JP2004225908A - トルク制御式ブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】荷重を受ける構成部品に加わる動的ひずみを、ブレーキの制動力を減少させることなく最も効果的に解消し、さらに、ブレーキの開放を常に完全で確実に行なう。
【解決手段】駆動軸と被駆動軸との間に配設されたトルク制御式ブレーキであり、上記ブレーキは、ブレーキディスク/クラッチディスク構造を含み、同構造は、駆動軸と被駆動軸との間に配設された第1のディスク9および第2のディスク10を有する。上記ブレーキはさらに、ブレーキディスク/クラッチディスク構造と連動する第1の一組の摩擦面手段12および第2の一組の摩擦面手段14と、上記ディスク構造および摩擦面手段によってブレーキ係合を達成するバネ構造15、16と、第1および第2のカム部とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動軸と被駆動軸との間に配設されたトルク制御式ブレーキに関するものである。上記ブレーキは、駆動軸と被駆動軸との間に配設されたブレーキディスク/クラッチディスク構造を含み、同構造は、被駆動軸に対して軸方向に移動可能であるが回転不能に配設された第1のディスクと、第1のディスクと駆動軸との間に配設され軸方向に移動可能な第2のディスクとを含む。上記ブレーキはさらに、第1および第2のディスクの間に配設された第1の一組の摩擦面手段と、第2のディスクとブレーキ本体との間に配設された第2の一組の摩擦面手段と、上記両ディスクとそれらに連動する上記両摩擦面手段とを軸方向に互いに押し合わせてブレーキ係合を達成するバネ構造と、上記駆動軸とブレーキディスク/クラッチディスク構造との間に配設されたカム手段とを含む。このカム手段は、駆動軸へ回転不能に固定された第1のカム部と、第2のディスクへ回転不能に配設された第2のカム部とを有する。このカム手段は、駆動軸のトルクおよび回転の衝撃を利用し、場合によっては被駆動軸の逆トルクも利用し、上記両ディスクと摩擦面手段との相対的な軸方向位置を変化させてブレーキ係合をバネ構造によって生じる力に逆らって少なくとも一部切り離す。
このようなブレーキはフィンランド特許出願第20010714号に開示されている。同出願ではとりわけ、荷重方向から到来する荷重をうまく制御して安全上の危険性を回避することを目的としている。さらに、荷重の振動によって生じる、同期速度を上回るモータの加速についても、回避が試みられている。その他、ブレーキの用途を拡大することも目的としている。この従来技術方式の実質的な構成要件は、2つの制動ホイールを用いることであり、これによって、これらの制動ホイールが達成するトルクは、それぞれ様々な値に調節される。これにより、ブレーキを多様な用途に適するよう改変することが可能になり、ブレーキに特性を追加することも可能になったが、従来、そうするには特殊な構造を必要としていた。
フィンランド特許出願第20010714号公報 特開2002−364684号公報
本発明は上述のブレーキにさらに改善を加えることを目的とする。これは例えば、荷重を受ける構成部品に加わる動的ひずみを、ブレーキの制動力を減少させることなく最も効果的に解消し、さらに、ブレーキの開放を常に完全で確実に行なうことによる。また本発明の構造を、より多様な方法で様々な機能と組み合わせ可能とすることを目的とする。
本発明によるブレーキは、上述の課題を解決するために、第2のディスクが第2のカム部に対して軸方向に移動可能に配設され、第3の一組の摩擦面手段が第2のカム部と第1のディスクとの間に配設され、これによってトルクが駆動軸から被駆動軸へ移動することを特徴とする。
本発明は第2のブレーキディスク/クラッチディスクを基礎とするものであり、これは従前のもの以上に自由に移動可能であり、その移動経路を調節することによって、ブレーキをブレーキトルクに逆らって常時開放できる。これは常時開放という目的のために追加した摩擦面によって行なわれる。これにより、ブレーキを開放すべき時には、常にブレーキを確実に開放(カム手段を作動)可能となる。
第2のディスクにも、例えば別個の連結ホイールによって、適度なフライホイール重量が配置され、連結ホイールには第2のディスクおよび望ましくは第3の一組の摩擦面手段が配設されているため、例えば巻取装置の入力軸に作用する荷重トルクは、例えば電動機の電流が切られるなどして巻取装置を駆動する駆動力が失われた場合、被駆動ホイールを強制駆動し、先ずフライホイール重量分を加速させ、次いで電動機の回転子などのアクチュエータを加速させる。この構造は適切な寸法であるため、フライホイールの後には、ブレーキを開放不可能なトルクしか残らない。これは巻取装置においては非常に重要な構成要件であり、これによって、例えばアクチュエータに不具合が生じたり故障が起きたりした場合であっても、荷重が降下したり突然落下したりすることが防止される。このような予期しない事態においてばかりでなく、通常の巻取工程の面においても、このような構造によれば制動が円滑になり、ブレーキ装置に突然大きな動荷重が加わることもない。
本発明によるブレーキには、所望の場合、チェーン巻取装置に必要な滑りクラッチを設けることも容易である。このように、このブレーキ本体は2つの本体部品で構成され、これらを互いに対して軸方向に調節することにより、第2の一組の摩擦面手段の作用位置すなわち作用点は、第2の本体部品によって調節および制限可能である。
クラッチおよびブレーキのトルクは、バネ構造から得られる同じバネ力を用いて発生させ、これら2つのトルクの比は、これらに対応する摩擦面の比をクラッチトルクとブレーキトルクとの比と等しくなるよう選択することによって調節される。このような方式によれば、滑りクラッチトルクを調節中、ブレーキトルクがそのクラッチトルクに正確に対応して同時に変化するという利点が得られる。本発明による構造では、アクチュエータの回転中、ブレーキの第2の本体を回転させることによって、クラッチトルクを最も簡易な方式で調節可能であり、したがって、調節中は動摩擦係数だけを用いるため、クラッチを精確に調節可能である。
上記バネ構造は、望ましくは第1のディスクを第2のカム部の方へ押し出すバネ列と、第1のカム部を第2のカム部の方へ押し出す第2のバネ列とを有し、第1のバネ列のバネ力が第2のバネ列のバネ力より相当に強くなる。第2のバネ列はカム部を中心として配置され、そのバネ力は、ブレーキトルクを発生する第1のバネ列の実際のバネ力を減少させすぎないように選択される。第1のバネ列の遊びは、摩擦面の損耗も補償する。
本発明の他の利点は、以下、本発明の詳細な説明においてさらに詳細に説明する。
次に、添付図面を参照して、2つの実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
図1ないし図4により、本発明によるトルク制御ブレーキ1がチェーン巻取装置2と手動式巻上機3との間に配設されていることを示す。この手動式巻上機3の回転子4は、本装置の駆動軸の役割を果たす。
ブレーキ1は先ずカム部5および6を有し、これらのうちの参照番号5で示す第1のカム部は、回転子4に対して回転不能に固定されていて、カム部6は、チェーン巻取装置2の入力軸7に、回転可能で軸方向にも移動可能に配設されている。入力軸は本装置において被駆動軸の役割を果たす。すなわち、手動式巻上機3の回転子4から駆動力を与えられてチェーン巻取装置2を駆動する軸として機能する。連結ホイール8は、第2のカム部に、回転不能で軸方向にも移動不能に固定されていて、これによりフライホイール重量が本装置へ装備されている。
ブレーキディスク/クラッチディスク構造は、カム部5および6の間に配設されている。すなわち、回転子4とチェーン巻取装置2の入力軸7との間に配設されている。同構造は、入力軸7上を軸方向に移動可能であるが回転不能に配設されている第1のディスク9と、第2のディスク10とを有する。第2のディスクは軸方向に移動可能であるが、ピン11を用いて連結ホイール8の外周上に固定されているため、連結ホイール8に対して回転不能に配設されていて、第2のディスク10はしたがって、ホイール8を介して第2のカム部6にも同時に固定されている。
第1の一組の摩擦面手段12はディスク9および10の間に配設され、例えば第1のディスク9に固定されていて(図2参照)、第2の一組の摩擦面手段14は第2のディスク10とブレーキ本体13との間に配設されていて、例えば第2のディスク10へ固定されている。本実施例では、これらの摩擦面手段12および14は、有効直径および摩擦面積に関して、大きさが実質的に等しいが、異なるようにしてもよい。
ディスク9および10と、それらに連動する摩擦面手段12および14との間にブレーキ構造を装備するために、バネ構造15、16が設けられていて、これらにより上記構成部品9、10、12および14は、互いに対して押し付けられる。かかるバネ構造は、入力軸7の軸受け17と第1のディスク9との間に配設され第1のディスク9を第2のカム部6の方へ押し出す第1のバネ列15と、ブレーキ本体13と第1のカム部5の軸受け18との間にあり第1のカム部5を第2のカム部6の方へ押し出す第2のバネ列16とを含む。第1のバネ列15のバネ力は第2のバネ列16のバネ力より相当に大きい。第2のバネ列のバネ力は、第1のバネ列15によってブレーキトルクを生じる実際のバネ力を減少させすぎないように選択する必要がある。第2のバネ列16の遊びは、摩擦面手段12、14および19の摩耗余裕を形成している。
さらに、第3の一組の摩擦面手段19は、連結ホイール8によって第2のカム部6に取り付けられ、同手段は連結ホイール8および第2のカム部6に対して回転不能に配され、第1のディスク9と連動するように配設され、これによって駆動軸すなわち回転子4から被駆動軸すなわちチェーン巻取装置の入力軸7へトルクが移動する。ここで特筆すべきは、第3の一組の摩擦面手段19も当然に、その概念もしくは作用を少しも変えることなく、第1のディスク9へ固定可能なことである。第1および第2の一組の摩擦面手段12および14に加えて、第3の一組の摩擦面手段19も、ブレーキ係合を行なうために作動させてよい。本実施例では、第3の一組の摩擦面手段19の有効直径は、第1および第2の一組の摩擦面手段12および14の対応する寸法より小さい。しかしこの条件は必ずしも成立するものではなく、第3の一組の摩擦面手段19の位置によって、同手段の大きさは制限される。
カム部5および6に関して説明すると、両カム部5および6の断面は円形であり、周囲を取り巻くように配置された望ましくは腎臓型の溝20を有し、これらの溝は、溝を取り囲む接触領域21に対して、中央部に深い箇所22を有し、両端部に浅い箇所23を有する。その場合、相対するカム部5および6は、各々一組の相対する溝20と、各々一組の相対する溝の間に配された玉24とを介して、互いに連結される。
要約すると、手動式巻上機3を用いる場合、カム部5および6は回転子4のトルクおよび回転の衝撃と、入力軸7に存する(ブレーキトルクの)逆トルクとによって、ディスク9および10と摩擦面手段12および14との軸方向の位置を変化させ、これによって、ブレーキ係合をバネ構造15および16により生じる力に逆らって少なくとも一部切り離すと同時に、以下にさらに詳細に説明するように、第3の一組の摩擦面手段を用いて第1のディスク9と連結ホイール8との間にトルクを移動させて係合を行なう。
ブレーキ本体13は、互いに対して軸方向に調節される2つの本体部品25、26を有し、これによって、部品25および26の間のねじ切り構造27を用いた調節が行なわれ、第2の一組の摩擦面手段14が第2のディスク10へ固定される。ディスク10は第3のディスク28に対して押し付けられ、第3のディスク28は、軸方向に移動可能であるが、第1の本体部品25上に対してピン29を円形に配することにより、回転不能に配設されている。第2のディスク10、第2の一組の摩擦面手段14、および第3のディスク28の、制動力の方向すなわち本体部品26の方向への軸方向運動は、制限され、第1のカム部5を支持する第2の本体部品26(ブレーキの「カバー部」)を用いて調節可能である。第3のディスク28の軸方向移動の固定は、それが構造的に有利になる場合は、第2の本体部品26に対しても行なってよい。しかし、本体部品25、26の調節によって滑りクラッチを機能させることは、本発明のすべての実施例において必要なものではない。当該調節とそれがブレーキ操作に及ぼす効果とを、以下に説明する。
明瞭のため、図1および図3は、ケースに入っていない状態の巻取装置2を示すが、実際にはこの装置は適切なケース(例えば図6の構造を参照)に入っていて、ケース上に上記装置の構成部品は支持され、必要な潤滑油を配することができる。
本発明の最も重要な構成要件は、ブレーキディスク/クラッチディスク構造中の軸方向へ移動可能な第2のディスク10と、連結ホイール8によって入力軸7とカム部5、6との間に設けられているフライホイール重量と、第3の一組の摩擦面手段19によって得られ駆動力を回転子4から入力軸7へ移動させるトルクとである。滑りクラッチ機能のためには、第2の一組の摩擦面手段14の軸方向の可調節性も重要である。
手動式巻上機3と、ブレーキ1と、チェーン巻取装置2とで構成される上述の装置は、次のように作動する。
図1はチェーン巻取装置2から懸垂された荷重30がブレーキ1によって止まっている状態を示す。このような状態は例えば、手動式巻上機3の回転が停止した場合(もしくは何らかの理由で巻上機3が損傷した場合)に発生し、かかる場合、第2のバネ列16は、第1のディスク9およびその第1の一組の摩擦面手段12を第2のディスク10に対して押し付け、次に第2のディスク10は、その第2の一組の摩擦面手段14がピン11をスライドすることによって、第3のディスク28の方へ押し出され、この運動は第2の本体部品26が制限して停止させる。制動は迅速であるが平滑に行なわれる。それは制動中に、第2のディスク10が連結ホイール8と協働して、本装置のフライホイール重量分をも確実に減速させるからである。もしフライホイール重量分を減速させるのにブレーキを使用しなければ、荷重は全ブレーキトルクによって減速すると考えられる。そのような場合は、制動が迅速すぎるため、荷重を受ける構成部品に極度に大きな動的ひずみが掛かってしまうと考えられる。
図3のブレーキでは、荷重30は上昇している状態である。したがって、回転子4のトルクは第1のカム部5へ移り、これによって装置へ導入されるトルクが大きくなると、第1のカム部5および第2のカム部6が互いに対して回転し、同時に互いから後退する。第2のバネ列16は第1のバネ列15より小さいバネ力を生じるため、第2のバネ列16が上記後退によって先に圧迫され、その後さらに第1のバネ列15も上記後退によって圧迫され、これによって、第2のカム部6を軸方向へ可能な限り移動させる連結ホイール8は、同時に第1のディスク9を押して第2のディスク10とのブレーキ係合を切り離すが、摩擦面のうちの第3の一組の摩擦面手段19によって第1のディスク9とは係合したまま、トルクを出し続ける。このように、巻取動作をドラグ用ブレーキを用いることなく行なうことができる。
本装置へ導入されるトルクがなくなると(図1に示す状態)、荷重30のトルクは、巻取中と反対の方向に装置を回転させ始める。このような状態は装置の機能性および安全性の見地から最も危険である。このような事態は、本発明においては、カム部5および6の溝によって形成されるカム軌道の幾何学的形状(溝20のピッチ、有効直径および摩擦係数)と、連結ホイール8および回転子4のフライホイール重量とを適切に決定することによって、処理している。このような適合性は、先ず上述のように連結ホイール8を巻取装置2の入力軸7とカム軌道列5、6、20、24との間に配して、荷重のトルクにより連結ホイール8のフライホイール重量分を加速させ、それによって、残ったトルクが回転子4を加速可能になることを意味する。カム軌道列5、6、20、24を介して回転子4を加速させるトルクを上述の条件を正しく選んで生成すれば、荷重30の方向から到着するトルクは、上述の章で説明したように、ブレーキを開放することができなくなる。
荷重30が降下する場合は、回転子4のトルクによって、荷重トルクがブレーキトルクを辛うじて上回る程度だけ、ブレーキを開放可能である。したがって、荷重の位置エネルギーは摩擦作用による熱として摩擦面手段12および14へ送られる。このエネルギーは、例えばブレーキ本体3で構成されるケース内に配されているオイルへ伝達可能である。このオイルは、図5によって以下に説明するように、同時に巻取装置のオイルとしてもよい。したがって、この荷重30を降下させる場合、下方へ「押し下げる」必要がある。この「押し下げ」が終わると直後にブレーキが荷重を把持する。
図1ないし図4に示す構造において、既に構造およびそれによって達成される利点を説明した滑りクラッチがチェーン巻取装置にとって必要であり、同クラッチはブレーキに連結されている。すなわち、クラッチトルクおよびブレーキトルクはバネ列15、16から得られる同じバネ力を用いて生成され、これら2つのトルクの比は、これらに対応する摩擦面、すなわち摩擦面手段12、14および19の比をクラッチトルクとブレーキトルクとの比と等しくなるよう選択することによって得られる。このような構成により、滑りクラッチトルクを調整すると、同時にブレーキトルクがクラッチトルクに対して正確な比を保ちながら変化するという利点が得られる。本発明の構造では、クラッチトルクを調整することができるのは、第2の本体部品26を回転させることによって回転子4を回転させる時と、本体部品26を例えばネジで正しい位置に固定するという正しい調整がなされ、よってクラッチも精確に調整されたことを確認した後である。これは、調整中は動摩擦係数しか用いないからである。図1は、第2のバネ列16に対する第2の本体部品26の支持面31と連結ホイール8との距離が調節中は一定に保たれることを示し、したがって、滑りクラッチを調整するときは、第1のバネ列15のトルク、クラッチトルクおよびブレーキトルクだけが変化する。
電動機駆動式チェーン巻取装置2'に連動するブレーキ1'の構造および作動は、手動式装置に対するものと全く同じであるが、異なるのは以下の点である。すなわち、電動機の回転子4'の軸4a'だけでなく、その延長部4b'も駆動軸を形成していて、第2のカム部6、ブレーキディスク/クラッチディスク構造9、10、8、巻取装置2'の被駆動入力軸7'および巻取装置2'自体は、電動機3'と駆動軸の延長部4b'上の第1のカム部5との間に配設されていて、第2のカム部6は同カム部に固定された構成部品8、9を有し、同構成部品中で回転して軸方向に移動可能であり、図1ないし図4に示す手動式装置と比較すると回転子4'が同装置の反対側に配されているため被駆動巻取装置2'の入力軸7'は回転可能であり、これによって、回転子4'の軸4a'の延長部4b'は、入力軸7'を通して移動させる必要がある。ブレーキ本体13'の部品25'および26'も、形状は部品25、26と異なるが、動作は同じである。
全体的に見て、本発明によるブレーキは巻取装置における荷重制動装置の役割を果たす。従来のいわゆるウエストン型荷重ブレーキと比較した大きな相違点は、本発明によるブレーキでは荷重の位置エネルギーは1回しか熱変換されないが、ウエストン型ブレーキでは荷重の位置エネルギーよりさらに大きなエネルギーが熱変換される点である。本発明では荷重の位置エネルギーは1回しか熱変換されないため、ブレーキトルクを荷重トルクの2倍の大きさに調節可能であり、これにより、かかるブレーキ1台だけで十分用が足りる。
本文で説明した本発明では、上述のように滑りクラッチと、ブレーキと、荷重制動機能とが組み合わされているため、回転可能な機械装置のトルクが停止した場合であっても、ブレーキは何ら付加的な誘導をする必要もなく、自動的に作動する。上述の滑りクラッチ機能を除外することによって、構造を簡略化してもよい。
ブレーキの開放機械装置は両方向へ作動する。このことは、ブレーキが例えば様々なコンベアに適用される場合に貴重な構成要件になる。
上述の本発明の説明は単に本発明の基本概念の説明を意図しているものであり、当業者によれば本発明の内容を特許請求の範囲内で様々に実施可能である。したがって、例えばカム部およびカム軌道を上述のものとは異なるものとしてよく、さらに上述のフィンランド特許出願で言及されている種類のものにしてもよい。様々な構成部品の構造は、上述の装置の作動を保証するものであればよい。
チェーン巻取装置と手動式巻上機との間にあり荷重が加えられている状態の本発明によるブレーキの長手方向の断面図である。 図1に示すブレーキディスク/クラッチディスク構造の詳細な拡大図である。 図2に示すブレーキを積荷が巻き上げられている状態で示す図である。 図1に示す第2のバネ列の詳細な拡大図である。 先行する各図面に示すブレーキのカム部の実施例を示す図である。 チェーン巻取装置およびそれを用いる電動機に連結され荷重が加えられている状態の本発明によるブレーキの長手方向の断面図である。
符号の説明
1 ブレーキ
2 チェーン巻取装置
3 手動式巻上機
4、4a' 駆動軸
5、6 カム部
7、7' 被駆動軸
8 連結ホイール
9、10、28 ディスク
12、14、19 摩擦面手段
13 ブレーキ本体
15、16 バネ構造
17、18 軸受け
20 溝
22 深い箇所
23 浅い箇所
24 玉
25、26 本体部品
27 ねじ切り構造
29 ピン
30 荷重

Claims (10)

  1. 駆動軸と被駆動軸との間に配設されたトルク制御式ブレーキであって、該ブレーキは、
    被駆動軸に対して軸方向に移動可能であるが回転不能に配設された第1のディスク、ならびに第1のディスクと駆動軸との間に軸方向に移動可能に配設された第2のディスクを有する、駆動軸と被駆動軸との間に配設されたブレーキディスク/クラッチディスク構造と、
    第1および第2のディスクの間に配設された第1の一組の摩擦面手段と、
    第2のディスクとブレーキ本体との間に配設された第2の一組の摩擦面手段と、
    第1および第2のディスクとそれらに連動する第1および第2の摩擦面手段とを軸方向に互いに対して押し合わせてブレーキ係合を達成するバネ構造と、
    駆動軸と前記ブレーキディスク/クラッチディスク構造との間に配設されたカム手段とを含み、該手段は、駆動軸へ回転不能に固定された第1のカム部と、第2のディスクへ回転不能に配設された第2のカム部とを有し、前記カム手段は、駆動軸のトルクおよび回転の衝撃を利用し、場合によっては被駆動軸の逆トルクも利用し、第1および第2のディスクと第1および第2の摩擦面手段との相対的な軸方向位置を変化させて前記ブレーキ係合を前記バネ構造によって生じる力に逆らって少なくとも一部切り離す、トルク制御式ブレーキにおいて、
    第2のディスクは第2のカム部に対して軸方向に移動可能に配設され、
    第3の一組の摩擦面手段が第2のカム部と第1のディスクとの間に配設され、これによってトルクが駆動軸から被駆動軸へ移動することを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  2. 請求項1に記載のトルク制御式ブレーキにおいて、第3の一組の摩擦面手段は、第2のカム部に配設されていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  3. 請求項1または2に記載のトルク制御式ブレーキにおいて、第2のディスクおよび第3の一組の摩擦面手段は、別個の連結ホイールによって第2のカム部に配設されていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  4. 請求項1に記載のトルク制御式ブレーキにおいて、第3の一組の摩擦面手段は、第1のディスクに取り付けられていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のトルク制御式ブレーキにおいて、ブレーキ本体は2つの本体部品で構成され、該2つの本体部品を互いに対して軸方向に調節することにより、第2の一組の摩擦面手段の作用位置すなわち作用点は、第2の本体部品によって調整および制限可能であることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  6. 請求項5に記載のトルク制御式ブレーキにおいて、前記2つの本体部品の間にねじ切りが配設されていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のトルク制御式ブレーキにおいて、前記バネ構造は、第1のディスクを第2のカム部の方へ押し出す第1のバネ列と、第1のカム部を第2のカム部の方へ押し出す第2のバネ列とを含み、第1のバネ列のバネ力は第2のバネ列のバネ力より相当に大きいことを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のトルク制御式ブレーキにおいて、第1および第2のカム部の横断面は円形であり、周囲を取り巻くように配置された望ましくは腎臓型の溝を有し、これらの溝は、中央部に深い箇所を有し、両端部に浅い箇所を有し、第1および第2のカム部は、各々一組の相対する溝と、各々一組の相対する溝の間に配された玉とを介して、互いに連結されていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載のトルク制御式ブレーキにおいて、該ブレーキは、電動機駆動式チェーン巻取装置内に配設され、これにより、電動機の回転子の軸と、該軸に連係している延長部とで、駆動軸が形成され、第2のカム部、前記ブレーキディスク/クラッチディスク構造、巻取装置の被駆動軸および該巻取装置自体は、前記電動機と駆動軸の延長部上の第1のカム部との間に配設されていて、第2のカム部は該カム部に固定された構成部品を有し該構成部品中で回転して軸方向に移動可能であり、前記巻取装置の被駆動軸は該構成部品中で回転可能であることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
  10. 請求項1ないし8のいずれかに記載のトルク制御式ブレーキにおいて、該ブレーキは、望ましくは手動式チェーン巻取装置内に配設され、該ブレーキは、手動式巻上機もしくはその等価物と前記巻取装置との間に配されていることを特徴とするトルク制御式ブレーキ。
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