が接合されていてもよい。特に、本発明で使用される高塩化銀乳剤においては、臭化銀局在相を、層状もしくは非層状にハロゲン化銀内部および/または表面に有する構造のものも使用できる。ここで、臭化銀局在相とは周囲よりも臭化銀の濃度が高い部位を意味する。上記局在相のハロゲン組成は、臭化銀含有率が少なくとも20モル%のものが好ましく、30モル%を越えるものが好ましい。臭化銀局在相の臭化銀含有率は、X線回折法等で分析される。例えば、シー アールベリイ、エス ジェイ マリノ(C.R.Berry,S.J.Marino)著フォトグラフィックサイエンス アンド テクノロジー(Photographic Science and Technology)2巻149頁(1955)および同4巻22頁(1957)にX線回折法のハロゲン化銀粒子への適用法が記載されている。臭化銀局在相は、粒子内部、粒子表面のエッジ、コーナー、あるいは面上にあることができるが、好ましい例として、粒子のコーナー部にエピタキシャル接合したものが挙げられる。
【0010】
ハロゲン化銀粒子の形状は、双晶面を含まない正常晶、双晶面を1つ含む一重双晶、平行な双晶面を2つ以上含む平行多重双晶、非平行な双晶面を2つ以上含む非平行多重双晶、球状、じゃがいも状、高アスペクト比の平板状およびそれらの複合系から目的に応じて使用できる。双晶粒子の形状については、日本写真学会編、写真工業の基礎−銀塩写真編(コロナ社)、第163頁に記載されている。正常晶の場合には(100)面からなる立方体、(111)面からなる8面体、あるいは(110)面から成る12面体粒子を用いることができる。12面体粒子については、特公昭55−42737号および特開昭60−222842号各公報に記載されている。さらに、Journal Imaging Science,30巻,247頁(1986年)に報告されている。(hll)面、(hhl)面、(hk0)面、(hkl)面粒子も目的に応じて用いることができる。(111)面と(100)面を有する14面体や(111)と(110)面を有する粒子も利用可能である。必要に応じて、38面体、偏菱形24面体、46面体、68面体等の多面体粒子を使用することもできる。高アスペクト比の平板も、好ましく使用できる。(111)面から成る高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は米国特許第4,399,215号、同第4,400,463号、同第5,217,858号、特開平2−32号等に記載されており、(100)面からなる高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は、米国特許第4,946,772号、同第5,275,930号、同第5,264,337号、特開平6−59360号、特開平6−308648号、欧州特許0534395A1号等に記載されている。このような、高アスペクト比の平板粒子は、同一体積の正常晶と比べて、表面積が大きいので増感色素の吸着量を増やせるので、色増感感度の点で有利である。また、比表面積が大きいので、現像活性も高いという特長を有する。
【0011】
本発明に使用するハロゲン化銀粒子の平均粒径は、出来るだけ低銀量で比表面積が大きく、高い現像活性を得るため、また、高解像度を得るために、0.03μm〜0.9μmが好ましく、特に0.05μm〜0.3μmが好ましい。平板粒子の場合は、厚みが0.03μm〜0.9μmが好ましく、特に0.05μm〜0.3μmが好ましい。狭い粒子サイズ分布を有する単分散乳剤を用いてもよい。単分散乳剤は、例えば、粒子数あるいは重量で平均粒子サイズの±30%以内に全粒子の80%以上が入るような粒子サイズ分布を有するハロゲン化銀乳剤である。また変動係数で20%以下、特に15%以下の単分散ハロゲン化銀乳剤であってもよい。広い粒子サイズ分布を有する多分散乳剤を用いてもよい。また、特開平1─167743号、同4─223463号の各公報に記載のように、階調の調整を目的として、実質的に同一の感色性を有し粒子サイズの異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。2種以上の乳剤は、同一層に混合してもよいし、別々の層を構成してもよい。2種類以上の多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳剤との組み合わせを使用することもできる。
【0012】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去する脱塩工程を行うのが好ましい。ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また、多価アニオンよりなる無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、ゼラチン誘導体(脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法(フロキュレーション)を用いてもよい。あるいは、米国特許第4,758,505号、特開昭62−113137号、特公昭59−43727号、米国特許第4,334,012号に示される限外濾過装置を用いてもよいし、自然沈降法、遠心分離法を用いてもよい。通常は、沈降法が好ましく用いられる。
【0013】
ハロゲン化銀乳剤の調製方法は、グラフキデ著「写真の物理と化学」(ポールモンテル社刊)(P.Glafkides,Chimie et Physique Photographic Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」(フォーカルプレス社刊)(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry(FocalPress,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」(フォーカルプレス社刊)(V.L.Zelikman et al,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964) に記載がある。調製方法は、酸性法、中性法およびアンモニア法のいずれでもよい。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せを用いることができる。粒子を銀イオン過剰の状態において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液層中のpAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶系が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0014】
ハロゲン化銀乳剤の調製において、粒子形成中のpAgとpHを調整することが好ましい。pAgとpHの調整については、フォトグラフィク・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering),第6巻,159〜165頁(1962);ジャーナル・オブ・フォトグラフィク・サイエンス(Journal of Photographic Science),12巻,242〜251頁(1964)、米国特許第3,655,394号および英国特許1413748号各明細書に記載がある。
【0015】
本発明における乳剤調製時に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチンが好ましく使用されるが、それ以外の親水性バインダーも用いることができる。親水性バインダーは、単独あるいはゼラチンとの併用で使用できる。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、アルブミンやカゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロースやセルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体、多糖類、カラギナン、ポリビニルアルコールや変成アルキルポリビニルアルコールやポリビニル−N−ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドやポリビニルイミダゾールやポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体のような合成親水性高分子、米国特許第3,615,624号記載のチオエーテルポリマーも好ましく使用できる。ゼラチンは、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンや脱灰ゼラチンやフタル化ゼラチンのようなゼラチン誘導体や低分子のゼラチンも使用できる。過酸化水素のような酸化剤で酸化処理されたゼラチンや酵素で処理されたゼラチンも使用できる。ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0016】
ハロゲン化銀溶剤の例としては、チオシアン酸塩(米国特許第2,222,264号、同第2,448,534号、同第3,320,069号各明細書記載)、チオエーテル化合物(米国特許第3,271,157号、同第3,574,628号、同第3,704,130号、同第4,297,439号、同第4,276,347号各明細書記載)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号各公報記載)およびイミダゾール系化合物(特開昭54−100717号公報記載)、ベンツイミダゾール(特公昭60−54662号公報記載)、およびアミン化合物(特開昭54−100717号公報記載)を挙げることができる。なお、アンモニアも悪作用を伴わない範囲でハロゲン化銀溶剤と併用することができる。特公昭46−7781号、特開昭60−222842号、特開昭60−122935号の各公報等に記載されているような含窒素化合物をハロゲン化銀粒子形成段階に添加することができる。ハロゲン化銀溶剤の具体例の詳細は、特開昭62−215272号公報の12頁〜18頁に記載されている。本発明における乳剤調製時にはこれらのハロゲン化銀溶剤を用いることができるが、用いない方がより好ましい。
【0017】
ハロゲン化銀の粒子形成または物理熟成の過程において、金属塩(錯塩を含む)も共存させてもよい。金属塩の例としては、カドミウム、亜鉛、鉛、タリウム、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム、ロジウム、クロム、ルテニウム、レニウム等の貴金属または重金属の塩あるいは錯塩を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。添加量はハロゲン化銀1モルあたり、1×10−9〜1×10−3モル程度である。錯イオンおよび配位化合物としては、臭素イオン、塩素イオン、シアンイオン、ニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、水、アンモニア等およびそれらの組み合わせが好ましく用いられる。例えば、黄血塩、K2 IrCl6 、K3 IrCl6 、( NH4 )2 RhCl5 (H2O)、K2 RuCl5 (NO)、K3Cr(CN)6 等が好ましく用いられる。添加量は、使用する目的にもよるが、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−9〜1×10−2モルの範囲程度である。また、ハロゲン化銀粒子に組み込む位置は、粒子内均一でもよいし、粒子の表面あるいは内部等の局在した位置や臭化銀局在相や高塩化銀粒子基盤でもよい。これらの化合物の添加方法は、粒子形成時のハロゲン化物水溶液に該金属塩溶液を混合したり、該金属イオンがドープされたハロゲン化銀乳剤微粒子を添加したり、あるいは、該金属塩溶液を粒子形成中、粒子形成後に直接添加したりすることで行える。高照度露光の感度や濃度を増加させるために、イリジウム及び黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛が好ましく使用できる。赤色や赤外領域で分光増感する場合、黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛を用いるのが好ましい。本発明においては露光時の照度ムラを低減するために階調はできるだけ硬調であることが望ましい。硬調化の目的で、イリジウム塩、ロジウム塩、ルテニウム塩、クロム塩が、好ましく用いられる。また、本発明においては現像時間の増加に伴うカブリの発生はできるだけ小さいことが好ましい。現像時間の増加に伴うカブリの発生を低減させるために、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルである少なくとも一種の8族、9族または10族元素の塩(錯塩を含む)がハロゲン化銀乳剤に含まれていることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。特に好ましい8族、9族または10族元素としてはイリジウム、ロジウム、オスミウムまたは白金が挙げられる。
【0018】
ハロゲン化銀粒子の形成時に、添加する銀塩溶液(例えばAgNO3 水溶液)とハロゲン化合物溶液(例えばKBr水溶液)の添加速度、添加量あるいは添加濃度を上昇させ、粒子形成速度を速めてもよい。このように、急速にハロゲン化銀粒子を形成する方法は、英国特許1335925号、米国特許第3,672,900号、同第3,650,757号、同第4,242,445号の各明細書、ならびに、特開昭55−142329号、同55−158124号、同58−113927号、同58−113928号、同58−111934号、同58−111936号の各公報に記載がある。
【0019】
粒子形成中または粒子形成後にハロゲン化銀粒子表面に難溶性のハロゲン化銀粒子を形成するハロゲンで置換してもよい(ハロゲン変換)。このハロゲン変換過程は、「ディー・グルンドラーゲン・ディア・フォトグラフィシェン・プロツェセ・ミット・ジルファーハロゲニデン」(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silverhalogeniden),662〜669頁や「ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of Photographic Process),第4版,97〜98頁等に記載されている。この方法は、可溶性ハロゲン化物の溶液で添加しても良いし、微粒子ハロゲン化銀の状態で添加してもよい。
【0020】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、未化学増感のままで使用できるが、通常、化学増感して使用される。本発明に用いられる化学増感法には、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感および還元増感法等を単独または組み合わせて用いることができる(例えば、特開平3−110555号、特願平4−75798号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うことができる(特開昭62−253159号)。また、後述するカブリ防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号、特開昭62−40446号記載の方法を用いることができる。
【0021】
硫黄増感剤としては、不安定なイオウ化合物を用い、具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、アリルチオ尿素等)、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン類、メルカプト類等の公知の硫黄化合物を用いればよい。硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに充分な量でよく、適量はpH、温度、他の増感剤とのかねあい、ハロゲン化銀粒子の大きさ等、種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−9〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0022】
セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、セレノケトン類、セレノアミド類、脂肪族イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノカルボン酸及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセレナイド類、ジエチルジセレナイド類等のセレナイド類を用いることができる。添加量は硫黄増感剤と同様に種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−10〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0023】
本発明においては上記のカルコゲン増感の他に貴金属による増感も行うことができる。まず、金増感においては、金の価数が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いられる。代表的な例としては塩化金酸類、カリウムクロロオーレート、オーリクトリクロライド、カリウムオーリチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラオーリックアシド、アンモニウムオーロチアシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、硫化金、金セレナイド、テルル化金等が挙げられる。金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−10〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。金増感剤の添加時期は硫黄増感あるいはセレン増感、テルル増感と同時でも、硫黄あるいはセレン、テルル増感工程の途中や前、あるいは終了後でもよいし、金増感剤を単独に用いることも可能である。本発明における硫黄増感、セレン増感またはテルル増感や金増感を施す乳剤のpAg、pHに特に制限はないがpAgは5〜11、pHは3〜10の範囲で使用するのが好ましい。さらに、好ましくは、pAgは6.8〜9.0、pHは4.5〜8.5の範囲である。本発明において金以外の貴金属も化学増感剤として使用可能である。金以外の貴金属としては例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムのような金属塩あるいはそれらの錯塩による増感剤も使用できる。
【0024】
本発明においては更に還元増感を行うことができる。本発明で用いられる還元増感剤としては、アスコルビン酸、第一錫塩、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物等が公知である。本発明には、これら公知の化合物の1種を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤として、塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、L−アスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィル酸が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤条件に依存するので、添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルの範囲が適当である。また上記の還元増感剤を添加する方法の他に銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、水素ガスを通したり、電気分解による発生期の水素によって、還元増感する方法をも選ぶことができる。さらには2つ以上の方法を併用することもできる。この還元増感は単独でも用いることができるが、上記カルコゲン増感や貴金属増感と組合せて用いることもできる。
【0025】
本発明に用いられるハロゲン化銀に緑感性、赤感性等の感色性をもたせるために、感光性ハロゲン化銀乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されてもよい。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してよい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性異節環核としてのシアニン色素類に通常利用される各のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核等;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核等が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよい。メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5〜6員の異節環核等を適用することができる。具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180550号、同64−13546号、特開平5−45828号、同5−45834号等に記載の増感色素が挙げられる。これらの増感色素は単独に用いてよいが、それらの組み合わせを用いてもよく、増感色素の組み合わせは、特に、強色増感や分光増感の波長調節の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であっても、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでいてもよい(例えば、米国特許第3,615,641号、特開昭59−192242号、同59−191032号、同63−23145号記載のもの)。特に、特開昭59−191032号および同59−192242号記載のものは赤域から赤外域に分光増感感度を有する増感色素を用いる場合、好ましく使用される。
【0026】
色素を乳剤中に添加する時期は、乳剤調製のいかなる段階であってもよい。もっとも普通には、化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号および同第4,225,666号各明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し、分光増感を化学増感と同時に行うことも、特開昭58−113928号公報に記載されているように化学増感に先立って行うこともできる。また、ハロゲン化銀粒子沈殿生成の完了前に添加し、分光増感を開始することもできる。さらにまた米国特許第4,225,666号明細書に教示されているように、これらの前記化合物を分けて添加すること、すなわち、これらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号明細書に教示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。添加量は、ハロゲン化銀1モル当り9×10−9〜9×10−3モルで用いることができる。これらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの親水性の有機溶媒の溶液、水溶液(溶解性を高めるためにアルカリ性や酸性の場合あり)、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。
【0027】
増感色素の吸着強化のため、増感色素添加前後および添加中に、可溶性のCa化合物、可溶性のBr化合物、可溶性のI化合物、可溶性のCl化合物、可溶性のSCN化合物を添加してもよい。これらの化合物を併用してもよい。好ましくは、CaCl2、KI、KCl、KBr、KSCNである。また、微粒子の臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、沃化銀、ロダン銀乳剤粒子の状態であってもよい。
【0028】
本発明においてハロゲン化銀の全塗布量は感光材料1m2当り1×10−3〜5×10−2モルであり、各ハロゲン化銀乳剤層中の含有カプラーに対して当量比で1以上2以下であるのが好ましく、また含有バインダー1gに対して5×10−4〜1×10−2モルであるのが好ましい。
【0029】
本発明の乳剤を適用する写真感光材料のその他の添加剤に関しては特に制限はなく、例えば、リサーチディスクロージャー誌(Reaearch Disclosure)176巻、アイテム17643(RD−17643)、同187巻、アイテム18716(RD−18716)および同307巻、アイテム307105等の記載を参考にすることができる。
【0030】
このような工程で使用される添加剤および本発明の感光材料に使用できる公知の写真用添加剤をRD−17643、RD−18716およびRD−307105における各種添加剤の記載箇所を以下にリスト化して示す。
【0031】
前記添加剤のうちカブリ防止剤、安定化剤としてはアゾール類(例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、ニトロインダゾール類、ベンゾトリアゾール類、アミノトリアゾール類など);メルカプト化合物類{例えば、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよびその誘導体)、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類など};例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類{例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ−6−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、ペンタアザインデン類など};ベンゼンチオスルホン類;ベンゼンスルフィン酸;ベンゼンスルホン酸アミド等を好ましく用いることができる。
【0032】
本発明には種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643,VII−C〜Gに記載された特許に記載されている。本発明に用いるカプラーとしては、活性位が水素原子の四当量カラーカプラーよりも離脱基で置換された二当量カラーカプラーの方が、塗布銀量を低減できる点で好ましい。
【0033】
本発明に使用できるイエローカプラーとしては、オイルプロテクト型のアシルアセトアミド系カプラーが代表例として挙げられる。その具体例は、米国特許第2,407,210号、同第2,875,057号および同第3,265,506号などに記載されている。本発明には、二当量イエローカプラーの使用が好ましく、米国特許第3,408,194号、同第3,447,928号、同第3,935,501号および同第4,022,620号などに記載された酸素原子離脱型のイエローカプラーあるいは特公昭58−10739号、米国特許第4,401,752号、同第4,326,024号、RD18053(1979年4月)、英国特許第1,425,020号、西独出願公開第2,219,917号、同第2,261,361号、同第2,329,587号および同第2,433,812号などに記載された窒素原子離脱型のイエローカプラーがその代表例として挙げられる。α−ピバロイルアセトアニリド系カプラーは発色色素の堅牢性、特に光堅牢性が優れており、一方、α−ベンゾイルアセトアニリド系カプラーは高い発色濃度が得られる。
【0034】
本発明に使用できるマゼンタカプラーとしては、オイルプロテクト型の、好ましくは5−ピラゾロン系およびピラゾロトリアゾール類などピラゾロアゾール系のカプラーが挙げられる。5−ピラゾロン系カプラーは3−位がアリールアミノ基もしくはアシルアミノ基で置換されたカプラーが、発色色素の色相や発色濃度の観点で好ましく、その代表例は、米国特許第2,311,082号、同第2,343,703号、同第2,600,788号、同第2,908,573号、同第3,062,653号、同第3,152,896号および同第3,936,015号などに記載されている。二当量の5−ピラゾロン系カプラーの離脱基として、米国特許第4,310,619号に記載された窒素原子離脱基または米国特許第4,351,897号に記載されたアリールチオ基が特に好ましい。また欧州特許第73,636号に記載のバラスト基を有する5−ピラゾロン系カプラーは高い発色濃度が得られる。
【0035】
ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米国特許第3,369,879号記載のピラゾロベンズイミダゾール類、好ましくは米国特許第3,725,067号に記載されたピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類、リサーチ・ディスクロージャー24220(1984年6月)に記載のピラゾロテトラゾール類およびリサーチ・ディスクロージャー24230(1984年6月)に記載のピラゾロピラゾール類が挙げられる。発色色素のイエロー副吸収の少なさおよび光堅牢性の点で欧州特許第119,741号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類は好ましく、欧州特許第119,860号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾールは特に好ましい。
【0036】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0037】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0038】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。また、米国特許第6,261,755号に記載の形成された色素の吸収の半値巾が狭いフェノールシアンカプラーを用いることも好ましい。
【0039】
その他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラーとしては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同4,338,393号、同第4,310,618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、欧州特許第173,302A号に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー等が挙げられる。また黒色補正用のカプラーはイエロー、マゼンタ、シアンに発色するものでなくても、例えば褐色、オレンジ色、紫色、黒色等に発色するものでもよい。本発明において各ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀対カプラーの当量比は1以上4以下が好ましい。ここでいう当量比とは、カプラーをすべて発色させるのに必要なハロゲン化銀の理論量を当量比1とし、例えば理論量の2倍量ハロゲン化銀を塗布する場合、当量比2である。すなわち2当量カプラーを使用する場合、カプラー1モルに対して塗布銀量が2モルであるとき、当量比1であり、塗布銀量が4モルのとき、当量比2である。
【0040】
本発明に使用できるカプラーは、種々の公知の分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は米国特許第2,322,027号などに記載されている。高沸点溶媒の量はカプラー1gに対して10g以下、好ましくは5g以下である。また、バインダー1gに対しては5g以下、好ましくは2g以下である。水中油滴分散法で得られるカプラー分散物(カプラー乳化物)のサイズは0.05μm〜0.9μm、好ましくは0.1μm〜0.5μmである。
【0041】
ラテックス分散法の工程、効果、および含浸用のラテックスの具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特許出願(OLS)第2,541,274号および同第2,541,230号などに記載されている。本発明に係わる感光材料には、カプラーを含有する層に欧州公開特許EP0,277,589A2号に記載のような色像保存性改良化合物を使用するのが好ましい。特にピラゾロアゾール系マゼンタカプラーとの併用が好ましい。
【0042】
即ち、発色現像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬と反応して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する化合物(F)及び/又は発色現像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬の酸化体と反応して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する化合物(G)を同時に又は単独に用いることが、例えば処理後の保存における膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーとの反応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作用を防止する上で好ましい。
【0043】
本発明に係わる感光材料のハロゲン化銀乳剤層や中間層等には、色カブリ防止剤または混色防止剤として、ヒドロキノン誘導体、アミノフェノール誘導体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導体等を含有してもよい。これらの化合物の中で、160〜200℃に加熱してもステインを発生しにくいものが好ましい。
【0044】
また、シアン色素像の熱および特に光による劣化を防止するためには、シアン発色層及びそれに隣接する両側の層に紫外線吸収剤を導入することがより効果的である。紫外線吸収剤としては、アリール基で置換されたベンゾトリアゾール化合物(例えば、米国特許第3,533,794号に記載のもの)、4−チアゾリドン化合物(例えば、米国特許第3,314,794号や同第3,352,681号に記載のもの)、ベンゾフェノン化合物(例えば、特開昭46−2784号に記載のもの)、ケイ皮酸エステル化合物(例えば、米国特許第3,705,805号や同第3,707,395号に記載のもの)、ブタジエン化合物(例えば、米国特許第4,045,229号に記載のもの)あるいはベンズオキサゾール化合物(例えば、米国特許第3,406,070号や同第4,271,307号に記載のもの)を用いることができる。紫外線吸収性のカプラー(例えば、α−ナフトール系のシアン色素形成カプラー)や紫外線吸収性のポリマー等を用いてもよい。これらの紫外線吸収剤は特定の層に媒染されていてもよい。中でも前記のアリール基で置換されたベンゾトリアゾール化合物が好ましい。
【0045】
また、本発明に係わる感光材料の親水性コロイド層は、通常のカラー写真感光材料に用いられる親水性コロイド層を用いることができる。感光材料には親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌防黴剤を添加するのが好ましい。
【0046】
本発明の感光材料のハロゲン化銀乳剤層や中間層、保護層に用いることができるバインダーまたは保護コロイドとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性ポリマーも用いることができる。親水性ポリマーとして、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、カラギーナン、アラビアゴム、更にヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル、セルロースアセテート水素フタレートおよびアルギン酸ナトリウムなどのセルロース誘導体等の単一あるいは共重合体を挙げられる。また、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーでもよく、ゼラチン−グラフトポリマーとしては、ゼラチンにアクリル酸、メタアクリル酸、それらのエステル、アミドなどの誘導体、アクリロニトリル、スチレンなどのビニル系モノマーの単一または共重合体をグラフトさせたものを用いることができる。ことにゼラチンとある程度相溶性のあるポリマーたとえばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ヒドロキシアルキルメタアクリレート等の重合体とのグラフトポリマーが好ましい。これらの例は米国特許第2,763,625号、同第2,831,767号、同第2,956,884号、特開昭56−65133号等に記載がある。代表的な合成親水性高分子物質として、例えば西独特許出願(OLS)2,312,708号、米国特許第3,620,751号、同第3,879,205号、特公昭43−7561号等に記載のものも使用できる。上記の親水性ポリマーは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
ゼラチンとしてはアルカリ処理、酸処理、酵素処理のいずれかを施したもの、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。またゼラチンに例えば酸ハライド、酸無水物、イソシアネート類、ブロモ酢酸、アルカンサルトン酸、ビニルスルホンアミド類、マレインイミド化合物類、ポリアルキレンオキシド類、エポキシ化合物類等種々の化合物を反応させて得られるゼラチン誘導体も用いられる。ゼラチン誘導体の具体例は米国特許第2,614,928号、同第3,132,945号、同第3,186,846号、同第3,312,553号、英国特許861,414号、同1,033,189号、同1,005,784号、特公昭42−26845号等に記載されている。
【0048】
本発明に用いる感光材料における全バインダー量は5〜30g/m2が好ましく、各ハロゲン化銀乳剤層や中間層などのバインダー含有量は一層あたり0.1g〜10g/m2が好ましく、特に0.2g〜8g/m2が好ましい。
【0049】
本発明に用いるプラスチック透明支持体は、光学的に等方で、光透過性であることが好ましい。光学的に等方な支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリアクリレート(PMA:Tg=100℃)、ポリメタクリレート(PMMA:Tg=105℃)、ポリスチレン(PSt:Tg=100℃)、ポリカーボネート(PC:Tg=145℃)、ポリアリレート(PAr:Tg=210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:Tg=220℃)、ポリスルホン(PSF:Tg=190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号の実施例1の化合物:Tg=162℃)、変性ポリカーボネート(MPC:特開2000−227603号の実施例4の化合物:Tg=225℃)、アクルロイル化合物(特開2002−80616号の実施例1の化合物:Tg=300℃以上)、ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
光学的に等方な支持体としては耐熱性の高いものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PAr、PES、PSF、COC、MPC、アクリロイル化合物、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にPAr、PES,MPC、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、さらにMPCが好ましい。MPCの具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)をビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂が挙げられる。これらの支持体は溶融成膜、溶液成膜のいずれでもよいが、より好ましいのが平面性に優れる溶液成膜である。さらにこれらの支持体は延伸、未延伸のいずれでもよいが、延伸フィルムの場合、光学的等方性を達成するために、縦、横の延伸バランスを合わせる必要がある。これらのなかで好ましいのが未延伸成膜である。これらの素材で構成される支持体の表面は必要に応じて下塗り処理されてもよい。さらに、グロー放電、コロナ放電、紫外線(UV)照射などの処理を施してもよい。光透過性支持体は、板状、シート状あるいはフィルム状等の形態で使用することが出来る。支持体の厚みは、用途および材質にあわせて適宜に設定できるが、一般には0.01〜10mmである。本発明に用いる支持体は塗布等の際のハンドリングを容易にさせる等の目的でハロゲン化銀感光材料層が塗設される側と反対の面に他のフイルムなどを有してもよい。この場合、支持体とはハロゲン化銀感光材料層が塗設され最終的にカラーフィルターを構成する部分までを指し、ハロゲン化銀感光材料層が塗設される側と反対の面に存在する最終的にカラーフィルターを構成しない他のフイルムなどは含まない。
【0050】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料は、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも一層の非感光性コロイド層を有するものであり、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層は色素形成カプラーを含有し、450nm以上の波長域において、実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層(以後、該450nm以上の波長域において、実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層を「本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層」と称す。)である。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は450nm以上の波長域に実質的に感光性を有さないが、好ましくは430nm以上の波長域に実質的に感光性を有さないものである。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は紫感性であることが好ましく、この感光波長領域は、好ましくは300nm以上450nm未満の波長域、より好ましくは300nm以上430nm未満、さらに好ましくは300nm以上420nm未満の波長域で感光するものである。このようなハロゲン化銀乳剤層は1〜3層のように複数存在していても構わないが、1〜2層が好ましく、1層である場合が更に好ましい。
本発明では、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含め、少なくとも4つの異なる感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するものであるが、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層以外の感光性層は、紫感性、青感性、緑感性、赤感性、赤外感性、黄感性の各感色性から異なった少なくとも3つ感色性の感光性層から構成されるものが好ましく、全てが赤外感性(例えば第一赤外感性、第二赤外感性、第三赤外感性の組み合わせ)であっても構わない。本発明においては、特に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも一層有するものが好ましい。
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料は、青感性乳剤層にイエローカプラーを、緑感性乳剤層にマゼンタカプラーを、そして赤感性乳剤層にシアンカプラーを含有する通常のネガ型またはポジ型のカラー写真感光材料に、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含有するもののほかに、下記の構成を有する感光材料である。
本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を有さないハロゲン化銀感光材料のうち好ましいものは以下のものである。
即ち、図1に示す特性曲線を有す材料を使用し、青感性乳剤層にはシアンカプラーとマゼンタカプラー(または青カプラー)を含有させ、緑感性乳剤層にはイエローカプラーとシアンカプラーを含有させ、赤感性乳剤層にはイエローカプラーとマゼンタカプラー(または赤カプラー)を含有させる(以後、構成Aと称す)。そして、図1のA点とB点の位置の露光を与えることの出来るパターンを有する図3のような4種のマスクフィルター及び感光材料の分光感度に合致した色フィルターを用いて赤色、緑色、青色及び白色光で露光する。その後、発色現像、脱銀処理、水洗処理を施すことにより図2に示すような赤色、緑色、青色及び黒色に発色したカラーフィルターが得られる。
本発明のハロゲン化銀乳剤層は、上記の構成Aに加え、これに更に本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含有するものであり、該ハロゲン化銀乳剤層は、色補正、好ましくは黒を補正するために使用される。
【0051】
ここで、本発明のハロゲン化銀乳剤層は、紫感性乳剤層であることが好ましく、該層に含有されるカプラーは、目的とする色補正の色に応じてカプラーを選択することができる。色補正用のカプラーは赤、緑、及び青感性乳剤層で用いたカプラーと同一であっても異なってもよい。本発明においては、該層は好ましくは黒補正層として機能するものであり、使用するカプラーとしては黒発色カプラーであっても、イエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーの組み合わせであってもよいが、好ましくはイエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーを混合して使用するものである。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層には支持体上の全カプラーを反応させたとき、透過濃度2.5以上の実質的な黒色(END≧2.5)となるように色補正するカプラーを含有させることが特に好ましい。実施的な黒色としては、END(等価中性濃度)が2.5以上であるが、好ましくは2.5〜6.0、より好ましくは3.0以上(好ましくは3.0〜6.0)である。この第4のハロゲン化銀乳剤層は、前述のように、二つ以上の単位層で構成してもよい。この場合、各単位層の層構成と含有カプラーを適当に選択することにより、隣接する他のハロゲン化銀乳剤層との間の中間層を除去することも出来る。
前記の構成Aに上記の黒補正層を付与した本発明の感光材料は、上記の第4の感光性層を有さない場合と同様に図3のような4種のマスクフィルター、及び感光材料の分光感度に合致した色フィルターを用いて、赤色、緑色、青色、白色露光をした後、発色現像、脱銀処理、水洗処理を施すことにより図2に示すような赤色、緑色、青色及び高濃度の黒色に発色したカラーフィルターが得られた。
【0052】
本発明においては、上記に具体的に示した各層(構成A)の感色性は青感性、緑感性、赤感性、及び紫感性の組み合わせに限らず、赤外感性や黄感性、紫外感性などと組み合わせてもよいし、感光波長領域の異なる赤外感性を複数採用してもよいことは既に述べたが、本発明においては、具体的に示した上記の組み合わせが好ましく用いられる。また、異なる感色性を持つハロゲン化銀乳剤層の塗設の順序は任意に設定できるが、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は他の感色性を持つハロゲン化銀乳剤層のいずれのものより支持体から離れて塗設されることが好ましい。このように塗設することにより、微細なブラックマトリクスの境界の滲みが大幅に低減される。なお、特にブラックマトリクスの光学濃度を2.5以上の実質的な黒となるまで現像した場合に、未露光部の濃度が上昇する傾向にあるが、ハロゲン化銀乳剤に、既に説明した8族、9族または10族元素の塩を使用することで大幅に改良される。
本発明のハロゲン化銀感光材料は、さらに上記の層構成に加えて、必要に応じて下引き層、中間層、漂白可能な黄色フィルター層、保護層あるいは紫外線吸収層などを設けてもよい。本発明においては前述の構成Aに上記の黒補正層を付与したものが色再現上特に好ましく用いられる。
【0053】
本発明に用いる感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、および同No.18716の651頁左欄〜右欄等に記載された通常の方法により発色現像処理することによりマイクロカラーフィルターを得ることができる。
【0054】
例えば、発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程が行なわれる。脱銀処理工程では、漂白液を用いた漂白工程と定着液を用いた定着工程の代わりに、漂白定着液を用いた漂白定着処理工程を行なうこともできるし、漂白処理工程、定着処理工程、漂白定着処理工程を任意の順に組み合わせてもよい。水洗処理工程の代わりに安定化工程を行なってもよいし、水洗処理工程の後に安定化工程を行なってもよい。また、発色現像、漂白、定着を1浴中で行なう1浴現像漂白定着処理液を用いたモノバス処理工程を行なうこともできる。これらの処理工程に組み合わせて、前硬膜処理工程、その中和工程、停止定着処理工程、後硬膜処理工程、調整工程、補力工程等を行なってもよい。これらの処理において、発色現像処理工程の代わりに、いわゆるアクチベーター処理工程を行なってもよい。また特開平7−159610号等に記載のごとく、内部潜像型オートポジ乳剤を用いて、造核剤や光カブラセとを組合せて、発色現像処理および脱銀処理を行なってもよい。
【0055】
本発明に適用される露光法としては、マスクを通した面露光方式と走査露光方式があるが、走査露光方式がより好ましい。走査露光方式としては発光ダイオードアレイによるライン走査方式、レーザー光によるポイント走査方式、DMD(digital micromirror device)による面走査方式などが本発明に適用できる。光源としてはタングステン灯、ハロゲン灯、蛍光灯、(3波長蛍光灯など)水銀灯、レーザー光、発光ダイオードなどが用いられる。特に、キセノン灯、ハロゲン灯、蛍光灯、レーザー光が好ましい。
【0056】
本発明の方法により製造されたカラーフィルターは、最外層に、耐熱性、耐水性、高比電気抵抗率を有する樹脂を保護層(オーバーコート層)として塗設することができる。かかる樹脂の例は米国特許第4,698,295号、同第4,668,601号、欧州特許出願EP−179,636A号、同556,810A号、特開平3−163416号、同3−188153号、同5−78443号、同1−276101号、特開昭60−216307号、同63−218771号等に記載されている。
【0057】
本発明の方法により製造されたカラーフィルターはさらに蒸着被覆、例えば真空蒸着またはスパッタリング法により透明電極(ITO)を設けることができる。さらにその上にはポリイミド樹脂等の配向膜を設けることができる。また、カラーフィルターの光透過性基板の乳剤面とは反対側の面には偏光板や位相差フィルムを設置してもよい。
【0058】
本発明のカラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置(LCD)について述べる。図4に液晶表示の断面略図の一例を示す。ガラス基板1上に本実施例によって作成したカラーフィルター2の表面は図面に示してないが前記の樹脂で被覆され、保護層が形成されている。その保護膜上に透明電極(例えばITO電極)3が真空成膜装置を用いて付着している。透明電極3はTFTのような三端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDでは全面一体電極として形成され、単純マトリックス駆動LCDやMIMのような二端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDではストライプ電極として通常形成される。この透明電極3の上には液晶分子を整列させるためポリイミド等の配向層4が配置される。一方、液晶層5、スペーサー(図示してない)およびシール材6を挟んで向側のガラス基板7上にも透明電極(例えばITO電極)8およびその上に配向層4が配置される。透明電極8はTFTのような三端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDではTFT素子で接続された画素電極であり、STNのような単純マトリックス駆動LCDでは通常ストライプ電極であり、透明電極3と直交して配置される。R・G・Bの各画素間には通常ブラックマトリックス9が形成され、コントラストや色純度の向上が図られている。ブラックマトリックス9は本発明のようにR・G・Bの各画素と同時に形成することもできるし、Cr膜やカーボン膜などを別途形成することもできる。また、ガラス基板1および2の背面には偏光板10および11を設置する。各ガラス基板と偏光板の間には位相補償フィルム(図示してない)を設置することもできる。カラーフィルターを用いるLCDの光透過率は小さいので、通常カラーフィルターと色再現的に整合性のとれた光源としてバックライト12を設置する。
【0059】
光透過性基板としてガラス基板に代えて、ガス・バリヤ層やハード・コート層を設置したプラスチック・フィルム基板を用いることができる。カラーLCDやその製造法についての詳細は、松本正一・角田市良共著「液晶の基礎と応用」(1991年 工業調査会発行)、日経マイクロデバイス編「フラットパネル・ディスプレイ 1994」(1993年 日経BP社発行)、特開平1−114820号等に記載されている。
【0060】
本発明のカラーフィルターのブラックマトリックスは、マトリックス状、ドット状のいずれの形態もとりうる。また、本発明のカラーフィルターのブラックマトリックスは、透過濃度2.5以上の実質的な黒色となることが好ましい。実質的な黒色とはCIE色度で|a*|<10かつ|b*|<10が好ましく、より好ましくは|a*|<5かつ|b*|<5、最適には|a*|<2かつ|b*|<2である。
【0061】
【実施例】
以下に本発明の実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
感光性ハロゲン化銀乳剤(I)の調製法について述べる。
水1300ml、ゼラチン47g、NaCl3.6gからなるゼラチン水溶液を良く攪拌し、硝酸銀96.0gを含む硝酸銀水溶液(I)410mlとNaCl21.4g、KBr26.3gを含むハロゲン水溶液(I)420mlを同時に7分にわたって添加した。35℃に昇温した後、さらに同様の硝酸銀水溶液(I)410mlとNaCl26.1g、KBr14.2gを含むハロゲン水溶液(II)を同時に20分にわたって添加した。なお、前者のハロゲン水溶液には全銀モル数における1モルあたり、4×10−6モルとなるようにロジウム塩を、後者のハロゲン化銀水溶液は全銀モル数における1モルあたり、1×10−6モルとなるようにイリジウム塩及び1×10−5モルの黄血塩をそれぞれ含ませた。常法により水洗、脱塩を行った後、脱灰処理ゼラチン80gを加えて分散した。pH5.3に調整した後、塩化ナトリウム10%水溶液20mlを加え、臭化銀含有率30モル%の塩臭化銀乳剤を調製した。得られた乳剤の粒子サイズは0.09μm、変動係数は17%であった。
【0062】
(カラーフィルター用ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製)
バック層としてカーボンブラックをポリ塩化ビニルに分散させて塗布した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート支持体にゼラチン下引きを施し、その上に以下に示す構成の第1層から第10層を多層同時塗布し、カラー感光材料1Aを作成した。以下に成分と塗布量(g/m2単位)を示す。なおハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
【0063】
第1層(アンチハレーション層)
ゼラチン ・・・0.70
ハレーション防止染料(微粒子分散) ・・・0.17
カルボキシメチルセルロース ・・・0.05
ポリマー(Cpd−15) ・・・0.14
界面活性剤(Cpd−16) ・・・0.03
硬膜剤(H−1) ・・・0.30
【0064】
第2層(赤感層)
赤色増感色素(ExS−5、6)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.60
ゼラチン ・・・3.75
マゼンタカプラー(ExM−1) ・・・0.60
退色防止剤(Cpd−3) ・・・0.30
退色防止剤(Cpd−5) ・・・0.04
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.60
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.60
【0065】
第3層(赤感層)
赤色増感色素(ExS−5、6)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.30
ゼラチン ・・・2.15
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.75
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.45
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.45
【0066】
第4層(ゼラチン層)
ゼラチン ・・・0.40
イラジエーション防止染料(YF−1) ・・・0.09
イラジエーション防止染料(Dye−1) ・・・0.02
イラジエーション防止染料(Dye−2) ・・・0.05
【0067】
第5層(緑感層)
緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.23
ゼラチン ・・・1.55
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.55
退色防止剤(Cpd−11) ・・・0.35
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.33
ポリマー(Cpd−14) ・・・0.03
【0068】
第6層(緑感層)
緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.16
ゼラチン ・・・0.65
シアンカプラー(ExC−1) ・・・0.55
高沸点溶媒(Solv−5) ・・・0.70
【0069】
第7層(中間層)
ゼラチン ・・・0.45
混色防止剤(Cpd−2) ・・・0.17
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.04
高沸点溶媒(Solv−3) ・・・0.02
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.05
紫外線吸収剤(Cpd−6) ・・・0.03
紫外線吸収剤(Cpd−7) ・・・0.06
硬膜剤(H−1) ・・・0.25
【0070】
第8層(青感層)
青色増感色素(ExS−1、2)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.72
ゼラチン ・・・4.54
シアンカプラー(ExC−2) ・・・0.42
高沸点溶媒(Solv−6) ・・・0.83
【0071】
第9層(中間層)
ゼラチン ・・・0.40
混色防止剤(Cpd−2) ・・・0.08
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.02
高沸点溶媒(Solv−3) ・・・0.03
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.03
紫外線吸収剤(Cpd−6) ・・・0.02
紫外線吸収剤(Cpd−7) ・・・0.05
【0072】
第10層(紫感層)
化学増感のみ行ったハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.20
ゼラチン ・・・0.75
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.25
マゼンタカプラー(ExM−2) ・・・0.60
シアンカプラー(ExC−2) ・・・0.03
退色防止剤(Cpd−3) ・・・0.02
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.14
高沸点溶媒(Solv−2) ・・・0.03
【0073】
第11層(保護層)
ゼラチン(酸処理) ・・・0.65
化合物(Cpd−1) ・・・0.03
スノーテックス−O(日産化学工業(株)製) ・・・0.60
【0074】
各層には乳化分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、補助溶媒として酢酸エチル、塗布助剤として界面活性剤(Cpd−17)を、更に増粘剤としてポリスチレンスルホン酸カリウムを用いた。
【0075】
【化1】
【0076】
【化2】
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
以上のようにして、感光材料1Aを作製した。また、感光材料1Aを作製する際、試料1Aにおける第10層の紫感層のハロゲン化銀乳剤の調製において、ロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用せず、かつ、赤外増感色素(ExS−7)で分光増感したことのみ異なる層(赤外感層)に置き換えたことのみ異なる感光材料2Aを作製した。
以上のようにして作成した感光材料1A、2Aのそれぞれに対し、乳剤面側に、線幅10μmのストライプパターンのマスクを重ね、キセノン灯と感光材料の各感色層の分光感度に合致した4種の色フィルターを用いて順次4回露光した。露光量は処理によって実質的に最大濃度が得られる最小の量とした。露光済み感光材料を下記の工程に従い現像処理、硬膜処理を行い、線幅10μmの黒色のストライプパターンを作成した。
(処理工程) (温度) (時間)
発色現像 38.5 ℃ 150秒
漂白定着 38 ℃ 150秒
水洗−1 35 ℃ 120秒
硬膜処理 38 ℃ 300秒
水洗−2 35 ℃ 40秒
水洗−3 35 ℃ 120秒
乾 燥 60 ℃ 120秒
【0081】
各処理液の組成は、以下のとおりである。
【0082】
発色現像液
水 800ml
D−ソルビット 0.15g
ナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルマリン縮合物 0.15g
ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩 1.8g
ジエチレントリアミン5酢酸 0.5g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 0.15g
ジエチレングリコール 12.0ml
ベンジルアルコール 13.5ml
塩化カリウム 6.5g
臭化カリウム 0.1g
炭酸カリウム 30.0g
亜硫酸ナトリウム 2.4g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 8.0g
トリエタノールアミン 6.0g
ベンゾトリアゾール 0.01g
N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩 6.0g
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=10.6
【0083】
漂白定着液
水 600ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/リットル) 160ml
亜硫酸アンモニウム 40.0g
エチレンジアミン4酢酸・第二鉄アンモニウム 55.0g
エチレンジアミン4酢酸 5.0g
硝酸アンモニウム 10.0g
臭化アンモニウム 25.0g
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=6.0
【0084】
硬膜液
硫酸ナトリウム(無水) 160.0g
炭酸ナトリウム(無水) 4.6g
グリオキザール・プロピレングリコール付加物(55%) 20.0ml
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=9.5
【0085】
水洗水
導電率5μS以下の脱イオン水
【0086】
感光材料1Aにおいて、得られたストライプパターンは2.5以上の実質的な黒色の最高濃度を有し、滲みは観察されなかった。これに対し、感光材料2Aにおいては滲みが観測された。
【0087】
実施例2
第1表に示すように、実施例1に使用した感光材料1Aの黒補正層(1Aにおいては第10層の紫感層である)の感光性、感光性ハロゲン化銀乳剤における金属塩添加量、及び黒補正層の位置を変えて、感光材料3Aから8Aを作成した。ここで感光材料2Aは実施例1で作成したものであり、感光材料2A、3Aにおける赤外感層は、試料1Aにおける第10層の紫感層のハロゲン化銀乳剤の調製において、ロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用せず、かつ、赤外増感色素(ExS−7)で分光増感したことのみ異なる層である。また、感光材料4A、5Aは紫感層のハロゲン化銀乳剤がロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用しないものであり、感光材料6A、7A、8Aは感光材料1Aからロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体の添加量を変更したものである。
これらの各感光材料を実施例1と同様の評価を行なったところ、感光材料1A〜8Aは、いずれも得られたストライプパターンは2.5以上の実質的な黒色の最高濃度を有し、本発明の感光材料1A、4A〜8Aはいずれも滲みが、実質的に観察されなかった。これに対し、比較例の感光材料2Aおよび3Aでは滲みが観測された。
【0088】
次に、上記とは別に、これらの各感光材料(露光前の感光材料)をそれぞれ20℃湿度50%と35℃湿度65%でそれぞれ2週間保管した後、実施例1の感光材料1A、1Bと同様の操作で処理することにより、それぞれ10μmの黒色ストライプパターンを作成した。第2表に、得られた黒色ストライプパターンの最大濃度と最小濃度をマイクロデンシトメータにて測定した結果及び未露光部の光学濃度を示した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
第2表から、露光前の感光材料の保存性に対して、以下のことがわかる。
感光材料1A〜8Aの比較により、黒補正層が450nm以上の波長域に実質的に感光性を有さない紫感光性(上記においては紫感層と称す)である本発明の感光材料1A、4A〜8Aの場合、黒補正層が赤外感光性である比較感光材料2A、3Aと比較し、いずれも最大発色濃度が高く、最小濃度が低く、美しいストライプパターンが得られた。
さらに詳細に第2表をみると、黒補正層が、赤外感光性(赤外感層)の場合は紫感光性(紫感層)の場合と比べてストライプ部の最小濃度が高く、また保存条件をより高温高湿にするに従い、最小濃度の増加が大きくなることがわかる(2A、3A)。このうち、特に赤外感光性の黒補正層が、ハロゲン化銀乳剤層中で、支持体から最も近い位置に存在する場合(3A)、にストライプ部の最小濃度は保存条件にかかわらず顕著に高く、また、赤外感光性の黒補正層がハロゲン化銀乳剤層の中で、支持体から最も離れた位置に存在する場合(2A)は、保存条件がより高温高湿となった時のストライプ部の最小濃度が著しく増加する。
一方、黒補正層が本願の紫感光性である場合にも、感光材料1A、4A〜8Aの比較から、紫感層がハロゲン化銀乳剤層中で支持体から最も離れた位置にある場合や、該紫感層のハロゲン化銀乳剤が8族、9族または10族の金属塩を含有することにより、最大濃度が高く、最小濃度がより低くなり、好ましいことがわかる。なお、紫感層が支持体から最も近い乳剤層である感光材料4Aでは、光学顕微鏡(200倍)で観察するとストライプの境界に滲みが観察された。
また、紫感層が支持体から最も遠いハロゲン化銀乳剤層である感光材料1A、5A〜8Aの比較より、未露光部濃度の観点を加えると、ハロゲン化銀乳剤が8族、9族または10族の金属塩を含有しない(5A)と、未露光部の濃度が増大することからも、これらの金属塩を含有することが好ましく、これらの金属塩の添加量もハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルが好ましいことがわかる。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、複雑な工程を必要とせずに、粒状性に優れ、光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有し、保存安定性に優れたカラーフィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることが出来る感光材料の特性曲線を示すグラフである。
【図2】本発明のカラーフィルターの一態様を示す模式図である。
【図3】本発明の感光材料を露光するときに用いるマスクフィルターの一態様を示す模式図である。
【図4】本発明のカラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置(LCD)の断面略図の一例である。
【符号の説明】
1,7・・・ガラス基板
2・・・カラーフィルター
3,8・・・透明電極
4・・・配向膜
5・・・液晶
6・・・シール剤
9・・・ブラックマトリックス
10,11・・・偏光版
12・・・バックライト
【発明の属する技術分野】
本発明は、複雑な工程を必要とせずに、粒状性に優れ、光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有し、保存安定性に優れたカラーフィルターを製造するのに適したハロゲン化銀感光材料およびこれを用いるカラーフィルターの製造方法、並びにカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターはブラウン管表示用カラーフェイスプレート、複写用光電変換素子プレート、単管式カラーテレビカメラ用フィルター、液晶を用いたフラットパネルディスプレー、カラー固体撮像素子等に用いられている。通常用いられるカラーフィルターは、赤色、緑色及び青色の三原色が規則的に配列して構成されるが、必要に応じて四色あるいはそれ以上の色相からなるものである。例えば撮像管用カラーフィルターや液晶表示装置用カラーフィルターでは、種々の目的で黒色のパターン(ブラックマトリックス)が必要とされる。赤色、緑色、青色の具体的な配列法にはモザイク、ストライプ、デルタ配列などがあり、必要に応じて選択できる。
【0003】
従来から知られているカラーフィルターの製造方法としては、蒸着法、染着法、印刷法、顔料分散法、電着法、レジスト電着転写法等がある。しかしながら、これらの方法で得られたカラーフィルターは、複雑な製造工程を必要とし、また、ピンホールや傷が生じ易いという欠点を持っている。
【0004】
これらの欠点を解消するため、ハロゲン化銀カラー感光材料を使用して製造する方法が提案されている。しかしながら、例えば、特許文献1に記載の方法では、少なくとも3回発色現像する必要があり、処理方法が簡単とは言い難いものであった。一方、1回の発色現像で製造できるものの、ブラックマトリックスを実質的な黒にするために、ハロゲン化銀カラー感光材料に黒補正層を導入する方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらの赤外感光性を有する黒補正層を導入する方法では、微細なブラックマトリックスを描画した際に境界が滲んでしまうという欠点が明らかになった。また、赤外増感色素を用いることにより、露光前のハロゲン化銀感光材料の保存安定性を悪化させるという問題を有していることが分かった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−6342号公報
【特許文献2】
特開平8−314080号公報
【特許文献3】
特開平10−177111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、前記の問題点を克服し、複雑な工程を必要とせず、量産適性があり、画質、特に粒状性に優れ、さらに光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有するカラーフィルターを安価に製造するカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料を提供することにある。さらに本発明は、上記のような高品位なカラーフィルターならびにその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明の目的は、以下の手段で達成できることを見出した。
(1)光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも1層の非感光性の親水性コロイド層を塗設したハロゲン化銀感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層であることを特徴とするカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(2)前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、ブラックマトリックスの透過濃度が2.5以上の実質的な黒色となるように補正する色素形成カプラーを含有する層であることを特徴とする(1)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(3)前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、450nm以上の波長域に感光性を有するいずれのハロゲン化銀乳剤層よりも支持体から離れた位置に存在することを特徴とする(1)または(2)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(4)少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が少なくとも一種の8族、9族または10族元素の塩を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(5)前記8族、9族または10族元素の塩の含有量が、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルであることを特徴とする(4)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(6)前記8族、9族または10族元素がイリジウム、ロジウム、オスミウムまたは白金であることを特徴とする(4)または(5)項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀感光材料を、パターン露光し、発色現像処理及び脱銀処理して、青色、緑色及び赤色のピクセルパターンを有するものとしたことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
(8)(7)項に記載の方法で製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に述べる。
【0009】
本発明のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料は、光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも一層の非感光性の親水性コロイド層を塗設され、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層であるハロゲン化銀感光材料である。
まず最初に、本発明で好ましく使用されるハロゲン化銀乳剤について説明する。
本発明の感光材料に使用できるハロゲン化銀粒子は、塩化銀、沃塩化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀であるが、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤は塩化銀含有率が30モル%以上であることが好ましい。さらに好ましくは塩化銀含有率が50モル%以上である。沃化銀含有率は、2モル%以下が好ましいが、より好ましくは1モル%以下である。さらに好ましくは、0.5モル%以下である。本発明で使用されるハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型であっても、内部潜像型であってもよい。内部潜像型乳剤は、造核剤や光カブラセとを組み合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表面で異なるハロゲン組成を持っている多重構造粒子であってもよい。また、エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀乳剤が接合されていてもよい。特に、本発明で使用される高塩化銀乳剤においては、臭化銀局在相を、層状もしくは非層状にハロゲン化銀内部および/または表面に有する構造のものも使用できる。ここで、臭化銀局在相とは周囲よりも臭化銀の濃度が高い部位を意味する。上記局在相のハロゲン組成は、臭化銀含有率が少なくとも20モル%のものが好ましく、30モル%を越えるものが好ましい。臭化銀局在相の臭化銀含有率は、X線回折法等で分析される。例えば、シー アールベリイ、エス ジェイ マリノ(C.R.Berry,S.J.Marino)著フォトグラフィックサイエンス アンド テクノロジー(Photographic Science and Technology)2巻149頁(1955)および同4巻22頁(1957)にX線回折法のハロゲン化銀粒子への適用法が記載されている。臭化銀局在相は、粒子内部、粒子表面のエッジ、コーナー、あるいは面上にあることができるが、好ましい例として、粒子のコーナー部にエピタキシャル接合したものが挙げられる。
【0010】
ハロゲン化銀粒子の形状は、双晶面を含まない正常晶、双晶面を1つ含む一重双晶、平行な双晶面を2つ以上含む平行多重双晶、非平行な双晶面を2つ以上含む非平行多重双晶、球状、じゃがいも状、高アスペクト比の平板状およびそれらの複合系から目的に応じて使用できる。双晶粒子の形状については、日本写真学会編、写真工業の基礎−銀塩写真編(コロナ社)、第163頁に記載されている。正常晶の場合には(100)面からなる立方体、(111)面からなる8面体、あるいは(110)面から成る12面体粒子を用いることができる。12面体粒子については、特公昭55−42737号および特開昭60−222842号各公報に記載されている。さらに、Journal Imaging Science,30巻,247頁(1986年)に報告されている。(hll)面、(hhl)面、(hk0)面、(hkl)面粒子も目的に応じて用いることができる。(111)面と(100)面を有する14面体や(111)と(110)面を有する粒子も利用可能である。必要に応じて、38面体、偏菱形24面体、46面体、68面体等の多面体粒子を使用することもできる。高アスペクト比の平板も、好ましく使用できる。(111)面から成る高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は米国特許第4,399,215号、同第4,400,463号、同第5,217,858号、特開平2−32号等に記載されており、(100)面からなる高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は、米国特許第4,946,772号、同第5,275,930号、同第5,264,337号、特開平6−59360号、特開平6−308648号、欧州特許0534395A1号等に記載されている。このような、高アスペクト比の平板粒子は、同一体積の正常晶と比べて、表面積が大きいので増感色素の吸着量を増やせるので、色増感感度の点で有利である。また、比表面積が大きいので、現像活性も高いという特長を有する。
【0011】
本発明に使用するハロゲン化銀粒子の平均粒径は、出来るだけ低銀量で比表面積が大きく、高い現像活性を得るため、また、高解像度を得るために、0.03μm〜0.9μmが好ましく、特に0.05μm〜0.3μmが好ましい。平板粒子の場合は、厚みが0.03μm〜0.9μmが好ましく、特に0.05μm〜0.3μmが好ましい。狭い粒子サイズ分布を有する単分散乳剤を用いてもよい。単分散乳剤は、例えば、粒子数あるいは重量で平均粒子サイズの±30%以内に全粒子の80%以上が入るような粒子サイズ分布を有するハロゲン化銀乳剤である。また変動係数で20%以下、特に15%以下の単分散ハロゲン化銀乳剤であってもよい。広い粒子サイズ分布を有する多分散乳剤を用いてもよい。また、特開平1─167743号、同4─223463号の各公報に記載のように、階調の調整を目的として、実質的に同一の感色性を有し粒子サイズの異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。2種以上の乳剤は、同一層に混合してもよいし、別々の層を構成してもよい。2種類以上の多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳剤との組み合わせを使用することもできる。
【0012】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去する脱塩工程を行うのが好ましい。ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また、多価アニオンよりなる無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、ゼラチン誘導体(脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法(フロキュレーション)を用いてもよい。あるいは、米国特許第4,758,505号、特開昭62−113137号、特公昭59−43727号、米国特許第4,334,012号に示される限外濾過装置を用いてもよいし、自然沈降法、遠心分離法を用いてもよい。通常は、沈降法が好ましく用いられる。
【0013】
ハロゲン化銀乳剤の調製方法は、グラフキデ著「写真の物理と化学」(ポールモンテル社刊)(P.Glafkides,Chimie et Physique Photographic Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」(フォーカルプレス社刊)(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry(FocalPress,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」(フォーカルプレス社刊)(V.L.Zelikman et al,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964) に記載がある。調製方法は、酸性法、中性法およびアンモニア法のいずれでもよい。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せを用いることができる。粒子を銀イオン過剰の状態において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液層中のpAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶系が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0014】
ハロゲン化銀乳剤の調製において、粒子形成中のpAgとpHを調整することが好ましい。pAgとpHの調整については、フォトグラフィク・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering),第6巻,159〜165頁(1962);ジャーナル・オブ・フォトグラフィク・サイエンス(Journal of Photographic Science),12巻,242〜251頁(1964)、米国特許第3,655,394号および英国特許1413748号各明細書に記載がある。
【0015】
本発明における乳剤調製時に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチンが好ましく使用されるが、それ以外の親水性バインダーも用いることができる。親水性バインダーは、単独あるいはゼラチンとの併用で使用できる。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、アルブミンやカゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロースやセルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体、多糖類、カラギナン、ポリビニルアルコールや変成アルキルポリビニルアルコールやポリビニル−N−ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドやポリビニルイミダゾールやポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体のような合成親水性高分子、米国特許第3,615,624号記載のチオエーテルポリマーも好ましく使用できる。ゼラチンは、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンや脱灰ゼラチンやフタル化ゼラチンのようなゼラチン誘導体や低分子のゼラチンも使用できる。過酸化水素のような酸化剤で酸化処理されたゼラチンや酵素で処理されたゼラチンも使用できる。ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0016】
ハロゲン化銀溶剤の例としては、チオシアン酸塩(米国特許第2,222,264号、同第2,448,534号、同第3,320,069号各明細書記載)、チオエーテル化合物(米国特許第3,271,157号、同第3,574,628号、同第3,704,130号、同第4,297,439号、同第4,276,347号各明細書記載)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号各公報記載)およびイミダゾール系化合物(特開昭54−100717号公報記載)、ベンツイミダゾール(特公昭60−54662号公報記載)、およびアミン化合物(特開昭54−100717号公報記載)を挙げることができる。なお、アンモニアも悪作用を伴わない範囲でハロゲン化銀溶剤と併用することができる。特公昭46−7781号、特開昭60−222842号、特開昭60−122935号の各公報等に記載されているような含窒素化合物をハロゲン化銀粒子形成段階に添加することができる。ハロゲン化銀溶剤の具体例の詳細は、特開昭62−215272号公報の12頁〜18頁に記載されている。本発明における乳剤調製時にはこれらのハロゲン化銀溶剤を用いることができるが、用いない方がより好ましい。
【0017】
ハロゲン化銀の粒子形成または物理熟成の過程において、金属塩(錯塩を含む)も共存させてもよい。金属塩の例としては、カドミウム、亜鉛、鉛、タリウム、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム、ロジウム、クロム、ルテニウム、レニウム等の貴金属または重金属の塩あるいは錯塩を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。添加量はハロゲン化銀1モルあたり、1×10−9〜1×10−3モル程度である。錯イオンおよび配位化合物としては、臭素イオン、塩素イオン、シアンイオン、ニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、水、アンモニア等およびそれらの組み合わせが好ましく用いられる。例えば、黄血塩、K2 IrCl6 、K3 IrCl6 、( NH4 )2 RhCl5 (H2O)、K2 RuCl5 (NO)、K3Cr(CN)6 等が好ましく用いられる。添加量は、使用する目的にもよるが、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−9〜1×10−2モルの範囲程度である。また、ハロゲン化銀粒子に組み込む位置は、粒子内均一でもよいし、粒子の表面あるいは内部等の局在した位置や臭化銀局在相や高塩化銀粒子基盤でもよい。これらの化合物の添加方法は、粒子形成時のハロゲン化物水溶液に該金属塩溶液を混合したり、該金属イオンがドープされたハロゲン化銀乳剤微粒子を添加したり、あるいは、該金属塩溶液を粒子形成中、粒子形成後に直接添加したりすることで行える。高照度露光の感度や濃度を増加させるために、イリジウム及び黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛が好ましく使用できる。赤色や赤外領域で分光増感する場合、黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛を用いるのが好ましい。本発明においては露光時の照度ムラを低減するために階調はできるだけ硬調であることが望ましい。硬調化の目的で、イリジウム塩、ロジウム塩、ルテニウム塩、クロム塩が、好ましく用いられる。また、本発明においては現像時間の増加に伴うカブリの発生はできるだけ小さいことが好ましい。現像時間の増加に伴うカブリの発生を低減させるために、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルである少なくとも一種の8族、9族または10族元素の塩(錯塩を含む)がハロゲン化銀乳剤に含まれていることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。特に好ましい8族、9族または10族元素としてはイリジウム、ロジウム、オスミウムまたは白金が挙げられる。
【0018】
ハロゲン化銀粒子の形成時に、添加する銀塩溶液(例えばAgNO3 水溶液)とハロゲン化合物溶液(例えばKBr水溶液)の添加速度、添加量あるいは添加濃度を上昇させ、粒子形成速度を速めてもよい。このように、急速にハロゲン化銀粒子を形成する方法は、英国特許1335925号、米国特許第3,672,900号、同第3,650,757号、同第4,242,445号の各明細書、ならびに、特開昭55−142329号、同55−158124号、同58−113927号、同58−113928号、同58−111934号、同58−111936号の各公報に記載がある。
【0019】
粒子形成中または粒子形成後にハロゲン化銀粒子表面に難溶性のハロゲン化銀粒子を形成するハロゲンで置換してもよい(ハロゲン変換)。このハロゲン変換過程は、「ディー・グルンドラーゲン・ディア・フォトグラフィシェン・プロツェセ・ミット・ジルファーハロゲニデン」(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silverhalogeniden),662〜669頁や「ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of Photographic Process),第4版,97〜98頁等に記載されている。この方法は、可溶性ハロゲン化物の溶液で添加しても良いし、微粒子ハロゲン化銀の状態で添加してもよい。
【0020】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、未化学増感のままで使用できるが、通常、化学増感して使用される。本発明に用いられる化学増感法には、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感および還元増感法等を単独または組み合わせて用いることができる(例えば、特開平3−110555号、特願平4−75798号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うことができる(特開昭62−253159号)。また、後述するカブリ防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号、特開昭62−40446号記載の方法を用いることができる。
【0021】
硫黄増感剤としては、不安定なイオウ化合物を用い、具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、アリルチオ尿素等)、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン類、メルカプト類等の公知の硫黄化合物を用いればよい。硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに充分な量でよく、適量はpH、温度、他の増感剤とのかねあい、ハロゲン化銀粒子の大きさ等、種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−9〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0022】
セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、セレノケトン類、セレノアミド類、脂肪族イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノカルボン酸及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセレナイド類、ジエチルジセレナイド類等のセレナイド類を用いることができる。添加量は硫黄増感剤と同様に種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−10〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0023】
本発明においては上記のカルコゲン増感の他に貴金属による増感も行うことができる。まず、金増感においては、金の価数が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いられる。代表的な例としては塩化金酸類、カリウムクロロオーレート、オーリクトリクロライド、カリウムオーリチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラオーリックアシド、アンモニウムオーロチアシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、硫化金、金セレナイド、テルル化金等が挙げられる。金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−10〜1×10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。金増感剤の添加時期は硫黄増感あるいはセレン増感、テルル増感と同時でも、硫黄あるいはセレン、テルル増感工程の途中や前、あるいは終了後でもよいし、金増感剤を単独に用いることも可能である。本発明における硫黄増感、セレン増感またはテルル増感や金増感を施す乳剤のpAg、pHに特に制限はないがpAgは5〜11、pHは3〜10の範囲で使用するのが好ましい。さらに、好ましくは、pAgは6.8〜9.0、pHは4.5〜8.5の範囲である。本発明において金以外の貴金属も化学増感剤として使用可能である。金以外の貴金属としては例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムのような金属塩あるいはそれらの錯塩による増感剤も使用できる。
【0024】
本発明においては更に還元増感を行うことができる。本発明で用いられる還元増感剤としては、アスコルビン酸、第一錫塩、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物等が公知である。本発明には、これら公知の化合物の1種を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤として、塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、L−アスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィル酸が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤条件に依存するので、添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルの範囲が適当である。また上記の還元増感剤を添加する方法の他に銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、水素ガスを通したり、電気分解による発生期の水素によって、還元増感する方法をも選ぶことができる。さらには2つ以上の方法を併用することもできる。この還元増感は単独でも用いることができるが、上記カルコゲン増感や貴金属増感と組合せて用いることもできる。
【0025】
本発明に用いられるハロゲン化銀に緑感性、赤感性等の感色性をもたせるために、感光性ハロゲン化銀乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されてもよい。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してよい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性異節環核としてのシアニン色素類に通常利用される各のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核等;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核等が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよい。メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5〜6員の異節環核等を適用することができる。具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180550号、同64−13546号、特開平5−45828号、同5−45834号等に記載の増感色素が挙げられる。これらの増感色素は単独に用いてよいが、それらの組み合わせを用いてもよく、増感色素の組み合わせは、特に、強色増感や分光増感の波長調節の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であっても、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでいてもよい(例えば、米国特許第3,615,641号、特開昭59−192242号、同59−191032号、同63−23145号記載のもの)。特に、特開昭59−191032号および同59−192242号記載のものは赤域から赤外域に分光増感感度を有する増感色素を用いる場合、好ましく使用される。
【0026】
色素を乳剤中に添加する時期は、乳剤調製のいかなる段階であってもよい。もっとも普通には、化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号および同第4,225,666号各明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し、分光増感を化学増感と同時に行うことも、特開昭58−113928号公報に記載されているように化学増感に先立って行うこともできる。また、ハロゲン化銀粒子沈殿生成の完了前に添加し、分光増感を開始することもできる。さらにまた米国特許第4,225,666号明細書に教示されているように、これらの前記化合物を分けて添加すること、すなわち、これらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号明細書に教示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。添加量は、ハロゲン化銀1モル当り9×10−9〜9×10−3モルで用いることができる。これらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの親水性の有機溶媒の溶液、水溶液(溶解性を高めるためにアルカリ性や酸性の場合あり)、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。
【0027】
増感色素の吸着強化のため、増感色素添加前後および添加中に、可溶性のCa化合物、可溶性のBr化合物、可溶性のI化合物、可溶性のCl化合物、可溶性のSCN化合物を添加してもよい。これらの化合物を併用してもよい。好ましくは、CaCl2、KI、KCl、KBr、KSCNである。また、微粒子の臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、沃化銀、ロダン銀乳剤粒子の状態であってもよい。
【0028】
本発明においてハロゲン化銀の全塗布量は感光材料1m2当り1×10−3〜5×10−2モルであり、各ハロゲン化銀乳剤層中の含有カプラーに対して当量比で1以上2以下であるのが好ましく、また含有バインダー1gに対して5×10−4〜1×10−2モルであるのが好ましい。
【0029】
本発明の乳剤を適用する写真感光材料のその他の添加剤に関しては特に制限はなく、例えば、リサーチディスクロージャー誌(Reaearch Disclosure)176巻、アイテム17643(RD−17643)、同187巻、アイテム18716(RD−18716)および同307巻、アイテム307105等の記載を参考にすることができる。
【0030】
このような工程で使用される添加剤および本発明の感光材料に使用できる公知の写真用添加剤をRD−17643、RD−18716およびRD−307105における各種添加剤の記載箇所を以下にリスト化して示す。
【0031】
前記添加剤のうちカブリ防止剤、安定化剤としてはアゾール類(例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、ニトロインダゾール類、ベンゾトリアゾール類、アミノトリアゾール類など);メルカプト化合物類{例えば、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよびその誘導体)、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類など};例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類{例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ−6−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、ペンタアザインデン類など};ベンゼンチオスルホン類;ベンゼンスルフィン酸;ベンゼンスルホン酸アミド等を好ましく用いることができる。
【0032】
本発明には種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643,VII−C〜Gに記載された特許に記載されている。本発明に用いるカプラーとしては、活性位が水素原子の四当量カラーカプラーよりも離脱基で置換された二当量カラーカプラーの方が、塗布銀量を低減できる点で好ましい。
【0033】
本発明に使用できるイエローカプラーとしては、オイルプロテクト型のアシルアセトアミド系カプラーが代表例として挙げられる。その具体例は、米国特許第2,407,210号、同第2,875,057号および同第3,265,506号などに記載されている。本発明には、二当量イエローカプラーの使用が好ましく、米国特許第3,408,194号、同第3,447,928号、同第3,935,501号および同第4,022,620号などに記載された酸素原子離脱型のイエローカプラーあるいは特公昭58−10739号、米国特許第4,401,752号、同第4,326,024号、RD18053(1979年4月)、英国特許第1,425,020号、西独出願公開第2,219,917号、同第2,261,361号、同第2,329,587号および同第2,433,812号などに記載された窒素原子離脱型のイエローカプラーがその代表例として挙げられる。α−ピバロイルアセトアニリド系カプラーは発色色素の堅牢性、特に光堅牢性が優れており、一方、α−ベンゾイルアセトアニリド系カプラーは高い発色濃度が得られる。
【0034】
本発明に使用できるマゼンタカプラーとしては、オイルプロテクト型の、好ましくは5−ピラゾロン系およびピラゾロトリアゾール類などピラゾロアゾール系のカプラーが挙げられる。5−ピラゾロン系カプラーは3−位がアリールアミノ基もしくはアシルアミノ基で置換されたカプラーが、発色色素の色相や発色濃度の観点で好ましく、その代表例は、米国特許第2,311,082号、同第2,343,703号、同第2,600,788号、同第2,908,573号、同第3,062,653号、同第3,152,896号および同第3,936,015号などに記載されている。二当量の5−ピラゾロン系カプラーの離脱基として、米国特許第4,310,619号に記載された窒素原子離脱基または米国特許第4,351,897号に記載されたアリールチオ基が特に好ましい。また欧州特許第73,636号に記載のバラスト基を有する5−ピラゾロン系カプラーは高い発色濃度が得られる。
【0035】
ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米国特許第3,369,879号記載のピラゾロベンズイミダゾール類、好ましくは米国特許第3,725,067号に記載されたピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類、リサーチ・ディスクロージャー24220(1984年6月)に記載のピラゾロテトラゾール類およびリサーチ・ディスクロージャー24230(1984年6月)に記載のピラゾロピラゾール類が挙げられる。発色色素のイエロー副吸収の少なさおよび光堅牢性の点で欧州特許第119,741号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類は好ましく、欧州特許第119,860号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾールは特に好ましい。
【0036】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0037】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0038】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。また、米国特許第6,261,755号に記載の形成された色素の吸収の半値巾が狭いフェノールシアンカプラーを用いることも好ましい。
【0039】
その他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラーとしては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同4,338,393号、同第4,310,618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、欧州特許第173,302A号に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー等が挙げられる。また黒色補正用のカプラーはイエロー、マゼンタ、シアンに発色するものでなくても、例えば褐色、オレンジ色、紫色、黒色等に発色するものでもよい。本発明において各ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀対カプラーの当量比は1以上4以下が好ましい。ここでいう当量比とは、カプラーをすべて発色させるのに必要なハロゲン化銀の理論量を当量比1とし、例えば理論量の2倍量ハロゲン化銀を塗布する場合、当量比2である。すなわち2当量カプラーを使用する場合、カプラー1モルに対して塗布銀量が2モルであるとき、当量比1であり、塗布銀量が4モルのとき、当量比2である。
【0040】
本発明に使用できるカプラーは、種々の公知の分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は米国特許第2,322,027号などに記載されている。高沸点溶媒の量はカプラー1gに対して10g以下、好ましくは5g以下である。また、バインダー1gに対しては5g以下、好ましくは2g以下である。水中油滴分散法で得られるカプラー分散物(カプラー乳化物)のサイズは0.05μm〜0.9μm、好ましくは0.1μm〜0.5μmである。
【0041】
ラテックス分散法の工程、効果、および含浸用のラテックスの具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特許出願(OLS)第2,541,274号および同第2,541,230号などに記載されている。本発明に係わる感光材料には、カプラーを含有する層に欧州公開特許EP0,277,589A2号に記載のような色像保存性改良化合物を使用するのが好ましい。特にピラゾロアゾール系マゼンタカプラーとの併用が好ましい。
【0042】
即ち、発色現像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬と反応して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する化合物(F)及び/又は発色現像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬の酸化体と反応して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する化合物(G)を同時に又は単独に用いることが、例えば処理後の保存における膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーとの反応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作用を防止する上で好ましい。
【0043】
本発明に係わる感光材料のハロゲン化銀乳剤層や中間層等には、色カブリ防止剤または混色防止剤として、ヒドロキノン誘導体、アミノフェノール誘導体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導体等を含有してもよい。これらの化合物の中で、160〜200℃に加熱してもステインを発生しにくいものが好ましい。
【0044】
また、シアン色素像の熱および特に光による劣化を防止するためには、シアン発色層及びそれに隣接する両側の層に紫外線吸収剤を導入することがより効果的である。紫外線吸収剤としては、アリール基で置換されたベンゾトリアゾール化合物(例えば、米国特許第3,533,794号に記載のもの)、4−チアゾリドン化合物(例えば、米国特許第3,314,794号や同第3,352,681号に記載のもの)、ベンゾフェノン化合物(例えば、特開昭46−2784号に記載のもの)、ケイ皮酸エステル化合物(例えば、米国特許第3,705,805号や同第3,707,395号に記載のもの)、ブタジエン化合物(例えば、米国特許第4,045,229号に記載のもの)あるいはベンズオキサゾール化合物(例えば、米国特許第3,406,070号や同第4,271,307号に記載のもの)を用いることができる。紫外線吸収性のカプラー(例えば、α−ナフトール系のシアン色素形成カプラー)や紫外線吸収性のポリマー等を用いてもよい。これらの紫外線吸収剤は特定の層に媒染されていてもよい。中でも前記のアリール基で置換されたベンゾトリアゾール化合物が好ましい。
【0045】
また、本発明に係わる感光材料の親水性コロイド層は、通常のカラー写真感光材料に用いられる親水性コロイド層を用いることができる。感光材料には親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌防黴剤を添加するのが好ましい。
【0046】
本発明の感光材料のハロゲン化銀乳剤層や中間層、保護層に用いることができるバインダーまたは保護コロイドとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性ポリマーも用いることができる。親水性ポリマーとして、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、カラギーナン、アラビアゴム、更にヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル、セルロースアセテート水素フタレートおよびアルギン酸ナトリウムなどのセルロース誘導体等の単一あるいは共重合体を挙げられる。また、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーでもよく、ゼラチン−グラフトポリマーとしては、ゼラチンにアクリル酸、メタアクリル酸、それらのエステル、アミドなどの誘導体、アクリロニトリル、スチレンなどのビニル系モノマーの単一または共重合体をグラフトさせたものを用いることができる。ことにゼラチンとある程度相溶性のあるポリマーたとえばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ヒドロキシアルキルメタアクリレート等の重合体とのグラフトポリマーが好ましい。これらの例は米国特許第2,763,625号、同第2,831,767号、同第2,956,884号、特開昭56−65133号等に記載がある。代表的な合成親水性高分子物質として、例えば西独特許出願(OLS)2,312,708号、米国特許第3,620,751号、同第3,879,205号、特公昭43−7561号等に記載のものも使用できる。上記の親水性ポリマーは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
ゼラチンとしてはアルカリ処理、酸処理、酵素処理のいずれかを施したもの、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。またゼラチンに例えば酸ハライド、酸無水物、イソシアネート類、ブロモ酢酸、アルカンサルトン酸、ビニルスルホンアミド類、マレインイミド化合物類、ポリアルキレンオキシド類、エポキシ化合物類等種々の化合物を反応させて得られるゼラチン誘導体も用いられる。ゼラチン誘導体の具体例は米国特許第2,614,928号、同第3,132,945号、同第3,186,846号、同第3,312,553号、英国特許861,414号、同1,033,189号、同1,005,784号、特公昭42−26845号等に記載されている。
【0048】
本発明に用いる感光材料における全バインダー量は5〜30g/m2が好ましく、各ハロゲン化銀乳剤層や中間層などのバインダー含有量は一層あたり0.1g〜10g/m2が好ましく、特に0.2g〜8g/m2が好ましい。
【0049】
本発明に用いるプラスチック透明支持体は、光学的に等方で、光透過性であることが好ましい。光学的に等方な支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリアクリレート(PMA:Tg=100℃)、ポリメタクリレート(PMMA:Tg=105℃)、ポリスチレン(PSt:Tg=100℃)、ポリカーボネート(PC:Tg=145℃)、ポリアリレート(PAr:Tg=210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:Tg=220℃)、ポリスルホン(PSF:Tg=190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号の実施例1の化合物:Tg=162℃)、変性ポリカーボネート(MPC:特開2000−227603号の実施例4の化合物:Tg=225℃)、アクルロイル化合物(特開2002−80616号の実施例1の化合物:Tg=300℃以上)、ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
光学的に等方な支持体としては耐熱性の高いものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PAr、PES、PSF、COC、MPC、アクリロイル化合物、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にPAr、PES,MPC、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、さらにMPCが好ましい。MPCの具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)をビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂が挙げられる。これらの支持体は溶融成膜、溶液成膜のいずれでもよいが、より好ましいのが平面性に優れる溶液成膜である。さらにこれらの支持体は延伸、未延伸のいずれでもよいが、延伸フィルムの場合、光学的等方性を達成するために、縦、横の延伸バランスを合わせる必要がある。これらのなかで好ましいのが未延伸成膜である。これらの素材で構成される支持体の表面は必要に応じて下塗り処理されてもよい。さらに、グロー放電、コロナ放電、紫外線(UV)照射などの処理を施してもよい。光透過性支持体は、板状、シート状あるいはフィルム状等の形態で使用することが出来る。支持体の厚みは、用途および材質にあわせて適宜に設定できるが、一般には0.01〜10mmである。本発明に用いる支持体は塗布等の際のハンドリングを容易にさせる等の目的でハロゲン化銀感光材料層が塗設される側と反対の面に他のフイルムなどを有してもよい。この場合、支持体とはハロゲン化銀感光材料層が塗設され最終的にカラーフィルターを構成する部分までを指し、ハロゲン化銀感光材料層が塗設される側と反対の面に存在する最終的にカラーフィルターを構成しない他のフイルムなどは含まない。
【0050】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料は、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも一層の非感光性コロイド層を有するものであり、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層は色素形成カプラーを含有し、450nm以上の波長域において、実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層(以後、該450nm以上の波長域において、実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層を「本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層」と称す。)である。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は450nm以上の波長域に実質的に感光性を有さないが、好ましくは430nm以上の波長域に実質的に感光性を有さないものである。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は紫感性であることが好ましく、この感光波長領域は、好ましくは300nm以上450nm未満の波長域、より好ましくは300nm以上430nm未満、さらに好ましくは300nm以上420nm未満の波長域で感光するものである。このようなハロゲン化銀乳剤層は1〜3層のように複数存在していても構わないが、1〜2層が好ましく、1層である場合が更に好ましい。
本発明では、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含め、少なくとも4つの異なる感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するものであるが、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層以外の感光性層は、紫感性、青感性、緑感性、赤感性、赤外感性、黄感性の各感色性から異なった少なくとも3つ感色性の感光性層から構成されるものが好ましく、全てが赤外感性(例えば第一赤外感性、第二赤外感性、第三赤外感性の組み合わせ)であっても構わない。本発明においては、特に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも一層有するものが好ましい。
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料は、青感性乳剤層にイエローカプラーを、緑感性乳剤層にマゼンタカプラーを、そして赤感性乳剤層にシアンカプラーを含有する通常のネガ型またはポジ型のカラー写真感光材料に、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含有するもののほかに、下記の構成を有する感光材料である。
本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を有さないハロゲン化銀感光材料のうち好ましいものは以下のものである。
即ち、図1に示す特性曲線を有す材料を使用し、青感性乳剤層にはシアンカプラーとマゼンタカプラー(または青カプラー)を含有させ、緑感性乳剤層にはイエローカプラーとシアンカプラーを含有させ、赤感性乳剤層にはイエローカプラーとマゼンタカプラー(または赤カプラー)を含有させる(以後、構成Aと称す)。そして、図1のA点とB点の位置の露光を与えることの出来るパターンを有する図3のような4種のマスクフィルター及び感光材料の分光感度に合致した色フィルターを用いて赤色、緑色、青色及び白色光で露光する。その後、発色現像、脱銀処理、水洗処理を施すことにより図2に示すような赤色、緑色、青色及び黒色に発色したカラーフィルターが得られる。
本発明のハロゲン化銀乳剤層は、上記の構成Aに加え、これに更に本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層を含有するものであり、該ハロゲン化銀乳剤層は、色補正、好ましくは黒を補正するために使用される。
【0051】
ここで、本発明のハロゲン化銀乳剤層は、紫感性乳剤層であることが好ましく、該層に含有されるカプラーは、目的とする色補正の色に応じてカプラーを選択することができる。色補正用のカプラーは赤、緑、及び青感性乳剤層で用いたカプラーと同一であっても異なってもよい。本発明においては、該層は好ましくは黒補正層として機能するものであり、使用するカプラーとしては黒発色カプラーであっても、イエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーの組み合わせであってもよいが、好ましくはイエローカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーを混合して使用するものである。本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層には支持体上の全カプラーを反応させたとき、透過濃度2.5以上の実質的な黒色(END≧2.5)となるように色補正するカプラーを含有させることが特に好ましい。実施的な黒色としては、END(等価中性濃度)が2.5以上であるが、好ましくは2.5〜6.0、より好ましくは3.0以上(好ましくは3.0〜6.0)である。この第4のハロゲン化銀乳剤層は、前述のように、二つ以上の単位層で構成してもよい。この場合、各単位層の層構成と含有カプラーを適当に選択することにより、隣接する他のハロゲン化銀乳剤層との間の中間層を除去することも出来る。
前記の構成Aに上記の黒補正層を付与した本発明の感光材料は、上記の第4の感光性層を有さない場合と同様に図3のような4種のマスクフィルター、及び感光材料の分光感度に合致した色フィルターを用いて、赤色、緑色、青色、白色露光をした後、発色現像、脱銀処理、水洗処理を施すことにより図2に示すような赤色、緑色、青色及び高濃度の黒色に発色したカラーフィルターが得られた。
【0052】
本発明においては、上記に具体的に示した各層(構成A)の感色性は青感性、緑感性、赤感性、及び紫感性の組み合わせに限らず、赤外感性や黄感性、紫外感性などと組み合わせてもよいし、感光波長領域の異なる赤外感性を複数採用してもよいことは既に述べたが、本発明においては、具体的に示した上記の組み合わせが好ましく用いられる。また、異なる感色性を持つハロゲン化銀乳剤層の塗設の順序は任意に設定できるが、本発明の特定のハロゲン化銀乳剤層は他の感色性を持つハロゲン化銀乳剤層のいずれのものより支持体から離れて塗設されることが好ましい。このように塗設することにより、微細なブラックマトリクスの境界の滲みが大幅に低減される。なお、特にブラックマトリクスの光学濃度を2.5以上の実質的な黒となるまで現像した場合に、未露光部の濃度が上昇する傾向にあるが、ハロゲン化銀乳剤に、既に説明した8族、9族または10族元素の塩を使用することで大幅に改良される。
本発明のハロゲン化銀感光材料は、さらに上記の層構成に加えて、必要に応じて下引き層、中間層、漂白可能な黄色フィルター層、保護層あるいは紫外線吸収層などを設けてもよい。本発明においては前述の構成Aに上記の黒補正層を付与したものが色再現上特に好ましく用いられる。
【0053】
本発明に用いる感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、および同No.18716の651頁左欄〜右欄等に記載された通常の方法により発色現像処理することによりマイクロカラーフィルターを得ることができる。
【0054】
例えば、発色現像処理工程、脱銀処理工程、水洗処理工程が行なわれる。脱銀処理工程では、漂白液を用いた漂白工程と定着液を用いた定着工程の代わりに、漂白定着液を用いた漂白定着処理工程を行なうこともできるし、漂白処理工程、定着処理工程、漂白定着処理工程を任意の順に組み合わせてもよい。水洗処理工程の代わりに安定化工程を行なってもよいし、水洗処理工程の後に安定化工程を行なってもよい。また、発色現像、漂白、定着を1浴中で行なう1浴現像漂白定着処理液を用いたモノバス処理工程を行なうこともできる。これらの処理工程に組み合わせて、前硬膜処理工程、その中和工程、停止定着処理工程、後硬膜処理工程、調整工程、補力工程等を行なってもよい。これらの処理において、発色現像処理工程の代わりに、いわゆるアクチベーター処理工程を行なってもよい。また特開平7−159610号等に記載のごとく、内部潜像型オートポジ乳剤を用いて、造核剤や光カブラセとを組合せて、発色現像処理および脱銀処理を行なってもよい。
【0055】
本発明に適用される露光法としては、マスクを通した面露光方式と走査露光方式があるが、走査露光方式がより好ましい。走査露光方式としては発光ダイオードアレイによるライン走査方式、レーザー光によるポイント走査方式、DMD(digital micromirror device)による面走査方式などが本発明に適用できる。光源としてはタングステン灯、ハロゲン灯、蛍光灯、(3波長蛍光灯など)水銀灯、レーザー光、発光ダイオードなどが用いられる。特に、キセノン灯、ハロゲン灯、蛍光灯、レーザー光が好ましい。
【0056】
本発明の方法により製造されたカラーフィルターは、最外層に、耐熱性、耐水性、高比電気抵抗率を有する樹脂を保護層(オーバーコート層)として塗設することができる。かかる樹脂の例は米国特許第4,698,295号、同第4,668,601号、欧州特許出願EP−179,636A号、同556,810A号、特開平3−163416号、同3−188153号、同5−78443号、同1−276101号、特開昭60−216307号、同63−218771号等に記載されている。
【0057】
本発明の方法により製造されたカラーフィルターはさらに蒸着被覆、例えば真空蒸着またはスパッタリング法により透明電極(ITO)を設けることができる。さらにその上にはポリイミド樹脂等の配向膜を設けることができる。また、カラーフィルターの光透過性基板の乳剤面とは反対側の面には偏光板や位相差フィルムを設置してもよい。
【0058】
本発明のカラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置(LCD)について述べる。図4に液晶表示の断面略図の一例を示す。ガラス基板1上に本実施例によって作成したカラーフィルター2の表面は図面に示してないが前記の樹脂で被覆され、保護層が形成されている。その保護膜上に透明電極(例えばITO電極)3が真空成膜装置を用いて付着している。透明電極3はTFTのような三端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDでは全面一体電極として形成され、単純マトリックス駆動LCDやMIMのような二端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDではストライプ電極として通常形成される。この透明電極3の上には液晶分子を整列させるためポリイミド等の配向層4が配置される。一方、液晶層5、スペーサー(図示してない)およびシール材6を挟んで向側のガラス基板7上にも透明電極(例えばITO電極)8およびその上に配向層4が配置される。透明電極8はTFTのような三端子スイッチングアレイを用いるアクティブマトリックス駆動LCDではTFT素子で接続された画素電極であり、STNのような単純マトリックス駆動LCDでは通常ストライプ電極であり、透明電極3と直交して配置される。R・G・Bの各画素間には通常ブラックマトリックス9が形成され、コントラストや色純度の向上が図られている。ブラックマトリックス9は本発明のようにR・G・Bの各画素と同時に形成することもできるし、Cr膜やカーボン膜などを別途形成することもできる。また、ガラス基板1および2の背面には偏光板10および11を設置する。各ガラス基板と偏光板の間には位相補償フィルム(図示してない)を設置することもできる。カラーフィルターを用いるLCDの光透過率は小さいので、通常カラーフィルターと色再現的に整合性のとれた光源としてバックライト12を設置する。
【0059】
光透過性基板としてガラス基板に代えて、ガス・バリヤ層やハード・コート層を設置したプラスチック・フィルム基板を用いることができる。カラーLCDやその製造法についての詳細は、松本正一・角田市良共著「液晶の基礎と応用」(1991年 工業調査会発行)、日経マイクロデバイス編「フラットパネル・ディスプレイ 1994」(1993年 日経BP社発行)、特開平1−114820号等に記載されている。
【0060】
本発明のカラーフィルターのブラックマトリックスは、マトリックス状、ドット状のいずれの形態もとりうる。また、本発明のカラーフィルターのブラックマトリックスは、透過濃度2.5以上の実質的な黒色となることが好ましい。実質的な黒色とはCIE色度で|a*|<10かつ|b*|<10が好ましく、より好ましくは|a*|<5かつ|b*|<5、最適には|a*|<2かつ|b*|<2である。
【0061】
【実施例】
以下に本発明の実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
感光性ハロゲン化銀乳剤(I)の調製法について述べる。
水1300ml、ゼラチン47g、NaCl3.6gからなるゼラチン水溶液を良く攪拌し、硝酸銀96.0gを含む硝酸銀水溶液(I)410mlとNaCl21.4g、KBr26.3gを含むハロゲン水溶液(I)420mlを同時に7分にわたって添加した。35℃に昇温した後、さらに同様の硝酸銀水溶液(I)410mlとNaCl26.1g、KBr14.2gを含むハロゲン水溶液(II)を同時に20分にわたって添加した。なお、前者のハロゲン水溶液には全銀モル数における1モルあたり、4×10−6モルとなるようにロジウム塩を、後者のハロゲン化銀水溶液は全銀モル数における1モルあたり、1×10−6モルとなるようにイリジウム塩及び1×10−5モルの黄血塩をそれぞれ含ませた。常法により水洗、脱塩を行った後、脱灰処理ゼラチン80gを加えて分散した。pH5.3に調整した後、塩化ナトリウム10%水溶液20mlを加え、臭化銀含有率30モル%の塩臭化銀乳剤を調製した。得られた乳剤の粒子サイズは0.09μm、変動係数は17%であった。
【0062】
(カラーフィルター用ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製)
バック層としてカーボンブラックをポリ塩化ビニルに分散させて塗布した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート支持体にゼラチン下引きを施し、その上に以下に示す構成の第1層から第10層を多層同時塗布し、カラー感光材料1Aを作成した。以下に成分と塗布量(g/m2単位)を示す。なおハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
【0063】
第1層(アンチハレーション層)
ゼラチン ・・・0.70
ハレーション防止染料(微粒子分散) ・・・0.17
カルボキシメチルセルロース ・・・0.05
ポリマー(Cpd−15) ・・・0.14
界面活性剤(Cpd−16) ・・・0.03
硬膜剤(H−1) ・・・0.30
【0064】
第2層(赤感層)
赤色増感色素(ExS−5、6)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.60
ゼラチン ・・・3.75
マゼンタカプラー(ExM−1) ・・・0.60
退色防止剤(Cpd−3) ・・・0.30
退色防止剤(Cpd−5) ・・・0.04
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.60
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.60
【0065】
第3層(赤感層)
赤色増感色素(ExS−5、6)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.30
ゼラチン ・・・2.15
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.75
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.45
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.45
【0066】
第4層(ゼラチン層)
ゼラチン ・・・0.40
イラジエーション防止染料(YF−1) ・・・0.09
イラジエーション防止染料(Dye−1) ・・・0.02
イラジエーション防止染料(Dye−2) ・・・0.05
【0067】
第5層(緑感層)
緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.23
ゼラチン ・・・1.55
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.55
退色防止剤(Cpd−11) ・・・0.35
高沸点溶媒(Solv−4) ・・・0.33
ポリマー(Cpd−14) ・・・0.03
【0068】
第6層(緑感層)
緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.16
ゼラチン ・・・0.65
シアンカプラー(ExC−1) ・・・0.55
高沸点溶媒(Solv−5) ・・・0.70
【0069】
第7層(中間層)
ゼラチン ・・・0.45
混色防止剤(Cpd−2) ・・・0.17
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.04
高沸点溶媒(Solv−3) ・・・0.02
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.05
紫外線吸収剤(Cpd−6) ・・・0.03
紫外線吸収剤(Cpd−7) ・・・0.06
硬膜剤(H−1) ・・・0.25
【0070】
第8層(青感層)
青色増感色素(ExS−1、2)で分光増感したハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.72
ゼラチン ・・・4.54
シアンカプラー(ExC−2) ・・・0.42
高沸点溶媒(Solv−6) ・・・0.83
【0071】
第9層(中間層)
ゼラチン ・・・0.40
混色防止剤(Cpd−2) ・・・0.08
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.02
高沸点溶媒(Solv−3) ・・・0.03
ポリマー(Cpd−11) ・・・0.03
紫外線吸収剤(Cpd−6) ・・・0.02
紫外線吸収剤(Cpd−7) ・・・0.05
【0072】
第10層(紫感層)
化学増感のみ行ったハロゲン化銀乳剤(モル比でAgCl0.7、AgBr0.3;平均粒径0.09μm) ・・・0.20
ゼラチン ・・・0.75
イエローカプラー(ExY−1) ・・・0.25
マゼンタカプラー(ExM−2) ・・・0.60
シアンカプラー(ExC−2) ・・・0.03
退色防止剤(Cpd−3) ・・・0.02
高沸点溶媒(Solv−1) ・・・0.14
高沸点溶媒(Solv−2) ・・・0.03
【0073】
第11層(保護層)
ゼラチン(酸処理) ・・・0.65
化合物(Cpd−1) ・・・0.03
スノーテックス−O(日産化学工業(株)製) ・・・0.60
【0074】
各層には乳化分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、補助溶媒として酢酸エチル、塗布助剤として界面活性剤(Cpd−17)を、更に増粘剤としてポリスチレンスルホン酸カリウムを用いた。
【0075】
【化1】
【0076】
【化2】
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
以上のようにして、感光材料1Aを作製した。また、感光材料1Aを作製する際、試料1Aにおける第10層の紫感層のハロゲン化銀乳剤の調製において、ロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用せず、かつ、赤外増感色素(ExS−7)で分光増感したことのみ異なる層(赤外感層)に置き換えたことのみ異なる感光材料2Aを作製した。
以上のようにして作成した感光材料1A、2Aのそれぞれに対し、乳剤面側に、線幅10μmのストライプパターンのマスクを重ね、キセノン灯と感光材料の各感色層の分光感度に合致した4種の色フィルターを用いて順次4回露光した。露光量は処理によって実質的に最大濃度が得られる最小の量とした。露光済み感光材料を下記の工程に従い現像処理、硬膜処理を行い、線幅10μmの黒色のストライプパターンを作成した。
(処理工程) (温度) (時間)
発色現像 38.5 ℃ 150秒
漂白定着 38 ℃ 150秒
水洗−1 35 ℃ 120秒
硬膜処理 38 ℃ 300秒
水洗−2 35 ℃ 40秒
水洗−3 35 ℃ 120秒
乾 燥 60 ℃ 120秒
【0081】
各処理液の組成は、以下のとおりである。
【0082】
発色現像液
水 800ml
D−ソルビット 0.15g
ナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルマリン縮合物 0.15g
ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩 1.8g
ジエチレントリアミン5酢酸 0.5g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 0.15g
ジエチレングリコール 12.0ml
ベンジルアルコール 13.5ml
塩化カリウム 6.5g
臭化カリウム 0.1g
炭酸カリウム 30.0g
亜硫酸ナトリウム 2.4g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 8.0g
トリエタノールアミン 6.0g
ベンゾトリアゾール 0.01g
N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩 6.0g
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=10.6
【0083】
漂白定着液
水 600ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/リットル) 160ml
亜硫酸アンモニウム 40.0g
エチレンジアミン4酢酸・第二鉄アンモニウム 55.0g
エチレンジアミン4酢酸 5.0g
硝酸アンモニウム 10.0g
臭化アンモニウム 25.0g
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=6.0
【0084】
硬膜液
硫酸ナトリウム(無水) 160.0g
炭酸ナトリウム(無水) 4.6g
グリオキザール・プロピレングリコール付加物(55%) 20.0ml
水を加えて 1リットル
pH(25℃)=9.5
【0085】
水洗水
導電率5μS以下の脱イオン水
【0086】
感光材料1Aにおいて、得られたストライプパターンは2.5以上の実質的な黒色の最高濃度を有し、滲みは観察されなかった。これに対し、感光材料2Aにおいては滲みが観測された。
【0087】
実施例2
第1表に示すように、実施例1に使用した感光材料1Aの黒補正層(1Aにおいては第10層の紫感層である)の感光性、感光性ハロゲン化銀乳剤における金属塩添加量、及び黒補正層の位置を変えて、感光材料3Aから8Aを作成した。ここで感光材料2Aは実施例1で作成したものであり、感光材料2A、3Aにおける赤外感層は、試料1Aにおける第10層の紫感層のハロゲン化銀乳剤の調製において、ロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用せず、かつ、赤外増感色素(ExS−7)で分光増感したことのみ異なる層である。また、感光材料4A、5Aは紫感層のハロゲン化銀乳剤がロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体および黄血塩を使用しないものであり、感光材料6A、7A、8Aは感光材料1Aからロジウム金属錯体、イリジウム金属錯体の添加量を変更したものである。
これらの各感光材料を実施例1と同様の評価を行なったところ、感光材料1A〜8Aは、いずれも得られたストライプパターンは2.5以上の実質的な黒色の最高濃度を有し、本発明の感光材料1A、4A〜8Aはいずれも滲みが、実質的に観察されなかった。これに対し、比較例の感光材料2Aおよび3Aでは滲みが観測された。
【0088】
次に、上記とは別に、これらの各感光材料(露光前の感光材料)をそれぞれ20℃湿度50%と35℃湿度65%でそれぞれ2週間保管した後、実施例1の感光材料1A、1Bと同様の操作で処理することにより、それぞれ10μmの黒色ストライプパターンを作成した。第2表に、得られた黒色ストライプパターンの最大濃度と最小濃度をマイクロデンシトメータにて測定した結果及び未露光部の光学濃度を示した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
第2表から、露光前の感光材料の保存性に対して、以下のことがわかる。
感光材料1A〜8Aの比較により、黒補正層が450nm以上の波長域に実質的に感光性を有さない紫感光性(上記においては紫感層と称す)である本発明の感光材料1A、4A〜8Aの場合、黒補正層が赤外感光性である比較感光材料2A、3Aと比較し、いずれも最大発色濃度が高く、最小濃度が低く、美しいストライプパターンが得られた。
さらに詳細に第2表をみると、黒補正層が、赤外感光性(赤外感層)の場合は紫感光性(紫感層)の場合と比べてストライプ部の最小濃度が高く、また保存条件をより高温高湿にするに従い、最小濃度の増加が大きくなることがわかる(2A、3A)。このうち、特に赤外感光性の黒補正層が、ハロゲン化銀乳剤層中で、支持体から最も近い位置に存在する場合(3A)、にストライプ部の最小濃度は保存条件にかかわらず顕著に高く、また、赤外感光性の黒補正層がハロゲン化銀乳剤層の中で、支持体から最も離れた位置に存在する場合(2A)は、保存条件がより高温高湿となった時のストライプ部の最小濃度が著しく増加する。
一方、黒補正層が本願の紫感光性である場合にも、感光材料1A、4A〜8Aの比較から、紫感層がハロゲン化銀乳剤層中で支持体から最も離れた位置にある場合や、該紫感層のハロゲン化銀乳剤が8族、9族または10族の金属塩を含有することにより、最大濃度が高く、最小濃度がより低くなり、好ましいことがわかる。なお、紫感層が支持体から最も近い乳剤層である感光材料4Aでは、光学顕微鏡(200倍)で観察するとストライプの境界に滲みが観察された。
また、紫感層が支持体から最も遠いハロゲン化銀乳剤層である感光材料1A、5A〜8Aの比較より、未露光部濃度の観点を加えると、ハロゲン化銀乳剤が8族、9族または10族の金属塩を含有しない(5A)と、未露光部の濃度が増大することからも、これらの金属塩を含有することが好ましく、これらの金属塩の添加量もハロゲン化銀1モルあたり1×10−8〜1×10−4モルが好ましいことがわかる。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、複雑な工程を必要とせずに、粒状性に優れ、光学濃度が高くかつ高精細なブラックマトリックスを有し、保存安定性に優れたカラーフィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いることが出来る感光材料の特性曲線を示すグラフである。
【図2】本発明のカラーフィルターの一態様を示す模式図である。
【図3】本発明の感光材料を露光するときに用いるマスクフィルターの一態様を示す模式図である。
【図4】本発明のカラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置(LCD)の断面略図の一例である。
【符号の説明】
1,7・・・ガラス基板
2・・・カラーフィルター
3,8・・・透明電極
4・・・配向膜
5・・・液晶
6・・・シール剤
9・・・ブラックマトリックス
10,11・・・偏光版
12・・・バックライト
Claims (7)
- 光学的に等方であるプラスチック透明支持体上に、異なる感光性を有する少なくとも4つのハロゲン化銀乳剤層、及び少なくとも1層の非感光性の親水性コロイド層を塗設したハロゲン化銀感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層が色素形成カプラーを含有し、かつ450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層であることを特徴とするカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
- 前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、ブラックマトリックスの透過濃度が2.5以上の実質的な黒色となるように補正する色素形成カプラーを含有する層であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
- 前記450nm以上の波長域において実質的に感光性を有さないハロゲン化銀乳剤層が、450nm以上の波長域に感光性を有するいずれのハロゲン化銀乳剤層よりも支持体から離れた位置に存在することを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
- 少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層が少なくとも一種の8族、9族または10族元素の塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
- 前記8族、9族または10族元素がイリジウム、ロジウム、オスミウムまたは白金であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルター用ハロゲン化銀感光材料。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀感光材料を、パターン露光し、発色現像処理及び脱銀処理し、青色、緑色及び赤色のピクセルパターンを有するものとしたことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項6に記載の方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
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