JP2004226666A - シャッター付き光コネクタおよびインナー部材 - Google Patents
シャッター付き光コネクタおよびインナー部材 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】コネクタハウジング内の防塵を確保できるシャッター付き光コネクタを提供する。
【解決手段】インナー部材61から突出する4本の突起64は、ハウジング半体14Aの端面に一端が露出する4本の溝62に対応する位置に向けて配置される。4本の突起64はハウジング半体14Aから4本の溝62にそれぞれ挿入され、この4本の溝62を塞ぐ。係合爪14fの形成によって必然的に形成される溝62を、インナー部材61に形成された4本の突起64で塞ぐことによって、シャッター片53a、53bが遮光位置にあっても、なおもシャッター片53a、53bの両側に開いている4箇所の溝62は完全に閉じられる。
【選択図】 図6
【解決手段】インナー部材61から突出する4本の突起64は、ハウジング半体14Aの端面に一端が露出する4本の溝62に対応する位置に向けて配置される。4本の突起64はハウジング半体14Aから4本の溝62にそれぞれ挿入され、この4本の溝62を塞ぐ。係合爪14fの形成によって必然的に形成される溝62を、インナー部材61に形成された4本の突起64で塞ぐことによって、シャッター片53a、53bが遮光位置にあっても、なおもシャッター片53a、53bの両側に開いている4箇所の溝62は完全に閉じられる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタに係り、特に、光コネクタが挿入、接続されるコネクタハウジングにおいて、被接続側光コネクタからの出射光を遮光するシャッターが設けられているシャッター付き光コネクタおよび、光コネクタアダプタ等のコネクタハウジング内に組み込まれるインナー部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、例えば、光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2に光コネクタ3(光コネクタプラグ)を挿入して、光コネクタアダプタ1に逆側から挿入接続されている光コネクタ4(光コネクタプラグ。以下「アダプタ側光コネクタ」と称する場合がある)に対して接続する場合、アダプタ側光コネクタ4先端からの出射光Hが、挿入側の光コネクタ3を操作する作業者の目に入らないように防護したい要求がある。同様の要求は、例えば、光コネクタレセプタクル等の各種コネクタハウジングに対する光コネクタの挿入、接続に共通に存在する。
【0003】
前述の要求に鑑みて、例えば、光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2の開口部付近に、コネクタ穴2を開閉する蓋を取り付け、アダプタ側光コネクタ4からの出遮光を遮光することが幾つか提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−201953号公報
【特許文献2】
特開2002−243978号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の蓋による遮光には、以下のような問題があった。
(1)多くのものは、光コネクタの挿入時に手動で開放操作する必要があり、この操作の手間が面倒である。
(2)光コネクタアダプタに開閉自在に取り付けるための構成が複雑であり、多数の部品によって構成されるものが多く、コストが高く付く。この場合、小型化が困難であり、光コネクタアダプタの大幅な設計変更、大型化が必要となる。
(3)前記(2)のように小型化が困難なことから、光コネクタアダプタの多心化、コネクタ取付穴の高密度化、小型化に対応できない。
【0006】
また、近年、電気、電子機器について電磁波シールド性能の要求が高まっており、筐体内部の電子部品等が外部の電磁波の影響を受けないように保護したり、機器からの電磁波の放射を防止して外部の他の電気、電子機器に電磁波の影響を与えないようにするために、導電性を有する金属製筐体等、電磁波シールド性能を有する筐体の採用が普及しているが、図13〜図15に例示するように、光コネクタアダプタ1を筐体5の取付壁6に取り付けるには、光コネクタアダプタ1を挿入可能な大きさのコネクタ取付穴7を取付壁6に形成する必要がある。また、光コネクタアダプタ1はプラスチック製のものが広く用いられており、このようなプラスチック製の光コネクタアダプタ1をコネクタ取付穴7に挿入して取付壁6に取り付けた場合、筐体5が電磁波シールド性能を有するものであってもコネクタ取付穴7の電磁波シールド性能を確保することができない。
【0007】
これに鑑みて、光コネクタアダプタ1の外側に導電性のカバーを取り付けることが検討されるが、例えば、この導電性のカバーを光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2の開口部付近にまで設けることは、光コネクタアダプタ1に対する光コネクタ3の接続作業性の確保の点で事実上不可能であるため、結局、コネクタ取付穴7の電磁波シールド性を確保できない。このため、機器の筐体等の取付壁に形成されたコネクタ取付穴の電磁波シールド(遮蔽)を効果的に実現できる技術の開発が求められていた。
なお、この電磁波シールドの問題も光コネクタアダプタに限定されず、例えば、光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入接続される構成の各種光コネクタについても、取り付けのために取付壁にコネクタ取付穴を形成する場合に共通して生じる。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みて、遮光用のシャッターの小型化、低コスト化が容易で、しかも、取り付け位置精度、取り付け安定性も確保でき、コネクタハウジングの小型化、高密度化(コネクタ取付穴の高密度化)を実現でき、また、機器の筐体等の取付壁に形成されたコネクタ取付穴に位置決めして取り付けることで、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保も容易に実現でき、コネクタハウジング内の防塵も確保できるシャッター付き光コネクタおよび光コネクタアダプタ等のコネクタハウジング内に組み込まれるインナー部材の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では、光コネクタが挿入、接続されるコネクタ穴内にて前記光コネクタと被接続側光コネクタとが接続されるようになっているコネクタハウジングに、前記被接続側光コネクタから出射される光を遮光するシャッターユニットと、インナー部材とが組み込まれており、前記コネクタハウジングの内部には、該コネクタハウジングのコネクタ穴に挿入された光コネクタを係止する係合爪と、この係合爪の両側にて前記コネクタ穴の軸方向に沿って延在する長溝とが形成されており、前記インナー部材は、前記光コネクタと前記被接続側光コネクタとの接続位置付近に配置され、光コネクタの先端に突出するフェルールおよび/または前記被接続側光コネクタの先端に突出するフェルールが挿入可能な開口が形成されているインナー本体部と、このインナー本体部からコネクタハウジングの前記光コネクタの挿入口側に向けて突出された複数の突起とを有し、前記コネクタハウジングの前記長溝に前記インナー部材の前記突起が挿入されていることを特徴とするシャッター付き光コネクタを前記課題の解決手段とした。
【0010】
この発明に係るシャッター付き光コネクタのコネクタハウジングは、例えば、光コネクタアダプタのように、対向する両側から挿入、接続された光コネクタプラグ同士が内部で接続される構成のものや、コネクタ穴への光コネクタプラグの挿入によって光コネクタプラグと光接続される光コネクタ(光コネクタフェルールなど)を内蔵する光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入、接続されるコネクタ穴を有する光コネクタである。
【0011】
シャッター片は、被接続側光コネクタからの出射光を遮光できる遮光性を有するものであり、例えば図11(a)、(b)に例示するように、コネクタ穴の軸方向の上下から延びる両開き(観音開き)の2枚の板であったり、1枚の板からなるものなど、各種構成が採用可能であり、コネクタ穴内にて、コネクタハウジング内の被接続側光コネクタからの出射光を遮光可能に配置される。但し、シャッター片部は、少なくとも、被接続側光コネクタからの出射光を遮光する位置には配置されるが、さらに、コネクタ穴全体をできる限り確実に塞いで、コネクタ穴の防塵性を確保できる大きさとすることが好ましい。
【0012】
被接続側光コネクタとは、光コネクタアダプタ(コネクタハウジング)においては、コネクタ穴への光コネクタの挿入前に、先行してコネクタ穴に挿入されている光コネクタプラグのことを指し、コネクタ穴への光コネクタの挿入によって、コネクタ穴内で光コネクタと接続される。光コネクタレセプタクル(コネクタハウジング)においては、例えば、図11(a)、(b)に示すように、光コネクタレセプタクル45a、45bのハウジング45hに組み込まれてコネクタ穴46奥側(図11(a)、(b)右側)に配置され、コネクタ穴46に挿入された光コネクタ47が接続されるようになっている部分が被接続側光コネクタである。図11(a)の光コネクタレセプタクル45aでは、ハウジング45hと別体の光コネクタ48であるが、これに限定されず、例えば図11(b)に示す光コネクタレセプタクル45bのように、ハウジング45hの一部をコネクタ状に成形した部分49(この部分49が被接続側光コネクタ。フェルール49aを含む)であっても良い。なお、図11(a)、(b)では、シャッターユニットの本体部の図示を省略している。
【0013】
2枚のシャッター片40は、図示せぬシャッターユニットの本体部に対して連結部41を介して回動自在に取り付けられ、これら2枚のシャッター片40は、互いに一端が当接する閉鎖位置、すなわちコネクタ穴46を両側から塞ぐ位置に向けて付勢されている(付勢用の付勢部材(バネ等)の図示は省略)。シャッターユニットの奥側(被接続側光コネクタの側)にてコネクタ穴46内に取り付けられるインナー部材61は、コネクタ穴46を横切るように配置される本体部63を有しており、この本体部63(インナー本体部とも言う)の中央には、図11(a)に示すシャッター付き光コネクタにおいては、光コネクタ48のフェルール48a及び/又は光コネクタ7先端のフェルール47aの断面サイズとほぼ同様のサイズの開口66が形成されており、図11(b)に示すシャッター付き光コネクタにおいては、ハウジング45hの一部をコネクタ状に成形した部分49の先端に突出するフェルール49aの断面サイズとほぼ同様のサイズの開口66が形成されている。また、図11(b)に示すシャッター付き光コネクタでは、フェルール49aを、インナー部材61の開口66からシャッター片40の側に突出しない大きさに形成し、ハウジングに挿入接続された光コネクタ47先端のフェルールが、開口66を介してインナー部材61から被接続側光コネクタ49の側に突出されて、被接続側光コネクタ49のフェルール49aに接続される構成も採用可能である。
【0014】
前記インナー部材61は、シャッター片40方向に延びる複数の突起64を備えている。こうした突起64は、例えば図6、図7に示されるように、コネクタハウジング内に形成された溝等の凹部に挿入されることで、コネクタハウジング内でのインナー部材のぐら付き防止や、コネクタハウジング内の防塵性の向上等に役立てることができる。
【0015】
この発明では、インナー部材としてインナー本体部が、該インナー本体部に設けられた電磁波遮蔽材料によって電磁波シールド部材として機能する構成も採用可能である。例えば、前記コネクタハウジングが、取付壁に形成されたコネクタ取付穴に位置決めして前記取付壁に取り付けられるものであり、前記インナー部材のインナー本体部が前記コネクタ穴を横切るようにして前記コネクタハウジングに設けられるようにすることで、コネクタハウジングを前記取付壁に取り付けたときには、前記コネクタ取付穴のほぼ全体を塞ぐように配置される電磁波遮蔽性の部材(以下、遮蔽部ともいう)として機能させることができる。
【0016】
つまり、この構成では、前記インナー部材のインナー本体部が取付壁のコネクタ取付穴の電磁波シールド性を確保するための電磁波シールド部材として機能する。また、この構成では、シャッターユニットを構成する部材(本体部やシャッター片など)やコネクタハウジングなど、シャッター付き光コネクタを構成するより多くの部材について、導電性を有する部材を採用して、電磁波シールド部材として機能させることが、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点でより好ましい。
【0017】
インナー部材の遮蔽部に形成されている開口は、光コネクタ先端に突出するフェルールや被接続側光コネクタ先端に突出するフェルールの挿通が可能な程度の大きさであれば良く、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点では、出来るだけ小さく形成することが好ましい。これにより、開口に相当する僅かな部分を除いて、コネクタ取付穴の大部分を覆うように遮蔽部を配置できるため、コネクタ取付穴の電磁波シールド性を効果的に確保できる。
【0018】
インナー部材およびシャッターユニットのコネクタハウジングに対する組み込みは、例えば、コネクタハウジングの組み立て時での組み込み、外部からの挿入や組み付け、プラスチック等の合成樹脂製の光コネクタの形成樹脂中への埋設等、各種採用可能である。
本発明では、前記コネクタハウジングが、前記コネクタ穴の軸方向中央部で分割された2つのハウジング半体からなり、前記インナー部材およびシャッターユニットは、前記2つのハウジング半体の接合部付近にて、前記2つのハウジング半体の間に保持するようにして前記コネクタハウジング内に組み込まれている構成も採用可能である。コネクタハウジングが、例えば、2つのハウジング半体を一体化して組み立てられる光コネクタアダプタの場合、2つのハウジング半体の一体化の際に、2つのハウジング半体の間にインナー部材およびシャッターユニットを割り込ませるようにして組み込むことができる構成などが採用可能である。この場合、2つのハウジング半体の接合部付近に、インナー部材を収容するための凹所を形成した構成なども採用可能である。また、2つのハウジング半体を分離してコネクタハウジングを解体することで、インナー部材およびシャッターユニットを取り出せるようになっている構成も採用可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1(a)〜(d)は本発明の1実施形態のシャッター付き光コネクタ10の外観を示す図、図2は機器の筐体11の取付壁12(パネル)に対するシャッター付き光コネクタ10の取付状態を示す図であって取付壁12に開口されたコネクタ取付穴13付近を示す断面図、図3は図2のシャッター付き光コネクタ10の取付壁12に対する取付状態を筐体11外側から見た斜視図、図4は取付壁12に形成されたコネクタ取付穴13を示す斜視図、図5は図2のシャッター付き光コネクタ10の取付壁12に対する取付状態を筐体11内側から見た斜視図、図6はシャッター付き光コネクタ10のシャッターユニット15の構造を示す斜視図、図7は本発明に係るシャッター付き光コネクタ10の構造を示す断面図、図10はシャッター付き光コネクタ10に組みこまれるインナー部材を示す斜視図である。
【0021】
図6に示すように、前記シャッター付き光コネクタ10は、光コネクタアダプタを構成するコネクタハウジング14の内部に、シャッターユニット15およびインナー部材61を組み込んだ構成になっている。
【0022】
図1(a)〜(d)において、前記コネクタハウジング14は、MPO形光コネクタ(MPO:Multifiber Push−On。例えばJIS C 5982、IEC 1754−7発行に制定されるもの)の光コネクタアダプタである。このコネクタハウジング14は、全体が例えばプラスチック等の合成樹脂製であり、内部を貫通するコネクタ穴14aを有するスリーブ状の概略構造に形成されている。このコネクタハウジング14は、一対のハウジング半体14A、14Bを接合、一体化して組み立てられる。
【0023】
各ハウジング半体14A、14Bは、例えばプラスチック等の合成樹脂によって形成された一体成形品であり、コネクタハウジング14は、いずれもスリーブ状の一対のハウジング半体14A、14Bを軸方向に直列に接合、一体化して組み立てられ、これにより、ハウジング半体14Aの内部を貫通するコネクタ穴14a1と、ハウジング半体14Bの内部を貫通するコネクタ穴14a2とが連続して、コネクタハウジング14のコネクタ穴14aが形成されるようになっている。
【0024】
図6、図7に示すように、一対のハウジング半体14A、14Bの内、一方のハウジング半体14Aには、軸方向一端部(軸方向とはコネクタ穴14a軸方向。ここで、軸方向一端部は、ハウジング半体14Bと接合される側の端部)の端面14iから窪んだ形状の凹所14wが形成されており、他方のハウジング半体14Bは、軸方向一端部14d(軸方向とはコネクタ穴14a軸方向。ここで、軸方向一端部は、ハウジング半体14Aと接合される側の端部)を、ハウジング半体14Aの凹所14wに嵌合して、接合、一体化される。また、必要に応じて、接着剤やネジ等を用いて固定する。なお、一対のハウジング半体14A、14Bを接合、一体化するための構造としては、凹所14wでの嵌合を利用した構造に限定されず、例えば、ネジ留め(ネジ自体がハウジング半体同士の位置決めの機能を果たす)、治具等を利用した位置決めして熱溶着や接着剤により接着固定することなど、各種採用可能である。
【0025】
図1(b)、(d)、等において、符号14fは、コネクタハウジング14内の係合爪(弾性爪)であり、コネクタハウジング14に挿入、接続される光コネクタ16A、16B(図3、図5参照。ここではMPO形光コネクタ(例えばJIS C 5982、IEC 1754−7発行に制定されるもの)の光コネクタプラグ。以下、光コネクタ16A、16Bについて共通の構成について説明する場合には、符号16を付して説明する場合がある)のスリーブ状のハウジング17の側部に形成されている係合部(係合凹所等。図示略)に係脱可能に係合する。ここでは、符号16Bの光コネクタを被接続側光コネクタ(以下、「被接続側光コネクタ16B」とも言う)、符号16Aの光コネクタを被接続側光コネクタ16Bに対して接続される光コネクタとして機能させている。光コネクタ16A、16B同士の接続時の位置決め用のガイドピン19cは、被接続側光コネクタ16Bのフェルール19に組み込まれ、このフェルール19の接合端面19bから突出されている。
この実施の形態では、光コネクタ16A、16Bとして、多心のMPO形光コネクタの光コネクタプラグを例示しているが、MPO形光コネクタプラグとしては、単心のものであっても良い。なお、本発明に係る光コネクタ(光コネクタプラグ)としては、前述のMPO形光コネクタ(光コネクタプラグ)に限定されず、単心、多心の各種光コネクタが採用可能である。
【0026】
図8に示すように、前記係合爪14fは、ハウジング半体14A、14Bのハウジング本体部14bに一体に形成されており、スリーブ状のハウジング本体14b内側のコネクタ穴14a内に突出されている。各コネクタ半体14A、14Bの係合爪14fは、コネクタ半体14A、14Bの軸方向一端部の側から、コネクタ穴14a軸方向両端の開口部側に向けて、ハウジング本体部14b内面に沿って延びる形状になっている。また、この係合爪14fのハウジング本体部14b内面に沿って延在する部分と、ハウジング本体部14bの内面14kとの間には、若干のクリアランス14mが確保されている。なお、図8は、コネクタハウジング14を、シャッターユニット15やインナー部材61を収納していない状態で示した断面図である。
【0027】
図6、図9に示すように、ハウジング半体14Aの係合爪14fの両側には、この係合爪14fをハウジング半体14Aの本体部14bに対して撓曲自在にさせる溝(長溝)62が形成されている。この溝62は、コネクタ半体14Aの軸方向他端部(軸方向一端部に対向する側。光コネクタ16Aの挿入口側。図9(a)左側)から、コネクタ半体14Bと接合される端部の側の凹所14wから窪んだ形状のインナー収納凹所14oにわたって、ハウジング半体14Aの本体部14bに直線状に貫通して形成されている。インナー収納凹所14oは、ハウジング半体14A内のコネクタ穴14aの軸方向一端部(但し、凹所14wよりも軸方向他端部側)を拡張した形状であり、凹所14wもハウジング半体14A内のコネクタ穴14a1の軸方向一端部を拡張した形状であるが、インナー収納凹所14oは、断面寸法(コネクタ14aの軸方向に直交する方向の断面の寸法)が、凹所14wに比べて若干小さくなっている(インナー収納凹所14oはコネクタ穴14a、14a1の一部である)。また、図6、図9(b)に示すように、コネクタ穴14a1の両側にそれぞれ形成された係合爪14fの両側(図6、図9(b)では上下両側)の溝62、すなわち合計4本の溝62のインナー収納凹所14oに開口する端部は、コネクタ半体14Aを軸方向一端部の端面14iの側から見て露出する位置にある。これら4本の溝62は、全長にわたって、コネクタ穴14a1と連通している。なお、係合爪14fは、本体部14bからの突出基端部を含めて全体が、インナー収納凹所14oに突出しない形状になっている。
【0028】
MPO形光コネクタの光コネクタプラグである光コネクタ16と各ハウジング半体14A、14Bとは、コネクタハウジング14(より具体的にはハウジング半体)に光コネクタ16を挿入すると、光コネクタ16のハウジング17の側部の係合部(被接続側光コネクタ16Bの係合部(符号17c)を参照)に、ハウジング半体の係合爪14fのハウジング本体部14bからの突出先端の係合突起14nが係合するとともに、この係合の解除を阻止してハウジング半体から光コネクタ16が引き抜かれないようにするロックが掛かり、光コネクタ16に付いているスライド片(カップリング18)を引くと、ロックを解除させながら、コネクタハウジング14(ハウジング半体)から光コネクタ16を抜き去ることができる、スライドロック構造を構成する。
【0029】
なお、係合爪14fは、光コネクタ16の種類や、ハウジング17のサイズや、係合部の形状等によって適宜変更される。図2、図3、図5等では係合爪14fの図示を省略している。また、符号14gは、前記ハウジング17の側部に突設されているキー17aが挿入されるキー溝である。また、コネクタハウジングとしては、上述のように、光コネクタ(光コネクタプラグ)と係合する係合爪が、各ハウジング半体のハウジング本体部と一体成形されている構成に限定されず、例えば、ハウジング半体のスリーブ状のハウジング本体部とは別体のスリーブ状の内部ハウジングを収容し、この内部ハウジングに係合爪が形成されている構成なども採用可能である。
【0030】
図6、図7に示すように、シャッターユニット15は、例えば一枚の金属板、好ましくはステンレスや銅から曲げ等の成形によって形成された略コ字形の本体部51と、この本体部51の上下端に枢着部52によって回転自在に取り付けられた一対のシャッター片53a、53bとを有して構成されている。また、この実施形態では、シャッターユニット15を構成する全ての部材、すなわち、本体部51、枢着部52、シャッター片53a、53bは、導電性を有する部材で形成されていることが好ましい。ここに例示する実施の形態では、本体部や、シャッター片として、導電性を有するステンレス板を成形して形成したものを例示する。
【0031】
図6、図9(b)に示すように、シャッターユニット15の本体部51は、平板状の主板部51aと、この主板部51aの対向する両側から一方の面の側に突出する一対の張り出し部51b,51cとを有しており、一対のシャッター片53a、53bが取り付けられる「本体部51の上下端」の枢着部52とは、各張り出し部51b、51cの主板部51aからの突出先端にそれぞれ設けられた枢着部52である。枢着部52は、具体的には軸であり(以下、枢着部52を軸52とも言う)、互いに平行であり、しかも、シャッターユニット15をコネクタハウジング14内に組み込んだときに、コネクタ穴14a1の対向する両側に、コネクタ穴14a1の軸方向に対して直交する向きで配置され、コネクタ穴14a1の対向する両側に位置する係合爪14fが一対の軸52の間に位置するようになる。
【0032】
シャッターユニット15は、ハウジング半体14Aに対して、該ハウジング半体14Aの軸方向一端部から挿入して組み込まれる。シャッターユニット15の主板部51aは、インナー収納凹所14oに収納される。また、シャッターユニット15の各り出し部51b、51cは、コネクタ穴14a1の対向する両側の拡張部14eに収納される。図9(a)、(b)に示すように、ハウジング半体14Aの軸方向他端部(図9(a)左側、図9(b)紙面手前側)には、本体部14bからコネクタ穴14a1に突出する突壁14jが、コネクタ穴14a1の中心軸線を介して対向する両側に形成されており、前記拡張部14eは、各突壁14jから、コネクタ穴14a1の軸方向に沿って延在して、インナー収納凹所14oに開口する溝状に形成されている。各拡張部14eは、コネクタ穴14a1をその中心軸線を介して両側に拡張した形状になっている。
【0033】
図6に示すように、シャッターユニット15は、各張り出し部51b、51cの両側の軸52の突出部分(突出部52a)を、各拡張部14eの対向する両側を拡張するようにしてコネクタ穴14a1の軸方向に沿って延在形成された軸挿入溝14h(軸挿入溝14hは拡張部14eの一部)に挿入して、ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側からハウジング半体14Aに押し込んでいくことでハウジング半体14A内に収納される。各張り出し部51b、51cは、各軸52の突出部52aが軸挿入溝14hに挿入されていくに従い拡張部14eに挿入されていく。シャッターユニット15は、張り出し部51b、51cあるいは軸52の突出部52aが突壁14jに突き当たった所で、それ以上のハウジング半体14Aへの押し込みが規制される。
【0034】
なお、一対の突壁14jの間には、ハウジング半体14Aに挿入される光コネクタ16Aのハウジング17の断面形状とほぼ一致する形状の空間(この空間もコネクタ穴14a、14a1の一部)が確保されており、一対の突壁14jの内の一方(以下、符号14j1を付して説明する場合がある)には、光コネクタ16Aのハウジング17のキー17aが挿入されるキー溝14gが形成されている。他方の突壁14j(以下、符号14J2を付して説明する場合がある)には、キー溝は形成されていない。突壁14J1側の拡張部14e(図7、図9(a)、(b)において符号14e1の拡張部14e)及び突壁14J2側の拡張部14e(図7、図9(a)、(b)において符号14e2の拡張部14e)に収納された張り出し部51b、51c及び枢着部52は、ハウジング半体14Aへの光コネクタ16Aの挿入時に光コネクタ16Aのハウジング17に干渉しないようになっている。
【0035】
図6および図10に示すように、インナー部材61は、板状の本体部(インナー本体部)63とこの本体部から突出する4本の突起64とから構成されており、4本の突起64を、ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側から溝62にそれぞれ挿入して、ハウジング半体14Aに押し込んでいくことでハウジング半体14A内に収納される。インナー本体部63は、インナー収納凹所14oに収納される。但し、この実施形態では、シャッターユニット15は、本体部51の主板部51aが張り出し部51b、51cの両側に突出した部分(突出板51d)を、インナー収納凹所14oの奥部(ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側から見てインナー収納凹所14oの最奥部)にてコネクタ穴14a1の対向する両側に位置する内面(受け面14u)に重ね合わせるようにして、ハウジング半体14A内に収納されるようになっており、しかも、ハウジング本体14Aに収納したときには、各突出板51dに2箇所ずつ形成された切欠59が、それぞれ、ハウジング半体14Aの4本の溝62に連通されるようになっており、インナー部材61の4本の突起64は、各突出板51dの切欠59を介して、それぞれ溝62に挿入されるようになっている。図7に示したように、各突起64は、インナー本体部63からの突出先端が、シャッター片53a、53bの遮光位置よりも、ハウジング半体14Aの軸方向他端部側に突出するようになっている。なお、インナー部材61の具体的構成については、後で詳述する。
【0036】
シャッターユニット15とインナー部材61を収納したハウジング半体14Aの軸方向一端部の凹所14wにハウジング半体14Bを挿入、固定すると(図7の状態)、ハウジング半体14Bの軸方向一端部14dによって、インナー部材61がハウジング半体14Aから抜け出ないように押さえ込まれ、シャッターユニット15が、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とインナー本体部63との間に挟み込まれて、ぐらつかないように安定保持される。すなわち、シャッターユニット15とインナー本体部63とが、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とハウジング半体14Bとの間に挟み込まれて、安定保持される。
【0037】
なお、シャッターユニットは、必ずしも突出板15dを有する構成である必要は無いが、突出板15dを有する構成であれば、シャッター付き光コネクタ10を取り付ける取付壁のコネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点で、有効に機能させることが可能である。
また、コネクタハウジング14(ハウジング半体14A)内でのシャッターユニット15の収納安定性を確保するための機構としては、必ずしも、軸52の突出部52aをハウジング半体14A内の軸挿入溝14hに挿入する構造に限定されず、各種構成が採用可能である。例えば、シャッターユニットとインナー本体部63とが、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とハウジング半体14Bとの間に挟み込まれるだけで安定保持が実現できる場合は、軸52の突出部52aやハウジング半体14A内の軸挿入溝14hの形成を省略することも可能である。
【0038】
図7に示すように、コネクタハウジング14内に組み込まれたシャッターユニット15のシャッター片53a、53bは、図示略の付勢部材やストッパ等によって遮光位置に配置され、光コネクタ16Aの挿入によって付勢部材の付勢力に抗して被接続光コネクタ16Bの側に押し倒される。光コネクタ16Aを抜けば、付勢部材の付勢力によって遮光位置に戻る。
枢着部52によって本体部51に軸着されるシャッター片53a、53bは、図示の如く中央付近がハウジング半体14Aの接合端面14iから遠ざかるように屈曲されている。こうしたシャッター片53a、53bの屈曲は、光コネクタ16Aをハウジング半体14Aに挿入した際に、光コネクタ16Aの先端、即ちフェルール19にシャッター片53a、53bが接して、擦れ等によってフェルール19の端面が傷つくことを防止し、光コネクタ16Aの光接続特性の長期信頼性を確保する役割を果たす。シャッター片53a、53bは、光コネクタ16Aをハウジング半体14Aに挿入すると光コネクタ16Aのハウジング18によって押し開かれる。
【0039】
シャッターユニット15を構成するシャッター片53a、53bは、回動によってコネクタ穴14aに突出してこれを塞ぐ遮光位置と、コネクタ穴14aの上下方向に退避した開放位置との間で開閉可能にされる。シャッター片53a、53bは、例えば板状のバネ等でコネクタ穴14aを塞ぐ遮光位置に向けて付勢されている。シャッター片53a、53bが遮光位置にある時には、ほぼコネクタ穴14a全体がシャッター片53a、53bによって塞がれる。この遮光状態では、コネクタ穴14aの片側の開口部から先行して挿入接続された光コネクタ16の先端(ここでは光コネクタ16Bのフェルール19先端)に露出する光ファイバ(図1(b)、(d)の符号19a参照)からの出射光が、コネクタ穴14aの反対側の開口部から飛び出ることを防止できる。
【0040】
また、この遮光位置では、導電性の金属板から構成されたシャッター片53a、53bがコネクタ穴14aを塞ぐため、電磁波シールド性の点でも、優れた性能が得られる。更に、遮光位置にあるシャッター片53は、コネクタ穴14aにおける前記シャッター片53a、53bと被接続側光コネクタ16Bとの間に位置する区間への埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタ16B先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止できる。
【0041】
図6および図10に示すように、インナー部材61は、本体部(インナー本体部)63とこの本体部から突出する4本の突起64とから構成される。インナー部材61は、全体が導電性を有する樹脂、例えば鉄粉等の導電性を有する金属粉を分散させた樹脂で一体に形成される。本体部63には、光コネクタ16A側に面して、光コネクタ16Aのハウジング17の先端部分を受け止める支持部65が形成されている。この支持部65には、光コネクタ16Aのハウジング17の先端が挿入される凹部65aが形成されている。光コネクタ16Aがハウジング半体14Aに挿入されると、光コネクタ16Aのハウジング17は、シャッターユニット15の主板部15aの中央部に開口する窓15eに挿入され、その先端が凹部65aに挿入されるので、光コネクタ16Aは支持部65によってぐらつきなくハウジング半体14A内に支持される。
【0042】
また、インナー部材61の本体部63の中央付近には、略フェルール19と同等のサイズに開かれた開口66が形成されている。この開口66は、光コネクタ16Bをハウジング半体14Bに挿入した際に光コネクタ16Bのフェルール19(図5参照)が貫通する。また、開口66には、ハウジング半体14Aに挿入した光コネクタ16A先端のフェルール19も挿入可能である。インナー部材61に光コネクタ16A、16Bのフェルール19だけを貫通させるサイズの開口66を設け、その周辺をインナー本体部63で塞ぐ構成であれば、電磁波シールド性の点で、優れた性能が得られる。
【0043】
(コネクタ取付穴の電磁波シールドについて)
この実施形態のシャッター付き光コネクタ10では、コネクタハウジング14、インナー部材61(特に本体部63)として導電性を有するものを採用したことにより、例えば、図2〜図4に例示した筐体11の取付壁12に取り付けた場合に、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性能を良好に確保できる。この実施形態では、電磁波シールド機能を有するコネクタハウジング14、インナー部材61として、カーボンフィラーを成形樹脂中に混入分散した合成樹脂材料によって成形したものを採用したが、これに限定されず、例えば、合成樹脂などからなる基材に導電性の塗料(例えば、電磁波吸収作用を持つ磁性金属粉を混入したペーストなど)を塗布して形成した導電性塗膜を有するもの、導電性繊維(金属繊維など)からなる導電性布帛を固定したものなども採用可能である。また、電磁波吸収作用を有する微細粉としては、カーボンフィラーに限定されず、各種材料が採用可能である。
【0044】
この実施形態のシャッター付き光コネクタ10では、特に、インナー部材61(中でも本体部63)が、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性の確保に有効に寄与する。インナー本体部63(遮蔽部)は、コネクタ穴14aを横切るように配置され、コネクタ穴14aその断面方向にほぼ全体にわたって塞ぐようになっており、シャッター付き光コネクタ10を取付壁12のコネクタ取付穴13に挿入(図2等ではコネクタ半体14Bをコネクタ取付穴13に挿入)して取付壁12に取り付けたときに、コネクタ取付穴13のほぼ全体を塞ぐように配置される。そして、インナー部材61と接触して電気導通可能になっているコネクタハウジング14、あるいは、コネクタハウジング14に設けた接続回路などを介して、インナー部材61のグランドを確保しておくことにより、インナー部材61を電磁波シールド用の部材として有効に機能させることができ、これにより、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性を確保できる。
【0045】
なお、インナー本体部63は、扁平な板状に形成されており、インナー部材61を組み込むコネクタハウジング14は、インナー部材61を組み込まない光コネクタのコネクタハウジングに比べて、殆ど(あるいは全く)大型化する必要が無い。また、シャッターユニット15についても、コネクタ半体14A内のコネクタ穴14a1を拡張した形状の拡張部などを利用してコネクタハウジング14内に組み込む構成であることから、コネクタハウジングの小型化に寄与する。
【0046】
また、このシャッター付き光コネクタ10では、コネクタハウジング14も電磁波シールド機能を有する部材として機能させることができるため、結果的に、フェルール19外形よりも僅かに大きい程度の開口66の部分を除いて、コネクタ取付穴13の殆どの部分を電磁波シールド機能を有する部材によって塞ぐことができ、優れた電磁波シールド性が得られる。つまり、このシャッター付き光コネクタ10が取付壁に取り付けられると、取付壁のコネクタ取付穴がシャッター付き光コネクタ10によってほぼ隙間無く塞がれた状態となる。さらに、このシャッター付き光コネクタ10では、シャッターユニット15も導電性部材を採用したことにより、より高い電磁波シールド機能が得られる。
【0047】
図1、図2中、符号20で示すシールドカバーは、ハウジング半体14Bの断面長方形状のハウジング本体部14b(図1(c)参照)の4側面(周面)の内の3面に対して個別に装着される3つの側板部20a、20b、20cを有し、全体がステンレスなどの導電性の金属板で形成され、ハウジング半体14Bを3方から取り囲むカバー状の部材である。このシールドカバー20の3つの側板部20a、20b、20cは、ハウジング本体部14bの3面に形成されている浅溝14p(図7、図8にも図示している)に収納するようにして、ハウジング本体部14bの外側に、位置ズレを生じないようにして装着される。このシールドカバー20は、筐体11との接触によって電気導通可能に接続されて、電磁波シールド性能を発揮するとともに、電磁波シールド性を有するコネクタハウジング14と取付壁12との電気導通のより確実な確保に寄与する。
【0048】
このシャッター付き光コネクタ10を取付壁12に取り付けるには、このシャッター付き光コネクタ10を筐体11の外側(図2中、取付壁12の左側)から、シールドカバー20が取り付けられている側(ここではハウジング半体14Bの側)を押し込み方向前側として取付壁12のコネクタ取付穴13に押し込んで(図2中、取付壁12の右側へ向けて押し込む)、このシールドカバー20の対向する両側に位置する側板部20b、20cから外側に突出する板バネ状の係合爪20dを弾性変形させつつ取付壁12に通過させれば良い。取付壁12の通過によって弾性復帰した係合爪20dが取付壁12と係合することで、係止爪20dと突片14cとの間に取付壁12が挟み込まれて、シャッター付き光コネクタ10が取付壁12に対して安定に取り付けられると同時に、取付壁12との電気導通が確保される。
【0049】
なお、コネクタハウジング14を介してインナー部材61のグランドを確保する構成であれば、特別な接続回路等をシャッター付き光コネクタ10に設ける必要が無くなるため、シャッター付き光コネクタの低コスト化に寄与する。また、このシャッター付き光コネクタ10によれば、シャッターユニット15に、コネクタハウジング14の外側に突出する通電用コンタクトを突設するなどによって、シャッターユニット15をグランド用の接続回路として機能させることも可能である。
シャッター付き光コネクタを取付壁のコネクタ取付穴に挿入して取り付けるための構成としては、シールドカバーを利用したものに限定されず、各種採用可能であることは言うまでもない。
【0050】
インナー部材61から突出する4本の突起64は、ハウジング半体14Aの接合端面14iに一端が露出する4本の溝62に対応する位置に向けて配置される。そして、ハウジング半体14Aおよびハウジング半体14Bに挟まれて組み込まれた状態では、4本の突起64はハウジング半体14Aの接合端面14iから4本の溝62にそれぞれ挿入され、この4本の溝62を塞ぐ。
【0051】
このように、係合爪14fの形成によって必然的に形成される溝62を、インナー部材61に形成された4本の突起64で塞ぐことによって、コネクタ穴14a内への溝62を経由した埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタ16B先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止することが可能になる。
【0052】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されず、各種変更が可能である。 例えば、シャッターユニットの具体的形状は、前述の実施の形態に例示したものに限定されず、適宜設計変更可能である。また、前記実施の形態では、MPO形光コネクタの光コネクタプラグ同士の接続に用いられる光コネクタアダプタへの適用例を例示したが、本発明はこれに限定されず、MPO形光コネクタ以外の光コネクタプラグ同士の接続に用いられる光コネクタアダプタに適用可能である。
【0053】
さらに、光コネクタアダプタに限定されず、例えば光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入、接続されるコネクタ穴を有する各種光コネクタに適用可能である。前述の実施の形態では、本体部の片側のみにシャッター片を有する構成のシャッターユニットを例示したが、対向する両側にシャッター片を有する構成も採用可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のシャッター付き光コネクタによれば、係合爪の形成によって必然的に形成される溝をインナー部材に形成された突起で塞ぐことによって、シャッターユニットの両側に開いている溝は完全に閉じられる。これによって、溝を通じて埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタの先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止することが可能になる。
【0055】
また、シャッターユニットによって、被接続側光コネクタからの出射光を遮光できるため、被接続側光コネクタに対する別の光コネクタの接続作業を効率良く行える。また、このシャッター付き光コネクタは、取付壁のコネクタ取付穴に位置決めして取り付けると、該シャッター付き光コネクタのシャッターユニットがコネクタ取付穴を塞ぐように配置されて電磁波シールド性能を発揮するため、コネクタ取付穴に電磁波シールド性を簡単に確保できる。これにより、取付壁に光コネクタアダプタ等の光コネクタを取り付けるために形成するコネクタ取付穴に、優れた電磁波シールド性を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシャッター付き光コネクタの構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図である。
【図2】筐体の取付壁に対する図1のシャッター付き光コネクタの取付状態を示す図であって、取付壁のコネクタ取付穴付近を示す断面図である。
【図3】図2の取付状態を筐体外側から見た斜視図である。
【図4】取付壁に形成されたコネクタ取付穴を示す斜視図である。
【図5】図2の取付状態を筐体内側から見た斜視図である。
【図6】図1のシャッター付き光コネクタの構造を示す破断斜視図である。
【図7】図1のシャッター付き光コネクタを示す全体断面図である。
【図8】図1のシャッター付き光コネクタを示す一部破断図である。
【図9】図1のコネクタ半体の接合端面を示す断面図である。
【図10】本発明のインナー部材を示す外観斜視図である。
【図11】本発明に係るシャッター付き光コネクタを適用した光コネクタレセプタクルを示す断面図であり、(a)はコネクタハウジングに別体の被接続側光コネクタを組み込んだ構成、(b)はコネクタハウジングと一体に被接続側光コネクタを形成した構成を示す。
【図12】光コネクタアダプタを介した光コネクタプラグの接続を示す断面図である。
【図13】機器の筐体の取付壁(パネル)に対する光コネクタアダプタの取付状態を示す斜視図である。
【図14】図13の取付壁に開口されたコネクタ取付穴を示す斜視図である。
【図15】図13の光コネクタアダプタの取付壁に対する取付状態を示す図であって、コネクタ取付穴付近を示す断面図である。
【符号の説明】
10…シャッター付き光コネクタ、12…取付壁、13…コネクタ取付穴、14…コネクタハウジング(光コネクタアダプタ)、14a…コネクタ穴、14A,14B…ハウジング半体、14f…係合爪、15…シャッターユニット、16A,16B…光コネクタ、49a…フェルール、61…インナー部材、62…溝(長溝)、63…本体部(インナー本体部)、64…突起、65…支持部、66…開口
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタに係り、特に、光コネクタが挿入、接続されるコネクタハウジングにおいて、被接続側光コネクタからの出射光を遮光するシャッターが設けられているシャッター付き光コネクタおよび、光コネクタアダプタ等のコネクタハウジング内に組み込まれるインナー部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、例えば、光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2に光コネクタ3(光コネクタプラグ)を挿入して、光コネクタアダプタ1に逆側から挿入接続されている光コネクタ4(光コネクタプラグ。以下「アダプタ側光コネクタ」と称する場合がある)に対して接続する場合、アダプタ側光コネクタ4先端からの出射光Hが、挿入側の光コネクタ3を操作する作業者の目に入らないように防護したい要求がある。同様の要求は、例えば、光コネクタレセプタクル等の各種コネクタハウジングに対する光コネクタの挿入、接続に共通に存在する。
【0003】
前述の要求に鑑みて、例えば、光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2の開口部付近に、コネクタ穴2を開閉する蓋を取り付け、アダプタ側光コネクタ4からの出遮光を遮光することが幾つか提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−201953号公報
【特許文献2】
特開2002−243978号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の蓋による遮光には、以下のような問題があった。
(1)多くのものは、光コネクタの挿入時に手動で開放操作する必要があり、この操作の手間が面倒である。
(2)光コネクタアダプタに開閉自在に取り付けるための構成が複雑であり、多数の部品によって構成されるものが多く、コストが高く付く。この場合、小型化が困難であり、光コネクタアダプタの大幅な設計変更、大型化が必要となる。
(3)前記(2)のように小型化が困難なことから、光コネクタアダプタの多心化、コネクタ取付穴の高密度化、小型化に対応できない。
【0006】
また、近年、電気、電子機器について電磁波シールド性能の要求が高まっており、筐体内部の電子部品等が外部の電磁波の影響を受けないように保護したり、機器からの電磁波の放射を防止して外部の他の電気、電子機器に電磁波の影響を与えないようにするために、導電性を有する金属製筐体等、電磁波シールド性能を有する筐体の採用が普及しているが、図13〜図15に例示するように、光コネクタアダプタ1を筐体5の取付壁6に取り付けるには、光コネクタアダプタ1を挿入可能な大きさのコネクタ取付穴7を取付壁6に形成する必要がある。また、光コネクタアダプタ1はプラスチック製のものが広く用いられており、このようなプラスチック製の光コネクタアダプタ1をコネクタ取付穴7に挿入して取付壁6に取り付けた場合、筐体5が電磁波シールド性能を有するものであってもコネクタ取付穴7の電磁波シールド性能を確保することができない。
【0007】
これに鑑みて、光コネクタアダプタ1の外側に導電性のカバーを取り付けることが検討されるが、例えば、この導電性のカバーを光コネクタアダプタ1のコネクタ穴2の開口部付近にまで設けることは、光コネクタアダプタ1に対する光コネクタ3の接続作業性の確保の点で事実上不可能であるため、結局、コネクタ取付穴7の電磁波シールド性を確保できない。このため、機器の筐体等の取付壁に形成されたコネクタ取付穴の電磁波シールド(遮蔽)を効果的に実現できる技術の開発が求められていた。
なお、この電磁波シールドの問題も光コネクタアダプタに限定されず、例えば、光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入接続される構成の各種光コネクタについても、取り付けのために取付壁にコネクタ取付穴を形成する場合に共通して生じる。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みて、遮光用のシャッターの小型化、低コスト化が容易で、しかも、取り付け位置精度、取り付け安定性も確保でき、コネクタハウジングの小型化、高密度化(コネクタ取付穴の高密度化)を実現でき、また、機器の筐体等の取付壁に形成されたコネクタ取付穴に位置決めして取り付けることで、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保も容易に実現でき、コネクタハウジング内の防塵も確保できるシャッター付き光コネクタおよび光コネクタアダプタ等のコネクタハウジング内に組み込まれるインナー部材の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では、光コネクタが挿入、接続されるコネクタ穴内にて前記光コネクタと被接続側光コネクタとが接続されるようになっているコネクタハウジングに、前記被接続側光コネクタから出射される光を遮光するシャッターユニットと、インナー部材とが組み込まれており、前記コネクタハウジングの内部には、該コネクタハウジングのコネクタ穴に挿入された光コネクタを係止する係合爪と、この係合爪の両側にて前記コネクタ穴の軸方向に沿って延在する長溝とが形成されており、前記インナー部材は、前記光コネクタと前記被接続側光コネクタとの接続位置付近に配置され、光コネクタの先端に突出するフェルールおよび/または前記被接続側光コネクタの先端に突出するフェルールが挿入可能な開口が形成されているインナー本体部と、このインナー本体部からコネクタハウジングの前記光コネクタの挿入口側に向けて突出された複数の突起とを有し、前記コネクタハウジングの前記長溝に前記インナー部材の前記突起が挿入されていることを特徴とするシャッター付き光コネクタを前記課題の解決手段とした。
【0010】
この発明に係るシャッター付き光コネクタのコネクタハウジングは、例えば、光コネクタアダプタのように、対向する両側から挿入、接続された光コネクタプラグ同士が内部で接続される構成のものや、コネクタ穴への光コネクタプラグの挿入によって光コネクタプラグと光接続される光コネクタ(光コネクタフェルールなど)を内蔵する光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入、接続されるコネクタ穴を有する光コネクタである。
【0011】
シャッター片は、被接続側光コネクタからの出射光を遮光できる遮光性を有するものであり、例えば図11(a)、(b)に例示するように、コネクタ穴の軸方向の上下から延びる両開き(観音開き)の2枚の板であったり、1枚の板からなるものなど、各種構成が採用可能であり、コネクタ穴内にて、コネクタハウジング内の被接続側光コネクタからの出射光を遮光可能に配置される。但し、シャッター片部は、少なくとも、被接続側光コネクタからの出射光を遮光する位置には配置されるが、さらに、コネクタ穴全体をできる限り確実に塞いで、コネクタ穴の防塵性を確保できる大きさとすることが好ましい。
【0012】
被接続側光コネクタとは、光コネクタアダプタ(コネクタハウジング)においては、コネクタ穴への光コネクタの挿入前に、先行してコネクタ穴に挿入されている光コネクタプラグのことを指し、コネクタ穴への光コネクタの挿入によって、コネクタ穴内で光コネクタと接続される。光コネクタレセプタクル(コネクタハウジング)においては、例えば、図11(a)、(b)に示すように、光コネクタレセプタクル45a、45bのハウジング45hに組み込まれてコネクタ穴46奥側(図11(a)、(b)右側)に配置され、コネクタ穴46に挿入された光コネクタ47が接続されるようになっている部分が被接続側光コネクタである。図11(a)の光コネクタレセプタクル45aでは、ハウジング45hと別体の光コネクタ48であるが、これに限定されず、例えば図11(b)に示す光コネクタレセプタクル45bのように、ハウジング45hの一部をコネクタ状に成形した部分49(この部分49が被接続側光コネクタ。フェルール49aを含む)であっても良い。なお、図11(a)、(b)では、シャッターユニットの本体部の図示を省略している。
【0013】
2枚のシャッター片40は、図示せぬシャッターユニットの本体部に対して連結部41を介して回動自在に取り付けられ、これら2枚のシャッター片40は、互いに一端が当接する閉鎖位置、すなわちコネクタ穴46を両側から塞ぐ位置に向けて付勢されている(付勢用の付勢部材(バネ等)の図示は省略)。シャッターユニットの奥側(被接続側光コネクタの側)にてコネクタ穴46内に取り付けられるインナー部材61は、コネクタ穴46を横切るように配置される本体部63を有しており、この本体部63(インナー本体部とも言う)の中央には、図11(a)に示すシャッター付き光コネクタにおいては、光コネクタ48のフェルール48a及び/又は光コネクタ7先端のフェルール47aの断面サイズとほぼ同様のサイズの開口66が形成されており、図11(b)に示すシャッター付き光コネクタにおいては、ハウジング45hの一部をコネクタ状に成形した部分49の先端に突出するフェルール49aの断面サイズとほぼ同様のサイズの開口66が形成されている。また、図11(b)に示すシャッター付き光コネクタでは、フェルール49aを、インナー部材61の開口66からシャッター片40の側に突出しない大きさに形成し、ハウジングに挿入接続された光コネクタ47先端のフェルールが、開口66を介してインナー部材61から被接続側光コネクタ49の側に突出されて、被接続側光コネクタ49のフェルール49aに接続される構成も採用可能である。
【0014】
前記インナー部材61は、シャッター片40方向に延びる複数の突起64を備えている。こうした突起64は、例えば図6、図7に示されるように、コネクタハウジング内に形成された溝等の凹部に挿入されることで、コネクタハウジング内でのインナー部材のぐら付き防止や、コネクタハウジング内の防塵性の向上等に役立てることができる。
【0015】
この発明では、インナー部材としてインナー本体部が、該インナー本体部に設けられた電磁波遮蔽材料によって電磁波シールド部材として機能する構成も採用可能である。例えば、前記コネクタハウジングが、取付壁に形成されたコネクタ取付穴に位置決めして前記取付壁に取り付けられるものであり、前記インナー部材のインナー本体部が前記コネクタ穴を横切るようにして前記コネクタハウジングに設けられるようにすることで、コネクタハウジングを前記取付壁に取り付けたときには、前記コネクタ取付穴のほぼ全体を塞ぐように配置される電磁波遮蔽性の部材(以下、遮蔽部ともいう)として機能させることができる。
【0016】
つまり、この構成では、前記インナー部材のインナー本体部が取付壁のコネクタ取付穴の電磁波シールド性を確保するための電磁波シールド部材として機能する。また、この構成では、シャッターユニットを構成する部材(本体部やシャッター片など)やコネクタハウジングなど、シャッター付き光コネクタを構成するより多くの部材について、導電性を有する部材を採用して、電磁波シールド部材として機能させることが、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点でより好ましい。
【0017】
インナー部材の遮蔽部に形成されている開口は、光コネクタ先端に突出するフェルールや被接続側光コネクタ先端に突出するフェルールの挿通が可能な程度の大きさであれば良く、コネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点では、出来るだけ小さく形成することが好ましい。これにより、開口に相当する僅かな部分を除いて、コネクタ取付穴の大部分を覆うように遮蔽部を配置できるため、コネクタ取付穴の電磁波シールド性を効果的に確保できる。
【0018】
インナー部材およびシャッターユニットのコネクタハウジングに対する組み込みは、例えば、コネクタハウジングの組み立て時での組み込み、外部からの挿入や組み付け、プラスチック等の合成樹脂製の光コネクタの形成樹脂中への埋設等、各種採用可能である。
本発明では、前記コネクタハウジングが、前記コネクタ穴の軸方向中央部で分割された2つのハウジング半体からなり、前記インナー部材およびシャッターユニットは、前記2つのハウジング半体の接合部付近にて、前記2つのハウジング半体の間に保持するようにして前記コネクタハウジング内に組み込まれている構成も採用可能である。コネクタハウジングが、例えば、2つのハウジング半体を一体化して組み立てられる光コネクタアダプタの場合、2つのハウジング半体の一体化の際に、2つのハウジング半体の間にインナー部材およびシャッターユニットを割り込ませるようにして組み込むことができる構成などが採用可能である。この場合、2つのハウジング半体の接合部付近に、インナー部材を収容するための凹所を形成した構成なども採用可能である。また、2つのハウジング半体を分離してコネクタハウジングを解体することで、インナー部材およびシャッターユニットを取り出せるようになっている構成も採用可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1(a)〜(d)は本発明の1実施形態のシャッター付き光コネクタ10の外観を示す図、図2は機器の筐体11の取付壁12(パネル)に対するシャッター付き光コネクタ10の取付状態を示す図であって取付壁12に開口されたコネクタ取付穴13付近を示す断面図、図3は図2のシャッター付き光コネクタ10の取付壁12に対する取付状態を筐体11外側から見た斜視図、図4は取付壁12に形成されたコネクタ取付穴13を示す斜視図、図5は図2のシャッター付き光コネクタ10の取付壁12に対する取付状態を筐体11内側から見た斜視図、図6はシャッター付き光コネクタ10のシャッターユニット15の構造を示す斜視図、図7は本発明に係るシャッター付き光コネクタ10の構造を示す断面図、図10はシャッター付き光コネクタ10に組みこまれるインナー部材を示す斜視図である。
【0021】
図6に示すように、前記シャッター付き光コネクタ10は、光コネクタアダプタを構成するコネクタハウジング14の内部に、シャッターユニット15およびインナー部材61を組み込んだ構成になっている。
【0022】
図1(a)〜(d)において、前記コネクタハウジング14は、MPO形光コネクタ(MPO:Multifiber Push−On。例えばJIS C 5982、IEC 1754−7発行に制定されるもの)の光コネクタアダプタである。このコネクタハウジング14は、全体が例えばプラスチック等の合成樹脂製であり、内部を貫通するコネクタ穴14aを有するスリーブ状の概略構造に形成されている。このコネクタハウジング14は、一対のハウジング半体14A、14Bを接合、一体化して組み立てられる。
【0023】
各ハウジング半体14A、14Bは、例えばプラスチック等の合成樹脂によって形成された一体成形品であり、コネクタハウジング14は、いずれもスリーブ状の一対のハウジング半体14A、14Bを軸方向に直列に接合、一体化して組み立てられ、これにより、ハウジング半体14Aの内部を貫通するコネクタ穴14a1と、ハウジング半体14Bの内部を貫通するコネクタ穴14a2とが連続して、コネクタハウジング14のコネクタ穴14aが形成されるようになっている。
【0024】
図6、図7に示すように、一対のハウジング半体14A、14Bの内、一方のハウジング半体14Aには、軸方向一端部(軸方向とはコネクタ穴14a軸方向。ここで、軸方向一端部は、ハウジング半体14Bと接合される側の端部)の端面14iから窪んだ形状の凹所14wが形成されており、他方のハウジング半体14Bは、軸方向一端部14d(軸方向とはコネクタ穴14a軸方向。ここで、軸方向一端部は、ハウジング半体14Aと接合される側の端部)を、ハウジング半体14Aの凹所14wに嵌合して、接合、一体化される。また、必要に応じて、接着剤やネジ等を用いて固定する。なお、一対のハウジング半体14A、14Bを接合、一体化するための構造としては、凹所14wでの嵌合を利用した構造に限定されず、例えば、ネジ留め(ネジ自体がハウジング半体同士の位置決めの機能を果たす)、治具等を利用した位置決めして熱溶着や接着剤により接着固定することなど、各種採用可能である。
【0025】
図1(b)、(d)、等において、符号14fは、コネクタハウジング14内の係合爪(弾性爪)であり、コネクタハウジング14に挿入、接続される光コネクタ16A、16B(図3、図5参照。ここではMPO形光コネクタ(例えばJIS C 5982、IEC 1754−7発行に制定されるもの)の光コネクタプラグ。以下、光コネクタ16A、16Bについて共通の構成について説明する場合には、符号16を付して説明する場合がある)のスリーブ状のハウジング17の側部に形成されている係合部(係合凹所等。図示略)に係脱可能に係合する。ここでは、符号16Bの光コネクタを被接続側光コネクタ(以下、「被接続側光コネクタ16B」とも言う)、符号16Aの光コネクタを被接続側光コネクタ16Bに対して接続される光コネクタとして機能させている。光コネクタ16A、16B同士の接続時の位置決め用のガイドピン19cは、被接続側光コネクタ16Bのフェルール19に組み込まれ、このフェルール19の接合端面19bから突出されている。
この実施の形態では、光コネクタ16A、16Bとして、多心のMPO形光コネクタの光コネクタプラグを例示しているが、MPO形光コネクタプラグとしては、単心のものであっても良い。なお、本発明に係る光コネクタ(光コネクタプラグ)としては、前述のMPO形光コネクタ(光コネクタプラグ)に限定されず、単心、多心の各種光コネクタが採用可能である。
【0026】
図8に示すように、前記係合爪14fは、ハウジング半体14A、14Bのハウジング本体部14bに一体に形成されており、スリーブ状のハウジング本体14b内側のコネクタ穴14a内に突出されている。各コネクタ半体14A、14Bの係合爪14fは、コネクタ半体14A、14Bの軸方向一端部の側から、コネクタ穴14a軸方向両端の開口部側に向けて、ハウジング本体部14b内面に沿って延びる形状になっている。また、この係合爪14fのハウジング本体部14b内面に沿って延在する部分と、ハウジング本体部14bの内面14kとの間には、若干のクリアランス14mが確保されている。なお、図8は、コネクタハウジング14を、シャッターユニット15やインナー部材61を収納していない状態で示した断面図である。
【0027】
図6、図9に示すように、ハウジング半体14Aの係合爪14fの両側には、この係合爪14fをハウジング半体14Aの本体部14bに対して撓曲自在にさせる溝(長溝)62が形成されている。この溝62は、コネクタ半体14Aの軸方向他端部(軸方向一端部に対向する側。光コネクタ16Aの挿入口側。図9(a)左側)から、コネクタ半体14Bと接合される端部の側の凹所14wから窪んだ形状のインナー収納凹所14oにわたって、ハウジング半体14Aの本体部14bに直線状に貫通して形成されている。インナー収納凹所14oは、ハウジング半体14A内のコネクタ穴14aの軸方向一端部(但し、凹所14wよりも軸方向他端部側)を拡張した形状であり、凹所14wもハウジング半体14A内のコネクタ穴14a1の軸方向一端部を拡張した形状であるが、インナー収納凹所14oは、断面寸法(コネクタ14aの軸方向に直交する方向の断面の寸法)が、凹所14wに比べて若干小さくなっている(インナー収納凹所14oはコネクタ穴14a、14a1の一部である)。また、図6、図9(b)に示すように、コネクタ穴14a1の両側にそれぞれ形成された係合爪14fの両側(図6、図9(b)では上下両側)の溝62、すなわち合計4本の溝62のインナー収納凹所14oに開口する端部は、コネクタ半体14Aを軸方向一端部の端面14iの側から見て露出する位置にある。これら4本の溝62は、全長にわたって、コネクタ穴14a1と連通している。なお、係合爪14fは、本体部14bからの突出基端部を含めて全体が、インナー収納凹所14oに突出しない形状になっている。
【0028】
MPO形光コネクタの光コネクタプラグである光コネクタ16と各ハウジング半体14A、14Bとは、コネクタハウジング14(より具体的にはハウジング半体)に光コネクタ16を挿入すると、光コネクタ16のハウジング17の側部の係合部(被接続側光コネクタ16Bの係合部(符号17c)を参照)に、ハウジング半体の係合爪14fのハウジング本体部14bからの突出先端の係合突起14nが係合するとともに、この係合の解除を阻止してハウジング半体から光コネクタ16が引き抜かれないようにするロックが掛かり、光コネクタ16に付いているスライド片(カップリング18)を引くと、ロックを解除させながら、コネクタハウジング14(ハウジング半体)から光コネクタ16を抜き去ることができる、スライドロック構造を構成する。
【0029】
なお、係合爪14fは、光コネクタ16の種類や、ハウジング17のサイズや、係合部の形状等によって適宜変更される。図2、図3、図5等では係合爪14fの図示を省略している。また、符号14gは、前記ハウジング17の側部に突設されているキー17aが挿入されるキー溝である。また、コネクタハウジングとしては、上述のように、光コネクタ(光コネクタプラグ)と係合する係合爪が、各ハウジング半体のハウジング本体部と一体成形されている構成に限定されず、例えば、ハウジング半体のスリーブ状のハウジング本体部とは別体のスリーブ状の内部ハウジングを収容し、この内部ハウジングに係合爪が形成されている構成なども採用可能である。
【0030】
図6、図7に示すように、シャッターユニット15は、例えば一枚の金属板、好ましくはステンレスや銅から曲げ等の成形によって形成された略コ字形の本体部51と、この本体部51の上下端に枢着部52によって回転自在に取り付けられた一対のシャッター片53a、53bとを有して構成されている。また、この実施形態では、シャッターユニット15を構成する全ての部材、すなわち、本体部51、枢着部52、シャッター片53a、53bは、導電性を有する部材で形成されていることが好ましい。ここに例示する実施の形態では、本体部や、シャッター片として、導電性を有するステンレス板を成形して形成したものを例示する。
【0031】
図6、図9(b)に示すように、シャッターユニット15の本体部51は、平板状の主板部51aと、この主板部51aの対向する両側から一方の面の側に突出する一対の張り出し部51b,51cとを有しており、一対のシャッター片53a、53bが取り付けられる「本体部51の上下端」の枢着部52とは、各張り出し部51b、51cの主板部51aからの突出先端にそれぞれ設けられた枢着部52である。枢着部52は、具体的には軸であり(以下、枢着部52を軸52とも言う)、互いに平行であり、しかも、シャッターユニット15をコネクタハウジング14内に組み込んだときに、コネクタ穴14a1の対向する両側に、コネクタ穴14a1の軸方向に対して直交する向きで配置され、コネクタ穴14a1の対向する両側に位置する係合爪14fが一対の軸52の間に位置するようになる。
【0032】
シャッターユニット15は、ハウジング半体14Aに対して、該ハウジング半体14Aの軸方向一端部から挿入して組み込まれる。シャッターユニット15の主板部51aは、インナー収納凹所14oに収納される。また、シャッターユニット15の各り出し部51b、51cは、コネクタ穴14a1の対向する両側の拡張部14eに収納される。図9(a)、(b)に示すように、ハウジング半体14Aの軸方向他端部(図9(a)左側、図9(b)紙面手前側)には、本体部14bからコネクタ穴14a1に突出する突壁14jが、コネクタ穴14a1の中心軸線を介して対向する両側に形成されており、前記拡張部14eは、各突壁14jから、コネクタ穴14a1の軸方向に沿って延在して、インナー収納凹所14oに開口する溝状に形成されている。各拡張部14eは、コネクタ穴14a1をその中心軸線を介して両側に拡張した形状になっている。
【0033】
図6に示すように、シャッターユニット15は、各張り出し部51b、51cの両側の軸52の突出部分(突出部52a)を、各拡張部14eの対向する両側を拡張するようにしてコネクタ穴14a1の軸方向に沿って延在形成された軸挿入溝14h(軸挿入溝14hは拡張部14eの一部)に挿入して、ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側からハウジング半体14Aに押し込んでいくことでハウジング半体14A内に収納される。各張り出し部51b、51cは、各軸52の突出部52aが軸挿入溝14hに挿入されていくに従い拡張部14eに挿入されていく。シャッターユニット15は、張り出し部51b、51cあるいは軸52の突出部52aが突壁14jに突き当たった所で、それ以上のハウジング半体14Aへの押し込みが規制される。
【0034】
なお、一対の突壁14jの間には、ハウジング半体14Aに挿入される光コネクタ16Aのハウジング17の断面形状とほぼ一致する形状の空間(この空間もコネクタ穴14a、14a1の一部)が確保されており、一対の突壁14jの内の一方(以下、符号14j1を付して説明する場合がある)には、光コネクタ16Aのハウジング17のキー17aが挿入されるキー溝14gが形成されている。他方の突壁14j(以下、符号14J2を付して説明する場合がある)には、キー溝は形成されていない。突壁14J1側の拡張部14e(図7、図9(a)、(b)において符号14e1の拡張部14e)及び突壁14J2側の拡張部14e(図7、図9(a)、(b)において符号14e2の拡張部14e)に収納された張り出し部51b、51c及び枢着部52は、ハウジング半体14Aへの光コネクタ16Aの挿入時に光コネクタ16Aのハウジング17に干渉しないようになっている。
【0035】
図6および図10に示すように、インナー部材61は、板状の本体部(インナー本体部)63とこの本体部から突出する4本の突起64とから構成されており、4本の突起64を、ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側から溝62にそれぞれ挿入して、ハウジング半体14Aに押し込んでいくことでハウジング半体14A内に収納される。インナー本体部63は、インナー収納凹所14oに収納される。但し、この実施形態では、シャッターユニット15は、本体部51の主板部51aが張り出し部51b、51cの両側に突出した部分(突出板51d)を、インナー収納凹所14oの奥部(ハウジング半体14Aの軸方向一端部の側から見てインナー収納凹所14oの最奥部)にてコネクタ穴14a1の対向する両側に位置する内面(受け面14u)に重ね合わせるようにして、ハウジング半体14A内に収納されるようになっており、しかも、ハウジング本体14Aに収納したときには、各突出板51dに2箇所ずつ形成された切欠59が、それぞれ、ハウジング半体14Aの4本の溝62に連通されるようになっており、インナー部材61の4本の突起64は、各突出板51dの切欠59を介して、それぞれ溝62に挿入されるようになっている。図7に示したように、各突起64は、インナー本体部63からの突出先端が、シャッター片53a、53bの遮光位置よりも、ハウジング半体14Aの軸方向他端部側に突出するようになっている。なお、インナー部材61の具体的構成については、後で詳述する。
【0036】
シャッターユニット15とインナー部材61を収納したハウジング半体14Aの軸方向一端部の凹所14wにハウジング半体14Bを挿入、固定すると(図7の状態)、ハウジング半体14Bの軸方向一端部14dによって、インナー部材61がハウジング半体14Aから抜け出ないように押さえ込まれ、シャッターユニット15が、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とインナー本体部63との間に挟み込まれて、ぐらつかないように安定保持される。すなわち、シャッターユニット15とインナー本体部63とが、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とハウジング半体14Bとの間に挟み込まれて、安定保持される。
【0037】
なお、シャッターユニットは、必ずしも突出板15dを有する構成である必要は無いが、突出板15dを有する構成であれば、シャッター付き光コネクタ10を取り付ける取付壁のコネクタ取付穴の電磁波シールド性の確保の点で、有効に機能させることが可能である。
また、コネクタハウジング14(ハウジング半体14A)内でのシャッターユニット15の収納安定性を確保するための機構としては、必ずしも、軸52の突出部52aをハウジング半体14A内の軸挿入溝14hに挿入する構造に限定されず、各種構成が採用可能である。例えば、シャッターユニットとインナー本体部63とが、ハウジング半体14Aの突起14j1、14j2とハウジング半体14Bとの間に挟み込まれるだけで安定保持が実現できる場合は、軸52の突出部52aやハウジング半体14A内の軸挿入溝14hの形成を省略することも可能である。
【0038】
図7に示すように、コネクタハウジング14内に組み込まれたシャッターユニット15のシャッター片53a、53bは、図示略の付勢部材やストッパ等によって遮光位置に配置され、光コネクタ16Aの挿入によって付勢部材の付勢力に抗して被接続光コネクタ16Bの側に押し倒される。光コネクタ16Aを抜けば、付勢部材の付勢力によって遮光位置に戻る。
枢着部52によって本体部51に軸着されるシャッター片53a、53bは、図示の如く中央付近がハウジング半体14Aの接合端面14iから遠ざかるように屈曲されている。こうしたシャッター片53a、53bの屈曲は、光コネクタ16Aをハウジング半体14Aに挿入した際に、光コネクタ16Aの先端、即ちフェルール19にシャッター片53a、53bが接して、擦れ等によってフェルール19の端面が傷つくことを防止し、光コネクタ16Aの光接続特性の長期信頼性を確保する役割を果たす。シャッター片53a、53bは、光コネクタ16Aをハウジング半体14Aに挿入すると光コネクタ16Aのハウジング18によって押し開かれる。
【0039】
シャッターユニット15を構成するシャッター片53a、53bは、回動によってコネクタ穴14aに突出してこれを塞ぐ遮光位置と、コネクタ穴14aの上下方向に退避した開放位置との間で開閉可能にされる。シャッター片53a、53bは、例えば板状のバネ等でコネクタ穴14aを塞ぐ遮光位置に向けて付勢されている。シャッター片53a、53bが遮光位置にある時には、ほぼコネクタ穴14a全体がシャッター片53a、53bによって塞がれる。この遮光状態では、コネクタ穴14aの片側の開口部から先行して挿入接続された光コネクタ16の先端(ここでは光コネクタ16Bのフェルール19先端)に露出する光ファイバ(図1(b)、(d)の符号19a参照)からの出射光が、コネクタ穴14aの反対側の開口部から飛び出ることを防止できる。
【0040】
また、この遮光位置では、導電性の金属板から構成されたシャッター片53a、53bがコネクタ穴14aを塞ぐため、電磁波シールド性の点でも、優れた性能が得られる。更に、遮光位置にあるシャッター片53は、コネクタ穴14aにおける前記シャッター片53a、53bと被接続側光コネクタ16Bとの間に位置する区間への埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタ16B先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止できる。
【0041】
図6および図10に示すように、インナー部材61は、本体部(インナー本体部)63とこの本体部から突出する4本の突起64とから構成される。インナー部材61は、全体が導電性を有する樹脂、例えば鉄粉等の導電性を有する金属粉を分散させた樹脂で一体に形成される。本体部63には、光コネクタ16A側に面して、光コネクタ16Aのハウジング17の先端部分を受け止める支持部65が形成されている。この支持部65には、光コネクタ16Aのハウジング17の先端が挿入される凹部65aが形成されている。光コネクタ16Aがハウジング半体14Aに挿入されると、光コネクタ16Aのハウジング17は、シャッターユニット15の主板部15aの中央部に開口する窓15eに挿入され、その先端が凹部65aに挿入されるので、光コネクタ16Aは支持部65によってぐらつきなくハウジング半体14A内に支持される。
【0042】
また、インナー部材61の本体部63の中央付近には、略フェルール19と同等のサイズに開かれた開口66が形成されている。この開口66は、光コネクタ16Bをハウジング半体14Bに挿入した際に光コネクタ16Bのフェルール19(図5参照)が貫通する。また、開口66には、ハウジング半体14Aに挿入した光コネクタ16A先端のフェルール19も挿入可能である。インナー部材61に光コネクタ16A、16Bのフェルール19だけを貫通させるサイズの開口66を設け、その周辺をインナー本体部63で塞ぐ構成であれば、電磁波シールド性の点で、優れた性能が得られる。
【0043】
(コネクタ取付穴の電磁波シールドについて)
この実施形態のシャッター付き光コネクタ10では、コネクタハウジング14、インナー部材61(特に本体部63)として導電性を有するものを採用したことにより、例えば、図2〜図4に例示した筐体11の取付壁12に取り付けた場合に、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性能を良好に確保できる。この実施形態では、電磁波シールド機能を有するコネクタハウジング14、インナー部材61として、カーボンフィラーを成形樹脂中に混入分散した合成樹脂材料によって成形したものを採用したが、これに限定されず、例えば、合成樹脂などからなる基材に導電性の塗料(例えば、電磁波吸収作用を持つ磁性金属粉を混入したペーストなど)を塗布して形成した導電性塗膜を有するもの、導電性繊維(金属繊維など)からなる導電性布帛を固定したものなども採用可能である。また、電磁波吸収作用を有する微細粉としては、カーボンフィラーに限定されず、各種材料が採用可能である。
【0044】
この実施形態のシャッター付き光コネクタ10では、特に、インナー部材61(中でも本体部63)が、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性の確保に有効に寄与する。インナー本体部63(遮蔽部)は、コネクタ穴14aを横切るように配置され、コネクタ穴14aその断面方向にほぼ全体にわたって塞ぐようになっており、シャッター付き光コネクタ10を取付壁12のコネクタ取付穴13に挿入(図2等ではコネクタ半体14Bをコネクタ取付穴13に挿入)して取付壁12に取り付けたときに、コネクタ取付穴13のほぼ全体を塞ぐように配置される。そして、インナー部材61と接触して電気導通可能になっているコネクタハウジング14、あるいは、コネクタハウジング14に設けた接続回路などを介して、インナー部材61のグランドを確保しておくことにより、インナー部材61を電磁波シールド用の部材として有効に機能させることができ、これにより、コネクタ取付穴13の電磁波シールド性を確保できる。
【0045】
なお、インナー本体部63は、扁平な板状に形成されており、インナー部材61を組み込むコネクタハウジング14は、インナー部材61を組み込まない光コネクタのコネクタハウジングに比べて、殆ど(あるいは全く)大型化する必要が無い。また、シャッターユニット15についても、コネクタ半体14A内のコネクタ穴14a1を拡張した形状の拡張部などを利用してコネクタハウジング14内に組み込む構成であることから、コネクタハウジングの小型化に寄与する。
【0046】
また、このシャッター付き光コネクタ10では、コネクタハウジング14も電磁波シールド機能を有する部材として機能させることができるため、結果的に、フェルール19外形よりも僅かに大きい程度の開口66の部分を除いて、コネクタ取付穴13の殆どの部分を電磁波シールド機能を有する部材によって塞ぐことができ、優れた電磁波シールド性が得られる。つまり、このシャッター付き光コネクタ10が取付壁に取り付けられると、取付壁のコネクタ取付穴がシャッター付き光コネクタ10によってほぼ隙間無く塞がれた状態となる。さらに、このシャッター付き光コネクタ10では、シャッターユニット15も導電性部材を採用したことにより、より高い電磁波シールド機能が得られる。
【0047】
図1、図2中、符号20で示すシールドカバーは、ハウジング半体14Bの断面長方形状のハウジング本体部14b(図1(c)参照)の4側面(周面)の内の3面に対して個別に装着される3つの側板部20a、20b、20cを有し、全体がステンレスなどの導電性の金属板で形成され、ハウジング半体14Bを3方から取り囲むカバー状の部材である。このシールドカバー20の3つの側板部20a、20b、20cは、ハウジング本体部14bの3面に形成されている浅溝14p(図7、図8にも図示している)に収納するようにして、ハウジング本体部14bの外側に、位置ズレを生じないようにして装着される。このシールドカバー20は、筐体11との接触によって電気導通可能に接続されて、電磁波シールド性能を発揮するとともに、電磁波シールド性を有するコネクタハウジング14と取付壁12との電気導通のより確実な確保に寄与する。
【0048】
このシャッター付き光コネクタ10を取付壁12に取り付けるには、このシャッター付き光コネクタ10を筐体11の外側(図2中、取付壁12の左側)から、シールドカバー20が取り付けられている側(ここではハウジング半体14Bの側)を押し込み方向前側として取付壁12のコネクタ取付穴13に押し込んで(図2中、取付壁12の右側へ向けて押し込む)、このシールドカバー20の対向する両側に位置する側板部20b、20cから外側に突出する板バネ状の係合爪20dを弾性変形させつつ取付壁12に通過させれば良い。取付壁12の通過によって弾性復帰した係合爪20dが取付壁12と係合することで、係止爪20dと突片14cとの間に取付壁12が挟み込まれて、シャッター付き光コネクタ10が取付壁12に対して安定に取り付けられると同時に、取付壁12との電気導通が確保される。
【0049】
なお、コネクタハウジング14を介してインナー部材61のグランドを確保する構成であれば、特別な接続回路等をシャッター付き光コネクタ10に設ける必要が無くなるため、シャッター付き光コネクタの低コスト化に寄与する。また、このシャッター付き光コネクタ10によれば、シャッターユニット15に、コネクタハウジング14の外側に突出する通電用コンタクトを突設するなどによって、シャッターユニット15をグランド用の接続回路として機能させることも可能である。
シャッター付き光コネクタを取付壁のコネクタ取付穴に挿入して取り付けるための構成としては、シールドカバーを利用したものに限定されず、各種採用可能であることは言うまでもない。
【0050】
インナー部材61から突出する4本の突起64は、ハウジング半体14Aの接合端面14iに一端が露出する4本の溝62に対応する位置に向けて配置される。そして、ハウジング半体14Aおよびハウジング半体14Bに挟まれて組み込まれた状態では、4本の突起64はハウジング半体14Aの接合端面14iから4本の溝62にそれぞれ挿入され、この4本の溝62を塞ぐ。
【0051】
このように、係合爪14fの形成によって必然的に形成される溝62を、インナー部材61に形成された4本の突起64で塞ぐことによって、コネクタ穴14a内への溝62を経由した埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタ16B先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止することが可能になる。
【0052】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されず、各種変更が可能である。 例えば、シャッターユニットの具体的形状は、前述の実施の形態に例示したものに限定されず、適宜設計変更可能である。また、前記実施の形態では、MPO形光コネクタの光コネクタプラグ同士の接続に用いられる光コネクタアダプタへの適用例を例示したが、本発明はこれに限定されず、MPO形光コネクタ以外の光コネクタプラグ同士の接続に用いられる光コネクタアダプタに適用可能である。
【0053】
さらに、光コネクタアダプタに限定されず、例えば光コネクタレセプタクル等、光コネクタプラグが挿入、接続されるコネクタ穴を有する各種光コネクタに適用可能である。前述の実施の形態では、本体部の片側のみにシャッター片を有する構成のシャッターユニットを例示したが、対向する両側にシャッター片を有する構成も採用可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のシャッター付き光コネクタによれば、係合爪の形成によって必然的に形成される溝をインナー部材に形成された突起で塞ぐことによって、シャッターユニットの両側に開いている溝は完全に閉じられる。これによって、溝を通じて埃等の侵入を防止する防塵性を発揮するため、被接続側光コネクタの先端が埃等の付着によって汚染される等の不都合を防止することが可能になる。
【0055】
また、シャッターユニットによって、被接続側光コネクタからの出射光を遮光できるため、被接続側光コネクタに対する別の光コネクタの接続作業を効率良く行える。また、このシャッター付き光コネクタは、取付壁のコネクタ取付穴に位置決めして取り付けると、該シャッター付き光コネクタのシャッターユニットがコネクタ取付穴を塞ぐように配置されて電磁波シールド性能を発揮するため、コネクタ取付穴に電磁波シールド性を簡単に確保できる。これにより、取付壁に光コネクタアダプタ等の光コネクタを取り付けるために形成するコネクタ取付穴に、優れた電磁波シールド性を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシャッター付き光コネクタの構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図である。
【図2】筐体の取付壁に対する図1のシャッター付き光コネクタの取付状態を示す図であって、取付壁のコネクタ取付穴付近を示す断面図である。
【図3】図2の取付状態を筐体外側から見た斜視図である。
【図4】取付壁に形成されたコネクタ取付穴を示す斜視図である。
【図5】図2の取付状態を筐体内側から見た斜視図である。
【図6】図1のシャッター付き光コネクタの構造を示す破断斜視図である。
【図7】図1のシャッター付き光コネクタを示す全体断面図である。
【図8】図1のシャッター付き光コネクタを示す一部破断図である。
【図9】図1のコネクタ半体の接合端面を示す断面図である。
【図10】本発明のインナー部材を示す外観斜視図である。
【図11】本発明に係るシャッター付き光コネクタを適用した光コネクタレセプタクルを示す断面図であり、(a)はコネクタハウジングに別体の被接続側光コネクタを組み込んだ構成、(b)はコネクタハウジングと一体に被接続側光コネクタを形成した構成を示す。
【図12】光コネクタアダプタを介した光コネクタプラグの接続を示す断面図である。
【図13】機器の筐体の取付壁(パネル)に対する光コネクタアダプタの取付状態を示す斜視図である。
【図14】図13の取付壁に開口されたコネクタ取付穴を示す斜視図である。
【図15】図13の光コネクタアダプタの取付壁に対する取付状態を示す図であって、コネクタ取付穴付近を示す断面図である。
【符号の説明】
10…シャッター付き光コネクタ、12…取付壁、13…コネクタ取付穴、14…コネクタハウジング(光コネクタアダプタ)、14a…コネクタ穴、14A,14B…ハウジング半体、14f…係合爪、15…シャッターユニット、16A,16B…光コネクタ、49a…フェルール、61…インナー部材、62…溝(長溝)、63…本体部(インナー本体部)、64…突起、65…支持部、66…開口
Claims (3)
- 光コネクタが挿入、接続されるコネクタ穴内にて前記光コネクタと被接続側光コネクタとが接続されるようになっているコネクタハウジングに、前記被接続側光コネクタから出射される光を遮光するシャッターユニットと、インナー部材とが組み込まれており、
前記コネクタハウジングの内部には、該コネクタハウジングのコネクタ穴に挿入された光コネクタを係止する係合爪と、この係合爪の両側にて前記コネクタ穴の軸方向に沿って延在する長溝とが形成されており、
前記インナー部材は、前記光コネクタと前記被接続側光コネクタとの接続位置付近に配置され、光コネクタの先端に突出するフェルールおよび/または前記被接続側光コネクタの先端に突出するフェルールが挿入可能な開口が形成されているインナー本体部と、このインナー本体部からコネクタハウジングの前記光コネクタの挿入口側に向けて突出された複数の突起とを有し、
前記コネクタハウジングの前記長溝に前記インナー部材の前記突起が挿入されていることを特徴とするシャッター付き光コネクタ。 - 前記インナー部材は、電磁波遮蔽性材料で形成され、前記インナー部材のインナー本体部が、該インナー本体部に設けられた電磁波遮蔽材料によって電磁波シールド部材として機能することを特徴とするシャッター付き光コネクタ。
- 光コネクタが挿入、接続されるコネクタ穴内にて前記光コネクタと被接続側光コネクタとが接続されるようになっているコネクタハウジングに組み込まれるインナー部材であって、
前記コネクタハウジング内にて、前記光コネクタと前記被接続側光コネクタとの接続位置付近に配置されるインナー本体部と、このインナー本体部から突出された複数の突起とを有し、
前記コネクタハウジングの前記光コネクタの係止用の係合爪の両側で、前記コネクタ穴の軸方向に沿って形成された長溝に前記突起を挿入して、前記コネクタハウジング内に組み込まれるようになっていることを特徴とするインナー部材。
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