JP2004226636A - 電子鍵盤楽器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子鍵盤楽器Mを楽器本体10と蓋20とで構成した。そして、楽器本体10が、鍵盤16の鍵共通基端部16cを底面近傍に位置させ、鍵盤16の自由端部16dが鍵共通基端部16c上方に位置するように鍵盤16を傾斜させて支持するようにした。また、蓋20を楽器本体10に着脱可能にするとともに、鍵盤16の表面に対して至近距離を保った状態で楽器本体10を覆えるようにした。また、蓋20の上に楽器本体10を置いたときに、鍵盤16が略水平になるようにした。さらに、蓋20を立てた状態で、係合部21に楽器本体10の後端部を係合させることにより、鍵盤16を略水平にした状態で、楽器本体10を蓋20に支持させ、蓋20を譜面立てとして用いることができるようにした。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍵盤を備えた楽器本体と、楽器本体の表面を覆って保護する蓋とを備えた電子鍵盤楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鍵盤を備えた電子鍵盤楽器には、鍵盤が設けられた楽器本体と蓋とで構成されるものがあり、このような電子鍵盤楽器の中に、蓋が、楽器本体の表面を被覆して保護するだけでなく、他の用途としても用いられるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この電子鍵盤楽器では、蓋が2分割構造に形成されており、この2分割された蓋は、楽器本体の表面を被覆するようにして楽器本体に取り付けることにより蓋として使用できる。また、2分割された蓋は、楽器本体から取り外したときには、所定間隔を保って立てた状態で、その上端面に楽器本体の下面における両側部分を取り付けることにより脚体として使用することができる。この場合、楽器本体は、鍵盤が水平になるようにして、蓋からなる脚体に支持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような鍵盤を備えた電子鍵盤楽器においては、演奏者が演奏する際には、鍵盤における演奏者側の自由端部分が後端の基端部を支点として上下に移動するため、各鍵の移動範囲を考慮して、楽器本体部分の上下方向の寸法は大きめに設定されている。このため、鍵盤の基端部の下方には、空間部が形成されてしまい、楽器本体は必要以上に大型化されるという問題がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、小型化できるとともに、蓋を楽器本体を被覆すること以外の目的でも使用することのできる電子鍵盤楽器を提供することである。
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子鍵盤楽器の構成上の特徴は、鍵盤の後端部に形成された基端部を底面近傍に位置させ、鍵盤の自由端部が基端部よりも上方に位置するように鍵盤を傾斜させて支持する楽器本体と、傾斜した鍵盤の表面に対して至近距離を保った状態で楽器本体の表面を覆うことができ、楽器本体に対して着脱可能な蓋とを備えたことにある。
【0007】
前記のように構成した本発明の電子鍵盤楽器においては、楽器本体が、白鍵と黒鍵とからなる鍵盤の基端部側を底面近傍に位置させ、鍵盤の自由端部が基端部よりも上方に位置するように鍵盤を傾斜させて支持している。したがって、楽器本体における基端部側にはむだな空間部がなくなり、自由端部側には、鍵盤の各鍵が上下に移動するために必要な空間部が確保できる。これによって、楽器本体を、必要最小限の大きさに設定することができる。また、蓋は、鍵盤の表面に対して至近距離を保った状態で楽器本体の表面を覆うことができるため、鍵盤と蓋との間にも必要最小限の空間部だけを形成することができる。したがって、電子鍵盤楽器全体を小型化することができる。
【0008】
また、本発明にかかる電子鍵盤楽器の他の構成上の他の特徴は、前記蓋を水平面上に置き、その状態の蓋の上面に前記楽器本体を置いたときに、前記鍵盤の表面が略水平になるように、前記楽器本体と前記蓋とを構成したことにある。
【0009】
この電子鍵盤楽器においては、水平面上に置いた蓋の上に楽器本体を置いたときに、鍵盤の表面が略水平になるような形状に、楽器本体と蓋とを構成している。これは、楽器本体における前端面の高さと後端面の高さとの差が、蓋における前端面の高さと後端面の高さとの差と、略等しくなるように設定することにより可能になる。この場合、楽器本体の前端面の上端から白鍵の自由端が上方に突出していれば、その突出した高さも考慮して各部分の高さを設定する。これによると、電子鍵盤楽器を演奏する場合には、楽器本体から蓋を取り外して上面が水平になった台等の上に置き、その蓋の上に楽器本体を置くことにより、鍵盤を略水平にすることができる。これによって、電子鍵盤楽器の演奏がし易くなる。
【0010】
また、本発明にかかる電子鍵盤楽器のさらに他の構成上の他の特徴は、蓋に係合部を設け、蓋の所定の側部を水平面上に位置させて蓋を立てた状態で、係合部に楽器本体の後端部を係合させることにより、鍵盤の表面を略水平にした状態で、楽器本体の後端部を蓋に支持させ、楽器本体の前端部を水平面に支持させることができるとともに、蓋を譜面立てとして用いることができるようにしたことにある。これによると、蓋が、楽器本体の表面を覆うための蓋としての機能の他、鍵盤を水平にした状態で楽器本体を支えるための支持台としての機能を持つようになるとともに、譜面立てとしての機能も持つようになる。したがって、実用的効果が大きくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明にかかる電子鍵盤楽器Mを示している。この電子鍵盤楽器Mは、楽器本体10と蓋20とで構成されており、楽器本体10は、脚部11を有するケース部12と、複数の白鍵16aと黒鍵16bとで構成される鍵盤16とを備えている。ケース部12は、電子鍵盤楽器Mを支持するための支持台となる下ケース13と、楽器本体10の周側部における上部側部分を構成する上ケース14とで構成されている。
【0012】
下ケース13は、底面部13aと周側部とからなっており、底面部13aの下面における四隅に、図2に示した脚部11がそれぞれ設けられている。脚部11は先端部がやや先細りになった筒状に形成されている。そして、下ケース13の上端縁部は、内周側が切り欠かれた段部13bに形成されている。上ケース14は枠状に形成され、その下端縁部は、外周側が切り欠かれた段部14cに形成されている。この段部14cを、下ケース13の段部13bに係合させることにより、上ケース14は下ケース13に組み付けられている。
【0013】
また、上ケース14の上端縁部における後端部(図1の左側)からは、譜面を置くための譜面台15が前方(演奏者側)に向って延びており、譜面台15の前端部に突起からなる譜面止め部15aが形成されている。そして、上ケース14の上端縁部における前端部(図1の右側)からは、フレーム部14aが後方に向って延びている。また、上ケース14の上端縁部は、外周側が切り欠かれた段部14bに形成されている。
【0014】
白鍵16aと黒鍵16bとは、それぞれ後端の鍵共通基端部16cを支持部17に支持させてケース部12に対して上下に揺動可能に取り付けられている。また、白鍵16aは、鍵共通基端部16cを譜面台15の下方に位置させ、自由端部16dをフレーム部14aの上方に位置させている。したがって、白鍵16aの自由端部16dは、フレーム部14aの上方で上下に移動する。支持部17は、一体成形により下ケース13と一体となって成形されており、その高さは鍵共通基端部16cとケース部12の底面とが近い位置になるように低く設定されている。
【0015】
このため、鍵盤16は、自由端部16d側が鍵共通基端部16cよりも高い位置になるように傾斜した状態で配置されている。また、白鍵16aは、押鍵されたときに、その自由端側の下端部とケース部12の底面とが近い位置になるように配置されている。なお、鍵共通基端部16cは、白鍵16aを1個置きに連結したもの2個と、黒鍵16bを連結したものとが3段重ねになって配置されている。
【0016】
蓋20は、天井面部と前後の側部とからなっており、側部の下端縁部は、内周側が切り欠かれた段部20aに形成されている。蓋20は、楽器本体10に対して着脱可能になっており、段部20aを段部14bに係合させることにより、楽器本体10の表面を覆った状態で、楽器本体10に取り付けられる。また、蓋20の前端面の上部側部分は天井面部と前端面に対して傾斜した鍵自由端対向斜面部20bに形成されている。
【0017】
そして、蓋20の裏面(図1の下面および内周面)における前端側の鍵並び方向における両側部分には、それぞれ天井面部に対して直交する係合部21が突出して設けられており、係合部21の後端面には係合凹部21aが形成されている。この係合凹部21aは、脚部11を挿入できる形状および大きさに形成されている。
【0018】
また、蓋20の表面(図1の上面および外周面)における鍵自由端対向斜面部20bの鍵並び方向の両側部分には、それぞれ略三角形の突出した片からなる把持部22が設けられている。この把持部22は、蓋20の着脱操作等を行うときに使用者が手で持つ部分になるとともに、蓋20を前端面を下にして立てる場合に蓋20を安定させるための横転防止用支持部になる。
【0019】
また、蓋20の後端部における下端縁部の鍵並び方向の中央部には、電子鍵盤楽器Mを持つときの取っ手となる枠状の手提部23が設けられている。そして、蓋20の表面における後端側には、鍵並び方向に沿って、補強用の溝部24が設けられている。この溝部24は、脚部11を挿入できる形状に形成されている。この蓋20は、楽器本体10に取り付けられたときに、裏面と鍵盤16の表面との間が至近距離になるように構成されている。また、把持部22および手提部23は、一体成形により蓋20と一体的に成形されている。
【0020】
なお、図示していないが、ケース部12における鍵盤16の下方の部分には、キースイッチや回路が形成されたプリント基板等が取り付けられている。さらに、楽器本体20の表面における鍵盤16の近傍には、複数の操作子等を備えた操作パネルが設けられている。
【0021】
このように構成された電子鍵盤楽器Mを使用しないときには、図1のように段部14bと段部20aとを係合させることにより、楽器本体10の表面を覆った状態で、蓋20を楽器本体10に取り付けておく。これによって、鍵盤16に埃が溜まったり、鍵盤16に傷が付いたりすることを防止することができる。また、電子鍵盤楽器Mを外部に持ち出す場合には、蓋20を楽器本体10に取り付けた状態で手提部23を持って運ぶ。この場合、電子鍵盤楽器Mは、コンパクトになって、携帯しやすくなる。
【0022】
また、電子鍵盤楽器Mを使って演奏する場合には、楽器本体10から蓋20を外し、その蓋20を前後に反転させて、図3に示した状態で、台25の上面に置く。そして、ケース部12の後端側に設けられた2個の脚部11を鍵自由端対向斜面部20bに係合させ、ケース部12の前端側に設けられた2個の脚部11を溝部24内に位置決めした状態で、楽器本体10を蓋20の上面に置く。なお、楽器本体10と蓋20とは、図3のように設置すると、鍵盤16の表面が水平になるように構成されている。
【0023】
すなわち、楽器本体10の後端面の高さと蓋20の前端面の高さとの合計高さが、楽器本体10の前端面の高さと蓋20の後端面の高さとの合計高さよりもやや高くなるように設定されている。したがって、図3の状態にした場合には、鍵盤16の表面が水平になって、電子鍵盤楽器Mは、演奏者が演奏し易い状態になる。
【0024】
また、演奏する際に、楽譜を見る場合には、図4および図5に示したように、蓋20の前端面を台25の上面に当てた状態で蓋20を垂直方向に立てる。そして、ケース部12の後端側に設けられた2個の脚部11を、係合部21の凹部21a内に位置決めした状態で、楽器本体10を台25の上面に置く。なお、係合部21は、図4および図5のように楽器本体10と蓋20を設置すると、鍵盤16の表面が水平になる位置に設けられている。
【0025】
そして、譜面26の下端部を譜面止め部15aに当て、上部を手提部23側に傾倒させた状態で、譜面26を譜面台15の上に置く。演奏者は、この譜面26を見ながら電子鍵盤楽器Mの演奏を行うことができる。この場合、蓋20の把持部22が前端面とともに、台25の上面に接触しているため、蓋20は安定した状態で起立姿勢を維持できる。また、譜面26は、譜面止め部15aと手提部23との支持によって安定した姿勢を維持できる。
【0026】
このように、この実施形態によれば、電子鍵盤楽器Mを使用しない場合には、楽器本体10に蓋20を取り付けて鍵盤16を保護した状態にすることができる。これによって、鍵盤16に埃が付いたり、傷が付いたりすることを防止することができる。また、このときには、電子鍵盤楽器Mは、内部に無駄な空間のないコンパクトな状態になっているため、狭い場所でも保管することができる。さらに、手提部23が設けられているため携帯にも便利になる。
【0027】
電子鍵盤楽器Mを使って演奏する場合には、蓋20を台として使い、その上に楽器本体10を置くことにより演奏が可能な状態になる。この場合、後端側の脚部11と鍵自由端対向斜面部20bとの係合および前端側の脚部11と溝部24との係合によって、楽器本体10は安定した状態で蓋20に支持される。また、その際、鍵盤16の表面が水平になるため、操作し易い状態で演奏することができる。
【0028】
また、譜面26を見ながら電子鍵盤楽器Mを使って演奏する場合には、蓋20の前端面を下方にして蓋20を起立した姿勢にし、後端側の脚部11を係合部21の係合凹部21aに係合させて楽器本体10を蓋20に支持させることにより、蓋20を譜面立てとして用いることができる。この場合も、鍵盤16の表面は水平になって、電子鍵盤楽器Mは演奏し易い状態になる。このように、本実施携帯による電子鍵盤楽器Mは、場合に応じて蓋20の姿勢を変更することにより、種々の方法で使用することができるため効果的である。
【0029】
また、本発明による電子鍵盤楽器Mを構成する各部分は適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、蓋20を天井面部と前後の側部とで構成したが、側部を蓋の周囲全てに設けて蓋を箱型に形成してもよい。これによると、楽器本体10の表面に埃が溜まることをさらに確実に防止できる。また、脚部11や係合部21およびその他の部分の形状も前述したものに限らず変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子鍵盤楽器の縦断面図である。
【図2】脚部を示す斜視図である。
【図3】蓋を台にして楽器本体を支持させた状態を示す縦断面図である。
【図4】蓋を譜面立てにして楽器本体を指示させた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の5−5断面図である。
【符号の説明】
10…楽器本体、12…ケース部、15…譜面台、15a…譜面止め部、16…鍵盤、16a…白鍵、16b…黒鍵、16c…鍵共通基端部、16d…自由端部、20…蓋、20b…鍵自由端対向斜面部、21…係合部、21a…係合凹部、24…溝部、M…電子鍵盤楽器。
Claims (3)
- 鍵盤の後端部に形成された基端部を底面近傍に位置させ、前記鍵盤の自由端部が前記基端部よりも上方に位置するように前記鍵盤を傾斜させて支持する楽器本体と、
前記傾斜した鍵盤の表面に対して至近距離を保った状態で前記楽器本体の表面を覆うことができ、前記楽器本体に対して着脱可能な蓋と
を備えたことを特徴とする電子鍵盤楽器。 - 前記蓋を水平面上に置き、その状態の蓋の上面に前記楽器本体を置いたときに、前記鍵盤の表面が略水平になるように、前記楽器本体と前記蓋とを構成した請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
- 前記蓋に係合部を設け、前記蓋の所定の側部を水平面上に位置させて前記蓋を立てた状態で、前記係合部に前記楽器本体の後端部を係合させることにより、前記鍵盤の表面を略水平にした状態で、前記楽器本体の後端部を前記蓋に支持させ、前記楽器本体の前端部を前記水平面に支持させることができるとともに、前記蓋を譜面立てとして用いることができるようにした請求項1または2に記載の電子鍵盤楽器。
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